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技術 歯車加工装置及び歯車加工方法

出願人 株式会社ジェイテクト
発明者 張琳大谷尚中野浩之竹内健斗
出願日 2017年7月21日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2017-142178
公開日 2018年5月24日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2018-079558
状態 未査定
技術分野 歯車加工
主要キーワード 基準円直径 直進軸 インボリュート曲線形状 交差角φ 工具設計 工具端面 加工物保持具 チルトテーブル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

ねじれ角が異なる歯面を高精度に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供する。

解決手段

歯車加工装置(1)において、歯車の歯(115a)の側面(115A)は、第一歯面(115b)及び第一歯面(115b)とねじれ角が異なる第二歯面(121)を有し、加工用工具(42F)の工具刃(42af)は、予め加工された第一歯面(115b)に対し第二歯面(121)を加工可能なように、第二歯面(121)のねじれ角(θf)及び加工物(115)の回転軸線(Lw)と加工用工具(42F)の回転軸線(L)との交差角(φf)に基づいて設定されたねじれ角(βf)の刃すじ(42bf)を有する。

概要

背景

車両に用いられるトランスミッションには、円滑な変速操作を行うためにシンクロメッシュ機構が設けられる。図21に示すように、キー式のシンクロメッシュ機構110は、メーンシャフト111、メーンドライブシャフト112、クラッチハブ113、キー114、スリーブ115、メーンドライブギヤ116、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118等を備える。

メーンシャフト111とメーンドライブシャフト112は、同軸配置される。メーンシャフト111には、クラッチハブ113がスプライン嵌合され、メーンシャフト111とクラッチハブ113は共に回転する。クラッチハブ113の外周の3か所には、キー114が図略のスプリングで支持される。スリーブ115の内周には、内歯(スプライン)115aが形成され、スリーブ115はキー114とともにクラッチハブ113の外周に形成される図略のスプラインに沿って回転軸線LL方向に摺動する。

メーンドライブシャフト112には、メーンドライブギヤ116が嵌合され、メーンドライブギヤ116のスリーブ115側には、テーパコーン117bが突設されたクラッチギヤ117が一体形成される。スリーブ115とクラッチギヤ117の間には、シンクロナイザーリング118が配置される。クラッチギヤ117の外歯117a及びシンクロナイザーリング118の外歯118aは、スリーブ115の内歯115aと噛み合わせ可能に形成される。シンクロナイザーリング118の内周は、テーパコーン117bの外周と摩擦係合可能なテーパ状に形成される。

次に、シンクロメッシュ機構110の動作を説明する。図22Aに示すように、図略のシフトレバーの操作により、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向に移動する。キー114は、シンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向に押して、シンクロナイザーリング118の内周をテーパコーン117bの外周に押し付ける。これにより、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は、同期回転を開始する。

そして、図22Bに示すように、キー114は、スリーブ115に押し下げられてシンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向にさらに押し付けるので、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との密着度増し、強い摩擦力が発生してクラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は同期回転する。クラッチギヤ117の回転数とスリーブ115の回転数が完全に同期すると、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との摩擦力が消滅する。

そして、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動すると、キー114はシンクロナイザーリング118の溝118bに嵌って止まるが、スリーブ115はキー114の凸部114aを越えて移動し、スリーブ115の内歯115aがシンクロナイザーリング118の外歯118aと噛み合う。そして、図22Cに示すように、スリーブ115は図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動し、スリーブ115の内歯115aがクラッチギヤ117の外歯117aと噛み合う。以上により変速が完了する。

以上のようなシンクロメッシュ機構110においては、走行中におけるクラッチギヤ117の外歯117aとスリーブ115の内歯115aとのギヤ抜け防止のため、図23及び図24に示すように、スリーブ115の内歯115aには、テーパ状のギヤ抜け防止部120が設けられ、クラッチギヤ117の外歯117aには、ギヤ抜け防止部120とテーパ嵌合するテーパ状のギヤ抜け防止部117cが設けられる。なお、以下の説明では、スリーブ115の内歯115aの図示左側の側面115Aを左側面115Aといい、スリーブ115の内歯115aの図示右側の側面115Bを右側面115Bという。

そして、スリーブ115の内歯115aの左側面115Aは、左歯面115b(本発明の「第一歯面」に相当)及び左歯面115bとねじれ角が異なる歯面121(以下、左テーパ歯面121という、本発明の「第二歯面」に相当)を有する。また、スリーブ115の内歯115aの右側面115Bは、右歯面115c(本発明の「第三歯面」又は「第一歯面」に相当)及び右歯面115cとねじれ角が異なる歯面122(以下、右テーパ歯面122という、本発明の「第四歯面」又は「第二歯面」に相当)を有する。

本例では、左歯面115bのねじれ角は0度、左テーパ歯面121のねじれ角はθf度であり、右歯面115cのねじれ角は0度、右テーパ歯面122のねじれ角はθr度である。そして、左テーパ歯面121及びこの左テーパ歯面121と左歯面115bを繋ぐ歯面121a(以下、左サブ歯面121aという)、並びに右テーパ歯面122及びこの右テーパ歯面122と右歯面115cを繋ぐ歯面122a(以下、右サブ歯面122aという)が、ギヤ抜け防止部120を構成する。なお、ギヤ抜け防止は、左テーパ歯面121とギヤ抜け防止部117cとがテーパ嵌合することにより達成される。

このように、スリーブ115の内歯115aの構造は複雑であり、また、スリーブ115は大量生産が必要な部品であるため、一般的に、スリーブ115の内歯115aは、ブローチ加工ギヤシェーパ加工等により形成され、ギヤ抜け防止部120は、ローリング加工(特許文献1,2参照)により形成される。

概要

ねじれ角が異なる歯面を高精度に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供する。歯車加工装置(1)において、歯車の歯(115a)の側面(115A)は、第一歯面(115b)及び第一歯面(115b)とねじれ角が異なる第二歯面(121)を有し、加工用工具(42F)の工具刃(42af)は、予め加工された第一歯面(115b)に対し第二歯面(121)を加工可能なように、第二歯面(121)のねじれ角(θf)及び加工物(115)の回転軸線(Lw)と加工用工具(42F)の回転軸線(L)との交差角(φf)に基づいて設定されたねじれ角(βf)の刃すじ(42bf)を有する。B

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ねじれ角が異なる歯面を高精度に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

加工物回転軸線に対し傾斜した回転軸線を有する加工用工具を用い、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して歯車を加工する歯車加工装置であって、前記歯車の歯の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、前記加工用工具の工具刃の刃すじは、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有する、歯車加工装置。

請求項2

前記歯車の歯の一方側の側面は、前記第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる前記第二歯面を有し、前記歯車の歯の他方側の側面は、第三歯面及び前記第三歯面とねじれ角が異なる第四歯面を有し、前記加工用工具として、第一加工用工具及び第二加工用工具を備え、前記第一加工用工具の工具刃の刃すじは、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記第一加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有し、前記第二加工用工具の工具刃の刃すじは、予め加工された前記第三歯面に対し前記第四歯面を加工可能なように、前記第四歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記第二加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有する、請求項1に記載の歯車加工装置。

請求項3

前記歯車の歯の一方側の側面は、前記第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる前記第二歯面を有し、前記歯車の歯の他方側の側面は、第三歯面及び前記第三歯面とねじれ角が異なる第四歯面を有し、前記加工用工具の工具刃の一方側の刃すじは、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との前記第二歯面用の交差角に基づいて設定されたねじれ角を有し、前記加工用工具の工具刃の他方側の刃すじは、前記加工用工具の工具刃の一方側の刃すじのねじれ角と同一角度のねじれ角を有し、前記加工用工具は、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工する際、前記第二歯面用の交差角に設定され、予め加工された前記第三歯面に対し前記第四歯面を加工する際、前記第四歯面のねじれ角及び前記加工用工具の他方側の工具刃の刃すじのねじれ角とに基づいて求まる前記第四歯面用の交差角に設定される、請求項1に記載の歯車加工装置。

請求項4

前記第二歯面及び前記第四歯面は、塑性加工荒加工され、前記加工用工具は、前記第二歯面及び前記第四歯面を仕上げ加工する際に、前記第二歯面及び前記第四歯面に生じるバリを除去する、請求項2又は3に記載の歯車加工装置。

請求項5

前記歯車は、シンクロメッシュ機構スリーブであり、前記第二歯面は、前記スリーブの内周歯に設けられるギヤ抜け防止部の歯面である、請求項1−4の何れか一項に記載の歯車加工装置。

請求項6

前記スリーブの内周歯に設けられるギヤ抜け防止部の歯面は、前記スリーブの内周歯の端面に設けられるチャンファ歯面及び前記チャンファ歯面に連なるテーパ歯面である、請求項5に記載の歯車加工装置。

請求項7

加工用工具で歯車を加工する歯車加工方法であって、前記歯車の歯の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、前記加工用工具の工具刃の刃すじは、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有し、前記歯車加工方法は、前記加工用工具の回転軸線を、前記加工物の回転軸線に対し傾斜させる工程と、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して前記第二歯面を加工する工程と、を備える歯車加工方法。

技術分野

0001

本発明は、加工用工具及び加工物同期回転させて切削加工により歯車を加工する歯車加工装置及び歯車加工方法に関する。

背景技術

0002

車両に用いられるトランスミッションには、円滑な変速操作を行うためにシンクロメッシュ機構が設けられる。図21に示すように、キー式のシンクロメッシュ機構110は、メーンシャフト111、メーンドライブシャフト112、クラッチハブ113、キー114、スリーブ115、メーンドライブギヤ116、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118等を備える。

0003

メーンシャフト111とメーンドライブシャフト112は、同軸配置される。メーンシャフト111には、クラッチハブ113がスプライン嵌合され、メーンシャフト111とクラッチハブ113は共に回転する。クラッチハブ113の外周の3か所には、キー114が図略のスプリングで支持される。スリーブ115の内周には、内歯(スプライン)115aが形成され、スリーブ115はキー114とともにクラッチハブ113の外周に形成される図略のスプラインに沿って回転軸線LL方向に摺動する。

0004

メーンドライブシャフト112には、メーンドライブギヤ116が嵌合され、メーンドライブギヤ116のスリーブ115側には、テーパコーン117bが突設されたクラッチギヤ117が一体形成される。スリーブ115とクラッチギヤ117の間には、シンクロナイザーリング118が配置される。クラッチギヤ117の外歯117a及びシンクロナイザーリング118の外歯118aは、スリーブ115の内歯115aと噛み合わせ可能に形成される。シンクロナイザーリング118の内周は、テーパコーン117bの外周と摩擦係合可能なテーパ状に形成される。

0005

次に、シンクロメッシュ機構110の動作を説明する。図22Aに示すように、図略のシフトレバーの操作により、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向に移動する。キー114は、シンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向に押して、シンクロナイザーリング118の内周をテーパコーン117bの外周に押し付ける。これにより、クラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は、同期回転を開始する。

0006

そして、図22Bに示すように、キー114は、スリーブ115に押し下げられてシンクロナイザーリング118を回転軸線LL方向にさらに押し付けるので、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との密着度増し、強い摩擦力が発生してクラッチギヤ117、シンクロナイザーリング118及びスリーブ115は同期回転する。クラッチギヤ117の回転数とスリーブ115の回転数が完全に同期すると、シンクロナイザーリング118の内周とテーパコーン117bの外周との摩擦力が消滅する。

0007

そして、スリーブ115及びキー114が図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動すると、キー114はシンクロナイザーリング118の溝118bに嵌って止まるが、スリーブ115はキー114の凸部114aを越えて移動し、スリーブ115の内歯115aがシンクロナイザーリング118の外歯118aと噛み合う。そして、図22Cに示すように、スリーブ115は図示矢印の回転軸線LL方向にさらに移動し、スリーブ115の内歯115aがクラッチギヤ117の外歯117aと噛み合う。以上により変速が完了する。

0008

以上のようなシンクロメッシュ機構110においては、走行中におけるクラッチギヤ117の外歯117aとスリーブ115の内歯115aとのギヤ抜け防止のため、図23及び図24に示すように、スリーブ115の内歯115aには、テーパ状のギヤ抜け防止部120が設けられ、クラッチギヤ117の外歯117aには、ギヤ抜け防止部120とテーパ嵌合するテーパ状のギヤ抜け防止部117cが設けられる。なお、以下の説明では、スリーブ115の内歯115aの図示左側の側面115Aを左側面115Aといい、スリーブ115の内歯115aの図示右側の側面115Bを右側面115Bという。

0009

そして、スリーブ115の内歯115aの左側面115Aは、左歯面115b(本発明の「第一歯面」に相当)及び左歯面115bとねじれ角が異なる歯面121(以下、左テーパ歯面121という、本発明の「第二歯面」に相当)を有する。また、スリーブ115の内歯115aの右側面115Bは、右歯面115c(本発明の「第三歯面」又は「第一歯面」に相当)及び右歯面115cとねじれ角が異なる歯面122(以下、右テーパ歯面122という、本発明の「第四歯面」又は「第二歯面」に相当)を有する。

0010

本例では、左歯面115bのねじれ角は0度、左テーパ歯面121のねじれ角はθf度であり、右歯面115cのねじれ角は0度、右テーパ歯面122のねじれ角はθr度である。そして、左テーパ歯面121及びこの左テーパ歯面121と左歯面115bを繋ぐ歯面121a(以下、左サブ歯面121aという)、並びに右テーパ歯面122及びこの右テーパ歯面122と右歯面115cを繋ぐ歯面122a(以下、右サブ歯面122aという)が、ギヤ抜け防止部120を構成する。なお、ギヤ抜け防止は、左テーパ歯面121とギヤ抜け防止部117cとがテーパ嵌合することにより達成される。

0011

このように、スリーブ115の内歯115aの構造は複雑であり、また、スリーブ115は大量生産が必要な部品であるため、一般的に、スリーブ115の内歯115aは、ブローチ加工ギヤシェーパ加工等により形成され、ギヤ抜け防止部120は、ローリング加工(特許文献1,2参照)により形成される。

先行技術

0012

実開平6−61340号公報
特開2005−152940号公報

発明が解決しようとする課題

0013

シンクロメッシュ機構110において、上述のギヤ抜けを確実に防止するためには、スリーブ115の内歯115aのギヤ抜け防止部120を高精度に加工する必要がある。しかし、ギヤ抜け防止部120は、塑性加工であるローリング加工で形成されるため、加工精度が低くなる傾向にある。

0014

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ねじれ角が異なる歯面を高精度に加工できる歯車加工装置及び歯車加工方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

本発明の歯車加工装置は、加工物の回転軸線に対し傾斜した回転軸線を有する加工用工具を用い、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して歯車を加工する歯車加工装置であって、前記歯車の歯の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、前記加工用工具の工具刃の刃すじは、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有する。

0016

従来、ねじれ角が異なる第一歯面及び第二歯面を有する歯車の歯は、予め加工された第一歯面に対し塑性加工により第二歯面を形成しているため、第二歯面の加工精度が低下する問題がある。しかし、この歯車加工装置では、第二歯面は、切削加工により第一歯面に形成されるので、加工精度を高めることができる。

0017

本発明の歯車加工方法は、加工用工具で歯車を加工する歯車加工方法であって、前記歯車の歯の側面は、第一歯面及び前記第一歯面とねじれ角が異なる第二歯面を有し、前記加工用工具の工具刃の刃すじは、予め加工された前記第一歯面に対し前記第二歯面を加工可能なように、前記第二歯面のねじれ角及び前記加工物の回転軸線と前記加工用工具の回転軸線との交差角に基づいて設定されたねじれ角を有し、前記歯車加工方法は、前記加工用工具の回転軸線を、前記加工物の回転軸線に対し傾斜させる工程と、前記加工用工具を前記加工物と同期回転させながら前記加工物の回転軸線方向に相対的に送り操作して前記第二歯面を加工する工程と、を備える。これにより、上述した歯車加工装置における効果と同様の効果を奏する。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施の形態に係る歯車加工装置の全体構成を示す図である。
図1制御装置によるテーパ歯面加工工具工具設計処理を説明するためのフローチャートである。
図1の制御装置による工具状態設定処理を説明するためのフローチャートである。
図1の制御装置によるテーパ歯面加工用工具による加工制御処理を説明するためのフローチャートである。
加工用工具の概略構成工具端面側から回転軸線方向に見た図である。
図5Aの加工用工具の概略構成を径方向に見た一部断面図である。
図5Bの加工用工具の工具刃の拡大図である。
テーパ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。
テーパ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
加工用工具の刃先幅及び刃厚を求める際に使用する加工用工具の各部位を示す図である。
左テーパ歯面を加工するための加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。
右テーパ歯面を加工するための加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。
加工用工具の回転軸線の方向の工具位置を変更するときの加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第一の図である。
軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第二の図である。
軸線方向位置を変更したときの加工状態を示す第三の図である。
加工物の回転軸線に対する加工用工具の回転軸線の傾斜を表す交差角を変更するときの加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
交差角を変更したときの加工状態を示す第一の図である。
交差角を変更したときの加工状態を示す第二の図である。
交差角を変更したときの加工状態を示す第三の図である。
加工用工具の回転軸線方向位置及び交差角を変更するときの加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
軸線方向位置及び交差角を変更したときの加工状態を示す第一の図である。
軸線方向位置及び交差角を変更したときの加工状態を示す第二の図である。
左テーパ歯面を加工する前の加工用工具の位置を径方向に見た図である。
左テーパ歯面を加工するときの加工用工具の位置を径方向に見た図である。
左テーパ歯面を加工した後の加工用工具の位置を径方向に見た図である。
図1の制御装置による別例のテーパ歯面加工用工具の工具設計処理を説明するためのフローチャートである。
別例のテーパ歯面加工用工具の左刃面を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。
別例のテーパ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
別例のテーパ歯面加工用工具の右刃面を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。
図1の制御装置によるチャンファ歯面加工用工具の工具設計処理を説明するためのフローチャートである。
チャンファ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との及び寸法関係を示す図である。
チャンファ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
左チャンファ歯面加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。
右チャンファ歯面加工用工具の概略構成を径方向に見た図である。
チャンファ歯面加工用工具の工具刃を軸線方向に見た図である。
別例のチャンファ歯面加工用工具の左刃面を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。
別例のチャンファ歯面加工用工具を設計する際の加工用工具と加工物との位置関係を示す図である。
別例のチャンファ歯面加工用工具の右刃面を設計する際の加工用工具と加工物との寸法関係を示す図である。
加工物であるスリーブに発生するばりを示す斜視図である。
加工物であるスリーブを有するシンクロメッシュ機構を示す断面図である。
図21のシンクロメッシュ機構の作動開始前の状態を示す断面図である。
図21のシンクロメッシュ機構の作動中の状態を示す断面図である。
図21のシンクロメッシュ機構の作動完了後の状態を示す断面図である。
加工物であるスリーブのギヤ抜け防止部を示す斜視図である。
図23のスリーブのギヤ抜け防止部を径方向から見た図である。
加工物であるスリーブの別形態のギヤ抜け防止部を示す斜視図である。
図25のスリーブのギヤ抜け防止部を径方向から見た図である。

実施例

0019

(1.歯車加工装置の機械構成
本実施形態では、歯車加工装置の一例として、5軸マシニングセンタを例に挙げ、図1を参照して説明する。つまり、当該歯車加工装置1は、駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)及び2つの回転軸(X軸線に平行なA軸、A軸線に直角なC軸)を有する装置である。

0020

ここで、背景技術で述べたように、ギヤ抜け防止部120は、ブローチ加工やギヤシェーパ加工等により形成されたスリーブ115の内歯115aに対し、塑性加工であるローリング加工を行うことで形成されるため、加工精度が低くなる傾向にある。そこで、上述の歯車加工装置1では、先ず、ブローチ加工やギヤシェーパ加工等によりスリーブ115の内歯115aを形成し、次に、後述する加工用工具42による切削加工でスリーブ115の内歯115aに対しギヤ抜け防止部120を形成する。すなわち、内歯115aが形成されたスリーブ115と加工用工具42とを同期回転させ、加工用工具42を加工物Wの回転軸線方向に送って切削加工することによりギヤ抜け防止部120を形成する。これにより、ギヤ抜け防止部120は、加工精度が高くなる。

0021

図1に示すように、歯車加工装置1は、ベッド10と、コラム20と、サドル30と、回転主軸40と、テーブル50と、チルトテーブル60と、ターンテーブル70と、加工物保持具80と、制御装置100等とから構成される。なお、図示省略するが、ベッド10と並んで既知自動工具交換装置が設けられる。

0022

ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。このベッド10の上面には、コラム20をX軸線に平行な方向に駆動するための、図略のX軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、X軸ボールねじを回転駆動するX軸モータ11cが配置される。

0023

コラム20のY軸線に平行な側面(摺動面)20aには、サドル30をY軸線に平行な方向に駆動するための、図略のY軸ボールねじが配置される。そして、コラム20には、Y軸ボールねじを回転駆動するY軸モータ23cが配置される。

0024

回転主軸40は、加工用工具42を支持し、サドル30内に回転可能に支持され、サドル30内に収容された主軸モータ41により回転される。加工用工具42は、図略の工具ホルダに保持されて回転主軸40の先端に固定され、回転主軸40の回転に伴って回転する。また、加工用工具42は、コラム20及びサドル30の移動に伴ってベッド10に対してX軸線に平行な方向及びY軸線に平行な方向に移動する。なお、加工用工具42の詳細は後述する。

0025

さらに、ベッド10の上面には、テーブル50をZ軸線に平行な方向に駆動するための、図略のZ軸ボールねじが配置される。そして、ベッド10には、Z軸ボールねじを回転駆動するZ軸モータ12cが配置される。

0026

テーブル50の上面には、チルトテーブル60を支持するチルトテーブル支持部63が設けられる。そして、チルトテーブル支持部63には、チルトテーブル60がA軸線に平行な軸線回りで回転(揺動)可能に設けられる。チルトテーブル60は、テーブル50内に収容されたA軸モータ61により回転(揺動)される。

0027

チルトテーブル60には、ターンテーブル70がC軸線に平行な軸線回りで回転可能に設けられる。ターンテーブル70には、加工物としてスリーブ115を保持する加工物保持具80が装着される。ターンテーブル70は、スリーブ115及び加工物保持具80とともにC軸モータ62により回転される。

0028

制御装置100は、加工制御部101と、工具設計部102と、工具状態演算部103と、記憶部104等とを備える。ここで、加工制御部101、工具設計部102、工具状態演算部103及び記憶部104は、それぞれ個別のハードウエアにより構成することもできるし、ソフトウエアによりそれぞれ実現する構成とすることもできる。

0029

加工制御部101は、主軸モータ41を制御して、加工用工具42を回転させ、X軸モータ11c、Z軸モータ12c、Y軸モータ23c、A軸モータ61及びC軸モータ62を制御して、スリーブ115と加工用工具42とをX軸線に平行な方向、Z軸線に平行な方向、Y軸線に平行な方向、A軸線に平行な軸線回り及びC軸線に平行な軸線回りに相対移動することにより、スリーブ115の切削加工を行う。

0030

工具設計部102は、詳細は後述するが、加工用工具42の工具刃42aのねじれ角βf(図5C参照)等を求めて加工用工具42を設計する。
工具状態演算部103は、詳細は後述するが、スリーブ115に対する加工用工具42の相対的な位置及び姿勢である工具状態を演算する。

0031

記憶部104には、加工用工具42に関する工具データ、すなわち刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α正面圧力角αt及び刃先圧力角αa、及びスリーブ115の切削加工を行うための加工データは予め記憶される。また、記憶部104は、加工用工具42を設計する際に入力される工具刃42aの刃数Z等を記憶し、また、工具設計部102で設計された加工用工具42の形状データや工具状態演算部103で演算された工具状態を記憶する。

0032

(2.加工用工具)
本例では、スリーブ115のギヤ抜け防止部120を構成する左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を、2つの加工用工具42を用いてそれぞれ切削加工して形成する場合を説明する。以下では、左テーパ歯面121を切削加工するための加工用工具42(以下、第一加工用工具42Fという)を設計する場合について説明するが、右テーパ歯面122を切削加工するための加工用工具42(以下、第二加工用工具42Gという)を設計する場合も同様であるので、詳細な説明は省略する。

0033

図5Aに示すように、第一加工用工具42Fを工具端面42A側から工具軸線(回転軸線)L方向に見たときの工具刃42afの形状は、本例ではインボリュート曲線形状同一形状に形成される。そして、図5Bに示すように、第一加工用工具42Fの工具刃42afには、工具端面42A側に工具軸線Lと直角な平面に対し、角度γ傾斜したすくい角が設けられ、工具周面42B側に工具軸線Lと平行な直線に対し、角度δ傾斜した前逃げ角が設けられる。そして、図5Cに示すように、工具刃42afの刃すじ42bfは、工具軸線Lと平行な直線に対し、角度βf傾斜したねじれ角を有する。

0034

上述のように、スリーブ115の左テーパ歯面121は、既に形成されたスリーブ115の内歯115aに対し、第一加工用工具42Fで切削加工を行うことで形成される。このため、第一加工用工具42Fの工具刃42afは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。

0035

具体的には、図6Aに示すように、工具刃42afが、左テーパ歯面121の歯すじ長ff分だけ切削したとき、工具刃42aの刃先幅Safが、左サブ歯面121aの歯すじ長gfより大きく、且つ工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Taf(図7参照)が、左テーパ歯面121とこの左テーパ歯面121に対向する右テーパ歯面122の開放端部との距離Hf(以下、歯面間隔Hfという)より小さくなるように工具刃42afを設計することが必要となる。このとき、工具刃42afの耐久性、例えば欠損等も考慮して工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを設定する。

0036

この工具刃42afの設計には、図6Bに示すように、先ず、左テーパ歯面121のねじれ角θfと工具刃42afのねじれ角βfとの差で表される交差角φf(以下、第一加工用工具42Fの交差角φfという)を設定する必要がある。左テーパ歯面121のねじれ角θfは、既知の値であり、第一加工用工具42Fの交差角φfは、歯車加工装置1によって設定可能範囲が設定されているので、作業者は任意の交差角φfを暫定的に設定する。

0037

次に、既知の左テーパ歯面121のねじれ角θf及び設定した第一加工用工具42Fの交差角φfから工具刃42afのねじれ角βfを求め、工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを求める。以上の処理を繰り返すことで、左テーパ歯面121を切削加工するための最適の工具刃42afを有する第一加工用工具42Fを設計する。以下に、工具刃42afの刃先幅Saf及び工具刃42afの基準円Cb上の刃厚Tafを求めるための演算例を説明する。

0038

図7に示すように、工具刃42afの刃先幅Safは、刃先円直径da及び刃先円刃厚の半角Ψafで表される(式(1)参照)。

0039

0040

刃先円直径daは、基準円直径d及び刃末のたけhaで表され(式(2)参照)、さらに、基準円直径dは、工具刃42afの刃数Z、工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf及びモジュールmで表され(式(3)参照)、刃末のたけhaは、転位係数λ及びモジュールmで表される(式(4)参照)。

0041

0042

0043

0044

刃先円刃厚の半角Ψafは、工具刃42afの刃数Z、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaで表される(式(5)参照)。なお、正面圧力角αtは、圧力角α及び工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βfで表すことができ(式(6)参照)、刃先圧力角αaは、正面圧力角αt、刃先円直径da及び基準円直径dで表すことができる(式(7)参照)。

0045

0046

0047

0048

また、工具刃42afの刃厚Tafは、基準円直径d及び刃厚Tafの半角Ψfで表される(式(8)参照)。

0049

0050

基準円直径dは、工具刃42afの刃数Z、工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf及びモジュールmで表される(式(9)参照)。

0051

0052

刃厚Tafの半角Ψfは、工具刃42afの刃数Z、転位係数λ及び圧力角αで表される(式(10)参照)。

0053

0054

以上により、図8Aに示すように、第一加工用工具42Fは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42afの刃すじ42bfは、左下方から右上方に傾斜するねじれ角βfを有するように設計される。また、図8Bに示すように、第二加工用工具42Gは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42agの刃すじ42bgは、右下方から左上方に傾斜するねじれ角βgを有するように設計される。

0055

なお、第二加工用工具42Gを設計する場合、第一加工用工具42Fで設定した交差角φfと同一角度を交差角φgとして工具刃42agの刃すじ42bgのねじれ角βgを求めることで、第一加工用工具42Fから第二加工用工具42Gに工具交換した後の第二加工用工具42Gの加工状態の設定変更を行わなくてよいため、生産効率を向上できる。以上の第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gの設計は、制御装置100の工具設計部102において行われるものであり、その処理の詳細は後述する。

0056

(3.歯車加工装置における加工用工具の工具状態)
次に、設計した第一加工用工具42Fを歯車加工装置1に適用し、第一加工用工具42Fの工具状態として第一加工用工具42Fの工具軸線Lの方向の工具位置(以下、第一加工用工具42Fの軸線方向位置という)や第一加工用工具42Fの交差角φfを変化させて、左テーパ歯面121を切削加工したときの加工精度について検討する。なお、第二加工用工具42Gで右テーパ歯面122を切削加工したときの加工精度も同様であるので、詳細な説明は省略する。

0057

例えば、図9Aに示すように、第一加工用工具42Fの軸線方向位置、すなわち第一加工用工具42Fの工具端面42Aと工具軸線Lとの交点Pが、スリーブ115の回転軸線Lw上に位置する場合(オフセット量0)、第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離+kだけオフセットした場合(オフセット量+k)、及び第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離−kだけオフセットした場合(オフセット量−k)で左テーパ歯面121を加工した。なお、第一加工用工具42Fの交差角φfは全て一定とした。

0058

その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図9B図9C図9Dに示すようになった。なお、図中、太い実線Eは、設計上の左テーパ歯面121のインボリュート曲線を直線に変換して表したもので、ドット部分Dは、切削除去部分を表す。

0059

図9Bに示すように、オフセット量0では、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図9Cに示すように、オフセット量+kでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示右方向(点線矢印方向)、すなわち時計回りピッチ円方向にずれた形状で加工され、図9Dに示すように、オフセット量−kでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示左方向(点線矢印方向)、すなわち反時計回りのピッチ円方向にずれた形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、加工用工具42の工具軸線L方向位置を変更することにより、ピッチ円方向にずらすことができる。

0060

また、例えば、図10Aに示すように、第一加工用工具42Fの交差角が、角度φf、φb、φcの各場合で左テーパ歯面121を加工した。なお、各角度の大小関係は、φf>φb>φcである。その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図10B図10C図10Dに示すようになった。

0061

図10Bに示すように、交差角φfでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図10Cに示すように、交差角φbでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に拡がった形状で加工され、図10Dに示すように、交差角φcでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)にさらに狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)にさらに拡がった形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、第一加工用工具42Fの交差角を変更することにより、歯先のピッチ円方向の幅及び歯元のピッチ円方向の幅を変更できる。

0062

また、例えば、図11Aに示すように、第一加工用工具42Fの軸線方向位置、すなわち第一加工用工具42Fの工具端面42Aと工具軸線Lとの交点Pが、スリーブ115の回転軸線Lw上に位置し(オフセット量0)、且つ第一加工用工具42Fの交差角が、φfの場合、及び第一加工用工具42Fの工具軸線L方向に距離+kだけオフセットし(オフセット量+d)、且つ交差角φbの場合で左テーパ歯面121を加工した。その結果、左テーパ歯面121の加工状態は、図11B図11Cに示すようになった。

0063

図11Bに示すように、オフセット量0且つ交差角φfでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に近い形状で加工される。一方、図11Cに示すように、オフセット量+k且つ交差角φbでは、加工された左テーパ歯面121は、設計上のインボリュート曲線に対し、図示右方向(点線矢印方向)、すなわち時計回りのピッチ円方向にずれ、且つ歯先の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に狭まり、歯元の幅がピッチ円方向(実線矢印方向)に拡がった形状で加工される。よって、左テーパ歯面121の形状は、加工用工具42の軸線方向位置、及び第一加工用工具42Fの交差角を変更することにより、ピッチ円方向にずらし、歯先の周方向の幅及び歯元のピッチ円方向の幅を変更できる。

0064

以上により、第一加工用工具42Fは、歯車加工装置1においてオフセット量0且つ交差角φfでセットされることで、左テーパ歯面121を高精度に切削加工できる。第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gの工具状態の設定は、制御装置100の工具状態演算部103において行われるものであり、その処理の詳細は後述する。

0065

(4.制御装置の工具設計部による処理)
次に、制御装置100の工具設計部102による第一加工用工具42Fの設計処理について、図2図6A及び図6Bを参照して説明する。なお、ギヤ抜け防止部120に関するデータ、すなわち左テーパ歯面121のねじれ角θf及び歯すじ長ff、左サブ歯面121aの歯すじ長gf及び歯面間隔Hfは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、第一加工用工具42Fに関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは、記憶部104に予め記憶されているものとする。

0066

制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から左テーパ歯面121のねじれ角θfを読み込む(図2のステップS1)。そして、工具設計部102は、作業者により入力される第一加工用工具42Fの交差角φfと、読み込んだ左テーパ歯面121のねじれ角θfとの差を、第一加工用工具42Fの工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βfとして求める(図2のステップS2)。

0067

工具設計部102は、記憶部104から第一加工用工具42Fの刃数Z等を読み込み、読み込んだ第一加工用工具42Fの刃数Z等及び求めた工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βfに基づいて、工具刃42afの刃先幅Saf及び刃厚Tafを求める。工具刃42afの刃先幅Safは、刃厚Tafに基づいたインボリュート曲線により求められる。歯部の良好な噛み合いを保てるなら、非インボリュートや直線状の歯面として刃先幅Safを求める(図2のステップS3)。

0068

工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hfを読み出し、求めた工具刃42afの刃厚Tafが歯面間隔Hfより小さいか否かを判断する(図2のステップS4)。工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃厚Tafが歯面間隔Hf以上のときは、ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。

0069

一方、工具設計部102は、求めた工具刃42afの刃厚Tafが歯面間隔Hfより小さくなったら、求めた工具刃42afの刃すじ42bfのねじれ角βf等に基づいて、加工用工具42の形状を決定し(図2のステップS5)、決定した第一加工用工具42Fの形状データを記憶部104に記憶し(図2のステップS6)、全ての処理を終了する。以上により、最良の工具刃42afを有する第一加工用工具42Fが設計される。

0070

(5.制御装置の工具状態演算部による処理)
次に、制御装置100の工具状態演算部103による処理について、図3を参照して説明する。この処理は、公知の歯車の創成理論に基づいて、第一加工用工具42Fの工具刃42afの軌跡を演算するシミュレーション処理であるため、実加工は不要であり、低コスト化を図ることができる。

0071

制御装置100の工具状態演算部103は、記憶部104から左テーパ歯面121の切削加工を行うときの第一加工用工具42Fの軸線方向位置等の工具状態を読み込み(図3のステップS11)、シミュレーション回数nとして1回目であることを記憶部104に記憶し(図3のステップS12)、第一加工用工具42Fを読み込んだ工具状態に設定する(図3のステップS13)。

0072

そして、工具状態演算部103は、記憶部104から読み込んだ第一加工用工具42Fの形状データに基づいて、左テーパ歯面121を加工するときの工具軌跡を求め(図3のステップS14)、加工後の左テーパ歯面121の形状を求める(図3のステップS15)。そして、工具状態演算部103は、求めた加工後の左テーパ歯面121の形状と、設計上の左テーパ歯面121の形状とを比較し、形状誤差を求めて記憶部104に記憶し(図3のステップS16)、シミュレーション回数nに1を加算する(図3のステップS17)。

0073

そして、工具状態演算部103は、シミュレーション回数nが予め設定した回数nnに達したか否かを判断し(図3のステップS18)、シミュレーション回数nが設定回数nnに達していないときは、第一加工用工具42Fの工具状態のうち例えば第一加工用工具42Fの軸線方向位置を変更し(図3のステップS19)、ステップS14に戻って上述の処理を繰り返す。一方、シミュレーション回数nが設定回数nnに達したときは、工具状態演算部103は、記憶した形状誤差のうち最小の誤差となる第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択して記憶部104に記憶し(図3のステップS20)、全ての処理を終了する。

0074

なお、上述の処理では、複数回のシミュレーションを行って最小の誤差となる第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択するようにしたが、予め許容形状誤差を設定しておき、ステップS16において算出した形状誤差が許容形状誤差以下となったときの第一加工用工具42Fの軸線方向位置を選択してもよい。また、ステップS19においては、第一加工用工具42Fの軸線方向位置を変更する代わりに、第一加工用工具42Fの交差角φfを変更し、もしくは第一加工用工具42Fの軸線回り方向位置を変更し、又は、交差角、軸線方向位置、軸線回り方向位置の任意の組み合わせを変更するようにしてもよい。

0075

(6.制御装置の加工制御部による処理)
次に、制御装置100の加工制御部101による処理について、図4を参照して説明する。ここで、作業者は、工具設計部102で設計した第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gの各形状データに基づいて、第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gを製作し、歯車加工装置1の自動工具交換装置に配置しているものとする。また、スリーブ115は、歯車加工装置1の加工物保持具80に装着され、旋削加工もしくはブローチ加工などにより内歯115aが形成されているものとする。

0076

制御装置100の加工制御部101は、自動工具交換装置で前の加工工程(旋削加工もしくはブローチ加工など)の加工用工具を第一加工用工具42Fに交換する(図4のステップS21)。そして、加工制御部101は、工具状態演算部103で求めた第一加工用工具42Fの工具状態となるように第一加工用工具42F及びスリーブ115を配置し(図4のステップS22)、第一加工用工具42Fをスリーブ115と同期回転させながら第一加工用工具42Fをスリーブ115の回転軸線Lw方向に送り操作して内歯115aを切削加工し、内歯115aに左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する(図4のステップS23)。

0077

すなわち、図12A図12Cに示すように、第一加工用工具42Fは、スリーブ115の回転軸線Lw方向への1回もしくは複数回の切削動作で、内歯115aに左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成する。このときの第一加工用工具42Fは、送り動作及び送り動作と反対方向の戻し動作を行う必要があるが、図12Cに示すように、この反転動作慣性力が働く。このため、第一加工用工具42Fの送り動作は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121を形成できる左テーパ歯面121の歯すじ長ffより所定長短い点Qにおいて終了し、戻し動作に移行する。この送り終了点Qは、センサなどによって計測して求めることができるが、必要な加工精度に対して、送り量の精度が十分な場合には、計測しなくても送り量で調整することができる。つまり、点Qまで加工できるように送り量などを調整して、切削加工をすることで、精度良く加工できる。

0078

そして、加工制御部101は、左テーパ歯面121の切削加工が完了したら(図4のステップS24)、自動工具交換装置で第一加工用工具42Fを第二加工用工具42Gに交換する(図4のステップS25)。そして、加工制御部101は、工具状態演算部103で求めた第二加工用工具42Gの工具状態となるように第二加工用工具42G及びスリーブ115を配置し(図4のステップS26)、第二加工用工具42Gをスリーブ115と同期回転させながら第二加工用工具42Gをスリーブ115の回転軸線Lw方向に送り操作して内歯115aを切削加工し、内歯115aに右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を切削形成する(図4のステップS27)。そして、加工制御部101は、右テーパ歯面122の切削加工が完了したら(図4のステップS28)、全ての処理を終了する。

0079

(7.加工用工具の別形態)
上述の例では、スリーブ115のギヤ抜け防止部120を構成する左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を、2つの加工用工具42(第一加工用工具42F及び第二加工用工具42G)を用いてそれぞれ切削加工する場合を説明したが、本例では、1つの加工用工具42を用いて切削加工する場合を説明する。

0080

1つの加工用工具42でねじれ角が異なる左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を切削加工する場合、工具刃42aの左刃面と右刃面のねじれ角が異なる加工用工具42を用いる方法と、工具刃42aの左刃面と右刃面のねじれ角が同一の加工用工具42を用いる方法が考えられる。本例では、工具刃42aの左刃面と右刃面のねじれ角が同一の加工用工具42を用いて切削加工する場合を説明する。この場合、左テーパ歯面121を切削加工するときの加工用工具42の交差角φfと、右テーパ歯面122を切削加工するときの加工用工具42の交差角φrを異ならせる必要がある。

0081

この加工用工具42でも第一加工用工具42F及び第二加工用工具42Gと同様に、加工用工具42の工具刃42aは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。よって、加工用工具42の設計は、制御装置100の工具設計部102において行われる。

0082

そして、加工用工具42は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を高精度に切削加工できることが必要となる。よって、加工用工具42の工具状態の設定は、制御装置100の工具状態演算部103において行われる。そして、加工用工具42による切削加工は、加工制御部101において行われる。以下では、工具状態演算部103の処理は上述の例と同様であり、また、加工制御部101の処理は工具交換を行わない点を除いて上述の例と同様であるため詳細な説明は省略し、工具設計部102の処理について説明する。

0083

(8.制御装置の工具設計部による処理)
次に、制御装置100の工具設計部102による加工用工具42の設計処理について、図13図14A図14B及び図14Cを参照して説明する。なお、ギヤ抜け防止部120に関するデータ、すなわち左テーパ歯面121のねじれ角θf及び歯すじ長ff、左サブ歯面121aの歯すじ長gf及び歯面間隔Hfと、右テーパ歯面122のねじれ角θr及び歯すじ長fr、右サブ歯面122aの歯すじ長gr及び歯面間隔Hrは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、加工用工具42に関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは記憶部104に予め記憶されているものとする。

0084

制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から左テーパ歯面121のねじれ角θfを読み込む(図13のステップS31)。そして、工具設計部102は、作業者により入力される左テーパ歯面121を切削加工するときの加工用工具42の交差角φffと、読み込んだ左テーパ歯面121のねじれ角θffとの差を、加工用工具42の工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角βとして求める(図13のステップS32)。

0085

工具設計部102は、記憶部104から加工用工具42の刃数Z等を読み込み、読み込んだ加工用工具42の刃数Z等及び求めた工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角βに基づいて、工具刃42aの刃先幅Sa及び刃厚Taを求める。工具刃42aの刃先幅Saは、刃厚Taに基づいたインボリュート曲線により求められる。歯部の良好な噛み合いを保てるなら、非インボリュートや直線状の歯面として刃先幅Saを求める(図13のステップS33)。

0086

工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hfを読み出し、求めた工具刃42aの刃厚Taが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hfより小さいか否かを判断する(図13のステップS34)。工具設計部102は、求めた工具刃42aの刃厚Taが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hf以上のときは、ステップS32に戻って上述の処理を繰り返す。

0087

一方、工具設計部102は、求めた工具刃42aの刃厚Taが左テーパ歯面121側の歯面間隔Hfより小さくなったら、記憶部104から右テーパ歯面122のねじれ角θrを読み込む(図13のステップS35)。そして、工具設計部102は、ステップS32で求めた加工用工具42の工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角βと、読み込んだ右テーパ歯面122のねじれ角θrとの差を、右テーパ歯面122を切削加工するときの加工用工具42の交差角φrrとして求める(図13のステップS36)。

0088

工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔Hrを読み出し、刃厚Taが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hrより小さいか否かを判断する(図13のステップS37)。工具設計部102は、刃厚Taが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hr以上のときは、ステップS32に戻って上述の処理を繰り返す。

0089

一方、刃厚Taが右テーパ歯面122側の歯面間隔Hrより小さくなったら、求めた工具刃42aの刃すじ42bのねじれ角β等に基づいて、加工用工具42の形状を決定し(図13のステップS38)、決定した加工用工具42の形状データを記憶部104に記憶し(図13のステップS39)、全ての処理を終了する。以上により、最良の工具刃42aを有する加工用工具42が設計される。

0090

(9.別形状を加工するための加工用工具)
上述のように、スリーブ115の内歯115aには、クラッチギヤ117の外歯117a及びシンクロナイザーリング118の外歯118aと噛み合わせ可能なギヤ抜け防止部120が形成される。このギヤ抜け防止部120の別形状として、図25及び図26に示すように、スリーブ115の内歯115aの左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122側の端部に、噛み合わせをスムーズに行うための左チャンファ(面取り)歯面131及び右チャンファ(面取り)歯面132を形成したギヤ抜け防止部120がある。

0091

すなわち、スリーブ115の内歯115aの左側面115Aは、左歯面115b、左テーパ歯面121及び左歯面115bとねじれ角が異なる左チャンファ歯面131(本発明の「第二歯面」に相当)を有する。また、スリーブ115の内歯115aの右側面115Bは、右歯面115c、右テーパ歯面122及び右歯面115cとねじれ角が異なる右チャンファ歯面132(本発明の「第四歯面」又は「第二歯面」に相当)を有する。本例では、左チャンファ歯面131のねじれ角はθL度であり、右チャンファ歯面132のねじれ角はθR度である。

0092

本例では、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を、2つの加工用工具42を用いてそれぞれ切削加工して形成する場合を説明する。以下では、右チャンファ歯面132を切削加工するための加工用工具42(以下、第二加工用工具42Rという)を設計する場合について説明するが、左チャンファ歯面131を切削加工するための加工用工具42(以下、第一加工用工具42Lという)を設計する場合も同様であるので、詳細な説明は省略する。

0093

第二加工用工具42Rは、左テーパ歯面121を切削加工するための第二加工用工具42Gの形状(図5A図5B及び図5C参照、なお、図中の添え字f,Fはg,Gに置き換わる)と比較して、第二加工用工具42Gの工具刃42agの形状(インボリュート曲線形状)以外は略同一形状に形成される。すなわち、第二加工用工具42Rの工具刃42aR(図18参照)の形状は、右チャンファ歯面132の圧力角が略0度であるため、本例では略矩形状に形成される。

0094

スリーブ115の右チャンファ歯面132は、既に形成されたスリーブ115の内歯115aに対し、第二加工用工具42Rで切削加工を行うことで形成される。このため、第二加工用工具42Rの工具刃42aRは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、右チャンファ歯面132を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。

0095

具体的には、図16Aに示すように、工具刃42aRが、右チャンファ歯面132の歯すじ長rr分だけ切削したとき、工具刃42aRの刃先幅SaRが、右チャンファ歯面132とこの右チャンファ歯面132に対向する内歯115aの左歯面115bとの距離JR(以下、歯面間隔JRという)より小さくなるように工具刃42aRを設計することが必要となる。このとき、工具刃42aRの耐久性、例えば欠損等も考慮して工具刃42aRの刃先幅SaRを設定する。

0096

この工具刃42aRの設計には、図16Bに示すように、先ず、右チャンファ歯面132のねじれ角σrと工具刃42aRのねじれ角βRとの差で表される交差角φR(以下、第二加工用工具42Rの交差角φRという)を設定する必要がある。右チャンファ歯面132のねじれ角σrは、既知の値であり、第二加工用工具42Rの交差角φRは、歯車加工装置1によって設定可能範囲が設定されているので、作業者は任意の交差角φRを暫定的に設定する。

0097

次に、既知の右チャンファ歯面132のねじれ角σr及び設定した第二加工用工具42Rの交差角φRから工具刃42aRのねじれ角βRを求め、工具刃42aRの刃先幅SaRを求める。以上の処理を繰り返すことで、右チャンファ歯面132を切削加工するための最適の工具刃42aRを有する第二加工用工具42Rを設計する。

0098

以上により、図17Aに示すように、第二加工用工具42Rは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42aRの刃すじ42bRは、左下方から右上方に傾斜するねじれ角βRを有するように設計される。また、図17Bに示すように、第一加工用工具42Lは、工具端面42Aを図示下方に向けて工具軸線Lに直角な方向から見たとき、工具刃42aLの刃すじ42bLは、右下方から左上方に傾斜するねじれ角βLを有するように設計される。

0099

なお、第一加工用工具42Lを設計する場合、第二加工用工具42Rで設定した交差角φRと同一角度を交差角φLとして工具刃42aLの刃すじ42bLのねじれ角βLを求めることで、第一加工用工具42Lから第二加工用工具42Rに工具交換した後の第一加工用工具42Lの加工状態の設定変更を行わなくてよいため、生産効率を向上できる。以上の第一加工用工具42L及び第二加工用工具42Rの設計は、制御装置100の工具設計部102において行われる。

0100

そして、第一加工用工具42L及び第二加工用工具42Rは、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を高精度に切削加工できることが必要となる。よって、第一加工用工具42L及び第二加工用工具42Rの工具状態の設定は、制御装置100の工具状態演算部103において行われる。そして、第一加工用工具42L及び第二加工用工具42Rによる切削加工は、加工制御部101において行われる。以下では、工具状態演算部103の処理及び加工制御部101の処理は前述の例と同様であるため詳細な説明は省略し、工具設計部102の処理について説明する。

0101

(10.制御装置の工具設計部による処理)
制御装置100の工具設計部102による第二加工用工具42Rの設計処理について、図15図16A及び図16Bを参照して説明する。なお、右チャンファ歯面132のねじれ角θr、歯すじ長rr、高さ及び圧力角並びに歯面間隔JRは、記憶部104に予め記憶されているものとする。さらに、第二加工用工具42Rに関するデータ、すなわち刃数Z、刃先円直径da、基準円直径d、刃末のたけha、モジュールm、転位係数λ、圧力角α、正面圧力角αt及び刃先圧力角αaは、記憶部104に予め記憶されているものとする。

0102

制御装置100の工具設計部102は、記憶部104から右チャンファ歯面132のねじれ角θrを読み込む(図15のステップS51)。そして、工具設計部102は、作業者により入力される第二加工用工具42Rの交差角φRと、読み込んだ右チャンファ歯面132のねじれ角θrとの差を、第二加工用工具42Rの工具刃42aRの刃すじ42bRのねじれ角βRとして求める(図15のステップS52)。

0103

工具設計部102は、記憶部104から第二加工用工具42Rの刃数Z等を読み込み、読み込んだ第二加工用工具42Rの刃数Z等及び求めた工具刃42aRの刃すじ42bRのねじれ角βRに基づいて、工具刃42aRの刃先幅SaRを求める(図15のステップS53)。そして、工具設計部102は、記憶部104から歯面間隔JRを読み出し、求めた工具刃42aRの刃先幅SaRが歯面間隔JRより小さいか否かを判断する(図15のステップS54)。

0104

工具設計部102は、求めた工具刃42aRの刃先幅SaRが歯面間隔JR以上のときは、ステップS52に戻って上述の処理を繰り返す。一方、工具設計部102は、求めた工具刃42aRの刃先幅SaRが歯面間隔JRより小さくなったら、求めた工具刃42aRの刃すじ42bRのねじれ角βR等に基づいて、第二加工用工具42Rの形状を決定し(図15のステップS55)、決定した第二加工用工具42Rの形状データを記憶部104に記憶し(図15のステップS56)、全ての処理を終了する。以上により、最良の工具刃42aRを有する第二加工用工具42Rが設計される。なお、第一加工用工具42Lの設計処理も同様である。

0105

(11.別形状を加工するための加工用工具の別形態)
上述の例では、スリーブ115のギヤ抜け防止部120を構成する左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を、2つの加工用工具42(第一加工用工具42L及び第二加工用工具42R)を用いてそれぞれ切削加工する場合を説明した。左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132も、前述の左テーパ歯面121及び右テーパ歯面122を切削加工できる1つの加工用工具42と同様に、1つの加工用工具42Tを用いて切削加工できる(図16A図16B及び図16Cに対応させた図19A図19B及び図19C参照)。

0106

この加工用工具42Tでも第一加工用工具42L及び第二加工用工具42Rと同様に、加工用工具42Tの工具刃42aTは、内歯115aを切削加工中に隣り合う内歯115aに干渉せずに、左チャンファ歯面131及び右チャンファ歯面132を確実に切削加工できる形状にすることが必要となる。ここで、加工用工具42Tの刃先幅はSaT、ねじれ角はβTであり、右チャンファ歯面132における歯面間隔はKT、左チャンファ歯面131における歯面間隔はMT、右チャンファ歯面132の切削加工時の交差角はφtr、左チャンファ歯面131の切削加工時の交差角はφtfである。

0107

なお、加工用工具42Tの設計は、制御装置100の工具設計部102において、図13及び図15で説明した処理と同様の処理により行われるため詳細な説明は省略する。また、加工用工具42Tに関する工具状態演算部103の処理は図3で説明した処理と同様であり、また、加工制御部101の処理は工具交換を行わない点を除いて図4で説明した処理と同様であるため詳細な説明は省略する。

0108

(12.その他)
上述の例では、ギヤ抜け防止部120は、加工用工具42F,42G,42による切削加工でスリーブ115の既加工済みの内歯115aに対し形成する場合を説明した。しかし、ギヤ抜け防止部120は、ローリング加工でスリーブ115の既加工済みの内歯115aに対し仕上げ代を残して荒加工した後、加工用工具42F,42G,42で仕上げ代を切削加工して仕上げ加工することで形成するようにしてもよい。加工用工具42L,42R,42Tの場合も同様である。

0109

その場合、図20に示すように、ローリング加工で形成したギヤ抜け防止部120の周囲には、ばりvが発生するが、加工用工具42F,42G,42による仕上げ加工で仕上げ代w(図示一点鎖線より外側の部分)とともにばりvを除去できる。よって、加工用工具42F,42G,42は、左サブ歯面121aを含む左テーパ歯面121及び右サブ歯面122aを含む右テーパ歯面122を高精度に切削加工できる。加工用工具42L,42R,42Tの場合も同様である。

0110

また、上述の例では、スリーブ115の内歯115aをブローチ加工やギヤシェーパ加工等により形成する場合を説明したが、加工用工具42F,42G,42による切削加工でスリーブ115の内歯115a及びギヤ抜け防止部120を全て形成するようにしてもよい。加工用工具42L,42R,42Tの場合も同様である。また、内歯に対し加工する場合を説明したが、外歯に対しても同様に加工可能である。また、加工物としてシンクロメッシュ機構110のスリーブ115としたが、歯車のように噛み合う歯部を有するものや円筒形状、円盤形状の加工物でもよく、内周(内歯)、外周(外歯)のいずれか一方又は両方に複数の歯面(異なる複数の歯すじ、歯形(歯先、歯元))を同様に加工可能である。また、クラウニングレリービングなどの連続変化する歯すじ、歯形(歯先、歯元)も同様に加工可能であり、噛み合いを最適化(良好な状態)できる。

0111

また、上述の例では、5軸マシニングセンタである歯車加工装置1は、スリーブ115をA軸旋回可能とするものとした。これに対して、5軸マシニングセンタは、縦形マシニングセンタとして、加工用工具42F,42R,42,42L,42R,42TをA軸旋回可能とする構成としてもよい。また、本発明をマシニングセンタに適用する場合を説明したが、歯車加工専用機に対しても同様に適用可能である。

0112

(13.実施形態の効果)
本実施形態の歯車加工装置1は、加工物(スリーブ115)の回転軸線Lwに対し傾斜した回転軸線Lを有する加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)を用い、加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)を加工物115と同期回転させながら加工物115の回転軸線L方向に相対的に送り操作して歯車を加工する歯車加工装置1であって、歯車の歯115aの側面115A(115B)は、第一歯面115b(115c)及び第一歯面115b(115c)とねじれ角が異なる第二歯面121(122,131,132)を有し、加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)の工具刃42af(42ag,42a,42aL,42aR,42aT)の刃すじ42bf(42bg,42b,42bL,42bR,42bT)は、予め加工された第一歯面115b(115c)に対し第二歯面121(122,131,132)を加工可能なように、第二歯面121(122,131,132)のねじれ角θf(θr,θL,θR)及び加工物115の回転軸線Lwと加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)の回転軸線Lとの交差角φf(φg,φff,φrr,φL,φR,φtr,φtf)に基づいて設定されたねじれ角βf(βg,β,βL,βR,βT)を有する。

0113

従来、ねじれ角が異なる第一歯面115b(115c)及び第二歯面121(122,131,132)を有する歯車の歯は、予め加工された第一歯面115b(115c)に対し塑性加工により第二歯面121(122,131,132)を形成しているため、第二歯面121(122,131,132)の加工精度が低下する問題がある。しかし、この歯車加工装置1では、第二歯面121(122,131,132)は、切削加工により第一歯面115b(115c)に形成されるので、加工精度を高めることができる。

0114

また、歯車の歯115aの一方側の側面115Aは、第一歯面115b及び第一歯面115bとねじれ角が異なる第二歯面121(131)を有し、歯車の歯115aの他方側の側面115Bは、第三歯面115c及び第三歯面115cとねじれ角が異なる第四歯面122(132)を有し、加工用工具として、第一加工用工具42F(42L)及び第二加工用工具42G(42R)を備え、第一加工用工具42F(42L)の工具刃42af(42aL)の刃すじ42bf(42bL)は、予め加工された第一歯面115bに対し第二歯面121(131)を加工可能なように、第二歯面121(131)のねじれ角θf(θL)及び加工物115の回転軸線Lwと第一加工用工具42F(42L)の回転軸線Lとの交差角φf(φL)に基づいて設定されたねじれ角βf(βL)を有し、第二加工用工具42G(42R)の工具刃42ag(42aR)の刃すじ42bg(42bR)は、予め加工された第三歯面115cに対し第四歯面122(132)を加工可能なように、第四歯面122(132)のねじれ角θr(θR)及び加工物115の回転軸線Lwと第二加工用工具42G(42R)の回転軸線Lとの交差角φg(φR)に基づいて設定されたねじれ角βg(βR)を有する。

0115

これにより、ねじれ角が異なる第一歯面115b(115c)及び第二歯面121(131)並びに第三歯面115c及び第四歯面122(132)であっても、第一加工用工具42F(42L)及び第二加工用工具42G(42R)で切削加工により形成できるので、加工効率を向上できる。

0116

また、歯車の歯115aの一方側の側面115Aは、第一歯面115b及び第一歯面115bとねじれ角が異なる第二歯面121(131)を有し、歯車の歯115aの他方側の側面115Bは、第三歯面115c及び第三歯面115cとねじれ角が異なる第四歯面122(132)を有し、加工用工具42(42T)の工具刃42a(42aT)の一方側の刃すじ42b(42bT)は、予め加工された第一歯面115bに対し第二歯面121(131)を加工可能なように、第二歯面121(131)のねじれ角θf(θL)及び加工物115の回転軸線Lwと加工用工具42(42T)の回転軸線Lとの第二歯面用の交差角φff(φtf)に基づいて設定されたねじれ角β(βT)を有し、加工用工具42(42T)の工具刃42a(42aT)の他方側の刃すじ42b(42bT)は、加工用工具42(42T)の工具刃42a(42aT)の一方側の刃すじ42b(42bT)のねじれ角β(βT)と同一角度のねじれ角β(βT)を有し、加工用工具42(42T)は、予め加工された第一歯面115bに対し第二歯面121(131)を加工する際、第二歯面用の交差角φff(φtf)に設定され、予め加工された第三歯面115cに対し第四歯面122(132)を加工する際、第四歯面122のねじれ角θr(θR)及び加工用工具42(42T)の他方側の工具刃42a(42aT)の刃すじ42b(42bT)のねじれ角β(βT)とに基づいて求まる第四歯面用の交差角φrr(φtr)に設定される。

0117

これにより、ねじれ角が異なる第一歯面115b及び第二歯面121(131)並びに第三歯面115c及び第四歯面122(132)であっても、1つの加工用工具42(42T)で切削加工により形成できるので、工具交換を行う必要がなく、加工効率を大幅に向上できる。

0118

また、第二歯面121(131)及び第四歯面122(132)は、塑性加工で荒加工され、加工用工具42F,42G,42(42L,42R,42T)は、第二歯面121(131)及び第四歯面122(132)を仕上げ加工する際に、第二歯面121(131)及び第四歯面122(132)に生じるバリを除去する。

0119

また、歯車は、シンクロメッシュ機構のスリーブ115であり、ねじれ角が異なる歯面121(131)及び122(132)は、スリーブ115の内周歯に設けられるギヤ抜け防止部120の歯面である。これにより、ギヤ抜け防止部120を構成する第二歯面121(131)及び第四歯面122(132)は、切削加工により加工精度が高くなるので、ギヤ抜けを確実に防止できる。そして、スリーブ115の歯115aに設けられるギヤ抜け防止部120の歯面は、スリーブ115の歯115aの端面に設けられるチャンファ歯面131,132及びチャンファ歯面131,132に連なるテーパ歯面121,122である。チャンファ歯面131,132によりギヤ噛み合わせをスムーズに行うことができ、テーパ歯面121,122によりギヤ抜けを確実に防止できる。

0120

また、加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)で歯車を加工する歯車加工方法であって、歯車115の歯115aの側面115A(115B)は、第一歯面115b(115c)及び第一歯面115b(115c)とねじれ角が異なる第二歯面121(122)を有し、加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)の工具刃42af(42ag,42a,42aL,42aR,42aT)の刃すじ42bf(42bg,42b,42bL,42bR,42bT)は、予め加工された第一歯面115b(115c)に対し第二歯面121(122,131,132)を加工可能なように、第二歯面121(122,131,132)のねじれ角θf(θr,θL,θR)及び加工物115の回転軸線Lwと加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)の回転軸線Lとの交差角φf(φg,φff,φrr,φL,φR,φtr,φtf)に基づいて設定されたねじれ角βf(βg,β,βL,βR,βT)を有し、歯車加工方法は、加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)の回転軸線Lを、加工物115の回転軸線Lwに対し傾斜させる工程と、加工用工具42F(42G,42,42L,42R,42T)を加工物115と同期回転させながら加工物115の回転軸線Lw方向に相対的に送り操作して第二歯面121(122,131,132)を加工する工程と、を備える。これにより、上述の歯車加工装置1と同様の効果が得られる。

0121

1:歯車加工装置、 42F,42G,42,42L,42R,42T:加工用工具、 42af,42ag,42a,42aL,42aR,42aT:工具刃、 42bf,42bg,42b,42bL,42bR,42bT:刃すじ、 100:制御装置、 101:加工制御部、 102:工具設計部、 103:工具状態演算部、 104:記憶部、 115:スリーブ(加工物)、 121:左テーパ歯面、 122:右テーパ歯面、 131:左チャンファ歯面、 132:右チャンファ歯面、 βf,βg,β,βL,βR,βT:刃すじのねじれ角、 θf,θr,θL,θR:歯面のねじれ角、 φf,φg,φff,φrr,φL,φR,φtr,φtf:交差角

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