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技術 焼結体の製造方法

出願人 住友電工焼結合金株式会社
発明者 楊堅
出願日 2016年11月24日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-228041
公開日 2018年5月31日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2018-083970
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金
主要キーワード 最大応力位置 昇温初期 脱ガス室 カルボニル粉 添加元素粉末 鉄合金粉 連続焼結炉 還元粉
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年5月31日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

焼結体疲労強度を向上させる焼結体の製造方法を提供する。

解決手段

Cu粉を添加した鉄系原料粉末加圧成形して成形体を作製する成形工程と、前記成形体を、800℃以上1000℃以下の予熱温度予熱する予熱工程と、前記予熱された成形体を、前記予熱温度から80℃/分以上の昇温速度で昇温し、1120℃以上1300℃以下の焼結温度焼結する焼結工程とを備える焼結体の製造方法。

概要

背景

鉄粉などの鉄基粉末加圧成形して焼結した焼結体焼結合金)が、自動車部品機械部品などに利用されている。焼結体を利用した部品焼結部品)としては、例えばギアカムスプロケットなどが挙げられる。一般に、焼結体は、鉄基粉末を加圧成形して成形体を作製し、その成形体を焼結することで製造されている(例えば、特許文献1を参照)。

焼結体の製造には、例えば、ローラーハース炉と呼ばれる連続焼結炉が用いられている(例えば、特許文献2を参照)。ローラーハース炉とは、成形体を炉内のローラにより連続的に搬送しながら焼結する連続焼結炉である。特許文献2には、脱ガス室予熱室、焼結室が順に連続して設けられた連続焼結炉が記載されている。

概要

焼結体の疲労強度を向上させる焼結体の製造方法を提供する。Cu粉を添加した鉄系原料粉末を加圧成形して成形体を作製する成形工程と、前記成形体を、800℃以上1000℃以下の予熱温度予熱する予熱工程と、前記予熱された成形体を、前記予熱温度から80℃/分以上の昇温速度で昇温し、1120℃以上1300℃以下の焼結温度で焼結する焼結工程とを備える焼結体の製造方法。なし

目的

そこで、焼結体の疲労強度を向上させる焼結体の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

Cu粉を添加した鉄系原料粉末加圧成形して成形体を作製する成形工程と、前記成形体を、800℃以上1000℃以下の予熱温度予熱する予熱工程と、前記予熱された成形体を、前記予熱温度から80℃/分以上の昇温速度で昇温し、1120℃以上1300℃以下の焼結温度焼結する焼結工程とを備える焼結体の製造方法。

請求項2

前記鉄系原料粉末におけるCu粉の含有量が1.0質量%以上3.0質量%以下である請求項1に記載の焼結体の製造方法。

請求項3

前記鉄系原料粉末が、Crを1.0質量%以上3.5質量%以下、Moを0.2質量%以上1.0質量%以下、Cを0.4質量%以上1.0質量%以下、Niを0.5質量%以上2.0質量%以下含有する請求項1又は請求項2に記載の焼結体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、焼結体の製造方法に関する。

背景技術

0002

鉄粉などの鉄基粉末加圧成形して焼結した焼結体(焼結合金)が、自動車部品機械部品などに利用されている。焼結体を利用した部品焼結部品)としては、例えばギアカムスプロケットなどが挙げられる。一般に、焼結体は、鉄基粉末を加圧成形して成形体を作製し、その成形体を焼結することで製造されている(例えば、特許文献1を参照)。

0003

焼結体の製造には、例えば、ローラーハース炉と呼ばれる連続焼結炉が用いられている(例えば、特許文献2を参照)。ローラーハース炉とは、成形体を炉内のローラにより連続的に搬送しながら焼結する連続焼結炉である。特許文献2には、脱ガス室予熱室、焼結室が順に連続して設けられた連続焼結炉が記載されている。

先行技術

0004

特開2013−204112号公報
特開2015−14041号公報

発明が解決しようとする課題

0005

焼結体の高疲労強度化の要求が高まっている。焼結体は、鉄基粉末の粒子同士が焼結によって結合することにより形成されており、焼結体中には空孔粉末重点)が存在するため、溶製材に比べて疲労強度が低いという問題がある。したがって、焼結体の疲労強度の向上が望まれる。

0006

そこで、焼結体の疲労強度を向上させる焼結体の製造方法を提供することを目的の一つとする。

課題を解決するための手段

0007

本開示に係る焼結体の製造方法は、
Cu粉を添加した鉄系原料粉末を加圧成形して成形体を作製する成形工程と、
前記成形体を、800℃以上1000℃以下の予熱温度予熱する予熱工程と、
前記予熱された成形体を、前記予熱温度から80℃/分以上の昇温速度で昇温し、1120℃以上1300℃以下の焼結温度で焼結する焼結工程とを備える。

発明の効果

0008

上記焼結体の製造方法は、焼結体の疲労強度を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0009

実施形態に係る焼結体の製造方法により製造された焼結体中に存在する空孔を示す模式図である。

実施例

0010

本発明者は、焼結体の疲労特性について鋭意検討した結果、以下の知見を得た。

0011

圧縮応力を焼結体に負荷した場合は、通常、空孔の存在が疲労強度に与える影響は小さいと考えられる。一方、引張応力と圧縮応力とを交互に繰り返す引張‐圧縮応力を焼結体に負荷した場合は、内部の空孔が最大応力位置になり易く、空孔の存在が疲労強度に大きな影響を与えるため、焼結体の引張‐圧縮疲労強度が低い原因となっている可能性が高いと考えられる。

0012

本発明者は、焼結体中の空孔(粉末3重点)の形状に着目した。その結果、従来の焼結体では、粉末3重点において、粒子界面で形成される空孔の角部が鋭角っていることが分かった。そのため、焼結体に引張‐圧縮応力を負荷した場合は、この空孔の鋭角部が最大応力位置になり、応力集中部になる可能性が高い。その結果、引張‐圧縮応力では、空孔の鋭角部が応力集中によって破壊の起点になると考えられる。

0013

そこで、本発明者は、焼結体中の空孔の角部を丸くすることで応力集中を下げることにより、疲労強度(引張‐圧縮疲労強度)の向上を図る方法について研究を進めた。そして、本発明者の鋭意研究の結果、焼結体の原料としてCu粉を添加混合した鉄系原料粉末を用いると共に、予熱温度から焼結温度までの昇温速度を速くすることで、焼結体の疲労強度が向上することを見出した。

0014

本発明者は、焼結体の原料となる鉄系原料粉末に焼結温度より融点が低いCu粉を添加混合することにより、焼結する際にCuの液相が出現し、Cuの液相が空孔の鋭角部に入り込むことで、焼結体中の空孔の角部を丸くすることを考えた。しかし、従来の製造方法では、焼結時の昇温速度についてあまり考慮されておらず、せいぜい40℃/分以下であった。昇温速度が遅いと、CuがFe中に固溶していって融点が高くなり、Cuの液相が出現しない、或いは、液相が出現しても少量となるため、Cuの液相が空孔の鋭角部に十分に入り込まず、空孔の角部が丸くなる現象が起こり難い。昇温速度を速くすると、昇温初期にCuの液相が発生し、Cuの液相が濡れ広がり、空孔の鋭角部に入り込む。空孔の鋭角部に入り込んだCuの液相は、Fe中に徐々に固溶していって融点が上昇し、焼結温度で固化することにより、焼結時に空孔の角部を丸くする。

0015

[本発明の実施形態の説明]
以下、本発明の実施態様を列挙して説明する。

0016

(1)本発明の一態様に係る焼結体の製造方法は、
Cu粉を添加した鉄系原料粉末を加圧成形して成形体を作製する成形工程と、
前記成形体を、800℃以上1000℃以下の予熱温度で予熱する予熱工程と、
前記予熱された成形体を、前記予熱温度から80℃/分以上の昇温速度で昇温し、1120℃以上1300℃以下の焼結温度で焼結する焼結工程とを備える。

0017

Cu粉は、焼結工程の昇温初期に液相として出現し、Cuの液相が空孔(粉末3重点)の鋭角部に入り込むことで、焼結体中の空孔の角部を丸くする働きがあり、焼結体の疲労強度(引張‐圧縮疲労強度)の向上に効果がある。上記焼結体の製造方法によれば、予熱温度から焼結温度までの昇温速度を80℃/分以上とすることで、Cuの液相が出現して空孔の鋭角部に入り込むことにより、焼結体中の空孔の角部が丸くなる。これにより、焼結体の疲労強度を向上させることができる。

0018

予熱温度を800℃以上とすることで、予熱温度から焼結温度までの昇温時間を短くでき、昇温時にCuがFe中に固溶することを抑制できる。予熱温度を1000℃以下とすることで、予熱時にCuがFe中に固溶することを抑制できる。

0019

(2)上記焼結体の製造方法の一態様として、前記鉄系原料粉末におけるCu粉の含有量が1.0質量%以上3.0質量%以下であることが挙げられる。

0020

Cu粉の含有量が1.0質量%以上であることで、Cuの液相が十分出現して、空孔の角部を効果的に丸くすることができ、疲労強度の向上効果が高い。Cu粉を3.0質量%以上含有しても、それ以上疲労強度の向上に寄与しないため、Cu粉の含有量の上限は3.0質量%とする。Cu粉の含有量は、好ましくは1.5質量%以上2.5質量%以下とすることが挙げられる。

0021

(3)上記焼結体の製造方法の一態様として、前記鉄系原料粉末が、Crを1.0質量%以上3.5質量%以下、Moを0.2質量%以上1.0質量%以下、Cを0.4質量%以上1.0質量%以下、Niを0.5質量%以上2.0質量%以下含有することが挙げられる。

0022

Cr、Mo、Niは、焼結体の焼入れ性を改善して、焼結体の高強度化に寄与する。また、Cは、Feと合金化して、焼結体の高強度化に寄与する。各元素の含有量がそれぞれ上記範囲内であることで、その効果が十分に得られる。Feの含有量は90質量%以上が好ましい。

0023

[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る焼結体の製造方法の具体例を以下に説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0024

<焼結体の製造方法>
実施形態に係る焼結体の製造方法は、鉄系原料粉末を加圧成形して成形体を作製する成形工程と、成形体を予熱する予熱工程と、予熱された成形体を昇温して焼結する焼結工程とを備える。実施形態に係る焼結体の製造方法の特徴の1つは、焼結体の原料としてCu粉を添加混合した鉄系原料粉末を用い、予熱温度から焼結温度までの昇温速度を80℃/分以上とする点にある。以下、各工程について詳しく説明する。

0025

(鉄系原料粉末)
鉄系原料粉末は、Feを主成分とする純鉄粉や鉄合金粉(鋼粉など)といった鉄基粉末を主体とし、更にCu粉を添加した混合粉である。鉄系原料粉末には、Cu粉の他、黒鉛紛などの合金成分となる添加元素粉末を含んでいてもよい。添加元素粉末を添加混合した場合、焼結時にFe中に添加元素拡散して合金化し得る。純鉄粉や鉄合金粉としては、例えば、水アトマイズ粉ガスアトマイズ粉カルボニル粉還元粉を使用できる。

0026

(Cu)
鉄系原料粉末に添加混合したCu粉は、昇温時に液相となり、焼結体中の空孔を丸くする働きがあり、焼結体の疲労強度(引張‐圧縮疲労強度)を向上させる効果がある。Cu粉の含有量は、例えば1.0質量%以上3.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以上2.5質量%以下とすることが挙げられる。Cu粉の含有量を1.0質量%以上とすることで、Cuの液相が十分出現して、空孔の角部を効果的に丸くすることができ、疲労強度の向上効果が高い。Cu粉を3.0質量%以上含有しても、それ以上疲労強度の向上に寄与しないため、Cu粉の含有量の上限は3.0質量%とする。また、Cuが焼結時にFe中に拡散することで膨張して、焼結時の収縮を相殺するように作用し、焼結体の寸法精度を高めることができる。

0027

(Cr、Mo、C、Ni)
また、鉄系原料粉末は、Cr、Mo、C、Niなどを合金成分として含有してもよい。これらの元素は、焼結体の強度の向上に有効である。各元素の含有量は、目的とする機械的特性が得られるように適宜調整すればよい。例えば、Crの含有量は1.0質量%以上3.5質量%以下、好ましくは2.5質量%以上とすることが挙げられる。Moの含有量は0.2質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.4質量%以上0.8質量%以下とすることが挙げられる。Cの含有量は0.4質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下とすることが挙げられる。Niの含有量は0.5質量%以上2.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下とすることが挙げられる。C及びNiは、粉末の形で鉄系原料粉末に添加混合してもよい。鉄系原料粉末におけるFeの含有量は90質量%以上とすることが挙げられる。鉄系原料粉末(鉄基粉末)として、Cを予め合金化した鋼粉を用いた場合、硬く成形し難いため、成形体の成形密度を高めることが難しい。よって、Cを予め合金化させずに、鉄系原料粉末にC粉(例えば黒鉛紛)を添加することが好ましく、これにより成形体の成形密度を高めることができ、焼結体を高密度化し易い。

0028

鉄系原料粉末において、純鉄粉や鉄合金粉といった鉄基粉末の平均粒径は、例えば20μm以上200μm以下、更に50μm以上150μm以下とすることが挙げられる。鉄基粉末の平均粒径を上記範囲内とすることで、取り扱い易く、加圧成形し易い。鉄基粉末の平均粒径を20μm以上とすることで、流動性を確保し易い。鉄基粉末の平均粒径を200μm以下とすることで、緻密な組織の焼結体を得易い。また、Cu粉や黒鉛粉Ni粉などの添加元素粉末の平均粒径は、鉄基粉末の平均粒径よりも小さくすることが好ましく、これにより、添加元素粉末の粒子が鉄基粉末の粒子間に均一に分散し易くなり、合金化が進行し易くなる。Cu粉及びNi粉などの平均粒径は、例えば1μm以上20μm以下、更に10μm以下とすることが挙げられる。黒鉛粉の平均粒径は、例えば1μm以上10μm以下とすることが挙げられる。ここでいう「平均粒径」は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した体積粒度分布における累積体積が50%となる粒径(D50)のことである。

0029

潤滑剤)
鉄系原料粉末の成形性を向上する目的で、鉄系原料粉末に対して潤滑剤を添加混合することが挙げられる。潤滑剤には、固体潤滑剤を用いることが好ましく、例えば、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸金属塩ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミドエチレンビスステアリン酸アミドなどのアルキレンビス脂肪酸アミドの少なくとも1種を単独で又は組み合わせて用いることができる。潤滑剤には、公知のものを用いることができる。鉄系原料粉末に対する潤滑剤の添加量は、鉄系原料粉末を100質量%とするとき、例えば0.3質量%以上1.0質量%以下とすることが挙げられる。

0030

(成形工程)
成形工程は、Cu粉を添加した鉄系原料粉末を加圧成形して成形体を作製する工程である。具体的には、鉄系原料粉末を金型充填してプレス成形することが挙げられ、加圧成形は公知のプレス装置を利用できる。加圧成形する際の成形圧を高くするほど、成形体を高密度化でき、焼結体を高強度化できる。成形圧は、例えば600MPa以上、更に700MPa以上とすることが挙げられる。成形圧の上限は、例えば1000MPa以下とすることが挙げられる。

0031

(予熱工程)
予熱工程は、成形体を、800℃以上1000℃以下の予熱温度で予熱する工程である。予熱温度を800℃以上とすることで、予熱温度から焼結温度までの昇温時間を短くでき、昇温時にCuがFe中に固溶することを抑制できる。予熱温度を1000℃以下とすることで、予熱時にCuがFe中に固溶することを抑制できる。予熱温度は、例えば850℃以上950℃以下とすることが好ましい。予熱工程では、成形体全体を予熱温度まで加熱できればよく、予熱時間は、成形体の形状やサイズに応じて適宜設定すればよい。但し、予熱時間が長くなり過ぎると、CuのFe中への固溶が促進される可能性があることから、予熱時間は、例えば5分以上30分以下、更に8分以上20分以下とすることが挙げられる。

0032

(焼結工程)
焼結工程は、予熱された成形体を、予熱温度から80℃/分以上の昇温速度で昇温し、1120℃以上1300℃以下の焼結温度で焼結する工程である。具体的には、予熱工程に続いて焼結工程を連続して行い、予熱工程で予熱された状態の成形体を予熱温度から焼結温度まで昇温する。成形体を焼結することによって、鉄基粉末の粒子同士が接触して結合された焼結体が得られる。焼結温度は、例えば1200℃以上1300℃以下とすることが好ましい。焼結時間は、例えば15分以上150分以下、更に20分以上60分以下とすることが挙げられる。

0033

(昇温速度)
予熱温度から焼結温度までの昇温速度は80℃/分以上とする。これにより、昇温初期にCuの液相が出現し、Cuの液相が濡れ広がり、鉄系原料粉末の成形体中に存在する空孔(粉末3重点)の鋭角部に入り込む。そして、空孔の鋭角部に入り込んだCuの液相がFe中に徐々に固溶して焼結温度で固化することで、焼結体中の空孔の角部が丸くなる。昇温速度が速いほど、Cuの液相が出現し易いため、昇温速度は、例えば100℃/分以上、更に120°/分以上、150℃/分以上、200℃/分以上、300℃/分以上とすることが挙げられる。また、昇温速度を速くすることによって、予熱温度から焼結温度までの昇温時間が短くなり、CuがFe中に固溶することを抑制できる。昇温速度の上限は、特に限定されないが、例えば、昇温速度は400℃/分以下とすることが挙げられる。

0034

また、鉄系原料粉末にCの粉末(例、黒鉛紛など)を添加混合した場合、焼結温度がFe‐C共晶点(1153℃)以上で、CがFeと部分的に共晶反応して、Fe‐Cの接触界面で液相が出現する可能性がある。

0035

作用効果
上述した実施形態の焼結体の製造方法は、次の効果を奏する。

0036

Cu粉を添加した鉄系原料粉末の成形体を焼結する際に予熱温度から焼結温度までの昇温速度を80℃/分以上とすることにより、Cuの液相が出現して空孔(粉末3重点)の鋭角部に入り込むことで、焼結体中の空孔の角部が丸くなる。これにより、焼結体の疲労強度(引張‐圧縮疲労強度)を向上させることができる。具体的には、図1に示すように、焼結体を構成する鉄基粉末の粒子pの3重点に存在する空孔vにおいて、焼結時に空孔vの鋭角部(図中、右下がりハッチングで示す部分)にCuの液相が入り込み、固化することによって、空孔vの角部が丸く形成される。昇温速度が速いので、Fe中にCuが完全に拡散せず、一部のCu(Cu中にFeが拡散している場合を含む)が空孔vの角部に残留する。

0037

実施形態の製造方法により製造された焼結体は、引張‐圧縮疲労特性に優れることから、引張‐圧縮疲労応力がかかる部品に好適に利用できる。

0038

試験例1]
質量比で、Cr:3.0%、Mo:0.5%、C:0.5%、Ni:1.0%、Cu:1.0%含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成(Fe‐3.0Cr‐0.5Mo‐0.5C‐1.0Ni‐1.0Cu)を有する鉄系原料粉末を用意した。ここでは、Fe、Cr及びMoを含有するFe‐Cr‐Moの鉄合金粉(平均粒径(D50):100μm)を用意し、これにCu粉(D50:10μm)、黒鉛紛(D50:10μm)及びNi粉(D50:2.5μm)を添加混合して、所定の組成に調整した混合粉を鉄系原料粉末として用いた。この鉄系原料粉末に対して固体潤滑剤を0.6質量%添加して混合し、700MPaの成形圧で加圧成形して、縦×横×長さが14.5mm×14.5mm×95mmの四角柱状の成形体を作製した。固体潤滑剤には、ステアリン酸亜鉛(D50:100μm)を用いた。この成形体を焼結炉に入れ、950℃の予熱温度で8分間保持して予熱した後、昇温し、1250℃の焼結温度で30分間保持して焼結することにより、焼結体を製造した。

0039

試験例1では、焼結炉のヒータを制御して予熱温度(950℃)から焼結温度(1250℃)までの昇温速度を変更し、表1に示す試料No.1−1〜1−6の焼結体を得た。

0040

試料No.1−1〜1−6の焼結体について、引張‐圧縮疲労強度を評価した。その結果を表1に示す。ここでは、各試料の焼結体を加工して、JIS Z 2274に準じて疲労試験片(1号試験片ゲージ部:直径8mm×長さ30mm)を作製し、各試験片に対して疲労試験を行った。引張‐圧縮疲労強度の評価は、JIS Z 2274に準じて小野式回転曲げ疲労試験機で疲労試験を行い、試験片が破断するまでの繰り返し回数を測定した。この回数が多いほど、引張‐圧縮疲労強度が高いことを意味する。測定条件は、回転数3600rpm、応力比R=−1(両振り)とし、試験片に±300MPaの引張‐圧縮応力を繰り返し負荷した。

0041

0042

表1の結果から、昇温速度を80℃/分以上とした試料No.1−1〜1−5は、引張‐圧縮疲労強度が1×106回超であり、昇温速度が遅い試料No.1−6〜1−8に比べて引張‐圧縮疲労強度が高いことが分かる。この結果から、予熱温度から焼結温度までの昇温速度を速くすることで、焼結体の引張‐圧縮疲労強度を向上できると考えられる。これは、鉄系原料粉末にCu粉を添加し、予熱温度から焼結温度までの昇温速度を80℃/分以上としたことで、焼結時にCuの液相が空孔(粉末3重点)の鋭角部に入り込み、焼結体中の空孔の角部が丸くなることにより、応力集中が緩和され、疲労強度が向上したものと推測される。

0043

[試験例2]
試験例2では、Cu粉の含有量を変更した以外は試験例1と同じ組成の鉄系原料粉末を用意し、Cu粉の含有量が異なる鉄系原料粉末を用い、試験例1と同様にして焼結体を製造した。ここでは、昇温速度を120℃/分とし、表2に示す試料No.2−0〜2−3の焼結体を得た。試料No.2−0は、鉄系原料粉末にCu粉を添加混合していない。試料No.2−0〜2−3の焼結体について、試験例1と同様に引張‐圧縮疲労強度を評価した。その結果を表2に示す。

0044

0045

表2の結果から、Cu粉を添加した鉄系原料粉末を用いた試料No.2−1〜2−3は、引張‐圧縮疲労強度が1×106回超であり、引張‐圧縮疲労特性に優れることが分かる。これに対し、Cu粉を添加していない鉄系原料粉末を用いた試料No.2−0は、試料No.2−1〜2−3よりも引張‐圧縮疲労強度が低く、劣っていることが分かる。この結果から、鉄系原料粉末にCu粉を添加することで、焼結体の引張‐圧縮疲労強度を向上できると考えられる。

0046

p粒子
v 空孔

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