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技術 中綿、及びその製造方法、並びに繊維製品

出願人 株式会社麻絲商会
発明者 福坂壽夫辻文五郎
出願日 2017年6月14日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-116435
公開日 2018年5月24日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-080434
状態 拒絶査定
技術分野 衣服の材料 マットレス,及びいす,ベッドに関するその他 寝具 不織物 天然繊維の採取処理
主要キーワード 製綿機 コットン綿 日陰干し ウェブ同士 サイザル繊維 分繊機 ガラスホルダー ボーメ度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年5月24日)のものです。
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図面 (5)

課題

圧縮に対してへたりにくく、洗濯しても抗菌効果が損なわれにくい、麻繊維を含んで成る中綿、及びその製造方法、並びにこの中綿を内部に含んで成る繊維製品を提供する。

課題を解決するための手段

2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成り、前記麻繊維として、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維と、捲縮を有するラミー繊維と、が含まれる中綿である。前記ヘンプ繊維に起因する抗菌効果は、中綿が繰り返し洗濯されても損なわれにくい。さらに、前記ヘンプ繊維が前記ラミー繊維と混合されて含まれて成ることにより、中綿がかさ高性圧縮弾性に優れる。

概要

背景

中綿は、例えば、布団キルトなどの繊維製品の内部にクッション材として詰め込まれて使用される。また、麻繊維は、吸湿性や水分の発散性に優れ、水分やをすばやく吸収して発散し、清涼感やさらりとした触感を得られる。このため、麻繊維を含んで成る中綿は、用の布団のふとん綿などとして好んで使用される。

さらに、中綿は、クッション材として機能するように、かさ高性や、圧縮後のかさ回復性圧縮弾性)に優れていることが望ましい。しかし、麻繊維では、一般の合成繊維と比べて、繊維を曲げて変形させた場合に生じる歪みが回復しにくい。このため、麻繊維を含んで成る中綿には、圧縮弾性に劣り、圧縮されるとへたりやすいという問題がある。

上記した問題に対処するため、強アルカリ性(25℃でのpHが11.0よりも大きい)のアルカリ液を用いるアルカリ処理(以下「強アルカリ処理」という。)により、この麻繊維にクリンプ(捲縮)を付与する方法が行われてきた。強アルカリ処理の一例としては、マーセル加工が挙げられる。特許文献1では、麻繊維の一種であるラミー繊維をマーセル加工することで、このラミー繊維に捲縮を付与する方法が開示されている。特許文献2,3では、所定の繊維長となるように麻繊維の集合体(例えば、麻トップ)を調製してから、マーセル加工をして麻繊維に捲縮を付与した後、カード機製綿する方法が開示されている。

概要

圧縮に対してへたりにくく、洗濯しても抗菌効果が損なわれにくい、麻繊維を含んで成る中綿、及びその製造方法、並びにこの中綿を内部に含んで成る繊維製品を提供する。2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成り、前記麻繊維として、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維と、捲縮を有するラミー繊維と、が含まれる中綿である。前記ヘンプ繊維に起因する抗菌効果は、中綿が繰り返し洗濯されても損なわれにくい。さらに、前記ヘンプ繊維が前記ラミー繊維と混合されて含まれて成ることにより、中綿がかさ高性と圧縮弾性に優れる。

目的

本発明の課題は、圧縮に対してへたりにくく、洗濯しても抗菌効果が損なわれにくい、麻繊維を含んで成る中綿、及びその製造方法、並びにこの中綿を内部に含んで成る繊維製品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成る中綿であって、前記麻繊維として、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維と、捲縮を有するラミー繊維と、が含まれ、前記ヘンプ繊維および前記ラミー繊維の合計の含有量が80質量%以上かつ100質量%以下であることを特徴とする中綿。

請求項2

衣料布団ブランケットクッション、ぬいぐるみ、及びキルトからなる群より選ばれた1種以上の繊維製品であって、請求項1に記載の中綿を内部に含んで成る繊維製品。

請求項3

2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成る中綿の製造方法であって、前記麻繊維として、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維、及び捲縮を有するラミー繊維を準備する工程と、前記ヘンプ繊維、及び前記ラミー繊維を混合して製綿する工程と、を含み、前記混合をするときに、前記ヘンプ繊維および前記ラミー繊維の合計の含有量が80質量%以上かつ100質量%以下になるように、当該ヘンプ繊維と当該ラミー繊維を混合することを特徴とする中綿の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、麻繊維が含まれて成る中綿、及びその製造方法、並びにこの中綿を内部に含んで成る繊維製品に関する。

背景技術

0002

中綿は、例えば、布団キルトなどの繊維製品の内部にクッション材として詰め込まれて使用される。また、麻繊維は、吸湿性や水分の発散性に優れ、水分やをすばやく吸収して発散し、清涼感やさらりとした触感を得られる。このため、麻繊維を含んで成る中綿は、用の布団のふとん綿などとして好んで使用される。

0003

さらに、中綿は、クッション材として機能するように、かさ高性や、圧縮後のかさ回復性圧縮弾性)に優れていることが望ましい。しかし、麻繊維では、一般の合成繊維と比べて、繊維を曲げて変形させた場合に生じる歪みが回復しにくい。このため、麻繊維を含んで成る中綿には、圧縮弾性に劣り、圧縮されるとへたりやすいという問題がある。

0004

上記した問題に対処するため、強アルカリ性(25℃でのpHが11.0よりも大きい)のアルカリ液を用いるアルカリ処理(以下「強アルカリ処理」という。)により、この麻繊維にクリンプ(捲縮)を付与する方法が行われてきた。強アルカリ処理の一例としては、マーセル加工が挙げられる。特許文献1では、麻繊維の一種であるラミー繊維をマーセル加工することで、このラミー繊維に捲縮を付与する方法が開示されている。特許文献2,3では、所定の繊維長となるように麻繊維の集合体(例えば、麻トップ)を調製してから、マーセル加工をして麻繊維に捲縮を付与した後、カード機製綿する方法が開示されている。

0005

特開平665860号公報
特開昭52−74464号公報
特開2010−189800号公報

先行技術

0006

"ヘンプの抗菌性制菌(殺菌)性について"、[online]、[平成28年5月9日検索]、インターネット<URL:http://asafuku.net/?p=1152>

発明が解決しようとする課題

0007

従来の知見として、かさ高性や圧縮弾性に優れた中綿を得るためには、適度に捲縮を有する繊維からなる中綿を製造すれば良い。しかし、強アルカリ処理をされていない麻繊維は、ほとんど捲縮を有しない。このため、従来の知見では、麻繊維に強アルカリ処理をしなければ、この麻繊維を含んで成る中綿はかさ高性や圧縮弾性に劣っており、この劣った機械的性質をクッション材として優れた性質に改善することは困難とされてきた。

0008

一方、中綿には、その内部や表面で雑菌繁殖しやすい問題がある。このため、中綿が抗菌効果を発揮し、かつ、中綿を洗濯してもこの抗菌効果が損なわれにくいことが望ましい。そこで、麻繊維の一種であるヘンプ繊維が抗菌効果を発揮する(非特許文献1を参照)ことから、抗菌効果を発揮するヘンプ繊維を含んで成る中綿を製造する、という着想を本発明者は得た。

0009

上記した問題に鑑み、本発明の課題は、圧縮に対してへたりにくく、洗濯しても抗菌効果が損なわれにくい、麻繊維を含んで成る中綿、及びその製造方法、並びにこの中綿を内部に含んで成る繊維製品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者が上記した課題を解決しようと鋭意検討した結果、結晶化度が低いヘンプ繊維(強アルカリ処理をされたヘンプ繊維)を含んで成る中綿では、洗濯後に抗菌効果が損なわれてしまう問題があることに気付いた。これに対して、結晶化度が高いヘンプ繊維(強アルカリ処理をされていないヘンプ繊維)を含んで成る中綿では、意外にも、洗濯後でも抗菌効果が損なわれにくいことを発見した。

0011

一方、結晶化度が高いヘンプ繊維(強アルカリ処理をされていないヘンプ繊維)は、剛直であり、実質的に捲縮を有しない。しかし、前述した従来の知見に反して、このヘンプ繊維と、捲縮を有するラミー繊維(強アルカリ処理をされたラミー繊維)と、が混合されて含まれて成る中綿は、かさ高性と圧縮弾性に優れることを本発明者は発見した。これらの発見により、本発明者は、圧縮に対してへたりにくく、洗濯後でも抗菌効果を発揮しやすい、麻繊維を含んで成る中綿を提供できることを見い出した。

0012

すなわち、前述した課題を解決するために、本発明に係る中綿は、2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成る中綿であって、前記麻繊維として、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維と、捲縮を有するラミー繊維と、が含まれる。

0013

本発明に係る中綿では、前記ヘンプ繊維の含有量が30質量%以上かつ70質量%以下であり得る。

0014

本発明に係る中綿では、前記ヘンプ繊維、及び前記ラミー繊維の合計の含有量が80質量%以上かつ100質量%以下であり得る。

0015

この場合に、本発明に係る中綿は、前記ヘンプ繊維の前記ラミー繊維に対する質量比(前記ヘンプ繊維の質量/前記ラミー繊維の質量)が0.4以上かつ2.3以下であり得る。

0016

さらに、本発明に係る繊維製品は、衣料、布団、ブランケットクッション、ぬいぐるみ、及びキルトからなる群より選ばれた1種以上の繊維製品であって、本発明に係る中綿を内部に含んで成る。

0017

また、本発明に係る中綿の製造方法は、2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成る中綿の製造方法であって、前記麻繊維として、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維、及び捲縮を有するラミー繊維を準備する工程と、前記ヘンプ繊維、及び前記ラミー繊維を混合して製綿する工程と、を含む。

発明の効果

0018

本発明に係る中綿によれば、結晶化度が78%以上であるヘンプ繊維(以下「高結晶ヘンプ繊維」という。)が含まれており、この高結晶ヘンプ繊維に起因する抗菌効果は繰り返し洗濯されても損なわれにくい。さらに、捲縮を有するラミー繊維(以下「捲縮ラミー繊維」という。)と高結晶ヘンプ繊維が混合されて含まれることで、本発明に係る中綿はクッション材として適したかさ高性と圧縮弾性を示す。

0019

また、本発明に係る中綿の製造方法によれば、高結晶ヘンプ繊維、及び捲縮ラミー繊維を混合して製綿することにより、本発明に係る中綿を製造することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明に係る繊維製品の一例として、本発明に係る中綿を内部に含んで成る夏用の敷き布団を示す斜視図。図1において二点鎖線で描かれた円の内側では、敷き布団に内包された中綿を透視して示している。
本発明に係る中綿の一実施形態である実施例1で使用された高結晶ヘンプ繊維について、そのX線回折パターンの一例を示すチャート図。なお、cpsは「counts per second」の略である。
比較例1で使用された強アルカリ処理をされたヘンプ繊維について、そのX線回折パターンの一例を示すチャート図。
本発明に係る中綿の製造方法の一例を示すフローチャート。

0021

[中綿]
中綿とは、例えば、断熱緩衝、かさ増しなどの目的のために繊維製品の側生地の内側に詰め物として配されて使用される繊維集合体である。本発明に係る中綿(以下「本中綿」という。)は、2種以上の麻繊維が混合されて含まれて成り、この麻繊維として、高結晶ヘンプ繊維と、捲縮ラミー繊維と、が含まれる。

0022

本中綿は、例えば図1に示すように、ふとん綿5として夏用の敷き布団7の内部に含ませて使用される。この敷き布団7では、布団カバー9内にふとん綿5が詰め込まれている。なお、本中綿は、ふとん綿5としての使用に限らず、例えばクッション材として種々の繊維製品の内部に含ませて使用することができる。

0023

本中綿での麻繊維は、じん皮繊維、及び葉脈繊維からなる群より選ばれた1種以上の繊維である。なお、じん皮繊維とは、植物のじん皮から得られた繊維である。葉脈繊維とは、植物の葉脈から得られた繊維である。じん皮繊維、及び葉脈繊維の各々は、主にセルロースを含み、さらに細胞間物質ペクチンリグニンヘミセルロースなど)を含んで成る。じん皮繊維としては、例えば、リネン亜麻)繊維、ラミー(苧)繊維、ジュート黄麻)繊維、ケナフ洋麻)繊維、ヘンプ(大麻)繊維などが挙げられる。葉脈繊維としては、例えば、アバカマニラ麻)繊維、サイザルサイザル麻)繊維などが挙げられる。

0024

本中綿でのヘンプ繊維は、大麻のから得られたじん皮繊維である。また、高結晶ヘンプ繊維は、その製造過程で強アルカリ処理されておらず、剛直である。なお、高結晶ヘンプ繊維の捲縮率は、例えば、0%以上かつ2%以下である。

0025

上記した捲縮率の数値は、JIS L 1015−2010の「8.12.2けん縮率及び残留けん縮率」に準拠した方法による測定値である。ただし、合成繊維ステープルでの捲縮数と比べて麻繊維での捲縮数は小さいため、上記の方法の通りに大きな初荷重を麻繊維にかけたのでは、その時点で麻繊維が伸びてしまい正確に測定できないおそれがある。このため、本中綿についてヘンプ繊維やラミー繊維の捲縮率を測定する際には、初荷重を「0.05mN×テックス数」とする。つまり、上記した捲縮率の数値は、次の数式1によって算出されるCpの値である。

0026

Cp:捲縮率(%)
Ca:初荷重(0.05mN×テックス数)をかけたときの繊維の長さ(mm)
Cb:4.41mN×テックス数の荷重をかけたときの繊維の長さ(mm)

0027

前述した強アルカリ処理としては、例えば、15℃でのボーメ度が10度以上かつ40度以下(25℃でのpHが14.2〜15.1)である水酸化ナトリウム水溶液を準備して、麻繊維に張力をかけつつ、常温(5〜35℃)に保たれたこの液に麻繊維を60〜90分間浸漬させるマーセル加工が挙げられる。マーセル加工で用いる水酸化ナトリウム水溶液の温度は35℃よりも高温であっても良いが、その場合には、麻繊維を浸漬させる時間を必要に応じて90分よりも短縮することが好ましい。麻繊維のようなセルロース繊維は、強アルカリ処理(例えばマーセル加工)をされると、セルロースの結晶構造を乱されて結晶化度を低下させ、クリンプ(捲縮)の発現と同時に、ヤング率や曲げ硬さを低下させる。つまり、強アルカリ処理をされていないヘンプ繊維では結晶化度が例えば78%以上かつ90%以下であり剛直であるが、強アルカリ処理をされたヘンプ繊維では結晶化度が78%未満に減少しており剛直さを損なって捲縮を有する。

0028

なお、本中綿では、麻繊維が強アルカリ性(pHが11.0より大きい)のアルカリ液に触れない処理を、強アルカリ処理でないものとして扱う。例えば、一般的に繊維を漂白するときには、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のような弱アルカリ性(25℃でのpHが8.0より大きく11.0以下)の漂白液に繊維を浸漬する処理をする場合があるが、この処理を強アルカリ処理でないものとして扱う。漂白液が強アルカリ性でなければ、一般的な漂白の処理条件を逸脱して処理温度が高すぎたり処理時間が長すぎたりしない限り、漂白された麻繊維で結晶化度が大幅に減少したり剛直さが損なわれることは起こりにくい。

0029

本中綿でのヘンプ繊維の結晶化度は、実質的にヘンプ繊維からなる試料を3点以上採取して、シンチレーションカウンター付きのX線回折装置(理学電気株式会社製、RINT2200V/PC型)を用いて反射法により各々の試料についてX線回折をして、得られる広角X線回折パターンに基づいて算出される、各々の試料の結晶化度の数値の平均値である。

0030

上記したX線回折を行なうときは、中綿などのヘンプ繊維を含んで成る麻繊維の集合体のうちでランダムに選んだ箇所からヘンプ繊維を選択的に採取して、なるべくヘンプ繊維のみから成る試料を3点以上調製する。この試料の各々を細かく刻み、パウダー状に加工した試料を得る。X線回折装置に専用のガラスホルダーの内底面に、表面が平らになるようにパウダー状の試料をセットする。それから反射法によりX線回折を行うと、測定結果に基づいて各々の試料の広角X線回折パターンが得られる。このX線回折パターンに基づいて、結晶化度算出ソフト(同社製PDXLソフトウェアバージョン1.8.1.0)により、各々の試料でのヘンプ繊維の結晶化度が自動的に算出される。

0031

例えば、図2,及び図3実線で示すヘンプ繊維のX線回折パターンに関して、(101)面に相当する16°付近破線で示すピーク[1],及び破線で示すピーク[2]、並びに、(002)面に相当する23°付近に破線で示すピーク[4]が、結晶ピークとしてソフトウェアに自動的に認識される。さらに、22°付近に破線で示す非晶ピーク[3]を手動で選択して追加した後、ソフトウェアにより最適化処理を行うと、各々のピークが占める領域が自動的に分離されて、各々のピークの面積から次の数式2によりヘンプ繊維の結晶化度が算出される。

0032

0033

本中綿が発揮する抗菌効果とは、JIS L 1902に記載の菌液吸収法に準拠した試験法により本中綿から採取した試験片に黄色ぶどう球菌接種した試験試料を調製し、JIS L 1902の附属書Cに記載の混釈平板培養法に準拠した定量法により試験試料の洗い出し液から得られる生菌数の数値に基づいて、次の数式3により算出される静菌活性値が2.2以上であり、かつ、次の数式4により算出される殺菌活性値が0以上であることをいう。

0034

Ma:接種直後の試験試料3検体の生菌数の平均値の常用対数値
Mc:接種から18時間培養後の試験試料3検体の生菌数の平均値の常用対数値

0035

Ma,Mcについては、数式3と同じ。
Mb:接種直後の対照試料の生菌数の平均値の常用対数値
Mo:接種から18時間培養後の対照試料の生菌数の平均値の常用対数値

0036

本中綿でのラミー繊維は、苧麻の茎から得られたじん皮繊維である。また、ラミー繊維に強アルカリ処理をして得られる捲縮ラミー繊維は、クリンプ(捲縮)を発現しており、繊維の捲縮率が5%以上である。なお、本中綿に関して「捲縮を有する」とは繊維の捲縮率が5%以上であることをいい、捲縮率が5%未満である繊維は実質的に捲縮を有しないものとして扱う。ラミー繊維が実質的に捲縮を有しない場合の中綿は、クッション材として充分なかさ高性と圧縮弾性を発揮しない。また、高結晶ヘンプ繊維は、その捲縮率が例えば0%以上かつ2%以下であるため、実質的に捲縮を有しない。

0037

以上の構成を含む本中綿を繰り返し洗濯しても、高結晶ヘンプ繊維に起因する抗菌効果は損なわれにくい。さらに、捲縮ラミー繊維と高結晶ヘンプ繊維が混合されて含まれることで、本中綿はクッション材として適したかさ高性と圧縮弾性を示す。このため、本中綿は、好適には後述する繊維製品の内部に詰め込まれて使用される。

0038

本中綿を洗濯しても抗菌効果が損なわれにくいメカニズムは、不明であるが、高結晶ヘンプ繊維(強アルカリ処理をされていないヘンプ繊維)に何らかの抗菌成分が含有されており、本中綿が洗濯されてもこの抗菌成分が高結晶ヘンプ繊維で保持されやすいことによるものと推定される。

0039

また、本中綿がかさ高性に優れているのは、ラミー繊維に付与された捲縮に起因する。なお、本中綿が圧縮弾性(圧縮後のかさ回復性)に優れるメカニズムは、不明であるが、高結晶ヘンプ繊維(強アルカリ処理をされていないヘンプ繊維)が剛直であることに起因すると考えられる。剛直とは、つまり、高結晶ヘンプ繊維が、実質的に捲縮を有さず、ヤング率が大きく、たわみに対する抗力が大きいということである。例えば、本中綿に圧力が加えられると、捲縮ラミー繊維が圧縮されて変形することで本中綿が圧縮されるが、剛直な高結晶ヘンプ繊維がつっぱることで捲縮ラミー繊維の変形が適度に抑えられることにより、本中綿は圧縮弾性に優れるものと推定される。

0040

なお、結晶化度が78%未満であるヘンプ繊維(強アルカリ処理をされたヘンプ繊維)では、その抗菌効果が洗濯によって損なわれてしまう。この現象のメカニズムは不明であるが、例えば、結晶化度が78%未満であるヘンプ繊維は、強アルカリ処理によりアルカリ変性の程度が大きいことに起因して、洗濯によって前述の抗菌成分を流失しやすくなった可能性が考えられる。

0041

本中綿での高結晶ヘンプ繊維の結晶化度は、繊維のアルカリ変性の程度が小さいため繰り返し洗濯しても抗菌効果が保持されやすい観点から、好ましくは80%以上、さらに好ましくは82%以上である。また、高結晶ヘンプ繊維の結晶化度は、繊維の調製が容易である観点から、好ましくは90%以下、さらに好ましくは88%以下である。なお、高結晶ヘンプ繊維の結晶化度は概ね78%以上かつ90%以下であるが、原料となる大麻の茎の品質によっては結晶化度が90%を超えて大きい高結晶ヘンプ繊維を調製できる場合があると考えられる。

0042

本中綿での捲縮ラミー繊維の捲縮率は、本中綿を更にクッション材としてのかさ高性や圧縮弾性に優れたものとする観点から、好ましくは6%以上、さらに好ましくは7%以上である。また、捲縮ラミー繊維の捲縮率は、本中綿の製造時にカーディングした際にネップが多数生じてしまうことを避ける観点から、好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下である。

0043

本中綿は、麻繊維に起因する清涼感を得やすい観点から、高結晶ヘンプ繊維と捲縮ラミー繊維の合計の含有量が、好ましくは80質量%以上かつ100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上かつ100質量%以下、さらにより好ましくは95質量%以上かつ100質量%以下である。なお、本中綿において2種以上の麻繊維の合計の含有量が80質量%を下回り少ないほど、麻繊維に起因する清涼感を得にくくなってしまう。

0044

本中綿では、抗菌効果を発揮しやすい観点、及び圧縮弾性に優れる観点から、高結晶ヘンプ繊維の含有量が、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。また、本中綿では、製造時のカード通過性ウェブ絡合性といった製綿性に優れる観点から、高結晶ヘンプ繊維の含有量が、好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。

0045

本中綿では、捲縮によってかさ高性に優れる観点から、捲縮ラミー繊維の含有量が、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。また、本中綿では、高結晶ヘンプ繊維を充分に含ませる余地を残す観点から、捲縮ラミー繊維の含有量が、好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。

0046

本中綿では、高結晶ヘンプ繊維と捲縮ラミー繊維の合計の含有量が80質量%以上かつ100質量%以下である場合に、抗菌効果を発揮しやすい観点、かさ高性と圧縮弾性に優れる観点、及び製綿性に優れる観点から、高結晶ヘンプ繊維の捲縮ラミー繊維に対する質量比(高結晶ヘンプ繊維の質量/捲縮ラミー繊維の質量)が、好ましくは0.4以上かつ2.3以下、さらに好ましくは0.7以上かつ1.5以下である。

0047

本中綿は、本発明の効果を妨げない限り、3種以上の麻繊維が混合されて含まれて成る中綿であっても良い。このためには、本中綿には、さらに、高結晶ヘンプ繊維および捲縮ラミー繊維以外の麻繊維(以下「他の麻繊維」という。)1種以上が混合されて含まれても良い。他の麻繊維としては、例えば、結晶化度が78%未満であるヘンプ繊維(強アルカリ処理をされたヘンプ繊維)、捲縮率が0%以上かつ5%未満であるラミー繊維(強アルカリ処理をされていないラミー繊維)、リネン繊維、ジュート繊維ケナフ繊維アバカ繊維サイザル繊維が挙げられる。他の麻繊維1種の含有量または2種以上の合計の含有量は、本発明の効果を妨げない観点から、好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満、さらにより好ましくは5質量%未満である。この場合の本中綿では、高結晶ヘンプ繊維と捲縮ラミー繊維に起因する清涼感に加えて、他の麻繊維に起因する清涼感も得ることができる。

0048

本中綿は、本発明の効果を妨げない限り、2種以上の麻繊維と、1種以上の麻繊維以外の繊維と、が混合されて含まれて成る中綿であっても良い。このためには、本中綿には、さらに、麻繊維以外の繊維1種以上が混合されて含まれても良い。麻繊維以外の繊維としては、例えば、綿(コットン)、羊毛レーヨン半合成繊維、及び合成繊維からなる群より選ばれた1種以上の繊維が挙げられる。合成繊維としては、例えばポリエステル繊維が挙げられる。さらにポリエステル繊維を含有する場合の本中綿は、麻繊維のみから成る場合の本中綿と比べて、さらに優れた圧縮弾性を発揮しやすい。本中綿での麻繊維以外の繊維1種の含有量または2種以上の合計の含有量は、本発明の効果を妨げない観点から、好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満、さらにより好ましくは5質量%未満である。

0049

本中綿での麻繊維の平均繊維長は、かさ高性や圧縮弾性に優れる観点から、30mm以上であることが好ましい。また、この平均繊維長は、製綿時にカード機に麻繊維が巻き付きにくく製綿しやすい観点から、60mm以下であることが好ましい。なお、この平均繊維長は、JIS L 1015−2010に準拠した方法により作成されたステープルダイアグラムから当該方法により算出される値である。

0050

本中綿は、本発明の効果を妨げない限り、その表面部分の少なくとも一部において、当該部分にある繊維同士が樹脂により接着されていることが好ましい。この樹脂としては、例えばアクリル系樹脂が挙げられる。この場合、使用時に本中綿が形崩れを起こしにくい。

0051

本中綿は、本発明の効果を妨げない限り、さらに、市販の抗菌剤を含有することが好ましい。この場合の本中綿は、高結晶ヘンプ繊維に起因する抗菌効果に加えて、さらに市販の抗菌剤に起因する抗菌効果も発揮するため、さらに長期にわたり抗菌効果を発揮し続けることができる。

0052

本中綿、高結晶ヘンプ繊維、及び捲縮ラミー繊維の各々は、後述する本発明に係る製造方法で得られたものが好ましい。

0053

[繊維製品]
本発明に係る繊維製品(以下「本繊維製品」という。)については、本中綿に関する記載と共通する事項の説明を省略し、本中綿に関する記載と異なる事項を説明する。本繊維製品は、衣料、布団、ブランケット、枕、クッション、ぬいぐるみ、及びキルトからなる群より選ばれた1種以上の繊維製品であって、本中綿を内部に含んで成る。衣料としては、例えば、丹前が挙げられる。

0054

本繊維製品は、本中綿により清涼感を得やすく、洗濯しても抗菌効果が損なわれにくいため、夏用であることが好ましい。夏用の繊維製品としては、夏用の掛け布団、夏用の抱き枕、図1に示す夏用の敷き布団7などが例示される。

0055

[中綿の製造方法]
本発明に係る中綿の製造方法(以下「本製造法」という。)については、本中綿に関する記載と共通する事項の説明を省略し、本中綿に関する記載と異なる事項を説明する。本製造法は、高結晶ヘンプ繊維および捲縮ラミー繊維を準備する工程と、高結晶ヘンプ繊維および捲縮ラミー繊維を混合して製綿する工程と、を含む。なお、本製造法での製綿する工程とは、高結晶ヘンプ繊維および捲縮ラミー繊維を含んで成る混合物をカーディングしてウェブを得て、このウェブを積層して積層ウェブを得る一連の工程をいう。この積層ウェブは、本中綿として扱うことができる。

0056

以下、図4に基づいて本製造法の一例を説明する。原料を準備する工程S10では、大麻の茎と苧麻の茎を準備する。大麻の茎をはく皮する工程S20、及び、はく皮により得られたじん皮部の繊維塊を軟繊する工程S21により、大麻の茎由来のデガムド繊維塊を得ることができる。なお、はく皮する方法としては、例えば、茎を湯または水に漬してから2〜3日放置して発酵させて、表皮が軟らかくなってからスカチングローラーにかけて砕茎してから、茎の表皮や木質部からじん皮部をはぎ取る方法が挙げられる。軟繊する方法としては、はく皮により得られたじん皮部の繊維塊をローラーにかけて、繊維塊に残存している柔軟組織を除去しつつ、繊維塊に柔軟性を付与する方法が挙げられる。デガムド繊維塊は、一本の植物でのセルロース繊維の集合状態をほぼ保った状態のじん皮繊維の束、つまり、繊維長が長く分繊されていない太いじん皮繊維の束を主体に構成されている。デガムド繊維塊を構成するじん皮繊維の束を所定の長さに切断する工程S22により、高結晶ヘンプ繊維の集合体を得ることができる。

0057

また、苧麻の茎をはく皮する工程S30、はく皮により得られたじん皮部の繊維塊を軟繊する工程S31により、苧麻の茎由来のデガムド繊維塊を得ることができる。このデガムド繊維塊を構成するじん皮繊維の束を所定の長さに切断する工程S32により、ラミー繊維の集合体を得ることができる。このラミー繊維の集合体に前述したマーセル加工をする工程S33により、捲縮ラミー繊維の集合体を得ることができる。

0058

さらに、高結晶ヘンプ繊維の集合体と、捲縮ラミー繊維の集合体と、を混合して得られた混合物について、分繊機および/または反毛機により開繊し分繊する工程S40、及び、開繊され分繊された混合物をカード機によりカーディングする工程S50を経て、ウェブが得られる。このウェブを積層する工程S51により、積層ウェブ(本中綿)を得ることができる。なお、ウェブを積層する方法としては、一枚のウェブを折りたたむのでも良いし、複数枚ウェブ同士積み重ねるのでも良い。

0059

本製造法で高結晶ヘンプ繊維を製造する際には、本発明の効果を妨げない限り、はく皮する工程S20で得られたじん皮部の繊維塊を漂白しても良いし、あるいは、軟繊する工程S21で得られたデガムド繊維塊を漂白しても良い。なお、高結晶ヘンプ繊維を得るためには、この場合の漂白処理では、強アルカリ性の漂白液を使用したり、漂白液の温度が高くなり過ぎたり、処理時間が長くなり過ぎたりしないように留意する。

0060

本製造法で捲縮ラミー繊維を製造する際には、本発明の効果を妨げない限り、はく皮する工程S30で得られたじん皮部の繊維塊を精練しても良く、また、軟繊する工程S31で得られたデガムド繊維塊を漂白しても良い。なお、ラミー繊維に付着している不純物を効率よく分解し除去する観点から、この場合の精練や漂白は強アルカリ処理により行われることが好ましい。例えば、0.4〜40(g/L)の(25℃でのpHが12.0〜14.0の)水酸化ナトリウム水溶液を調製して、この液に苧麻の茎のじん皮部の繊維塊を浸漬させて90〜300分間煮沸することで精練することが好ましい。また、例えば、25℃でのpHが12.0〜14.0となるように水酸化ナトリウム過酸化水素水混合液を調製して、この混合液に苧麻の茎から得られたデガムド繊維塊を浸漬させて80〜95℃で30〜120分加熱することで漂白することが好ましい。

0061

切断する工程S22,及び切断する工程S32の各々では、デガムド繊維塊を構成するじん皮繊維の束を70mm以上かつ120mm以下の間隔で切断することが好ましい。この場合、その後にあるカーディングする工程S50などでも繊維が自ずと切断されるため、本中綿に含まれる麻繊維の平均繊維長が30mm以上かつ60mm以下になりやすい。

0062

本製造法では、マーセル加工の効率を良くする観点から、打綿機開綿機、及び反毛機からなる群より選ばれた1種以上の機器を用いてラミー繊維の集合体をほぐしてから、マーセル加工をする工程S33を行うことが好ましい。同様の観点から、ラミー繊維の集合体をほぐしてからトップメーキングすることによりラミー繊維を麻トップに加工してから、この麻トップについてマーセル加工をする工程S33を行っても良い。あるいは、麻トップに加工された市販のラミー繊維を入手して、このラミー繊維についてマーセル加工をする工程S33を行っても良い。

0063

マーセル加工をする工程S33で使用する水酸化ナトリウム水溶液の15℃でのボーメ度は、ラミー繊維に適度な捲縮を付与する観点から、好ましくは10度以上、さらに好ましくは15度以上、さらにより好ましくは27度以上である。また、ラミー繊維でのアルカリ変性の程度が大き過ぎて繊維が損傷するのを避ける観点から、この水酸化ナトリウム水溶液の15℃でのボーメ度は、好ましくは40度以下、さらに好ましくは35度以下、さらにより好ましくは30度以下である。

0064

本製造法では、高結晶ヘンプ繊維の集合体と、捲縮ラミー繊維の集合体を、それぞれ別に開繊し分繊しても良い。この場合には、それぞれの繊維に適した条件で開繊や分繊を行うことができる。さらに、繊維をそれぞれ別に開繊し分繊した後には、開繊され分繊された高結晶ヘンプ繊維の集合体と、開繊され分繊された捲縮ラミー繊維の集合体と、を混合して混合物を得て、この混合物についてカーディングをしてウェブを得て、このウェブを積層して本中綿を製綿する。あるいは、本製造法では、高結晶ヘンプ繊維の集合体のみを開繊し分繊してから、開繊され分繊された高結晶ヘンプ繊維の集合体と、まだ開繊や分繊をされていない捲縮ラミー繊維の集合体と、を混合して更に開繊し分繊して、カーディングしてウェブを得て、このウェブを積層して本中綿を得ても良い。

0065

本製造法では、高結晶ヘンプ繊維の集合体と捲縮ラミー繊維の集合体をそれぞれ別に反毛し、トップメーキングすることで、高結晶ヘンプ繊維の麻トップと、捲縮ラミー繊維の麻トップを得ても良い。この場合、これらの麻トップを混合して、得られた混合物でカーディングを行ないウェブを得て、複数のウェブを積層して本中綿を製綿する。なお、ラミー繊維の集合体を麻トップに加工してから強アルカリ処理をする場合、これにより得られる捲縮ラミー繊維の集合体については、再度の反毛やトップメーキングをしなくて良い。

0066

本製造法では、高結晶ヘンプ繊維の集合体と捲縮ラミー繊維の集合体を混合するときに、得られる混合物での高結晶ヘンプ繊維の含有量が、好ましくは30質量%以上かつ70質量%以下となるように、さらに好ましくは40質量%以上かつ60質量%以下となるように混合する。また、得られる混合物での捲縮ラミー繊維の含有量が、好ましくは30質量%以上かつ70質量%以下となるように、さらに好ましくは40質量%以上かつ60質量%以下となるように混合する。高結晶ヘンプ繊維の捲縮ラミー繊維に対する質量比(高結晶ヘンプ繊維の質量/捲縮ラミー繊維の質量)が、好ましくは0.4以上かつ2.3以下となるように、さらに好ましくは0.7以上かつ1.5以下となるように混合する。

0067

本製造法では、例えば、3種以上の麻繊維が混合されて含まれて成る中綿や、2種以上の麻繊維と麻繊維以外の繊維1種以上とが混合されて含まれて成る中綿を製造可能である。このためには、例えば、高結晶ヘンプ繊維および捲縮ラミー繊維を含んで成る混合物に、他の麻繊維1種以上、および/または、麻繊維以外の繊維1種以上を混合してから、この混合物をカーディングしてウェブを得て、このウェブを積層して製綿しても良い。

0068

本製造法では、長期間にわたり本中綿に抗菌効果を発揮させる観点から、さらに、積層ウェブ(本中綿)に市販の抗菌剤を含浸させることが好ましい。含浸させる方法としては、乾燥の手間を要しないため、スプレーで積層ウェブ(本中綿)に抗菌剤を吹き付けることが好ましい。

0069

本製造法では、本中綿の形崩れを防止する観点から、さらに、積層ウェブの表面に接着用樹脂エマルションを塗布して、塗布された樹脂エマルションを乾燥させたものを本中綿として扱うことが好ましい。なお、接着用の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂が挙げられる。また、塗布の方法としては、スプレーにより接着用の樹脂エマルションを吹きかけることが好ましい。

0070

[実施例1]
大麻の茎をスカッチングローラーにより破茎してはく皮し、得られたじん皮部の繊維塊をローラーにかけて軟繊することで、ヘンプ繊維の束からなるデガムド繊維塊を得た。この束を100mm間隔で切断し、シート状になるように集めたヘンプ繊維の集合体を得た。このヘンプ繊維は、強アルカリ処理をされていないため剛直であった。この集合体からランダムに10本採取した繊維の平均の捲縮率は、1.5%であった。

0071

上記したヘンプ繊維の集合体からランダムに3点の試料を採取して、前述した方法により試料の結晶化度を測定したところ、例えば図2に実線で示すX線回折パターンが得られた。ソフトウェアによって算出された3点の試料の結晶化度の平均値は、82%であった。このため、上記したヘンプ繊維の集合体は、高結晶ヘンプ繊維の集合体であるといえる。

0072

また、苧麻の茎をスカッチングローラーで破茎してはく皮し、じん皮部の繊維塊を得た。この繊維塊を20g/L(25℃でのpHが13.7)の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させた状態で、この液を180分間煮沸することで精練した。精練された繊維塊をローラーにかけて軟繊することで、ラミー繊維の束からなるデガムド繊維塊を得た。さらに、15℃でのボーメ度が29度(25℃でのpHが14.9)である水酸化ナトリウム水溶液を調製して、ラミー繊維の集合体に張力をかけつつこの液に15〜25℃で75分間浸漬させるマーセル加工をすることで、強アルカリ処理をされたラミー繊維の集合体を得た。この集合体からランダムに10本採取した繊維の平均の捲縮率は、8%であった。このため、上記したラミー繊維の集合体は、捲縮ラミー繊維の集合体であるといえる。

0073

高結晶ヘンプ繊維の集合体と、捲縮ラミー繊維の集合体を、1:1の質量比で混合して混合物を得た。この混合物では、質量比(高結晶ヘンプ繊維の質量/捲縮ラミー繊維の質量)が1.0である。

0074

通常はコットン綿塊の反毛に使用される反毛機を用いて、上記の混合物を反毛することで開繊させ分繊させた。反毛機の回転刃部の回転数を通常にコットン綿塊を反毛するときの70%の回転数に抑えて、混合物を反毛機に2回通して反毛した。反毛された混合物を通常のローラーカード製綿機でカーディングして、ウェブを得た。カーディングするときに、製綿機のシリンダの回転数は300rpmであった。さらに、複数のウェブを積層して、積層ウェブを得た。この積層ウェブの目付は200g/mm2であった。

0075

上記の積層ウェブの両側の表面に、アクリル系樹脂のエマルションをスプレーにより塗布した。塗布後に表面を乾燥させ、表面が軽く固定されたものを実施例1に係る中綿とした。なお、この塗布は、洗濯しても中綿の表面が大きく乱れない程度に、中綿の内部に樹脂がほとんど浸透しない程度に行った。また、実施例1に係る中綿には市販の抗菌剤を含浸させなかった。

0076

[参考例1]
実施例1と同様にして高結晶ヘンプ繊維の集合体を得た。また、繊度が5.6dtexであり平均繊維長が51mmであるポリエステルステープルを準備した。高結晶ヘンプ繊維の集合体と、ポリエステルステープルを、3:7の質量比で混合して混合物を得た。この混合物では、質量比(高結晶ヘンプ繊維の質量/ポリエステルステープルの質量)が0.43である。この混合物について実施例1と同様に処理して、目付が200g/mm2である積層ウェブを得た。さらに、実施例1と同様に、この積層ウェブにアクリル系樹脂のエマルションを塗布し、乾燥し、参考例1に係る中綿を得た。なお、参考例1に係る中綿には市販の抗菌剤を含浸させなかった。

0077

[比較例1]
実施例1と同様にして、ヘンプ繊維の集合体を得た。さらに、15℃でのボーメ度が29度(25℃でのpHが14.9)である水酸化ナトリウム水溶液を調製して、ヘンプ繊維の集合体に張力をかけつつこの液に15〜25℃で75分間浸漬させることで、強アルカリ処理をされたヘンプ繊維の集合体を得た。この集合体でのヘンプ繊維はクリンプを発現しており、この集合体からランダムに10本採取した繊維の平均の捲縮率は7%であった。

0078

クリンプを発現したヘンプ繊維の集合体からランダムに3点の試料を採取して、前述した方法により試料の結晶化度を測定したところ、例えば図3に実線で示すX線回折パターンが得られた。また、図3(比較例1)で破線で示す非晶ピーク[3]の面積は、図2(実施例1)で破線で示す非晶ピーク[3]の面積よりも大きかった。このため、比較例1でのヘンプ繊維では、算出された3点の試料の結晶化度の平均値が69%と小さかった。比較例1でのヘンプ繊維は、実施例1でのヘンプ繊維と比べて、強アルカリ処理によってその結晶化度が大幅に減少していることが確認された。

0079

また、実施例1と同様にして、捲縮ラミー繊維の集合体を得た。この集合体からランダムに10本採取した繊維の平均の捲縮率は、8%であった。強アルカリ処理をされたヘンプ繊維と、この捲縮ラミー繊維の集合体を、1:1の質量比で混合して混合物を得た。この混合物では、質量比(強アルカリ処理をされたヘンプ繊維の質量/捲縮ラミー繊維の質量)が1.0である。その後、実施例1と同様に処理して、目付が200g/mm2である積層ウェブを得た。さらに、実施例1と同様に、この積層ウェブにアクリル系樹脂のエマルションを塗布し、乾燥し、比較例1に係る中綿を得た。なお、比較例1に係る中綿には市販の抗菌剤を含浸させなかった。

0080

[比較例2]
実施例1と同様にして、捲縮ラミー繊維の集合体を得た。この集合体からランダムに10本採取した繊維の平均の捲縮率は、8%であった。この捲縮ラミー繊維の集合体について、ヘンプ繊維の集合体と混合することなく実施例1での混合物と同様に処理して、目付が200g/mm2である積層ウェブを得た。さらに、実施例1と同様に、この積層ウェブにアクリル系樹脂のエマルションを塗布し、乾燥し、比較例2に係る中綿を得た。なお、比較例2に係る中綿には市販の抗菌剤を含浸させなかった

0081

[かさ高性、及び圧縮弾性の評価]
JIS L 2001−1980のふとん綿試験方法に準拠した試験方法により、実施例1,並びに比較例1,及び2に係る中綿の各々について、20℃、65%RHでの比容積(かさ高性)、圧縮率、及び回復率(圧縮後のかさ回復性、圧縮弾性)を測定した。測定結果を次の表1に示す。

0082

0083

表1に示すように、実施例1は比較例1よりも、比容積(かさ高性)、圧縮率、回復率(圧縮後のかさ回復性、圧縮弾性)の全てにおいて高い値を示した。このため、ヘンプ繊維の結晶化度が高く剛直であると、中綿のかさ高性と圧縮弾性が良好となることが示唆された。さらに、意外にも、実施例1は比較例2よりも、比容積、圧縮率、圧縮後の回復率の全てにおいて高い値を示した。これらの結果から、捲縮を有する繊維を使用すればかさ高性や圧縮弾性に優れた中綿を得ることができるという従来の知見に反して、実施例1は比較例1,及び2よりもかさ高性と圧縮弾性に優れており、クッション材として適していることが示唆された。

0084

[抗菌効果の評価]
JIS L 1902−2008の菌液吸収法に準拠した試験方法により、中綿の抗菌効果を評価することとした。このためには、比較例1に係る中綿からランダムに0.4gの試験片を12検体採取した。また、試験菌株として黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus、保存番号FDA209P)を準備した。ニュートリエン培地精製水で20倍希釈して、Tween80が0.05質量%となるように添加されて氷冷され、黄色ぶどう球菌の菌濃度が1×105〜3×105(個/ml)である試験菌液を調製した。これとは別に、精製水1Lに対して塩化ナトリウム8.5g,及びTween80を2.0gの割合で溶解させて高圧蒸気殺菌することで、洗い出し生理食塩水を調製した。

0085

12検体をバイアル瓶に1検体づつ入れて、高圧蒸気滅菌してから、クリーンベンチ内で60分にわたり乾燥させた。ピペットで試験菌液0.2mlを採取して、各検体の数か所に接種させた。この12検体のうちの3検体については、各々に洗い出し用生理食塩水20mlを加え、試験管撹拌機で5秒間の攪拌を5回行うことで菌を洗い出した。また、他の3検体の各々については、バイアル瓶ごと恒温器内に置いて37℃で18時間培養してから、同様に菌を洗い出した。その後、各々の洗い出し液について、混釈平板培養法により生菌数を測定した。

0086

また、12検体のうちの6検体については、試験菌液を接種させた後に、JIS L 0217−1995の付表1に記載された番号103の試験方法により、3回洗濯した。この洗濯の際、洗濯機(株式会社日立製作所製、型番:NM−SB56)に設定された標準コースで、中性洗剤ライオン株式会社製、商品名:アクロン同社登録商標))を使用した。各検体を日陰干しにより乾燥させた。乾燥直後の3検体からは、前述したのと同様の方法で洗い出し液を得た。また、乾燥後の他の3検体については、バイアル瓶ごと恒温器内に置いて37℃で18時間培養してから、前述したのと同様の方法で洗い出し液を得た。これらの洗い出し液の各々について、混釈平板培養法により生菌数を測定した。

0087

上記した比較例1と同様の方法で、実施例1,参考例1,及び対照試料として準備した標準綿布についても生菌数を測定した。ただし、実施例1および参考例1での測定では、試験菌株として黄色ぶどう球菌(保存番号:NBRC 12732)を使用した。試験結果を次の表2,及び表3に示す。

0088

0089

0090

表3に示すように、比較例1は、洗濯回数が0回であれば、その殺菌活性値が0以上、かつその静菌活性値が2.2以上であるため、見かけ上は抗菌効果を発揮した。しかし、3回洗濯された比較例1では、その殺菌活性値が0未満にまで減少し、その静菌活性値が2.2未満にまで減少した。例えば、比較例1の静菌活性値は、3回の洗濯により洗濯前の約28%にまで減少した。このため、強アルカリ処理をされて結晶化度を低下させたヘンプ繊維は、洗濯しなければ見かけ上は抗菌効果を発揮するが、複数回の洗濯をするとこの抗菌効果を損なうことが示唆された。

実施例

0091

これに対して、実施例1,及び参考例1では、洗濯回数が0回であっても、3回の洗濯後であっても、共にその殺菌活性値が0以上、かつその静菌活性値が2.2以上であるため、抗菌効果を発揮していた。実施例1の静菌活性値は、3回の洗濯後も洗濯前の約91%が保持されていた。参考例1の静菌活性値は、3回の洗濯後も洗濯前の約85%が保持されていた。このため、強アルカリ処理をされておらず結晶化度が高いヘンプ繊維では、複数回の洗濯をしても抗菌効果が損なわれにくいことが示唆された。

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