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技術 高温用PbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金及びそれを用いた電子部品

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 井関隆士
出願日 2016年10月19日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-205162
公開日 2018年4月26日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-065170
状態 未査定
技術分野 はんだ付・ろう付材料 ダイボンディング 印刷回路に対する電気部品等の電気的接続
主要キーワード 打抜き品 リボン材 ヒーター部分 スリッター加工 使用限界温度 グラファイト製坩堝 超塑性現象 Cuリッチ相
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月26日)のものです。
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図面 (1)

課題

半導体装置組立などに好適な300〜400℃程度の融点を有し、加工性応力緩和性に優れ、とくに濡れ性及び信頼性に優れた高温用のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金を提供する。

解決手段

Pbを含有せず、Alを2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上4.0質量%以下含有し、さらにIn、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、Inを含有する場合は0.01質量%以上0.60質量%以下、Sbを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Snを含有する場合は0.01質量%以上2.00質量%以下含有し、残部がZn及び製造上不可避に含まれる元素からなるPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金。

概要

背景

各種半導体装置組立工程において電子部品基板接合する際に使用するはんだ合金は、その使用限界温度によって高温用(約260〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)とに大別され、高温用はんだ合金はパワートランジスタダイボンディング等に用いられている。このような高温用はんだ合金としては、Pb−5質量%Sn合金に代表されるPb系はんだ合金が従来から主に用いられている。

しかし、近年では環境汚染に対する配慮からPbの使用を制限する動きが強くなってきており、例えば、Rohs指令などではPbが規制対象物質になっている。こうした動きに対応して、半導体装置などの組立の分野においても、使用する、はんだ合金としてPbを含まない、Pbフリーはんだ合金の提供が求められている。

中低温用のはんだ合金に関しては、Snを主成分とするPbフリーのはんだ合金が既に実用化されている。例えば、特許文献1には、Snを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを1.0質量%以下、Pを0.2質量%以下含有するPbフリーはんだ合金などが記載されている。

一方、高温用のはんだ合金に関しても、Pbフリーを実現するため、Bi系はんだ合金Zn系はんだ合金などが研究されている。例えばBi系はんだ合金では、特許文献2に、Biを30〜80質量%含有し、溶融温度が350〜500℃であるBi−Ag系はんだ合金が記載されている。

また、Zn系はんだ合金については、例えば特許文献3に、Znに融点下げるべくAlが添加されたZn−Al合金を基本とし、これにGe又はMgを添加した高温用Zn系はんだ合金が記載されている。この特許文献3には、更にSn又はInを添加することによって、より一層融点を下げる効果があることも記載されている。

具体的には、上記特許文献3には、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを5〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、In及び/又はnを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金が記載されている。

さらにZn系はんだ合金については、特許文献4、特許文献5に次のような技術が記載されている。
すなわち、特許文献4には、有害とされる鉛(Pb)やアンチモン(Sb)を含まない亜鉛合金及び有害物質を含まず、かつ電気特性をある程度維持できる金属化プラスチックフィルムコンデンサ端面電極材料を提供することを目的として、Zn91.0〜95.0質量%、Al3.0〜5.0質量%、Cu1.5〜3.5質量%、Mg0.001〜0.02質量%、Si0.0001〜0.02質量%からなる、はんだ合金や、Zn91.0〜95.0質量%、Al3.0〜5.0質量%、Cu1.5〜3.5質量%、Sn1.0〜6.0質量%、Mg0.001〜0.02質量%、Si0.0001〜0.02質量%からなる、はんだ合金が記載されている。

また、特許文献5には、アルミニウムセラミックス複合体アルミニウム材のように熱膨張率が異なる部材同士を接合する際に用いることができ、しかも超塑性現象を利用することなく、疲労特性を改善することができる疲労特性に優れる低温用はんだ合金を提供することを課題として、質量%で、Al:3.5〜13%、Cu:1〜3.5%、Si:0.4〜2.0%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物である、はんだ合金であって、CuとSiの合計含有量が、質量%で1.8〜4.3%の範囲である、はんだ合金が開示されている。

概要

半導体装置の組立などに好適な300〜400℃程度の融点を有し、加工性応力緩和性に優れ、とくに濡れ性及び信頼性に優れた高温用のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金を提供する。 Pbを含有せず、Alを2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上4.0質量%以下含有し、さらにIn、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、Inを含有する場合は0.01質量%以上0.60質量%以下、Sbを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Snを含有する場合は0.01質量%以上2.00質量%以下含有し、残部がZn及び製造上不可避に含まれる元素からなるPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金。なし

目的

すなわち、特許文献4には、有害とされる鉛(Pb)やアンチモン(Sb)を含まない亜鉛合金及び有害物質を含まず、かつ電気特性をある程度維持できる金属化プラスチックフィルムコンデンサの端面電極材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

Pbを含有せず、Alを2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上4.0質量%以下含有し、さらにIn、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、Inを含有する場合は0.01質量%以上0.60質量%以下、Sbを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Snを含有する場合は0.01質量%以上2.00質量%以下含有し、残部がZn及び製造上不可避に含まれる元素からなることを特徴とするPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金

請求項2

Pbを含有せず、Alを2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上4.0質量%以下含有し、さらにIn、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、Inを含有する場合は0.01質量%以上0.60質量%以下、Sbを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Snを含有する場合は0.01質量%以上2.00質量%以下含有し、さらに、Cu、Mg、Niの中から1種以上を含有し、Cuを含有する場合は0.003質量%以上1.000質量%以下、Mgを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Niを含有する場合は、0.01質量%以上0.70質量%以下含有し、残部がZn及び製造上不可避に含まれる元素からなることを特徴とするPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金。

請求項3

Alを3.0質量%以上7.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上2.0質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金を用いて接合されていることを特徴とする電子部品

技術分野

0001

本発明は、Pbを含まないPbフリーはんだ合金に関し、特に高温用として好適なZnを主成分とするPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金及びそれを用いた電子部品に関する。

背景技術

0002

各種半導体装置組立工程において電子部品を基板接合する際に使用するはんだ合金は、その使用限界温度によって高温用(約260〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)とに大別され、高温用はんだ合金はパワートランジスタダイボンディング等に用いられている。このような高温用はんだ合金としては、Pb−5質量%Sn合金に代表されるPb系はんだ合金が従来から主に用いられている。

0003

しかし、近年では環境汚染に対する配慮からPbの使用を制限する動きが強くなってきており、例えば、Rohs指令などではPbが規制対象物質になっている。こうした動きに対応して、半導体装置などの組立の分野においても、使用する、はんだ合金としてPbを含まない、Pbフリーはんだ合金の提供が求められている。

0004

中低温用のはんだ合金に関しては、Snを主成分とするPbフリーのはんだ合金が既に実用化されている。例えば、特許文献1には、Snを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを1.0質量%以下、Pを0.2質量%以下含有するPbフリーはんだ合金などが記載されている。

0005

一方、高温用のはんだ合金に関しても、Pbフリーを実現するため、Bi系はんだ合金Zn系はんだ合金などが研究されている。例えばBi系はんだ合金では、特許文献2に、Biを30〜80質量%含有し、溶融温度が350〜500℃であるBi−Ag系はんだ合金が記載されている。

0006

また、Zn系はんだ合金については、例えば特許文献3に、Znに融点下げるべくAlが添加されたZn−Al合金を基本とし、これにGe又はMgを添加した高温用Zn系はんだ合金が記載されている。この特許文献3には、更にSn又はInを添加することによって、より一層融点を下げる効果があることも記載されている。

0007

具体的には、上記特許文献3には、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを5〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、In及び/又はnを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金や、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn系はんだ合金が記載されている。

0008

さらにZn系はんだ合金については、特許文献4、特許文献5に次のような技術が記載されている。
すなわち、特許文献4には、有害とされる鉛(Pb)やアンチモン(Sb)を含まない亜鉛合金及び有害物質を含まず、かつ電気特性をある程度維持できる金属化プラスチックフィルムコンデンサ端面電極材料を提供することを目的として、Zn91.0〜95.0質量%、Al3.0〜5.0質量%、Cu1.5〜3.5質量%、Mg0.001〜0.02質量%、Si0.0001〜0.02質量%からなる、はんだ合金や、Zn91.0〜95.0質量%、Al3.0〜5.0質量%、Cu1.5〜3.5質量%、Sn1.0〜6.0質量%、Mg0.001〜0.02質量%、Si0.0001〜0.02質量%からなる、はんだ合金が記載されている。

0009

また、特許文献5には、アルミニウムセラミックス複合体アルミニウム材のように熱膨張率が異なる部材同士を接合する際に用いることができ、しかも超塑性現象を利用することなく、疲労特性を改善することができる疲労特性に優れる低温用はんだ合金を提供することを課題として、質量%で、Al:3.5〜13%、Cu:1〜3.5%、Si:0.4〜2.0%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物である、はんだ合金であって、CuとSiの合計含有量が、質量%で1.8〜4.3%の範囲である、はんだ合金が開示されている。

先行技術

0010

特開平11−077366号公報
特開2002−160089号公報
特許第3850135号公報
特開2012−6071号公報
特開2011−230163号公報

発明が解決しようとする課題

0011

従来のPbフリーの高温用はんだ合金において、上記特許文献2に記載のBi−Ag系はんだ合金は、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、半導体素子や基板等が耐えうる温度を超えていると考えられる。

0012

特許文献3に記載のZn系はんだ合金は、高温用はんだ合金として適した融点を有することを目的に開発されており、その組成の範囲内では、最近の微細部品を接合するためには濡れ性が不十分である場合がある。即ち、主成分であるZnは還元性が強く自らが酸化されやすいため、濡れ性が極めて悪いことが問題となっている。また、主添加元素のAlはZnよりも還元性が強く、共晶組織を形成して低融点化の効果は十分発揮するものの、濡れ性を改善する効果は十分には得られないと考えられる。GeやSnなども融点を下げるために添加されており、濡れ性を向上する効果は十分には発揮されていないと考えられる。

0013

特許文献4に記載のはんだ合金は、ZnにAl、Cuに加え、Sn、Mg、Siを含有することにより微細な結晶構造を有することから、均一で安定した酸化膜を形成させている。しかし、特許文献4に記載のはんだ合金は、端面電極用としての使用に開発されたはんだ合金であり、2種類の被接合部材を接合させ、その際に生じる応力緩和する効果に関しては不十分である場合がある。

0014

特許文献5に記載のはんだ合金は、疲労特性を改善するために、Zn−Al系はんだ合金にCu並びにSiを添加して、固溶強化作用によりαAl相高強度化している。しかし、特許文献5に記載のはんだ合金は、比較的大きなアルミニウム合金材接合用に用いられており、微細な半導体基板上の接合に用いると、はんだ合金が凝固する際、はんだ合金の収縮する力に耐えきれず、半導体チップや基板が割れてしまう場合がある。

0015

以上述べたように、従来の半導体装置の組立などに用いられていたPb−5質量%Sn合金に代表されるPb系はんだ合金を代替できる、高温用のPbフリーはんだ合金は、未だ実用化されていないのが実状である。特にZnを主成分とするPbフリーはんだ合金については、はんだに求められる諸特性のバランスを取りながら、特に、濡れ性を改善することが大きな課題となっているが、この課題は未だ解決されていない。

0016

本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、半導体装置の組立などで用いるのに好適な300〜400℃程度の融点、良好な加工性応力緩和性を有し、特に、濡れ性に優れた高温用のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金及びそれを用いた電子部品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0017

上記目的を達成するため、本発明によるPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金は、Pbを含有せず、Alを2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上4.0質量%以下含有し、さらにIn、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、Inを含有する場合は0.01質量%以上0.60質量%以下、Sbを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Snを含有する場合は0.01質量%以上2.00質量%以下含有し、残部がZn及び製造上不可避に含まれる元素からなることを特徴とする。

0018

また、本発明によるPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金は、Pbを含有せず、Alを2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上4.0質量%以下含有し、さらにIn、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、Inを含有する場合は0.01質量%以上0.60質量%以下、Sbを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Snを含有する場合は0.01質量%以上2.00質量%以下含有し、さらに、Cu、Mg、Niの中から1種以上を含有し、Cuを含有する場合は0.003質量%以上1.000質量%以下、Mgを含有する場合は0.01質量%以上0.50質量%以下、Niを含有する場合は、0.01質量%以上0.70質量%以下含有し、残部がZn及び製造上不可避に含まれる元素からなることを特徴とする。

0019

また、本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金においては、Alを3.0質量%以上7.0質量%以下含有し、Agを0.1質量%以上2.0質量%含有するのが好ましい。

0020

また、本発明による電子部品は、上記いずれかの発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金を用いて接合されている。

発明の効果

0021

本発明によれば、特に濡れ性に優れ、かつ加工性、応力緩和性、そして接合性信頼性等にも優れると同時に、300〜400℃程度のリフロー温度に十分耐えることができ、例えば、パワートランジスタ用素子のダイボンディングなどの組立工程における、はんだ付に好適な高温用のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金及びそれを用いた電子部品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0022

Ni層メッキ)を有するCu基板Siチップを各試料のはんだ合金で、はんだ付けした状態を示す模式図である。

0023

本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金は、Pbを含有せず、AlとAgを含有し、さらに、In、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、残部がZnと製造上不可避的に含まれる不純物元素からなる。
また、本発明の他の実施形態のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金は、Pbを含有せず、AlとAgを含有し、さらに、In、Sb及びSnの中から1種以上を含有し、さらに、Cu、Mg、Niの中から1種以上を含有し、残部がZnと製造上不可避的に含まれる不純物元素からなる。
主成分であるZnは融点が419℃であり、半導体素子の接合温度である300〜400℃に対して高すぎるという欠点がある。このようなZnの欠点に対して、本発明においては、必須の元素としてAlを含有させることにより形成されるZnとの共晶組織をベースとして、Zn−Al−Ag合金でも共晶組織を形成させて、融点を約400℃以下のはんだ合金として使い易い温度まで下げている。また、Alを含有することによって結晶を微細化させ、加工性を向上させるという効果を得ることもできる。
本発明において、Agを含有させることにより濡れ性を向上させることができる。すなわち、AgはOを比較的多く固溶させることができるため、はんだ製造時や接合時に不可避的に存在する酸素を、はんだ中に固溶させることができ、接合面の酸化物を減少させて濡れ性を向上させることができる。

0024

また、本発明のはんだ合金は、In、Sb及びSnの中から1種以上を含有することを必須条件としている。これらの元素を1種以上含有させることにより接合信頼性を向上させ、さらに使い易い、はんだ合金とすることができる。

0025

また、本発明の他の実施形態のはんだ合金は、さらに、Cu、Mg、Niの中から1種以上を含有する。これらの元素を1種以上含有させると、より一層使い易いはんだ合金とすることができる。

0026

次に、本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金における必須の元素、並びに1種以上含有させるべき元素群、さらに追加可能な元素群の各元素について、以下に詳細に説明する。

0027

<Zn>
Znは、本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金において、主成分であり、必須の元素である。Znは他の金属との反応性に富み、かつ融点が419℃と比較的高温用はんだ合金を設計する際に好ましい物性値を有する。さらにAlとAgを含有することにより共晶組織を形成し、かつ融点を400℃以下という高温用はんだとして適する温度まで下げることができる。

0028

<Al>
Alは、本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金において、必須の元素である。本発明のZn−Al−Ag系はんだ合金にAlを含有させる効果は、上述したように融点の調整、即ちZn−Al共晶組織を形成して固相線温度の381℃まで融点を下げることにある。また、Zn−Al共晶組織は、Znよりも変形しやすく、加工性や応力緩和性が向上する。ただし、ZnとAlは酸化し易い元素であり、はんだ合金として使用する場合、濡れ性が悪く、改善の必要がある。このため、本発明のはんだ合金にはAgを含有させ、Zn−Al−Ag共晶組織としている。

0029

本発明のはんだ合金におけるAlの含有量は、2.0質量%以上9.0質量%以下である。Alの含有量が2.0質量%未満では、融点の低下が不十分となり、所定の接合温度でははんだ合金が溶け残る場合があり、凝固時に溶け残り部分がボイドを巻き込んだり、溶け残り部分が基板と十分な合金を形成できなかったりするため、接合性が低下してしまう場合がある。一方、Alの含有量が9.0質量%を超えてしまう場合も、所定の接合温度でははんだ合金が十分に溶融できない場合があり、接合性が低下してしまう。また、溶け残りが発生し溶け別れ現象が生じると、凝固時に形成される合金が不均一になったり、接合性低下により十分な接合強度が得られなかったりしてしまう。

0030

更に好ましいAlの含有量は、3.0質量%以上7.0質量%以下である。Alの含有量が3.0質量%以上7.0質量%以下の範囲内であれば、液相線温度と固相線温度の差が小さく、溶け別れ現象などが起こりにくくなり良好な接合が得やすいうえ、共晶点の組成に近いため結晶が微細化して加工性や応力緩和性に優れ、高い接合信頼性を得ることができる。

0031

<Ag>
Agは、本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金において、特に濡れ性を向上させるという重要な役割を果たす必須の元素である。Agは酸素を比較的多く固溶することができるため、はんだ合金にAgを含有させておくと、製造時または/および接合時に、はんだが酸化する前に、酸素原子をはんだ内部に固溶することで、はんだ表面の酸化物を減少させることにより、濡れ性を向上させると考えられる。さらに、Agを含有させると、はんだ合金が柔らかくなり伸び率等が向上する実験結果が得られており、加工性や応力緩和性を向上させることが確認されている。これは、AgがZnにある程度固溶できるため、固溶強化により破断しにくくなり、伸び率等の向上にも繋がったためと考えられる。

0032

このように優れた効果を発揮するAgの含有量は、0.1質量%以上4.0質量%以下である。Agの含有量が0.1質量%以下では、少なすぎて含有させた効果は実質的に現れず、一方、Agの含有量が4.0質量%を超えてしまうと、液相線温度が高くなりすぎたり、はんだ合金が逆に硬くなりすぎたりして良好な接合が得られなくなるなどの問題が生じてしまうため好ましくない。さらに、好ましいAgの含有量は、0.1質量%以上2.0質量%以下である。Agの含有量がこの範囲であると、より好ましい融点が得られ、また、硬さもより一層好ましい範囲に収まるため、優れたはんだ合金を得ることができる。

0033

<In、Sb、Sn>
In、Sb及びSnは、本発明のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金において接合信頼性を向上させるため、少なくともいずれか一元素を含有することを必須とする元素群である。

0034

<In>
Inは、Znにほとんど固溶せず金属間化合物を作らない元素である。また、Znの次に多く含有するAlにもほとんど固溶せず金属間化合物を作らない。しかしながら、InがZnやAlにわずかに固溶することにより、はんだ合金の強度を適度に向上させ、かつ接合信頼性を向上させる効果があることを見出した。本発明のはんだ合金におけるInの含有量は、0.01質量%以上0.60質量%以下である。Inの含有量が0.60質量%を超えると、含有量が多すぎてAlやZnに十分固溶することができなくなり、はんだ合金内の粒界偏析したりしてはんだ合金が硬くなり過ぎたり、あるいは、融点の低いInの析出体が凝集し、接合時に、はんだが部分的に溶融して不良の原因となったりしてしまう場合がある。一方、Inの含有量が0.01質量%未満では、含有量が少なすぎて、接合信頼性の向上効果が実質的に現われない場合がある。

0035

<Sb>
Sbは、Znにほとんど固溶せずZn1Sb1などの金属間化合物を生成する元素である。Alにも、ほとんど固溶せずAl1Sb1金属間化合物を生成する。Sbを含有させることにより生成した前記金属間化合物は、適度にはんだ合金内に存在することにより、クラック進展を抑制し、接合信頼性を向上させる効果があることを見出した。本発明のはんだ合金におけるSbの含有量は、0.01質量%以上0.50質量%以下である。Sbの含有量が0.01質量%未満では、含有量が少なすぎて、接合信頼性の向上効果が実質的に現われない。一方、Sbの含有量が0.50質量%を超えてしまうと、金属間化合物の生成量が多くなり過ぎて、はんだ合金が硬くて脆くなってしまう場合がある。

0036

<Sn>
Snは、Znと共晶組織を生成する元素である。また、Alとも同様に共晶組成を生成する。Snの添加により、ZnとAl、Snの三元共晶組織が形成され、より応力緩和性や加工性が向上し、かつ接合信頼性が向上する効果があることを見出した。また、Snは、他の金属と反応性がよく、かつZnやAlに比較して酸化しづらい元素である。はんだ合金中に存在するSnは、その良好な反応性と比較的に酸化しづらい特性のため、濡れ性を向上させる効果も有する。このような効果を有するSnの含有量は、0.01質量%以上2.00質量%以下である。Snの含有量が0.01質量%未満では、含有量が少なすぎて、接合信頼性や濡れ性の向上効果が実質的に現われない。一方、Snの含有量が2.00質量%を超えてしまうと、はんだ合金内に分散している一カ所当たりのSnの量が多くなり過ぎ、接合時に、Snの融点が231℃と低いため、はんだ合金が部分的に溶融して不良の原因となったりしてしまう場合がある。

0037

<Cu、Mg、Ni>
Cu、Mg及びNiは、本発明の他の実施形態のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金において、含有する元素群である。

0038

<Cu>
Cuを含有させることによって得られる主な効果は、応力緩和性や加工性の向上である。
Cuは、ZnやAlに比較して融点が高い(Znの融点:419℃、Alの融点:660℃、Cuの融点:1084℃)元素である。そして、本発明のはんだ合金が溶融後、冷却過程固化する際、この融点の高いCuが、まず析出し、核となって結晶が形成される。このCuによる核が多数析出するため、はんだ合金が微結晶化する。これによって、クラックが進展しづらく柔らかい、はんだ合金とすることが可能となり、加工性や応力緩和性に優れた性質を示すことができる。すなわち、ワイヤシートなどに加工する際、はんだが柔らかいためクラックやカケなどが発生しづらく、また、硬いはんだ材料に比べワイヤへの押出速度やシートへの圧延速度等、各種加工速度を速くすることができる。そのため、特に微細加工を必要とするはんだ合金を製造する際、生産性が優れ、不良品ができづらく収率なども高めることができる。さらにプリフォーム材に加工する際などは、バリや反りが少なくて加工しやすく、より収率向上の効果が得やすい。このように柔らかい、はんだ合金は、容易に変形できるため、基板と電子部品の接合時に、電子部品等と、はんだ合金の溶融前の実質的な接触面積が大きくなり易く、接合性が向上する場合もある。

0039

また、Cuは、金属の中でも非常に柔らかい金属であり、Znよりも柔らかい。そのため、Cuの含有量が比較的多い場合、柔軟性を有するCuリッチ相が形成され、はんだ合金に加わる応力を吸収し、はんだ合金をさらに柔らかくすることができる。このことにより、Cuを含有する本発明のはんだ合金は、応力緩和性を向上させる効果を有する。そのため、Cuを含有する本発明のはんだ合金は、外気温が変わるなどして熱によって繰り返し応力が加わる自動車家電、各種装置などに好適に用いることができる。Zn−Al系合金にこのような優れた特性を与えるCuの含有量は、0.001質量%以上3.000質量%以下である。Cuの含有量が0.001質量%未満だと、核となるCuの析出量が少な過ぎて微細化の効果を十分得ることができないため好ましくない。一方、Cuの含有量が3.000質量%を超えてしまうと液相線温度が高くなりすぎて接合時に溶け残りを生じ、良好な接合ができなくなってしまうため好ましくない。
さらに、Cuの含有量が0.003質量%以上1.000質量%以下であれば、はんだ合金の微細化効果と、Cuリッチ相生成による加工性、柔軟性等の向上効果がより一層現れ易く好ましい。

0040

<Mg>
Mgを含有させることによって得られる主な効果は、接合強度の向上である。
Mgは、Znに、ほとんど固溶しないが多くの金属間化合物を生成する元素である。一方、Alには数質量%固溶し、さらに、Al3Mg2金属間化合物を生成する。このため、Mgを含有させると固溶強化や化合物分散強化によって強度が増加し、かつクラックが入ったり進展したりしづらくなるため、接合強度が向上する。このような効果を有するMgの含有量は、0.01質量%以上0.50質量%以下である。Mg含有量が0.01質量%未満では、含有量が少なすぎて、接合強度の向上効果が実質的に現われない。一方、Mgの含有量が0.50質量%を超えてしまうと、固溶強化の効果が大きく現れ、さらに金属間化合物の割合も多くなり過ぎて、はんだ合金が硬くなり過ぎてしまい好ましくない。

0041

<Ni>
Niを含有させることによって得られる主な効果は、接合強度の向上である。
Niは、Znにほとんど固溶せず、δ相やγ相などの金属間化合物を生成する元素である。一方、Alには、ほとんど固溶せず、Al3NiやAl3Ni2などの多くの金属間化合物を生成する。融点の高いNi(Niの融点:1455℃)を含有させると、微細な金属間化合物が生成してクラックの進展を抑制し、接合強度等を向上させる。このような効果を有するNiの含有量は、0.01質量%以上0.70質量%以下である。Niの含有量が0.01質量%未満では含有量が少なすぎて、接合強度の向上効果が実質的に現われない。一方、Niの含有量が0.70質量%を超えてしまうと、液相線温度が高くなり過ぎたり、金属間化合物が多くなり過ぎたりして接合信頼性を低下させてしまう。

0042

原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のZn、Al、Ag、Cu、In、Mg、Ni、Sb及びSnを準備した。大きな薄片バルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく均一になるように留意しながら、切断及び粉砕などにより3mm以下の大きさに細かくした。次に、これらの原料から所定量を量して、高周波溶解炉用のグラファイト製坩堝に入れた。

0043

上記各原料の入った坩堝を高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融し始めた後、混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混合した。全ての原料が十分溶融したことを確認した後、高周波電源切り、速やかに坩堝を取り出して、坩堝内溶湯をはんだ母合金鋳型流し込んだ。鋳型は、幅50mm×長さ200mm×厚さ5mmのはんだ母合金が得られるものを使用した。

0044

このようにして、上記各原料の混合比率が異なる試料1〜31のPbフリーZn−Al−Ag系はんだ母合金を作製した。得られた試料1〜31の各Zn−Al−Ag系はんだ母合金について、ICP発光分光分析器を用いて分析した。得られた分析結果をはんだ組成として下記表1に示す。

0045

(注)表中の※を付した試料は比較例である。

0046

次に、上記試料1〜31の各Zn−Al−Ag系はんだ母合金について、下記のように圧延機リボン状に加工し、PbフリーZn−Al−Ag系はんだ合金の加工性を評価した。また、引張試験機テンシロン万能試験機)を用いて機械的特性引張強度、伸び率)を測定した。更に、リボン状に加工された、はんだ合金をプレス機で2.0mm×2.0mmの四角形状に加工した打抜き品(以下、2mm角品、と略す)について、下記の方法により濡れ性(接合性)の評価及びヒートサイクル試験による信頼性の評価を行った。尚、はんだ合金の濡れ性ないし接合性等の評価は、はんだ形状に依存しないためワイヤ、ボールペーストなどの形状で評価してもよいが、本実施例においては、打抜き品の形状で評価した。

0047

<加工性の評価(リボン材外観)>
上記表1に示す試料1〜31の各はんだ母合金(厚さ5mmの板状インゴット)を、圧延機を用いて圧延油を供給しながら厚さ0.05mmまで圧延した。その際、インゴットの送り速度を調整しながら圧延していき、その後、スリッター加工により25mmの幅に裁断した。

0048

このようにしてリボン状に加工した後、得られたリボン状のZn−Al−Ag系はんだ合金を観察し、傷やクラックが全くなかった場合を「◎」、シート長さ10m当たり割れやクラックが1箇所だけあった場合を「○」、2〜4箇所ある場合を「△」、5箇所以上ある場合を「×」と評価した。加工性の評価結果を下記表2に示す。

0049

<機械的特性の評価(引張強度、伸び率)>
機械的特性を評価するため、上記のように厚さ0.05mmまで圧延した試料1〜32のリボン状のZn−Al−Ag系はんだ合金を、スリッターで3mmの幅に加工し、長さを約15cmに切断した。このようにして機械的特性を測定するための試料を準備し、引張試験機により引張強度及び伸び率を測定した。引張強度及び伸び率ともに試料1の測定値を100%として相対評価し、評価結果を下記表2に示した。

0050

<濡れ性の評価>
リボン状に加工した各試料をプレス機で打抜いて、打抜き品を製造した。形状は2.0mm×2.0mmの四角形状とした。
上記のように2mm角品に加工した試料1〜31の各はんだ合金を、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を用いて評価した。即ち、濡れ性試験機のヒーター部に2重のカバーをして、ヒーター部の周囲4箇所から窒素を12リットル/分の流量で流しながら、ヒーター設定温度を各試料の融点より約10℃高い温度に設定して加熱した。設定したヒーター温度が安定した後、Cu基板(板厚:約0.70mm)をヒーター部にセッティングして25秒間加熱した。

0051

次に、各試料のはんだ合金をCu基板の上に載せ、25秒間加熱した。加熱が完了した後、Cu基板をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦設置して冷却した。十分に冷却した後、大気中に取り出した。

0052

取り出した各試料のはんだ合金とCu基板との接合部分を目視で確認し、接合できなかった場合を「×」、接合できたが濡れ広がりが悪い場合(はんだが広がらなかった場合)を「△」、はんだ合金が薄く濡れ広がり接合できた場合を「○」、接合でき且つ濡れ広がり形状が特に良い場合(はんだ合金が薄く等方的に濡れ広がった状態)を「◎」と評価した。濡れ性の評価結果を下記表2に示す。

0053

<ヒートサイクル試験>
信頼性の評価は、上記の2mm角品を用いて行った。まず、ダイボンダー起動し、加熱するヒーター部分にカバーをして、ヒーター部の周囲から窒素を流した(窒素流量:合計8L/分)。その後、ヒーター設定温度を融点より50℃高い温度にして加熱した。
ヒーター温度が設定値で安定した後、Cu基材11(板厚:0.3mm)上にNiめっき層12(膜厚:3.0μm)を有するCu基板1をヒーター部にセッティングし、25秒加熱した。次に、2mm角品のはんだ合金2をCu基板1の上に載せ、25秒加熱し、その直後にSiチップ3を2mm角品のはんだ合金2の上に載せて、3秒間スクラブした。スクラブが終了した後は、Cu基板1とSiチップ3とが、はんだ合金2で接合された接合体をヒーター部から取り上げて、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦設置して冷却した。十分に冷却した後、接合体を大気中に取り出した(図1参照)。
このようにして準備したCu基板1とSiチップ3とが、はんだ合金2で接合された接合体を用いて、はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。尚、この試験は、接合体を各々2個ずつ用いて行った。即ち、各試料のはんだ合金が接合されたCu基板2個のうちの1個に対しては、−40℃の冷却と+150℃の加熱を1サイクルとするヒートサイクル試験を途中確認のため300サイクルまで繰り返し、残る1個に対しては同様のヒートサイクル試験を500サイクルまで繰り返した。
ただし、濡れ性の評価で接合が確認されなかった試料は、対象外とし評価を行わなかった。また、300サイクルの試験でクラックが確認された試料に関しては、500サイクルの試験は実施しなかった。

0054

その後、300サイクル及び500サイクルのヒートサイクル試験を実施した各試料について、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により接合面を観察した。この観察の結果、接合面に剥がれが生じるか又は、はんだにクラックが入った場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」と評価した。評価を行わなかった試料は記載を「−」とした。ヒートサイクル試験の評価結果を下記表2に示す。

0055

(注)表中の※を付した試料は比較例である。

0056

上記の表1〜2から分かるように、本発明の実施例である試料1〜18の各Zn−Al−Ag系はんだ合金は、全ての評価項目において良好な特性を示している。即ち、シート状に加工しても傷やクラックの発生が無いか1箇所のみであり、引張強度及び伸び率は良好な値を示し、濡れ性にも優れ、信頼性試験でも不良は全く発生しなかった。

0057

本発明の試料1〜18の各Zn−Al−Ag系はんだ合金における加工性や濡れ性が良好であった理由は、Zn−Al合金にAgが含有したことにより、はんだ合金の柔軟性が増して圧延してもクラック等がほとんど発生せず、加工性が向上し、かつ、はんだ表面の酸化膜が減少し濡れ性が向上したためと考えられる。

0058

更に、ヒートサイクル試験においても、試料1〜18の各Zn−Al−Ag系はんだ合金は500回まで割れなどが発生せず、良好な接合性と信頼性を示した。この理由についてもAgの添加による効果が大きく、良好な濡れ性により優れた接合ができ、かつ柔らかさの増したZn−Al−Ag系はんだ合金が繰り返し加わる熱応力を吸収・緩和し、更に、In、Sb、Snの少なくともいずれか一種が含有したことにより、Inが含有した場合のIn固溶体による、はんだ合金の強化作用、Sbが含有した場合の金属間化合物によるクラックの進展抑制作用、Snが含有した場合のZn、Alとの共晶組織の生成により接合信頼性の向上作用が働いたためであると考えられる。

実施例

0059

一方、比較例である試料19〜31の各Zn−Al−Ag系はんだ合金は、Al、Ag、Cu、In、Mg、Ni、Sb、Snのいずれかの含有量が適切でなかったため、好ましくない評価結果となった。具体的には、加工性の評価においては、全ての試料(試料19〜31)で傷やクラックが発生し、試料27以外は2個所以上と多くの傷やクラックが観察された。機械的特性の評価では、引張強度及び伸び率が、全ての試料(試料19〜31)において、試料1の56〜89%と低い値となった。濡れ性については、試料19と22が十分濡れたものの、他の比較例試料は濡れ広がりが悪く、試料21、25、27、29は十分な接合も出来なかった。接合信頼性の評価では、試料19、20、23、26が300回までクラックが確認されなかったが、500回までではクラックが確認された。それ以外の試料は、300回まででクラックが確認された(試料22、24、28、30、31)か、上述のように、そもそも接合が十分にできなかった(試料21、25、27、29)。

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