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課題
解決手段
概要
背景
概要
欠陥によりもたらされたシンチレータ内のシンチレーションの干渉を最小にする。放射線検出器は、シンチレータ、光源、及びセンサを備えうる。該シンチレータは、不可視放射線(入射放射線)を可視光に変換する能力を有するシンチレーション物質を含みうる。該センサは、何らかの変換された可視光を該センサにより検出又は測定するために、該シンチレータに隣接して又は近傍に置かれうる。該光源は、該シンチレータを光に曝すために、該シンチレータに隣接して又は近傍に置かれ、該光源からの該光が、該シンチレータ内の欠陥と相互作用し、該欠陥によりもたらされた該シンチレータ内のシンチレーションの干渉を最小にする。
目的
一般に、高シンチレーション光収量(light yield:光子収率ともいう)、高速シンチレーション運動学(減衰時間と立ち上がり時間の両方)、良好なエネルギー分解能、高精度の比例性、及び環境光被曝に対する相対的不感応性が望まれている
効果
実績
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請求項1
放射線検出器であって、シンチレータ、光源、及びセンサを備え、該シンチレータは、不可視放射線を可視光に変換する能力を有し、該センサは、該シンチレータからの変換された可視光を検出するために、該シンチレータの近傍に置かれ、かつ該光源は、該シンチレータを光に曝すために、該シンチレータの近傍に置かれ、該光源からの該光が、該シンチレータ内の欠陥と相互作用し、該欠陥によりもたらされた該シンチレータ内のシンチレーションの干渉を最小にする、上記放射線検出器。
請求項2
さらに、該シンチレータと該センサの間にフィルタを備えている、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項3
該フィルタは、該光源から該光が該センサに到達するのを実質的に防止する、請求項2に記載の放射線検出器。
請求項4
該シンチレータは、GAGG又はGGAG物質を含んでいる、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項5
請求項6
請求項7
該光源は、該シンチレータを該光に連続的に曝す、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項8
該光源は、シンチレーション検出の間、該シンチレータを該光に連続的に曝す、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項9
請求項10
該光源は、該シンチレータを該光のパルスに曝す、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項11
該光源は、シンチレーション検出の動作以前の較正フェーズの間の所定の期間、該シンチレータを該光に曝す、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項12
さらに、該シンチレータを第2の光に曝すために該シンチレータの近傍に置かれた第2光源を備え、該第2光源からの該第2の光が、該シンチレータ内の残光欠陥と相互作用して該欠陥による残光を減らす、請求項1に記載の放射線検出器。
請求項13
技術分野
0001
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示の全ての内容が本明細書に組み入れられるところの、2013年6月14日に出願された「RADIATION DETECTOR FORIMAGINGAPPLICATIONS WITH STABILIZED LIGHT OUTPUT」と題する米国仮特許出願第61/835,072号の利益を主張する。
0003
背景技術
シンチレーション物質は、医療画像化、地質学的調査、国土安全保障を含む様々な応用並びに高エネルギー物理学における、高エネルギー光子、電子、及び他の粒子を検出するための光検出器と関連して科学的にも経済的にも重要である。放射線検出/画像化装置において、シンチレーション物質(例えば、セリウム添加シンチレータ)が用いられる。これらシンチレータ(放射線検出媒体)において、これらの応用においてそれらの価値を最大にするために、或る特性が望まれる。一般に、高シンチレーション光収量(light yield:光子収率ともいう)、高速シンチレーション運動学(減衰時間と立ち上がり時間の両方)、良好なエネルギー分解能、高精度の比例性、及び環境光被曝に対する相対的不感応性が望まれている。
図面の簡単な説明
0005
本発明の実施態様の放射線検出器を示す図である。
本発明の実施態様の放射線検出器の特性を示す図である。
本発明の実施態様の放射線検出器の特性を示す図である。
本発明の実施態様の放射線検出器の特性を示す図である。
0006
詳細な説明
図1は、本発明の一実施態様の放射線検出器(100)を示す。
0008
シンチレータ(110)は、見えない放射線(入射放射線)を可視光(放出放射線)に変換する能力を有する、様々なシンチレーション物質を含みうる。センサ(140)は、いかなる変換された可視光も、センサ(140)により検出又は測定できるように、シンチレータ(110)に隣接又は近接して置かれうる。光源(120)は、光源(120)からの光が、シンチレータ(110)内の欠陥と相互作用するように、見えない放射線を欠陥によりもたらされた可視光に変換する際の相互干渉を最小化するために、シンチレータ(110)に隣接又は近接して置かれうる。
0009
シンチレータ(110)は、イオン化放射線と相互作用するとき、究極的にイメージを作るのに使われる測定可能な応答を有する物質でありうるか又そのような物質を含みうる。いくつかの実施態様において、該物質は、入射放射線によって光の光子を作るところのシンチレーション物質である。
0011
いくつかの実施態様において、放射線検出器(100)は、医療画像応用、例えばポジトロン断層撮影(PET:positron emission tomography)、飛行時間差ポジトロン断層撮影(TOF−PET:time-of-flight positron emission tomography)、X線コンピュータ断層撮影(X−ray CT:X-ray computed tomography)、又は単一光子放射断層撮影(SPECT:single-photon emission computed tomography)及び何らかの他の複合システム(PET−CT、PET−MRI、PETSPECT)を含む放射線検出の応用の多様な形態において使用に適しうる。
0012
光源(120)は、何らかの長期間の光出力ドリフトを安定化させるために、シンチレータ(110)のあらゆる部分に様々に選択された波長の光を当てる。ドリフトは、シンチレータ(110)のシンチレーション物質内の欠陥によって引き起こされる。或る波長の光にシンチレータ(110)を曝すことは、放射線検出器(100)内部で、シンチレータ(110)内の欠陥を飽和エネルギー状態に保つことが生じうる。飽和された欠陥は、シンチレーション過程に著しく低い影響又は干渉しか持ちえない。光に当てることは、放射線検出器(100)の正常動作状態の間及び較正又はアイドリング時間の間、連続的に又は間欠的に又はパルス状になされうる。
0013
いくつかの実施態様において、いかなる与えられた応用に対しても放射線検出器(100)の性能を最適化するために、光源(120)からの特定の光波長又は波長の多数の帯域/領域、強度、及び露出時間/継続期間/頻度が、選択若しくは調整されうる。光源(120)からの光波長、強度、及び露出時間/継続期間/頻度の選択が、放射線検出器(100)の設計のために為されうる。代わりに、光源(120)からの光波長、強度、及び露出時間/継続期間/頻度の調整が、環境条件に起因するような特性変化に対して調整するために、動作若しくは較正の間にその場で為され得る。該調整は、光源(120)を制御する制御器(示されていない)によって制御され、そして、調整は、放射線検出器(100)の特性の測定に基づいて制御されうる。
0014
さらに放射線検出器(100)は、シンチレータ(110)とセンサ(140)の間に、信号コントラストを増すために光源(120)からの光を選択出力しうるフィルタ(130)を含みうる。光源(120)からの光は、シンチレータ(110)を透過しそしてセンサ(140)に到達しうるので、センサ(140)は光源(120)からの光を検出しうる。光源(120)からの検出された光は、一般的に、雑音と考えられうる。センサ(140)が、シンチレータ(110)内のシンチレーション過程からの光を検出することを可能にし、且つ光源(120)からの光を検出しない(又はより少なく検出する)ことを可能にするために、該フィルタ(130)は、光源(120)からの光を選択出力しうる。光源(120)からの光は、特定の波長で同調/選択されうるので、該フィルタ(130)は、同様に、光源(120)からの光の特定の波長を選択/阻止するように同調/選択されえて、光源(120)からの光は、該フィルタ(130)を通過後、センサ(140)に到達すると強度が下げられうる。
0015
一実施態様において、光源(120)からの光は、シンチレータ(110)が、光源(120)からの光に曝されるような放射線検出器(100)ハウジング内の所望の波長の発光ダイオード(LED)又は別の光源によって発生されうる。または、シンチレータ(110)は、シンチレータ自身の正常発光によって励起されるときに、所望の波長で発光する蛍光物質若しくは他の物質で取り囲まれうる。光に曝すことは、シンチレータ(110)内の欠陥中心を飽和するために、持続時間、及び/又は、強度において十分であるべきであり、欠陥中心は実質的に荷電キャリヤを捕獲出来ず、シンチレーション過程は実質的に妨げられない。
0017
X線又は別のイオン化放射線源は、放射線検出器(100)内に、光源(120)の一部分として実装され得、及び/又は、X線発生器若しくは放射線源の一部分として設計され得る。現に開示されている課題の或る実施態様において、放射線源は、露出時間及びシンチレータ(110)の体積内に吸収されるエネルギー量を制御するために、放射線検出器(100)の近傍から移動され得、又は放射線検出器(100)から遮蔽されうる。
0018
一実施態様において、放射線検出器(100)は、シンチレータ(110)の欠陥の全てを飽和させるために、較正フェーズの間の一定期間の間、不可視の放射線(入射放射線、例えばX線)でシンチレータ(110)のあらゆる部分を照射うる。それから動作フェーズの間、同一の不可視放射線(入射放射線、例えばX線)は、不可視放射線でのイメージを生成するために、放射線検出器(100)により飽和欠陥と共に検出され又は測定されるサンプル物質(例えば、生物サンプル)を貫通しうる。較正フェーズの間、光源(120)は、比較的一様な強度を有する不可視放射線(入射放射線、例えばX線)をシンチレータ(110)のあらゆる部分へ導き又は向けうる。動作フェーズの間、光源(120)の不可視放射線は、サンプル物質を通りそれからシンチレータ(110)内へ通る。
0019
一実施態様において、シンチレータ(110)は、ガーネット型シンチレータ、例えばセリウム(Ce)を添加された例えばガドリニウム・ガリウムガーネット結晶、(一般に、GGAGシンチレータ又はGAGGシンチレータと呼ばれる)でありうる。いくつかの実施態様において、現在開示されている対象物質は、ガドリニウム・ガリウムガーネット結晶又はセラミックスをシンチレーション物質として放射線検出器(100)に組み込んでいる。しかし、別の物質が用いられてもよい。シンチレーション物質複合物は、Gd3Ga3Al2O12、Gd3Ga2Al3O12、Gd3Ga1Al4O12、及び別の変種を含みうるが、これらに限定されるものではない。これらシンチレータは、アクチベータ/ドーパント、例えばセリウム又はプロセオジウムを、共ドーパントを伴い若しくはなしに添加されてもよい。
0020
現在開示されている対象物質に係るこれらガリウムガーネットの潜在能力の初期評価のために、単結晶形でのセリウム添加Gd3Ga3Al2O12(GGAG)が、シンチレータ(110)の物質例として用いられた。しかしながら、現在開示されている対象物質は、この詳細な組成に限定されず、またアクチベータとしてはセリウムに限定されず、また単結晶形にも限定されていない。追加の共ドーパントは、アクチベータについて異原子価及び等原子価の両方がこれら複合物に用いられうる。
0021
ガドリニウム・ガリウムガーネットは、高密度で且つ潜在的に良好なシンチレーション特性を有するシンチレータ(110)の有望なクラスである。しかし、ガーネット若しくはペロブスカイト構造を有する物質は、空乏欠陥および逆サイト欠陥を有し得て、それらの欠陥は、これら物質のシンチレーション特性における障害を引き起こしうる。
0022
放射線検出器、例えば画像応用に用いられるものは、該放射線検出器の耐用年数の間中、シンチレータの一貫した動作に依存しうる。画像装置のハードウェア、電子回路、及びソフトウェアは、シンチレータの光収量が、狭い範囲内の比較的一定に維持されるという期待の下に設計されており、この期待から外れることは、検出された信号又は画像の質の劣化をもたらしうる。
0024
シンチレータ(110)は、欠陥捕獲中心を有する物質を含み得て、捕獲された荷電キャリヤの濃度が時間経過で変化し得、それは結果的に光出力を時間に依存させる、すなわち光収量が時間経過と共に低下する。この低下した光収量は、医療画像装置において不安定かつ劣化するシンチレータ動作を引き起こす。
0025
したがって、現在開示されている対象物質のいくつかの実施態様によると、これらトラップを再飽和させるための、低下した光収量を回復するための方法及び装置が、シンチレータ結晶を適切な特定の波長の光、X線、又は何らかの別のタイプのイオン化放射線に曝すことにより提供され、放射線検出器(100)の動作の間、安定な光収量を有する放射線検出器(100)を生み出している。
0026
さらに、別の欠陥捕獲中心は、必ずしもシンチレーション機構と競合せず、又は時間依存光出力をもたらすところの残光効果を作り出しうるが、しかしシンチレータ(110)内に追加的な望ましくない光子の背景雑音信号を出さない。これら「残光」欠陥捕獲中心は、特定の波長の光に曝されている間に満たされうる。満たされた「残光」欠陥捕獲中心は、残光効果を起こす。これら欠陥捕獲中心は、結晶の低温加熱によって空に/解放され得、又は、光学的な漂泊現象に導く或る波長で結晶を照射することによって光学的に空にされうる。光出力の減少を起こす捕獲中心とは対照的に、残光捕獲中心は、残光効果を減らすために、満たされるのではなく空にされることが好ましい。
0027
一実施態様において、光源(120)(又はシンチレータ(110)の近くの第2光源)は、さらに例えばシンチレータ(110)のあらゆる部分の何れの残光欠陥も空に/解放するように光(特定の波長、強度、及び持続時間)を調整することによって、残光欠陥による残光を最小にするために、シンチレータ(110)内の残光欠陥と相互作用するように光を生成する。
0030
GAGG:Ce結晶(5x5x5mm3の試験サンプル)について測られたTLスペクトルは、10度Kから500度Kまでの、いくつかの(グローピークを有する)グローバンドを示し、ひいては捕獲中心の数の存在を示している。300度Kで見られるグローピークの原因である欠陥捕獲中心は、シンチレータの室温シンチレーション特性に影響を与える第1次的な原因でありうる。
0031
室温での欠陥捕獲中心は、サンプルを加熱することによって、又は長時間サンプルを暗闇に置いておくことによって、熱的に過疎に(空に/解放)されうる。これら空にされた欠陥捕獲中心は、その後、シンチレーション過程を妨害しうる。
0032
サンプル試験の間、シンチレーション光出力は、空気中500℃で該結晶(5x5x5mm3)を加熱することによって約45%まで減少した。
0033
光出力はまた、図3に示されたように、室温で暗闇に該サンプル置いておくことによって、時間と共に減少することが見出された。
0034
図3は、本発明の一実施態様の放射線検出器の特性を示している。
0035
図3に示されたように、結晶サンプルを室温で暗闇に保つことは、相対的光出力を時間の経過と共に減らすことになりうる。相対的光収量は、その光出力が、参照チャネル数100に設定された標準ビスマス酸化ゲルマニウム(BGO)結晶の特性と比較して、チャネル数で表されている。
0036
もし妨げられなければ、時間の経過にともなう光収量の低下は、放射線検出器(100)の特性を下げることにつながりうる。したがって、光収量を元の値に維持すること又は回復することが望ましい。
0037
光を照射することで光収量を回復するために、光源(120)からの光の適切な波長を決定するために、該サンプル(5x5x5mm3)は、荷電キャリヤトラップを空にするために300℃で加熱され、測定可能な光生成を低減した。その結果、光生成の回復は、光生成の代表として、サンプルが異なる波長の光に曝された後に、フォトルミネッセンス(PL)発光強度を監視することによって試験された。
0038
図4は、本発明の実施態様の放射線検出器の特性、特にPL強度の回復に関する、GAGG:Ce結晶サンプルが加熱された後に様々な波長の光を照射することの効果を示している。図4の水平軸は、測定のためのフォトルミネッセンスを作るのに使われた入射放射線の波長を表している。
0039
図4に示されたように、PL強度は、荷電キャリヤトラップが空にされた(ある期間300℃で加熱)後のサンプルにおいて、「アニーリング前の」測定との比較において顕著に低下された。サンプルは、その後、個別に異なる波長の光に曝され、そして各特定の波長の光エネルギーの欠陥トラップを再充填する能力を観察するためにフォトルミネッセンスを介して試験された。
0041
同様に、これらの結果は、結晶を500℃まで加熱することにより、トラップを空にし、その後Cs−137源の放射線からの光収量シンチレーションを測定することによるシンチレーション光収量についても正しい。測定された光収量は、約45%低下された。結晶は、その後、30分の間、445nm波長の光に曝され、そしてシンチレーションの元の光収量が回復された。
0042
表1は、様々な温度でアニールされたGAGG:Ce結晶の相対的シンチレーション光出力を示している。該光出力は、結晶を光に曝すことなしにアニールの直後に測定され、それからサンプルを21時間、周囲の光に曝した後に再び測定された。報告された光収量は、光収量が100に設定されたBGO参照標準に対している。
0043
0044
従って、シンチレータ(110)を345nm又は445nmの波長の光(それはCe3+をイオン化する)で照射する光源(120)を有する放射線検出器(100)は、欠陥捕獲中心を飽和させ、そして該欠陥捕獲中心がシンチレーション過程を妨害するのを防ぐことによって、実質的に一定の又は安定な光収量を装置運用寿命にわたり維持し続けることができる。
0046
本発明は、特定の実施態様を参照して上に記載されたけれども、本発明は、上記の実施態様及び図面に示された特定の構成に限定されるものではない。例えば、示された構成要素は、1つの構成要素として互いに組み合され得、又は1の構成要素は、いくつかの副構成要素に分割され得、又は何らかの別の公知の若しくは利用可能な構成要素が加えられうる。本発明が、本発明の精神及び実質的特徴から離れないで、別の仕方で実施されうることを、当業者は評価するであろう。従って、本実施態様は、あらゆる点において説明のためであって限定するためではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、これまでの記載によるよりも、添付された請求項によって指示されている。従って、請求項の等価なものの意味及び範囲内に入るあらゆる変更は、本出願に含まれることが意図されている。