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技術 製紙用フェルト

出願人 日本フエルト株式会社
発明者 安田徹
出願日 2016年12月13日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2016-241499
公開日 2018年6月21日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-095997
状態 未査定
技術分野 紙(4)
主要キーワード 発色フィルム 状露出 短繊維シート 低融点ポリアミド繊維 繊維堆積物 常温プレス かぎ状 プレスケール
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年6月21日)のものです。
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図面 (11)

課題

抄紙機プレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸転写形成を抑制することができる製紙用フェルトを提供する。

解決手段

本発明の製紙用フェルト10は、基布層12と、基布層12の製紙面側に配された表バット繊維層14と、基布層12の走行面側に配された裏バット繊維層16とを備え、表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16が交絡されてなり、表バット繊維層14は、その両端部が表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16のうちの1つ又は2つの内部に保持された状態で、表バット繊維層14の表面に環状に露出する繊維を含み、該繊維の環状露出部の径が300〜2400μmであることを特徴とする。

概要

背景

従来、抄紙機による製紙工程では、ワイヤーパート製紙用ワイヤーにより原料脱水されて形成された湿紙プレスパートへ搬送され、プレスパートで製紙用フェルトにより搾水されるとともに、平坦化された表面を有する湿紙がドライパートに搬送され、製紙されている。プレスパートでは、一対のプレスロール間、又は、プレスロールと、プレスロールの周面形状近似した湾曲面を有する加圧シューとの間、を走行する湿紙が加圧され、搾水される。このとき、湿紙のみがプレスロール間、又は、プレスロールと加圧シューとの間を走行するのではなく、例えば、一方のプレスロール又は加圧シュー側から、製紙用ベルト、製紙用フェルト及び湿紙が、この順に積層された状態で搬送される。

プレスパートで用いられる製紙用フェルトは、通常、経糸及び緯糸を交差させて製織した織布、又は、糸を一方向に配列して糸どうしを固定して作製した不織布からなる基布と、短繊維シートとをニードリングして形成された、基布層と、バット繊維層とを備える積層シートである。ニードリングとは、「バーブ」と呼ばれるかぎ状構造をもつニードル針が、そのバーブに短繊維を引っ掛け運搬することにより、短繊維どうし、又は、短繊維と基布とを機械的に結合する交絡方法である。
ニードリングを利用して製紙用フェルトを製造する技術は、例えば、特許文献1〜6に記載されている。

概要

抄紙機のプレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸転写形成を抑制することができる製紙用フェルトを提供する。本発明の製紙用フェルト10は、基布層12と、基布層12の製紙面側に配された表バット繊維層14と、基布層12の走行面側に配された裏バット繊維層16とを備え、表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16が交絡されてなり、表バット繊維層14は、その両端部が表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16のうちの1つ又は2つの内部に保持された状態で、表バット繊維層14の表面に環状に露出する繊維を含み、該繊維の環状露出部の径が300〜2400μmであることを特徴とする。

目的

本発明は、表バット繊維層、基布層及び裏バット繊維層がニードリングにより交絡されてなる製紙用フェルトであって、抄紙機のプレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸の転写形成を抑制することができる製紙用フェルトを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基布層と、該基布層の製紙面側に配された表バット繊維層と、該基布層の走行面側に配された裏バット繊維層とを備え、前記表バット繊維層、前記基布層及び前記裏バット繊維層が交絡されてなる製紙用フェルトにおいて、前記表バット繊維層は、その両端部が該表バット繊維層、前記基布層及び前記裏バット繊維層のうちの1つ又は2つの層の内部に保持された状態で、該表バット繊維層の表面に環状に露出する繊維を含み、該繊維の環状露出部の径が300〜2400μmであることを特徴とする製紙用フェルト。

請求項2

前記表バット繊維層が、繊度の異なる複数種の繊維を含み、全繊維における繊度の平均値より大きい繊度を有する繊維が、前記表バット繊維層の表面に環状に露出している請求項1に記載の製紙用フェルト。

請求項3

前記表バット繊維層が、繊度の異なる複数種の繊維を含み、前記表バット繊維層が、その基布層側から表面側への断面方向に、大きい繊度を有する第1繊維を主として含む表内バット繊維層と、小さい繊度を有する第2繊維を主として含む表外バット繊維層とからなり、且つ、前記第1繊維の繊度と、前記第2繊維の繊度との差が6dtex以上である請求項1又は2に記載の製紙用フェルト。

請求項4

前記第1繊維の繊度が25〜50dtexであり、前記第2繊維の繊度が3〜25dtexである請求項3に記載の製紙用フェルト。

請求項5

前記表バット繊維層を構成する繊維どうしが、樹脂により接合されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製紙用フェルト。

技術分野

0001

本発明は、抄紙機プレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸転写形成を抑制する製紙用フェルトに関する。

背景技術

0002

従来、抄紙機による製紙工程では、ワイヤーパート製紙用ワイヤーにより原料脱水されて形成された湿紙がプレスパートへ搬送され、プレスパートで製紙用フェルトにより搾水されるとともに、平坦化された表面を有する湿紙がドライパートに搬送され、製紙されている。プレスパートでは、一対のプレスロール間、又は、プレスロールと、プレスロールの周面形状近似した湾曲面を有する加圧シューとの間、を走行する湿紙が加圧され、搾水される。このとき、湿紙のみがプレスロール間、又は、プレスロールと加圧シューとの間を走行するのではなく、例えば、一方のプレスロール又は加圧シュー側から、製紙用ベルト、製紙用フェルト及び湿紙が、この順に積層された状態で搬送される。

0003

プレスパートで用いられる製紙用フェルトは、通常、経糸及び緯糸を交差させて製織した織布、又は、糸を一方向に配列して糸どうしを固定して作製した不織布からなる基布と、短繊維シートとをニードリングして形成された、基布層と、バット繊維層とを備える積層シートである。ニードリングとは、「バーブ」と呼ばれるかぎ状構造をもつニードル針が、そのバーブに短繊維を引っ掛け運搬することにより、短繊維どうし、又は、短繊維と基布とを機械的に結合する交絡方法である。
ニードリングを利用して製紙用フェルトを製造する技術は、例えば、特許文献1〜6に記載されている。

先行技術

0004

特開昭50−52307号公報
特開昭48−41004号公報
特開平6−123094号公報
特開2010−185148号公報
特開2014−9427号公報
特開2014−211000号公報

発明が解決しようとする課題

0005

製紙工程において、プレスパートにおける湿紙の水分率(=水分量/(固形分量+水分量)×100)は、50%〜80%と高く、湿紙におけるパルプ繊維どうしの結合力が乾燥した紙のそれに比べて弱く、圧縮という外力が加わったときに湿紙中のパルプ繊維が容易に移動する。製紙用フェルトの製紙面であるバット繊維層の表面(以下、単に「製紙用フェルトの表面」ということがある)に凹凸が多い場合、圧縮の際に、湿紙に圧力が均一にかからない、言い換えれば、湿紙にかかる圧力が高い部分と低い部分が生まれる。この場合、湿紙中のパルプ繊維は、圧力の高い部分から低い部分へと移動するため、製紙用フェルトの表面における凹凸に対応する反転した凹凸が湿紙に転写形成されてしまう。その後、乾燥、カレンダー処理等を行っても、凹凸が残存した紙が得られることがあるため、このような紙は、例えば、印刷不良等の不具合を招くこととなる。従って、平滑な紙を得るために、製紙用フェルトの表面は、凹凸が少ないことが重要である。
また、製紙用フェルトは、湿紙を前工程から受け取り、後工程へと移送するコンベアとしての機能も有する。湿紙を受け取る際には、湿紙が製紙用フェルトの表面に密着し、湿紙を後工程へと送る際には、湿紙が製紙用フェルトの表面から容易且つ均等に分離する必要がある。しかしながら、製紙用フェルトの表面の凹凸が顕著であると、湿紙との密着性及び剥離性が低下して湿紙の移送が不安定化し、その結果、操業中に湿紙の破断が頻発し、生産性が低下してしまう。従って、製紙用フェルトの表面の凹凸が少ないことは、生産性の点からも重要である。
このように、製紙用フェルトの表面は、凹凸が少なく平坦であることが、抄紙機による生産性及び紙の品質にとって重要である。ところが、従来、公知の製紙用フェルトには、通常、表バット繊維層の形成に用いられる短繊維不織布の目付斑(短繊維の水平方向の分布)を原因とする比較的大きく且つランダムな凹凸の他に、ニードリング工程においてニードル針が表バット繊維層を貫通して形成された無数穿孔一定間隔で並んだ周期的な凹部を有する。但し、製紙用フェルトの製造に使用されるニードル針は、製紙用フェルト用積層物を貫通するブレード部の太さが、一般に30番手から40番手であるため、ニードル針の貫通により形成される各々の穿孔の大きさ(面積)は、最大0.1mm2という微小なものである。ところが、このような微小な穿孔が一定間隔で並ぶため、製紙用フェルトの表面、即ち、表バット繊維層の表面に、周期的な凹部となって現れる。プレスパートにおける搾水時に湿紙に転写形成されるおそれのある凹凸は、主にこの周期的な凹部によるものである。また、この周期的な凹部は、湿紙との密着性及び剥離性を低下させる原因にもなる。

0006

本発明は、表バット繊維層、基布層及び裏バット繊維層がニードリングにより交絡されてなる製紙用フェルトであって、抄紙機のプレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸の転写形成を抑制することができる製紙用フェルトを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、ニードリングにより得られた、表バット繊維層、基布層及び裏バット繊維層を備える一体化積層物に対して、更に、裏バット繊維層側からのニードリングと、表バット繊維層側からのカレンダー処理とを、順次、進めることによって、表バット繊維層を構成する繊維の中央部を、表バット繊維層の表面に押し出し、そして、環状に露出した繊維の大部分を表バット繊維層の表面に沿って屈曲させた。このようにして得られた製紙用フェルトでは、表バット繊維層の表面に露出している環状繊維部が、ニードリング工程において表バット繊維層に形成された、無数の穿孔が一定間隔で並んだ周期的な凹部を被覆することで、プレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸の転写形成を抑制する役割を果たすことが分かった。本発明は、この知見に基づくものであり、以下に示される。
1.基布層と、該基布層の製紙面側に配された表バット繊維層と、該基布層の走行面側に配された裏バット繊維層とを備え、上記表バット繊維層、上記基布層及び上記裏バット繊維層が交絡されてなる製紙用フェルトにおいて、
上記表バット繊維層は、その両端部が該表バット繊維層、上記基布層及び上記裏バット繊維層のうちの1つ又は2つの層の内部に保持された状態で、該表バット繊維層の表面に環状に露出する繊維を含み、該繊維の環状露出部の径が300〜2400μmであることを特徴とする製紙用フェルト。
2.上記表バット繊維層が、繊度の異なる複数種の繊維を含み、全繊維における繊度の平均値より大きい繊度を有する繊維が、上記表バット繊維層の表面に環状に露出している上記項1に記載の製紙用フェルト。
3.上記表バット繊維層が、繊度の異なる複数種の繊維を含み、
上記表バット繊維層が、その基布層側から表面側への断面方向に、大きい繊度を有する第1繊維を主として含む表内バット繊維層と、小さい繊度を有する第2繊維を主として含む表外バット繊維層とからなり、且つ、上記第1繊維の繊度と、上記第2繊維の繊度との差が6dtex以上である上記項1又は2に記載の製紙用フェルト。
4.上記第1繊維の繊度が25〜50dtexであり、上記第2繊維の繊度が3〜25dtexである上記項3に記載の製紙用フェルト。
5.上記表バット繊維層を構成する繊維どうしが、樹脂により接合されている上記項1乃至4のいずれか一項に記載の製紙用フェルト。

発明の効果

0008

本発明の製紙用フェルトによれば、抄紙機のプレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸の転写形成を抑制することができる。従って、平滑な紙を効率よく製造することができる。特に、表バット繊維層が、繊度の異なる複数種の繊維を含み、全繊維における繊度の平均値より大きい繊度を有する繊維(太繊度繊維)が、表バット繊維層の表面に環状に露出している場合には、この太繊度繊維の環状露出部が製紙用フェルトの製造に際してニードリングにより形成された穿孔の開口部を十分に被覆するため、上記効果を確実に得ることができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の製紙用フェルトの断面構造の1例を示す概略図である。
本発明の製紙用フェルトの表バット繊維層における環状部含有繊維20の径(最長部の長さR)を示す概略説明図である。
本発明の製紙用フェルトの表バット繊維層における環状部含有繊維20の全長L0に対する環状露出部の長さL1の割合を求める概略説明図である。
本発明の製紙用フェルトの好ましい態様の断面構造を示す概略図である。
比較例1で得られた製紙用フェルト(F1)の表外バット繊維層の表面を示す画像である。
比較例1で得られた製紙用フェルト(F1)に対する圧力発色フィルムテストの結果を示す画像である。
実施例1で得られた製紙用フェルト(F2)の断面を示す画像である。
実施例1で得られた製紙用フェルト(F2)の断面を示す拡大画像である。
実施例1で得られた製紙用フェルト(F2)の表外バット繊維層の表面を示す画像である。
実施例1で得られた製紙用フェルト(F2)に対する圧力発色フィルムテストの結果を示す画像である。

0010

本発明は、基布層12の製紙面側(図1の上面側)及び走行面側(図1の下面側)に、それぞれ、表バット繊維層14及び裏バット繊維層16を備え、表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16が交絡されて一体化物とされた製紙用フェルト10である(図1参照)。そして、この製紙用フェルト10では、表バット繊維層14は、その両端部が表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16のうちの1つ又は2つの内部に保持された状態で、表バット繊維層14の表面に環状に露出する繊維(以下、「環状部含有繊維」という)20を含み、この環状部含有繊維20の環状露出部の径が300〜2400μmである。即ち、環状露出部の径を特定の範囲としながら、環状部含有繊維20の1端部及び他端部は、同じ層で保持されているか、互いに、異なる層で保持されている。表バット繊維層14及び裏バット繊維層16は、それぞれ、多数本の繊維を含むが、図1では、形状等の構成を明瞭にするために、環状部含有繊維20のみを示している。

0011

上記環状部含有繊維20の環状露出部は、繊維の略中央部の一部を環状とさせながら、表バット繊維層14の表面に対して略垂直方向図1の上方)に突き出された部分であり、その後、露出した大部分の環状部を屈曲させて表バット繊維層14の表面に接触した構造を有するものであることが好ましい。そして、この環状露出部は、必要に応じて、樹脂により、表バット繊維層14の表面の繊維に接合されている。特に、屈曲形成された環状露出部を備える場合には、表バット繊維層14を配設する際に適用したニードリングにより形成された穿孔30の開口部を被覆するため、本発明の効果を確実に得ることができる。尚、表バット繊維層14の内部における環状部含有繊維20の両端部は、必要に応じて、樹脂により、表バット繊維層14、基布層12及び裏バット繊維層16のうちの1つ又は2つを構成する繊維と接合されつつ保持されているが、ニードリングにより形成された穿孔30の内部で保持されている場合がある。また、上記環状部含有繊維20の環状露出部の概形は、円形状、楕円形状、多角形状又はこれらの変形形状を有し、表バット繊維層14の表面において、環状露出部が単独で存在する場合だけでなく、複数の環状露出部どうしが部分的に重なり合う場合がある(図1参照)。

0012

本発明において、環状部含有繊維20の環状露出部の径は、穿孔30の開口部を被覆して、本発明の効果が確実に得られることから、300〜2400μmであり、好ましくは500〜1800μm、より好ましくは700〜1200μmである。尚、環状露出部の概形は、上記のとおりであり、真円でない場合、例えば、図2に示すように楕円形状である場合、本発明に係る径は、最長部の長さRを意味する。環状露出部の径が300μm未満の場合、露出した環状露出部が穿孔30を完全に被覆できるほど十分に大きくなく、環状露出部の径が2400μmを超える場合、環状露出部どうしの重なり合う部分が多くなり過ぎることがあり、環状露出部と表バット繊維層との結合力が低下する結果、使用中に環状露出部による毛羽立ちが起きて、穿孔30の被覆が失われるのみならず、フェルト表面と湿紙との密着性の低下をも引き起こす可能性がある。また、環状部含有繊維20が保持されている部分(片端部又は両端部)の長さが短くなることがあり、環状部含有繊維20が抜けてしまったり、毛羽立たせてしまったりすることがある。

0013

また、上記環状部含有繊維20の環状露出部の長さは、特に限定されない。図3を用いて求められる、上記環状部含有繊維20の全長L0(図3実線部及び点線部の合計長さ)に対する環状露出部の長さL1(図3の実線部の長さ)の割合は、穿孔の開口部の被覆性の観点から、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%である。
上記環状露出部を有する環状部含有繊維20の単位面積当たりの数は、穿孔の開口部の被覆性の観点から、好ましくは100〜1000本/cm2、より好ましくは300〜700本/cm2である。

0014

以下、本発明の製紙用フェルトについて、詳しく説明する。

0015

上記基布層は、従来、製紙用フェルトに用いられている基布に由来するものとすることができる。この基布層を構成する繊維(以下、「糸」ということがある)の構成材料としては、ナイロン6ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド樹脂ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂ポリエチレンポリプロピレン等のオレフィン樹脂等の合成樹脂、綿、羊毛等が挙げられる。これらのうち、耐摩耗性圧縮回復性耐衝撃性等に優れた製紙用フェルトとすることができるポリアミド樹脂が特に好ましい。

0016

上記基布層を構成する繊維の形態は、モノフィラメントマルチフィラメントスパンヤーンや、捲縮加工、嵩高加工等が施されたテクスチャードヤーンバルキーヤーンストレッチヤーン等の加工糸、更には、これらの糸を撚り合わせてなる撚糸とすることができる。繊維の断面形状は、円形、略楕円形、多角形、略星型、略矩形等とすることができる。尚、中空糸を用いることもできる。

0017

上記繊維の繊度は、特に限定されないが、モノフィラメントの場合、好ましくは89〜2240dtex(0.10〜0.50mm)、より好ましくは200〜1440dtex(0.15〜0.40mm)である。尚、マルチフィラメントの場合、このマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの繊度は、通常、20〜90dtexであり、好ましくは40〜60dtexである。マルチフィラメントを構成する繊維の本数は、通常、5〜20本であり、好ましくは7〜15本である。
上記基布層を構成する繊維は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
上記基布層を構成する繊維は、製紙用フェルトの強度、空隙率及び通水性や、圧力均一性等の特性に応じた適切な材質、形態、繊度等を有するものとすることができる。

0018

上記基布層は、単層構造及び多層構造のいずれでもよく、後者の場合、経糸二重以上、緯糸二重以上を製織する等により形成された、少なくとも2層からなる多重織された基布に由来するもの、互いに異なる複数種の織物等の積層物に由来するもの等とすることができる。また、糸条経方向緯方向又は斜め方向に配列した構造を有するものであってもよい。
上記基布層は、穴開け加工、発泡加工等が施された高分子フィルム又はシートに由来するものであってもよい。

0019

上記基布層の厚さは、好ましくは0.5〜3.0mmであり、より好ましくは1.0〜2.0mmである。
また、上記基布層の目付は、単層構造及び多層構造のいずれであっても、全体として、好ましくは100〜1000g/m2であり、より好ましくは300〜800g/m2である。
上記基布層の厚さ及び目付は、製紙用フェルトの強度、空隙率及び通水性や、ロールマーク防止性等の特性に応じて、適切に設定される。

0020

上記表バット繊維層は、上記基布層の製紙面側に配設された繊維(以下、「表バット繊維」ともいう)の集合体であり、抄紙に際して、湿紙の平滑性を維持しつつ搬送する作用を有する。この表バット繊維層は、表バット繊維のみからなる層であってもよいし、表バット繊維どうしが樹脂により接合されてなる層であってもよい。尚、上記表バット繊維層の構造は、特に限定されず、単層構造及び多層構造(2層型、3層型等)のいずれでもよい。

0021

上記表バット繊維層を構成する表バット繊維の構成材料としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂、綿、羊毛、絹等が挙げられる。これらのうち、耐摩耗性、圧縮回復性、耐衝撃性、親水性耐加水分解性耐薬品性等の観点から、好ましくはポリアミド樹脂であり、より好ましくは、融点が180℃以上のポリアミド樹脂である。尚、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂を含む芯鞘複合繊維等の繊維が表バット繊維の一部として含まれていてもよい。
上記表バット繊維の繊度は、通常、2〜100dtexであり、繊維長は、通常、30〜100mmである。

0022

上記表バット繊維層に含まれる表バット繊維は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記表バット繊維層が、2種以上の繊維を含む場合、構成材料が互いに異なる複数種の繊維、繊度が互いに異なる複数種の繊維等を含むものとすることができる。上記表バット繊維層は、複数種の繊維の組み合わせにより単層構造を構成するものであってもよいし、種類別に各層を形成させ、全体として多層構造を構成するものであってもよい。また、上記表バット繊維層が多層構造を構成する場合は、その基布層側から表面側への断面方向に、繊維の繊度が小さくなるように分布していることが好ましい。
上記環状部含有繊維は、単層構造及び多層構造のいずれにおいても、表バット繊維層を構成するどの表バット繊維に由来するものであってもよい。

0023

本発明において、上記表バット繊維層は、繊度が互いに異なる複数種の繊維を含むことが好ましく、この場合、環状部含有繊維は、繊度の大きい太繊維及び繊度の小さい細繊維のいずれでもよいが、製紙用フェルトの製造に際してニードリングにより形成された穿孔の開口部を十分に被覆することから、繊度の大きい太繊維を含むことが好ましい。そして、本発明では、全ての表バット繊維における繊度の平均値より大きい繊度を有する繊維が、表バット繊維層の表面に環状に露出していることが特に好ましい。
また、繊度の大きい太繊維及び繊度の小さい細繊維の間の繊度差は、好ましくは6dtex以上、より好ましくは10dtex以上である。上記太繊維の繊度は、好ましくは25dtex以上、より好ましくは30dtex以上であり、上記細繊維の繊度は、好ましくは25dtex以下、より好ましくは20dtex以下である。

0024

上記表バット繊維層に含まれる表バット繊維どうしが樹脂により接合されている場合、この樹脂は、融点が150℃以下(下限は、通常、130℃)の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エチレンビニルエステル共重合体等が挙げられる。これらのうち、耐圧縮性耐屈曲性、耐加水分解性等の観点から、ポリアミド樹脂及びウレタン樹脂が好ましい。
上記ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11ナイロン12アラミドポリアミドエラストマー等が挙げられる。
上記ウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリウレタンポリエステルポリウレタンポリカーボネートポリウレタン等が挙げられる。
上記表バット繊維層が、樹脂により接合された表バット繊維を含む場合、樹脂の含有割合は、耐圧縮性、耐屈曲性等の観点から、表バット繊維層の全体に対して、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%である。

0025

上記表バット繊維層が、繊度の異なる複数種の繊維を含む場合、本発明の製紙用フェルトは、図4に示すように、表バット繊維層14が、その基布層側から表面側への断面方向に、大きい繊度を有する第1繊維22を主(通常、90質量%以上)として含む表内バット繊維層14Aと、小さい繊度を有する第2繊維24を主(通常、90質量%以上)として含む表外バット繊維層14Bとからなる2層型の多層構造を有し、且つ、第1繊維の繊度と、第2繊維の繊度との差が6dtex以上である製紙用フェルト10であることが好ましい。以下、この態様の表バット繊維層を、「表バット繊維層(P)」という。図4の製紙用フェルト10では、第2繊維24より太い第1繊維22に由来する繊維が表バット繊維層14の表面に露出して環状部含有繊維を構成している。

0026

上記表バット繊維層(P)を構成する表内バット繊維層に含まれる第1繊維の繊度の下限は、好ましくは25dtex、より好ましくは27dtex、更に好ましくは30dtexであり、上限は、好ましくは55dtex、より好ましくは50dtex、更に好ましくは48dtexである。また、この第1繊維の長さは、好ましくは50〜100mm、より好ましくは70〜80mmである。
上記表バット繊維層(P)を構成する表外バット繊維層に含まれる第2繊維の繊度の上限は、好ましくは25dtex、より好ましくは24dtex、更に好ましくは23dtex、特に好ましくは22dtexであり、下限は、好ましくは3dtex、より好ましくは7dtex、更に好ましくは11dtexである。尚、上記表内バット繊維層に含まれる第1繊維の繊度と、上記表外バット繊維層に含まれる第2繊維の繊度との差は、好ましくは6dtex以上、より好ましくは10dtex以上である。また、この第2繊維の長さは、好ましくは50〜100mm、より好ましくは70〜80mmである。

0027

上記表バット繊維層(P)を備える製紙用フェルトにおいて、上記環状部含有繊維は、第1繊維及び第2繊維のいずれに由来するものであってもよいが、第1繊維に由来することが好ましい。この場合、第1繊維の両端部は、表内バット繊維層の内部及び表外バット繊維層の内部のいずれに保持されていてもよく、両方が同じ繊維層に保持されていてもよいし、一端が表内バット繊維層に、他端が表外バット繊維層に、それぞれ、保持されていてもよい。また、上記環状部含有繊維が第2繊維に由来する場合、この第2繊維の両端部は、通常、表外バット繊維層の内部に保持されている。
更に、上記表バット繊維層(P)の好ましい態様は、本発明の製紙用フェルトの耐圧縮性、耐屈曲性、耐久性等の観点から、表内バット繊維層及び表外バット繊維層のうちの少なくとも表外バット繊維層を構成する第2繊維どうしが、樹脂により接合されてなるものであり、特に好ましい態様は、表外バット繊維層を構成する第2繊維どうしが、樹脂により接合されており、更に、第1繊維に由来する環状部含有繊維の環状露出部と、表外バット繊維層の表面層における第2繊維とが、樹脂により接合されてなるものである。

0028

上記表バット繊維層の目付は、単層構造及び多層構造のいずれであっても、全体として、好ましくは300〜1000g/m2であり、より好ましくは400〜900g/m2、更に好ましくは500〜800g/m2である。

0029

上記表バット繊維層を構成する表バット繊維の種類及び表バット繊維層の目付は、製紙用フェルトの強度、空隙率及び通水性等の特性に応じて適切に設定される。

0030

上記裏バット繊維層は、上記基布層の走行面側に配設された繊維(以下、「裏バット繊維」ともいう)の集合体であり、抄紙に際して、基布層を摩耗から保護し、製紙用フェルトとしての耐久性を向上させる作用を有する。この裏バット繊維層は、裏バット繊維のみからなる層であることが好ましい。尚、上記裏バット繊維層の構造は、特に限定されず、単層構造及び多層構造(2層型、3層型等)のいずれでもよい。

0031

上記裏バット繊維層を構成する裏バット繊維の構成材料としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂、綿、羊毛、絹等が挙げられる。これらのうち、耐摩耗性、圧縮回復性、耐衝撃性、親水性、耐加水分解性、耐薬品性等の観点から、好ましくはポリアミド樹脂であり、より好ましくは、融点が180℃以上のポリアミド樹脂である。上記裏バット繊維の構成材料は、上記表バット繊維の構成材料と同じであってもよい。
上記裏バット繊維の繊度は、通常、10〜50dtexであり、繊維長は、通常、50〜100mmである。

0032

上記裏バット繊維層に含まれる裏バット繊維は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記裏バット繊維層が、2種以上の繊維を含む場合、構成材料が互いに異なる複数種の繊維、繊度が互いに異なる複数種の繊維等を含むものとすることができる。上記裏バット繊維層は、複数種の繊維の組み合わせにより単層構造を構成するものであってもよいし、種類別に各層を形成させ、全体として多層構造を構成するものであってもよい。

0033

上記裏バット繊維層の目付は、単層構造及び多層構造のいずれであっても、全体として、好ましくは50〜300g/m2であり、より好ましくは80〜250g/m2、更に好ましくは100〜200g/m2である。

0034

上記裏バット繊維層を構成する裏バット繊維の種類及び裏バット繊維層の目付は、製紙用フェルトの強度、空隙率及び通水性等の特性に応じて適切に設定される。

0035

本発明の製紙用フェルトは、必要に応じて、上記基布層及び表バット繊維層の間、又は、上記基布層及び裏バット繊維層の間に、他の層を備えることができる。

0036

本発明の製紙用フェルトの目付は、好ましくは1000〜2500g/m2、より好ましくは1300〜2200g/m2、更に好ましくは1500〜2000g/m2である。

0037

本発明の製紙用フェルトは、抄紙に際して、表バット繊維層の表面に、繰り返し圧縮、高圧シャワーサクションボックスによる吸引等の外力を繰り返し受けるにも関わらず、耐久性に優れ、湿紙を確実に搬送させ、抄紙機のプレスパートにおける搾水時に、湿紙への凹凸の転写形成を抑制することができる。

0038

本発明の製紙用フェルトは、例えば、基布及び裏バット繊維層形成用繊維集積体を用いて、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層を備える第1積層物を得る第1工程と、表バット繊維層形成用繊維集積体を、第1積層物の基布層側に面するように積載した状態で上方からニードリングを行って、表バット繊維層形成用繊維層、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層を備える第2積層物を得る第2工程と、第2積層物の裏側(裏バット繊維層形成用繊維層側)からニードリングを行って、上記表バット繊維層形成用繊維集積体を構成する繊維の両端部が、表バット繊維層形成用繊維層、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層のうちの1つ又は2つの内部に保持され、且つ、該繊維の略中央部の一部が、表バット繊維層形成用繊維層の表面側に環状に突き出された第3積層物を得る第3工程と、第3積層物を、その両面側からプレス処理して、突き出された環状部を屈曲させる第4工程とを、順次、備える方法により製造することができる。ニードリングの方法は、従来、公知の方法を適用することができ、各工程において、互いに同一であってもよいし、異なってもよい。

0039

上記第1工程で用いられる基布の構成は、上記本発明の製紙用フェルトにおける基布層の説明を適用することができる。即ち、基布は、単層構造及び多層構造のいずれでもよく、後者の場合、経糸二重以上、緯糸二重以上を製織する等により形成された、少なくとも2層からなる多重織されたもの、互いに異なる複数種の織物等の積層物等とすることができる。

0040

上記裏バット繊維層形成用繊維集積体は、裏バット繊維を含む集積体である。
上記裏バット繊維は、好ましくは、融点が170℃以上の樹脂を含む繊維であり、特に好ましくは、融点が180℃以上のポリアミド樹脂を含む繊維である。上記裏バット繊維の繊度は、通常、10〜50dtexである。また、上記裏バット繊維の長さは、特に限定されないが、通常、50〜100mmである。

0041

上記裏バット繊維層形成用繊維集積体は、織布、不織布及び繊維堆積物のいずれでもよいが、不織布であることが好ましい。
上記第1工程で用いる裏バット繊維層形成用繊維集積体の数は、特に限定されず、1体及び2体以上のいずれでもよい。
上記裏バット繊維層形成用繊維集積体の目付(合計)は、好ましくは50〜300g/m2であり、より好ましくは80〜250g/m2、更に好ましくは100〜200g/m2である。

0042

上記第1工程では、上記基布と、上記裏バット繊維層形成用繊維集積体とを、好ましくは、ニードリングにより交絡して、一体化された第1積層物を形成する。

0043

上記第2工程は、表バット繊維層形成用繊維集積体を第1積層物に積載した状態で、表バット繊維層形成用繊維集積体の側からニードリングを行って、表バット繊維層形成用繊維層、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層を備える第2積層物(交絡物)を得る工程である。
上記表バット繊維層形成用繊維集積体は、表バット繊維を含む集積体である。この表バット繊維層形成用繊維集積体は、表バット繊維のみからなるものであってもよいし、この表バット繊維と、加熱により溶融して接着剤として作用する繊維(溶融性繊維)とからなるものであってもよい。
上記表バット繊維は、好ましくは、融点が170℃以上の樹脂を含む繊維であり、特に好ましくは、融点が180℃以上のポリアミド樹脂を含む繊維である。上記表バット繊維の繊度は、通常、2〜100dtexである。また、上記表バット繊維の長さは、特に限定されないが、通常、30〜100mmである。
一方、上記溶融性繊維は、好ましくは、融点が150℃以下の樹脂を含む繊維である。上記溶融性繊維の繊度は、通常、2〜20dtexである。また、上記溶融性繊維の長さは、特に限定されないが、通常、50〜100mmである。
上記表バット繊維層形成用繊維集積体が、表バット繊維と、溶融性繊維とからなる場合、溶融性繊維の含有割合の上限は、両者の合計を100質量%とすると、好ましくは10質量%である。

0044

上記表バット繊維層形成用繊維集積体は、織布、不織布及び繊維堆積物のいずれでもよいが、不織布であることが好ましい。
上記第2工程で用いる表バット繊維層形成用繊維集積体の数は、特に限定されず、1体及び2体以上のいずれでもよい。また、上記表バット繊維層形成用繊維集積体は、上記第1工程で用いる裏バット繊維層形成用繊維集積体と同一であってもよいし、異なってもよい。
上記表バット繊維層形成用繊維集積体の目付(合計)は、好ましくは300〜1000g/m2であり、より好ましくは400〜900g/m2、更に好ましくは500〜800g/m2である。

0045

単層構造の表バット繊維層形成用繊維層を有する第2積層物を得る場合、通常、1体の表バット繊維層形成用繊維集積体が用いられる。また、多層構造の表バット繊維層形成用繊維層を有する第2積層物を得る場合、構成が互いに異なる、2体以上の表バット繊維層形成用繊維集積体が用いられる。

0046

上記のように、本発明の製紙用フェルトの好ましい態様は、層構造の種類によらず、繊度が互いに異なる複数種の表バット繊維を含む表バット繊維層を備え、大きい繊度を有する表バット繊維の一部が環状露出部を構成するものである。尚、大きい繊度を有する表バット繊維の繊度と、小さい繊度を有する表バット繊維の繊度との差は、好ましくは6dtex以上、より好ましくは10dtex以上である。
従って、繊度が互いに異なる複数種の表バット繊維を含む単層構造の表バット繊維層形成用繊維層を形成する場合には、繊度が互いに異なる複数種の表バット繊維を含む表バット繊維層形成用繊維集積体を用いることが好ましい。また、多層構造の表バット繊維層形成用繊維層を形成する場合には、繊度が互いに異なる表バット繊維を別々に含む、複数種の表バット繊維層形成用繊維集積体を用いることが好ましい。この場合、第3工程により、より大きい繊度を有する表バット繊維を露出しやすくさせ、第3積層物又は製紙用フェルトの表バット繊維層の表面層における密度を高くすることができることから、表バット繊維全体のうち、より大きい繊度を有する表バット繊維を主として含む表バット繊維層形成用繊維集積体を第1積層物の基布層側表面の直上に載置し、より小さい繊度を有する表バット繊維を主として含む表バット繊維層形成用繊維集積体を最上部に載置して、ニードリングを行うことが好ましい。繊度が互いに異なる表バット繊維を別々に含む、3体以上の表バット繊維層形成用繊維集積体を用いる場合も同じである。

0047

繊度が互いに異なる複数種の表バット繊維のうち、より大きい繊度を有する表バット繊維(以下、「太繊度表バット繊維」という)の繊度は、好ましくは25dtex以上、より好ましくは25〜55dtex、更に好ましくは27〜50dtex、特に好ましくは30〜45dtexであり、より小さい繊度を有する表バット繊維(以下、「細繊度表バット繊維」という)の繊度は、好ましくは3〜25dtex、より好ましくは7〜24dtex、更に好ましくは11〜23dtex、特に好ましくは17〜22dtexである。
上記の太繊度表バット繊維及び細繊度表バット繊維は、製紙用フェルトの製造後、上記の第1繊維及び第2繊維となる原料繊維である。

0048

図4に示される、表内バット繊維層14A及び表外バット繊維層14Bからなる2層構造の表バット繊維層(P)を備える製紙用フェルトを得るために用いる表バット繊維層形成用繊維集積体としては、上記太繊度表バット繊維を主(通常、90質量%以上)とする材料(以下、「第1表バット繊維層形成用繊維集積体」という)、及び、上記細繊度表バット繊維を主(通常、90質量%以上)とする材料(以下、「第2表バット繊維層形成用繊維集積体」という)が好ましく用いられる。尚、細繊度表バット繊維どうしが、樹脂により接合された表外バット繊維層14Bを備える表バット繊維層(P)を形成する場合には、上記細繊度表バット繊維と、溶融性繊維とからなる第2表バット繊維層形成用繊維集積体を用いることが好ましい。この態様の表バット繊維層(P)を得るための特に好ましい第1表バット繊維層形成用繊維集積体は、融点が180℃以上の、ポリアミド樹脂等を含む太繊度表バット繊維を主とするものであり、第2表バット繊維層形成用繊維集積体は、融点が180℃以上の、ポリアミド樹脂等を含む細繊度表バット繊維を主とし、更に、融点が150℃以下の溶融性繊維を含有するものである。

0049

上記表バット繊維層(P)を与える複数種の表バット繊維層形成用繊維集積体を用いて第2積層物を製造する場合、基布層を上面側として載置した第1積層物に、上記の第1表バット繊維層形成用繊維集積体及び第2表バット繊維層形成用繊維集積体を、順次、積載して、上方からニードリングを行う方法、又は、初めに、基布層を上面側として載置した第1積層物の上に、第1表バット繊維層形成用繊維集積体を積載して、上方からニードリングを行い、その後、第1表バット繊維層形成用繊維集積体の上に、第2表バット繊維層形成用繊維集積体を積載して、上方からニードリングを行う方法を適用することができる。

0050

上記第2工程で得られた第2積層物の表バット繊維層形成用繊維層は、ニードル針が、直接、表バット繊維層形成用繊維集積体を貫通して形成されたため、通常、無数の穿孔が一定間隔で並んだ周期的な凹部を有する。

0051

次に、上記第3工程は、第2積層物の裏側(裏バット繊維層形成用繊維層側)からニードリングを行って、表バット繊維層形成用繊維集積体を構成する繊維の両端部が、表バット繊維層形成用繊維層、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層のうちの1つ又は2つの内部に保持され、且つ、該繊維の略中央部の一部が、表バット繊維層形成用繊維層の表面側に環状に突き出された第3積層物(交絡物)を得る工程である。
上記表バット繊維層形成用繊維集積体が、繊度が(略)一定の繊維(溶融性繊維を含む態様を含む)からなる場合、該繊維の略中央部の一部が表バット繊維層形成用繊維層の表面側に突き出され、環状部を形成する。
一方、上記表バット繊維層形成用繊維集積体が、互いに繊度の異なる複数種の繊維からなる場合、大きい繊度を有する繊維及び小さい繊度を有する繊維の両方における、各繊維の略中央部の一部が表バット繊維層形成用繊維層の表面側に突き出されることがある。一般に、より大きい繊度を有する繊維に対するニードル針の衝突確率が高くなるため、太繊度表バット繊維が表バット繊維層形成用繊維層の表面側に突き出されやすく、この太繊度表バット繊維による環状露出部が形成される。また、上記第2積層物が、基布層を上面側として載置した第1積層物に、上記の第1表バット繊維層形成用繊維集積体及び第2表バット繊維層形成用繊維集積体を、順次、積載した積層物である場合には、第2積層物の裏側(裏バット繊維層形成用繊維層側)からのニードリングにより、ニードル針は、第1表バット繊維層形成用繊維集積体に含まれる太繊度表バット繊維に最初に接触するため、太繊度表バット繊維が表バット繊維層形成用繊維層の表面側に突き出されやすく、主として、この太繊度表バット繊維による環状部が形成される。上記第2表バット繊維層形成用繊維集積体が溶融性繊維を含む場合、この溶融性繊維による環状部が形成されることがある。

0052

ニードリングにより突き出された表バット繊維の環状部の長さは、特に限定されない。繊維の全長に対する環状部の長さの割合は、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%である。

0053

その後、第4工程において、第3積層物を、その両面側からプレス処理して、突き出された表バット繊維の環状部を屈曲させ、本発明の製紙用フェルトを得る。このプレス処理の方法は、第3積層物の構成により、適宜、選択されるが、通常、常温プレス又は加熱プレスが適用される。これらのいずれの場合も、第3積層物を固定又は移動させながらプレスすることができる。

0054

上記第4工程では、突き出された表バット繊維の環状部を確実に屈曲状態とするためには、加熱プレスすることが好ましい。特に、表バット繊維及び溶融性繊維を含む表バット繊維層形成用繊維層を備える第3積層物を加熱プレスする場合、表バット繊維を溶融させず、溶融性繊維のみを溶融させる温度条件が好ましい。この条件で加熱プレスを行うことにより、溶融性繊維に由来する樹脂により表バット繊維どうしを接合することができ、また、表バット繊維層の表面においては、屈曲した繊維の環状露出部と、表バット繊維層形成用繊維層を構成する表バット繊維とが接合されて、表面層の繊維を固定化することができる。更に、繊維の環状露出部は、上記第2工程のニードリングにより形成された穿孔の開口部を被覆しており、この製紙用フェルトを用いた製紙工程における圧縮の際に、湿紙に対して均一に圧力を付与することができる。

0055

上記以外の製造方法であって、第2工程で用いた表バット繊維層形成用繊維集積体に溶融性繊維を含めずに、表バット繊維どうしが樹脂により接合されてなる表バット繊維層を備える製紙用フェルトを製造する方法としては、表バット繊維のみからなる表バット繊維層形成用繊維層、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層を備える第2積層物の裏側からニードリングを行い、次いで、表バット繊維層形成用繊維層側に加熱により溶融して接着剤として作用する熱可塑性樹脂等を含有する加工液を塗布又はスプレー散布し、表バット繊維層形成用繊維層の内部に接着剤を展着させ、その後、上記第4工程以降の工程を進める方法が挙げられる。

0056

上記のように、本発明の製紙用フェルトは、必要に応じて、基布層及び表バット繊維層の間、又は、基布層及び裏バット繊維層の間に、他の層を備えることができるが、他の層は、所定の原料を、所定の位置に載置して、ニードリング、プレス処理、加熱処理等を行うことにより、形成することができる。

0057

比較例1
直径0.25mmのナイロン6からなるモノフィラメントの単糸を経糸及び緯糸として用いて得られた、目付が約200g/m2の1重織の織布Aと、経糸として直径0.20mmのナイロン6からなるモノフィラメントを6本撚り合わせた撚糸を、緯糸として直径0.35mmのナイロン610からなるモノフィラメントの単糸を、それぞれ、用いて得られた、目付が約600g/m2の経2重織の織布Bとを、前者が上側になるように重ねて、基布とした。次いで、この基布の裏面側(織布B側)に、繊度44dtex及び長さ70mmのナイロン66短繊維からなる、目付が200g/m2の不織布Pを載置し、不織布Pに対してニードルパンチングを行った。これにより裏バット繊維層形成用繊維層を形成した。その後、基布層の表面側(織布A側)に、繊度44dtex及び長さ70mmのナイロン66短繊維からなる、目付が400g/m2の不織布Qを載置し、不織布Qに対してニードルパンチングを行った。これにより表内バット繊維層形成用繊維層を形成した。更に、表内バット繊維層形成用繊維層の上に、繊度17dtex及び長さ70mmのナイロン66短繊維97質量%と、繊度17dtex及び長さ70mmの低融点ポリアミド繊維(融点:約140℃)3質量%とからなる、目付が200g/m2の不織布Rを載置し、不織布Rに対してニードルパンチングを行った。これにより、表外バット繊維層形成用繊維層を形成した。その後、得られた積層物Lに対して、カレンダー処理(線圧:20kg/cm、温度:145℃)を行い、製紙用フェルト(F1)を得た。

0058

得られた製紙用フェルト(F1)の表外バット繊維層の表面を電子顕微鏡で観察した(図5参照)。図5より、表外バット繊維層の表面には、不織布Rを構成するナイロン66短繊維どうしが低融点ポリアミド繊維の溶融物により接合していることが分かる。
また、製紙用フェルト(F1)の表外バット繊維層の表面に、富士フイルム社製プレスケールフィルムを載置し、ロールで加圧(線圧:1kg/cm)する圧力発色フィルムテストを行った(図6参照)。図6より、製紙用フェルト(F1)の製造時に不織布Rへ行ったニードルパンチングにより、表外バット繊維層の表面に、穿孔の開口部が直線状に残っていたことに起因する筋状の凹凸が明らかである。

0059

実施例1
比較例1で得られた積層物Lの裏バット繊維層に対してニードルパンチングを行い、表内バット繊維層形成用繊維層の繊維を表外バット繊維層形成用繊維層の表面に押し出し、その両端部を、表外バット繊維層形成用繊維層、表内バット繊維層形成用繊維層、基布層及び裏バット繊維層形成用繊維層のうちの1つ又は2つの内部に保持させつつ、繊維の略中央部を、表外バット繊維層形成用繊維層の表面から突き出させた。その後、カレンダー処理(線圧:20kg/cm、温度:145℃)を行い、露出した環状部を屈曲させて、図4に示す構造を有する製紙用フェルト(F2)を得た。

実施例

0060

得られた製紙用フェルト(F2)の断面を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で撮影し、それぞれ、図7及び図8の画像を得た。また、表外バット繊維層の表面を電子顕微鏡で撮影し、図9の画像を得た。図8及び図9より、表内バット繊維層の形成に用いた不織布Qを構成する66ナイロン短繊維に由来すると思われる環状繊維部が、図5と比較して表外バット繊維層の表面に多数存在していることが分かる。尚、図7図9から明瞭ではないが、環状繊維部と、その内側の繊維とが、低融点ポリアミド繊維の溶融物により接合していることを確認した。また、100本の環状繊維部について、その径を測定したところ、300〜2400μmであり、環状繊維部の単位面積当たりの数は、500本/cm2であった。更に、図3に基づいて、この66ナイロン短繊維の長さ(L0=70mm)に対する、露出している環状繊維部の長さL1の割合(平均値)を、繊維50本について求めたところ、3%であった。
また、製紙用フェルト(F2)においても、比較例1と同様にして、圧力発色フィルムテストを行った(図10参照)。図10には、図6のような筋状の凹凸が見られないことが明らかである。

0061

本発明の製紙用フェルトは、平滑な紙を製造する工程において利用することができる。

0062

10:製紙用フェルト、12:基布層、14:表バット繊維層、14A:表内バット繊維層、14B:表外バット繊維層、16:裏バット繊維層、20:環状部含有繊維、22:第1繊維(表内バット繊維)、24:第2繊維(表外バット繊維)、30:穿孔部

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