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図面 (3)

課題

水中地盤堆積する汚染物質物の拡散を防止し、更に汚染物質を当該水域から除去することができる水質汚染防止方法を提供すること。

解決手段

水中充填材1を汚染水域Wに投入して硬化膜10を、汚染水域W内の水中地盤L上に形成する工程を含んでなり、水中充填材1は、石灰石粉100質量部に対し、固化材が4.0質量部以上20.0質量部以下の割合で配合されていて、減水剤が、前記水中充填材1m3当り0.1kg以上2.0kg以下の割合で配合されていて、増粘剤が、前記水中充填材1m3当り3kg以上10kg以下の割合で配合されていて、湿潤密度が1.8Mg/m3以上であり、シリンダフロー値が250mm以上となるように水を加えられた混練物であって、前記硬化膜10は、材齢1日における一軸圧縮強度が、0.01N/mm2以上0.5N/mm2以下である水質汚染防止方法とする。

概要

背景

水中地盤堆積物は、湾、湖沼河川、或いは、ため池等の水底を形成している粘土シルト、砂、等であり、底質と称される。底質の汚濁物質として通常分析される項目としては、強熱減量CODBODTOC窒素リン硫化物等である。有機質を多く含む有機性低質悪臭物質を含有することがある。又、銅、鉄、鉛等の比重が5を超えるような所謂重金属も、土壌地下水汚染物質の主なもののひとつである。環境基準では重金属等として、カドミウム、鉛、六価クロムひ素、水銀、セレン(Se)が規程されている。

ここで、一度、底質に移行した物質の一部は、溶出巻き上がり現象によって再び水質に悪影響を及ぼすことがある。この悪影響を低減させるために、覆砂工法等の対策工法が有効とされている。覆砂工法とは、底質からの有機物汚染物質等の溶出や巻き上がりを防止して、新鮮酸素豊富な底質を作り出すことを目的に、底質上に良質な砂を薄く敷く工法である。しかしながら、覆砂工法は、砂を使用するため、河川等の水流がある部分では確実に被覆することは困難である。又、砂は概して透水性であり、底質から溶出する汚染物質を完全に遮断することは難しい。

上記の覆砂工法のデメリットを克服することを企図した他の水質汚染防止法として、所定粒径粉砕したコンクリート被覆材として底泥上に被覆することにより、汚染物質の溶出を抑制する方法も提案されている(特許文献1参照)。この方法は、コンクリート被覆材から溶出するカルシウムと水中の二酸化炭素が反応して生じる炭酸カルシウムでコンクリート被覆材の表面に被膜を形成する方法である。しかしながら、この方法においては、コンクリート被覆材の表面に上記の炭酸カルシウムからなる被膜が形成されるまでには数年単位の時間を必要とし、即時的な効果が得られない。又、炭酸カルシウムは自然に溶出するものであり、炭酸カルシウムによる被覆の厚さや範囲を管理制御することは極めて困難であり、長期間に亘る安定的な保守管理は実質的に不可能である。よって、長期信頼性については不十分であり、いずれかの時期において、汚染物質を底質から除去することについても検討する必要がある。しかし、特許文献1において、汚染物質の対象水域からの除去手段については、何らの開示も示唆もなされていない。

一方、近年、セシウム(Cs)等の放射性物質が流入した溜池等の閉鎖性水域においても、水質汚染の防止が急務となっている場合がある。この対策方法の一案として、放射性物質を含む汚染物質がその水中地盤部分に堆積しているため池等の上空から飛行体等により粉粒状ゼオライト空中散布し、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層で覆うことにより汚染物質を吸着封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止する除染方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法においては、ゼオライトは、汚染物質を吸着、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止するものとされている。しかしながら、特許文献2において開示されているのも、あくまで汚染物質の一時的な拡散の防止策のみであり、水中地盤上に形成された粉粒状のゼオライトからなる被覆層自体の浮遊を防ぐ方法が不明であり、且つ、汚染物質体の当該水域からの除去手段ついては、何らの開示も示唆もなされていない。

概要

水中地盤に堆積する汚染物質物の拡散を防止し、更に汚染物質を当該水域から除去することができる水質汚染防止方法を提供すること。水中充填材1を汚染水域Wに投入して硬化膜10を、汚染水域W内の水中地盤L上に形成する工程を含んでなり、水中充填材1は、石灰石粉100質量部に対し、固化材が4.0質量部以上20.0質量部以下の割合で配合されていて、減水剤が、前記水中充填材1m3当り0.1kg以上2.0kg以下の割合で配合されていて、増粘剤が、前記水中充填材1m3当り3kg以上10kg以下の割合で配合されていて、湿潤密度が1.8Mg/m3以上であり、シリンダフロー値が250mm以上となるように水を加えられた混練物であって、前記硬化膜10は、材齢1日における一軸圧縮強度が、0.01N/mm2以上0.5N/mm2以下である水質汚染防止方法とする。

目的

詳しくは、海、湖沼、河川、或いは、ため池等の閉鎖水域における水中地盤又は水底(本明細書においては、併せて「水中地盤」とも言う)に堆積する汚染物質物の拡散を防止、及び、当該汚染物質を水域から除去することによる恒久的な水質汚染の防止を、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

水質汚染防止方法であって、自硬性水中充填材汚染物質が存在する汚染水域に投入して、前記水中充填材からなる硬化膜を、前記汚染水域内の水中地盤上に形成する工程を含んでなり、前記水中充填材は、石灰石粉100質量部に対し、固化材が4.0質量部以上20.0質量部以下の割合で配合されていて、減水剤が、前記水中充填材1m3当り0.1kg以上2.0kg以下の割合で配合されていて、増粘剤が、前記水中充填材1m3当り3kg以上10kg以下の割合で配合されていて、湿潤密度が1.8Mg/m3以上であり、シリンダフロー値が250mm以上となるように水を加えられた混練物であって、前記硬化膜は、材齢1日における一軸圧縮強度が、0.01N/mm2以上0.5N/mm2以下である水質汚染防止方法。

請求項2

前記固化材がセメント系固化材である請求項1に記載の水質汚染防止方法。

請求項3

前記固化材がマグネシウム系中性固化材である請求項1に記載の水質汚染防止方法。

請求項4

前記硬化膜の形成後所定の期間経過時に、前記硬化膜を、該硬化膜に付着した前記汚染物質とともに、前記水中地盤上から除去回収する工程を更に行う請求項1から3のいずれかに記載の水質汚染防止方法。

請求項5

沈降助剤を含有する無機系吸着剤を水中に散布する工程を、前記自硬性の水中充填材の前記水中地盤上への投入に先行して行う請求項1から4のいずれかに記載の水質汚染防止方法。

請求項6

前記無機系吸着剤がゼオライトである請求項5に記載の水質汚染防止方法。

技術分野

0001

本発明は、水質汚染防止方法に関する。詳しくは、海、湖沼河川、或いは、ため池等の閉鎖水域における水中地盤又は水底(本明細書においては、併せて「水中地盤」とも言う)に堆積する汚染物質物の拡散を防止、及び、当該汚染物質を水域から除去することによる恒久的な水質汚染の防止を、目的とする水質汚染防止方法に関する。

背景技術

0002

水中地盤の堆積物は、湾、湖沼、河川、或いは、ため池等の水底を形成している粘土シルト、砂、等であり、底質と称される。底質の汚濁物質として通常分析される項目としては、強熱減量CODBODTOC窒素リン硫化物等である。有機質を多く含む有機性低質悪臭物質を含有することがある。又、銅、鉄、鉛等の比重が5を超えるような所謂重金属も、土壌地下水汚染物質の主なもののひとつである。環境基準では重金属等として、カドミウム、鉛、六価クロムひ素、水銀、セレン(Se)が規程されている。

0003

ここで、一度、底質に移行した物質の一部は、溶出巻き上がり現象によって再び水質に悪影響を及ぼすことがある。この悪影響を低減させるために、覆砂工法等の対策工法が有効とされている。覆砂工法とは、底質からの有機物や汚染物質等の溶出や巻き上がりを防止して、新鮮酸素豊富な底質を作り出すことを目的に、底質上に良質な砂を薄く敷く工法である。しかしながら、覆砂工法は、砂を使用するため、河川等の水流がある部分では確実に被覆することは困難である。又、砂は概して透水性であり、底質から溶出する汚染物質を完全に遮断することは難しい。

0004

上記の覆砂工法のデメリットを克服することを企図した他の水質汚染防止法として、所定粒径粉砕したコンクリート被覆材として底泥上に被覆することにより、汚染物質の溶出を抑制する方法も提案されている(特許文献1参照)。この方法は、コンクリート被覆材から溶出するカルシウムと水中の二酸化炭素が反応して生じる炭酸カルシウムでコンクリート被覆材の表面に被膜を形成する方法である。しかしながら、この方法においては、コンクリート被覆材の表面に上記の炭酸カルシウムからなる被膜が形成されるまでには数年単位の時間を必要とし、即時的な効果が得られない。又、炭酸カルシウムは自然に溶出するものであり、炭酸カルシウムによる被覆の厚さや範囲を管理制御することは極めて困難であり、長期間に亘る安定的な保守管理は実質的に不可能である。よって、長期信頼性については不十分であり、いずれかの時期において、汚染物質を底質から除去することについても検討する必要がある。しかし、特許文献1において、汚染物質の対象水域からの除去手段については、何らの開示も示唆もなされていない。

0005

一方、近年、セシウム(Cs)等の放射性物質が流入した溜池等の閉鎖性水域においても、水質汚染の防止が急務となっている場合がある。この対策方法の一案として、放射性物質を含む汚染物質がその水中地盤部分に堆積しているため池等の上空から飛行体等により粉粒状ゼオライト空中散布し、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層で覆うことにより汚染物質を吸着封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止する除染方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法においては、ゼオライトは、汚染物質を吸着、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止するものとされている。しかしながら、特許文献2において開示されているのも、あくまで汚染物質の一時的な拡散の防止策のみであり、水中地盤上に形成された粉粒状のゼオライトからなる被覆層自体の浮遊を防ぐ方法が不明であり、且つ、汚染物質体の当該水域からの除去手段ついては、何らの開示も示唆もなされていない。

先行技術

0006

特開2002−18492号公報
特開2015−111100号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、様々な水域の水中地盤に堆積する汚染物質物の拡散を防止し、更には、必要に応じて汚染物質を当該水域から除去することにより、恒久的に水質汚染を防止することができる水質汚染防止方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、非水硬性物質粉体として石灰石粉を使用したセメント系の自硬性材料湿潤密度流動性、及び水中不分離性を、独自の組成最適化によって実現し、この自硬性材料を用いて、特定範囲の強度を有する硬化膜を水中地盤上に形成する方法により、上記課題が解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。

0009

(1)水質汚染防止方法であって、自硬性水中充填材を汚染物質が存在する汚染水域に投入して、前記水中充填材からなる硬化膜を、前記汚染水域内の水中地盤上に形成する工程を含んでなり、前記水中充填材は、石灰石粉100質量部に対し、固化材が4.0質量部以上20.0質量部以下の割合で配合されていて、減水剤が、前記水中充填材1m3当り0.1kg以上2.0kg以下の割合で配合されていて、増粘剤が、前記水中充填材1m3当り3kg以上10kg以下の割合で配合されていて、湿潤密度が1.8Mg/m3以上であり、シリンダフロー値が250mm以上となるように水を加えられた混練物であって、前記硬化膜は、材齢1日における一軸圧縮強度が、0.01N/mm2以上0.5N/mm2以下である水質汚染防止方法。

0010

(1)の発明によれば、処理対象とする水域の水中地盤に堆積する汚染物質を覆う硬化膜を速やかに形成することができる。これにより、短期的な拡散を防止するとともに、更には、汚染物質を吸着させた硬化膜を、所定時間経過後には、必要に応じて、当該水域から除去する処理も容易に実施することができる。以上より、短期的な汚染物質の拡散の防止のみならず、恒久的な水質汚染の防止も実現することができる。

0011

(2) 前記固化材がセメント系固化材である(1)に記載の水質汚染防止方法。

0012

(2)の発明によれば、汎用的で入手容易なセメント系の固化材によって(1)の水質汚染防止方法の効果を、経済性の面からも好ましい態様で享受することができる。

0013

(3) 前記固化材がマグネシウム系中性固化材である(1)に記載の水質汚染防止方法。

0014

(3)の発明によれば、(1)の発明の実施対象水域のアルカリ化を防止することができる。尚、マグネシウム系の固化材は、セメント系の固化材と比較して固化後の強度が低い。この点が一般的な固化材としては短所であるが、(1)の発明の実施においては、固化後の強度が低いことで、底質の変形等に追従することが期待できるという点で長所となる。

0015

(4) 前記硬化膜の形成後所定の期間経過時に、前記硬化膜を、該硬化膜に付着した前記汚染物質とともに、前記水中地盤上から除去回収する工程を更に行う(1)から(3)のいずれかに記載の水質汚染防止方法。

0016

(4)の発明によれば、汚染物質を吸着させた硬化膜を、所定時間経過後に処理対象となる水域から汚染物質ごと除去することができる。これにより恒久的に当該水域における水質汚染を防止することができる。

0017

(5)沈降助剤を含有する無機系吸着剤を水中に散布する工程を、前記自硬性の水中充填材の前記水中地盤上への投入に先行して行う(1)から(4)のいずれかに記載の水質汚染防止方法。

0018

(5)の発明によれば、(1)から(4)の発明の実施において水中に浮遊する汚染物質の水中地盤上への沈降を促進し、これにより処理対象の水域に存在する全染物質のうち硬化膜内へ取り込まれる汚染物質割合を高めて、水質汚染防止の効果を更に向上させることができる。

0019

(6) 前記無機系吸着剤がゼオライトである(5)に記載の水質汚染防止方法。

0020

(6)の発明によれば、汚染物質がセシウム等の放射性物質である場合に、(6)の発明の効果を更に良好に発現させることができる。

発明の効果

0021

本発明によれば、様々な水域の水中地盤に堆積する汚染物質物の拡散を防止し、更には、必要に応じて汚染物質を当該水域から除去することにより、恒久的に水質汚染を防止することができる水質汚染防止方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の水質汚染防止方法の実施態様の一例を示す模式図である。同防止方法の一工程である自硬性の水中充填材を水中の地盤上へ投入する工程の説明に供するものである。
本発明の水質汚染防止方法の実施態様の一例を示す模式図である。同防止補方によって、汚染物質を取り込んだ硬化膜が水中の地盤上に形成される態様の説明に供するものである。

0023

<水質汚染防止方法>
概要
本発明の水質汚染防止方法は、本発明特有の範囲にその組成が最適化された「自硬性の水中充填材」を用いて、汚染物質が堆積する水中地盤の上に硬化膜を形成する工程を含む方法である。この方法によれば、短期的には汚染物質を取り込んだ態様での硬化膜形成により、汚染物の短期的な拡散を防止し、更には、必要に応じて、適切な時期に、当該汚染物質の処理対象水域からの恒久的な除去を行うこともできる方法である。上記の硬化膜は、上記の水中充填材を投入後、速やかに硬化することにより、汚染物質の短期的な拡散を抑止する。尚且つ、この硬化膜は、その破砕に必要な強度が、適切な範囲内に最適化されていることにより、必要に応じて、一定期間経過時に、汚染物質を吸着したままの状態で、水中地盤等から容易に剥離してこれを除去することもできる。つまり、本発明の水質汚染防止方法は、水中における速やかな硬化膜の形成によって汚染物質を封止してその拡散を抑止する処理と、当該汚染物質を恒久的に除去する処理とを、一連のプロセスの中で、必要に応じて自在に選択的に実施することができる適用範囲の広い水質汚染防止方法である。

0024

[硬化膜の形成]
図1及び図2に、処理対象となる汚染水域Wにおいて水中地盤Lに汚染物質2が堆積している場合における本発明の水質汚染防止方法の実施態様を模式的に例示した。本発明の水質汚染防止方法においては、先ず、処理対象となる水域の環境や、処理対象となる水域の面積、その他の周辺環境等の条件に応じて、任意に選択される充填剤投入手段3によって、汚染水域Wに水中充填材1を投入する(図1)。水中充填材1は、水中不分離性、流動性、及び自硬性のバランスを、本発明独自の調合によって最適化されているものである。この水中充填材1を処理対象となる汚染水域Wに投入することによって、汚染物質2を取り込んだ形で、水中地盤L上に、適度な硬度の硬化膜10を速やかに形成することができる。

0025

水中充填材1は流動性が高いため、長距離ポンプ圧送も可能であり、実際の施工時には施工現場付近の適当な場所に別途プラントを設けて、そこからホースや管等を使って施工箇所に圧送することもできる。又、処理対象となる水域の面積が小規模である場合には、施工現場で調合した水中充填材1を、バケツ等により施工箇所に運搬し、人力で水中に流し込む方法を採用することもできる。

0026

水中充填材1によって形成される硬化膜10は、一般的なセメント系材料からなる硬化物とは明らかに異なる強度を有する。即ち、一般的なセメント系材料からなる硬化物の材齢1日の一軸圧縮試験(JIS A 1216準拠)における一軸圧縮強度が、概ね、0.5N/mm2程度以上10N/mm2程度であるのが一般的であるのに対して、水中充填材1によって形成される硬化膜10の材齢1日における一軸圧縮強度は、0.01N/mm2以上0.5N/mm2以下であり、好ましくは、0.01N/mm2以上0.3N/mm2以下である。水中充填材1を用いることにより、水中にこのような適度な強度範囲にある硬化膜を速やかに形成することができる。

0027

硬化膜の強度が少なくとも0.01N/mm2以上であることによって、例えば、一般的な屋外の閉鎖水域である「ため池」等を処理対象とする場合において、数週間〜数か月程度の間、十分に汚染物質の拡散を防止することが可能である。又、水中充填材1によって形成される硬化膜の強度を、上記の最小必要限度とした強度である0.01N/mm2以上とするために必要な硬化膜の厚さdは、最小で5mm以上であればよい。必要とされる強度は処理対象となる水域の環境や汚染物質の種類や量によっても異なるが、例えば、100m2程度の閉鎖水域であるため池において、数週間の期間、重金属、腐、放射性物質及びそれらを吸着した物質の拡散を防止する場合であれば、上記の最小限の厚さである5mmの硬化膜によって、十分な拡散の防止が可能である。

0028

又、水中充填材1によって形成される硬化膜10は、一般的なセメント系材料からなる硬化物とは明らかに異なる破壊ひずみを有する。即ち、一般的なセメント系材料からなる硬化物の上記試験における破壊ひずみが、概ね1〜2%以内程度であるのに対して、水中充填材1によって形成される硬化膜10の破壊ひずみは、3%以上、好ましくは、4%以上である。底質等の水中地盤は一般に軟弱であり、被覆材の施工中、又は施工後に底質が変形することが考えられる。硬化膜10がこのような変形に十分に追従することができない場合、硬化膜10にクラック等が生じて、遮水性能が低下することが懸念される。しかしながら、水中充填材1によって形成される硬化膜10は、上記範囲の高い破壊ひずみを有することにより、このような変形にも十分に追従するこができる。

0029

[硬化膜の除去]
水中充填材1により形成された硬化膜10を、その内部に汚染物質2を取り込んだ状態のまま水中地盤Lから剥離して汚染水域Wから除去することにより、汚染水域Wから、恒久的に汚染物質2を除去することができる。

0030

上記の通り、硬化膜10は、例えば、材齢1日〜14日の範囲における強度が0.2N/mm2以上0.5N/mm2以下の範囲となるように予めその組成を最適化されているため、一般的なセメント硬化体とは異なり、人力でも適当な大きさに破砕することが可能であり、必要に応じて、手作業での剥離も可能である。更に、パワーショベル等の汎用性の高い重機を持ち入ること等も視野に入れれば、硬化膜10は、極めて容易、且つ、効率よく汚染物質2とともに、水中地盤L上から回収することができる。

0031

尚、硬化膜10の厚さの上限については、必ずしも一定の厚さに限定されないが、上記の回収時の剥離作業容易性を確保する観点から、100mm以下であることが好ましく、50mm未満であることがより好ましく、10mm未満であることが最も好ましい。例えば、50mm未満とすることにより、上記の汚染物質の拡散防止効果担保した上で、更に回収時の作業性を十分に好ましい状態に保持することができる。又、硬化膜10の厚さを、5mm以上10mm未満とすることにより、本発明の方法の実施初期段階における汚染物質の拡散防止に必要な硬化膜10の強度と、所定の期間経過時における硬化膜の水中地盤からの剥離容易性とを高い水準両立させることができ、尚且つ、硬化膜10の厚さを上記厚さ範囲に設定することで自硬性の水中充填材の投入量を必要最小限に止めることができる。

0032

尚、水中充填材1を処理対象となる汚染水域Wに投入する処理工程に先行して、沈降助剤を含有する無機系吸着剤を汚染水域Wに散布する工程を行うことによって、水中に浮遊する汚染物質を、予め、水中地盤L上に高率で集積させることが可能である。この前処理を行うことにより、硬化膜10への汚染水域W内の全汚染物質2の吸着を更に促進して、水質汚染防止の効果を高めることができる。この際に用いる無機系吸着剤の好ましい具体例としては、セシウム(Cs)等の放射性物質に対して高い吸着性を発揮することが知られているゼオライトを例示することができる。

0033

<自硬性の水中充填材>
本発明の水質汚染防止方法に用いる自硬性の水中充填材(以下、単に「水中充填材」とも言う)について説明する。水中充填材は、水中での流動性と、水中不分離性と、水中における適度な自硬性とをバランスよく兼ね備えるものである。そして、この性質によって、水中充填材は、水中に投入後、セメント成分水和反応によって硬化し、水中の地盤上或いは水底上において、堆積した汚染物質を吸着した態様で硬化膜を形成することができる。

0034

水中充填材は、セメント系材料(モルタル及びコンクリート)と比べて、配合している非水硬性物質の粒径が極めて小さいことを特徴とする。一般的なセメント系材料では骨材として、JIS等に規定される所定の粒子サイズを有する非水硬性物質を配合しているが、水中充填材では粉末状の非水硬性物質を配合している。加えて、水中充填材は、上述の非水硬性物質の配合割合が、セメント成分との質量比率において、一般的なセメント系材料よりも大幅に高くなっている。更に、水中充填材は、水中不分離性と拡散性を最適化するために適量の増粘剤を添加したものである。これらの特有の組成調合により、本発明に係る水中充填材は、水中地盤上に、本発明の水質汚染防止方法の効果を良好に発現させることができる上述の物性を備える硬化膜を速やかに形成することができる。

0035

ここで、「非水硬性物質」とは、単体では水和反応によって硬化する性質を有しない物質である。「粉体」は75μmのを通過する粒子を70質量%以上含有するものをいう。「湿潤密度」は、JIS A1225に従って測定される。

0036

水中充填材は、非水硬性物質として石灰石粉を用いる。そしてこの石灰石粉100質量部に対する固化材の配合量が4.0質量部以上20.0質量部以下である。又、水中充填材は、減水剤が、水中充填材1m3当り0.1kg以上2.0kg以下の割合で配合されていて、増粘剤が、前記水中充填材1m3当り3kg以上10kg以下の割合で配合されている。そして、湿潤密度が1.8Mg/m3以上且つシリンダ式フロー値が250mm以上となるように水を加えられた混練物である。非水硬性物質の粉体(石灰石粉)、セメント、減水材、及び増粘剤の配合比率を上記の範囲で調合し、湿潤密度及び上記フロー値を上記範囲内に調整することにより、上記の通り、水中充填材を、水中での流動性と、水中不分離性と、水中における適度な自硬性とをバランスよく兼ね備え優れた材とすることができる。

0037

非水硬性物質として添加する石灰石粉は、石灰石(CaCO3主体鉱物)を粉砕した粉体(コンクリート用として規定される砕石由来するもの、及び工業製品として用意されている石灰石粉に由来するものの一方又は両方を含むことができる)を使用する。

0038

尚、非水硬性物質として添加する石灰石粉は、その一部をフライアッシュ又はスラグ置換したものであってもよい。この場合の置換率は石灰石粉100質量部に対して、フライアッシュ又はスラグ50質量部未満の範囲での置換が好ましい。

0039

固化材としては、一般的なコンクリートや地盤改良等に用いられる種々のセメントを用いることができる。例えば、普通セメント高炉セメント、セメント系固化材等が挙げられる。石灰等、固化反応を呈する結合材をセメントとともに添加することもできる。非水硬性物質として「粉体」を使用し、その配合割合を、上記の通り、セメントよりも相対的に多くすることによって、混練物としての密度を大幅に増大させることができ、且つ、高い流動性が得られる。又、上述の通り、セメント系固化材に代えて、マグネシウム系の中性固化材を用いることもできる。

0040

減水剤としては、特段の限定なく、従来公知の減水剤を適宜選択することができる。好ましい一例として、ポリカルボン酸系高性能減水剤を挙げることができる。このような減水剤を上記配合量範囲内で添加し、これを、湿潤密度が1.8Mg/m3以上となるように水を加えて混練することにより、水中での好ましい初期分散性を発現することができる、シリンダ式フロー値が250mm以上の水中充填材とすることができる。

0041

増粘剤としては、従来公知の一般的な増粘剤、例えば、コンクリートに使用される種々のものが使用できる。具体的には、セルロース系、スターチエーテル系、ポリアクリル酸、又は、ポリアクリルアミド等の合成樹脂系等の増粘剤を好ましい例として挙げることができる。これを、上記配合量範囲内で適宜配合し、湿潤密度が1.8Mg/m3以上となるように水を加えて混練することにより、適度な水中不分離性を有する水中充填材とすることができる。

0042

水中充填材の湿潤密度は、1.8Mg/m3程度以上にする。更に、湿潤密度を大きくすることで、水中地盤上の狭隘なクラック中にも、自然流下での充填性能の向上が期待できる。又、流動性に関しては、上記の「シリンダ式フロー値:250mm以上」の特性を満たすようにすることで、水中地盤上における好ましい拡散も確保することができる。混練物のこのような特性は非水硬性物質粉体とセメントの配合比及び水の混合量、混和剤の混合量によって、所望の範囲にコントロールすることができる。材料分離抵抗性については、24時間のブリージング率が2%程度以下であることが望ましいが、これは上記の配合において実現できる。

0043

水中充填材を以上説明した通りの配合とすることにより、同材のシリンダ式フロー値を200mm以上、ブリーディング率を1%未満、湿潤密度を1.8Mg/m3以上とすることができる。これにより、水中においてもセルフレベリング性能を確保することができる。又、水中での材料分離もほとんど生じないので、本発明の水質汚染防止方法の実施時に、水質を汚濁することなく、所望の範囲の品質を安定的に硬化膜に付与することができる。

0044

<水中充填材の製造>
本発明の効果を検証するため、以下の材料を下記表1に示す配合からなる混練物とすることにより、本発明に係る水中充填材を製造した。表1中の減水剤と増粘剤の配合比(%)は、混錬物全体に占める割合(質量%)を示す。

0045

配合材料
非水硬性物質:石灰石を粉砕して得た粉末(炭酸カルシウム粉末タンカル200)、75μmの篩を通過する粒子を70質量%以上含有するもの
固化材:ジェットセメント(住友大阪セメント社製)
減水剤:ポリエーテル・ポリカルボン酸系高性能減水材(MELFLUX6681F、SKイーストアジア社製)
増粘剤:合成ポリマー系増粘剤(STARVIS WR470、SKWイーストアジア社製)
水:現地河川水

0046

0047

できあがった上記の水中充填材(混錬物)のシリンダ式フロー値、ブリーディング率、及び、湿潤密度を、下記の水中への充填前に予め測定した。結果は表2の通りであった。

0048

0049

<水質汚染防止試験>
先ず、水底に放射性物質(セシウム)が体積されていることが確認されているため池に、30cm×90cmで、水深以上の十分な高さを有する型枠を設置して3カ所の試験用の水域を設定した。同型枠内に、上記の水中充填材を5cmの層厚で充填した。充填翌日には水域全面に硬化不良部の認められない状態で硬化膜が形成された。充填1日目及び充填3日目に、この硬化膜を回収して、一軸圧縮試験(JIS A 1216準拠)における一軸圧縮強度を測定した。結果を表3に示す。表の一軸圧縮強度の値は3カ所の水域から回収した複数の硬化膜片についての平均値を算出したものである。

0050

0051

尚、充填翌日、特殊な器具を使うことなく、硬化不良も無く手作業により、上記の水中充填材からなる硬化膜を容易に回収することができた。又、充填5日後には、硬化膜の上を重機(重量約7000kg)を走行させて、硬化膜を破壊しながら回収することができた。

0052

回収された上記の硬化膜について、同膜内に取り込まれていた泥について、放射性濃度を測定した。結果を表4に示す。

0053

実施例

0054

以上、実施例の試験結果より、水中地盤に堆積する汚染物質物の拡散を防止し、更には、必要に応じて汚染物質を当該水域から除去することにより、恒久的に水質汚染を防止することができる水質汚染防止方法を提供することができる方法であることが分かる。

0055

1 水中充填
2汚染物質
3充填剤投入手段
10硬化膜
W汚染水域
L 水中地盤

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