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技術 繊維製品の分解方法、この方法に用いられる複合糸、およびこれにより縫製されている繊維製品

出願人 日本蚕毛染色株式会社
発明者 平本健細見夏子
出願日 2016年10月27日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-210792
公開日 2018年5月10日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-071016
状態 未査定
技術分野 繊維製品の化学的、物理的処理 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ
主要キーワード トートバッグ 導電性ポリエステル繊維 平織生地 防寒着 導電性アクリル繊維 焦げる パッチワーク 防塵衣
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年5月10日)のものです。
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図面 (10)

課題

複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、再び複数の構成部材へ容易に分解する。

解決手段

繊維製品の分解方法は、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、前記構成部材に分解する繊維製品の分解方法であって、前記繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、前記複合糸の少なくとも一部を加熱溶融する第1工程と、前記複合糸が加熱溶融された前記繊維製品を前記構成部材へ分離する第2工程とを含み、前記複合糸は、導電性繊維を含み、前記導電性繊維は、ポリエステルアクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなり、前記導電性繊維は、前記複合糸中に3〜25質量%含まれる。

概要

背景

出願人らは、たとえば特開昭55−051873号公報(特許文献1)において、アクリル系繊維導電性を付与した導電性繊維について開示している。この種の導電性繊維は、特開平07−331514号公報(特許文献2)に開示される防塵衣のように、たとえば静電防止の目的で用いられている。

概要

複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、再び複数の構成部材へ容易に分解する。繊維製品の分解方法は、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、前記構成部材に分解する繊維製品の分解方法であって、前記繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、前記複合糸の少なくとも一部を加熱溶融する第1工程と、前記複合糸が加熱溶融された前記繊維製品を前記構成部材へ分離する第2工程とを含み、前記複合糸は、導電性繊維を含み、前記導電性繊維は、ポリエステルアクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなり、前記導電性繊維は、前記複合糸中に3〜25質量%含まれる。

目的

本発明は、上記実情に鑑みてなされ、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、再び複数の構成部材へ容易に分解する繊維製品の分解方法、この方法に用いられる複合糸、およびこれにより縫製されている繊維製品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、前記構成部材に分解する繊維製品の分解方法であって、前記繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、前記複合糸の少なくとも一部を加熱溶融する第1工程と、前記複合糸が加熱溶融された前記繊維製品を前記構成部材へ分離する第2工程とを含み、前記複合糸は、導電性繊維を含み、前記導電性繊維は、ポリエステルアクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなり、前記導電性繊維は、前記複合糸中に3〜25質量%含まれる、繊維製品の分解方法。

請求項2

請求項1に記載の繊維製品の分解方法に用いられる、複合糸。

請求項3

前記複合糸は、パルプからなる基板巻回することにより、前記基板上に前記複合糸からなる面を形成し、この面のシート抵抗を測定したとき、その値が1Ω/□以上1×106Ω/□以下である、請求項2に記載の複合糸。

請求項4

前記複合糸は、コットン、ナイロンまたはポリエステルと、前記導電性繊維とが混紡された混紡糸であり、前記混紡糸は、前記基板に巻回することにより、前記基板上に前記混紡糸からなる面を形成し、この面のシート抵抗を測定したとき、その値が1×102Ω/□以上1×104Ω/□以下である、請求項3に記載の複合糸。

請求項5

請求項2〜4のいずれかに記載の複合糸により前記構成部材が縫製されている、繊維製品。

技術分野

0001

本発明は、繊維製品分解方法、この方法に用いられる複合糸、およびこれにより縫製されている繊維製品に関する。

背景技術

0002

出願人らは、たとえば特開昭55−051873号公報(特許文献1)において、アクリル系繊維導電性を付与した導電性繊維について開示している。この種の導電性繊維は、特開平07−331514号公報(特許文献2)に開示される防塵衣のように、たとえば静電防止の目的で用いられている。

先行技術

0003

特開昭55−051873号公報
特開平07−331514号公報

発明が解決しようとする課題

0004

従来から繊維製品は、たとえば衣服において、古着などとして再利用される場合があった。この場合、衣服はそのまま再利用されるのが通例であって、衣服を、これを構成している各構成部材(たとえば、用布)にまで分解し、該用布の単位で再利用することはほとんど行われていない。その理由は、各用布を縫製している糸を衣服から抜き取るのが不可能または非常に手間であるという事情がある。しかしながら、ウールシルクなどの高級な糸および用布を使った衣服については、該糸および用布の再利用に一定の需要が見込まれる。さらに、たとえばダウンジャケットなどでは、ジャケットの用布を破くことにより内容物であるダウンを取り出して再利用することが一部で行なわれているものの、ジャケットの用布を破くことも手間であるので、その再利用が普及しているとはいい難い現状である。

0005

本発明は、上記実情に鑑みてなされ、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、再び複数の構成部材へ容易に分解する繊維製品の分解方法、この方法に用いられる複合糸、およびこれにより縫製されている繊維製品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係る繊維製品の分解方法は、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、前記構成部材に分解する繊維製品の分解方法であって、前記繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、前記複合糸の少なくとも一部を加熱溶融する第1工程と、前記複合糸が加熱溶融された前記繊維製品を前記構成部材へ分離する第2工程とを含み、前記複合糸は、導電性繊維を含み、前記導電性繊維は、ポリエステルアクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなり、前記導電性繊維は、前記複合糸中に3〜25質量%含まれる。

0007

本発明に係る複合糸は、上記繊維製品の分解方法に用いられる。
上記複合糸は、パルプからなる基板巻回することにより、上記基板上に上記複合糸からなる面を形成し、この面のシート抵抗を測定したとき、その値が1Ω/□以上1×106Ω/□以下であることが好ましい。

0008

上記複合糸は、コットン、ナイロンまたはポリエステルと、上記導電性繊維とが混紡された混紡糸であり、上記混紡糸は、上記基板に巻回することにより、上記基板上に上記混紡糸からなる面を形成し、この面のシート抵抗を測定したとき、その値が1×102Ω/□以上1×104Ω/□以下であることが好ましい。

0009

本発明に係る繊維製品は、上記複合糸により上記構成部材が縫製されている繊維製品である。

発明の効果

0010

本発明によれば、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、再び複数の構成部材へ容易に分解する繊維製品の分解方法、この方法に用いられる複合糸、およびこれにより縫製されている繊維製品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を20秒間照射する前の状態を示す図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を20秒間照射した後の状態を示す図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を20秒間照射した後の2枚重ねのウール平織生地の分離性を説明する図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を60秒(1分)間照射する前の状態を示す図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を60秒(1分)間照射した後の状態を示す図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を60秒(1分)間照射した後の2枚重ねのウール平織生地の分離性を説明する図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を180秒(3分)間照射する前の状態を示す図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を180秒(3分)照射した後の状態を示す図面代用写真である。
各実施例の複合糸により2枚重ねのウール平織生地を縫製した繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を180秒(3分)照射した後の2枚重ねのウール平織生地の分離性を説明する図面代用写真である。

0012

以下、本発明に係る実施形態について説明するが、これらの実施形態は例示であり、異なる実施形態または実施例で示される構成との部分的な置換または組み合わせが可能である。同様の構成による同様の作用効果については実施形態ごと、または実施例ごとに逐次言及しない。さらに、本明細書において「A〜B」という形式表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じであることに留意すべきである。またシート抵抗の値の単位はΩ/□であり、「オームパースクエア」と読む

0013

≪繊維製品の分解方法≫
本発明に係る繊維製品の分解方法は、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、構成部材に分解する繊維製品の分解方法である。この繊維製品の分解方法は、繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、複合糸の少なくとも一部を加熱溶融する第1工程と、複合糸が加熱溶融された繊維製品を構成部材へ分離する第2工程とを含む。この複合糸は、導電性繊維を含む。導電性繊維は、ポリエステル、アクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなる。導電性繊維は、上記複合糸中に3〜25質量%含まれている。

0014

ここで本発明において繊維製品とは、単に衣服に限定されず、布製カバンおよび小物など、後述する複合糸と構成部材とから製造された製品のすべてが含まれる。より具体的には、繊維製品として一般的な洋服シャツブラウス、ジャケット、スラックススカート、ダウンベスト、ダウンジャケットなど)、着物浴衣、作務衣などの和服のほか、布製カバン、トートバッグワッペンパッチワークされた布、布団カーペット、その他の敷物などが含まれる。これらの製品には、合成繊維植物性または動物性天然繊維からなるもの、およびこれらの組み合わせからなるものを含め、あらゆる繊維から製造された製品が含まれる。さらに構成部材とは、衣服などを仕立てるのに用いる用布、前身後身頃などの各身頃布片からなる生地などをいう。本発明においては、ダウンジャケットなどに含まれるダウン、フェザー防寒着に含まれる綿なども構成部材に含まれるものとする。

0015

≪複合糸≫
上記繊維製品の分解方法に用いられる複合糸は、導電性繊維を含む。この導電性繊維は、ポリエステル、アクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなる。さらに導電性繊維は、上記複合糸中に3〜25質量%含まれる。

0016

すなわち複合糸は、上記導電性繊維と残部となる繊維とからなる。残部となる繊維としては、ポリエステル、アクリルまたはナイロンその他の合成繊維、ならびにコットン、レーヨンキュプラなどの植物性または絹糸羊毛などの動物性の天然繊維などが挙げられる。

0017

導電性繊維は、上述のとおりポリエステル、アクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなる。その製造方法は、たとえばアクリルに金属としての硫化銅を吸着することにより導電性繊維を製造する場合、上記特許文献1に開示された導電性繊維の製造方法に準ずる。金属としては、導電性のものであればよく銀、銅、パラジウムなどの各種の金属元素を用いることができる。汎用性の観点から金属として銀、銅のいずれかを用いることが好ましい。

0018

導電性繊維における金属の吸着量が2質量%未満であると、導電性が不十分となって複合糸の加熱溶融が起こりにくくなる傾向がある。導電性繊維における金属の吸着量が10質量%を超えると、金属の脱落によって繊維製品が汚染される傾向がある。さらに導電性繊維の複合糸中の含有量が3質量%未満となると、導電性が不十分となって複合糸の加熱溶融が起こりにくくなる傾向がある。導電性繊維の複合糸中の含有量が25質量%を超えると、導電性繊維が電磁波を過大に吸収し、発熱が大きくなって繊維製品の燃焼につながる傾向がある。

0019

上記複合糸は、パルプ(たとえば、厚紙)からなる基板に巻回することにより、基板上に複合糸からなる面を形成し、この面のシート抵抗を測定したとき、その値が1Ω/□以上1×106Ω/□以下であることが好ましい。シート抵抗の測定方法は、以下のとおりである。たとえば厚紙からなる基板に複合糸を巻回することにより、該基板上に少なくとも縦2inch×横2inchの複合糸からなる面を形成する。この面に表面抵抗計(商品名:「SK−6500」、カイセ株式会社製)を載置することにより、シート抵抗値計測することができる。ここでシート抵抗値は、上述の面に対し5回測定し、そのうち最大値および最小値を除いた3回の値の平均値で表すこととする。

0020

シート抵抗値の測定は、より詳細には目視において、上記複合糸によって隙間なく少なくとも縦2inch×横2inchの面が上記基板上に形成されているものを対象にする。複合糸の巻回は、隙間なく上記の面を形成するために、基板の厚み方向に複合糸を並列に並べながら巻回することが好ましい。たとえば、縦40mm、横50mm、厚み1mmの基板の周囲を100回以上巻回することにより、該基板上に縦2inch×横2inchの面を形成することができる。

0021

上記シート抵抗値は1Ω/□未満であると、抵抗値が低すぎて電磁波を照射したときに加熱溶融の反応が激しく進行し、火花が散るなどの影響が及ぶ恐れがある。上記シート抵抗値は106Ω/□を超えると、抵抗値が高すぎて電磁波を照射しても複合糸が加熱溶融しない恐れがある。上記シート抵抗値は、1×102Ω/□以上1×104Ω/□以下であることが好ましい。

0022

複合糸は、コットン、ナイロンまたはポリエステルと、上記導電性繊維とが混紡された混紡糸であることがさらに好ましい。この混紡糸は、上記基板に巻回することにより、基板上に混紡糸からなる面を形成し、この面を形成する混紡糸の進行方向に対して垂直に2本の並列電極を設置してシート抵抗を測定したとき、その値が1×102Ω/□以上1×104Ω/□以下である。混紡糸のシート抵抗の測定方法は、複合糸のシート抵抗の測定方法と同じであり、表面抵抗計(商品名:「SK−6500」、カイセ株式会社製)を用いることにより計測することができる。混紡糸のシート抵抗値についても、5回測定してそのうち最大値および最小値を除いた3回の値の平均値で表すこととする。

0023

たとえば複合糸が、97質量%のコットンと、アクリルに銅が吸着してなる3質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると4.3×103Ω/□となる。複合糸が、95質量%のコットンと、アクリルに銅が吸着してなる5質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると2.6×103Ω/□となる。

0024

複合糸が、90質量%のコットンと、アクリルに銅が吸着してなる10質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると1.3×103Ω/□となる。複合糸は、85質量%のコットンと、アクリルに銅が吸着してなる15質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると4.5×102Ω/□となる。

0025

さらに、たとえば複合糸が、97質量%のポリエステルと、アクリルに銅が吸着してなる3質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると4×101Ω/□となる。複合糸が、95質量%のポリエステルと、アクリルに銅が吸着してなる5質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると1.8×103Ω/□となる。

0026

複合糸が、90質量%のポリエステルと、アクリルに銅が吸着してなる10質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると1.5×103Ω/□となる。複合糸が、85質量%のポリエステルと、アクリルに銅が吸着してなる15質量%の導電性繊維(1T×38mm)とを混紡した混紡糸である場合、この混紡糸のシート抵抗値を上述の方法により測定すると1.3×103Ω/□となる。

0027

ただし複合糸は、本発明に係る繊維製品の分解方法に関する限り、導電性繊維を含み、この導電性繊維がポリエステル、アクリルまたはナイロンのいずれかに金属を2〜10質量%吸着させてなり、上記複合糸中に3〜25質量%含まれているものであれば、公知の複合糸を用いてもよい。すなわち、複合糸を上記基板に巻回し、基板上に複合糸からなる面を形成し、この面のシート抵抗を測定したとき、その値が必ずしも1Ω/□以上1×106Ω/□以下である必要はない。

0028

<第1工程>
第1工程は、繊維製品に対し、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、複合糸の少なくとも一部を加熱溶融する工程である。所定の周波数は、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、915MHz、2.45GHz、5GHzなどの周波数であることが好ましい。たとえば2.45GHzの周波数は、市販の家庭用電子レンジが出力する電磁波の周波数である。したがって、第1工程では、市販の家庭用電子レンジを利用することができる。ただし、本発明において繊維製品へ照射する電磁波の周波数は、上記の周波数に限定すべきではなく、本発明の効果が得られる限り用いることができる。ただし、その使用については、法令遵守することが好ましい。

0029

さらに第1工程において、所定の周波数を有する電磁波の照射(出力)は、繊維製品に向けて10〜180秒間行われる。上記周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射することにより、複合糸に含まれる導電性繊維中の金属を高温とし、複合糸を構成している導電性繊維と、合成繊維および天然繊維の両方またはいずれか一方からなる繊維とを加熱溶融することができる。電磁波の照射時間が10秒間未満であると、複合糸の加熱溶融が不十分になる恐れがある。電磁波の照射時間が180秒間を超えると、複合糸の加熱溶融が過多となって構成部材である用布などが燃える、発火するといった悪影響が及ぶ可能性がある。第1工程における電磁波の照射(出力)は、20〜60秒間であることが好ましい。電磁波の照射源と繊維製品との距離は、適切に複合糸が適切に加熱溶融される距離、たとえば2〜15cmであることが好ましい。電磁波の出力は、商用電源によって可能な出力、たとえば500〜1000Wであることが好ましい。

0030

第1工程は、たとえば上記繊維製品を市販の家庭用電子レンジ投入し、この電子レンジに付属タイマーを10〜180秒間の範囲から選んで電子レンジを作動させ、2.45GHzの電磁波を繊維製品に照射することを含む。これにより繊維製品において複数の構成部材を縫製している複合糸は加熱溶融される。

0031

<第2工程>
第2工程は、複合糸が加熱溶融された繊維製品を構成部材へ分離する工程である。第2工程では、繊維製品に含まれる複合糸の少なくとも一部が加熱溶融しているため、繊維製品において複数の構成部材は、縫製されている状態が加熱溶融している複合糸の箇所において解かれている。したがって、手作業または機械を用いた作業によって繊維製品から、これを構成している各構成部材へ容易に分離することができる。たとえば、重なっている生地と生地とを手作業により引きはがすことにより、各生地へ容易に分離することができる(必要であれば図3図6図9などを参照すること)。

0032

ここで本発明において、第1工程と第2工程とは同時に進行する場合があり得ることに留意すべきである。

0033

<作用>
このように、本発明に係る繊維製品の分解方法および複合糸によれば、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、所定の周波数を有する電磁波を10〜180秒間照射し、複合糸の少なくとも一部を加熱溶融することにより、再び複数の構成部材へ容易に分解することができる。

0034

≪繊維製品≫
本発明に係る繊維製品は、上記複合糸により上記構成部材が縫製されている繊維製品である。この繊維製品には、上述のように衣服に限定されず、布製カバン、靴および小物など、後述する複合糸と構成部材(たとえば用布、布片)とから製造された製品のすべてが含まれる。より具体的には、一般的な洋服(シャツ、ブラウス、背広、スラックス、スカート、ダウンジャケットなど)、着物などの和服のほか、布製カバン、トートバッグ、ワッペン、パッチワークされた布、布団、カーペット、その他の敷物などが含まれる。これらの繊維製品は、複合糸により縫製されているため、上述した繊維製品の分解方法により、複数の構成部材へ容易に分解することができる。

0035

以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0036

≪複合糸の準備≫
<実施例1>
本実施例の複合糸を、次の手順で製造することにより準備した。すなわち、まず原料となるアクリルをポリエステルに変更すること以外、上記特許文献1に開示された製造方法に沿って、このポリエステルに硫化銅を吸着させることにより1.45Tの導電性ポリエステル繊維を作製した。次に、この導電性ポリエステル繊維10質量%と、1.45Tのポリエステル(東レ株式会社製)90質量%とを混紡することにより、これらからなる混紡糸として本実施例の複合糸を準備した。

0037

1.45Tの導電性ポリエステル繊維は、具体的には、原料となるポリエステル繊維を、銅イオン亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムからなる還元剤とを含む溶液含浸し、その後、湯洗し、水洗し、脱水し、乾燥させて上記ポリエステル繊維の表面に結晶状の硫化銅被膜を形成することにより作製した。

0038

<実施例2>
本実施例の複合糸は、導電性ポリエステル繊維15質量%と、1.45Tのポリエステル(東レ株式会社製)85質量%とを混紡すること以外、実施例1と同じ手順で製造することにより準備した。

0039

<実施例3>
本実施例の複合糸は、導電性ポリエステル繊維20質量%と、1.45Tのポリエステル(東レ株式会社製)80質量%とを混紡すること以外、実施例1と同じ手順で製造することにより準備した。

0040

<実施例4>
本実施例の複合糸を、次の手順で製造することにより準備した。すなわち、まず上記特許文献1に開示された製造方法に沿って、アクリル繊維に硫化銅を吸着させることにより2.2Tの導電性アクリル繊維を作製した。次に、この導電性アクリル繊維10質量%と、1.45Tのポリエステル(東レ株式会社製)90質量%とを混紡することにより、これらからなる混紡糸として本実施例の複合糸を準備した。

0041

2.2Tの導電性アクリル繊維は、具体的には、原料となるアクリル繊維を、銅イオンと亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムからなる還元剤とを含む溶液に含浸し、その後、湯洗し、水洗し、脱水し、乾燥させて上記アクリル繊維の表面に結晶状の硫化銅被膜を形成することにより作製した。

0042

<実施例5>
本実施例の複合糸は、導電性アクリル繊維15質量%と、1.45Tのポリエステル(東レ株式会社製)85質量%とを混紡すること以外、実施例4と同じ手順で製造することにより準備した。

0043

<実施例6>
本実施例の複合糸は、導電性ポリエステル繊維20質量%と、1.45Tのポリエステル(東レ株式会社製)80質量%とを混紡すること以外、実施例4と同じ手順で製造することにより準備した。

0044

<比較例1〜4>
比較例1〜4には、導電性が付与されていることを謳っている次の市販のミシン糸を用いた。すなわち、比較例1のミシン糸は、ポリエステル100質量%のスパンミシン糸(商品名:「サンカブト60」、三山株式会社)である。比較例2のミシン糸は、ポリエステル100質量%(100dtex×3)の導電性繊維(商品名:「キングせいでんミシン糸」、株式会社フジックス)である。比較例3のミシン糸は、ポリエステル100質量%(100dtex×3)のミシン糸(商品名:「プリベントE」、グンゼ株式会社)である。比較例4のミシン糸は、ポリエステル100質量%のスパンミシン糸(商品名:「パチトリーナ」、モリリン株式会社)である。

0045

≪繊維製品の製造≫
実施例1〜6の複合糸および比較例1〜4のミシン糸を用い、2枚重ねのウール平織生地を縫製することにより繊維製品を製造した。実施例1〜6の複合糸で縫製された繊維製品の状態を図1図4図7に示す。ここで図1〜9において、「4」と表記された箇所の付近または両サイドで上下方向に縫製されている糸が、実施例1の複合糸であり、「5」と表記された箇所の付近または両サイドで上下方向に縫製されている糸が、実施例2の複合糸であり、「6」と表記された箇所の付近または両サイドで上下方向に縫製されている糸が、実施例3の複合糸である。

0046

さらに図1〜9において、「10」と表記された箇所の付近または両サイドで上下方向に縫製されている糸が、実施例4の複合糸であり、「11」と表記された箇所の付近または両サイドで上下方向に縫製されている糸が、実施例5の複合糸であり、「12」と表記された箇所の付近または両サイドで上下方向に縫製されている糸が、実施例6の複合糸である。比較例1〜4のミシン糸を用いてウール平織生地を2枚重ねで縫製した繊維製品の図示は省略した。

0047

≪評価≫
実施例1〜6の複合糸におけるシート抵抗値は、表面抵抗計(商品名:「SK−6500」、カイセ株式会社製)により上述した方法を用いて測定した。比較例1〜4のミシン糸におけるシート抵抗値は、表面抵抗計(商品名:「ST−4」、シムコジパン株式会社製)により上述した方法を用いて測定した。実施例1〜6および比較例1〜4の繊維製品に対し、2.45GHzの周波数で700Wの出力を備える市販の家庭用電子レンジ(商品名(品番):「RE−T13」、シャープ株式会社製)を用いて20秒間、60秒間、180秒間それぞれ電磁波を照射した。電磁波を照射した後の繊維製品への影響については目視により、繊維製品の各生地への分離性については、重ねられているウール平織生地を成人女性42)の手で引き離すこと(図3図6図9参照)によりそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。

0048

ここで表1中、「N」は生地が焦げるなどの影響がなかったことを示し、「Y」は複合糸の加熱溶融が激しすぎることにより生地が焦げたことを示す。表1中、「A」は繊維製品を各生地へ容易に分離することができて分離性を「良好」と評価したことを示し、「B」は繊維製品を各生地へ分離することができたが時間を要したために、分離性を「可」と評価したことを示し、「C」は繊維製品を各生地へ分離することが不可能であって分離性を「不良」と評価したことを示す。表1では「ウール平織生地」の用語を単に「ウール地」と称している。

0049

0050

さらに図2において、実施例1〜6の繊維製品に対して上述した電磁波を20秒間照射した後の状態を示し、図3において、2枚重ねのウール平織生地の一部をめくり上げて引き離すことにより、実施例1〜6の繊維製品の上述した電磁波を20秒間照射した後の分離性を視覚的に理解できるようにして示した。図3に示すように、複合糸は加熱溶融によって少なくとも一部が溶け、この複合糸によって2枚重ねのウール平織生地は縫製されている状態が解かれているので、その約下半分を容易にめくり上げて引き離すことができた。この2枚重ねのウール平織生地の約上半分についても、複合糸が加熱溶融によって少なくとも一部が溶けているので、容易にめくり上げて引き離すことが可能であるが、図3に示した2枚重ねのウール平織生地が、図2に示した2枚重ねのウール平織生地と同一であることを視覚的に明確とするため、それをしなかった。

0051

図5において、実施例1〜6の繊維製品に対して上述した電磁波を60秒間照射した後の状態を示し、図6において、2枚重ねのウール平織生地の一部をめくり上げて引き離すことにより、実施例1〜6の繊維製品の上述した電磁波を60秒間照射した後の分離性を視覚的に理解できるようにして示した。図6に示すように、複合糸は加熱溶融によって少なくとも一部が溶け、この複合糸によって2枚重ねのウール平織生地は縫製されている状態が解かれているので、その約下半分を容易にめくり上げて引き離すことができた。この2枚重ねのウール平織生地の約上半分についても、複合糸が加熱溶融によって少なくとも一部が溶けているので、容易にめくり上げて引き離すことが可能であるが、図6に示した2枚重ねのウール平織生地が、図5に示した2枚重ねのウール平織生地と同一であることを視覚的に明確とするため、それをしなかった。

0052

図8において、実施例1〜6の繊維製品に対して上述した電磁波を180秒間照射した後の状態を示し、図9において、2枚重ねのウール平織生地の一部をめくり上げて引き離すことにより、実施例1〜6の繊維製品の上述した電磁波を180秒間照射した後の分離性を視覚的に理解できるようにして示した。図9に示すように、複合糸は加熱溶融によって少なくとも一部が溶け、この複合糸によって2枚重ねのウール平織生地は縫製されている状態が解かれているので、その約下半分を容易にめくり上げて引き離すことができた。この2枚重ねのウール平織生地の約上半分についても、複合糸が加熱溶融によって少なくとも一部が溶けているので、容易にめくり上げて引き離すことが可能であるが、図9に示した2枚重ねのウール平織生地が、図8に示した2枚重ねのウール平織生地と同一であることを視覚的に明確とするため、それをしなかった。

0053

その結果、実施例1〜6では、それぞれ繊維製品に対して20〜180秒間、2.45GHzの電磁波が照射されることにより、複合糸が加熱溶融して2枚のウール平織生地の縫製された状態が解かれるため、繊維製品を2枚のウール平織生地に分離することができた。特に、上記電磁波の照射が20〜180秒間である場合、生地が焦げるなどの悪影響も発生することなく、容易に2枚のウール平織生地に分離することができた。一方、比較例1〜4のミシン糸は、繊維製品に対して180秒間照射、2.45GHzの電磁波が照射されることによっても変化がなく、電磁波の照射後に繊維製品を2枚のウール平織生地に分離することはできなかった。

0054

したがって本発明によれば、複合糸により複数の構成部材を縫製してなる繊維製品を、再び複数の構成部材へ容易に分解することができる。

実施例

0055

今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

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