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技術 車載エンジンのオイル供給装置

出願人 トヨタ自動車株式会社アイシン精機株式会社
発明者 細木貴之伊東久幸高木登山本道隆島谷和良青柳貴彦吉田昌弘内山慶信佐藤敏貴渡邉寛隆
出願日 2016年12月1日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-234268
公開日 2018年6月14日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2018-091198
状態 特許登録済
技術分野 回転型液体ポンプ(1) 回転型液体ポンプの応用細部 内燃機関の潤滑
主要キーワード 規定方向 吐出センサ 目標吐出圧 吐出圧制 速化処理 増大速度 規定速度 ケーシング部材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

オイルポンプにおけるオイル吐出圧を変更する際に、当該オイルの吐出圧の脈動に基づいた脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる車載エンジンオイル供給装置を提供する。

解決手段

オイル供給装置210の吐出圧制御部303は、吐出圧センサ311によって検出されている吐出圧センサ値が閾値以上である状況下でオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を変更するときには、吐出圧センサ値が閾値未満である状況下でオイルの吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該オイルの吐出圧を変更する。

概要

背景

特許文献1には、可変容量型オイルポンプを備えるエンジンオイル供給系の一例が記載されている。エンジンには、オイルの供給を必要とする複数のデバイスが設けられている。このようなデバイスとして、例えば、油圧駆動式のバルブタイミング調整装置ピストンを冷却するためのオイルジェットを挙げることができる。そして、こうした複数のデバイスを備えるオイル供給系では、各デバイスにおける要求油圧を個別に導出し、各要求油圧のうち、最も高い要求油圧をオイルポンプの目標吐出圧とし、この目標吐出圧に基づいてオイルポンプにおけるオイルの吐出圧が制御されるようになっている。

概要

オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更する際に、当該オイルの吐出圧の脈動に基づいた脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる車載エンジンオイル供給装置を提供する。オイル供給装置210の吐出圧制御部303は、吐出圧センサ311によって検出されている吐出圧センサ値が閾値以上である状況下でオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を変更するときには、吐出圧センサ値が閾値未満である状況下でオイルの吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該オイルの吐出圧を変更する。

目的

本発明の目的は、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更する際に、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる車載エンジンのオイル供給装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

オイル吐出圧を変更可能なオイルポンプと、前記オイルポンプから吐出されるオイルの圧力を検出するセンサと、前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を制御する吐出圧制御部と、を備え、前記吐出圧制御部は、前記センサによって検出されているオイルの圧力である吐出圧センサ値が閾値以上である状況下で前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときには、前記吐出圧センサ値が前記閾値未満である状況下で前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該吐出圧を変更する車載エンジンオイル供給装置

請求項2

前記オイルポンプは、電動式アクチュエータに対する指示電流値を変えることにより、オイルの吐出圧を変更するものであり、前記吐出圧制御部は、前記吐出圧センサ値が前記閾値未満である状況下で前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときには、同オイルポンプに対する目標吐出圧と前記吐出圧センサ値とを用いたフィードバック制御によって導出した前記指示電流値を前記アクチュエータに入力することにより、当該吐出圧を変更する一方、前記吐出圧センサ値が前記閾値以上である状況下で前記オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときには、前記目標吐出圧と前記吐出圧センサ値とを用いたフィードバック制御によって導出した前記指示電流値を前記アクチュエータに入力する場合の前記吐出圧の変更速度よりも低い変更速度で同吐出圧が変化するように、前記フィードバック制御によって導出した前記指示電流値を変更する低速化処理を行い、同低速化処理によって導出した前記指示電流値を前記アクチュエータに入力する請求項1に記載の車載エンジンのオイル供給装置。

請求項3

前記吐出圧制御部は、前記低速化処理によって導出した前記指示電流値を前記アクチュエータに入力する状態の継続時間が規定時間に達したときに、当該継続時間が当該規定時間に達する前よりも高い変更速度で当該吐出圧を変更する請求項2に記載の車載エンジンのオイル供給装置。

請求項4

エンジンクランク軸の回転速度であるエンジン回転速度が高いほど、前記閾値を大きくする閾値設定部を備える請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車載エンジンのオイル供給装置。

技術分野

0001

本発明は、オイル吐出圧を変更可能なオイルポンプを備える車載エンジンオイル供給装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、可変容量型のオイルポンプを備えるエンジンオイル供給系の一例が記載されている。エンジンには、オイルの供給を必要とする複数のデバイスが設けられている。このようなデバイスとして、例えば、油圧駆動式のバルブタイミング調整装置ピストンを冷却するためのオイルジェットを挙げることができる。そして、こうした複数のデバイスを備えるオイル供給系では、各デバイスにおける要求油圧を個別に導出し、各要求油圧のうち、最も高い要求油圧をオイルポンプの目標吐出圧とし、この目標吐出圧に基づいてオイルポンプにおけるオイルの吐出圧が制御されるようになっている。

先行技術

0003

特開2014−159757号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、特許文献1に記載されているようなオイルポンプでは、オイルの吐出圧は脈動する。そして、当該吐出圧が高いほど、吐出圧の脈動に起因して発生する音である脈動音が大きいため、当該脈動音が車両の乗員に伝わってしまうおそれがある。そして、脈動音が大きい状況下で目標吐出圧が小さくなると、オイルの吐出圧の低下によって脈動音が小さくなる。このとき、脈動音が急激に低下すると、車両の乗員に聞こえていた脈動音が急に聞こえなくなり、車両の乗員に違和感を与えてしまうおそれがある。

0005

本発明の目的は、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更する際に、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる車載エンジンのオイル供給装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための車載エンジンのオイル供給装置は、オイルの吐出圧を変更可能なオイルポンプと、オイルポンプから吐出されるオイルの圧力を検出するセンサと、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を制御する吐出圧制御部と、を備えている。このオイル供給装置において、吐出圧制御部は、センサによって検出されているオイルの圧力である吐出圧センサ値が閾値以上である状況下でオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときには、吐出圧センサ値が閾値未満である状況下でオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該吐出圧を変更する。

0007

オイルポンプにおけるオイルの吐出圧が高いほど、当該吐出圧の脈動が大きくなり、当該吐出圧の脈動に起因する音である脈動音が大きくなる。そのため、オイルの吐出圧が閾値以上であるときには、吐出圧が閾値未満であるときよりも脈動音が車両の乗員に伝わりやすい。

0008

そこで、上記構成では、吐出圧センサ値が閾値以上であるときには、吐出圧センサ値が閾値未満であるときよりも低い変更速度でオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するようにしている。そのため、吐出圧センサ値が閾値以上である状況下で吐出圧を減少させる場合、吐出圧センサ値が閾値未満である場合よりも吐出圧が緩やかに減少されるため、脈動音が急激に小さくなることが抑制される。すなわち、車両の乗員に聞こえていた脈動音が急に聞こえなくなる事象が生じにくくなる。したがって、オイルの吐出圧を減少させる際に、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができるようになる。

0009

なお、吐出圧センサ値が閾値未満であるときには、吐出圧センサ値が閾値以上であるときよりも、脈動音が小さいため、車両の乗員に脈動音が聞こえにくくなっている。そのため、吐出圧センサ値が閾値未満となる範囲内でオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更する際には、吐出圧センサ値が閾値以上である場合よりも高い変更速度で吐出圧を変更するべくオイルの吐出圧を制御することとなる。そのため、オイルの吐出圧を変更しているときにおけるオイルポンプに対する目標吐出圧と吐出圧センサ値とのずれが大きくなることを抑制できる。

0010

また、吐出圧を増大させて、吐出圧センサ値が閾値未満である状態から吐出圧センサ値が閾値以上である状態に移行させることもあり得る。この場合、吐出圧センサ値が閾値に達すると、吐出圧センサ値が閾値未満であったときよりも脈動音が大きくなっており、当該脈動音が車両の乗員に聞こえやすくなる。上記構成では、吐出圧センサ値が閾値以上になると、吐出圧センサ値が閾値未満であったときよりもオイルの吐出圧が緩やかに増大されるようになる。その結果、車両の乗員に聞こえる脈動音が徐々に大きくなる。すなわち、大きな脈動音が車両の乗員に急に聞こえるようになる事象が生じにくい。したがって、オイルの吐出圧を増大させる際でも、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができるようになる。

0011

上記車載エンジンのオイル供給装置において、オイルポンプは、電動式アクチュエータに対する指示電流値を変えることにより、オイルの吐出圧を変更するものである。
そこで、例えば、吐出圧制御部は、吐出圧センサ値が閾値未満である状況下でオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときには、同オイルポンプに対する目標吐出圧と吐出圧センサ値とを用いたフィードバック制御によって導出した指示電流値をアクチュエータに入力することにより、当該吐出圧を変更するようにしてもよい。一方、吐出圧制御部は、吐出圧センサ値が閾値以上である状況下でオイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更するときには、目標吐出圧と吐出圧センサ値とを用いたフィードバック制御によって導出した指示電流値をアクチュエータに入力する場合の吐出圧の変更速度よりも低い変更速度で同吐出圧が変化するように、フィードバック制御によって導出した指示電流値を変更する低速化処理を行い、同低速化処理によって導出した指示電流値をアクチュエータに入力するようにしてもよい。これにより、吐出圧センサ値が閾値以上であるときには、低速化処理を実施することで、吐出センサ値が閾値未満であるときよりも低い変更速度でオイルの吐出圧を変更することができる。

0012

ところで、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を緩やかに変更させている場合、オイルポンプに対する目標吐出圧と吐出圧センサ値とのずれが大きくなりやすくなる。そこで、吐出圧制御部は、低速化処理によって導出した指示電流値をアクチュエータに入力する状態の継続時間が規定時間に達した場合に、当該継続時間が当該規定時間に達する前よりも高い変更速度で当該吐出圧を変更することが好ましい。この構成によれば、上記の継続時間が規定時間に達した以降では、吐出圧センサ値が閾値以上であっても、当該継続時間が規定時間に達する前よりも高い変更速度でオイルの吐出圧を変更することができる。そのため、低速化処理によって導出した指示電流値をアクチュエータに入力する状態が長い時間に亘って継続され、吐出圧センサ値と目標吐出圧とのずれが大きくなることを抑制できるようになる。

0013

なお、エンジンではオイルポンプ以外からも音が発生している。そして、このような音は、エンジンのクランク軸の回転速度であるエンジン回転速度が高いほど大きくなりやすい。すなわち、エンジン回転速度が高いときには、他の音によってオイルポンプの脈動音がマスキングされやすい。そこで、上記エンジンのオイル供給装置は、エンジン回転速度が高いほど、閾値を大きくする閾値設定部を備えることが好ましい。この構成によれば、エンジン回転速度が高く、エンジンで発生する他の音が大きいときには、閾値が大きい値に設定されるため、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧の変更速度が低くなりにくくなる。その結果、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくしつつも、吐出圧センサ値と目標吐出圧とのずれが大きくなることを抑制できる。

図面の簡単な説明

0014

実施形態のオイル供給装置を備えるエンジンにおけるオイルの循環経路の概略を示す模式図。
同オイル供給装置におけるオイルポンプを示す断面図であって、オイルの吐出圧が最大となっている状態を示す図。
同オイルポンプを示す断面図であって、オイルの吐出圧が最小となっている状態を示す図。
同オイル供給装置の吐出圧制御部が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート
規定時間の長さを決める方法を説明するためのグラフ
(a)はオイルポンプにおけるオイルの吐出圧の推移を示すタイミングチャート、(b)はオイル制御バルブに対する指示電流値の推移を示すタイミングチャート。

実施例

0015

以下、車載エンジンのオイル供給装置を具体化した一実施形態を図1図6に従って説明する。
図1には、本実施形態のオイル供給装置210を備える車載エンジン(以下、単に「エンジン200」という。)におけるオイルの循環経路が図示されている。図1に示すように、エンジン200は、オイルを貯留しているオイルパン201と、オイルパン201内のオイルがオイル供給装置210を介して供給されるメインオイルギャラリ202とを備えている。また、エンジン200には、オイルの供給を必要とする複数のデバイス203が設けられている。そして、デバイス203から排出されたオイルが、オイルパン201に戻るようになっている。

0016

本実施形態のオイル供給装置210は、吐出圧を変更可能なオイルポンプ10と、オイルポンプ10を作動させるためのオイル制御バルブ100と、オイル制御バルブ100の制御を通じてオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御する制御装置300とを備えている。

0017

次に、図1図2及び図3を参照し、オイルポンプ10について説明する。
オイルポンプ10は、エンジン200のクランク軸の回転に基づいて作動する可変容量型のポンプである。図2及び図3に示すように、オイルポンプ10は、クランク軸と同期して回転する入力軸11と、内部に収容空間40が区画されているケーシング部材CSとを備えている。この収容空間40には、入力軸11と一体回転するインナロータ50と、インナロータ50よりも外周側に配置されているアウタロータ60と、アウタロータ60を取り囲むリング状の調整リング70とが設けられている。

0018

ケーシング部材CSには、その内部にオイルを吸入する吸入ポート12と、内部のオイルをケーシング部材CS外に吐出する吐出ポート13とが設けられている。なお、図1に示すように吸入ポート12はオイルパン201に通じる吸入油路114に連通しており、図2及び図3に示すように吐出ポート13はメインオイルギャラリ202に通じる吐出油路13aに連通している。

0019

図2及び図3に示すように、インナロータ50の外周には複数の外歯51が設けられており、アウタロータ60の内周には、インナロータ50の外歯51と噛み合う複数の内歯61が設けられている。内歯61の数は外歯51の数よりも1つ多くなっている。そして、アウタロータ60は、調整リング70によって回転可能に保持されている。

0020

アウタロータ60の回転中心は、インナロータ50の回転中心に対して偏心している。インナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61とは、それらの一部分(図2では右側部分)が互いに噛み合った状態となっている。インナロータ50の外周とアウタロータ60の内周との間には、オイルにより満たされる作動室41が形成されている。

0021

作動室41において、インナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61とが互いに噛み合う位置から図2に矢印で示す入力軸11の回転方向における所定位置までの部分では、各ロータ50,60の回転に伴ってインナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61との間の隙間が徐々に大きくなる。そして、このようにインナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61との間の隙間が徐々に大きくなる部分が、吸入ポート12と連通する。一方、作動室41において、ロータ50,60の回転に伴ってインナロータ50の外歯51とアウタロータ60の内歯61との間の隙間が徐々に小さくなる部分が、吐出ポート13と連通する。

0022

オイルポンプ10が作動する際には、入力軸11が回転することにより、各ロータ50,60が互いに噛み合いながら回転する。そして、オイルパン201に貯留されているオイルが吸入油路114を介して吸入ポート12から作動室41に吸入され、吐出ポート13から吐出油路13aに吐出される。

0023

調整リング70は、アウタロータ60を保持するリング状の本体部71と、本体部71の外周からロータ50,60の径方向に突出する突出部72とを有している。調整リング70の本体部71には、規定方向に延びる長孔711,712が設けられている。これら長孔711,712には、ケーシング部材CSに固定されているガイドピン81,82が挿通されている。これにより、調整リング70は、長孔711,712の延びる方向に変位可能となっている。

0024

調整リング70の突出部72の先端には第1のシール部材83が設けられているとともに、本体部71には第2のシール部材84が設けられている。各シール部材83,84はケーシング部材CSの側壁に当接し、側壁と調整リング70の外周との間の空間がシールされることにより、収容空間40には、調整リング70及び各シール部材83,84によって制御油室42が区画形成されている。

0025

制御油室42には、制御油路111と連通する開口部14が設けられており、この制御油路111及び開口部14を通じてオイル制御バルブ100から制御油室42にオイルが供給可能となっている。また、収容空間40には、制御油室42の容積を小さくする方向への付勢力を突出部72に付与するスプリング15が設けられている。このスプリング15は、突出部72を挟んだ制御油室42の反対側に配設されている。図2には、制御油室42の内圧が低いため、スプリング15からの付勢力によって、制御油室42の容積が最小となる位置で調整リング70が保持されている状態が示されている。なお、本実施形態では、このように制御油室42の容積が最小となるときの調整リング70の位置、すなわち図2での調整リング70の位置を、「初期位置」というものとする。

0026

そして、調整リング70が初期位置に配置されている状況下で、制御油室42にオイルが供給され、制御油室42の内圧が高くなると、スプリング15からの付勢力に抗し、制御油室42の容積を大きくする方向に初期位置から調整リング70が変位する。すなわち、図2に示す状態から図3に示す状態に向かう方向(図2における反時計回り方向)に調整リング70が回動しながら変位する。一方、オイル制御バルブ100の作動によって制御油室42からオイルが排出されるようになると、制御油室42の内圧が低くなり、スプリング15からの付勢力によって、制御油室42の容積を小さくする方向に調整リング70が変位する。すなわち、図3に示す状態から図2に示す状態に向かう方向(図3における時計回り方向)に調整リング70が回動しながら変位する。つまり、調整リング70の位置は、制御油室42の内圧とスプリング15からの付勢力とによって決まる。そして、調整リング70の位置の変化によって、吸入ポート12及び吐出ポート13の各々の開口に対するインナロータ50及びアウタロータ60の歯51,61の噛み合う部分の相対的な位置が変化する。このため、制御油室42の内圧の調整による調整リング70の位置の変更を通じ、吐出ポート13から吐出されるオイルの圧力である吐出圧が変更される。

0027

具体的には、オイルポンプ10では、図2に示されているように調整リング70の位置が「初期位置」にあるときに、オイルの吐出圧が最大になる。図2に示すようにオイルの吐出圧が最大となる位置にある状態から制御油室42の内圧が高くなると、内圧の上昇に伴い、調整リング70が、スプリング15からの付勢力に抗して図2における反時計回り方向に回動しながら変位する。その結果、ロータ50,60の回転に伴って外歯51と内歯61との間の隙間が徐々に大きくなる部分のうち、吸入ポート12と重なる範囲が小さくなるとともに、外歯51と内歯61との間の隙間が徐々に小さくなる部分の一部が吸入ポート12と重なるようになる。その結果、オイルの吐出圧が低くなる。反対に、制御油室42の内圧が低くなると、内圧の低下に伴い、調整リング70が、スプリング15からの付勢力によって図3における時計回り方向に回動しながら変位し、オイルの吐出圧が高くなる。

0028

次に、図1図2及び図3を参照し、オイル制御バルブ100について説明する。
図1及び図2に示すように、オイル制御バルブ100は、電磁駆動式のアクチュエータ100Aの駆動によってスプールの位置を切り替えることにより複数の油路連通状態を切り替えることができる。すなわち、オイル制御バルブ100は、制御油路111が接続される制御ポート101と、オイルポンプ10の吐出油路13aから分岐する供給油路112が接続される供給ポート102と、オイルを排出するための排出油路113が接続される排出ポート103とを備えている。そして、アクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvの調整によってスプールの位置を変化させることにより、同スプールの位置が、制御ポート101に還流してきたオイルを排出ポート103から排出する排出位置(図2)と、供給ポート102に供給されるオイルを制御ポート101から制御油路111に送り出す供給位置(図3)との間で切り替わるようになっている。

0029

次に、図1を参照し、制御装置300について説明する。
図1に示すように、制御装置300には、吐出圧センサ311と、温度センサ312と、クランク角センサ313とが電気的に接続されている。吐出圧センサ311はオイルポンプ10から吐出されたオイルの圧力である吐出圧センサ値PSを検出し、温度センサ312はオイルポンプ10に供給されるオイルの温度である油温TMPを検出する。また、クランク角センサ313は、クランク軸の回転速度であるエンジン回転速度NEを検出する。そして、制御装置300は、これら各センサ311〜313によって検出された情報を基に、オイル制御バルブ100のアクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvを制御することにより、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御するようになっている。

0030

また、制御装置300は、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御するための機能部として、目標設定部301、閾値設定部302及び吐出圧制御部303を有している。

0031

目標設定部301は、オイルポンプ10に対する目標吐出圧PTrを設定する。具体的には、目標設定部301は、上記各デバイス203における要求油圧を個別に導出し、各要求油圧のうち、最も高い要求油圧、又は最も高い要求油圧に応じた油圧を目標吐出圧PTrとする。そして、目標設定部301は、設定した目標吐出圧PTrを吐出圧制御部303に出力する。

0032

閾値設定部302は、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧の変更速度の変更タイミングを吐出圧センサ値PSによって決めるための閾値PSThを設定する。例えば、閾値設定部302は、閾値PSThを、エンジン回転速度NEによって可変させている。すなわち、閾値設定部302は、エンジン回転速度NEが高いほど閾値PSThを大きい値に設定している。そして、閾値設定部302は、設定した閾値PSThを吐出圧制御部303に出力する。

0033

吐出圧制御部303は、入力された目標吐出圧PTr、吐出圧センサ値PS及び閾値PSThなどを基に、アクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvを制御することにより、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を制御する。具体的には、吐出圧制御部303は、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとを用いたフィードバック制御によって導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力することにより、オイルの吐出圧を変更する。また、詳しくは後述するが、吐出圧制御部303は、指示電流値Iocvを変更する場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上であるときには、フィードバック制御によって導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力する場合の吐出圧の変更速度よりも低い変更速度で吐出圧が変化するように、フィードバック制御によって導出した指示電流値Iocvを変更する低速化処理を行い、この低速化処理によって導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力することにより、吐出圧を変更する。

0034

なお、吐出圧制御部303が指示電流値Iocvを大きくすると、オイル制御バルブ100からオイルポンプ10の制御油室42へのオイルの供給圧が高くなり、制御油室42の内圧が増大される。その結果、調整リング70が制御油室42の容積を大きくする方向に変位するため、オイルの吐出圧が減少する。一方、吐出圧制御部303が指示電流値Iocvを小さくすると、オイル制御バルブ100からオイルポンプ10の制御油室42へのオイルの供給圧が低くなり、制御油室42の内圧が減少される。その結果、調整リング70が制御油室42の容積を小さくする方向に変位するため、オイルの吐出圧が増大する。

0035

次に、図4を参照し、オイルポンプ10に対する目標吐出圧PTrが変更されたときに吐出圧制御部303が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとが等しくなったと判定できるまでの間、予め設定された制御サイクル毎に実行される。

0036

図4に示すように、本処理ルーチンにおいて、吐出圧制御部303は、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとを用いたフィードバック制御によって指示電流値Iocvを導出する(ステップS11)。続いて、吐出圧制御部303は、吐出圧センサ311によって検出されている吐出圧センサ値PSが、閾値設定部302によって設定された閾値PSTh以上であるか否かを判定する(ステップS12)。

0037

ここで、オイルポンプ10では、オイルの吐出圧が脈動する。そして、この吐出圧が高いほど、すなわち吐出圧センサ値PSが大きいほど、吐出圧の脈動に起因する音である脈動音が大きくなる。そして、脈動音が小さい場合、脈動音は車両の乗員に聞き取りにくい。しかし、脈動音がある程度大きいと、脈動音が車両の乗員に聞こえてしまう。そこで、本実施形態では、脈動音が乗員に聞こえているか否かを吐出圧センサ値PSを用いて判定できるように、閾値PSThが閾値設定部302によって設定されている。したがって、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上であるときには、脈動音が大きいため、乗員に脈動音が聞こえている可能性があると判定することができる。一方、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満であるときには、脈動音が小さいため、乗員に脈動音が聞こえている可能性があると判定しない。

0038

ステップS12において、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満である場合(NO)、吐出圧制御部303は、その処理を後述するステップS15に移行する。一方、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である場合(ステップS12:YES)、吐出圧制御部303は、その処理を次のステップS13に移行する。

0039

ステップS13において、吐出圧制御部303は、後述する低速化処理によって導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力している状態の継続時間Tmを取得する。そして、吐出圧制御部303は、取得した継続時間Tmが予め設定されている規定時間TmTh未満であるか否かを判定する。なお、規定時間TmThの設定方法については後述する。

0040

ステップS13において、継続時間Tmが規定時間TmTh以上になった場合(NO)、吐出圧制御部303は、その処理を後述するステップS15に移行する。一方、継続時間Tmが規定時間TmTh未満である場合(ステップS13:YES)、吐出圧制御部303は、低速化処理の実施によって指示電流値Iocvを導出する(ステップS14)。この低速化処理では、まず、指示電流値Iocvの前回値と、上記フィードバック制御によって導出された指示電流値Iocvの今回値との差分ΔIocvが算出される。ここでいう「指示電流値Iocvの前回値」とは、本処理ルーチンを前回実行した際にアクチュエータ100Aに入力された指示電流値Iocvのことであり、「指示電流値Iocvの今回値」とは、フィードバック制御によって導出された指示電流値Iocvの最新値のことである。続いて、この差分ΔIocvを「2」以上の整数「N(例えば、3)」で除算し、その算出結果(=ΔIocv/N)と指示電流値Iocvの前回値との和が指示電流値Iocvとして導出される。なお、本実施形態では、上記の差分ΔIocvのこと、すなわちフィードバック制御によって導出された指示電流値Iocvの単位時間あたりの変更量のことを、「第1の変更速度VI1」という。また、低速化処理によって導出される指示電流値Iocvの単位時間あたりの変化量のこと、すなわち差分ΔIocvを「N」で除算した値のことを、「第2の変更速度VI2」という。この第2の変更速度VI2は、第1の変更速度VI1よりも低い速度である。そして、吐出圧制御部303は、その処理を次のステップS15に移行する。

0041

ステップS15において、吐出圧制御部303は、ステップS11又はステップS14で導出した指示電流値Iocvをオイル制御バルブ100のアクチュエータ100Aに入力させることにより、オイル制御バルブ100の駆動を制御する。なお、ステップS14で導出した指示電流値Iocvでオイル制御バルブ100を駆動させる場合、ステップS11で導出した指示電流値Iocvでオイル制御バルブ100を駆動させる場合よりもオイルポンプ10におけるオイルの吐出圧の変更速度が低くなる。その後、吐出圧制御部303は、本処理ルーチンを一旦終了する。

0042

なお、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとが等しくなったと判定できると、すなわち吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに収束したと判定できると、上記の継続時間Tmは「0」にリセットされる。

0043

次に、図5を参照し、規定時間TmThの設定方法について説明する。なお、図5では、説明理解の便宜上、エンジン回転速度NEが一定であり、閾値PSThが変化していないものとして説明している。

0044

図5における二点鎖線は規定吐出圧PSAであり、一点鎖線で示されている閾値PSThは規定吐出圧PSAよりも小さい値に設定されている。この規定吐出圧PSAは、以下に示すような特徴を持つ吐出圧である。
・オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧が規定吐出圧PSA未満の状態から吐出圧が規定吐出圧PSA以上の状態に移行するときに、吐出圧の増大速度が大きいと、脈動音の急激な増大によって車両の乗員に違和感を与えてしまうおそれがある。
・オイルの吐出圧が規定吐出圧PSA以上の状態から吐出圧が規定吐出圧PSA未満の状態に移行するときに、吐出圧の減少速度が大きいと、脈動音の急激な低下によって車両の乗員に違和感を与えてしまうおそれがある。

0045

すなわち、オイルの吐出圧が規定吐出圧PSA未満の状態から吐出圧が規定吐出圧PSA以上の状態に移行するとき、及び、オイルの吐出圧が規定吐出圧PSA以上の状態から吐出圧が規定吐出圧PSA未満の状態に移行するとき、吐出圧の変更速度を低くすることで、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくいということができる。これを実現するためには、オイルの吐出圧が規定吐出圧PSA未満の状態から吐出圧が規定吐出圧PSA以上の状態に移行する際に、吐出圧が規定吐出圧PSAに達した時点では上記の継続時間Tmが規定時間TmTh以上とはなっていないように、規定時間TmThの長さを設定する必要がある。また、オイルの吐出圧が規定吐出圧PSA以上の状態から吐出圧が規定吐出圧PSA未満の状態に移行する際に、吐出圧が規定吐出圧PSAに達した時点では上記の継続時間Tmが規定時間TmTh以上とはなっていないように、規定時間TmThの長さを設定する必要がある。

0046

そこで、オイル供給装置210の設計の上で想定されている目標吐出圧PTrの増大速度の下限値を目標増大速度下限値とし、オイル供給装置210の設計の上で想定されている目標吐出圧PTrの減少速度の下限値を目標減少速度下限値とした場合、本実施形態では、以下に示す2つの条件を満たすように規定時間TmThが設定されている。
・オイルの吐出圧を増大させるに際し、目標吐出圧PTrの増大速度が目標増大速度下限値と等しい場合、すなわち当該吐出圧を最も緩やかに増大させる場合、吐出圧センサ値PSが規定吐出圧PSAよりも大きくなっても、低速化処理によって導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力する状態が継続されること。
・オイルの吐出圧の最大値から吐出圧を減少させるに際し、目標吐出圧PTrの減少速度が目標減少速度下限値と等しい場合、すなわち当該吐出圧を最も緩やかに減少させる場合、吐出圧センサ値PSが規定吐出圧PSAよりも小さくなっても、低速化処理によって導出した指示電流値Iocvをアクチュエータ100Aに入力する状態が継続されること。

0047

次に、図6を参照し、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を変更する際の作用を効果とともに説明する。なお、ここでは、説明理解の便宜上、エンジン200の始動完了後のエンジン回転速度NEが一定であり、閾値PSThが変化していないものとする。

0048

図6(a),(b)に示すように、第1のタイミングt11でエンジン200が始動される。すると、図6(a)に実線で示すように目標吐出圧PSTrが設定され、図6(a)に破線で示すように吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrと等しくなるように、オイル制御バルブ100のアクチュエータ100Aに対する指示電流値Iocvが制御されるようになる。図6に示す例では、第1のタイミングt11からは目標吐出圧PTrが大きくなる。この場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満であるため、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとを用いたフィードバック制御によって導出された指示電流値Iocvがオイル制御バルブ100のアクチュエータ100Aに入力される。そのため、アクチュエータ100Aに入力される指示電流値Iocvが第1の変更速度VI1で減少する。その結果、吐出圧センサ値PSと目標吐出圧PTrとの乖離があまり生じない態様で、吐出圧センサ値PSが増大する。

0049

そして、第2のタイミングt12で吐出圧センサ値PSが閾値PSThに達すると、第2のタイミングt12からは、アクチュエータ100Aには、低速化処理によって導出された指示電流値Iocvが入力されるようになる。そのため、第1の変更速度VI1よりも小さい第2の変更速度VI2で、アクチュエータ100Aに入力される指示電流値Iocvが減少する。その結果、第2のタイミングt12以前のように指示電流値Iocvが第1の変更速度VI1で減少する場合と比較し、吐出圧センサ値PSは緩やかに増大する。その後、第3のタイミングt13で吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに収束すると、指示電流値Iocvが保持される。その結果、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧もまた保持されるようになる。なお、第3のタイミングt13から第4のタイミングt14までの期間のように、吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに収束する間では、継続時間Tmが「0」で保持される。

0050

上述したように、吐出圧センサ値PSが増大し、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上になると、オイルポンプ10で発生する脈動音が車両の乗員に聞こえるようになる。そのため、本実施形態では、オイルポンプ10におけるオイルの吐出圧を増大させて、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満の状態から吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上の状態に移行する場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSThに達したあとでは、吐出圧センサ値PSを緩やかに増大させるようにしている。その結果、オイルポンプ10で発生する脈動音が徐々に大きくなるため、今まで車両の乗員に聞こえていなかった脈動音が急に聞こえるようになる事象が生じにくくなる。したがって、オイルの吐出圧を増大させる際に、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる。

0051

そして、第4のタイミングt14からは、目標吐出圧PTrが小さくなる。第4のタイミングt14では、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上であるため、このとき指示電流値Iocvは、第2の変更速度VI2で増大する。すなわち、第4のタイミングt14から継続時間Tmの計測が開始される。このように指示電流値Iocvを第2の変更速度VI2で増大させることにより、指示電流値Iocvが第1の変更速度VI1で増大する場合と比較し、吐出圧センサ値PSは緩やかに減少する。吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状態では、オイルポンプ10で発生する脈動音が車両の乗員に聞こえている可能性がある。そのため、本実施形態では、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でオイルの吐出圧を減少させる場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満である場合よりもオイルの吐出圧を緩やかに減少させている。その結果、脈動音が徐々に小さくなる、すなわち脈動音が急激に小さくなることが抑制される。つまり、車両の乗員に聞こえていた脈動音が急に聞こえなくなる事象が生じにくくなる。したがって、オイルの吐出圧を減少させる際に、脈動音の変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる。

0052

このように第2の変更速度VI2で指示電流値Iocvを増大させることでオイルの吐出圧を減少させていると、第5のタイミングt15で吐出圧センサ値PSが閾値PSThに達する。すなわち、第5のタイミングt15よりもあとでは、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満となる。このように吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満になると、車両の乗員が脈動音を聞き取りにくくなったと判定できる。このときには、指示電流値Iocvが第1の変更速度VI1で減少するようになる。そのため、第5のタイミングt15以前よりもオイルの吐出圧の減少速度が高くなる。これにより、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満になっても第2の変更速度VI2で指示電流値Iocvが増大する場合と比較し、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとのずれ量を早期に小さくすることを抑制できる。その後の第6のタイミングt16で、吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに収束すると、指示電流値Iocvが保持されるようになる。

0053

ここまで説明してきたように、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満であるときに、目標吐出圧PTrが閾値PSThよりも大きい値に設定されることがある。この場合、吐出圧センサ値PSが目標吐出圧PTrに達するまでは、第1の変更速度VI1で指示電流値Iocvを減少させる。こうして第1の変更速度VI1で指示電流値Iocvを減少させることで、オイルの吐出圧が速やかに増大するようになる。そして、吐出圧センサ値PSが閾値PSThに達すると、それ以降では、第2の変更速度VI2で指示電流値Iocvを減少させる。

0054

ここで、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でのオイルの吐出圧の増大が継続されている場合、脈動音が大きい状態が継続されていることとなる。このような場合、脈動音の変化速度が大きくても、車両の乗員に違和感を与えにくい。そのため、本実施形態では、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下であっても、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの減少の継続時間Tmが規定時間TmTh以上になったときには、第2の変更速度VI2よりも高い第1の変更速度VI1で指示電流値Iocvが減少されるようになる。これにより、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの減少が継続される場合と比較し、オイルの吐出圧の変化速度を高くすることができる分、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとのずれ量が大きくなりにくくなることができる。すなわち、低速化処理によって指示電流値Iocvを変更している状態の継続時間Tmが規定時間TmThに達したときに、継続時間Tmが規定時間TmThに達する前よりも高い変更速度で当該吐出圧を変更することができる。

0055

また、規定時間TmThは、図5を用いて前述したように設定されている。そのため、このように規定時間TmThが設けられていても、目標吐出圧PTrを減少させて、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上の状態から吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満の状態に移行するときに、吐出圧センサ値PSが規定吐出圧PSA(>PSTh)未満になるまでは、オイルの吐出圧の緩やかな減少を継続させることができる。そのため、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの増大を継続させるか終了させるかの判断基準となる規定時間TmThが設けられていたとしても、吐出圧センサ値PSが規定吐出圧PSAよりも高い状態で第1の変更速度VI1に変更されてしまうことはなくなり、脈動音が急激に聞こえなくなってしまうことを抑制できる。

0056

ところで、運転中のエンジン200ではオイルポンプ10以外からも音が発生している。そして、このようなオイルポンプ10の脈動音以外の他の音は、エンジン回転速度NEが高いほど大きくなりやすい。すなわち、エンジン回転速度NEが高いときには、他の音によってオイルポンプ10の脈動音がマスキングされやすく、脈動音が比較的大きくなっても、乗員は脈動音を聞き取りにくい。そこで、本実施形態では、エンジン回転速度NEが高いほど、閾値PSThを大きい値に設定するようにしている。そのため、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの変更を、脈動音が運転者に聞こえやすいときに限って行うことが可能となる。その結果、第1の変更速度VI1で指示電流値Iocvを変更する機会が減ってしまうことを抑制でき、ひいては、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとのずれ量が大きくなりにくくなる。

0057

なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態では、エンジン回転速度NEに応じて閾値PSThを変えるようにしている。しかし、エンジン回転速度NE以外の他のパラメータに応じて閾値PSThを変えるようにしてもよい。オイルポンプ10に供給されるオイルの温度である油温TMPが低いほど、オイルの吐出圧が高くなりやすい。このように油温TMPに応じてオイルポンプ10の吐出性能が変わってしまうことを鑑み、油温TMPに応じて閾値PSThを変えるようにしてもよい。

0058

また、車速が高いときほど、走行音が大きくなり、脈動音が走行音によってマスキングされやすい。そこで、車速が高いほど閾値PSThを大きくするようにしてもよい。
・エンジン200には、吸気バルブ排気バルブなどのバルブ用のカム軸が設けられている。こうしたカム軸は、クランク軸と同期して回転するものである。そこで、カム軸の回転速度を検出するセンサによって検出されているカム軸の回転速度が高いほど、閾値PSThを大きくするようにしてもよい。このような構成であっても、カム軸の回転速度とエンジン回転速度NEとの間には対応関係があるため、エンジン回転速度NEが高いときほど、閾値PSThを大きくすることができる。

0059

・閾値PSThを、エンジン回転速度NEに応じて変更しなくてもよい。例えば、閾値PSThを、予め設定された所定値で固定してもよい。
・吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下で、上記の継続時間Tmが規定時間TmTh以上になった場合、第2の変更速度VI2よりも高いのであれば、第1の変更速度VI1とは異なる変更速度で指示電流値Iocvを変更するようにしてもよい。例えば、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下で、上記の継続時間Tmが規定時間TmTh以上になった場合、上記の差分ΔIocvを「2」以上であって且つ「N」よりも小さい整数「M(例えば、Nが3の場合には2)」で除算した値と指示電流値Iocvの前回値との和を、指示電流値Iocvとして導出するようにしてもよい。この場合、第1の変更速度VI1よりは低いものの、第2の変更速度VI2よりも高い速度で指示電流値Iocvを変更することができる。

0060

・上記実施形態では、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でオイルの吐出圧を増大させるべく、指示電流値Iocvを第2の変更速度VI2で減少させている場合、上記の継続時間Tmが規定時間TmTh以上になったあとでは、第2の変更速度VI2よりも高い速度で指示電流値Iocvを減少させるようにしている。しかし、これに限らず、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でオイルの吐出圧を増大させるときの指示電流値Iocvの変更速度の変更を、上記実施形態で説明した方法とは異なる方法で実現するようにしてもよい。例えば、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの減少を開始させてからの指示電流値Iocvの減少量、又は吐出圧センサ値PSの増大量が所定量以上になったときに、第2の変更速度VI2よりも高い速度で指示電流値Iocvを減少させるようにしてもよい。この場合であっても、オイルの吐出圧を増大させているときに、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとのずれ量が大きくなることを抑制できる。

0061

なお、このような制御構成を採用する場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でオイルの吐出圧を減少させるときには、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの増大を開始させてからの指示電流値Iocvの増大量、又は吐出圧センサ値PSの減少量が所定量以上になっても、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの増大を継続させるようにしてもよい。これにより、目標吐出圧PTrを減少させて、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上の状態から吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満の状態に移行する場合、吐出圧センサ値PSが規定吐出圧PSA(>PSTh)未満となってもオイルの吐出圧の緩やかな減少を継続させることができる。そのため、オイルの吐出圧を減少させるときに脈動音が急激に聞こえなくなってしまうことを抑制できる。

0062

・指示電流値Iocvを第2の変更速度VI2で変更している状態の継続時間Tmが規定時間TmTh以上になっても、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である限り、第2の変更速度VI2での指示電流値Iocvの変更を継続させるようにしてもよい。

0063

・吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でオイルの吐出圧を変更するときにおける、指示電流値Iocvの単位時間あたりの変化量に対する上限値を予め設け、この上限値を利用して指示電流値Iocvの変更速度を制御するようにしてもよい。すなわち、指示電流値Iocvを増大させるときには、上記の差分ΔIocvと上限値とのうち、小さい方の値である変更値と指示電流値Iocvの前回値との和を指示電流値Iocvとするようにしてもよい。また、指示電流値Iocvを減少させるときには、指示電流値Iocvの前回値から上記の変更値を減じた差を指示電流値Iocvとするようにしてもよい。これにより、上記の差分ΔIocvが上限値を超えるように目標吐出圧PTrが変更される場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上であるときには、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満であるときよりも緩やかに指示電流値Iocvを変更することができる。その結果、脈動音の急激な変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる。

0064

なお、このような制御構成の場合、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下で上記の差分ΔIocvが上限値未満である場合、オイルの吐出圧の変更速度が低く、脈動音が緩やかに変化することとなるため、指示電流値Iocvの変更速度が制限されない。したがって、目標吐出圧PTrと吐出圧センサ値PSとのずれ量が大きくなることを抑制できる。

0065

・吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下でオイルの吐出圧を変更するときには、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満である状況下でオイルの吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該吐出圧を変更することができるのであれば、上記実施形態で説明した方法以外の他の方法で吐出圧を制御するようにしてもよい。例えば、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上であるときには、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満であるときよりもフィードバック制御で用いるゲインを小さくするようにしてもよい。この場合では、上記の低速化処理を実施しなくても、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下で当該吐出圧を変更するときには、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満である状況下で当該吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該吐出圧を変更することができる。

0066

また、例えば、目標吐出圧PTrが変更されたとき、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満である場合には吐出圧の変更速度を予め決められた一定の値である第1の規定速度とし、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である場合には吐出圧の変更速度を第1の規定速度よりも低い一定の値である第2の規定速度にするようにしてもよい。この場合であっても、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上である状況下で当該吐出圧を変更するときには、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh未満である状況下で当該吐出圧を変更するときよりも低い変更速度で当該吐出圧を変更することができる。そのため、吐出圧センサ値PSが閾値PSTh以上であってもオイルの吐出圧の変更速度を第1の規定速度と等しくする場合と比較し、脈動音の急激な変化に起因する違和感を車両の乗員に与えにくくすることができる。

0067

・上記実施形態では、オイル供給装置210は、オイルポンプ10としてギヤポンプを備えている。しかし、オイル供給装置210は、ギヤポンプ以外の他の種類のポンプ(例えば、ベーンポンプ)をオイルポンプ10として備えた構成であってもよい。

0068

・オイルポンプは、機関駆動式のポンプではなく、電動式のポンプであってもよい。この場合であっては、オイルポンプを駆動させるための電動モータの回転速度、すなわち電動モータに対する指示電流値を調整することによってオイルポンプの駆動速度を制御でき、ひいては、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を制御することができる。なお、このような電動式のポンプを備えるオイル供給装置では、当該電動モータが、オイルポンプにおけるオイルの吐出圧を変更すべく作動する電動式のアクチュエータとして機能することとなる。

0069

10…オイルポンプ、100A…アクチュエータ、200…エンジン、210…オイル供給装置、302…閾値設定部、303…吐出圧制御部、311…吐出圧センサ。

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