図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
この種のイヤリング用パーツとして特許文献1に開示されたものが従来から知られている。
この従来のイヤリング用パーツは、1本の直線状の線材をU字状に折り曲げてパーツ本体を形成するとともに、そのパーツ本体の一端に金属製の装飾体を設け、他端には耳押え部を設けている。そして、上記装飾体はパーツ本体に溶接されている。
上記のようにした従来のイヤリング用パーツは、パーツ本体に溶接の熱が作用したとき、その熱による焼きなましの作用で、パーツ本体の硬度が落ちてしまう。
このように硬度が落ちてしまえば、イヤリングを耳に止めたとき、耳に対するパーツ本体の挟持力が弱くなる。この挟持力の減衰が、耳に止めたイヤリングを落としてしまう大きな原因になっていた。
上記従来の問題を解決するために、パーツ本体を鍛造で加圧鍛錬して、熱による焼きなましの影響を最小限に抑えることが考えられる。
図9は、パーツ本体1を鍛造で形成したものである。すなわち、直線状の線材を加圧鍛錬しながら平板状にするとともに、その平板をU字状に折り曲げてパーツ本体1としたものである。
なお、上記パーツ本体1の一方の端部を溶接面Gとし、この溶接面Gに図示していない装飾体を溶接するようにしている。
また、上記パーツ本体1の他端は、それを直接耳に押し当てる耳押え部2としている。
概要
この発明は、溶接の熱の影響をほとんど受けないイヤリング用パーツを提供する。 金属製の線状材が曲げられて形成されたU字状部4と、上記線状材の一端側で、装飾体取付け金具8を溶接するための取付け部6と、上記線状材の他端側に設けられた耳押え部5と、からなるパーツ本体Sを備えたイヤリング用パーツを前提としている。そして、上記パーツ本体Sの少なくとも上記U字状部4は、加圧鍛練された断面略長方形に形成され、この略長方形の一方の短辺側が上記U字状部の内周iを構成し、他方の短辺側が上記U字状部の外周oを構成するとともに、曲げに対抗する厚さLaが、断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しくなっている。
目的
この発明の目的は、溶接の熱の影響をほとんど受けないイヤリング用パーツを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
金属製の線状材が曲げられて形成されたU字状部と、上記線状材の一端側で、金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具を溶接するための取付け部と、上記線状材の他端側に設けられた耳押え部と、からなるパーツ本体を備えたイヤリング用パーツであって、上記パーツ本体の少なくとも上記U字状部は、加圧鍛練された断面略長方形に形成され、この略長方形の一方の短辺側が上記U字状部の内周を構成し、他方の短辺側が上記U字状部の外周を構成するとともに、曲げに対抗する厚さが、断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しいイヤリング用パーツ。
請求項2
上記パーツ本体全体が、加圧鍛練された断面略長方形に形成されてなる請求項1に記載のイヤリング用パーツ。
請求項3
上記取付け部の断面略長方形は、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じれた請求項2に記載のイヤリング用パーツ。
請求項4
上記U字状部に溶接された上記金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具であって、耳押え部と対向する側に耳に食い込む突起や、滑り止めとなる凹凸などが設けられた請求項1〜3のいずれか1に記載のイヤリング用パーツ。
請求項5
請求項6
金属製の線状材を曲げてU字状にするとともに、上記線状材の一端側を曲げて環状の耳押え部を形成し、上記線状材の他端側に金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具を溶接するための取付け部を形成し、その後に、線状材の全体を加圧鍛練して鍛練効果を付与するとともに、上記線状材全体の断面を略長方形としたイヤリング用パーツの製造方法。
請求項7
上記線状材全体の断面を略長方形とした後、上記取付け部の断面略長方形を、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じる請求項6に記載のイヤリング用パーツの製造方法。
請求項8
上記線状材全体の断面を略長方形とした後、上記環状の耳押え部の断面略長方形を、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じる請求項6又は7に記載のイヤリング用パーツの製造方法。
技術分野
背景技術
0002
この種のイヤリング用パーツとして特許文献1に開示されたものが従来から知られている。
この従来のイヤリング用パーツは、1本の直線状の線材をU字状に折り曲げてパーツ本体を形成するとともに、そのパーツ本体の一端に金属製の装飾体を設け、他端には耳押え部を設けている。そして、上記装飾体はパーツ本体に溶接されている。
0003
上記のようにした従来のイヤリング用パーツは、パーツ本体に溶接の熱が作用したとき、その熱による焼きなましの作用で、パーツ本体の硬度が落ちてしまう。
このように硬度が落ちてしまえば、イヤリングを耳に止めたとき、耳に対するパーツ本体の挟持力が弱くなる。この挟持力の減衰が、耳に止めたイヤリングを落としてしまう大きな原因になっていた。
0004
上記従来の問題を解決するために、パーツ本体を鍛造で加圧鍛錬して、熱による焼きなましの影響を最小限に抑えることが考えられる。
図9は、パーツ本体1を鍛造で形成したものである。すなわち、直線状の線材を加圧鍛錬しながら平板状にするとともに、その平板をU字状に折り曲げてパーツ本体1としたものである。
0005
なお、上記パーツ本体1の一方の端部を溶接面Gとし、この溶接面Gに図示していない装飾体を溶接するようにしている。
また、上記パーツ本体1の他端は、それを直接耳に押し当てる耳押え部2としている。
先行技術
0006
特開2011−041811号公報
発明が解決しようとする課題
0007
上記のようにした従来のイヤリング用パーツでは、パーツ本体1を加圧鍛錬した平板をU字状に曲げて形成しているので、その曲げた部分の厚さLは、上記平板の厚さの範囲に限定されてしまう。言い換えると、平板の厚さを厚くしなければ、上記曲げ部分の厚さLを厚くすることはできない。
0008
上記曲げ部分の厚さLを厚くできなければ、その部分の曲げ耐力も小さくなってしまう。そのために、U字状部に耳を入れるために、このU字状のパーツ本体1を開くと、それがもとに戻り難くなり、結果的に、パーツ本体1の挟持力が弱くなってしまう。
0009
挟持力を強くするために、例えば、上記平板の厚さを厚くすることも考えられる。しかし、上記平板の厚さを厚くすれば、デザイン性が劣るようになる。
それだけではなく、パーツ本体1の重さもかさんでしまう。もし、パーツ本体1の重さが必要以上に重くなれば、耳の負担も大きくなるし、イヤリングが耳から落ちる原因にもなってしまう。
0010
上記のような理由からパーツ本体1の厚さをそれほど厚くできないので、曲げに対抗するパーツ本体1のU字状の部分の厚さLも薄くせざるをえない。したがって、上記したようにパーツ本体1の挟持力が弱くなってしまう。
このように挟持力が決して大きくないパーツ本体1に、装飾体又は装飾体取付け金具を溶接すると、その溶接熱の作用で焼きなまし現象が生じ、ますます挟持力が弱くなってしまう。
つまり、図9に示した従来のイヤリング用パーツでは、溶接の熱による挟持力の減衰という課題をほとんど解決できないという問題があった。
0011
この発明の目的は、溶接の熱の影響をほとんど受けないイヤリング用パーツを提供することである。
課題を解決するための手段
0012
この発明は、金属製の線状材が曲げられて形成されたU字状部と、上記線状材の一端側で、金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具を溶接するための取付け部と、上記線状材の他端側に設けられた耳押え部とからなるパーツ本体を備えたイヤリング用パーツを前提としている。
0013
そして、第1の発明は、上記パーツ本体の少なくとも上記U字状部が加圧鍛練され、その断面が略長方形に形成されている。
また、上記U字状部は、この断面略長方形の一方の短辺側が上記U字状部の内周を構成し、他方の短辺側が上記U字状部の外周を構成するとともに、曲げに対抗する厚さが、断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しくなる。
0014
なお、上記略長方形とは、例えば、短辺と長辺との交点の部分が円弧であってもかまわないし、全体に楕円に近い形状でもよいことを示している。
要するに、曲げに対抗する厚さが断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しくなれば、長方形の各辺が直線である必要はないし、短辺と長辺が交わる部分が円弧であってもよい。
0015
第2の発明は、上記パーツ本体全体が、加圧鍛練された断面略長方形に形成されてなることを特徴としている。
第3の発明は、上記取付け部の断面略長方形が、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じれたことを特徴としている。
0018
第6の発明は、イヤリング用パーツの製造方法であって、まず金属製の線状材を曲げてU字状部を形成する。次に、上記線状材の他端側に金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具を溶接するための取付け部を形成するとともに、上記線状材の一端側を曲げて環状の耳押え部を形成する。その後に、線状材の全体を加圧鍛練して鍛練効果を付与するとともに、上記線状材全体の断面を略長方形としたことを特徴としている。
なお、略長方形とは、第1の発明における略長方形の概念と同じである。
0019
第7の発明は、第6の発明を前提として、上記線状材全体の断面を略長方形とした後、上記取付け部の断面略長方形を、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じったことを特徴としている。
0020
第8の発明は、第6又は第7の発明を前提として、上記線状材全体の断面を略長方形とした後、上記環状の耳押え部の断面略長方形を、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じったことを特徴としている。
発明の効果
0021
第1の発明のイヤリング用パーツによれば、パーツ本体のU字状部の曲げに対抗する厚さが、断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しくなるので、上記曲げに対抗する厚さを十分に厚くすることができる。
したがって、溶接時の熱がパーツ本体に作用して、焼きなましの現象でパーツ本体の硬度が多少落ちたとしても、パーツ本体を開く方向の力に対抗するU字状部の曲げ耐力は溶接時の熱にほとんど影響されない。
0022
上記のように溶接時の熱が作用しても、U字状部の曲げ耐力がほとんど減衰しないので、耳に対するパーツ本体の挟持力も、初期設定の強い状態に保たれる。
このようにパーツ本体の挟持力が強い状態に保たれるので、耳に止めたイヤリングが落ちにくくなる。しかも、パーツ本体を構成する材料の重さは、図9に示した従来ものとほとんど変わらず、重量がかさむことによる上記の問題は発生しない。
0023
また、パーツ本体のU字状部の曲げに対抗する厚さを、断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しくすれば、U字状部の曲げ耐力を十分に保てるので、パーツ本体全体の太さも細くできる。もちろん、パーツ本体の厚さを厚くすることも可能なので、パーツ本体の太さを自由に選択でき、その分、イヤリング用パーツとしてのデザイン性も向上することになる。
0024
第2の発明によれば、パーツ本体全体を同時に加圧鍛錬できるとともに、その断面を略長方形に形成できるので、作業工程を少なくすることができる。また、作業工程が少ない分、製作コストを低減することができる。
0025
第3の発明によれば、上記取付け部の断面略長方形が、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じれているため、装飾体を取り付ける面に上記取付け部の一方の長辺側が向くようになる。上記U字状部の長辺側は、その短辺に比べて幅が広いので、その表面積も広くなる。このように表面積が広いので、金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具を取り付ける溶接作業が楽になる。
また、上記取付け部の耳に接触する部分の接触面積が広がるため、耳への圧力が分散し、上記取付け部と上記耳押え部との挟持力によって耳が痛くなるようなこともなくなる。
0026
第4の発明によれば、上記金属製の装飾体あるいは装飾体取付け金具で、挟持位置のずれを防止できる。
0027
第5の発明によれば、上記U字状部の外周にリングが設けられるので、装飾用の鎖などを取り付けることができる。
0028
第6の発明によれば、パーツ本体を、線状材を曲げてあらかじめ所定の形状にしてから、それを加圧鍛練するようにしたので、U字状部分の断面形状を略長方形に簡単に成型できる。
しかも、パーツ本体全体を平均的に加圧鍛錬できるので、鍛錬効果が平均的にいきわたり、熱による焼きなましの影響も最小限に抑えられる。
0029
第7,8の発明によれば、上記取付け部又は上記耳押え部を、上記U字状部の断面略長方形に対して略90°捩じって形成しているので、捩じれた形状でもパーツ本体全体に鍛錬効果がいきわたる。したがって、例えば、上記取付け部に装飾体を溶接したとしても、その溶接時の熱の影響を最小限に抑えられる。
図面の簡単な説明
0030
第1実施形態のパーツ本体の斜視図である。
第1実施形態の製造過程において線状材を曲げた原形体の側面図である。
第1実施形態の製造過程において加圧鍛錬した原形体の斜視図である。
第1実施形態におけるパーツ本体のU字状部の断面図である。
第1実施形態のイヤリングを耳に装着した状態を示した側面図である。
第1実施形態の試験データを示した図である。
第2実施形態のイヤリングの側面図である。
第3実施形態のイヤリングの側面図である。
従来の鍛造によって形成されたパーツ本体の斜視図である。
実施例
0031
図1〜6は第1実施形態を示すもので、この第1実施形態は、図2に示す1本の線状材3をあらかじめ曲げてパーツ本体Sの原形体Xを形成する。
この原形体Xは、U字状部原形4aと、このU字状部原形4aの一方の端に備えた環状の耳押え部原形5aと、U字状部原形4aの他方の端に備えた直線状の取付け部原形6aとからなり、上記耳押え部原形5aと取付け部原形6aとを対向させている。
0032
上記のように線状材3を図2に示す形状に曲げたら、原形体Xの全体を加圧鍛錬して、図3に示すように全体を断面略長方形に成形する。
したがって、U字状部原形4aは、図4に示すように、断面略長方形の一方の短辺側がU字状部原形4aの内周iを構成し、他方の短辺側が上記U字状部原形4aの外周oを構成するとともに、曲げに対抗する厚さLaが、断面略長方形の長辺の長さにほぼ等しくなる。
0033
また、上記耳押え部原形5aは、それが上記のように加圧鍛錬されて断面形状が略長方形の環状に形成されるが、この状態の耳押え部原形5aは、図5に示す耳パッド7を嵌めることができる内径を保持する。
さらに、上記取付け部原形6aは直線状態を維持するとともに、上記のように加圧鍛錬されて断面形状が略長方形に形成される。
0034
上記のようにパーツ本体Sの原形体Xが完成したら、上記耳押え部原形5a及び取付け部原形6aを、U字状部原形4aに対してほぼ90度捩じって、図1に示すようU字状部4、耳押え部5及び取付け部6を備えたパーツ本体Sが完成される。
0035
このようにしたパーツ本体Sは、上記したように曲げに対抗するU字状部4の厚さLaが、断面略長方形の長辺の長さにほぼ等しくなる。
また、U字状部4の両端に形成された耳押え部5及び取付け部6は、それらの平面が互いに向き合うことになる。
0036
そして、パーツ本体Sの耳押え部5には、図5に示すように耳パッド7が取り付けられるとともに、取付け部6には装飾体取付け金具8が溶接により接着され、この装飾体取付け金具8に図示していない装飾体が取り付けられるようにしている。
0037
上記のようにU字状部4の両端に形成された耳押え部5及び取付け部6は、それらの平面が互いに向き合うので、耳押え部5と取付け部6との間で、耳Yをしっかり挟持できる。特に、取付け部6の平坦面が耳Yに当たるようになるので、耳Yに対して挟持力が均等に作用するとともに、挟持力によって耳Yに痛みを感じさせることもない。
0038
また、U字状部4は、曲げに対抗する厚さLaが、断面略長方形の長辺の長さにほぼ等しくなるので、図9に示した従来のものに比べて、U字状部4を開く方向の曲げ耐力が飛躍的に大きくなる。したがって、装飾体取付け金具8を取付け部6に溶接するときに、U字状部4に高温が作用したとしても、その曲げ耐力がほとんど減衰しないが、それは図6に示した試験データからも明らかである。
0039
図6の試験データは、厚さ0.6mmの本発明の曲げ耐力を、同じく厚さ0.6mmで同じ材質の図9に示した従来の構造と対比したもので、従来の構造では、溶接熱を加えていない、焼きなましがないときには、パーツ本体Sを1mm広げるのに260gの力が必要であった。しかし、溶接熱が作用した後は、200gの力で足りた。これは、溶接熱が作用する前に対して、溶接熱が作用した後の曲げ耐力が23%も減衰していること意味している。
0040
これに対して、第1実施形態の場合には、溶接熱が作用していない、焼きなましがないときには、パーツ本体Sを1mm広げるのに560gの力が必要であり、溶接熱が作用した後でも、520gの力が必要であった。このように第1実施形態では、溶接熱が作用する前に対して、溶接熱が作用した後の曲げ耐力は7%しか減衰していない。
この試験データから、本実施形態のパーツ本体Sの方が、図9に示した従来のパーツ本体1に比べて、曲げ耐力が圧倒的に大きいし、溶接熱が作用しても、その曲げ耐力の減衰率が極端に小さいことが明らかである。
0041
したがって、パーツ本体Sに耳Yを挟み込むときに、パーツ本体Sを開く方向の力が作用したとしても、パーツ本体Sの挟持力が減衰したりしない。このように挟持力が減衰せずに、初期の挟持力を保てるので、パーツ本体Sを耳Yに止めても、それが落ちてしまうこともない。
0042
しかも、パーツ本体Sの太さを細くしても、上記のようにU字状部4の曲げに対抗する厚さLaを断面略長方形の長辺の長さにほぼ等しくしておけば、U字状部4の曲げ耐力を大きく保つことができる。
したがって、パーツ本体Sを、求められるデザインに応じて太くもできるし、細くもでき、その分、デザイン性が飛躍的に向上することになる。それを細くすれば、当然のこととして、パーツ本体Sが軽量化されるので、耳Yに対する負担も少なく、しかも耳Yに止めたパーツ本体Sが落ちにくくなる。
0043
なお、第1実施形態では、パーツ本体S全体を加圧鍛錬したが、U字状部4の曲げ耐力だけを考慮すれば、そのU字状部4の部分だけを加圧鍛錬すれば足りる。
ただし、パーツ本体Sの全体を一気に加圧鍛錬した方が、製造工程を何工程にも分ける必要がなく、その分、製造コストを低減させることができる。
また、第1実施形態では、取付け部6に装飾体取付け金具8を溶接するようにしたが、図示していない装飾体を取付け部6に直接溶接してもよい。
0044
また、U字状部4の断面略長方形は、例えば、短辺と長辺との交点の部分が円弧であってもかまわないし、全体に楕円に近い形状でもよい。要するに、曲げに対抗する厚さが断面略長方形の長辺側の長さにほぼ等しくなれば、長方形の各辺が直線である必要はないし、短辺と長辺が交わる部分が円弧であってもよい。
0045
図7に示した第2実施形態は、取付け部6を、耳を挟持する側となる内側に出っ張る方向に湾曲させたものである。また、耳押え部5も、同じく内側が出っ張る方向に湾曲させたものである。
このように、上記耳押え部5と上記取付け部6とのそれぞれを湾曲させているので、耳押え部5と取付け部6との間で耳を押し込みやすくなる。
0046
さらに、耳に当接する上記耳押え部5と上記取付け部6とがそれぞれ湾曲しているので、耳への圧力が分散し、上記取付け部5と上記耳押え部6との挟持力によって耳が痛くなることがほとんどない。
また、第2実施形態のパーツ本体Sを製造する際には、第1実施形態のパーツ本体Sを形成した後、耳押え部5及び取付け部6のそれぞれを上記のように湾曲させればよい。
0047
このように曲げられた取付け部6には、装飾体を取り付けるための装飾体取付け金具8が溶接される。
なお、上記装飾体取付け金具8には支持棒9が設けられ、この支持棒9を装飾体10に差し込んで固定される。
その他の構成と作用効果は第1実施形態と同じである。
0048
図8に示した第3実施形態は、その取付け部6に金属製の装飾体11を溶接するとともに、この装飾体11が直接耳に当たって、耳押え部5との間で挟持力を発揮するようにしている。
なお、耳押え部5が湾曲していることは第2実施形態と同じである。
0049
また、この第3実施形態では、U字状部4の外周に金属製のリング12が溶接され、このリング12に装飾用の鎖などを通せるようにしている。
なお、第3実施形態の場合も、各実施形態と同様に、線状材を加圧鍛錬してパーツ本体Sを形成するが、上記耳押え部5とは反対側であるU字状部4の一方の長さを、上記装飾体11の分だけあらかじめ短くしておく。そして、その短くした側に上記装飾体11を溶接して、この装飾体11を耳押え部5に設けた耳パッド7に対向させるようにしている。
その他の構成と作用効果は第2実施形態と同じである。
0050
なお、上記第1,2実施形態において、それぞれの取付け部6の一方の面、すなわち耳押え部5と対向する面に耳に対して滑り止めとなる凹凸や、突起などを設けてもよい。また、第3実施形態の装飾体11であって、耳押え部5と対向する側に耳に食い込む突起や、滑り止めとなる凹凸などを設けてもよい。
0051
この発明は、金属製の線状材を曲げて形成したパーツ本体において、耳への挟持力を発揮するイヤリングに最適である。
0052
3…線状材、S…パーツ本体、4…U字状部、5…耳押え部、6…取付け部、La…厚さ、8…装飾体取付け金具、10,11…装飾体、12…リング