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技術 炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池

出願人 日清紡ホールディングス株式会社国立大学法人群馬大学
発明者 亀山里江子今城靖雄尾崎純一石井孝文
出願日 2016年12月6日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2016-236828
公開日 2018年6月14日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2018-089591
状態 未査定
技術分野 触媒 無消耗性電極
主要キーワード 強度補正係数 正規値 ピーク半値全幅 性能維持率 窒化ケイ素ボール 測定角度範囲 金属除去処理 残差平方和
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年6月14日)のものです。
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図面 (5)

課題

触媒活性が向上した炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池の提供。

解決手段

金属及びリン原子を含む炭素触媒で、X線光電子分光法測定において、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子P2pピークピーク分離により得られる132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークを示すリン原子の濃度(原子%)の比率が、0.0005以上である炭素触媒。粉末X線回折測定において、回折角(2θ)が26°付近のピークを分離することにより得られる下記2つのピークが、(a)回折角(2θ)が23.5°±3.5°にピークトップを有し半値全幅が10.0°±5.0°であるピークfbroad:73.0〜100.0%未満と(b)回折角(2θ)が26.5°±1.0°にピークトップを有し半値全幅が3.5°±3.0°であるピークfnarrow:0.0%超〜27.0%とを満たす炭素触媒。

概要

背景

特許文献1には、単層グラフェン積層体と、リン化合物とを含み、前記グラフェン炭素原子の一部が窒素原子置換されたグラフェン骨格を含有する酸素還元触媒であって、X線光電子スペクトルにおいてリンp軌道ピークが133.0〜134.5eVであるか、又はX線光電子スペクトルにおいてリン2p軌道のピークがテトラn−ブチルホスホニウムブロミドのリン2p軌道のピークより高エネルギー側に1.0〜2.5eVシフトしている酸素還元触媒が記載され、当該酸素還元触媒には鉄又はコバルトがさらに含まれることや、白金がさらに含まれることも記載されている。

概要

触媒活性が向上した炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池の提供。金属及びリン原子を含む炭素触媒で、X線光電子分光法測定において、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子P2pピークのピーク分離により得られる132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークを示すリン原子の濃度(原子%)の比率が、0.0005以上である炭素触媒。粉末X線回折測定において、回折角(2θ)が26°付近のピークを分離することにより得られる下記2つのピークが、(a)回折角(2θ)が23.5°±3.5°にピークトップを有し半値全幅が10.0°±5.0°であるピークfbroad:73.0〜100.0%未満と(b)回折角(2θ)が26.5°±1.0°にピークトップを有し半値全幅が3.5°±3.0°であるピークfnarrow:0.0%超〜27.0%とを満たす炭素触媒。

目的

本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、触媒活性が向上した炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属及びリン原子を含む炭素触媒であって、X線光電子分光法測定において、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子P2pピークピーク分離により得られる132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークを示すリン原子の濃度(原子%)の比率が、0.0005以上であることを特徴とする炭素触媒。

請求項2

X線光電子分光法測定において、前記リン原子P2pピークのピーク分離により得られる下記5つのピーク(1)〜(5)の面積の合計に対する、下記ピーク(2)の面積の比率が、0.3000以上である:(1)130.0±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;(2)前記132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;(3)133.2±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;(4)133.9±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;及び(5)135.6±0.4eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;ことを特徴とする請求項1に記載の炭素触媒。

請求項3

粉末X線回折測定において、X線回折図形における回折角(2θ)が26°付近のピークを分離することにより得られる下記2つのピークfbroad及びfnarrowの面積割合(%)が下記条件(a)及び(b)を満たす炭素構造を有する:(a)回折角(2θ)が23.5°±3.5°の範囲にピークトップを有し半値全幅が10.0°±5.0°であるピークfbroad:73.0%以上、100.0%未満;(b)回折角(2θ)が26.5°±1.0°の範囲にピークトップを有し半値全幅が3.5°±3.0°であるピークfnarrow:0.0%超、27.0%以下;ことを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素触媒。

請求項4

請求項1乃至3のいずれかに記載の炭素触媒を含むことを特徴とする電極

請求項5

請求項4に記載の電極を含むことを特徴とする電池

技術分野

0001

本発明は、炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、単層グラフェン積層体と、リン化合物とを含み、前記グラフェン炭素原子の一部が窒素原子置換されたグラフェン骨格を含有する酸素還元触媒であって、X線光電子スペクトルにおいてリンp軌道ピークが133.0〜134.5eVであるか、又はX線光電子スペクトルにおいてリン2p軌道のピークがテトラn−ブチルホスホニウムブロミドのリン2p軌道のピークより高エネルギー側に1.0〜2.5eVシフトしている酸素還元触媒が記載され、当該酸素還元触媒には鉄又はコバルトがさらに含まれることや、白金がさらに含まれることも記載されている。

先行技術

0003

特開2013−208597号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、従来、炭素触媒において、どのような状態のリン原子触媒活性の向上に寄与するのかについては明らかでなかった。

0005

本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、触媒活性が向上した炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池を提供することをその目的の一つとする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る炭素触媒は、金属及びリン原子を含む炭素触媒であって、X線光電子分光法測定において、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子P2pピークのピーク分離により得られる132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークを示すリン原子の濃度(原子%)の比率が、0.0005以上であることを特徴とする。本発明によれば、触媒活性が向上した炭素触媒が提供される。

0007

また、前記炭素触媒は、X線光電子分光法測定において、前記リン原子P2pピークのピーク分離により得られる下記5つのピーク(1)〜(5)の面積の合計に対する、下記ピーク(2)の面積の比率が、0.3000以上であることとしてもよい:(1)130.0±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;(2)前記132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;(3)133.2±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;(4)133.9±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク;及び(5)135.6±0.4eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク。

0008

また、前記炭素触媒は、粉末X線回折測定において、X線回折図形における回折角(2θ)が26°付近のピークを分離することにより得られる下記2つのピークfbroad及びfnarrowの面積割合(%)が下記条件(a)及び(b)を満たす炭素構造を有することとしてもよい:(a)回折角(2θ)が23.5°±3.5°の範囲にピークトップを有し半値全幅が10.0°±5.0°であるピークfbroad:73.0%以上、100.0%未満;(b)回折角(2θ)が26.5°±1.0°の範囲にピークトップを有し半値全幅が3.5°±3.0°であるピークfnarrow:0.0%超、27.0%以下。

0009

上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電極は、前記いずれかの炭素触媒を含むことを特徴とする。本発明によれば、性能が向上した電極が提供される。

0010

上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電池は、前記電極を含むことを特徴とする。本発明によれば、性能が向上した電池が提供される。

発明の効果

0011

本発明によれば、触媒活性が向上した炭素触媒並びにこれを含む電極及び電池が提供される。

図面の簡単な説明

0012

本発明の一実施形態に係る実施例で製造された炭素触媒について、X線光電子分光法で得られたリン原子P2pピークのピーク分離を行った結果の一例を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る実施例で製造された炭素触媒について、粉末X線回折で得られたX線回折図形においてピーク分離を行った結果の一例を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る実施例で製造された炭素触媒について、粉末X線回折で得られるX線回折図形においてピーク分離を行った結果の他の例を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る実施例で製造された炭素触媒を評価した結果を示す説明図である。

0013

以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。

0014

本実施形態に係る炭素触媒(以下、「本触媒」という。)は、金属及びリン原子を含む炭素触媒であって、X線光電子分光法(XPS)測定において、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子P2pピークのピーク分離により得られる132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークを示すリン原子の濃度(原子%)の比率が、0.0005以上である。

0015

すなわち、本触媒は、金属及びリン原子を含む炭素触媒である。より具体的に、本触媒は、後述するように、有機物と金属とリン化合物とを含む原料炭素化することにより得られる、当該金属及びリン原子を含む炭素化材料である。

0016

本触媒に含まれる金属は、遷移金属であることが好ましい。本実施形態において、遷移金属は、周期表の3族から12族に属する金属であり、周期表の3族から12族の第4周期に属する遷移金属の1種以上が好ましく使用される。

0017

具体的に、遷移金属は、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ランタノイドセリウム(Ce)等)及びアクチノイドからなる群より選択される1種以上であることとしてもよく、好ましくはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群より選択される1種以上であり、Fe、Cu及びZnからなる群より選択される1種以上であってもよい。

0018

そして、本触媒において特徴的なことの一つは、そのXPS測定により得られる、炭素原子の濃度(原子%)に対する、上記132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク(ピークP132.5)を示す特定のリン原子の濃度(原子%)の比率(P132.5/C比)が所定の閾値以上である点である。

0019

すなわち、本発明の発明者らは、金属及びリン原子を含む炭素触媒の触媒活性を向上させる技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、XPSスペクトルにおいてリン原子P2pピークのピーク分離により得られる上記ピークP132.5を示す特定のリン原子が、当該炭素触媒の触媒活性の向上に寄与していることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。

0020

ここで、XPSスペクトルにおいては、133±3.3eVの範囲にP2pピークが現れる。このP2pピークには、他の原子との結合の仕方が異なることにより酸化状態が異なる5種類のリン原子のピークが含まれる。

0021

すなわち、P2pピークは、後述の実施例で詳細に説明するピーク分離によって、次の5つのピーク(1)〜(5)に分離することができる:(1)130.0±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク(ピークP130.0);(2)132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク(ピークP132.5);(3)133.2±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク(ピークP133.2);(4)133.9±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク(ピークP133.9);及び(5)135.6±0.4eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピーク(ピークP135.6)。

0022

そして、本発明の発明者らは、これら5つのピークのうち、上記ピークP132.5という特定のピークを示すリン原子が、金属及びリン原子を含む炭素触媒の触媒活性に寄与していることを見出した。

0023

このピークP132.5は、上述のとおり、本触媒のXPSスペクトルにおいてリン原子P2pピークをピーク分離することにより得られる上記5つのピークのうちの一つとして特定される。

0024

ピークP132.5を示すリン原子には、例えば、1つ又は2つの酸素原子と結合し、且つ1つ又は2つの炭素原子とも結合しているリン原子が含まれる。より具体的に、ピークP132.5を示すリン原子には、例えば、2つの酸素原子と結合し、且つ2つの炭素原子と結合しているリン原子、及び/又は2つの酸素原子と結合し、且つ1つの炭素原子と結合しているリン原子が含まれる。

0025

一方、ピークP130.0は、単体のリン原子に由来するピークである。ピークP133.2は、リン酸型のリン原子に由来するピークである。ピークP133.9は、−O−PO3原子団のリン原子に由来するピークである。ピークP135.6は、五酸化二リン型のリン原子に由来するピークである。

0026

なお、本触媒について、P2pピークを上記5つのピークに分離するためのピーク分離を行った結果、ピークP132.5以外の4つのピークの少なくとも一つが実質的に検出されないこともある。

0027

本触媒のP132.5/C比は、0.0005以上であれば特に限られないが、例えば、0.0010以上であることが好ましく、0.0020以上であることがより好ましい。さらに、本触媒のP132.5/C比が0.0020以上である場合、当該P132.5/C比は、0.0040以上であることが好ましく、0.0045以上であることがより好ましく、0.0050以上であることがより一層好ましく、0.0055以上であることが特に好ましい。

0028

本触媒のP132.5/C比の上限値は特に限られないが、当該P132.5/C比は、例えば、0.45以下であることとしてもよい。本触媒は、そのP132.5/C比が上記いずれかの範囲であることにより、優れた触媒活性を有する。

0029

本触媒は、X線光電子分光法測定において、リン原子P2pピークのピーク分離により得られる上記5つのピーク(1)〜(5)(ピークP130.0、ピークP132.5、ピークP133.2、ピークP133.9及びピークP135.6)の面積の合計に対する、上記ピーク(2)(ピークP132.5)の面積の比率が、0.3000以上であることとしてもよい。

0030

すなわち、この場合、本触媒のXPSで得られる、ピークP130.0の面積と、ピークP132.5の面積と、ピークP133.2の面積と、ピークP133.9の面積と、ピークP135.6の面積との合計(面積Ptotal)に対する。当該ピークP132.5の面積(面積P132.5)の比率(P132.5/Ptotal比)が、0.3000以上である。

0031

なお、P2pピークを上記5つのピークに分離するためのピーク分離を行った結果、ピークP132.5以外の4つのピークの少なくとも一つが実質的に検出されない場合、当該検出されなかったピークの面積はゼロとして、P132.5/Ptotal比を算出する。

0032

本触媒のXPSで得られる、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子の濃度(原子%)の比率(以下、「P/C比」ということがある。)は、特に限られないが、例えば、0.0020以上であることとしてもよく、0.0040以上であることが好ましく、0.0085以上であることがより好ましく、0.0090以上であることがより一層好ましく、0.0095以上であることが特に好ましい。本触媒のP/C比の上限値は特に限られないが、当該P/C比は、例えば、0.45以下であることとしてもよい。

0033

本触媒のXPSで得られる、リン原子の濃度(原子%)は、特に限られないが、例えば、0.20原子%以上であることとしてもよく、0.40原子%以上であることが好ましく、0.70原子%以上であることがより一層好ましく、0.75原子%以上であることが特に好ましい。本触媒のリン原子の濃度(原子%)の上限値は特に限られないが、当該リン原子の濃度(原子%)は、例えば、30(原子%)以下であることとしてもよい。

0034

本触媒は、粉末X線回折測定において、X線回折図形における回折角(2θ)が26°付近のピークを分離することにより得られる次の2つのピークfbroad及びfnarrowの面積割合(%)が次の条件(a)及び(b)を満たす炭素構造を有することとしてもよい:(a)回折角(2θ)が23.5°±3.5°の範囲にピークトップを有し半値全幅が10.0°±5.0°であるピークfbroad:73.0%以上、100.0%未満;(b)回折角(2θ)が26.5°±1.0°の範囲にピークトップを有し半値全幅が3.5°±3.0°であるピークfnarrow:0.0%超、27.0%以下。

0035

ここで、炭素触媒が、その触媒活性に寄与する湾曲した網面からなる積層構造を有する場合、そのX線回折図においては、回折角(2θ)が26°の付近(23°以上、27°以下の範囲)に炭素(002)面の回折ピークが現れる。このピークには、高結晶成分である黒鉛構造の(002)面に由来する黒鉛構造ピーク(fnarrow)と、低結晶成分に由来するピーク(fbroad)との2種類のピークが混じっている。

0036

この点、X線回折図のピーク分離によって、この26°付近のピークを2つのピークfbroad及びfnarrowに分離することができる。具体的に、このピーク分離は、以下の手順で行う。まず、粉末X線回折測定によって得られたX線回折図形に対して、偏光因子ローレンツ因子及び炭素の原子散乱因子強度補正を行うとともに、回折角10°〜20°付近と回折角30°〜40°付近とを結んだ直線をバックグラウンドとして、これを強度補正後の各回折強度から差し引くバックグラウンド補正を行う。次に、補正されたX線回折図形において、回折角2θ=26°付近にピークトップを有するピークをガウス型の基本波形の重ね合わせにより近似し、ピーク強度ピーク半値全幅及びピーク位置を最適化し、当該ピークに含まれる重なり合った2つのピークの各々をカーブフィッティングすることによりピーク分離を行う。なお、カーブフィッティングは残差平方和が最も小さくなるように行う。ここで、残差平方とは、測定した各回折角における残差の平方のことをいい、残差平方和とはこれらの残差平方の和である。また、残差とは、補正されたX線回折図形における回折角2θ=26°付近にピークトップを有するピークの強度と、分離した2つのピーク(fbroad及びfnarrow)の強度和との差のことをいう。

0037

このようなピーク分離により、2つのピーク、すなわち低結晶成分のピークfbroadと、高結晶成分のピークfnarrowとが得られる。ピークfbroadは、回折角が23.5°±3.5°の範囲にピークトップを有し、その半値全幅は10.0°±5.0°である。ピークfnarrowは、回折角が26.5°±1.0°の範囲にピークトップを有し、その半値全幅は3.5°±3.0°である。そして、ピークfnarrowの回折角は、ピークfbroadの回折角より大きい。

0038

本触媒の上記2つのピークは、次の条件(a)及び(b):(a)fbroad:75.0%以上、99.9%以下;、及び(b)fnarrow:0.1%以上、25.0%以下;を満たすこととしてもよい。

0039

本触媒の上記2つのピークは、次の条件(a)及び(b):(a)fbroad:80.0%以上、99.9%以下;、及び(b)fnarrow:0.1%以上、20.0%以下;を満たすこととしてもよい。

0040

本触媒の上記2つのピークは、次の条件(a)及び(b):(a)fbroad:85.0%以上、99.9%以下;、及び(b)fnarrow:0.1%以上、15.0%以下;を満たすこととしてもよい。

0041

本触媒の上記2つのピークは、次の条件(a)及び(b):(a)fbroad:90.0%以上、99.9%以下;、及び(b)fnarrow:0.1%以上、10.0%以下;を満たすこととしてもよい。

0042

上記条件(b)の各範囲の下限値は、0.1%に限られず、例えば、当該条件(b)の各範囲は0.2%以上であり、上記条件(a)の各範囲は99.8%以下であることとしてもよい。

0043

本触媒の上記2つのピークが上記条件(a)及び(b)を満たすこと、すなわち、本触媒の炭素構造が、上記条件(a)を満たす低結晶成分と、上記条件(b)を満たす高結晶成分とを有することは、本触媒の触媒活性及び/又は耐久性に効果的に寄与する。

0044

本触媒は、触媒活性を有する。具体的に、本触媒は、例えば、酸素還元活性を有する。この場合、本触媒は、例えば、燃料電池用電極又は空気電池用電極における酸素還元反応を効果的に触媒する。

0045

本触媒の酸素還元活性は、例えば、本触媒を塗布した作用電極を有する回転リングディスク電極装置を用いて電位掃引印加して得られる電圧電流密度との関係を示すデータ(酸素還元ボルタモグラム)において、0.5V(vs. RHE)の電圧を印加した時の電流密度i0.5(mA/cm2)により評価される。

0046

この場合、本触媒が示す電流密度i0.5は、例えば、−1.0(mA/cm2)以下(例えば、−1.0(mA/cm2)〜−5.0(mA/cm2))であることとしてもよく、−1.5(mA/cm2)以下(例えば、−1.5(mA/cm2)〜−5.0(mA/cm2))であることが好ましく、−2.1(mA/cm2)以下(例えば、−2.1(mA/cm2)〜−5.0(mA/cm2))であることが特に好ましい。

0047

本触媒は、有機物と金属とリン化合物とを含む原料を炭素化することにより得られる。すなわち、本触媒は、有機物と金属とリン化合物とを含む原料の炭素化物である。原料に含まれる有機物は、炭素化できるものであれば特に限られない。すなわち、有機物としては、例えば、高分子量有機化合物(例えば、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂等の樹脂)及び/又は低分子量の有機化合物が使用される。また、有機物としてバイオマスを使用することとしてもよい。

0048

有機物としては、窒素含有有機物が好ましく使用される。窒素含有有機物は、その分子内に窒素原子を含む有機化合物を含む有機物であれば特に限られず、任意の1種以上が使用される。窒素含有有機物を含む原料を使用して得られる本触媒は、窒素原子を含む。

0049

原料における有機物の含有量は、本触媒が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、5質量%以上、90質量%以下であることとしてもよく、10質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。

0050

原料に含まれる金属(すなわち、本触媒に含まれる金属)は、遷移金属であることが好ましい。本実施形態において、遷移金属は、周期表の3族から12族に属する金属であり、周期表の3族から12族の第4周期に属する遷移金属の1種以上が好ましく使用される。

0051

具体的に、遷移金属は、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ランタノイド(セリウム(Ce)等)及びアクチノイドからなる群より選択される1種以上であることとしてもよく、好ましくはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群より選択される1種以上であり、Fe、Cu及びZnからなる群より選択される1種以上であってもよい。

0052

原料に含まれる金属としては、当該金属の単体及び/又は当該金属の化合物が使用される。金属化合物としては、例えば、金属塩金属酸化物金属水酸化物金属窒化物金属硫化物金属炭化物及び金属錯体からなる群より選択される1種以上を使用することとしてもよい。

0053

原料における金属の含有量は、本触媒が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、1質量%以上、90質量%以下であることとしてもよく、2質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。

0054

炭素化は、原料を加熱して、当該原料が炭素化される温度(以下、「炭素化温度」という。)で保持することにより行う。炭素化温度は、原料が炭素化される温度であれば特に限られず、例えば、300℃以上であってもよく、700℃以上であってもよく、900℃以上であってもよい。より具体的に、炭素化温度は、例えば、300℃以上、3000℃以下であってもよく、700℃以上、2000℃以下であってもよく、900℃以上、2000℃以下であってもよい。

0055

炭素化温度までの昇温速度は、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下である。炭素化温度で原料を保持する時間は、例えば、5分以上、24時間以下である。炭素化は、窒素等の不活性ガス流通下で行うことが好ましい。

0056

本触媒は、上述のような原料の炭素化により得られる炭素化材料である。すなわち、上述の炭素化により得られる炭素化材料を、そのまま本触媒として使用してもよい。また、本触媒は、上述の炭素化により得られる炭素化材料にさらなる処理を施して得られることとしてもよい。すなわち、本触媒は、例えば、金属除去処理(例えば、酸による洗浄処理又は電解処理)を施して得られることとしてもよい。

0057

本実施形態に係る電極(以下、「本電極」という。)は、本触媒を含む。すなわち、本電極は、例えば、本触媒が担持された電極である。具体的に、本電極は、例えば、電極基材と、当該電極基材に担持された本触媒と、を有する電極である。

0058

本電極は、例えば、電池用電極である。すなわち、本電極は、例えば、燃料電池用電極又は空気電池用電極である。また、本電極は、例えば、カソード電極又はアノード電極であり、好ましくはカソード電極である。

0059

本実施形態に係る電池(以下、「本電池」という。)は、本電極を含む。すなわち、本電池は、例えば、本電極を含む燃料電池又は空気電池である。本電池は、例えば、本電極を含む膜/電極接合体を有することとしてもよい。本電池は、カソード電極及びアノード電極の一方又は両方として本電極を有する電池であり、好ましくはカソード電極として本電極を有する電池である。

0060

次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。

0061

[実施例1]
1.0gの葉酸と、0.29gの塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)と、1.0gのリン酸とを混合して、炭素化の原料を調製した。次いで、原料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、50℃/分の昇温速度で加熱し、1000℃で1時間保持することにより、炭素化を行った。

0062

炭素化により得られた炭素化材料を、直径が10mmの窒化ケイ素ボールをセットした遊星ボールミル(P−7、フリッチジャパン株式会社製)で粉砕した後、106μmのにかけた。さらに、1MHCl水溶液を加えて1時間撹拌した後、吸引ろ過にて炭素化材料を回収し、80℃の熱真空乾燥を行った。こうして、粉末状の炭素触媒を得た。

0063

[実施例2]
葉酸に代えて1.0gのポリアクリロニトリルを使用し、0.5gのリン酸を使用した以外は上述の実施例1と同様にして、炭素化の原料を混合した。次いで、得られた混合物大気中で加熱して不融化を行った。具体的には、30分間で室温から150℃まで昇温し、続いて2時間かけて150℃から220℃まで昇温した。その後、混合物を220℃で3時間保持し、当該混合物の不融化を行った。こうして、炭素化の原料を調製した。次いで、上述の実施例1と同様に炭素化、粉砕、酸処理、乾燥を行い、炭素触媒を得た。

0064

[実施例3]
葉酸に代えて1.0gのリボフラビンを使用し、0.5gのリン酸を使用した以外は上述の実施例1と同様にして、炭素触媒を得た。

0065

[実施例4]
炭素化の原料として、さらに0.2gの塩化銅(I)(CuCl)を使用した以外は上述の実施例1と同様にして、炭素触媒を得た。

0066

[実施例5]
炭素化の原料として、さらに0.3gの塩化亜鉛(ZnCl2)を使用した以外は上述の実施例1と同様にして、炭素触媒を得た。

0067

[実施例6]
1.0gのリボフラビンと、0.03gの塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)と、1.0gのリン酸とを混合して、炭素化の原料を調製した。次いで、原料を石英管に入れ、イメージ炉にて、窒素雰囲気中、50℃/分の昇温速度で加熱し、700℃で1時間保持することにより、炭素化を行った。

0068

さらに、上述の実施例1と同様に粉砕、酸洗いした後に、上記700℃の炭素化により得られた炭素化材料を、窒素雰囲気中、50℃/分の昇温速度で加熱し、1000℃で1時間保持することにより、追加の炭素化を行った。上記1000℃の炭素化により得られた炭素化材料を、上述の実施例1と同様に粉砕して、粉末状の炭素触媒を得た。

0069

[実施例7]
0.5gのリン酸を使用した以外は上述の実施例1と同様にして、炭素触媒を得た。

0070

[実施例8]
リボフラビンに代えて1.0gの葉酸を使用した以外は上述の実施例6と同様にして、炭素触媒を得た。

0071

[実施例9]
さらに0.3gの塩化亜鉛(ZnCl2)を使用した以外は上述の実施例2と同様にして、炭素触媒を得た。

0072

[比較例1]
塩化鉄に代えて0.36gの硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4・7H2O)を使用し、葉酸に代えて1.0gのメラミン樹脂を使用し、リン酸に代えて0.1gのトリフェニルホスフィンを使用した以外は上述の実施例1と同様にして、炭素触媒を得た。

0073

[比較例2]
0.03gの塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)を使用し、1000℃に代えて700℃で炭素化を行った以外は上述の実施例1と同様にして、炭素触媒を得た。

0074

[X線光電子分光法]
上述のようにして得られた炭素触媒をX線光電子分光法(XPS)により分析した。すなわち、X線光電子分光装置(KratosAXISNOVA、株式会社島津製作所製)(X線:AlKα線、出力:10mA×15kV)により、炭素触媒の表面元素を分析した。具体的に、XPS測定により得られたスペクトルの各ピークの面積と検出感度係数とから、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子及び金属原子の表面元素濃度(原子%)を求め、当該各元素の濃度の比として、表面における、炭素原子の濃度(原子%)に対する窒素原子の濃度(原子%)の比(N/C)、及び炭素原子の濃度(原子%)に対するリン原子の濃度(原子%)の比(P/C)を算出した。なお、定量計算の際のバックグラウンドはShirley法により決定した。

0075

そして、得られたXPSスペクトルにおいて、P2pピークのピーク分離を行うことによって、130.0±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークP130.0:と、132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークP132.5と、133.2±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークP133.2と、133.9±0.3eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークP133.9と、135.6±0.4eVの範囲にピークトップを有し半値全幅が2.0±0.5eVであるピークP135.6とに分離した。

0076

ピークの分離は、重なり合ったピークをガウスローレンツ型の基本波形の重ね合わせにより近似することにより行った。後述するエネルギー値補正及び強度補正を行ったスペクトルに対して、各成分となるガウスローレンツ関数のピーク強度、ピーク半値全幅及びピーク位置をパラメータとして最適化し、当該ピークに含まれる重なり合った5つのピークの各々をカーブフィッティングすることによりピーク分離を行った。なお、カーブフィッティングは残差平方和が最も小さくなるように行った。ここで、残差平方とは、測定した各エネルギー値における残差の平方のことをいい、残差平方和とはこれらの残差平方の和である。また、残差とは、補正されたスペクトルにおけるP2pピークの強度と、分離した5つのピークの強度和との差である。

0077

まず、XPS測定によって得られたXPSスペクトルに対して、エネルギー値の補正を行った。エネルギー値の補正には、C1s由来の炭素原子の測定結果を用いた。C1sピークのピークトップの正規値(ここでは284.5eV)と測定されたC1sピークのピークトップとがずれている場合は、正規値から、測定されたC1sピークの値を差し引いて、この数値を、P2pピークの結合エネルギー値に加える。次に、強度補正を行った。エネルギー値補正して得られたスペクトルの強度からバックグラウンド強度を差し引いて、次いで結合エネルギー140eVの強度と125.9eVの強度とを結んだ直線を各強度から差し引いて、強度補正を行った。こうして得られたスペクトルを用いて、ピーク分離を行った。

0078

そして、上述のピーク分離により得られた5つのピークの面積の合計に対する、ピークP132.5(132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有するピーク)の面積の比率を、P132.5/Ptоtal比として算出した。

0079

さらに、XPSにより測定された、炭素原子の濃度(原子%)に対する、リン原子の濃度(原子%)の比率(P/C比)に、上記P132.5/Ptоtal比を乗じることにより、当該炭素原子の濃度(原子%)に対する、P2ピークを示すリン原子の濃度(原子%)の比率(P132.5/C比)を算出した。

0080

[粉末X線回折]
上述のようにして得られた粉末状の炭素触媒の試料を、ガラス試料板の凹部(2cm×2cm×厚さ0.2mm)に入れるとともにスライドガラス押さえ、当該試料をその表面と基準面とが一致するように当該凹部に均一に充填した。次いで、この充填された試料の形態が崩れないように、ガラス試料板を広角X線回折試料台に固定した。

0081

そして、X線回折装置(XRD-6100、株式会社島津製作所製)を用いてX線回折測定(XRD)を行った。X線管球への印加電圧及び電流はそれぞれ40kV及び30mAとした。サンプリング間隔は0.1°、走査速度は1°/分、測定角度範囲(2θ)は5°〜90°とした。入射X線としてはCuKαを用いた。試料厚みは0.2mmとし、発散スリット幅βは2/3°とした。

0082

さらに、XRD測定により得られたX線回折データのピーク分離によって、回折角(2θ)が26°の付近(23°〜27°の範囲)のピークを2つのピークfbroad及びfnarrowに分離した。ピークの分離は、重なり合ったピークをガウス型の基本波形の重ね合わせにより近似することにより行った。後述する強度補正及びバックグラウンド補正を行った回折図形に対して、各成分となるガウス関数のピーク強度、ピーク半値全幅及びピーク位置をパラメータとして最適化し、当該ピークに含まれる重なり合った2つのピークの各々をカーブフィッティングすることによりピーク分離を行った。なお、カーブフィッティングは残差平方和が最も小さくなるように行った。ここで、残差平方とは、測定した各回折角における残差の平方のことをいい、残差平方和とはこれらの残差平方の和である。また、残差とは、補正されたX線回折図形における回折角2θ=26°付近にピークトップを有するピークの強度と、分離した2つのピーク(fbroad及びfnarrow)の強度和との差である。

0083

強度補正は各回折角における回折強度を強度補正係数で除して行った。強度補正係数は、次式のとおり、偏光因子(P)、ローレンツ因子(L)、炭素の原子散乱因子(fc)の2乗、の積で表される:強度補正係数=L×P×fc2。

0084

偏光因子(P)は次式で表される:P=(1+cos22θ・cos22θ’)/(1+cos22θ’)。ここで、θはゴニオメーターの角度である。θ’は単色化の手法によって異なる。θ’はカウンターモノクロメータを使用した時のモノクロメータ結晶の回折角であり、黒鉛モノクロメータを用いた場合はθ’=13.28°である。カウンターモノクロメータを使わない時(Niフィルター使用の時)は、θ’=0°である。本実施例では黒鉛モノクロメータを使用した。

0085

ローレンツ因子(L)は次式で表される:L=1/(sin2θ・cosθ)。また、炭素の原子散乱因子(fc)は次式で表される:fc=2.26069exp(−0.226907s2)+1.56165exp(−0.00656665s2)+1.05075exp(−0.0975618s2)+0.839259exp(−0.5555949s2)+0.286977。ここで、sは次式で表される:s=sinθ/λ。λはX線回折データを得る際に使った特性X線波長であり、ここではCuKαの波長、λ=0.1541838nmである。また、上記計算式のθの単位はラジアンで計算した。

0086

バックグラウンド補正は、10°〜20°付近と30°〜40°付近とを結んだ直線をバックグラウンドとして、これを強度補正後の各回折強度から差し引くことで行った。以上のピーク分離により得られたそれぞれのピークの面積により、各成分の割合を算出した。

0087

[酸素還元活性]
上述のようにして得られた炭素触媒の酸素還元活性を評価した。まず、炭素触媒を含む触媒スラリーを調製した。具体的に、炭素触媒5mgに、市販の5重量%Nafion(登録商標溶液(Aldrich製)50μL、エタノール150μL、蒸留水150μLを加え、ガラスビーズを加え、10分間超音波処理し、均一な触媒スラリーを得た。

0088

次いで、触媒スラリーをピペットにより吸い取り、回転リングディスク電極装置(RRDE−3A Ver.1.2、ビー・エー・エス株式会社製)のディスク電極(直径4mm)に1.78μL塗布し、乾燥させることにより、作用電極を作製した。対極としては白金電極を用い、参照電極としては可逆水素電極を用いた。電解質溶液としては、酸素飽和させた0.5M硫酸水溶液を用いた。

0089

そして、電極を回転速度1500rpmで回転させ、掃引速度0.1mV/秒で電位を掃引したときの電流密度を電位の関数として記録した。こうして得られた酸素還元ボルタモグラムから、0.5V(vs. RHE)の電圧を印加した時の電流密度i0.5(mA/cm2)を記録した。

0090

性能維持率
上述のようにして得られた炭素触媒の酸素還元活性の維持率(性能維持率)を評価した。すなわち、実施例1〜9及び比較例1、2で得られた炭素触媒の各々について、電圧を繰り返し印加する起動停止試験を行った。まず、炭素触媒を含む触媒スラリーを調製した。具体的に、炭素触媒5mgに、5重量%Nafion(登録商標)溶液(Aldrich製)50μL、エタノール150μL、蒸留水150μLを加え、ガラスビーズを加え、10分間超音波処理し、均一な触媒スラリーを得た。

0091

次いで、この触媒スラリーをピペットにより1.78μL吸い取り、回転リングディスク電極装置(RRDE−3A Ver.1.2、ビー・エー・エス株式会社製)のディスク電極(直径4mm)に塗布し、乾燥させることにより、作用電極を作製した。電解質溶液としては、0.5M硫酸水溶液に酸素常温飽和させたものを用いた。また、参照電極としては可逆水素電極を用いた。そして、電極を回転速度1500rpmで回転させ、掃引速度0.1mV/秒で電位を掃引したときの電流密度を電位の関数として記録した。こうして得られた酸素還元ボルタモグラムから、0V(vs. RHE)の時の電流密度の半分の電流が流れる電位を記録した。これを起動停止試験前の電位とした。

0092

次に、電解質溶液を0.5M硫酸水溶液に窒素を常温で飽和させたものに変更し、1.0〜1.5V、掃引速度0.5mV/秒の三角波を用いて起動停止試験を500サイクル行った。そして、起動停止試験前と同様の条件で電流密度を測定し、起動停止試験前に測定された電位に対する、起動停止試験後に測定された電位の割合を性能維持率(%)として求めた。この性能維持率が高いほど、炭素触媒の耐久性が優れていることを意味する。

0093

[結果]
図1には、実施例1で得られた炭素触媒のXPSスペクトルにおいて、P2pピークのピーク分離を行った結果を示す。なお、図1において、「P1」はピークP130.0を示し、「P2」はピークP132.5を示し、「P3」はピークP133.2を示し、「P4」はピークP133.9を示し、「P5」はピークP135.6を示す。また、「P3」は、そのピーク強度が小さかったため、図1には当該「P3」の拡大図も示している。また、「P5」のピーク強度は、図1において視認できないほど極めて小さかった。

0094

図2Aには、実施例1で得られた炭素触媒のXRD回折図において、ピーク分離を行った結果を示す。図2Bには、比較例1で得られた炭素触媒のXRD回折図において、ピーク分離を行った結果を示す。図3には、実施例1〜9及び比較例1,2のそれぞれについて、XPS測定の結果、XRD測定の結果、及び酸素還元活性測定の結果を示す。

0095

図3に示すように、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒の電流密度i0.5(mA/cm2)は、比較例1,2で得られた炭素触媒のそれより顕著に大きかった。すなわち、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒の酸素還元活性は、比較例1,2で得られた炭素触媒のそれより顕著に高かった。

0096

また、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒の性能維持率(%)は、比較例1,2で得られた炭素触媒のそれより顕著に大きかった。すなわち、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒は、耐久性という点でも、比較例1,2で得られた炭素触媒より優れていた。

0097

そして、図3に示すように、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒のP132.5/C比は、比較例1,2で得られた炭素触媒のそれより顕著に大きかった。したがって、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒は、XPS測定において132.5±0.3eVの範囲にピークトップを有するピークP132.5を示す特定のリン原子を比較的多く含むことにより(すなわち、P2/C比が比較的大きいことにより)、優れた酸素還元活性及び耐久性を示すと考えられた。

0098

さらに、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒は、そのP132.5/Ptotal比が0.3025以上であり、比較例1,2で得られた炭素触媒のそれより大きかった。また、図3に示すように、実施例1〜実施例9で得られた炭素触媒は、XRD測定において、低結晶成分に由来するピークfbroadの割合が72.83%超(より具体的には、94.44%以上)、高結晶成分に由来するピークfnarrowの割合が27.17%未満(より具体的には、5.56%以下)であった。

0099

また、実施例1,4,5,6,8で得られた炭素触媒は、実施例2,3,7,9で得られた炭素触媒に比べても、その電流密度i0.5及び性能維持率が特に優れていた。この点、実施例1,4,5,6,8で得られた炭素触媒のP132.5/C比は、0.0038超(より具体的には、0.0057以上)であり、実施例2,3,7,9で得られた炭素触媒のそれより大きかった。

実施例

0100

また、実施例1,4,5,6,8で得られた炭素触媒のP/C比は、0.0080超(より具体的には、0.0100以上)であり、実施例2,3,7,9で得られた炭素触媒のそれより大きかった。また、実施例1,4,5,6,8で得られた炭素触媒のリン原子の量(原子%)は、0.65超(より具体的には、0.79以上)であり、実施例2,3,7,9で得られた炭素触媒のそれより大きかった。

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