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技術 電気機械変換器

出願人 シチズン時計株式会社
発明者 山本泉
出願日 2016年12月8日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2016-238486
公開日 2018年6月21日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2018-098833
状態 未査定
技術分野 特殊な電動機、発電機 超音波モータ、圧電モータ、静電モータ
主要キーワード 電気機械変換器 微小電気機械 可動支持 ブリッジ式 可動基板 エレクトレット膜 主面方向 重なり面
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

可動部材を小型にしても出力が低下しにくい電気機械変換器を提供する。

解決手段

帯電部と対向電極との間の静電的な相互作用を利用して電力動力の間の変換を行う電気機械変換器(1)は、第1の固定基板(13)と、第1の固定基板との間で一定の距離を保って移動可能であり、第1の固定基板に対向する面において移動方向に間隔を空けて形成された複数の溝部(125)を有する導電性の可動部材(12)と、第1の固定基板とは反対側において可動部材に対向するように、可動部材との間に間隔を空けて配置された第2の固定基板(14)と、第2の固定基板の可動部材に対向する面に形成された帯電部(15)と、第1の固定基板の可動部材に対向する面において可動部材の移動方向に間隔を空けて形成された複数の対向電極(17,18)とを有する。

概要

背景

永久的に電荷を保持するエレクトレット帯電部として利用し、帯電部とそれに対向する対向電極との間の静電的な相互作用により電力動力の間の変換を行う電気機械変換器が知られている。こうした電気機械変換器では、一般に、可動部材固定基板の一方に帯電部が、他方に対向電極がそれぞれ配置され、帯電部と対向電極は、可動部材の移動方向にパターン化されている。

例えば、特許文献1には、エレクトレットと、第一対向電極と、第二対向電極とを備え、エレクトレットは、厚さ方向に沿った分極方向が第一の方向となる第一の領域と、厚さ方向に沿った分極方向が第一の方向と反対の第二の方向となる第二の領域とを有し、第一の領域と第二の領域とは、厚さ方向と直交する表面である主面と平行な方向である主面方向に沿って互いに隣接するように設けられ、第一対向電極と第二対向電極とは、エレクトレットの両面にそれぞれ設けられている静電誘導型機械電気変換素子が記載されている。

特許文献2には、表面に電荷を保持し、連続して繋がって形成されたエレクトレット膜が配置された第1の基板と、エレクトレット膜と対向する表面に集電電極が配置された第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配置され、第1の基板および第2の基板に対し所定の方向に移動可能に支持された導電性を有する可動基板とを備える微小電気機械発電器が記載されている。この微小電気機械発電器では、可動基板は、第1の基板側から第2の基板側に向けて貫通し、エレクトレット膜から放射される電界を通す開口部を有し、可動基板が移動することにより、開口部から集電電極に放射される電界の有無が生じ、電界の有無により、集電電極に電荷が励起したり放電したりすることによって発電する。

概要

可動部材を小型にしても出力が低下しにくい電気機械変換器を提供する。帯電部と対向電極との間の静電的な相互作用を利用して電力と動力の間の変換を行う電気機械変換器(1)は、第1の固定基板(13)と、第1の固定基板との間で一定の距離を保って移動可能であり、第1の固定基板に対向する面において移動方向に間隔を空けて形成された複数の溝部(125)を有する導電性の可動部材(12)と、第1の固定基板とは反対側において可動部材に対向するように、可動部材との間に間隔を空けて配置された第2の固定基板(14)と、第2の固定基板の可動部材に対向する面に形成された帯電部(15)と、第1の固定基板の可動部材に対向する面において可動部材の移動方向に間隔を空けて形成された複数の対向電極(17,18)とを有する。

目的

本発明は、可動部材を小型にしても出力が低下しにくい電気機械変換器を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

帯電部と対向電極との間の静電的な相互作用を利用して電力動力の間の変換を行う電気機械変換器であって、第1の固定基板と、前記第1の固定基板との間で一定の距離を保って移動可能であり、前記第1の固定基板に対向する面において移動方向に間隔を空けて形成された複数の溝部を有する導電性可動部材と、前記第1の固定基板とは反対側において前記可動部材に対向するように、前記可動部材との間に間隔を空けて配置された第2の固定基板と、前記第2の固定基板の前記可動部材に対向する面に形成された帯電部と、前記第1の固定基板の前記可動部材に対向する面において前記可動部材の前記移動方向に間隔を空けて形成された複数の対向電極と、を有することを特徴とする電気機械変換器。

請求項2

前記可動部材の前記第2の固定基板に対向する面は、凹凸が形成されていない平坦面である、請求項1に記載の電気機械変換器。

請求項3

前記帯電部は、複数の部分領域に分かれることなく、前記複数の対向電極の形成位置に対応する前記第2の固定基板上の領域全体を覆うように一体的に形成されている、請求項1または2に記載の電気機械変換器。

請求項4

前記可動部材は、前記可動部材の中心を通る回転軸周りに回転可能であり、前記複数の溝部と前記複数の対向電極は、それぞれ前記回転軸を中心として放射状に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気機械変換器。

請求項5

前記可動部材は、前記第1および第2の固定基板に平行な方向に往復移動可能であり、前記複数の溝部と前記複数の対向電極は、それぞれ前記可動部材の前記移動方向に垂直に延びる直線状の形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気機械変換器。

技術分野

0001

本発明は、電気機械変換器に関する。

背景技術

0002

永久的に電荷を保持するエレクトレット帯電部として利用し、帯電部とそれに対向する対向電極との間の静電的な相互作用により電力動力の間の変換を行う電気機械変換器が知られている。こうした電気機械変換器では、一般に、可動部材固定基板の一方に帯電部が、他方に対向電極がそれぞれ配置され、帯電部と対向電極は、可動部材の移動方向にパターン化されている。

0003

例えば、特許文献1には、エレクトレットと、第一対向電極と、第二対向電極とを備え、エレクトレットは、厚さ方向に沿った分極方向が第一の方向となる第一の領域と、厚さ方向に沿った分極方向が第一の方向と反対の第二の方向となる第二の領域とを有し、第一の領域と第二の領域とは、厚さ方向と直交する表面である主面と平行な方向である主面方向に沿って互いに隣接するように設けられ、第一対向電極と第二対向電極とは、エレクトレットの両面にそれぞれ設けられている静電誘導型機械電気変換素子が記載されている。

0004

特許文献2には、表面に電荷を保持し、連続して繋がって形成されたエレクトレット膜が配置された第1の基板と、エレクトレット膜と対向する表面に集電電極が配置された第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配置され、第1の基板および第2の基板に対し所定の方向に移動可能に支持された導電性を有する可動基板とを備える微小電気機械発電器が記載されている。この微小電気機械発電器では、可動基板は、第1の基板側から第2の基板側に向けて貫通し、エレクトレット膜から放射される電界を通す開口部を有し、可動基板が移動することにより、開口部から集電電極に放射される電界の有無が生じ、電界の有無により、集電電極に電荷が励起したり放電したりすることによって発電する。

先行技術

0005

特開2013−115921号公報
国際公開第2013/088645号

発明が解決しようとする課題

0006

帯電部と対向電極が可動部材の移動方向にパターン化された電気機械変換器では、特に可動部材の大きさを小さくすると、個々の帯電部および対向電極の幅(パターン幅)も小さくなる。帯電部と対向電極との間の静電的な相互作用により発生する駆動力発生力)または電力は、パターン幅の減少に伴い急激に低下するため、小型の電気機械変換器(可動部材)では十分な出力が得られないという不具合がある。

0007

そこで、本発明は、可動部材を小型にしても出力が低下しにくい電気機械変換器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

帯電部と対向電極との間の静電的な相互作用を利用して電力と動力の間の変換を行う電気機械変換器であって、第1の固定基板と、第1の固定基板との間で一定の距離を保って移動可能であり、第1の固定基板に対向する面において移動方向に間隔を空けて形成された複数の溝部を有する導電性の可動部材と、第1の固定基板とは反対側において可動部材に対向するように、可動部材との間に間隔を空けて配置された第2の固定基板と、第2の固定基板の可動部材に対向する面に形成された帯電部と、第1の固定基板の可動部材に対向する面において可動部材の移動方向に間隔を空けて形成された複数の対向電極とを有することを特徴とする電気機械変換器が提供される。

0009

上記の電気機械変換器では、可動部材の第2の固定基板に対向する面は、凹凸が形成されていない平坦面であることが好ましい。

0010

上記の電気機械変換器では、帯電部は、複数の部分領域に分かれることなく、複数の対向電極の形成位置に対応する第2の固定基板上の領域全体を覆うように一体的に形成されていることが好ましい。

0011

上記の電気機械変換器では、可動部材は、可動部材の中心を通る回転軸周りに回転可能であり、複数の溝部と複数の対向電極は、それぞれ回転軸を中心として放射状に配置されていることが好ましい。

0012

上記の電気機械変換器では、可動部材は、第1および第2の固定基板に平行な方向に往復移動可能であり、複数の溝部と複数の対向電極は、それぞれ可動部材の移動方向に垂直に延びる直線状の形状を有することが好ましい。

発明の効果

0013

上記の電気機械変換器によれば、可動部材を小型にしても、本構成を有しない場合と比べて出力が低下しにくい。

図面の簡単な説明

0014

電気機械変換器1の概略構成図である。
アクチュエータ10の模式的な斜視図および側面図である。
回転部材12の底面図および端面図である。
比較例のアクチュエータ100の模式的な端面図および回転部材120の上面図である。
回転部材12,120のパターン幅とアクチュエータ10,100の発生力の大きさとの関係を示すグラフである。
他のアクチュエータ10’の模式的な側面図である。
電気機械変換器2の概略構成図である。
電気機械変換器3の概略構成図である。

実施例

0015

以下、図面を参照しつつ、電気機械変換器について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。

0016

図1は、電気機械変換器1の概略構成図である。図1に示すように、電気機械変換器1は、アクチュエータ10および駆動部20を有する。アクチュエータ10は、主要な構成要素として、回転部材12、固定基板13,14、エレクトレット部15および対向電極17,18を有する。図1では、アクチュエータ10として、図の下から順に、固定基板13の上面131、回転部材12の下面122、および固定基板14の下面142を並べて示している。電気機械変換器1は、駆動部20に入力された電気信号をもとに、エレクトレット部15と対向電極17,18との間の静電気力を利用して回転部材12を回転させることにより電力から動力を取り出す駆動装置(エレクトレットモータ)である。

0017

図2(A)および図2(B)は、それぞれ、アクチュエータ10の模式的な斜視図および側面図である。図2(A)に示すように、アクチュエータ10は、円板状の回転部材12が2枚の固定基板13,14に挟まれて構成される。図2(B)では、図示を簡単にするために、図の横方向が回転部材12,固定基板13,14の円周方向(図2(A)の矢印C方向)に相当するように変形された側面図を示している。

0018

回転軸11は、回転部材12の回転中心となる軸であり、図2(A)に示すように、回転部材12の中心を貫通している。回転軸11の上下端は、軸受けを介して、図示しない電気機械変換器1の筐体に固定されている。なお、図2(B)では、回転軸11の図示を省略している。

0019

回転部材12は、可動部材の一例であり、例えばシリコン(Si)などの導電性の基板材料で構成される。図2(A)に示すように、回転部材12は、例えば円板状の形状を有し、その中心で回転軸11に接続している。回転部材12は、駆動部20に入力された電気信号に応じてエレクトレット部15と対向電極17,18との間で発生する静電気力により、回転軸11の周りを、円周方向である図2(A)の矢印C方向(時計回りおよび反時計回り)に回転可能である。すなわち、回転部材12は、固定基板13,14との間で一定の距離を保って移動可能である。例えば、回転部材12の直径は5〜20mm程度であり、厚さは100〜500μm程度である。

0020

図3(A)および図3(B)は、それぞれ、回転部材12の底面図および端面図である。図3(A)は回転部材12の下面122を示し、図3(B)は、図3(A)のIIIB−IIIB線に沿った回転部材12の切断面を示す。

0021

図3(A)および図3(B)に示すように、回転部材12の下面122(下側の固定基板13との対向面)には、複数の凹部125(溝部の一例)および凸部126が、円周方向に交互に、かつ回転軸11を中心とする放射状に形成されている。図2(B)に示すように、凹部125は固定基板13に対して窪んだ部分であり、凸部126は固定基板13に向けて突出した部分であり、凹部125同士および凸部126同士は、円周方向に間隔を空けて形成されている。凹部125における回転部材12と固定基板13との間の距離d1よりも、凸部126における回転部材12と固定基板13との間の距離d2の方が小さい。凹部125同士および凸部126同士はそれぞれ等間隔に配置されており、回転軸11を中心とする同一円周上では、凹部125と凸部126の幅は同じである。

0022

一方、回転部材12の上面121(上側の固定基板14との対向面)は、凹凸が形成されていない平坦面である。また、回転部材12の下面122において回転軸11を取り囲む円環状の中央部121cは、凹凸が形成されていない平坦な領域である。

0023

回転部材12は、例えば、円板状のシリコン基板の片面に対して深掘りエッチングまたはブラスト加工などを行って、凹部125の部分を削り取ることで作製される。あるいは、回転部材12は、平坦な円板状の部材と、凸部126のパターンが形成された部材とを別々に用意し、それらを貼り合わせて作製してもよい。また、回転部材12の材質は金属であってもよい。あるいは、回転部材12は、上記した凹部125および凸部126を有する形状に絶縁体を加工し、その表面全体導電性部材被覆して作製してもよい。

0024

固定基板13は、第1の固定基板の一例であり、ガラスエポキシ基板などの周知の基板材料で構成される。図2(A)に示すように、固定基板13は、例えば円板状の形状を有し、回転部材12の下面122に対向して回転部材12の下側に配置されている。

0025

対向電極17,18は、図1に示すように、それぞれ略台形の複数の電極で構成され、固定基板13の上面131(回転部材12の下面122との対向面)において、円周方向に交互に、かつ回転軸11を中心とする放射状に形成されている。対向電極17同士および対向電極18同士は、回転部材12の凹部125および凸部126と同様に、円周方向に間隔を空けて形成され、かつ等間隔に配置されている。回転軸11を中心とする同一円周上では、対向電極17および対向電極18の幅は同じであり、その大きさは凹部125および凸部126の幅と同じかほぼ同じであることが好ましい。また、回転部材12の凸部126ならびに固定基板13の対向電極17および対向電極18の個数も同じであることが好ましい。

0026

固定基板14は、第2の固定基板の一例であり、例えばガラス基板またはシリコン基板で構成されたエレクトレット基板である。固定基板14は、例えば円板状の形状を有し、回転部材12の上面121に対向して回転部材12の上側に配置されている。すなわち、固定基板14は、回転部材12を挟んで固定基板13とは反対側に、回転部材12との間に間隔を空けて配置されている。なお、回転軸11が固定基板13,14の中心を貫通しているが、固定基板13,14は、回転部材12とは異なり、電気機械変換器1の筐体に対して固定されている。

0027

エレクトレット部15は、例えば負電荷を保持する帯電部であり、固定基板14の下面142(回転部材12の上面121との対向面)に形成されている。すなわち、エレクトレット部15は、回転部材12とは別部材であり回転部材12を挟んで固定基板13とは反対側に配置された固定基板14において、対向電極17,18とは直接対向しない位置に配置されている。

0028

また、エレクトレット部15は、固定基板14上において、回転軸11を中心とする、固定基板13上で対向電極17,18が配置された円形領域とほぼ同じ大きさの円形領域を覆い尽くすように形成されている。言い換えると、エレクトレット部15は、円周方向に間隔が空いた複数の部分領域には分かれておらず、対向電極17,18の形成位置に対応する固定基板14上の領域全体を覆うように、一体的に(ベタで)形成されている。なお、固定基板14上の円形領域にはエレクトレット部15がない領域があってもよいが、エレクトレット部15が発生させる電界を強くするためには、エレクトレット部15は円形領域の全面にベタで形成されていることが好ましい。

0029

駆動部20は、アクチュエータ10を駆動するための回路であり、クロック21および比較器22,23を有する。駆動部20は、極性が交互に切り替わる交番電圧を対向電極17,18に印加して、複数のエレクトレット部15と対向電極17,18の間で発生する静電気力により、回転部材12を回転させる。

0030

図1に示すように、クロック21の出力は比較器22,23の入力に接続され、比較器22の出力は対向電極17に、比較器23の出力は対向電極18に、それぞれ電気配線を介して接続されている。比較器22,23は、それぞれクロック21からの入力信号電位接地電位とを比較し、その結果を2値で出力するが、比較器22,23の出力信号は互いに逆の符号である。クロック21からの入力信号がHのときには、対向電極17は+V、対向電極18は−Vの電位になり、入力信号がLのときには、対向電極17は−V、対向電極18は+Vの電位になる。

0031

アクチュエータ10では、回転部材12が導電性部材で構成されているので、固定基板14上のエレクトレット部15が作る電界が導電性の回転部材12に伝わり、回転部材12の表面は同電位になる。さらに、回転部材12の下面122には凹凸パターンが形成されているため、回転部材12の下面122と固定基板13上の対向電極17,18との間の距離に応じて、対向電極17,18に作用する電界の強さが変化する。このため、回転部材12とは別部材である固定基板14にエレクトレット部15が配置されていても、回転部材12の凸部126上にエレクトレットが形成されているのと同様の状態が実現される。電気機械変換器1は、対向電極17,18に電圧を印加したときに、回転部材12が作る電界により回転部材12の凸部126と対向電極17,18との間で発生する静電気力を利用する。

0032

駆動部20は、アクチュエータ10の駆動時に、一方の対向電極17にエレクトレット部15の帯電と同じ符号の電圧を印加し、他方の対向電極18にエレクトレット部15の帯電とは異なる符号の電圧を印加して、それらの電圧の符号を交互に反転させる。このように電圧が印加されると、回転部材12が作る電界と対向電極17,18が作る電界との相互作用により、回転部材12の凸部126と対向電極17,18との間に引力または斥力が発生する。駆動部20が交番電圧を対向電極17,18に印加することにより、回転部材12には連続した力が加わるため、回転部材12を回転させることができる。

0033

図4(A)および図4(B)は、それぞれ、比較例のアクチュエータ100の模式的な端面図、および回転部材120の上面図である。アクチュエータ100は、主要な構成要素として、回転部材120、固定基板130,140、エレクトレット部150,160および対向電極170,180を有する。アクチュエータ100も、アクチュエータ10と同様に、円板状の回転部材120が2枚の固定基板130,140に挟まれて構成され、回転部材120は、その中心を通る回転軸110の周りに回転可能である。図4(A)は、図4(B)のIVA線に沿って回転部材120およびその上下の固定基板130,140を切断したときの切断面を示す。

0034

図4(A)および図4(B)に示すように、回転部材120には、上面にエレクトレット部160が、下面にエレクトレット部150が、それぞれ円周方向に等間隔、かつ回転軸110を中心として放射状に配置されている。また、回転部材120では、重量を軽くするために、エレクトレット部150,160が形成されていない部分に、円周方向に沿って等間隔に、略台形状の複数の貫通孔スリット)128が形成されている。アクチュエータ100では、回転部材120の上下に配置された固定基板130,140の両方において、対向電極170,180が、円周方向に交互に、かつ回転軸110を中心とする放射状に形成されている。すなわち、アクチュエータ100では、回転部材120の下面側にエレクトレット部150と対向電極170,180の組が、回転部材120の上面側にエレクトレット部160と対向電極170,180の組が、それぞれ対向して配置されている。

0035

図5は、回転部材12,120のパターン幅とアクチュエータ10,100の発生力の大きさとの関係を示すグラフである。グラフの横軸は、回転部材12,120のパターン幅d(単位μm)であり、アクチュエータ10では、回転軸11を中心とする円周上における凸部126の幅に、アクチュエータ100では、回転軸110を中心とする円周上におけるエレクトレット部150,160の幅に、それぞれ相当する。また、グラフの縦軸は、特定のパターン幅で配置された凸部126と対向電極17,18またはエレクトレット部150,160と対向電極170,180との間の静電的な相互作用により発生する回転方向の駆動力(発生力)の大きさF(単位mN/m)である。

0036

図5では、アクチュエータ10,100の両方とも、回転部材12,120の最下面と固定基板13,130の上面との間の距離を70μmとした場合の結果を示している。曲線aはアクチュエータ10についてのグラフであり、曲線bはアクチュエータ100についてのグラフである。この場合、得られる発生力は、パターン幅が700〜1100μmの範囲では、アクチュエータ10よりもアクチュエータ100の方が大きいが、パターン幅が100〜700μmの範囲では、アクチュエータ10の方がアクチュエータ100よりも大きい。

0037

アクチュエータ10では、凹凸のない平坦面である固定基板14の上にエレクトレット部15がベタで形成されているため、アクチュエータ100のように対向電極と同じパターンでエレクトレット部を設けた場合と比べてエレクトレットの総量が多くなる。また、アクチュエータ10では、回転部材12に貫通孔(スリット)が形成されておらず、その分、エレクトレット部15に対向する回転部材12上の面積が広いため、アクチュエータ100の回転部材120と比べて回転部材12の電位が高くなる。このため、図5に示すように、アクチュエータ10では、回転部材12のパターン幅が100〜700μmと狭い範囲において、アクチュエータ100と比べて発生力の低下が少なくなる。したがって、アクチュエータ10では、回転部材12を小型にしてもアクチュエータ100と比べて出力が低下しにくく、電気機械変換器の小型化に適している。

0038

また、アクチュエータ10では、平坦な固定基板14上にエレクトレット部15が配置されているため、貫通孔128を有する回転部材120上にエレクトレット部150,160が配置されたアクチュエータ100と比べて、エレクトレット部の形成が容易である。また、アクチュエータ10では、アクチュエータ100と比べて回転軸の方向の発生力が小さいので、その分、回転軸と軸受けとの間に生じる摩擦力も少なく済む。

0039

図6は、他のアクチュエータ10’の模式的な側面図である。アクチュエータ10’は、アクチュエータ10のものと同じ回転部材12、固定基板13,14、エレクトレット部15および対向電極17,18に加えて、回転部材12’、固定基板13’およびエレクトレット部16を有する。図6は、図2(B)と同様に、横方向が回転部材12の円周方向に相当するように変形された側面図である。

0040

回転部材12’および固定基板13’は、それぞれ回転部材12および固定基板13と同じものであり、固定基板14を挟んで回転部材12および固定基板13と上下対称になるように、固定基板14の上側に配置されている。固定基板13’にも、固定基板13と同様に対向電極17,18が形成されている。また、エレクトレット部16は、エレクトレット部15と同じものであり、固定基板14の上面にベタで形成されている。アクチュエータ10’のように、固定基板14の一方の面(下面)だけでなく他方の面(上面)にもエレクトレット部16を形成し、エレクトレット部16と対向するように他の回転部材12’および固定基板13’を配置してもよい。これにより、アクチュエータ10と比べて、回転方向の発生力を容易に2倍に増やすことができる。

0041

図7は、電気機械変換器2の概略構成図である。図7に示すように、電気機械変換器2は、発電部30および蓄電部40を有する。発電部30は、アクチュエータ10と同様に、主要な構成要素として、回転部材12、固定基板13,14、エレクトレット部15および対向電極17,18を有する。電気機械変換器2は、外部環境運動エネルギーを用いて回転部材12を回転させ、発電部30内で静電誘導により静電気を発生させることで動力から電力を取り出す発電装置エレクトレット発電機)である。

0042

回転部材12、固定基板13、エレクトレット部15および対向電極17,18は、アクチュエータ10のものと同じであるが、例えば、発電部30の回転部材12には、重量バランス偏りを有する図示しない回転錘が取り付けられる。また、電気機械変換器2の対向電極17,18は、それぞれ電気配線を介して蓄電部40に接続されている。発電部30では、例えば電気機械変換器2を携帯する人体運動または電気機械変換器2が取り付けられた機械などの振動動力源として、回転錘付きの回転部材12がその円周方向に回転する。

0043

回転部材12が回転すると、それに伴い、回転部材12の凸部126と対向電極17,18の間の重なり面積が増減する。例えば、エレクトレット部15に負電荷が保持されているとすると、エレクトレット部15および導電性の回転部材12が作る電界により対向電極17,18に引き寄せられる正電荷が、回転部材12の回転に伴い増減する。発電部30は、このようにして、対向電極17と対向電極18の間に交流電流を発生させることにより、静電誘導を利用した発電を行う。

0044

蓄電部40は、整流回路41および二次電池42を有し、回転部材12の回転に応じてエレクトレット部15と対向電極17,18との間の静電誘導により発生した電力を蓄積する。対向電極17,18からの出力は整流回路41に接続され、整流回路41は二次電池42に接続されている。整流回路41は、4個のダイオードを有するブリッジ式の回路であり、対向電極17と対向電極18の間で生成された電流整流する。二次電池42は、リチウム二次電池などの充放電可能な電池であり、発電部30によって発電された電力を蓄積し、図示しない駆動対象の回路にその電力を供給する。

0045

発電部30でも、回転部材12のパターン幅を狭くしても、発生する電力の低下が少ないため、回転部材12を小型にしても出力が低下しにくいという効果が得られる。また、発電部30でも、図6のアクチュエータ10’と同様に、回転部材12および固定基板13と同じものを、固定基板14を挟んで上下対称になるように固定基板14の上側に配置し、固定基板14の両面にエレクトレット部を形成してもよい。この構成により、発電量を容易に2倍に増やすことができる。

0046

図8(A)〜図8(C)は、電気機械変換器3の概略構成図である。図8(A)に示すように、電気機械変換器3は、アクチュエータ50および駆動部20を有する。アクチュエータ50は、主要な構成要素として、筐体51、スライド板52、固定基板53,54、エレクトレット部55および対向電極57,58を有する。図8(B)および図8(C)は、対向電極57,58の配置およびスライド板52の移動方向を示す平面図である。

0047

電気機械変換器3は、駆動部20に入力された電気信号をもとに、エレクトレット部55と対向電極57,58との間の静電気力を利用して、スライド板52を往復移動させることにより、電力から動力を取り出す駆動装置である。電気機械変換器の可動部材は、電気機械変換器1,2の回転部材12のように回転するものに限らず、電気機械変換器3のスライド板52のようにスライド移動するものであってもよい。

0048

固定基板53は、第1の固定基板の一例であり、箱型の筐体51の底面に配置されている。固定基板54は、第2の固定基板の一例であり、筐体51の上面に配置されている。

0049

スライド板52は、可動部材の一例であり、シリコン基板などの導電性材料で構成され、図示しない可動支持部により筐体51内に支持されている。スライド板52は、固定基板53と固定基板54の間を、固定基板53,54に平行な方向(水平方向、矢印A方向)に往復移動可能である。スライド板52の下面には、複数の凹部525(溝部の一例)および凸部526が、スライド板52の移動方向に交互に、かつその移動方向と直交する方向に帯状(直線状)に形成されている。凹部525同士および凸部526同士はそれぞれ等間隔に配置されており、それらの幅は同じであることが好ましい。一方、スライド板52の上面は、凹凸が形成されていない平坦面である。

0050

対向電極57,58は、固定基板53の上面において、スライド板52の移動方向に交互に、かつその移動方向と直交する方向に帯状に形成されている。対向電極57同士および対向電極58同士はそれぞれ等間隔に配置されており、それらの幅は同じであることが好ましい。また、対向電極57,58の幅は、凹部525および凸部526の幅と同じかほぼ同じであることが好ましい。また、凸部526、対向電極57および対向電極58の個数も同じであることが好ましい。

0051

エレクトレット部55は、固定基板54の下面において、固定基板53上で対向電極57,58が配置された矩形領域とほぼ同じ大きさの矩形領域を覆い尽くすように、一体的に(ベタで)形成されている。

0052

駆動部20は、アクチュエータ50を駆動するための回路であり、対向電極57,58に電気配線を介して接続されている。駆動部20は、電気機械変換器1のものと同様の構成を有し、極性が交互に切り替わる電圧を対向電極57,58に印加することにより、図8(B)および図8(C)に示すように、スライド板52を筐体51内で水平方向(矢印A方向)にスライド移動させる。

0053

アクチュエータ50でも、スライド板52のパターン幅を狭くしても、発生する駆動力(発生力)の低下が少ないため、スライド板52を小型にしても出力が低下しにくいという効果が得られる。また、アクチュエータ50でも、図6のアクチュエータ10’と同様に、スライド板52および固定基板53と同じものを、固定基板54を挟んで上下対称になるように固定基板54の上側に配置し、固定基板54の両面にエレクトレット部を形成してもよい。この構成により、発生力を容易に2倍に増やすことができる。

0054

1,2,3電気機械変換器
10,10’,50アクチュエータ
11回転軸
12,12’回転部材
125,525 凹部
126,526 凸部
13,13’,14,53,54固定基板
15,16,55エレクトレット部
17,18,57,58対向電極
20 駆動部
30発電部
40蓄電部
52 スライド板

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