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技術 伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法

出願人 株式会社モテギ
発明者 茂木透坂田信行
出願日 2016年10月3日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-195548
公開日 2018年4月12日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2018-059547
状態 特許登録済
技術分野 軸・クランク・連接棒及び関連の軸受 継手 流体減衰装置
主要キーワード スタブ部材 長尺材料 段付き加工 空洞形状 衝撃緩和装置 機械構造体 溶接室 中実材料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月12日)のものです。
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図面 (7)

課題

簡素な構成で機械的強度が向上された伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法を提供する。

解決手段

伝達軸10は、金属から成る棒状の部材であり、円筒状を呈する長尺部材である筒状部11と、筒状部11の両端に接合された蓋状部12と、を備えている。筒状部11と蓋状部12との間には、後述する電子ビーム溶接で接合される接合部分15が形成されている。また、蓋状部12は、筒状部11の端部側面18に当接する当接面27と、当接面27よりも筒状部11の軸方向内側に挿入される内方突出部14と、を有する。

概要

背景

従来から車両などの機械構造体には、支持力動力を伝達させる部材として、金属を棒状に成形したシャフトが多用されている。例えば、係るシャフトは、車体において、回転トルク圧縮力引張力等を伝達するために用いられている。

従来では、係るシャフトとしては所謂中実材料が採用されてきた。しかしながら、シャフトを中実材料で構成すると、シャフトの重量が大きくなることから、シャフトが採用される機械構造体、例えば車体の重量が増加してしまう問題があった。

そこで、シャフトの内部を中空構造とすることで、シャフトの機械的強度を一定上に確保しつつ、その重量を軽減する試みがなされている。例えば、特許文献1には、パイプ部材スタブ部材からなる中空構造を有する動力伝達軸およびその製造方法が記載されている。ここでは、パイプ部材の両端部をスタブ部材で塞ぐことで、動力伝達軸を中空構造としている。また、パイプ部材とスタブ部材は溶接接合される。更に、パイプ部材の端部と接触する部分のスタブ部材には段付き加工が施されている。

概要

簡素な構成で機械的強度が向上された伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法を提供する。伝達軸10は、金属から成る棒状の部材であり、円筒状を呈する長尺部材である筒状部11と、筒状部11の両端に接合された蓋状部12と、を備えている。筒状部11と蓋状部12との間には、後述する電子ビーム溶接で接合される接合部分15が形成されている。また、蓋状部12は、筒状部11の端部側面18に当接する当接面27と、当接面27よりも筒状部11の軸方向内側に挿入される内方突出部14と、を有する。

目的

本発明はこれらの問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、簡素な構成で機械的強度が向上された伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

使用状況下にて軸方向に押圧力または引張力を伝達する伝達軸であり、中空部が形成された筒状部と、前記筒状部の端部を塞ぐ蓋状部と、を具備し、前記蓋状部は、前記筒状部の端部側面に当接する当接面と、前記当接面よりも前記筒状部の軸方向内側に挿入される内方突出部と、を有し、前記筒状部の前記端部側面と、前記蓋状部の前記当接面とは、溶接により接合されることを特徴とする伝達軸。

請求項2

前記内方突出部は、円柱形状または略円柱形状を呈することを特徴とする請求項1に記載の伝達軸。

請求項3

前記内方突出部の軸方向に沿う長さは、前記溶接される接合部分の軸方向に沿う長さの半分以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝達軸。

請求項4

摺動部材として用いられることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の伝達軸。

請求項5

前記溶接は電子ビーム溶接であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の伝達軸。

請求項6

車両の車体に作用する衝撃を緩和する車両用衝撃緩和装置であり、請求項1から請求項5の何れかに記載され、上方側端部が前記車体に接続され、下方側端部がメインパイプに挿入され、前記メインパイプに配置されたオイルシール摺動しつつ前記車体と共に移動する伝達軸と、前記車体と前記メインパイプとの間に付勢された状態で配置されるスプリングと、前記メインパイプの内部に充填され、前記伝達軸の移動に伴い、前記メインパイプの内部を流動する内部液体と、を具備することを特徴とする車両用衝撃緩和装置。

請求項7

中空部が形成された筒状部と、前記筒状部の端部側面に当接する当接面と前記当接面よりも突出する内方突出部とを有する蓋状部と、を準備する工程と、前記筒状部の端部に前記蓋状部の前記内方突出部を挿入することで、前記筒状部の端部を前記蓋状部で塞ぐと共に、前記筒状部の前記端部側面に、前記蓋状部の前記当接面を当接する工程と、前記筒状部の前記端部側面と、前記蓋状部の前記当接面との接触部で、前記筒状部と前記蓋状部とを溶接する工程と、を具備することを特徴とする伝達軸の製造方法。

請求項8

前記筒状部の前記端部側面に、前記蓋状部の前記当接面を当接させる工程では、加熱されることで熱膨張した前記筒状部の端部を、前記蓋状部で塞ぐことを特徴とする請求項7に記載の伝達軸の製造方法。

請求項9

前記溶接は電子ビーム溶接であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の伝達軸の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法に関し、特に、中空構造を有する伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来から車両などの機械構造体には、支持力動力を伝達させる部材として、金属を棒状に成形したシャフトが多用されている。例えば、係るシャフトは、車体において、回転トルク圧縮力引張力等を伝達するために用いられている。

0003

従来では、係るシャフトとしては所謂中実材料が採用されてきた。しかしながら、シャフトを中実材料で構成すると、シャフトの重量が大きくなることから、シャフトが採用される機械構造体、例えば車体の重量が増加してしまう問題があった。

0004

そこで、シャフトの内部を中空構造とすることで、シャフトの機械的強度を一定上に確保しつつ、その重量を軽減する試みがなされている。例えば、特許文献1には、パイプ部材スタブ部材からなる中空構造を有する動力伝達軸およびその製造方法が記載されている。ここでは、パイプ部材の両端部をスタブ部材で塞ぐことで、動力伝達軸を中空構造としている。また、パイプ部材とスタブ部材は溶接接合される。更に、パイプ部材の端部と接触する部分のスタブ部材には段付き加工が施されている。

先行技術

0005

特開2009−103210号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記した中空構造の動力伝達軸では、パイプ部材と接する部分のスタブ部材までもが中空構造となっていたため、両者の接合部分の機械的強度が必ずしも十分に確保されない場合が想定された。また、パイプ部材とスタブ部材との接合部分を溶接する際に、接合部分におけるスタブ部材の厚みが充分でないと、溶接工程にて、スタブ部材が変形してしまう等の不具合が発生してしまう可能性もあった。

0007

本発明はこれらの問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、簡素な構成で機械的強度が向上された伝達軸およびそれを用いた車両用衝撃緩和装置ならびに伝達軸の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明の伝達軸は、使用状況下にて軸方向に押圧力または引張力を伝達する伝達軸であり、中空部が形成された筒状部と、前記筒状部の端部を塞ぐ蓋状部と、を具備し、前記蓋状部は、前記筒状部の端部側面に当接する当接面と、前記当接面よりも前記筒状部の軸方向内側に挿入される内方突出部と、を有し、前記筒状部の前記端部側面と、前記蓋状部の前記当接面とは、溶接により接合されることを特徴とする。

0009

また、本発明の伝達軸では、前記内方突出部は、円柱形状または略円柱形状を呈することを特徴とする。

0010

また、本発明の伝達軸では、前記内方突出部の軸方向に沿う長さは、前記溶接される接合部分の軸方向に沿う長さの半分以上であることを特徴とする。

0011

また、本発明の伝達軸では、摺動部材として用いられることを特徴とする。

0012

また、本発明の伝達軸では、前記溶接は電子ビーム溶接であることを特徴とする。

0013

本発明は、車両の車体に作用する衝撃を緩和する車両用衝撃緩和装置であり、上方側端部が前記車体に接続され、下方側端部がメインパイプに挿入され、前記メインパイプに配置されたオイルシール摺動しつつ前記車体と共に移動する伝達軸と、前記車体と前記メインパイプとの間に付勢された状態で配置されるスプリングと、前記メインパイプの内部に充填され、前記伝達軸の移動に伴い、前記メインパイプの内部を流動する内部液体と、を具備することを特徴とする。

0014

本発明の伝達軸の製造方法は、中空部が形成された筒状部と、前記筒状部の端部側面に当接する当接面と前記当接面よりも突出する内方突出部とを有する蓋状部と、を準備する工程と、前記筒状部の端部に前記蓋状部の前記内方突出部を挿入することで、前記筒状部の端部を前記蓋状部で塞ぐと共に、前記筒状部の前記端部側面に、前記蓋状部の前記当接面を当接する工程と、前記筒状部の前記端部側面と、前記蓋状部の前記当接面との接触部で、前記筒状部と前記蓋状部とを溶接する工程と、を具備することを特徴とする。

0015

また、本発明の伝達軸の製造方法において、前記筒状部の前記端部側面に、前記蓋状部の前記当接面を当接させる工程では、加熱されることで熱膨張した前記筒状部の端部を、前記蓋状部で塞ぐことを特徴とする。

0016

また、本発明の伝達軸の製造方法では、前記溶接は電子ビーム溶接であることを特徴とする。

発明の効果

0017

本発明の伝達軸は、使用状況下にて軸方向に押圧力または引張力を伝達する伝達軸であり、中空部が形成された筒状部と、前記筒状部の端部を塞ぐ蓋状部と、を具備し、前記蓋状部は、前記筒状部の端部側面に当接する当接面と、前記当接面よりも前記筒状部の軸方向内側に挿入される内方突出部と、を有し、前記筒状部の前記端部側面と、前記蓋状部の前記当接面とは、溶接により接合されることを特徴とする。従って、伝達軸を構成する筒状部と蓋状部とを溶接することで、両部位を強固に溶接することができる。また、蓋状部の内方突出部は、当接面よりも筒状部の内部に挿入されることから、筒状部と蓋状部とが接合する強度を更に向上させることができる。

0018

また、本発明の伝達軸では、前記内方突出部は、円柱形状または略円柱形状を呈することを特徴とする。従って、円柱形状に軸方向内側に突出する内方突出部で、筒状部と蓋状部との接合部分の強度を強化することができる。

0019

また、本発明の伝達軸では、前記内方突出部の軸方向に沿う長さは、溶接される接合部分の軸方向に沿う長さの半分以上であることを特徴とする。従って、溶接される接合部を内方突出部で補強するとともに、製造時には内方突出部で溶接される部分を保持することができる。

0020

また、本発明の伝達軸では、摺動部材として用いられることを特徴とする。従って、電子ビーム溶接される部分の表面は外部に突出する量が少ないので、その表面を容易に滑らかな状態とすることができ、伝達軸を良好に摺動させることができる。

0021

また、本発明の伝達軸では、前記溶接は電子ビーム溶接であることを特徴とする。従って、各部材を安定して溶接することができる。

0022

本発明は、車両の車体に作用する衝撃を緩和する車両用衝撃緩和装置であり、上方側端部が前記車体に接続され、下方側端部がメインパイプに挿入され、前記メインパイプに配置されたオイルシールと摺動しつつ前記車体と共に移動する伝達軸と、前記車体と前記メインパイプとの間に付勢された状態で配置されるスプリングと、前記メインパイプの内部に充填され、前記伝達軸の移動に伴い、前記メインパイプの内部を流動する内部液体と、を具備することを特徴とする。従って、内部が中空構造とされた伝達軸を採用することで、車両用衝撃緩和装置ひいては車両全体を軽量化することができる。また、電子ビーム溶接された伝達軸の表面は凹凸が少ないので、伝達軸とオイルシールとの摺動性を高めることができる。

0023

本発明の伝達軸の製造方法は、中空部が形成された筒状部と、前記筒状部の端部側面に当接する当接面と前記当接面よりも突出する内方突出部とを有する蓋状部と、を準備する工程と、前記筒状部の端部に前記蓋状部の前記内方突出部を挿入することで、前記筒状部の端部を前記蓋状部で塞ぐと共に、前記筒状部の前記端部側面に、前記蓋状部の前記当接面を当接する工程と、前記筒状部の前記端部側面と、前記蓋状部の前記当接面との接触部で、前記筒状部と前記蓋状部とを溶接する工程と、を具備することを特徴とする。従って、蓋状部の内方突出部を筒状部の端部に挿入することから、両者の位置精度をより精密に管理することができる。

0024

また、本発明の伝達軸の製造方法において、前記筒状部の前記端部側面に、前記蓋状部の前記当接面を当接させる工程では、加熱されることで熱膨張した前記筒状部の端部を、前記蓋状部で塞ぐことを特徴とする。従って、加熱された筒状部の端部に蓋状部を挿入することで、その後冷却すると、熱収縮した筒状部で蓋状部が半径方向内側に締め込まれるので、筒状部と蓋状部との相対的な位置を正確に決定することができる。

0025

また、本発明の伝達軸の製造方法では、前記溶接は電子ビーム溶接であることを特徴とする。従って、各部材を安定して溶接することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の実施形態に係る伝達軸を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
本発明の実施形態に係る伝達軸を示す図であり、(A)は分解断面図であり、(B)は蓋状部を示す斜視図であり、(C)は接合部を示す拡大断面図である。
本発明の他の実施形態に係る伝達軸に於ける接合部付近の構成を示す断面図である。
本発明の実施形態に係る伝達軸が組み込まれた車両用の衝撃緩和装置を示す断面図である。
本発明の実施形態に係る伝達軸の製造方法を示すフローチャートである。
本発明の実施形態に係る伝達軸の製造方法を示す断面図である。

実施例

0027

以下、図を参照して本形態に係る伝達軸10およびそれを用いた車両用の衝撃緩和装置20ならびに伝達軸10の製造方法を説明する。

0028

図1を参照して、伝達軸10の構成を説明する。図1(A)は伝達軸10を示す斜視図であり、図1(B)は伝達軸10を中心軸に沿って切断した場合の断面図である。

0029

図1(A)を参照して、伝達軸10は、金属から成る棒状の部材であり、円筒状を呈する長尺部材である筒状部11と、筒状部11の両端を塞ぐように接合された蓋状部12と、を備えている。筒状部11と蓋状部12との間には、後述する電子ビーム溶接で接合される接合部分15が形成されている。ここでは図示しないが、伝達軸10の表面は、研磨加工および電解メッキ処理が施されており、極めて凹凸が少ない滑らかな面となっている。伝達軸10の表面を滑らかな面とすることで、後述するように、摺動性および気密性を良好なものとできる。伝達軸10は、車両34などの機械構造体に組み込まれて、その軸方向に沿って圧縮力または引張力を伝達させる部材であり、後述するように車両用の衝撃緩和装置20の一部を構成する。

0030

図1(B)を参照して、筒状部11は、その内部が空洞形状円筒形状であり、その両端が蓋状部12で塞がれている。よって、筒状部11の内部空間は密閉されている。伝達軸10の内部をこの様に中空構造とすることで、中実材料から成る場合と比較して、伝達軸10を軽量化し、この伝達軸10が組み込まれる車両等の機械構造体の軽量化も図ることができる。また、本形態の伝達軸10は、その軸方向に沿って圧縮力や引張力が作用し、伝達軸10の途中部分に大きな曲折応力が作用することは基本的にはないので、伝達軸10は本形態で想定している用途においては、強度の観点から問題が発生することはない。

0031

図2を参照して、上記した伝達軸10の構成を詳述する。図2(A)は伝達軸10を示す分解断面図であり、図2(B)は蓋状部12を示す斜視図であり、図2(C)は伝達軸10の接合部分15およびその近傍を拡大して示す断面図である。

0032

図2(A)を参照して、筒状部11の端部には端部側面18が形成されており、蓋状部12は、この端部側面18に接合される。

0033

図2(B)を参照して、蓋状部12は略円板形状を呈しており、その蓋状部12の外径は上記した筒状部11の外径と同等である。蓋状部12の円盤状の蓋部19の中央部分には、軸方向に沿って円柱形状または略円柱形状に突出する内方突出部14が形成されている。内方突出部14は、蓋状部12を筒状部11に組み込んだ際に、筒状部11の内部に挿入される部位であり、内方突出部14の外径は蓋状部12の内径と同一か略同一である。また、後述するように、製造工程にて筒状部11を加熱する場合は、内方突出部14の外径を、蓋状部12の内径よりも大きくしてもよい。蓋部19の紙面右方側の主面からは、棒状突出部16が形成されている。棒状突出部16は、伝達軸10を車両34等の機械構造体に組み込む際に用いられる。また、蓋部19の紙面上にて左方側主面周辺部には円環形状の当接面27が形成されており、当接面27の大きさは、筒状部11の端部側面18と同一または略同一である。

0034

図2(C)を参照して、筒状部11と蓋状部12とが電子ビーム溶接で接合される接合部分15を説明する。ここでは、上記した筒状部11の端部側面18と、蓋状部12の当接面27とが、電子ビーム溶接で接合されている。この図では、電子ビーム溶接により溶接される接合部分15を細かい斜線ハッチングで示している。上記した筒状部11の端部側面18と、蓋状部12の当接面27とが当接する部分のほぼ全域にわたって、両者を溶融させることで接合部分15が形成されている。本形態では、後述するように部材を深く溶接することができる電子ビーム溶接を行うため、端部側面18と当接面27との間を全面的に溶接し、溶接で形成される接合部分15の強度を一定以上に確保することができる。

0035

また、電子ビーム溶接を行う際に溶融される接合部分15の軸方向に沿う幅L2と、蓋状部12の内方突出部14の軸方向に沿う幅L1との間に以下の不等式成立している。
L2/2<L1

0036

換言すると、蓋状部12の内方突出部14の幅L1は、接合部分15の幅L2の半分よりも長く設定される。このようにすることで、電子ビーム溶接時に接合部分15が、内方突出部14で内側から支持されているので、溶接時には溶融して軟化する接合部分15を内側から支持し、接合部分15が変形してしまうことを抑止することができる。また、接合部分15を内方突出部14で補強し、伝達軸10全体の機械的強度を向上することもできる。

0037

図3を参照して、上記した接合部分15の他の形態を説明する。ここでは、筒状部11の端部側面18付近の半径方向内側部分を部分的に切り欠いて段差部17を形成している。この段差部17の軸方向における幅は、蓋状部12の内方突出部14の幅と、同一または略同一とされる。筒状部11に蓋状部12を挿入すると、蓋状部12の内方突出部14は、筒状部11の段差部17に収納される。かかる構成によっても、接合部分15で電子ビーム溶接を行うことで、筒状部11と蓋状部12とを強固に接合することができる。

0038

図4を参照して、上記した伝達軸10が組み込まれた車両34の衝撃緩和装置20の構成を説明する。この衝撃緩和装置20は、タイヤ24を回転自在に支持するサスペンションアーム25と車体21との間に形成され、タイヤ24から車体21に伝導する衝撃を緩和する機能を有する。衝撃緩和装置20は、伝達軸10と、スプリング23と、メインパイプ22と、オイルシール28と、を主要に具備している。また、メインパイプ22に伝達軸10が挿入される機構は、オイル(内部液体)が微細な穴を通過する際に発生する抵抗を用いて振動を抑制するショックアブソーバとも称される。

0039

伝達軸10の上端部分は車体21に固定され、伝達軸10の下端部分は、メインパイプ22の内部に挿入されている。スプリング23は、上端部分が車体21に当接し、下端部分がメインパイプ22に当接し、両者の間で付勢された状態となっている。

0040

車両34が走行する際に車体21に作用する衝撃は、スプリング23が圧縮伸張することで吸収される。また、車体21が振動により上下方向に移動すると、車体21と共に伝達軸10も上下方向に移動し、その際にメインパイプ22の内部でオイル26が流動することで抵抗が生じ、よって制振効果が発揮される。これにより、伝達軸10には、圧縮力および引張力が作用する。

0041

本形態では、伝達軸10は上記したように中空構造を有して軽量であることから、伝達軸10が組み込まれる衝撃緩和装置20および車両34の軽量化に寄与することができる。車両34が有する各衝撃緩和装置20に本形態の伝達軸10を組み込むことにより、車両の更なる軽量化を推進することができる。

0042

また、伝達軸10は使用状況下にてオイルシール28と摺動するが、上記したように伝達軸10の表面は極めて滑らかであるため、伝達軸10とオイルシール28とは良好に摺動し、両者の間の気密性は高く確保されている。

0043

図5および図6に基づいて、上記した各図も参照しつつ、上記した構成を有する伝達軸10の製造方法を説明する。

0044

図5のフローチャートを参照して、本形態の伝達軸10の製造方法は、バイプ材を切断するとこで筒状部11を形成するステップS10と、中実材料を旋盤加工することで蓋状部12を成形するステップS11と、筒状部11を加熱するステップS12と、筒状部11に蓋状部12を圧入するステップS13と、筒状部11と蓋状部12とをビーム溶接するステップS14と、を備えている。これらの各工程を以下にて説明する。ここで、ステップS10とステップS11とは、筒状部11および蓋状部12を準備する一つの工程と見做すことができる。

0045

ステップS11では、円筒状のパイプ材を切断することで筒状部11を成形する。パイプ材は例えば数m程度の長尺材料として準備される。ここでは、切断治具でパイプ材を所定の長さに切断することで、筒状部11を得る。切断された筒状部11の切断面は、後述する工程のためにバリ取り加工が行われても良い。

0046

ステップS12では、円筒状の中実材料に対して旋盤加工を行うことで、図2(B)に示した形状の蓋状部12を成形する。

0047

ステップ12では、上記した工程で成形した筒状部11を加熱する。例えば、本工程では、筒状部11の温度が100℃以上と成るように、加熱作業を行う。本工程で筒状部11を加熱することで、筒状部11を熱膨張させ、後述するように筒状部11と蓋状部12との嵌合強度を向上させ、両者の相対的な位置精度を向上させることができる。

0048

ステップS13では、筒状部11の端部に蓋状部12を圧入する。具体的には、図2(A)を参照して、上記工程で加熱されることで熱膨張している筒状部11の両端部に、蓋状部12を挿入する。ここで、筒状部11と蓋状部12とが同一温度であれば、蓋状部12の内方突出部14の外径は、筒状部11の内径と同等か、筒状部11のよりも若干大きい。ここでは、上記したように筒状部11が100℃程度に加熱されている一方、蓋状部12は例えば20℃程度の常温である。このことから、膨張した筒状部11の内径は、蓋状部12の内方突出部14の外径と略同一か、または内方突出部14よりも大きくなっている。従って、筒状部11の両端部に蓋状部12を圧入することができる。圧入した後は、筒状部11と蓋状部12とを室温まで冷却することで、熱収縮した筒状部11で蓋状部12を絞め込むことができる。このようにすることで、筒状部11に蓋状部12を強固に挿入でき、両者の相対的な位置関係を高精度にできる。

0049

ここで、本形態では、筒状部11を必ずしも加熱する必要はなく、常温下で筒状部11の内径を、蓋状部12の内方突出部14の外径よりも大きくし、筒状部11に蓋状部12の内方突出部14を挿入するようにしてもよい。

0050

図6を参照して、次に、ステップS14では、電子ビーム溶接機30を用いて筒状部11と蓋状部12とを溶接する。先ず、電子ビーム溶接機30の真空溶接室31に、上記した工程で組んだ伝達軸10を配設する。次に、真空溶接室31を密閉し、真空溶接室31の内部を減圧して、略真空状態にする。次に、伝達軸10を所定速度で回転させながら、筒状部11と蓋状部12との境界である接合部分15に、電子ビーム32を照射する。そのようにすると、接合部分15で筒状部11と蓋状部12とが部分的に溶融し、筒状部11と蓋状部12とは良好に接合される。

0051

本形態では、電子ビーム溶接で筒状部11と蓋状部12とを溶接していることから、電子ビームを筒状部11と蓋状部12との境界部で深くまで進行させ、両者を接合部分15で強固に接合することができる。また、電子ビームが照射される接合部分15は、内側から内方突出部14で支えられているので、電子ビームによる接合をより安定して行うことができる。

0052

上記工程が終了した後は、伝達軸10の側面を研磨することで細かな凹凸を除去し、その後に伝達軸10の側面を電解メッキ処理することでメッキ膜にて被覆する。このようにすることで、伝達軸10の側面を極めて滑らかな状態にすることができる。

0053

なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。

0054

例えば、電子ビーム溶接に替えて、レーザ溶接フリクション溶接摩擦撹拌接合)を採用することができる。

0055

10伝達軸
11 筒状部
12 蓋状部
14内方突出部
15接合部分
16 棒状突出部
17段差部
18 端部側面
19 蓋部
20衝撃緩和装置
21 車体
22メインパイプ
23スプリング
24 タイヤ
25サスペンションアーム
26オイル
27 当接面
28オイルシール
30電子ビーム溶接機
31真空溶接室
32電子ビーム
34 車両

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