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技術 走行車両及び走行車両の制御方法

出願人 国立大学法人東京大学トヨタ自動車株式会社
発明者 高畑智之石川勝仙波快之出尾隆志小坂雄介
出願日 2016年12月26日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-250785
公開日 2018年7月5日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-102496
状態 特許登録済
技術分野 傷病者運搬具
主要キーワード 脱出動作 回転トルクセンサ 接地具 モータ式アクチュエータ 傾斜検知 幾何学的手法 可動距離 脚機構
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

1つの検知手段に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサ増設することなく実現することが可能な、走行車両及び走行車両の制御方法を提供する。

解決手段

車体がエスカレータに搭乗しているとき、制御装置100は、外界センサ4による脱出判定を行う。制御装置100は、前輪回転センサ6による脱出判定を行う。制御装置100は、傾斜検知部118による脱出判定を行う。制御装置100は、上記の3つの脱出判定の処理のうち、少なくとも1つの処理で脱出判定が成立した場合、搭乗制御モードから脱出制御モードに切り替える。

概要

背景

エスカレータに乗ることが可能な電動車椅子等の走行車両が開発されている。この技術に関連し、特許文献1は、エスカレータに進入しエスカレータから脱出することが可能な車椅子等の走行車輌を開示する。特許文献1にかかる走行車輌は、車体の傾斜状態の変化を検知する傾斜認識装置と、前輪回転数の変化を検知することにより前輪のエスカレータからの脱出を認識する前輪脱出認識装置とを備える。

特許文献1においては、車椅子がエスカレータに乗った状態では、フロントブレーキ及びリアブレーキによって、前輪及び後輪が回転不能となっている。この状態で、傾斜認識装置は、傾斜計のデータを取り込んで、車体の傾斜が水平面に対して傾斜している状態から水平に近づく変化を検知することで車椅子がエスカレータの終端部に近づいたことを認識する。これにより、フロントブレーキが解除され、前輪が回転自由な状態となる。このとき、後輪は回転不能の状態のままである。この状態で、前輪が床面に達するとステップ面から床面に移って回転を始める。前輪脱出認識装置は、回転計のデータを取り込んで、前輪の回転数が0の状態からエスカレータの移動速度の分だけ大きくなる変化を検知することで前輪のエスカレータからの脱出を認識する。前輪のエスカレータからの脱出が認識されてから所定時間後に、リアブレーキが解除され、後輪が回転可能な状態となる。このようにして、特許文献1にかかる車椅子(走行車輌)は、エスカレータから脱出することができる。

概要

1つの検知手段に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサ増設することなく実現することが可能な、走行車両及び走行車両の制御方法を提供する。車体がエスカレータに搭乗しているとき、制御装置100は、外界センサ4による脱出判定を行う。制御装置100は、前輪回転センサ6による脱出判定を行う。制御装置100は、傾斜検知部118による脱出判定を行う。制御装置100は、上記の3つの脱出判定の処理のうち、少なくとも1つの処理で脱出判定が成立した場合、搭乗制御モードから脱出制御モードに切り替える。

目的

本発明は、1つの検知手段に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することなく実現することが可能な、走行車両及び走行車両の制御方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

エスカレータに乗ることが可能な走行車両であって、駆動輪を有する車体と、前記車体の動作を制御する制御手段とを有し、前記走行車両は、前記制御手段が前記車体の動作を制御するために用いられ前記駆動輪の状態を検知する少なくとも1つの第1の検知手段、前記制御手段が前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体の周囲の状態を検知する第2の検知手段、及び、前記制御手段が前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体が高低差を有する場所にいるときの前記高低差に対応する傾斜角を検知する第3の検知手段、のうちの少なくとも2つ、又は、互いに検知する状態の種類が異なる複数の前記第1の検知手段、を有し、前記制御手段は、前記駆動輪が前記エスカレータの踏板に乗っているときに、前記駆動輪を前記エスカレータの蹴上部に押し付けるように前記駆動輪を制御する第1の制御モードと、前記車体を前記エスカレータから脱出させるように前記駆動輪を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、前記制御手段は、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記蹴上部が前記踏板の方に退行していくことにより、前記駆動輪の状態の変化量が予め定められた変化量を超えたことを少なくとも1つの前記第1の検知手段を用いて判定する少なくとも1つの第1の判定、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいたことを前記第2の検知手段を用いて判定する第2の判定、及び、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記エスカレータの傾斜角が予め定められた傾斜角よりも小さくなったことを前記第3の検知手段を用いて判定する第3の判定、のうちの少なくとも2つの判定、又は、少なくとも2つの前記第1の判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも2つの前記脱出判定のうちのいずれかが成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定されたときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う走行車両。

請求項2

前記制御手段は、複数の前記第1の検知手段を用いた複数の前記第1の判定のうちの少なくとも3つの判定、又は、少なくとも1つの前記第1の判定、前記第2の判定及び前記第3の判定のうちの少なくとも3つの判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも3つの前記脱出判定のうちの過半数の前記脱出判定が成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定したときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う請求項1に記載の走行車両。

請求項3

前記制御手段は、前記第1の判定、前記第2の判定及び前記第3の判定のうちの少なくとも2つの判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも2つの前記脱出判定のうちのいずれかの前記脱出判定が成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定したときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う請求項1又は2に記載の走行車両。

請求項4

エスカレータに乗ることが可能な走行車両の制御方法であって、前記走行車両は、駆動輪を有する車体を有し、前記走行車両は、前記車体の動作を制御するために用いられ前記駆動輪の状態を検知する少なくとも1つの第1の検知手段、前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体の周囲の状態を検知する第2の検知手段、及び、前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体が高低差を有する場所にいるときの前記高低差に対応する傾斜角を検知する第3の検知手段、のうちの少なくとも2つ、又は、互いに検知する状態の種類が異なる複数の前記第1の検知手段、を有し、前記駆動輪が前記エスカレータの踏板に乗っているときに、前記駆動輪を前記エスカレータの蹴上部に押し付けるように前記駆動輪を制御する第1の制御モードと、前記車体を前記エスカレータから脱出させるように前記駆動輪を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記蹴上部が前記踏板の方に退行していくことにより、前記駆動輪の状態の変化量が予め定められた変化量を超えたことを少なくとも1つの前記第1の検知手段を用いて判定する少なくとも1つの第1の判定、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいたことを前記第2の検知手段を用いて判定する第2の判定、及び、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記エスカレータの傾斜角が予め定められた傾斜角よりも小さくなったことを前記第3の検知手段を用いて判定する第3の判定、のうちの少なくとも2つの判定、又は、少なくとも2つの前記第1の判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも2つの前記脱出判定のうちのいずれかが成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定されたときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う走行車両の制御方法。

技術分野

0001

本発明は走行車両及び走行車両の制御方法に関し、特に、エスカレータに乗ることが可能な走行車両及びその制御方法に関する。

背景技術

0002

エスカレータに乗ることが可能な電動車椅子等の走行車両が開発されている。この技術に関連し、特許文献1は、エスカレータに進入しエスカレータから脱出することが可能な車椅子等の走行車輌を開示する。特許文献1にかかる走行車輌は、車体の傾斜状態の変化を検知する傾斜認識装置と、前輪回転数の変化を検知することにより前輪のエスカレータからの脱出を認識する前輪脱出認識装置とを備える。

0003

特許文献1においては、車椅子がエスカレータに乗った状態では、フロントブレーキ及びリアブレーキによって、前輪及び後輪が回転不能となっている。この状態で、傾斜認識装置は、傾斜計のデータを取り込んで、車体の傾斜が水平面に対して傾斜している状態から水平に近づく変化を検知することで車椅子がエスカレータの終端部に近づいたことを認識する。これにより、フロントブレーキが解除され、前輪が回転自由な状態となる。このとき、後輪は回転不能の状態のままである。この状態で、前輪が床面に達するとステップ面から床面に移って回転を始める。前輪脱出認識装置は、回転計のデータを取り込んで、前輪の回転数が0の状態からエスカレータの移動速度の分だけ大きくなる変化を検知することで前輪のエスカレータからの脱出を認識する。前輪のエスカレータからの脱出が認識されてから所定時間後に、リアブレーキが解除され、後輪が回転可能な状態となる。このようにして、特許文献1にかかる車椅子(走行車輌)は、エスカレータから脱出することができる。

先行技術

0004

特開平10−314235号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1にかかる走行車輌では、傾斜計及び回転計を用いてエスカレータから脱出するようにしているが、傾斜計及び回転計のいずれかが故障又は精度不良等により異常となった場合に、エスカレータから脱出できなくなるおそれがある。具体的には、傾斜計が異常となった場合、車体の傾斜が水平に近づいたことを認識できないので、前輪を回転可能とすることができない。したがって、前輪が床面(乗降板)に達したときに前輪はステップ面から床面にスムーズに移動できず、前輪が床面に引っ掛かってしまうおそれがある。また、回転計が異常となった場合に、前輪が床面に乗り上げて回転を始めても、その前輪の回転を認識することができない。したがって、後輪を回転可能とすることができない。したがって、後輪が床面に達したときに後輪が床面に引っ掛かってしまうおそれがある。

0006

傾斜計及び回転計等の検知手段(センサ等)の異常に対処するために、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することが考えられる。これにより、1つのセンサに異常が発生した場合であっても、他のセンサを用いてエスカレータからの脱出のタイミングを検知することができる。しかしながら、このような専用のセンサを増設することで、配線の複雑化等により、走行車両の構造が複雑となるおそれがある。また、専用のセンサの増設は、電力消費量の増大を引き起こすおそれもある。したがって、専用のセンサを増設することなく、センサの異常に対処することが望まれる。

0007

本発明は、1つの検知手段に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することなく実現することが可能な、走行車両及び走行車両の制御方法を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明にかかる走行車両は、エスカレータに乗ることが可能な走行車両であって、駆動輪を有する車体と、前記車体の動作を制御する制御手段とを有し、前記走行車両は、前記制御手段が前記車体の動作を制御するために用いられ前記駆動輪の状態を検知する少なくとも1つの第1の検知手段、前記制御手段が前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体の周囲の状態を検知する第2の検知手段、及び、前記制御手段が前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体が高低差を有する場所にいるときの前記高低差に対応する傾斜角を検知する第3の検知手段、のうちの少なくとも2つ、又は、互いに検知する状態の種類が異なる複数の前記第1の検知手段、を有し、前記制御手段は、前記駆動輪が前記エスカレータの踏板に乗っているときに、前記駆動輪を前記エスカレータの蹴上部に押し付けるように前記駆動輪を制御する第1の制御モードと、前記車体を前記エスカレータから脱出させるように前記駆動輪を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、前記制御手段は、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記蹴上部が前記踏板の方に退行していくことにより、前記駆動輪の状態の変化量が予め定められた変化量を超えたことを少なくとも1つの前記第1の検知手段を用いて判定する少なくとも1つの第1の判定、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいたことを前記第2の検知手段を用いて判定する第2の判定、及び、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記エスカレータの傾斜角が予め定められた傾斜角よりも小さくなったことを前記第3の検知手段を用いて判定する第3の判定、のうちの少なくとも2つの判定、又は、少なくとも2つの前記第1の判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも2つの前記脱出判定のうちのいずれかが成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定されたときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う。

0009

また、本発明にかかる走行車両の制御方法は、エスカレータに乗ることが可能な走行車両の制御方法であって、前記走行車両は、駆動輪を有する車体を有し、前記走行車両は、前記車体の動作を制御するために用いられ前記駆動輪の状態を検知する少なくとも1つの第1の検知手段、前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体の周囲の状態を検知する第2の検知手段、及び、前記車体の動作を制御するために用いられ前記車体が高低差を有する場所にいるときの前記高低差に対応する傾斜角を検知する第3の検知手段、のうちの少なくとも2つ、又は、互いに検知する状態の種類が異なる複数の前記第1の検知手段、を有し、前記駆動輪が前記エスカレータの踏板に乗っているときに、前記駆動輪を前記エスカレータの蹴上部に押し付けるように前記駆動輪を制御する第1の制御モードと、前記車体を前記エスカレータから脱出させるように前記駆動輪を制御する第2の制御モードとを切り替え可能であり、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記蹴上部が前記踏板の方に退行していくことにより、前記駆動輪の状態の変化量が予め定められた変化量を超えたことを少なくとも1つの前記第1の検知手段を用いて判定する少なくとも1つの第1の判定、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいたことを前記第2の検知手段を用いて判定する第2の判定、及び、前記第1の制御モードで前記駆動輪が前記踏板に乗っている状態で、前記車体が前記エスカレータの乗降板に近づいて前記エスカレータの傾斜角が予め定められた傾斜角よりも小さくなったことを前記第3の検知手段を用いて判定する第3の判定、のうちの少なくとも2つの判定、又は、少なくとも2つの前記第1の判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも2つの前記脱出判定のうちのいずれかが成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定されたときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う。

0010

本発明は、上記のように構成されていることによって、ある検知手段に異常が発生しその検知手段にかかる判定を正確に行うことができなくなった場合であっても、残りの検知手段を用いて、適切なタイミングでエスカレータから脱出することが可能となる。また、本発明にかかる検知手段は、エスカレータからの脱出タイミングを判定するために設けられた専用のセンサではなく、走行車両の通常の動作のために用いられる一般的な検知手段として走行車両にもともと搭載されているものである。したがって、本発明にかかる走行車両は、このような検知手段を、走行車両の通常の動作と、エスカレータからの脱出のタイミングの検知と、の両方のために共用化して利用することができるため、1つの検知手段に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用の検知手段を増設することなく実現することが可能である。

0011

また、好ましくは、前記制御手段は、複数の前記第1の検知手段を用いた複数の前記第1の判定のうちの少なくとも3つの判定、又は、少なくとも1つの前記第1の判定、前記第2の判定及び前記第3の判定のうちの少なくとも3つの判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも3つの前記脱出判定のうちの過半数の前記脱出判定が成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定したときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う。
過半数の処理で脱出のタイミングになったと判定された場合、それらの過半数の処理にかかる検知手段が異常である可能性は低く、したがって、その過半数の処理における判定は、正確である可能性が高い。したがって、本発明にかかる走行車両は、エスカレータからの脱出のタイミングの判定の信頼性を向上させることが可能となる。

0012

また、好ましくは、前記制御手段は、前記第1の判定、前記第2の判定及び前記第3の判定のうちの少なくとも2つの判定を、前記エスカレータからの脱出判定として用い、少なくとも2つの前記脱出判定のうちのいずれかの前記脱出判定が成立して前記車体が前記エスカレータから脱出するタイミングとなったと判定したときに、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ切り替えて前記駆動輪の制御を行う。
第1の制御モードで駆動輪をエスカレータの蹴上部に押し付けるときに前輪を蹴上部に強く押し当てるようにすると、蹴上部が退行したときに前輪が急に飛び出すおそれがあるので、駆動輪をエスカレータの蹴上部にあまり強くないように押し付けることが好ましい。このようにすると、第1の検知手段を用いた第1の判定の応答性が小さくなる。したがって、第1の検知手段のみを用いるのではなく、第2の検知手段及び第3の検知手段の少なくとも一方を用いた脱出判定を行うことによって、エスカレータからの脱出のタイミングの判定の信頼性を向上させることが可能となる。

発明の効果

0013

本発明によれば、1つの検知手段に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することなく実現することが可能な、走行車両及び走行車両の制御方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0014

実施の形態にかかる走行車両を示す側面図である。
実施の形態にかかる走行車両を示す上面図である。
可変機構の構成を示す斜視図である。
可変機構を模式化して示すモデル図である。
実施の形態1にかかる走行車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
実施の形態1にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1にかかる脱出判定部によって行われる、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理概要を示すフローチャートである。
実施の形態1にかかる走行車両1の制御装置によって行われる、エスカレータに関する処理を示すフローチャートである。
外界センサによって取得されたエスカレータの画像を例示する図である。
走行車両がエスカレータに進入している状態を示す図である。
搭乗制御モードにおける走行車両の状態を示す図である。
走行車両が外界センサを用いて脱出判定を行っている状態を示す図である。
前輪回転センサを用いて脱出判定を行う方法を説明するための図である。
前輪回転センサを用いて脱出判定を行う方法を説明するための図である。
前輪と後輪との高低差から脱出判定を行う方法を説明するための図である。
脱出制御モードにおける走行車両を示す図である。
実施の形態1にかかる走行車両が下りのエスカレータに搭乗している状態を示す図である。
実施の形態2にかかる脱出判定部によって行われる、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理の概要を示すフローチャートである。
実施の形態3にかかる走行車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
実施の形態3にかかる脱出判定部によって行われる、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理の概要を示すフローチャートである。

実施例

0015

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定されるわけではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。また、実質的に同一の構成要素には、同一の符号が付される。

0016

(実施の形態1)
図1は、実施の形態にかかる走行車両1を示す側面図である。また、図2は、実施の形態にかかる走行車両1を示す上面図である。図1及び図2では、XYZ直交座標系を用いて説明する。+X方向が走行車両1の前方になり、−X方向が走行車両1の後方になっている。また、+Y方向が走行車両1の左方向となり、−Y方向が走行車両1の右方向となっている。+Z方向が鉛直上方となり、−Y方向が鉛直下方となっている。

0017

図1に示すように、走行車両1は、車体10と、外界センサ4と、姿勢角センサ5と、前輪回転センサ6と、後輪回転センサ7と、制御装置100とを有する。車体10は、背もたれ及びアームレストを備えたシート14と、前輪11と、中輪12と、後輪13と、可変機構20と有する。

0018

なお、走行車両1は、左右対称な構成を有しており、前輪11、中輪12、及び後輪13は、それぞれ左右両側に設けられている。したがって、図2では、走行車両1の左側(+Y側)に配置された前輪11、中輪12、後輪13を、それぞれ、前輪11L、中輪12L、後輪13Lとして示している。同様に、図2では、走行車両1の右側(−Y側)に配置された前輪11、中輪12、後輪13を、それぞれ、前輪11R、中輪12R、後輪13Rとして示している。なお、以下の説明において、左右の構成を特に区別しない場合は、符号にL又はRを付さずに説明を行う。また、可変機構20も左右対称な構造を有している。

0019

X方向において、前輪11と後輪13との間に、中輪12が配置されている。すなわち、前輪11は中輪12及び後輪13の前側(+X側)に配置され、後輪13は、中輪12及び前輪11よりも後ろ側(−X側)に配置されている。前輪11は駆動輪であり、前輪駆動モータ16の駆動によって回転する。前輪11L及び前輪11Rは、それぞれ、異なるモータである前輪駆動モータ16L及び前輪駆動モータ16Rに接続されて、独立に回転し得る。

0020

中輪12と後輪13は従動輪であり、走行車両1の移動に応じて回転する。すなわち、前輪11が駆動して、走行車両1が移動すると、走行車両1の移動に追従して中輪12と後輪13とが回転する。

0021

例えば、走行車両1が前方に直進する場合は、前輪11Lと前輪11Rが同じ回転速度で同じ回転方向に回転する。左右に曲がりながら進む場合は、前輪11Lと前輪11Rが異なる回転速度で同じ回転方向に回転する。その場で旋回したい場合は、前輪11Lと前輪11Rを同じ回転速度で反対方向に回転する。このように、左の前輪11Lと右の前輪11Rとを異なるモータで駆動することで、走行車両1が所望の方向に所望の速度で移動する。

0022

シート14は、搭乗者90が搭乗する搭乗部である。図1に示すように、走行車両1は、搭乗者90がシート14に座った状態で移動する。シート14の下部には、可変機構20が設けられている。可変機構20は、シート14を支持する脚機構である。可変機構20には、前輪11、中輪12、後輪13が回転可能に取り付けられている。可変機構20は、伸縮可能なアーム機構を備えており、地面に対するシート14の姿勢を変える。車輪とシート14との間に設けられたアーム機構が伸縮することで、シート14の座面の高さや傾きが変化する。可変機構20の詳細な構成については後述する。

0023

さらに、後述するように、可変機構20の動作によって、搭乗者がシート14の乗った状態のまま、走行車両1がエスカレータへ乗降したり、段差乗り降りしたりすることができる。よって、走行車両1を様々な環境下に適用することができる。

0024

前輪回転センサ6は、駆動輪である前輪11の状態を検知する検知手段(第1の検知手段)としての機能を有する。前輪回転センサ6は、前輪11の車軸の近傍に設けられている。前輪回転センサ6は、例えば、レゾルバエンコーダホールセンサ又は電磁ピックアップ等の、前輪11の回転速度を検知する回転速度センサ、又は前輪11の回転角度を検知する回転角度センサであってもよい。また、前輪回転センサ6は、例えば、前輪駆動モータ16のトルクを検知する回転トルクセンサ、又は、前輪駆動モータ16に関する電流値を検知する電流センサ等であってもよい。また、前輪回転センサ6は、1つとは限られず、上記の互いに異なる複数の種類のセンサで構成されてもよい。つまり、前輪回転センサ6(第1の検知手段)は、互いに検知する状態の種類が異なる複数のセンサで構成されてもよい。例えば、前輪回転センサ6は、回転速度センサと回転トルクセンサとで構成されてもよい。

0025

後輪回転センサ7は、後輪13の状態を検知する検知手段としての機能を有する。後輪回転センサ7は、後輪13の車軸の近傍に設けられている。後輪回転センサ7は、上述したような、後輪13の回転速度を検知する回転速度センサ、又は後輪13の回転角度を検知する回転角度センサであってもよい。

0026

外界センサ4は、走行車両1の周囲の状態を検知する検知手段(第2の検知手段)としての機能を有する。外界センサ4は、例えばシート14の前方に取り付けられている。外界センサ4は、例えば、カメラレーザセンサ又は超音波センサ等である。以下に示す説明では、外界センサ4がカメラであるとしている。

0027

姿勢角センサ5は、シート14の水平に対する傾きを検知する。姿勢角センサ5は、例えば、ジャイロ又は加速度センサ等である。姿勢角センサ5は、例えば、6軸の加速度ジャイロセンサを有しており、X軸、Y軸、Z軸の加速度と、X軸、Y軸、Z軸周りの角速度を検出する。姿勢角センサ5は、シート14の座面と平行に設置されている。したがって、姿勢角センサ5は、座面の傾斜角度を検出する。

0028

図3は、可変機構20の構成を示す斜視図である。図4は、可変機構20を模式化して示すモデル図である。なお、図3及び図4では、シート14等の構成については図示を省略している。可変機構20は、上フレーム21、第一直動機構22と、第二直動機構23と、後リンク24と、下リンク25と、第三直動機構26とを備えている。

0029

可変機構20は左右対称な構成を有している。上記と同様に、左右対称の構成については、符号にL又はRを付す。例えば、可変機構20は、2つの第一直動機構22L,22Rを備えている。そして、第一直動機構22Lと第一直動機構22Rとは左右対称に配置される。第二直動機構23、後リンク24、及び下リンク25についても同様に左右対称に配置されており、図3では、左右対称な構成要素の符号にそれぞれL又はRを付している。また、図3において、下リンク25R、中輪12R、及び後輪13Rは、斜視図の角度の関係上、他の構成要素に隠れているが、下リンク25L、中輪12L、後輪13Lと左右対称に配置されている。

0030

上フレーム21には、上述のシート14及び制御装置100等が取り付けられる。上フレーム21の上に、シート14が取り付けられることで、搭乗部が構成される。したがって、上フレーム21の姿勢がシート14の姿勢に対応することになる。上フレーム21の高さが変わると、シート14の高さが変わり、上フレーム21の角度が変わるとシート14の角度が変わる。上フレーム21が前傾すると、シート14も前傾する。上フレーム21は、矩形枠状になっている。

0031

上フレーム21の前側両端には、第一直動機構22が取り付けられている。第一直動機構22は、上フレーム21から斜め前方下方に延びている。第一直動機構22の下端には、前輪11が取り付けられている。すなわち、第一直動機構22Lには、前輪11Lが回転可能に取り付けられ、第一直動機構22Rには、前輪11Rが回転可能に取り付けられている。このように、第一直動機構22は、上フレーム21と前輪11とを連結している。上フレーム21と第一直動機構22との間の取り付け角度βは固定されている。

0032

第一直動機構22は、例えば、伸縮可能なアーム機構である。すなわち、第一直動機構22の長さは可変となっている。図4に示すように、XZ平面において、第一直動機構22と上フレーム21との接続位置を位置Bとし、第一直動機構22と前輪11との接続位置を位置Cとする。位置Cを通りY軸に平行な軸が前輪11の車軸となる。前輪11は車軸周りに回転する。

0033

上フレーム21の後側両端には、後リンク24が取り付けられている。後リンク24は、上フレーム21から下方に延びている。図4のように、XZ平面において、上フレーム21と後リンク24との接続位置を位置Oとする。上フレーム21と後リンク24との間の角度αは可変となっている。すなわち、上フレーム21と後リンク24とは受動関節を介して取り付けられている。よって、後リンク24の上端は、上フレーム21に回転可能に連結されている。後リンク24は、上フレーム21に対して、位置Oを通りY軸に平行な回転軸周りに回転する。

0034

後リンク24の下端は、下リンク25に接続されている。後リンク24は、上フレーム21と下リンク25とを連結している。下リンク25と後リンク24との接続位置を位置Dとする。下リンク25と後リンク24との成す角度は可変となっている。すなわち、位置Dにおいて、下リンク25と後リンク24とは受動関節を介して取り付けられている。下リンク25は、後リンク24に対して、位置Dを通りY軸に平行な回転軸周りに回転する。

0035

下リンク25の前端には、中輪12が取り付けられている。下リンク25の後端には、後輪13が取り付けられている。下リンク25Rの前端には、中輪12Rが取り付けられ、後端には後輪13Rが回転可能に取り付けられている。同様に、下リンク25Lの前端には、中輪12Lが回転可能に取り付けられ、後端には後輪13Lが回転可能に取り付けられている。

0036

下リンク25と中輪12との接続位置を位置Eとする。下リンク25と後輪13との接続位置を位置Fとする。位置Eを通りY軸に平行な軸が中輪12の車軸となり、位置Fを通りY軸に平行な軸が後輪13の車軸となる。中輪12、及び後輪13はそれぞれ車軸周りに回転する。下リンク25の長さは固定となっている。したがって、中輪12の車軸と後輪13の車軸との間の距離は、一定となっている。すなわち、EF間距離は一定である。

0037

上フレーム21には、第二直動機構23が取り付けられている。位置Bと位置Oとの間の位置Aにおいて、第二直動機構23の上端が上フレーム21に接続されている。第二直動機構23は、上フレーム21から下方に延びている。

0038

第二直動機構23の下端には、中輪12、及び下リンク25が取り付けられている。すなわち、第二直動機構23Rには、中輪12Rが回転可能に取り付けられ、第二直動機構23Lには、中輪12Lが回転可能に取り付けられている。位置Eにおいて、第二直動機構23が中輪12及び下リンク25に接続する。このように、第二直動機構23は、上フレーム21と中輪12とを連結している。

0039

第二直動機構23は、例えば、伸縮可能なアーム機構である。第二直動機構23の長さは可変となっている。したがって、上フレーム21から中輪12までの距離が変化する。第二直動機構23が伸縮することで、下リンク25の角度を変えることができる。なお、上フレーム21と第二直動機構23との間の角度は可変となっている。すなわち、位置Aにおいて、上フレーム21と第二直動機構23とは受動関節を介して取り付けられている。第二直動機構23は、上フレーム21に対して、位置Aを通りY軸に平行な回転軸周りに回転する。

0040

下リンク25と第二直動機構23との間の角度は可変となっている。すなわち、下リンク25と第二直動機構23とは受動関節を介して取り付けられている。よって、第二直動機構23の下端は、下リンク25の前端に回転可能に連結されている。下リンク25は、第二直動機構23に対して、位置Eを通りY軸に平行な回転軸周りに回転する。

0041

さらに、上フレーム21と後リンク24との間には、第三直動機構26が設けられている。すなわち、第三直動機構26は、上フレーム21と後リンク24とを連結している。第三直動機構26の上端は、位置Aと位置Bとの間で、上フレーム21に取り付けられている。第三直動機構26の下端は位置Oと位置Dとの間で後リンク24に取り付けられている。第三直動機構26と上フレーム21との成す角度は可変となっている。すなわち、上フレーム21と第三直動機構26とは受動関節を介して取り付けられている。第三直動機構26は、上フレーム21に対して、Y軸に平行な回転軸周りに回転する。

0042

また、第三直動機構26と後リンク24との成す角度は可変となっている。すなわち、後リンク24と第三直動機構26とは受動関節を介して取り付けられている。第三直動機構26は角度αを変えるアクチュエータとなる。第三直動機構26は、後リンク24に対して、Y軸に平行な回転軸周りに回転する。

0043

上記のように、可変機構20は、第一直動機構22R,22L、第二直動機構23R,23L、及び第三直動機構26を備えている。したがって、可変機構20は、5軸の直動関節によって構成されている。すなわち、可変機構20は、5つのアクチュエータで姿勢を変化させることができる。第一直動機構22は前脚、第二直動機構23は後脚となる。また、本実施の形態では、前輪11R,11Lが駆動輪となっている。

0044

第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26は、それぞれ、伸縮可能に設けられたリンク機構である。第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26のそれぞれは、モータ、ブレーキ、及びエンコーダを有する駆動部と、駆動部によって伸縮するリンクと、を備えている。なお、直動機構(第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26)は、公知のリニアアクチュエータを用いることができる。例えば、直動機構はサーボモータの回転方向の力をボールねじにより伸縮方向の力に変換する。ボールねじのリードを小さくすることで、小さな力で直線方向に大きな力を得ることができる。これにより、搭乗者90の体重で押されて直動機構が縮んでしまうようなことがなく、姿勢を保つことができる。本実施の形態では、リニアアクチュエータを用いているため、構成を簡素化することができる。

0045

さらに、直動機構にガスばねを併用することで、モータの負荷を低減することができる。また、直動機構は、モータ式アクチュエータに限らず、油圧空気圧の方式のリニアアクチュエータでもよい。

0046

図4に示すように、第一直動機構22の長さを(c+sf)として表し、第二直動機構23の長さを(g+sr)として表す。なお、sfは、第一直動機構22の可動距離ストローク)を示し、srは、第二直動機構23の可動距離(ストローク)を示している。第三直動機構26の長さをsmとして示す。また、OA間距離をa、AB間距離をbとして示す。OD間距離、すなわち後リンク24の長さをdと示す。ED間距離をe、DF間距離をfとして示す。なお、下リンク25の長さは(e+f)となる。a〜gは固定値であり、sm、sr、sfは可変値である。また、前輪11の半径をrf、後輪13の半径をrrとする。なお、中輪12の半径は後輪の半径rrと同じであってもよい。

0047

第一直動機構22が伸縮すると、前輪11と上フレーム21との距離が変化する。よって、シート14の前側の高さを変えることができる。第二直動機構23が伸縮すると、中輪12と上フレーム21との距離が変化する。第一直動機構22Rと第一直動機構22Lとは独立して駆動し得る。同様に、第二直動機構23Rと第二直動機構23Lとは独立して駆動し得る。第三直動機構26が伸縮すると、角度αが変化する。第二直動機構23と第三直動機構26とによって、中輪12及び後輪13の接地具合を変更することができる。第二直動機構23及び第三直動機構26が伸縮すると、下リンク25及び後リンク24の角度が変化する。さらに、地面から位置Aまでの高さが変化する。第三直動機構26を第二直動機構23と連動して駆動することで、シート14のピッチ角度(Y軸に平行な軸周りの角度)を変えることができる。

0048

なお、上記の説明では、第三直動機構26を一つのアクチュエータとしている。すなわち、左右の後リンク24R,24Lに対して、第三直動機構26が共通となっている。しかしながら、第三直動機構26を左右独立したアクチュエータとしてもよい。すなわち、2つのアクチュエータを左右対称に取り付けてもよい。この場合、角度αを左右異なる角度にすることが可能になる。もちろん、同じ長さだけ伸縮する2つの直動機構を、左右の後リンク24に対して、取り付けるようにしてもよい。この場合、アクチュエータの数が増えてしまうが、姿勢をより適切に制御することができる。

0049

なお、中輪12及び後輪13にはオムニホイールを用いることが好ましい。例えば、自在キャスタを用いた場合、回転平面型であるため下リンク25の対地角度変化に伴ってキャスタがうまく回れないことがある。すなわち、自在キャスタの回転軸が地面に対して垂直でないと、車輪が回りづらくなる。したがって、キャスタの回転軸を常に地面と垂直になるようすることが好ましい。よって、本実施の形態では、中輪12及び後輪13がオムニホイールとなっている。

0050

図5は、実施の形態1にかかる走行車両1のハードウェア構成を示すブロック図である。上述したように、走行車両1は、外界センサ4、姿勢角センサ5、前輪回転センサ6、前輪駆動モータ16、後輪回転センサ7、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26を有する。さらに、走行車両1は、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26のそれぞれに関するエンコーダである、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36を有する。第一エンコーダ32は、第一直動機構22の長さの変位量(sf)を検知する。第二エンコーダ33は、第二直動機構23の長さの変位量(sr)を検知する。第三エンコーダ36は、第三直動機構26の長さの変位量(sm)を検知する。つまり、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36は、センサ(検知手段)としての機能を有する。

0051

制御装置100は、外界センサ4、姿勢角センサ5、前輪回転センサ6、前輪駆動モータ16、後輪回転センサ7、第一直動機構22、第二直動機構23、第三直動機構26、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36と、有線又は無線で接続されている。制御装置100は、外界センサ4、姿勢角センサ5、前輪回転センサ6、後輪回転センサ7、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36からの信号を受信して、前輪駆動モータ16、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の動作を制御する。

0052

具体的には、制御装置100は、前輪回転センサ6からの信号を用いて、車体10(例えば前輪11を駆動させる前輪駆動モータ16)の動作を制御する。例えば、前輪回転センサ6が回転速度センサである場合、制御装置100は、前輪回転センサ6からの速度値を示す信号を用いて、フィードバック制御によって、前輪11の回転速度が目標値となるように、前輪駆動モータ16のトルク値を制御する。

0053

また、制御装置100は、外界センサ4からの信号を用いて、周囲の状態を認識することができ、周囲の状況に応じた動作を行うように車体10(前輪11及び可変機構20)の動作を制御することができる。例えば、制御装置100は、外界センサ4によって障害物を検知したときに、障害物を避けるように、前輪11の動作を制御することができる。また、制御装置100は、外界センサ4を用いてエスカレータの乗降口を検知したときに、後述するようにして、エスカレータに進入するように、前輪11及び可変機構20の動作を制御することができる。

0054

また、制御装置100は、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36を用いて、車体10(可変機構20、つまり、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26)の動作を制御する。具体的には、制御装置100は、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26を制御するときに、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36からの信号値が目標値を示すように、フィードバック制御によって、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の動作を制御する。さらに、制御装置100は、後述するように、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36を用いて、前輪駆動モータ16の動作を制御することもできる。

0055

また、制御装置100は、姿勢角センサ5を用いて、シート14の傾きを水平に近づけるように、車体10(可変機構20、つまり、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26)の動作を制御することができる。例えば、走行車両1がエスカレータのような段差のある場所に進入することによって前輪11の高さと後輪13の高さとが異なった場合に、制御装置100は、姿勢角センサ5からの信号値が水平を示すように、フィードバック制御によって、可変機構20を制御する。例えば、前輪11の高さが後輪13の高さよりも高い場合、制御装置100は、第一直動機構22及び第二直動機構23の長さを短くして、第三直動機構26の長さを長くするようにそれぞれの直動機構を制御することで、シート14の傾きを水平に近づけることができる(後述する図11参照)。また、前輪11の高さが後輪13の高さよりも低い場合、制御装置100は、第一直動機構22及び第二直動機構23の長さを長くして、第三直動機構26の長さを短くするようにそれぞれの直動機構を制御することで、シート14の傾きを水平に近づけることができる(後述する図17参照)。

0056

図6は、実施の形態1にかかる制御装置100の構成を示すブロック図である。制御装置100は、例えばコンピュータである。制御装置100は、主要なハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)102と、ROM(Read Only Memory)104と、RAM(Random Access Memory)106と、インタフェース部108(IF;Interface)とを有する。CPU102、ROM104、RAM106及びインタフェース部108は、データバスなどを介して相互に接続されている。

0057

CPU102は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。ROM104は、CPU102によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。RAM106は、処理データ等を一時的に記憶するための機能を有する。インタフェース部108は、有線又は無線を介して外部と信号の入出力を行う。インタフェース部108は、通信ポートを含み得る。

0058

また、制御装置100は、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116、傾斜検知部118及び制御部120(制御手段)を有する。制御部120は、進入制御部122、搭乗制御部124、脱出判定部126及び脱出制御部128を有する。外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116、傾斜検知部118及び制御部120は、例えば、CPU102がROM104に記憶されたプログラムを実行することによって実現可能である。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116、傾斜検知部118及び制御部120を実現するようにしてもよい。

0059

また、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク磁気テープハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMPROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。

0060

なお、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116、傾斜検知部118及び制御部120は、上記のようにソフトウェアによって実現されることに限定されず、何らかの回路素子等のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116、傾斜検知部118及び制御部120は、物理的に1つの装置内に設けられている必要はなく、別個のハードウェアとして構成されていてもよい。その場合、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116、傾斜検知部118及び制御部120のそれぞれが、コンピュータとして機能してもよい。

0061

外界検知部112は、インタフェース部108を介して、外界センサ4から信号を受信する。外界検知部112は、外界センサ4からの信号を解析して、走行車両1の周囲の状態を検知する。つまり、外界検知部112は、外界センサ4とともに、走行車両1の周囲の状態を検知する検知手段(第2の検知手段)を構成する。例えば、外界センサ4がカメラである場合、外界検知部112は、外界センサ4からの画像データを受信する。外界検知部112は、受信した画像データに対して画像認識処理を行い、走行車両1の周囲にある物体を認識する。外界検知部112は、上述した処理の結果を、制御部120に対して出力する。

0062

車輪回転検知部114は、インタフェース部108を介して、前輪回転センサ6(及び後輪回転センサ7)から信号を受信する。車輪回転検知部114は、受信した信号を解析して、前輪11(及び後輪13)の状態を検知する。つまり、車輪回転検知部114は、前輪回転センサ6とともに、駆動輪である前輪11の状態を検知する検知手段(第1の検知手段)を構成する。例えば、前輪回転センサ6が回転速度センサである場合、車輪回転検知部114は、回転速度を示す信号を受信して、前輪11の回転速度を取得する。車輪回転検知部114は、上述した処理の結果を、制御部120に対して出力する。

0063

姿勢検知部116は、インタフェース部108を介して、姿勢角センサ5から信号を受信する。姿勢検知部116は、受信した信号を解析して、シート14の傾きを検知する。姿勢検知部116は、上述した処理の結果を、制御部120に対して出力する。

0064

傾斜検知部118は、インタフェース部108を介して、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36から、それぞれ、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の変位量を示す信号を受信する。また、傾斜検知部118は、シート14の傾きを取得する。傾斜検知部118は、インタフェース部108を介して姿勢角センサ5から信号を受信してもよいし、姿勢検知部116からシート14の傾きを示すデータを受け付けてもよい。

0065

傾斜検知部118は、シート14の傾きと、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の変位量とから、前輪11の高さと後輪13の高さの差(高低差)を算出する。これにより、傾斜検知部118は、車体10が位置している場所の傾斜角を検知することができる。したがって、傾斜検知部118は、姿勢角センサ5、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36とともに、車体10が高低差を有する場所(例えばエスカレータ又は階段等)にいるときの高低差に対応する傾斜角を検知する検知手段(第3の検知手段)を構成する。また、シート14の傾きが厳密に水平に制御されている場合は、傾斜検知部118は、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36とともに、車体10が高低差を有する場所にいるときの高低差に対応する傾斜角を検知する検知手段(第3の検知手段)を構成してもよい。傾斜検知部118は、上述した処理の結果を、制御部120に対して出力する。

0066

なお、シート14の傾き(つまり上フレーム21の傾き)と、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の変位量とから、前輪11と後輪13との高低差は、幾何学的に一意に定めることができる。また、この高低差は、前輪11の接地点の高さと後輪13の接地点の高さとの差分であってもよいし、前輪11の車軸の高さと後輪13の車軸の高さとの差分であってもよい。なお、車軸の高低差を用いる場合、前輪11の半径及び後輪13の半径を考慮してもよい。

0067

制御部120は、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116及び傾斜検知部118からのデータを用いて、上述したように、前輪駆動モータ16、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の動作を制御する。これにより、制御部120は、車体10の動作を制御する。ここで、制御部120は、外界検知部112、車輪回転検知部114、姿勢検知部116及び傾斜検知部118は、後述するエスカレータの乗降に関する制御以外の、車体10の通常の動作の制御も行う。つまり、外界センサ4、姿勢角センサ5、前輪回転センサ6、後輪回転センサ7、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36(第1の検知手段、第2の検知手段及び第3の検知手段)は、車体10の動作の制御に用いられる、一般的な検知手段(センサ)である。

0068

また、制御部120は、車体10がエスカレータに乗っているときの制御である搭乗制御モード(第1の制御モード)と、車体10をエスカレータから脱出させるときの制御である脱出制御モード(第2の制御モード)とを切り替えることができる。進入制御部122は、車体10がエスカレータに進入するときに、車体10(前輪駆動モータ16、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26)の制御を行う。搭乗制御部124は、車体10がエスカレータに搭乗しているときに、車体10(前輪駆動モータ16、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26)の制御を行う。つまり、搭乗制御部124は、搭乗制御モードにおける制御を行う。

0069

脱出判定部126は、車体10がエスカレータの終端に近づいてエスカレータから脱出するタイミングとなったか否かを判定する。そして、脱出判定部126は、車体10がエスカレータから脱出するタイミングとなったと判定したときに、脱出制御部128を起動する。脱出制御部128は、車体10がエスカレータから脱出するときに、車体10(前輪駆動モータ16、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26)の制御を行う。つまり、脱出制御部128は、脱出制御モードにおける制御を行う。そして、脱出判定部126は、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替えを行う。なお、進入制御部122、搭乗制御部124、脱出判定部126及び脱出制御部128の具体的な動作については、後述する。

0070

図7は、実施の形態1にかかる脱出判定部126によって行われる、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理の概要を示すフローチャートである。つまり、図7は、実施の形態1にかかる走行車両1の制御方法を示す。車体10がエスカレータに搭乗しているとき、つまり、制御部120の制御モードが搭乗制御モードであるときに、脱出判定部126は、外界センサ4による脱出判定(第2の判定)を行う(ステップS12)。具体的には、脱出判定部126は、外界検知部112の処理結果に応じて、車体10がエスカレータから脱出するタイミング(脱出タイミング)となったか否かを判定する。言い換えると、脱出判定部126は、外界センサ4からの信号を用いて脱出タイミングとなったか否かを判定する。外界センサ4による脱出判定の具体例については後述する。

0071

また、脱出判定部126は、前輪回転センサ6による脱出判定(第1の判定)を行う(ステップS14)。具体的には、脱出判定部126は、車輪回転検知部114の処理結果に応じて、脱出タイミングとなったか否かを判定する。言い換えると、脱出判定部126は、前輪回転センサ6からの信号を用いて脱出タイミングとなったか否かを判定する。前輪回転センサ6による脱出判定の具体例については後述する。

0072

また、脱出判定部126は、傾斜検知部118による脱出判定(第3の判定)を行う(ステップS16)。具体的には、脱出判定部126は、傾斜検知部118の処理結果に応じて、脱出タイミングとなったか否かを判定する。つまり、脱出判定部126は、姿勢角センサ5、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36からの信号を用いて脱出タイミングとなったか否かを判定する。傾斜検知部118による脱出判定の具体例については後述する。

0073

脱出判定部126は、S12の処理、S14の処理及びS16の処理のうち、2つ以上の処理で脱出判定が成立したか否かを判定する(ステップS18)。つまり、脱出判定部126は、S12の、S14及びS16の3つの処理のうち、2つ以上(つまり過半数)の処理で、脱出タイミングに達したと判定されたか否かを判定する。そして、2以上の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合(S18のYES)、脱出判定部126は、脱出制御部128に対し、脱出動作を開始するように指示する。これにより、脱出制御部128は、脱出動作を開始する(ステップS20)。したがって、制御モードは脱出制御モードに切り替わる。言い換えると、脱出判定部126は、制御モードを搭乗制御モードから脱出制御モードに切り替える。一方、脱出タイミングに達したと判定された処理が2つ未満であった場合(S18のNO)、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えることなく、搭乗制御モードを継続し、処理はS12に戻る。

0074

このように、本実施の形態においては、3つの処理(S12,S14,S16)によって車体10のエスカレータからの脱出タイミングを判定し、そのうちの一部の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に制御モードが脱出制御モードに切り替わる。つまり、脱出タイミングの判定の処理が冗長化されている。したがって、3つの処理のうちの1つが正確に判定を行うことができなくなった場合であっても、残りの処理を用いて脱出タイミングを判定することができる。つまり、3つの処理に使用されるセンサ(検知手段)のうちの1つに異常が発生した場合であっても、適切なタイミングでエスカレータから脱出することが可能となる。なお、ここでいう「異常」とは、センサの故障だけでなく、センサの経年劣化等により精度が悪化したことも含み得る。

0075

さらに、上記の3つの処理で用いられるセンサは、エスカレータからの脱出タイミングを判定するために設けられた専用のセンサではなく、走行車両1の通常の動作のために用いられる一般的なセンサとして走行車両にもともと搭載されているものである。これにより、本実施の形態にかかる走行車両1は、このようなセンサを、走行車両1の通常の動作と、エスカレータからの脱出のタイミングの検知と、の両方のために共用化して利用することができる。したがって、本実施の形態にかかる走行車両1は、1つのセンサ(検知手段)に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することなく実現することが可能である。

0076

さらに、実施の形態1では、3つの処理のうちの過半数の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に、制御モードが脱出制御モードに切り替わるように構成されている。センサに異常が発生したかを判定できない場合、1つの処理が脱出タイミングに達したと判定したときであっても、その判定が正しいか否かは判断できない。つまり、脱出タイミングに達したと判定された処理にかかるセンサに異常が発生した場合、実際にはその判定は誤りであり得るが、センサが異常であるか否かが不明であるので、その判定を誤りであると判断できない。したがって、1つの処理のみが脱出タイミングに達したと判定した場合に制御モードを切り替えると、誤った判定によって制御モードが脱出制御モードに切り替わるおそれがある。

0077

これに対し、実施の形態1では、3つの処理のうちの過半数の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に制御モードが脱出制御モードに切り替わるように構成されている。ここで、1つのセンサで異常が発生しても、他のセンサでも異常が発生している可能性は低い。言い換えると、複数のセンサで異常が発生することは、あまりない。したがって、1つの処理にかかるセンサに異常が発生してその処理において脱出タイミングに達したと誤判定した場合であっても、他の2つの処理にかかるセンサが正常であれば、他の処理では、脱出タイミングに達したと判定されない。この場合、制御モードが脱出制御モードに誤って切り替わることはない。逆に、正常なセンサにかかる2つの処理が脱出タイミングに達したと正常に判定した場合、異常なセンサにかかる1つの処理が脱出タイミングに達したと判定しなくても、適切に制御モードが脱出制御モードに切り替わる。したがって、実施の形態1にかかる走行車両1は、複数のセンサ(検知手段)のうちのいずれかに異常が発生した場合であっても、より適切に、エスカレータから脱出することが可能となる。

0078

言い換えると、過半数の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合、それらの過半数の処理にかかるセンサが異常である可能性は低い。したがって、その過半数の処理における判定は、正確である可能性が高い。したがって、実施の形態1においては、エスカレータからの脱出のタイミングの判定の信頼性を向上させることが可能となる。

0079

なお、S12〜S16の処理の順序は、この順序に限られない。また、S12〜S16の処理は、互いに並行して行われ得る。また、S18の処理でNOであった場合であっても、車体10がエスカレータに搭乗してから一定時間が経過したときは、制御部120は脱出動作を開始してもよい。このことは、後述する他のフローチャートで示す制御方法においても同様である。

0080

図8は、実施の形態1にかかる走行車両1の制御装置100によって行われる、エスカレータに関する処理を示すフローチャートである。以下に示すフローチャートでは、走行車両1が上りエスカレータに搭乗するときの処理を示している。しかしながら、走行車両1が下りエスカレータに搭乗するときの処理も、後述する差異を除いて、上りエスカレータの場合と実質的に同様である。

0081

まず、制御装置100は、エスカレータの前の位置から、エスカレータを検知する(ステップS102)。具体的には、制御装置100は、外界センサ4を用いて、エスカレータを検知する。さらに具体的には、カメラ等である外界センサ4が前方にあるエスカレータを撮影して画像データを生成し、制御装置100の外界検知部112は、その画像データを取得する。そして、外界検知部112は、画像データに対して画像認識処理を行って、その画像データにエスカレータの画像が含まれることを認識する。外界検知部112は、エスカレータを検知すると、進入制御部122に対して、エスカレータを検知したことを示す信号を出力する。

0082

図9は、外界センサ4によって取得されたエスカレータ200の画像を例示する図である。図9は、上りのエスカレータ200の画像を示している。エスカレータ200は、入口側の乗降板202と、手摺204と、スカートガードパネル206と、ステップである踏板210と、クリートライザである蹴上部212とを有する。外界検知部112は、図9に例示された画像に対応する画像データを解析して、エスカレータ200を認識する。

0083

例えば、外界検知部112は、画像データにおいて、手前(下側)に乗降板202の画像が存在し、乗降板202から複数の踏板210及び蹴上部212が連なって上昇し、踏板210及び蹴上部212の両側に手摺204及びスカートガードパネル206が存在すると認識された場合に、車体10の正面に上りのエスカレータ200が存在すると認識する。また、外界検知部112は、踏板210の周囲に設けられたデマケーションライン動き、踏板210のエッジ部分の動き、又は蹴上部212の動きを測定する。これにより、外界検知部112は、エスカレータ200の速度を測定することができる。さらに、外界検知部112は、画像データから、乗降板202の近傍に人が存在するか否かを判定し、人が存在しない場合に、エスカレータ200に進入可能としてもよい。

0084

エスカレータ200が検知されると、走行車両1は、前輪11を駆動させてエスカレータ200に進入する(ステップS104)。具体的には、制御装置100の進入制御部122は、外界検知部112から信号を受け付けると、エスカレータの速度及び位置に応じて、前輪駆動モータ16、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26を制御する。

0085

さらに具体的には、進入制御部122は、外界センサ4によって生成された画像データにおける乗降板202、手摺204及びスカートガードパネル206等の位置から、車体10をエスカレータ200に進入させる位置を決定する。また、進入制御部122は、乗降板202の端部からデマケーションラインが前方に出現するタイミング等によって、車体10をエスカレータ200に進入させるタイミングを決定する。また、進入制御部122は、エスカレータ200の速度に応じて、車体10の進入速度を決定する。なお、車体10の進入速度は、エスカレータ200の速度と同じであることが望ましい。そして、進入制御部122は、決定された進入位置から、決定された進入タイミングで、車体10を進入速度に対応する回転速度で前輪11を回転させるように、前輪駆動モータ16を制御する。

0086

図10は、走行車両1がエスカレータ200に進入している状態を示す図である。進入制御部122は、矢印Dr1で示すように車体10を前進させるように、前輪駆動モータ16を駆動させる。なお、車体10が前進する方向に前輪11が回転することを、正回転とし、その方向を正方向とする。前輪11が踏板210Aに乗った瞬間、後輪13はまだ乗降板202の上に残っている。この場合、踏板210の動きにより前輪11は前方(矢印Dr1の方向)に進もうとするが、後輪13が乗降板202に残っているため、前輪11に後ろ向きの力がかかる。したがって、前輪11には、前輪駆動モータ16によるトルクの他に踏板210との摩擦によって正方向とは逆方向の摩擦力が加わる。これにより、この瞬間、前輪11の回転速度は変化する。前輪回転センサ6がこの回転速度の変化を検知すると、進入制御部122は、前輪11が踏板210Aに乗り移ったことを検知する。このとき、進入制御部122は、前輪11の位置を固定するように、前輪駆動モータ16を制御する。これにより、前輪11にブレーキがかかった状態となる。

0087

前輪11の位置を踏板210Aに乗った状態で保持することで、前輪11は、踏板210Aの動きに合わせて前進し、この動作に追従して後輪13は回転し、後輪13は、踏板210Aよりも後方の踏板210Bに乗る。図10に示すように後輪13が踏板210Bに乗り、踏板210Bが踏板210Aと同様に上昇するようになると、後輪13の回転速度は0になる。後輪回転センサ7が、後輪13が回転した後で回転速度が0になったことを検知すると、進入制御部122は、車体10がエスカレータ200に乗ったと検知する(ステップS106)。なお、進入制御部122は、前輪11が踏板210Aに乗ってから、エスカレータ200の速度から後輪13が踏板210に乗ったと推測される時間が経過した後で、車体10がエスカレータ200に乗ったと判断してもよい。この場合、後輪回転センサ7は用いられなくてもよい。

0088

車体10がエスカレータ200に乗ったと検知すると、制御モードは搭乗制御モードに移行する。つまり、制御装置100の搭乗制御部124は、前輪11を蹴上部212に押し当てるように制御を行い(ステップS108)、シート14の傾きを水平に保つように制御を行う(ステップS110)。このように、搭乗制御部124は、搭乗制御モード(S108及びS110)で制御を行う。

0089

図11は、搭乗制御モードにおける走行車両1の状態を示す図である。搭乗制御部124は、矢印Tr1で示すように、正方向に、ある一定のトルクで前輪11を回転させるように、前輪駆動モータ16を制御する。これにより、前輪11は、前輪11が乗っている踏板210Aと踏板210Aの1つ前方の踏板210Fとの間の蹴上部212Fに突き当たる。前輪11が蹴上部212Fに突き当たると、前輪11は、矢印F1で示すように蹴上部212Fに押し当てられた状態で、停止する。これにより、車体10は、エスカレータ200上で停止した状態で、上昇する。なお、搭乗制御モードにおける前輪駆動モータ16のトルクは、例えば、前輪11と蹴上部212Fとの摩擦力と、前輪駆動モータ16のトルクによる前輪11と蹴上部212Fとの接点における力とが釣り合うように、定められ得る。また、例えば、搭乗制御モードにおける前輪駆動モータ16のトルクは、前輪11と踏板210Aとの摩擦力と、前輪駆動モータ16のトルクにより前輪11が蹴上部212Fから受ける力とが釣り合うように、定められ得る。このことは、後述するように、走行車両1が下りのエスカレータに搭乗している場合も同様である。

0090

また、搭乗制御部124は、IMU(Inertial Measurement Unit)信号等の、姿勢角センサ5からの信号を用いて、シート14の傾きが水平となるように、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26を駆動する。これにより、シート14は、エスカレータ200の角度に関わらず、略水平となることができる。

0091

具体的には、図11に示すように、搭乗制御部124は、走行車両1が平坦な場所を走行しているとき(図1及び図4参照)と比較して、第一直動機構22が短くなり、第二直動機構23が短くなり、第三直動機構26が長くなるように、各直動機構を制御する。これにより、前輪11及び中輪12が、後輪13よりも高い位置になる。したがって、シート14を略水平にすることができる。よって、走行車両1は、搭乗者90が搭乗しやすい姿勢で、エスカレータ200に乗ることができる。なお、このS110の処理は、走行車両1がエスカレータに乗っているときだけでなく、走行車両1の前後に高低差がある任意の場所で行われ得る。このことは、後述するように、走行車両1が下りのエスカレータに搭乗している場合も同様である。

0092

搭乗制御モードの間、制御装置100は、図7を用いて上述したように、複数の脱出判定によって、脱出タイミングとなったか否かを判定する。具体的には、脱出判定部126は、車体10がエスカレータ200の出口側の乗降板203に接近したか否かを、外界センサ4を用いて判定する(ステップS112)。また、脱出判定部126は、車体10が乗降板203に接近したか否かを、前輪回転センサ6を用いて判定する(ステップS114)。また、脱出判定部126は、車体10が乗降板203に接近したか否かを、前輪11と後輪13との高低差から判定する(ステップS116)。なお、S112、S114及びS116の処理は、それぞれ、図7に示したS12、S14及びS16の処理に対応する。

0093

図12は、走行車両1が外界センサ4を用いて脱出判定を行っている状態(S112)を示す図である。外界センサ4は、破線で示すように走行車両1の下方前方を撮影して画像データを生成する。そして、脱出判定部126は、その画像データに対する画像認識処理(画像解析)によって、車体10が乗降板203に接近したか否かを判定する。なお、画像データに含まれる物体の認識については、外界検知部112が行ってもよい。

0094

例えば、画像データにおいて乗降板203が認識された場合に、脱出判定部126は、S112の脱出判定において、車体10が乗降板203に接近した、つまり脱出タイミングとなったと判定してもよい。また、画像データにおいてデマケーションラインが前方になくなったことが認識された場合に、脱出判定部126は、S112の脱出判定において、車体10が乗降板203に接近したと判定してもよい。また、例えば、画像データにおいて前方の高低差がなくなった(つまり前方が水平となった)ことが認識された場合に、脱出判定部126は、S112の脱出判定において、車体10が乗降板203に接近したと判定してもよい。また、脱出判定部126は、S112の脱出判定において車体10が乗降板203に接近したと判定された場合に、測定されたエスカレータ200の速度から、前輪11が乗降板202に達するまでの時間T1を算出し、時間T1が経過した後で、脱出判定が成り立つとしてもよい。

0095

図13及び図14は、前輪回転センサ6を用いて脱出判定を行う方法(S114)を説明するための図である。車体10が乗降板203に近づくと、前輪11が押し当てられていた蹴上部212Fは、矢印Dw1で示すように、踏板210Aの方に退行する。これにより、前輪11は、蹴上部212Fと接触しなくなる(又は前輪11の蹴上部212Fとの接触位置が前輪11の回転中心よりも低くなる)。したがって、前輪11は、矢印Tr1で示すトルクによって、矢印Rt1で示すように回転する。このとき、前輪回転センサ6によって測定される値(測定値)が、大きく変化する。

0096

図14は、横軸を時間とし、縦軸をその時間における測定値の変化量としたグラフを示す。時刻t1で蹴上部212Fが退行した場合、時刻t1(又はt1の直後)において、測定値の変化量Vが、予め定められた変化量である閾値Vthを超える。なお、この変化量Vは、基準値(例えば搭乗制御モードの開始時点での値)からの差分であり、正の値であり得る。

0097

例えば、前輪回転センサ6が回転速度センサである場合、時刻t1において回転速度が上昇する。また、前輪回転センサ6が回転角度センサである場合、時刻t1において回転角度が変化する。また、前輪回転センサ6が回転トルクセンサである場合、トルク制御によって矢印Tr1で示すようなトルクが前輪11に働いていたので、前輪11の回転速度が予め定められた上限値を超え得る。したがって、制御部120(搭乗制御部124)は、回転速度が上限値を超えないように、トルクの制御値(目標値)を小さくする。したがって、このとき、トルク値の変化量が、閾値を超え得る。

0098

脱出判定部126は、このように、前輪回転センサ6の測定値(駆動輪の状態)の変化量Vが閾値Vthを超えた場合に、車体10が乗降板203に接近したと判定する。また、脱出判定部126は、S114の脱出判定において車体10が乗降板203に接近したと判定された場合に、測定されたエスカレータ200の速度から、前輪11が乗降板202に達するまでの時間T2を算出し、時間T2が経過した後で、脱出判定が成り立つとしてもよい。

0099

なお、蹴上部212Fが前輪11と接触しなくなる前に、前輪11が蹴上部212Fと接触した状態で、前輪回転センサ6の測定値の変化量Vを検知してもよい。例えば、車体10が乗降板203に近づくと蹴上部212Fが下がる。蹴上部212Fが下がると、蹴上部212Fと前輪11との摩擦力によって、前輪11に加わるトルクが変化し得る。このトルクの変化量によって、脱出判定部126は、車体10が乗降板203に接近したか否かを判定してもよい。なお、このとき、実トルクは大きくなるが、トルクが一定となるような制御がなされているので、トルクの目標値は小さくなる。

0100

図15は、前輪11と後輪13との高低差から脱出判定を行う方法(S116)を説明するための図である。車体10が乗降板203に接近すると、踏板210Aと踏板210Bとの高低差が小さくなる。これにより、前輪11と後輪13との高低差ΔHが小さくなる。ここで、上述したように、傾斜検知部118は、シート14の傾き(姿勢角センサ5の信号)と、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の変位量(第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36の信号)とから、前輪11と後輪13との高低差ΔHを算出する。また、傾斜検知部118は、シート14の傾きと、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26の変位量とから、幾何学的手法によって、前輪11と後輪13との水平方向の距離ΔLを算出する。したがって、傾斜検知部118は、以下の式1によって、エスカレータ200の傾斜角θを算出する。
(式1)θ=tan−1(ΔH/ΔL)

0101

傾斜検知部118は、傾斜角θが予め定められた傾斜角θthよりも小さくなった場合に、車体10が乗降板203に接近したと判定する。また、脱出判定部126は、S116の脱出判定において車体10が乗降板203に接近したと判定された場合に、測定されたエスカレータ200の速度から、前輪11が乗降板202に達するまでの時間T3を算出し、時間T3が経過した後で、脱出判定が成り立つとしてもよい。

0102

脱出判定部126は、S112の処理、S114の処理及びS116の処理のうち、2つ以上の処理で、車体10が乗降板203に接近したと判定されたか否かを判定する(ステップS118)。つまり、脱出判定部126は、S112の処理、S114の処理及びS116の処理のうち、2つ以上(つまり過半数)の処理で脱出判定が成立したか否かを判定する。そして、2以上の処理で「接近した」と判定された場合(S118のYES)、脱出判定部126は、脱出制御部128に対し、脱出動作を開始するように指示する。これにより、制御モードは脱出制御モードに移行し、脱出制御部128は、前輪11を駆動させて、車体10をエスカレータから脱出させる(ステップS120)。一方、車体10が乗降板203に接近したと判定された処理が2つ未満であった場合(S118のNO)、つまり、脱出判定が成立した処理が過半数に満たなかった場合、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えない。そして、脱出判定部126は、搭乗制御モードを継続し、処理はS112に戻る。

0103

このとき、脱出判定部126は、時間T1、時間T2及び時間T3を考慮して、脱出制御モードを開始する。つまり、S112の処理、S114の処理及びS116の処理のうちの2つ以上の処理で車体10が乗降板203に接近したと判定された場合であっても、脱出判定部126は、それらの判定後、すぐに、脱出制御モードを開始するわけではない。脱出判定部126は、それらの判定後に前輪11が乗降板203の端部に達したと想定されるタイミング(つまり脱出タイミング)で、脱出制御モードを開始する。

0104

例えば、T1>T2>T3であるとする。このケースで、例えばS112の処理及びS114の処理で「接近した」と判定された場合、S112の処理で「接近した」と判定されたときよりも、S114の処理で「接近した」と判定されたときの方が、車体10は、乗降板203に接近している。したがって、脱出判定部126は、S114の処理で「接近した」と判定されたときから時間T2が経過したときに、脱出制御モードを開始する。

0105

また、例えばS114の処理及びS116の処理で「接近した」と判定された場合、S114の処理で「接近した」と判定されたときよりも、S116の処理で「接近した」と判定されたときの方が、車体10は、乗降板203に接近している。したがって、脱出判定部126は、S116の処理で「接近した」と判定されたときから時間T3が経過したときに、脱出制御モードを開始する。

0106

なお、上述したように、脱出判定部126は、S112、S114及びS116の脱出判定において、それぞれ、車体10が乗降板203に接近したと判定されたときから、時間T1、時間T2及び時間T3が経過した後で、脱出判定が成り立つとしてもよい。この場合は、S112の処理、S114の処理及びS116の処理のうちの2つ以上の処理で脱出タイミングとなったと判定された場合に、脱出判定部126は、すぐに、脱出制御モードを開始してもよい。

0107

図16は、脱出制御モードにおける走行車両1を示す図である。脱出制御部128は、前輪駆動モータ16を制御して前輪11を駆動する。このとき、脱出制御部128は、車体10の速度がエスカレータ200の速度よりも遅い速度となるように、前輪駆動モータ16を制御する。これにより、車体10は、矢印Dr2で示すように、低速で前進する。車体10が前進して前輪11が乗降板203に乗り上げると、前輪11にかかる負荷の変化(負荷の増大)によって、前輪回転センサ6で検知される信号(例えば前輪11の回転速度等)が変化する。したがって、車輪回転検知部114は、この前輪回転センサ6の信号の変化を検知する。これにより、脱出制御部128は、前輪11が乗降板203に当たったことを認識する。

0108

このとき、脱出制御部128は、前輪11が乗降板203に乗り移るように、前輪駆動モータ16を制御する。そして、前輪11が乗降板203に乗り移ると、前輪11にかかる負荷の変化(負荷の減少)によって、前輪回転センサ6の信号(例えばトルク値等)が変化する。したがって、車輪回転検知部114は、この前輪回転センサ6の信号の変化を検知する。これにより、脱出制御部128は、前輪11が乗降板203に乗り移ったことを認識する。このとき、脱出制御部128は、車体10の速度を加速するように、前輪駆動モータ16を制御する。なお、脱出制御部128は、車体10の速度がエスカレータ200の速度と同じとなるように、前輪駆動モータ16を制御してもよい。これにより、走行車両1は、エスカレータ200から脱出することができる。また、脱出制御部128は、前輪11の場合と同様の方法で後輪回転センサ7を用いて後輪13が乗降板203に乗り移ったことを認識してもよい。この場合、脱出制御部128は、後輪13が乗降板203に乗り移ったことを認識したときに、脱出制御モードを終了してもよい。

0109

なお、図8に示したフローチャートは、上りのエスカレータ200の場合を前提としていたが、本実施の形態は、走行車両1が下りのエスカレータを乗降する場合にも適用可能である。制御装置100は、上りのエスカレータと下りのエスカレータとの差異に応じて、適宜、上述した処理から、下りのエスカレータに対応するものに変更した処理を行い得る。

0110

例えば、S102の処理で、制御装置100の外界検知部112は、外界センサ4を用いて撮影された下りのエスカレータの画像データを取得する。そして、外界検知部112は、画像認識処理によって下りのエスカレータを認識する。また、搭乗制御モード(S108及びS110)における処理は、以下に説明するように、下りのエスカレータに対応したものがなされる。

0111

図17は、実施の形態1にかかる走行車両1が下りのエスカレータ300に搭乗している状態を示す図である。搭乗制御部124は、矢印Tr2で示すように、前輪11を、正方向とは逆の方向(逆方向)、つまり、車体10が後退するような回転方向に、ある一定のトルクで回転させるように、前輪駆動モータ16を制御する。これにより、前輪11は、前輪11が乗っている踏板310Aと踏板310Aの1つ後方の踏板310Bとの間の蹴上部312Bに突き当たる。前輪11が蹴上部312Bに突き当たると、前輪11は、矢印F2で示すように蹴上部312Bに押し当てられた状態で、停止する。これにより、車体10は、エスカレータ200上で停止した状態で、下降する。

0112

また、搭乗制御部124は、姿勢角センサ5からの信号を用いて、シート14の傾きを水平となるように、第一直動機構22、第二直動機構23及び第三直動機構26を駆動する。具体的には、図17に示すように、搭乗制御部124は、走行車両1が平坦な場所を走行しているとき(図1及び図4参照)と比較して、第一直動機構22が長くなり、第二直動機構23が長くなり、第三直動機構26が短くなるように、各直動機構を制御する。これにより、前輪11及び中輪12が、後輪13よりも低い位置になる。したがって、シート14を略水平にすることができる。

0113

また、S114の処理について、車体10が下りのエスカレータ300の乗降板に近づくと、前輪11が押し当てられていた蹴上部312Bは、踏板310Aの方に退行する。これにより、前輪11は、蹴上部312Bと接触しなくなるので、矢印Tr2で示すトルクによって、矢印Tr2と同じ方向に回転する。このとき、上りのエスカレータ200の場合と同様に、前輪回転センサ6によって測定される値(測定値)が、大きく変化する。脱出判定部126は、前輪回転センサ6の測定値(駆動輪の状態)の変化量が予め定められた閾値を超えた場合に、車体10が下りのエスカレータ300の乗降板に接近したと判定する。

0114

(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる走行車両1は、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理が、実施の形態1と異なる。それ以外の構成については、実施の形態2は、実施の形態1と実質的に同様であるので、説明を省略する。

0115

図18は、実施の形態2にかかる脱出判定部126によって行われる、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理の概要を示すフローチャートである。つまり、図18は、実施の形態2にかかる走行車両1の制御方法を示す。車体10がエスカレータに搭乗しているとき、図7のS12の処理及び図8のS112の処理と同様に、脱出判定部126は、外界センサ4による脱出判定を行う(ステップS202)。また、図7のS14の処理及び図8のS114の処理と同様に、脱出判定部126は、前輪回転センサ6による脱出判定を行う(ステップS204)。また、図7のS16の処理及び図8のS116の処理と同様に、脱出判定部126は、傾斜検知部118による脱出判定を行う(ステップS206)。

0116

脱出判定部126は、S202の処理、S204の処理及びS206の処理のうち、1つ以上の処理で脱出判定が成立したか否かを判定する(ステップS208)。つまり、実施の形態2においては、脱出判定部126は、S202、S204及びS206の3つの処理のうち、少なくとも1つ(過半数とは限らない)の処理で、脱出タイミングに達したと判定されたか否かを判定する。そして、1つ以上の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合(S208のYES)、脱出判定部126は、脱出制御部128に対し、脱出動作を開始するように指示する。これにより、脱出制御部128は、脱出動作を開始する(ステップS210)。したがって、制御モードは脱出制御モードに切り替わる。一方、脱出タイミングに達したと判定された処理が1つ未満であった場合(S208のNO)、つまり脱出タイミングに達したと判定された処理が1つもない場合、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えない。そして、脱出判定部126は、搭乗制御モードを継続し、処理はS202に戻る。

0117

このように、実施の形態2においては、3つの処理(S202,S204,S206)によって車体10のエスカレータからの脱出タイミングを判定し、そのうちの少なくとも1つの処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に制御モードが脱出制御モードに切り替わる。つまり、脱出タイミングの判定の処理が冗長化されている。したがって、3つの処理のうちの1つ以上が正確に判定を行うことができなくなった場合であっても、1つでも正確に判定可能な処理があれば、その処理を用いて脱出タイミングを判定することができる。つまり、3つの処理に使用されるセンサ(検知手段)のうちの1つ以上に異常が発生した場合であっても、適切なタイミングでエスカレータから脱出することが可能となる。

0118

さらに、実施の形態1の場合と同様に、実施の形態2においても、上記の3つの処理で用いられるセンサは、エスカレータからの脱出タイミングを判定するために設けられた専用のセンサではなく、走行車両1の通常の動作のために用いられる一般的なセンサである。したがって、実施の形態2にかかる走行車両1は、1つのセンサ(検知手段)に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することなく実現することが可能である。

0119

なお、3つの処理のうちの1つにおいて「脱出タイミングに達した」と判定された場合、その1つの処理にかかるセンサ(検知手段)に異常が発生しているか否かが不明であることがある。このような場合において、その処理にかかるセンサに異常が発生しているとき、その処理における「脱出タイミングに達した」旨の判定は誤りである。したがって、他の2つの処理(正常なセンサを使用)において「脱出タイミングに達した」と判定されていない場合(つまり実際には脱出タイミングに達していない場合)であっても、制御モードが脱出制御モードに切り替わってしまうおそれがある。したがって、実施の形態1のように、3つの処理のうちの過半数の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に制御モードが脱出制御モードに切り替わるように構成することで、実施の形態2の場合と比較して、より適切なタイミングで、エスカレータから脱出することが可能となる。

0120

なお、実施の形態2においては、脱出判定を行う処理は3つ(S202、S204及びS206)としたが、このような構成に限られない。実施の形態2においては、脱出判定を行う処理は2つであってもよい。この場合、S202,S204及びS206の処理のうちの1つは、実行されなくてもよい。また、この実行されない処理にかかるセンサは、車体10の通常の動作の制御に必要がなければ、必ずしも必要ではない。また、S202〜S206の処理の順序は、この順序に限られない。また、S202〜S206の処理は、互いに並行して行われ得る。

0121

(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3にかかる走行車両1は、センサ(検知手段)の構成が、他の実施の形態と異なる。実施の形態3のその他のハードウェアの構成については、他の実施の形態と実質的に同様であるので、説明を省略する。

0122

図19は、実施の形態3にかかる走行車両1のハードウェア構成を示すブロック図である。実施の形態1にかかる走行車両1と同様に、実施の形態3にかかる走行車両1は、外界センサ4、姿勢角センサ5、前輪駆動モータ16、後輪回転センサ7、第一直動機構22、第二直動機構23、第三直動機構26、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36を有する。さらに、実施の形態3にかかる走行車両1は、回転速度センサ6A、回転角度センサ6B、回転トルクセンサ6C及び電流センサ6Dを有する。なお、回転速度センサ6A、回転角度センサ6B、回転トルクセンサ6C及び電流センサ6Dは、前輪回転センサ6の具体例であり、駆動輪である前輪11の状態を検知する検知手段としての機能を有する。つまり、実施の形態3にかかる走行車両1は、互いに検知する状態(駆動輪である前輪11の状態)の種類が異なる複数のセンサ(検知手段)を有している。

0123

回転速度センサ6Aは、前輪11の回転速度を検知する。回転角度センサ6Bは、前輪11の回転角度を検知する。回転トルクセンサ6Cは、前輪駆動モータ16(又は前輪11)のトルクを検知する。電流センサ6Dは、前輪駆動モータ16に関する電流値を検知する。電流センサ6Dは、前輪駆動モータ16の制御に用いられる電流の値を検知する。電流センサ6Dによって検知される電流値は、例えば、モータの実トルク値を示す電流値、モータの目標トルク値を示す電流値、モータの回転数(回転速度)を示す電流値であってもよい。

0124

図20は、実施の形態3にかかる脱出判定部126によって行われる、搭乗制御モードと脱出制御モードとの切り替え処理の概要を示すフローチャートである。つまり、図20は、実施の形態3にかかる走行車両1の制御方法を示す。車体10がエスカレータに搭乗しているとき、図7のS12の処理等と同様に、脱出判定部126は、外界センサ4による脱出判定を行う(ステップS302)。

0125

脱出判定部126は、回転速度センサ6Aによる脱出判定を行う(ステップS304A)。具体的には、図13に示すように、車体10が乗降板203に近づくと、前輪11が押し当てられていた蹴上部212Fが踏板210Aの方に退行する。これにより、前輪11は、正方向に回転する。このとき、回転速度センサ6Aによって測定される回転速度が大きく上昇する。したがって、この前輪11の回転速度の変化量が予め定められた閾値を超える場合に、脱出判定部126は、S304Aの処理において、脱出タイミングに達したと判定する。

0126

脱出判定部126は、回転角度センサ6Bによる脱出判定を行う(ステップS304B)。具体的には、図13に示すように、車体10が乗降板203に近づくと、前輪11が押し当てられていた蹴上部212Fが踏板210Aの方に退行する。これにより、前輪11は、正方向に回転する。このとき、回転角度センサ6Bによって測定される回転角度が正方向に大きく変化する。したがって、この前輪11の回転角度の変化量が予め定められた閾値を超える場合に、脱出判定部126は、S304Bの処理において、脱出タイミングに達したと判定する。

0127

脱出判定部126は、回転トルクセンサ6Cによる脱出判定を行う(ステップS304C)。具体的には、図13に示すように、車体10が乗降板203に近づくと、前輪11が押し当てられていた蹴上部212Fが踏板210Aの方に退行する。このとき、前輪駆動モータ16はトルク制御で制御されていたので、一瞬、前輪11の回転速度が予め定められた上限値を超え得る。したがって、制御部120が、回転速度が上限値を超えないようにトルクの制御値(目標値)を小さくすることで、トルク値の変化量(減少量)が、閾値を超え得る。したがって、この場合に、脱出判定部126は、S304Cの処理において、脱出タイミングに達したと判定する。

0128

脱出判定部126は、電流センサ6Dによる脱出判定を行う(ステップS304C)。具体的には、図13に示すように、車体10が乗降板203に近づくと、前輪11が押し当てられていた蹴上部212Fが踏板210Aの方に退行する。したがって、上述したように、前輪駆動モータ16の制御量(トルク値又は回転数等)が変化する。したがって、前輪駆動モータ16に関する電流値が変化する。これにより、電流値の変化量が予め定められた閾値を超える場合に、脱出判定部126は、S304Dの処理において、脱出タイミングに達したと判定する。

0129

また、図7のS16の処理等と同様に、脱出判定部126は、傾斜検知部118による脱出判定を行う(ステップS306)。脱出判定部126は、S302、S304A〜S304D、及びS306の6つの処理のうち、過半数(つまり4つ以上)の処理で脱出判定が成立したか否かを判定する(ステップS308)。そして、過半数の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合(S308のYES)、脱出判定部126は、脱出制御部128に対し、脱出動作を開始するように指示する。これにより、脱出制御部128は、脱出動作を開始する(ステップS310)。したがって、制御モードは脱出制御モードに切り替わる。一方、脱出タイミングに達したと判定された処理が過半数でなかった場合(S308のNO)、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えることなく、搭乗制御モードを継続し、処理はS302に戻る。

0130

このように、実施の形態3においては、6つの処理(S302、S304A〜S304D、及びS306)によって車体10のエスカレータからの脱出タイミングを判定し、そのうちの一部の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に制御モードが脱出制御モードに切り替わる。つまり、脱出タイミングの判定の処理が冗長化されている。したがって、6つの処理のうちの1つ以上が正確に判定を行うことができなくなった場合であっても、残りの処理を用いて脱出タイミングを判定することができる。つまり、6つの処理に使用されるセンサ(検知手段)のうちの1つ以上に異常が発生した場合であっても、適切なタイミングでエスカレータから脱出することが可能となる。

0131

さらに、他の実施の形態の場合と同様に、実施の形態3においても、上記の6つの処理で用いられるセンサは、エスカレータからの脱出タイミングを判定するために設けられた専用のセンサではなく、走行車両1の通常の動作のために用いられる一般的なセンサである。したがって、実施の形態3にかかる走行車両1は、1つ以上のセンサ(検知手段)に異常が発生した場合であってもエスカレータから脱出可能とすることを、エスカレータからの脱出のタイミングを検知するための専用のセンサを増設することなく実現することが可能である。

0132

さらに、実施の形態1と同様に、実施の形態3では、3つの処理のうちの過半数の処理で脱出タイミングに達したと判定された場合に、制御モードが脱出制御モードに切り替わる。したがって、例えば2つの処理にかかるセンサに異常が発生してその処理において脱出タイミングに達したと誤判定した場合であっても、他の4つの処理にかかるセンサが正常であれば、他の処理では、脱出タイミングに達したと判定されない。この場合、制御モードが脱出制御モードに切り替わらない。逆に、正常なセンサにかかる4つの処理が脱出タイミングに達したと正常に判定した場合、異常なセンサにかかる2つの処理が脱出タイミングに達したと判定しなくても、適切に制御モードが脱出制御モードに切り替わる。したがって、実施の形態3にかかる走行車両1は、複数のセンサ(検知手段)のうちのいずれかに異常が発生した場合であっても、より適切に、エスカレータから脱出することが可能となる。

0133

なお、実施の形態3のように、センサを多く使用して脱出判定を行うことによって、複数のセンサに異常が発生した場合であっても、過半数の処理にかかるセンサが正常であれば、走行車両1は、適切にエスカレータから脱出することが可能である。したがって、実施の形態3にかかる走行車両1は、実施の形態1にかかる走行車両1よりも、センサの異常に対してロバスト性がある。

0134

(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、脱出判定に用いられるセンサの種類は、上述したものに限られない。また、前輪回転センサ6の種類は、上述した実施の形態の説明に挙げたものに限られず、様々なセンサが考えられ得る。

0135

また、上述した複数の実施の形態は、相互に適用可能である。例えば、実施の形態3を実施の形態1に適用してもよい。この場合、実施の形態3にかかる脱出判定処理(S302、S304A〜S304D、及びS306)のうち、3つの処理のみを用いて脱出判定を行い、そのうちの過半数(2つ以上)の処理において脱出タイミングと判定されたときに、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。つまり、S302、S304A〜S304D、及びS306の処理を全て行う必要はない。このとき、前輪回転センサ6にかかる3つの処理(例えばS304A、S304B及びS304D)を用いて脱出判定を行ってもよい。この場合、他の脱出判定処理にかかるセンサ(例えば外界センサ4等)は、なくてもよい。さらに、実施の形態3にかかる6つの脱出判定処理(S302、S304A〜S304D、及びS306)のうち、4つ又は5つの処理を用いて脱出判定を行い、そのうちの過半数(3つ以上)の処理において脱出タイミングと判定されたときに、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。

0136

例えば、脱出判定部126は、S302、S304A及びS304Bの処理を用いて脱出判定を行ってこれらの過半数の処理において脱出タイミングと判定されたときに、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。また、例えば、脱出判定部126は、S304C、S304D及びS306の処理を用いて脱出判定を行ってこれらの過半数の処理において脱出タイミングと判定されたときに、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。また、例えば、脱出判定部126は、S302、S304A、S304B及びS304Cの処理を用いて脱出判定を行ってこれらの過半数の処理において脱出タイミングと判定されたときに、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。

0137

また、同様に、実施の形態3を実施の形態2に適用してもよい。この場合、実施の形態3にかかる脱出判定処理(S302、S304A〜S304D、及びS306)のうち、任意の2つ以上の処理を用いて脱出判定を行い、そのうちの少なくとも1つの処理において脱出タイミングと判定されたときに、脱出判定部126は、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。このとき、前輪回転センサ6にかかる2つ以上の処理(例えばS304A及びS304C)を用いて脱出判定を行ってもよい。この場合、他の脱出判定処理にかかるセンサ(例えば外界センサ4等)は、なくてもよい。

0138

例えば、脱出判定部126は、S302、S304A及びS304Bの処理を用いて脱出判定を行ってこれらの少なくとも1つの処理において脱出タイミングと判定されたときに、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。また、例えば、脱出判定部126は、S304C、S304D及びS306の処理を用いて脱出判定を行ってこれらの少なくとも1つの処理において脱出タイミングと判定されたときに、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。また、例えば、脱出判定部126は、S302、S304A、S304B及びS304Cの処理を用いて脱出判定を行ってこれらの少なくとも1つの処理において脱出タイミングと判定されたときに、制御モードを脱出制御モードに切り替えてもよい。

0139

なお、搭乗制御モードにおいて、前輪11を蹴上部212に強く押し当てるようにすると、蹴上部212が退行したときに、前輪11が急に飛び出すおそれがある。したがって、搭乗制御モードにおける前輪駆動モータ16のトルク値は、あまり大きくないことが望ましい。一方、このようにトルクの目標値を小さくすると、前輪回転センサ6を用いた脱出判定の処理の応答性が小さくなる。したがって、前輪回転センサ6にかかるセンサ(回転速度センサ6A、回転角度センサ6B、回転トルクセンサ6C及び電流センサ6D)のみを用いて脱出判定を行うと、上記センサの応答性によっては、センサに異常が発生していなくても、判定誤りが発生するおそれがある。したがって、前輪回転センサ6を、他のセンサ(外界センサ4、姿勢角センサ5、第一エンコーダ32、第二エンコーダ33及び第三エンコーダ36)を組み合わせて脱出判定を行うことが、より好ましい。これにより、エスカレータからの脱出のタイミングの判定の信頼性を向上させることが可能となる。

0140

また、制御装置100の各構成要素が行う処理は、他の構成要素が行ってもよい。例えば、傾斜検知部118の処理の一部は、脱出判定部126が行ってもよい。また、外界検知部112の処理の一部は、脱出判定部126が行ってもよい。

0141

また、上述した実施の形態では、制御装置100は、車体10と物理的に一体であるとしたが、このような構成に限られない。制御装置100は、車体10と一体でなく、物理的に別個であってもよい。この場合、制御装置100は、車体10の各センサ、モータ及びアクチュエータと無線で接続され、車体10を遠隔操作するようにしてもよい。さらに、各センサ(検知手段)についても、車体10と物理的に一体である必要はない。

0142

また、上述した実施の形態にかかる走行車両1は、人が乗ることを前提としているが、このような構成に限られない。走行車両1は、人が搭乗しない車両であってもよい。例えば、本実施の形態にかかる走行車両1は、無人運搬車等にも適用可能である。

0143

また、上述した実施の形態にかかる走行車両1は、シート14が水平となるように制御を行うが、このような構成に限られない。走行車両1は、シート14を水平にするような制御を行う必要はない。この場合、可変機構20は不要である。また、この場合、姿勢角センサ5を用いてエスカレータの傾斜を検知することができる。つまり、姿勢角センサ5が、エスカレータの傾斜を検知する検知手段として機能する。

0144

また、上述した実施の形態にかかる走行車両1では、前輪11が駆動輪であるとしていたが、後輪13を駆動輪としてもよい。この場合、前輪11にかかるモータ及びセンサは、後輪13側に設けられ得る。また、走行車両1は、中輪12を有していなくてもよい。また、走行車両1は、前輪11及び後輪13の少なくとも一方の回転を停止するためのブレーキを備えてもよい。また、走行車両1は、ステアリングを備えてもよい。また、上述した実施の形態のように、前輪11が駆動輪である場合、後輪回転センサ7は、必ずしも必要ではない。

0145

1・・・走行車両、4・・・外界センサ、5・・・姿勢角センサ、6・・・前輪回転センサ、7・・・後輪回転センサ、10・・・車体、11・・・前輪、12・・・中輪、13・・・後輪、14・・・シート、16・・・前輪駆動モータ、20・・・可変機構、22・・・第一直動機構、23・・・第二直動機構、26・・・第三直動機構、32・・・第一エンコーダ、33・・・第二エンコーダ、36・・・第三エンコーダ、90・・・搭乗者、100・・・制御装置、112・・・外界検知部、114・・・車輪回転検知部、116・・・姿勢検知部、118・・・傾斜検知部、120・・・制御部、122・・・進入制御部、124・・・搭乗制御部、126・・・脱出判定部、128・・・脱出制御部

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