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技術 接続端子および接続端子の製造方法

出願人 株式会社オートネットワーク技術研究所住友電装株式会社住友電気工業株式会社
発明者 渡邉玄
出願日 2016年10月20日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-205742
公開日 2018年4月26日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2018-067467
状態 特許登録済
技術分野 エッチングと化学研磨(つや出し) 電気メッキ方法,物品 雄雌型接触部材 電気接続器の製造又は接続方法(1)
主要キーワード 膨出片 合金化前 ニッケル下地層 パラジウム系合金 圧入接続 エンボス状 端子接点 表面SEM像
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課題

スズを接点部の最表面に露出させた接続端子と比較して、接続信頼性を維持しながら、摩擦係数を低減でき、かつ高温での経時変化を小さく抑えることができる接続端子、およびそのような接続端子の製造方法を提供する。

解決手段

少なくとも接点部において、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子21が、該接点部の最表面に露出して、基材10の表面に分布しており、合金粒子21の基材10の表面からの高さhが最も高い点を通る平面Pに、純スズまたは金属間化合物よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部が露出していない接続端子とする。また、パラジウム層およびスズ層をこの順に積層した積層構造を加熱し、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子21を形成する工程と、金属間化合物を形成しなかった余剰のスズに由来するスズ部を除去する工程と、を有する接続端子の製造方法とする。

概要

背景

従来一般に、接続端子を構成する材料として、銅または銅合金などの母材の表面にスズめっきが施されたものが用いられていた。スズめっき層においては、表面に絶縁性酸化スズ被膜が形成されるが、酸化スズ被膜は弱い力で破壊され、容易に金属スズ露出し、軟らかい金属スズの表面で、良好な電気的接触が形成される。

例えば、特許文献1において、銅合金製母材の少なくとも相手材との接触部の表面に、順次、ニッケルめっき層銅めっき層及び錫めっき層を積層してなる端子が開示されている。この端子において、ニッケルめっき層は、母材中の銅が錫めっき層に拡散するのを抑制するために設けられ、銅めっき層は、ニッケルと錫との金属間化合物の生成を抑制するために設けられている。また、錫めっき層の厚みを制限することで、端子挿入力の低減が図られている。

概要

スズを接点部の最表面に露出させた接続端子と比較して、接続信頼性を維持しながら、摩擦係数を低減でき、かつ高温での経時変化を小さく抑えることができる接続端子、およびそのような接続端子の製造方法を提供する。少なくとも接点部において、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子21が、該接点部の最表面に露出して、基材10の表面に分布しており、合金粒子21の基材10の表面からの高さhが最も高い点を通る平面Pに、純スズまたは金属間化合物よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部が露出していない接続端子とする。また、パラジウム層およびスズ層をこの順に積層した積層構造を加熱し、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子21を形成する工程と、金属間化合物を形成しなかった余剰のスズに由来するスズ部を除去する工程と、を有する接続端子の製造方法とする。

目的

本発明の課題は、スズを接点部の最表面に露出させた接続端子と比較して、接続信頼性を維持しながら、摩擦係数を低減でき、かつ高温での経時変化を小さく抑えることができる接続端子、およびそのような接続端子の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも相手方導電部材電気的に接触する接点部において、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子が、該接点部の最表面に露出して、基材の表面に分布しており、前記合金粒子の前記基材の表面からの高さが最も高い点を通る平面に、純スズまたは前記金属間化合物よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部が露出していないことを特徴とする接続端子

請求項2

前記合金粒子の周囲に、前記スズ部が存在しないことを特徴とする請求項1に記載の接続端子。

請求項3

前記合金粒子の間に、前記基材の表面が露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の接続端子。

請求項4

前記基材は、ニッケルまたはニッケル合金の層を有しており、前記金属間化合物が、(Ni0.4Pd0.6)Sn4の組成を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の接続端子。

請求項5

前記接点部において、前記合金粒子が占める面積の割合が、30%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の接続端子。

請求項6

前記接点部と、最表面にスズ層が露出した相手方導電部材との間の動摩擦係数が、0.4以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の接続端子。

請求項7

前記合金粒子が占める層の平均の厚さが、0.1μm以上、5.0μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の接続端子。

請求項8

基材の表面に、パラジウム層およびスズ層をこの順に積層した積層構造を作製する工程と、前記積層構造を加熱し、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子を形成する工程と、前記金属間化合物を形成しなかった余剰のスズに由来する、純スズまたは前記金属間化合物よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部を除去する工程と、を有することを特徴とする接続端子の製造方法。

請求項9

前記スズ部を除去する工程は、スズを化学的に溶解することによって行うことを特徴とする請求項8に記載の接続端子の製造方法。

請求項10

前記積層構造におけるスズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合が、2原子%以上であることを特徴とする請求項8または9に記載の接続端子の製造方法。

請求項11

前記積層構造におけるスズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合が、20原子%未満であることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の接続端子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、接続端子および接続端子の製造方法に関し、さらに詳しくは、表面に合金露出した接続端子、およびそのような接続端子の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

従来一般に、接続端子を構成する材料として、銅または銅合金などの母材の表面にスズめっきが施されたものが用いられていた。スズめっき層においては、表面に絶縁性酸化スズ被膜が形成されるが、酸化スズ被膜は弱い力で破壊され、容易に金属スズが露出し、軟らかい金属スズの表面で、良好な電気的接触が形成される。

0003

例えば、特許文献1において、銅合金製母材の少なくとも相手材との接触部の表面に、順次、ニッケルめっき層銅めっき層及び錫めっき層を積層してなる端子が開示されている。この端子において、ニッケルめっき層は、母材中の銅が錫めっき層に拡散するのを抑制するために設けられ、銅めっき層は、ニッケルと錫との金属間化合物の生成を抑制するために設けられている。また、錫めっき層の厚みを制限することで、端子挿入力の低減が図られている。

先行技術

0004

特開2003−147579号

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に開示される端子のように、スズ層接点部の最表面に露出されている場合には、スズの軟らかさのために、スズ層の掘り起こしやスズ同士の凝着が起こり、摩擦係数が高くなってしまう。その結果、端子の挿入力が上昇する。特に、多数の端子を備えた多極型のコネクタにおいては、挿入力の上昇の問題が大きくなる。特許文献1に記載されるように、スズ層の厚さを制限することで、摩擦係数をある程度低く抑えることが可能ではあるが、接点部の最表面にスズ層が露出されているかぎり、摩擦係数を大幅に低減することは難しい。

0006

また、スズ層は、加熱を受けた際に、他の金属層との間で、相互拡散によって金属間化合物を形成しやすく、表面状態経時変化が大きくなる。そのような金属間化合物が接点部の最表面で酸化を受けると、接点部の接触抵抗を上昇させる場合がある。特許文献1に記載されるように、スズ層の下層に設ける金属層の選択により、他の金属のスズ層への拡散およびスズとの金属間化合物の形成を抑制することが可能ではあるが、高温の環境に長時間晒された際には、スズとの金属間化合物の形成が無視できなくなる可能性がある。

0007

本発明の課題は、スズを接点部の最表面に露出させた接続端子と比較して、接続信頼性を維持しながら、摩擦係数を低減でき、かつ高温での経時変化を小さく抑えることができる接続端子、およびそのような接続端子の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、本発明にかかる接続端子は、少なくとも相手方導電部材電気的に接触する接点部において、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子が、該接点部の最表面に露出して、基材の表面に分布しており、前記合金粒子の前記基材の表面からの高さが最も高い点を通る平面に、純スズまたは前記金属間化合物よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部が露出していない、というものである。

0009

ここで、前記合金粒子の周囲に、前記スズ部が存在しないとよい。また、前記合金粒子の間に、前記基材の表面が露出しているとよい。

0010

前記基材は、ニッケルまたはニッケル合金の層を有しており、前記金属間化合物が、(Ni0.4Pd0.6)Sn4の組成を有するとよい。

0011

前記接点部において、前記合金粒子が占める面積の割合が、30%以上であるとよい。

0012

前記合金粒子が占める層の平均の厚さが、0.1μm以上、5.0μm以下であるとよい。

0013

本発明にかかる接続端子の製造方法は、基材の表面に、パラジウム層およびスズ層をこの順に積層した積層構造を作製する工程と、前記積層構造を加熱し、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子を形成する工程と、前記金属間化合物を形成しなかった余剰のスズに由来する、純スズまたは前記金属間化合物よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部を除去する工程と、を有するものである。

0014

ここで、前記スズ部を除去する工程は、スズを化学的に溶解することによって行うとよい。

0015

前記積層構造におけるスズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合が、2原子%以上であるとよい。また、前記積層構造におけるスズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合が、20原子%未満であるとよい。

発明の効果

0016

上記発明にかかる接続端子においては、最表面に露出している合金粒子を構成するスズとパラジウムを含む金属間化合物が高い硬度を有することにより、接点部において、掘り起こしや凝着が起こりにくく、低い摩擦係数が得られる。加えて、合金粒子の高さが最も高い位置を通る平面に、摩擦係数を上昇させるスズが露出していないことにより、接続端子の端子挿入力を低く抑えることができる。

0017

同時に、スズとパラジウムを含む金属間化合物は、高い導電率を有し、また酸化を受けにくいため、接点部の表面において、低い接触抵抗が得られる。その結果、高い接続信頼性を達成することができる。

0018

そして、スズとパラジウムを含む金属間化合物は、既に安定な金属間化合物を形成していることにより、加熱を受けても、他の金属との合金化等、経時的な変化を起こしにくい。経時変化によって他の金属との間に金属間化合物を形成しやすいスズが、合金粒子の高さが最も高い位置を通る平面に露出していないため、接点部の最表面全体として、経時変化による接触抵抗の上昇が起こりにくくなっている。よって、長期的に高い接続信頼性を維持することができる。

0019

ここで、合金粒子の周囲に、スズ部が存在しない場合には、合金粒子の高さが最も高い位置を通る平面内のみならず、合金粒子と接触する部位全体にスズが存在しないので、スズの経時変化の影響を受けにくく、接続端子の長期的な接続信頼性を得ることができる。

0020

また、合金粒子の間に、基材の表面が露出している場合には、合金粒子の間の部位にもスズが存在しないことになるので、接続端子の長期的な接続信頼性が一層高まる。

0021

基材が、ニッケルまたはニッケル合金の層を有しており、金属間化合物が、(Ni0.4Pd0.6)Sn4の組成を有する場合には、ニッケルまたはニッケル合金よりなる層によって、銅等よりなる母材からの金属原子の拡散を抑制することができるので、高温での加熱を長時間受けても、そのような金属原子の拡散の影響によって最表面の接触抵抗が上昇する事態を、抑制することができる。

0022

接点部において、合金粒子が占める面積の割合が、30%以上である場合には、接続端子の接点部と相手方導電部材との間の接触面積が確保されることにより、接触抵抗を特に小さく抑えることができる。

0023

接点部と、最表面にスズ層が露出した相手方導電部材との間の動摩擦係数が、0.4以下である場合には、十分に端子挿入力を低く抑えることができる。

0024

合金粒子が占める層の平均の厚さが、0.1μm以上、5.0μm以下である場合には、合金粒子による摩擦係数の低減と経時変化の抑制の効果を、十分に享受することができる。

0025

上記発明にかかる接続端子の製造方法によると、上記のような、スズとパラジウムを含む金属間化合物よりなる合金粒子が最表面に露出しており、かつ合金粒子の高さが最も高い点を通る平面にスズ部が露出していない構造を、接続端子の表面に簡便に形成することができる。

0026

ここで、スズ部を除去する工程を、スズを化学的に溶解することによって行う場合には、スズ部の除去を、簡便に、しかも残存量の少ない状態で達成することができる。その結果、製造される接続端子において、合金粒子による摩擦係数低減および経時変化抑制の効果が顕著に得られる。

0027

積層構造におけるスズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合が、2原子%以上である場合には、最表面に露出する合金粒子の面積を確保することで、製造される接続端子の接点部において、摩擦係数を効果的に低減することができる。

0028

また、積層構造におけるスズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合が、20原子%である場合には、積層構造を加熱した際に、余剰のスズと合金粒子が共存する状態になりやすく、スズ部の除去後に、最表面に露出する金属間化合物が、粒子集合体の形態をとりやすい。

図面の簡単な説明

0029

本発明の一実施形態にかかる接続端子を構成する端子材料を示す断面図である。
本発明の一実施形態にかかる接続端子の製造方法において、スズ部を除去する前の前駆体の状態を示す断面図である。
接続端子の例として、プレスフィット端子を示す正面図である。
実施例1の合金粒子露出試料表面SEM像であり、(a)はスズを除去する前、(b)はスズを除去した後、(c)はさらに高温放置した後の状態を示している。
スズを除去した後の状態における試料断面SEM像である。
荷重接触抵抗特性を示す図であり、(a)は実施例1のスズを除去した合金粒子露出試料、(b)は比較例1のスズめっき試料についての結果である。(a)については、高温放置後測定結果も示している。
摩擦係数の評価結果を示す図であり、(a)は実施例1のスズを除去した合金粒子露出試料、(b)は実施例1においてスズを除去する前の試料、(c)は比較例1のスズめっき試料についての結果である。
合金化前の積層構造におけるパラジウムの割合を変化させた際に得られる、合金粒子露出試料の表面のSEM像であり、(a)から(e)の順にパラジウムの割合が高くなっている。

0030

以下、図面を用いて本発明の一実施形態にかかる接続端子およびその製造方法について、詳細に説明する。本発明の一実施形態にかかる接続端子は、少なくとも、相手方端子等、相手方導電部材と電気的に接触する接点部が、以下に説明する合金粒子層20を表面に有する端子材料1よりなっている。そのような端子材料1よりなる接続端子を、本発明の一実施形態にかかる接続端子の製造方法によって製造することができる。

0031

[端子材料の構成]
接続端子を構成する端子材料1は、図1に断面の概略図を示すような層構成を示している。つまり、基材10の表面に、合金粒子層20が形成されている。合金粒子層20は、端子材料1の最表面に露出している。

0032

基材10は、板状の母材11を主材料としてなっている。母材11は、例えば銅、アルミニウム、鉄、あるいはそれらを主成分とする合金よりなっている。これらのうち、高い導電性を有し、接続端子の母材として汎用されている銅または銅合金が、特に好適である。

0033

基材10は、母材11のみより構成することもできるが、母材11の表面に、金属被覆層を適宜設けて、基材10としてもよい。本実施形態においては、母材11の表面を被覆して、ニッケルまたはニッケル合金よりなる下地層12が形成されている。下地層12は、母材11に対する合金粒子層20の密着性を高めるとともに、母材11から合金粒子層20への銅等の金属原子の拡散を抑制する役割を果たす。

0034

下地層12のうち、合金粒子層20側の一部は、合金粒子層20の形成工程での加熱によって、ニッケル−スズ合金層13となっていてもよい。ニッケル−スズ合金層13は、Ni3Sn4なる組成を有する。ニッケル−スズ合金層13が形成されることにより、母材11から合金粒子層20への金属原子の拡散が高温でも強固に抑制されるようになる。

0035

合金粒子層20は、合金粒子21の集合体よりなる。合金粒子21は、スズとパラジウムを含む金属間化合物(スズ−パラジウム系合金)よりなっている。金属間化合物は、スズとパラジウムのみよりなる二元合金であっても、スズとパラジウム以外に、他の金属を含む多元合金であってもよい。二元合金の場合には、金属間化合物は、PdSn4なる組成をとる。多元合金を構成するスズ、パラジウム以外の金属元素としては、基材10に含まれる金属元素を挙げることができる。上記のように、基材10の表面にニッケルまたはニッケル合金よりなる下地層12を設ける場合には、(Ni0.4Pd0.6)Sn4なる組成の三元合金が形成されやすい。なお、金属間化合物が二元合金である場合にも多元合金である場合にも、合金粒子21には、その金属間化合物に加えて、基材10を構成する金属元素、不可避的不純物、合金に取り込まれていないパラジウムの相などが、少量含まれていてもよい。

0036

合金粒子層20において、各合金粒子21は、基材10に対して結合されている。特に、基材10の表面にニッケルまたはニッケル合金よりなる下地層12が形成され、その一部がニッケル−スズ合金層13となっている場合に、合金粒子21の基材10側の一部の領域は、ニッケル−スズ合金層13の内部に嵌入した状態となっており、周囲をニッケル−スズ合金に囲まれている。

0037

ここで、基材10の表面からの合金粒子21の高さhが最も高くなった点を通る仮想的な平面である最外面Pを想定する。合金粒子層20において、最外面Pには、純スズまたは合金粒子21を構成する金属間化合物におけるよりもスズの割合が高い合金よりなるスズ部が、露出していない。

0038

スズ部は、最外面Pに露出していなければ、合金粒子層20内において、合金粒子21の間の空隙等に存在していてもよいが、好ましくは、図1に示すように、各合金粒子21の周囲、つまり、合金粒子21に接触する位置に、スズ部が存在していない方がよい。さらには、後に説明する製造工程において、不可避的に除去しきれずに残るスズ分を除いて、合金粒子層20内、つまり基材10の表面上に、スズ部が存在していないことが望ましい。

0039

図1に示した状態では、合金粒子21の周囲にスズ部が存在していないことにより、図中に太線で示すように、合金粒子21の間の空隙に、基材10の表面、ここではニッケル−スズ合金層13の表面が露出している。なお、合金粒子21の密度が高い場合には、基材10の表面の全域が合金粒子21に覆われ、基材10の表面がほぼ露出しないこともある。

0040

合金粒子層20において、合金粒子21の大きさや密度は、特に限定されるものではない。しかし、合金粒子層20の平均の厚さを、0.1μm以上としておくことが好ましい。これにより、後述する摩擦係数の低減や経時変化の抑制等、合金粒子21によって発揮される特性を十分に利用することができる。一方、合金粒子層20の平均の厚さは、5.0μm以下としておくことが好ましい。合金粒子層20を厚く形成しすぎても、合金粒子21によって発揮される特性が飽和するうえ、合金粒子21の形成に要する材料コストが大きくなるからである。

0041

[端子材料の特性]
(摩擦係数)
上記のように、端子材料1は、最表面にスズ−パラジウム系合金よりなる合金粒子21が露出された合金粒子層20を、基材10の表面に有している。スズ−パラジウム系合金は、高い硬度を有している。そのため、合金粒子層20の表面において、スズ層の表面でしばしば起こる表面金属の掘り起こしや凝着が起こりにくくなっている。このように、合金粒子21は、端子材料1の表面において、スズよりも低い摩擦係数を与える。しかも、合金粒子層20において、最外面Pにスズ部が露出していないことにより、スズ部の寄与によって合金粒子層20の摩擦係数が上昇されるような事態が発生せず、合金粒子21の与える低い摩擦係数をそのまま合金粒子層20全体の摩擦係数として利用することができる。その結果、合金粒子層20全体として、スズ層の表面と比較して、表面における摩擦係数が低くなる。さらに、上記の端子材料1においては、合金粒子21の一部がニッケル−スズ合金層13に嵌入して基材10に強固に結合されていることにより、摩擦による合金粒子21の剥落が抑制され、このことも摩擦係数の低減に寄与する。

0042

例えば、相手方導電部材として、最表面にスズ層が露出したもの(スズめっき層)を用いる場合に、端子材料1と相手方導電部材との間の動摩擦係数を、0.4以下とすることができる。このように、端子材料1の表面の摩擦係数が低く抑えられていることにより、接続端子の挿入力を低く抑えることができる。特に、多数の接続端子を用いて多極コネクタを構成する場合には、接続端子数が増えるとともに挿入力が大きくなるので、上記端子材料1を用いることによる挿入力低減の効果を大きく享受することができる。

0043

(接触抵抗)
また、スズ−パラジウム系合金は、高い導電率を有するうえ、酸化を受けにくい。そのため、合金粒子層20の表面においては、低い接触抵抗が得られる。その接触抵抗は、スズめっき層が表面に形成された材料よりは大きくなるものの、接続端子として十分に小さく抑えることができ、例えば、スズめっき層同様、1mΩ以下に抑えることができる。このように、端子材料1の表面の接触抵抗が低く抑えられることにより、接続端子の接点部において、良好な電気的接触が形成され、高い接続信頼性が得られる。

0044

合金粒子層20の表面における接触抵抗は、相手方導電部材との実質的な接触面積が大きいほど、小さくなる。よって、最外面Pにおける合金粒子21の露出量が大きいほど、接触抵抗を小さくすることができる。例えば、基材10の表面を合金粒子21が占める面積の割合(面積率)が15%を超えるように、合金粒子層20を形成すればよい。さらに好ましくは、その面積率が30%以上となるようにすればよい。面積率は、合金粒子層20の表面を、走査電子顕微鏡(SEM)等の顕微鏡で観察した像において、全視野領域に合金粒子21が占める面積の割合を算出することで、評価することができる。

0045

なお、本端子材料1においては、スズ−パラジウム系合金よりなる合金粒子21の集合体が最表面に露出しているが、その代わりに、平滑な連続体としてのスズ−パラジウム系合金の層を設けることも想定される。実際に、後述するように、パラジウム層とスズ層の積層構造を加熱してスズ−パラジウム系合金を形成する場合に、スズ層とパラジウム層の厚さの比率加熱条件を調整し、余剰のスズが残らないようにすることで、そのような平滑な層状のスズ−パラジウム系合金を形成することも可能である。しかし、その場合には、不可避的に、層状のスズ−パラジウム系合金の表面に、ごく薄いスズ酸化物の層が残ってしまう。すると、そのスズ酸化物の層が、表面の接触抵抗を上昇させることになる。このような理由から、平滑なスズ−パラジウム系合金層を設けるよりも、合金粒子21の集合体として、合金粒子層20を設ける形態の方が優れている。

0046

(加熱による経時変化)
さらに、合金粒子21は、すでに安定な金属間化合物を形成しており、それ以上に加熱を受けても、基材10を構成する金属等、周辺に存在する他の金属との間で、相互拡散による金属間化合物の形成を起こしにくい。よって、端子材料1が、周辺環境通電によって長時間の加熱を受けた際にも、合金粒子層20は、他の金属との間の金属間化合物の形成による経時変化を起こしにくい。もし他の金属との間で金属間化合物を形成することがあれば、その形成された金属間化合物が端子材料1の最表面で酸化を受け、接触抵抗を上昇させる可能性がある。しかし、本端子材料1においては、スズ−パラジウム系合金の安定性により、そのような事態が起こりにくくなっており、長期的に接続信頼性の高い状態を維持することができる。

0047

もし、合金粒子層20において、最外面Pにスズ部が露出しているとすれば、スズはニッケル等の金属と金属間化合物を形成しやすいので、端子材料1が長時間の加熱を受けた際に、スズ部が、下地層12やニッケル−スズ合金層13のニッケル等、基材10を構成する金属との間の相互拡散により、金属間化合物を形成する可能性がある。その金属間化合物が端子接点部の最表面で酸化を受ければ、接触抵抗の増大につながりうる。しかし、上記端子材料1においては、合金粒子層20の最外面Pにスズ部が露出していないことにより、このような事態を回避し、長期にわたって高い接続信頼性を確保することができる。特に、最外面Pのみならず、合金粒子21の周囲をはじめ、合金粒子層20の中にスズ部が存在していなければ、一層高度に、加熱による接続信頼性の低下を回避することができる。

0048

例えば、端子材料1を160℃にて加熱した際の接触抵抗の上昇率を、加熱前の値を基準として、10%以下、さらには5%以下に抑えることができる。接触抵抗の上昇を評価するための加熱時間としては、120時間あるいはそれよりも長い時間を例示することができる。

0049

[端子材料の製造方法]
上記で説明した端子材料1は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。

0050

上記端子材料1を製造するに際し、まず、基材10を準備する。例えば、母材11の表面に、めっき等によって、下地層12を形成すればよい。そして、得られた基材10の表面に、めっき等によって、パラジウム層およびスズ層をこの順に積層し、積層構造を形成する。

0051

次に、この積層構造を加熱する。加熱により、スズ層とパラジウム層の間で合金化が進行し、スズおよびパラジウムを含有する金属間化合物よりなる合金粒子21が形成される。同時に、ニッケルまたはニッケル合金よりなる下地層12の一部が、積層構造のスズ層と金属間化合物を形成し、ニッケル−スズ合金層13となる。

0052

加熱を経て、図2に示すような、前駆体1’が得られる。前駆体1’においては、基材10の表面に、スズおよびパラジウムを含有する金属間化合物よりなる合金粒子21と、スズ部90よりなる層が形成されている。スズ部90は、純スズまたは合金粒子21を構成する金属間化合物よりもスズの割合が高い合金よりなっている。スズ部90は、加熱時に金属間化合物を形成しなかった余剰のスズに由来するものである。前駆体1’においては、スズ部90と合金粒子21の両方が最表面に露出している。

0053

次に、前駆体1’からスズ部90の少なくとも一部を除去することによって、図1のような、最表面に合金粒子21が露出され、最外面Pにスズ部90が露出していない端子材料1を得ることができる。この際、不可避的に除去しきれないスズ分を除いて、全てのスズ部90を除去することが好ましい。

0054

スズ部90の除去は、化学的にスズを溶解することによって、簡便かつ効果的に実行することができる。例えば、水酸化ナトリウムとp−ニトロフェノール混合水溶液を用いれば、合金粒子21にほとんど変化を与えずに、スズを選択的に溶解することができる。

0055

パラジウム層とスズ層の積層構造を形成する際に、パラジウム層とスズ層の厚さを選択することで、製造される端子材料1における合金粒子層20の平均の厚さや合金粒子21の面積率を制御することができる。この際、スズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの割合(Pd/(Sn+Pd))を2原子%以上としておくことが好ましい。これにより、加熱を経て、SEM像における合金粒子21の面積率が30%以上であり、低い接触抵抗を与える端子材料1が得られやすい。

0056

一方、積層構造におけるパラジウムの割合は、20原子%未満としておくことが好ましい。上記のように、スズとパラジウムの間の二元合金の安定な組成は、PdSn4であり、パラジウムの割合を20原子%未満としておくことで、加熱を経て、余剰のスズ部90の中に粒子状のスズ−パラジウム合金が分散した状態を取りやすい。この状態に対してスズ部90の除去を行うことで、スズ−パラジウム合金が、平滑な層ではなく、合金粒子21の集合体の形状で得られやすくなる。なお、合金粒子21を多元合金より構成する場合には、その多元合金の組成を考慮して、加熱時に余剰のスズ部90が残るように、パラジウムの割合の上限を定めるとなお良い。

0057

[接続端子の構造]
本発明の一実施形態にかかる接続端子は、少なくとも相手方導電部材と接触する接点部が、上記で説明したような端子材料1よりなれば、どのような種類および形状のものであっても構わない。

0058

接続端子の一例として、図3に示すようなプレスフィット端子3を例示することができる。プレスフィット端子3は、細長い形状を有する電気接続端子であり、一端に、基板スルーホール圧入接続される基板接続部30を有し、他端に、相手方接続端子と嵌合等によって接続される端子接続部35を有している。図示した例では、端子接続部35は、雄型の嵌合端子の形状を有している。

0059

基板接続部30は、スルーホールに圧入接続される部分に、一対の膨出片31,31を有している。膨出片31,31は、プレスフィット端子3の軸線方向と直交する方向に互いに離れるように、略円弧状に膨出した形状を有している。一対の膨出片31,31の間には空隙32が形成されており、この空隙32により、プレスフィット端子3をスルーホールに挿入した際に、一対の膨出片31,31が、相互に近接するように押し縮められ、弾性的に変形する。そして、弾性回復し、スルーホールの内周面との電気的接触を保つ。プレスフィット端子3は、多数を並べて保持し、多極の基板用コネクタとして用いることができる。

0060

プレスフィット端子3において、少なくとも、相手方導電部材(スルーホールの内周面および相手方接続端子)と電気的に接触する接点部となる膨出片31,31および端子接続部35の表面に、適宜下地層12とともに、合金粒子層20を形成し、上記端子材料1に相当する状態としておけばよい。製造の簡便性の観点からは、プレスフィット端子3の全体を、上記端子材料1より形成すればよい。

0061

以下に本発明の実施例および比較例を示す。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。

0062

[試料の作製]
(実施例1)
実施例1にかかる合金粒子露出試料を以下のように作製した。つまり、清浄銅母材の表面に、厚さ1.0μmのニッケル下地めっき層を形成し、その上に厚さ0.02μmのパラジウムめっき層を形成した。続いて、パラジウムめっき層の上に厚さ1.0μmのスズめっき層を形成した。これを大気中にて300℃で加熱することにより、スズめっき層とパラジウムめっき層の合金化を進めた。その後、水酸化ナトリウムとp−ニトロフェノールの混合水溶液に試料を浸漬し、余剰のスズ部を除去した。得られた試料に対して、表面と断面のSEM観察を行い、状態を確認した。

0063

(比較例1)
比較例1にかかるスズめっき試料を以下のように作製した。つまり、上記と同様のニッケル下地めっき層を形成した銅母材の表面に、厚さ1.0μmのスズめっき層を形成した。そして、大気中にて300℃で加熱することで、リフロー処理を施した。

0064

試験方法
(接触抵抗の評価)
実施例1および比較例1の試料について、荷重−接触抵抗特性(F−R特性)の計測によって、接触抵抗の評価を行った。まず、電極として、比較例1と同様のスズめっき材より構成したR=1.0mmのエンボス状接点と、実施例1および比較例1の各試料より形成した平板状接点を準備した。そして、エンボス状接点の頂部を平板状接点の表面に接触させ、接触方向に荷重を印加しながら、両接点間の接触抵抗を、四端子法によって測定した。測定に際し、開放電圧を20mV通電電流を10mA、荷重印加速度を0.1mm/min.とし、0〜40Nの荷重を増加させる方向と減少させる方向に印加した。

0065

(摩擦係数の評価)
実施例1および比較例1の試料、さらに実施例1の試料についてスズ部を除去する前の状態の試料(前駆体)の3種に対して、動摩擦係数の計測を行った。具体的には、まず、各試料を用いて、平板状接点を形成した。また、比較例1と同様のスズめっき材を用いて、R=3.0mmの半球形のエンボス状接点を形成した。そして、エンボス状接点を平板状接点に鉛直方向に接触させて保持し、鉛直方向に5Nの荷重を印加しながら、10mm/min.の速度でエンボス状接点を水平方向に摺動させ、ロードセルを使用して動摩擦力を測定した。動摩擦力を荷重で割った値を動摩擦係数とした。摺動は5mmの距離にわたって行った。

0066

高温耐久性の評価)
実施例1および実施例2の試料を、大気中160℃で120時間保持した(以下、この条件を「高温放置」と称する場合がある)。高温放置後、実施例1の試料について、SEM観察を行った。また、実施例1および比較例1の試料について、室温に放冷後、上記の高温放置前の試料に対する測定と同様にして、荷重−接触抵抗特性の測定を行った。

0067

(パラジウムの割合と接触抵抗の関係の評価)
加熱前の積層構造におけるパラジウムの割合と、加熱およびスズ除去を経た端子材料における接触抵抗との関係を評価した。つまり、実施例1の試料を基本として、加熱前の積層構造におけるパラジウムめっき層の厚さを変更して、複数の試料を作製した。それらの試料を用いて、実施例1の試料と同様に、SEM観察と荷重−接触抵抗測定を行った。そして、荷重10Nにおける接触抵抗を比較した。なお、実施例1の試料において、積層構造におけるパラジウムの割合(Pd/(Sn+Pd))は、3.5原子%であった。

0068

試験結果]
(試料の状態の評価)
図4(a),(b)に、実施例1の合金粒子露出試料について、それぞれ、スズ除去前、スズ除去後の表面SEM像を示す。図4(a)のスズの除去前には、図中に指示するように、海島状のスズ−パラジウム系合金((Ni0.4Pd0.6)Sn4;以下同様)よりなる合金粒子と、その周囲を取り囲むスズ部の両方が、表面に露出している。これに対し、図4(b)のスズ除去後においては、スズ−パラジウム系合金よりなる合金粒子の周囲に、スズ部に相当する中程度の明るさのグレーに観察される構造が見られなくなっている。その代わりに、合金粒子の周囲には、暗く観察されるニッケル−スズ合金層(Ni3Sn4)が見られている。

0069

図5に、スズ除去後の試料の断面のSEM像を示す。断面においても、ニッケル下地層の一部がニッケル−スズ合金層となっているとともに、最表面にスズ-パラジウム系合金よりなる合金粒子が露出しているのが観察されている。そして、合金粒子の間の空隙には、スズ部が存在していない。なお、表面像および断面像において、各部位の金属組成は、X線分光による元素分析(EDX)によって確認している。

0070

以上の表面および断面のSEM像から、実施例1の合金粒子露出試料において、最表面に露出して、スズ−パラジウム系合金よりなる合金粒子が分布していることが確認された。また、合金粒子の高さが最も高い位置を通る最外面をはじめ、合金粒子の周囲に、少なくともSEMで識別可能なレベルで、スズが露出していないことが確認された。

0071

(接触抵抗の評価)
図6(a)に、実線で、実施例1のスズ除去後の合金粒子露出試料の荷重−接触抵抗特性を示す。また、図6(b)に、比較例1のスズめっき試料の荷重−接触抵抗特性を示す。両者を比較すると、スズめっき試料の方が、低い接触抵抗を示しているが、合金粒子露出試料においても、スズめっき試料の場合と比較して、接触抵抗が概ね2倍以内に抑えられている。例えば、後の表2に示すように、荷重10Nでの接触抵抗が、合金粒子露出試料において、スズめっき試料の場合の1.7倍に抑えられている。合金粒子露出試料のこのような接触抵抗は、接続端子として使用するのに十分に低いものである。

0072

(摩擦係数の評価)
図7に、(a)スズ除去後の合金粒子露出試料(実施例1)、(b)スズ除去前の合金粒子露出試料、(c)スズめっき試料(比較例2)の摩擦係数の測定結果を示す。また、表1に、摩擦係数の最大値を示す。併せて、スズめっき試料の値を基準とした摩擦係数の低減量を、合金粒子露出試料について示す。

0073

0074

図7および表1の結果によると、合金粒子露出試料においては、硬いスズ−パラジウム系合金が最表面に露出していることにより、スズを除去する前でも、スズめっき試料よりも低い摩擦係数を有している。そして、スズを除去することで、さらに摩擦係数が大幅に低減されている。これは、掘り起こしや凝着によって表面の摩擦係数を上昇させるスズが表面から除かれ、硬質で低い摩擦係数を与える合金粒子のみが最表面に露出した状態となっていることの結果であると解釈される。

0075

(高温耐久性の評価)
図4(c)に、実施例1のスズを除去した合金粒子露出試料について、高温放置後の表面のSEM像を示す、図4(b)の高温放置前のSEM像と比較すると、合金粒子の形状や大きさ、分布状態に、大きな変化は見られていない。つまり、高温放置を経ても、表面の状態はほぼ変化していないと言える。

0076

また、実施例1のスズを除去した合金粒子露出試料について、図6(a)に、高温放置前の荷重−接触特性の測定結果を実線で示しているのに加え、高温放置後の測定結果を破線で示している。両曲線は、ほぼ重なっており、高温放置を経ても、接触抵抗がほとんど変化していないことが分かる。

0077

さらに、表2に、荷重10Nにおける接触抵抗の高温放置前後の値とその変化量を、実施例1のスズ除去後の合金粒子露出試料および比較例1のスズめっき試料についてまとめる。

0078

0079

表2によると、スズめっき試料においては、高温放置によって、接触抵抗が100%以上の上昇率を示している。これは、スズとニッケル下地層との間で合金化が進行し、生じた合金が最表面で酸化されることに対応する。一方、合金粒子露出試料においては、図6(a)の結果にも見られるとおり、抵抗上昇率がわずか2%に抑えられている。これは、ニッケル等と合金化を起こしやすいスズが表面から除去されており、高温になっても他の金属と合金化を起こしにくいスズ−パラジウム系合金よりなる合金粒子のみが表面に露出していることの結果であると解釈される。

0080

(パラジウムの割合と接触抵抗の関係の評価)
図8に、加熱前の積層構造におけるパラジウムの割合を種々に変更した場合に得られる合金粒子露出試料の表面SEM像を示す。加熱前の積層構造におけるパラジウムの含有量は、図中に記してある。図8によると、パラジウムの割合を増やすに従って、明るいグレーに観察される合金粒子の割合が増えているのが分かる。特に、パラジウムの割合が5.0原子%以上の領域で、急激に、合金粒子が試料表面を被覆する領域の面積が増大している。

0081

下の表3に、加熱前の積層構造におけるパラジウムの割合と、SEM像の画像解析によって得られた合金粒子が占める領域の面積率、10Nにおける接触抵抗(3試料についてのみ測定)の関係をまとめる。

0082

0083

表3でも、図8で見られたように、加熱前のパラジウムの割合を増加させるに伴って合金の面積率が上昇していること、パラジウムの割合が5.0原子%以上の領域で合金の面積率が急激に上昇していることが分かる。また、加熱前のパラジウムの割合とともに合金の面積率が増大するのに従って、接触抵抗が低減されている。特に、合金の面積率が30%以上となるパラジウム割合が2.0原子%以上の領域において、接触抵抗が急激に低減されている。接触抵抗の低減は、パラジウムの割合の増加により、合金粒子が占める領域の面積率が増大し、相手方導電部材と大面積で接触するようになる結果であると解釈される。

実施例

0084

以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、スズ部を除去する際、水酸化ナトリウムとp−ニトロフェノールの混合水溶液の濃度および浸漬時間等を調整し、スズ部を完全に除去せず、あえてスズ部を一部残すようにしてもよい。

0085

1端子材料
1’ 前駆体
10基材
11母材
12下地層
13ニッケル−スズ合金層
20合金粒子層
21合金粒子
3プレスフィット端子
30基板接続部
35端子接続部
90 スズ部
P 最外面

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