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技術 抗酸化剤、抗酸化剤を含有する油脂組成物およびこれを含有する油性食品

出願人 木村修一ヤマザキビスケット株式会社ミヨシ油脂株式会社
発明者 木村修一堤克二大石憲孝
出願日 2016年10月7日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-198977
公開日 2018年4月12日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2018-059024
状態 特許登録済
技術分野 抗酸化剤,安定剤組成物 脂肪類、香料 菓子 食品の保存(凍結・冷却・乾燥を除く) 食用油脂
主要キーワード 揮発性分解物 水和物含有量 酸化防止処理 油性食品用 ネクサス フライ試験 食品用抗酸化剤 亜臨界抽出
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

従来よりも油脂組成物およびこれを用いた油性食品酸化安定性を向上させることが可能であり、長期にわたって酸化を抑制することができる安全な抗酸化剤を提供する。

解決手段

ジヒドロケルセチンと、アルカリ物質(ただし、食品用乳化剤を除く)とを、酸化を抑制する対象物への添加成分として含む。

概要

背景

バターマーガリン等の油脂類、油脂を配合したケーキ類ビスケットクッキークラッカー等の焼き菓子類、さらにポテトチップスフライ麺等のフライ食品等は、油脂を含有することによる良好な味を有する反面、経時的な風味劣化が大きな問題となっている。油脂の酸化が進行すると、これらの油性食品の味や匂い、食感なども低下する。

このような観点から、油脂組成物およびこれを含有する油性食品には、多くの酸化防止処理が施されている。例えば、容器包装中に酸化防止剤封入する方法、種々の酸化防止剤、例えばトコフェロールアスコルビン酸ポリフェノール化合物等を油脂に添加する方法等が広く採用されている(非特許文献1)。また、油脂に炭酸カルシウム炭酸カリウム等のアルカリ物質を添加する方法も採用されている(特許文献1、2)。

しかしながら、特許文献1に記載の方法は、炭酸カルシウムのようなアルカリ土類金属炭酸塩を単独で油脂に添加する方法であり、必ずしも満足し得る抗酸化能が得られなかった。特許文献2に記載の方法も、特許文献1と同様に、炭酸カリウムのようなアルカリ金属の炭酸塩を単独で油脂に添加する方法であって、必ずしも満足し得る抗酸化能が得られなかった。

そこで、茶抽出物に含まれるカテキンに代表されるポリフェノール化合物とアルカリ物質を併用する抗酸化剤や、ポリフェノール化合物を含有する混合物Aとアルカリ剤を含む混合物Bとからなる二剤型の抗酸化剤等が提案されている(特許文献3、4)。特許文献3に記載の抗酸化剤では、ポリフェノール化合物として、茶抽出物およびその成分である、茶カテキンエピガロカテキンガレート等の特定のポリフェノール化合物と、食品用乳化剤を併用することが提案されている。特許文献4に記載の抗酸化製品では、ポリフェノール化合物を含有する混合物Aとして、茶抽出物に加え、クロロゲン酸を含有するコーヒー豆抽出物を用いることが提案されている。

概要

従来よりも油脂組成物およびこれを用いた油性食品の酸化安定性を向上させることが可能であり、長期にわたって酸化を抑制することができる安全な抗酸化剤を提供する。ジヒドロケルセチンと、アルカリ物質(ただし、食品用乳化剤を除く)とを、酸化を抑制する対象物への添加成分として含む。なし

目的

このため、従来の食用の抗酸化剤では、油脂の酸化を抑制する効果が必ずしも十分ではないという問題があり、油脂およびこれを用いた食品のさらなる酸化安定性の向上が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ジヒドロケルセチンと、アルカリ物質(ただし、食品用乳化剤を除く)とを、酸化を抑制する対象物への添加成分として含む抗酸化剤

請求項2

前記アルカリ物質が、1価のカルボン酸塩およびアルカリ金属塩からなる群のうち少なくとも一種である請求項1に記載の抗酸化剤。

請求項3

請求項1または2に記載の抗酸化剤と、油脂とを含有する油脂組成物

請求項4

前記アルカリ物質が、1価のカルボン酸塩およびアルカリ金属塩からなる群のうち少なくとも一種である請求項3に記載の油脂組成物。

請求項5

前記アルカリ物質の配合量が、対油20〜2000ppmである請求項3または4に記載の油脂組成物。

請求項6

請求項3から5のいずれか一項に記載の油脂組成物を含有する油性食品

技術分野

0001

本発明は、抗酸化剤、抗酸化剤を含有する油脂組成物およびこれを含有する油性食品に関する。

背景技術

0002

バターマーガリン等の油脂類、油脂を配合したケーキ類ビスケットクッキークラッカー等の焼き菓子類、さらにポテトチップスフライ麺等のフライ食品等は、油脂を含有することによる良好な味を有する反面、経時的な風味劣化が大きな問題となっている。油脂の酸化が進行すると、これらの油性食品の味や匂い、食感なども低下する。

0003

このような観点から、油脂組成物およびこれを含有する油性食品には、多くの酸化防止処理が施されている。例えば、容器包装中に酸化防止剤封入する方法、種々の酸化防止剤、例えばトコフェロールアスコルビン酸ポリフェノール化合物等を油脂に添加する方法等が広く採用されている(非特許文献1)。また、油脂に炭酸カルシウム炭酸カリウム等のアルカリ物質を添加する方法も採用されている(特許文献1、2)。

0004

しかしながら、特許文献1に記載の方法は、炭酸カルシウムのようなアルカリ土類金属炭酸塩を単独で油脂に添加する方法であり、必ずしも満足し得る抗酸化能が得られなかった。特許文献2に記載の方法も、特許文献1と同様に、炭酸カリウムのようなアルカリ金属の炭酸塩を単独で油脂に添加する方法であって、必ずしも満足し得る抗酸化能が得られなかった。

0005

そこで、茶抽出物に含まれるカテキンに代表されるポリフェノール化合物とアルカリ物質を併用する抗酸化剤や、ポリフェノール化合物を含有する混合物Aとアルカリ剤を含む混合物Bとからなる二剤型の抗酸化剤等が提案されている(特許文献3、4)。特許文献3に記載の抗酸化剤では、ポリフェノール化合物として、茶抽出物およびその成分である、茶カテキンエピガロカテキンガレート等の特定のポリフェノール化合物と、食品用乳化剤を併用することが提案されている。特許文献4に記載の抗酸化製品では、ポリフェノール化合物を含有する混合物Aとして、茶抽出物に加え、クロロゲン酸を含有するコーヒー豆抽出物を用いることが提案されている。

0006

特開昭59−152998号公報
特開2015−57979号公報
特開2000−219880号公報
特開2008−156278号公報
特開平6−65074号公報
特開平6−248267号公報
特開2008−92869号公報

先行技術

0007

食用油脂入門改定2版> 日本食糧新聞社 pp.201

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献3、4に記載の抗酸化剤では、単に、ポリフェノール類として茶抽出物およびその成分である特定のポリフェノール類、あるいはコーヒー豆抽出物とアルカリ物質との混合物の抗酸化能について検討しているに過ぎなかった。しかも、特許文献3、4のいずれにおいても、得られた抗酸化剤を食用の油脂や油脂組成物およびこれを用いた油性食品へ利用することについては、何ら検討されていなかった。このため、従来の食用の抗酸化剤では、油脂の酸化を抑制する効果が必ずしも十分ではないという問題があり、油脂およびこれを用いた食品のさらなる酸化安定性の向上が望まれていた。

0009

本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも油脂組成物およびこれを用いた油性食品の酸化安定性を向上させることが可能であり、長期にわたって酸化を抑制することができる安全な抗酸化剤を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0010

上記の課題を解決するために、本発明者は、ポリフェノール化合物の一種であり、生体内部における活性酸素消去することや、抗酸化能を有すること等が知られているジヒドロケルセチン(例えば、特許文献5〜7参照)に着目した。

0011

特許文献5〜7においては、ジヒドロケルセチンおよびその誘導体ケルセチンやケルセチンの前駆体であるルチンおよびその誘導体を用いた食品に適用可能な抗酸化剤が提案されているが、いずれの場合においても、油脂の酸化抑制、抗酸化能の向上については何ら検討されていなかった。

0012

そこで、本発明者は、ジヒドロケルセチンを用いて、抗酸化剤、抗酸化剤を含有する油脂組成物およびこれを含有する油性食品において抗酸化能(酸化安定性)の向上効果について鋭意検討を進めてきたところ、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質(ただし、食品用乳化剤を除く)とを併用することにより、抗酸化剤、抗酸化剤を含有する油脂組成物およびこれを含有する油性食品の抗酸化能(酸化安定性)が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

本発明の抗酸化剤は、以下の点を特徴とする。
(1)ジヒドロケルセチンと、アルカリ物質(ただし、食品用乳化剤を除く)とを、酸化を抑制する対象物への添加成分として含むことを特徴とする。
(2)アルカリ物質が、1価のカルボン酸塩およびアルカリ金属塩からなる群のうち少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の油脂組成物は、以下の点を特徴とする。
(3)上記発明(1)または(2)に記載の抗酸化剤と、油脂とを含有することを特徴とする。
(4)アルカリ物質が、1価のカルボン酸塩およびアルカリ金属塩からなる群のうち少なくとも一種であることが好ましい。
(5)上記発明(3)または(4)において、アルカリ物質の配合量が、対油20〜2000ppmであることが好ましい。
本発明の油性食品は、以下の点を特徴とする。
(6)上記発明(3)から(5)のいずれかに記載の油脂組成物を含有することを特徴する。

発明の効果

0014

本発明によれば、従来よりも油脂組成物およびこれを用いた油性食品の酸化安定性を向上させることが可能であり、長期にわたって酸化を抑制することができる安全な抗酸化剤が実現される。

図面の簡単な説明

0015

ジヒドロケルセチン200ppmと添加量の異なるアルカリ物質の併用によるCDM延長相乗効果を示したグラフである。

0016

以下に、本発明について詳細に説明する。

0017

本発明の抗酸化剤は、ジヒドロケルセチンと、アルカリ物質(ただし、食品用乳化剤を除く)とを、酸化を抑制する対象物への添加成分として含むことを特徴としている。

0018

ジヒドロケルセチン(Dihydroquercetin, DHQ)は、タキシフォリンとも呼ばれており、ポリフェノール化合物のうち、C環に1個の2重結合を有し、C環4位にカルボニル基を有するとともに、C環3位に水酸基が結合した構造を有するため、フラボノール分類される。ジヒドロケルセチンは、生体内部における活性酸素を消去することや、抗酸化能を有すること等が知られている。

0019

ジヒドロケルセチンとしては、例えば、化学合成によって得られた純度95%以上の合成品、さらには純度98%以上である高純度の合成品や、ジヒドロケルセチンの合成品を含有している混合物、ジヒドロケルセチンを含有する植物の葉、花、種子、樹皮、根等の各部位を溶媒によって抽出することで得られる抽出物、該抽出物を精製することで得られる高純度(95%以上)の天然物およびその混合物等を用いることが例示される。

0020

植物の各部位からのジヒドロケルセチンの抽出方法としては、例えば、有機溶媒、水またはこれらの混合溶媒による抽出方法や、二酸化炭素や水を用いた亜臨界抽出臨界抽出等の方法が例示される。

0021

有機溶媒抽出に用いられる溶媒としては、安全性等の観点から、例えば、水、エタノール酢酸エチルアセトンおよびこれらの混合溶媒等が例示される。得られた抽出液については、必要に応じて、適宜、さらに濃縮し、蒸留再結晶等の方法により精製することが好ましく考慮される。

0022

ジヒドロケルセチンを含有する植物抽出物を用いる場合、当該抽出物中のジヒドロケルセチンの純度は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。なお、当該抽出物中のジヒドロケルセチンの純度の上限は100質量%である。

0023

本発明の抗酸化剤を含有する油脂組成物およびこれを用いた油性食品においては、酸化を抑制する観点から、ジヒドロケルセチンとして、高純度品を用いることが好ましく、特に、天然物の高純度品を用いることが好ましく考慮される。また、上記の観点から、ジヒドロケルセチンの配合量は、対油1〜5000ppmの範囲内であることが好ましく、抗酸化能の観点から、2〜5000ppmであることがより好ましく、また油性食品としたときの風味、色相コストの観点から2〜2000ppmであることがさらに好ましい。

0024

本発明に用いるアルカリ物質は、食品用乳化剤を除き、食品に添加することが許容されており、かつアルカリ性を示すものであれば、特に制限されず、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、有機酸塩アルコキシド化合物脂肪酸塩等が例示される。具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウムナトリウムメトキシドナトリウムエトキシド水酸化カルシウム水酸化ナトリウム水酸化カリウムクエン酸ナトリウムクエン酸カリウムリン酸ナトリウムリン酸カリウム乳酸ナトリウム乳酸カリウムオレイン酸ナトリウム酢酸ナトリウム等が例示される。これらのアルカリ物質は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。油性食品に添加することを考慮すると、強アルカリでは、油脂の加水分解を引き起こす可能性があることから、弱アルカリを用いることが好ましく考慮される。

0025

このようなアルカリ物質は、油脂に添加することを考慮すると、油脂への分散性が良好である1価のカルボン酸塩およびアルカリ金属塩からなる群のうち少なくとも一種であることが好ましく考慮される。また、アルカリ物質を油脂中に均一に分散させることが好ましいため、溶媒に溶解し、アルカリ溶液として使用することが好ましい。

0026

アルカリ物質の中でも、クエン酸塩リン酸塩は、油脂への分散性が低いため、油脂に直接添加すると効果が得られにくいと考えられる。このような油脂への分散性の低いアルカリ物質を用いる場合には、1)アルカリ物質を一旦水に溶解させ、ジヒドロケルセチンと接触させた後、乾燥化する方法や、2)油性食品の原料の中で、水分を含む原料にアルカリ物質を添加し、ジヒドロケルセチンを含有する油脂組成物と混合して、加熱調理する方法等を適用することができる。このような方法を適用することにより、アルカリ物質を油性食品中に均一に分散させ、所定の抗酸化能(酸化安定性)を発揮することができる。

0027

アルカリ物質の溶解に用いることができる溶媒としては、水、メタノールやエタノール等のアルコール類が例示されるが、特に、水を用いることが好ましく考慮される。これらの溶媒は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。

0028

アルカリ溶液の好ましい濃度としては、例えば、0.01〜5mol/Lの範囲が例示される。

0029

このようなアルカリ物質の油脂への配合量は、十分な酸化安定性の向上効果を得る点および抗酸化剤を含有する油性食品の風味の点から、対油10〜5000ppmであることが好ましく、油性食品に用いた場合に、遊離脂肪酸による風味の劣化が発生しないという観点から20〜2000ppmであることがより好ましい。

0030

ジヒドロケルセチンとアルカリ物質とを併用することにより、ジヒドロケルセチン単独での添加またはアルカリ物質単独での添加した際の抗酸化能よりも高い抗酸化能が認められ、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質とによる相乗効果が発揮される。このため、本発明の抗酸化剤は、従来よりも油脂組成物およびこれを用いた油性食品の酸化安定性を向上させることが可能であり、長期にわたって酸化を抑制することができ、しかも食品として摂取した際に安全である。

0031

本発明の抗酸化剤は、食品用抗酸化剤であり、好ましくは油脂組成物用抗酸化剤、油性食品用抗酸化剤である。本発明の抗酸化剤は、油脂組成物またはこの油脂組成物を含有する油性食品に配合すればよいが、食用油脂に含有させるのが好ましい。本発明の抗酸化剤を含有する油脂組成物は、酸化安定性が向上した油脂となる。また、本発明の抗酸化剤を含有する油脂組成物を含む油性食品は、酸化安定性が向上した食品となる。

0032

本発明の抗酸化剤を含有する油脂としては、食用油脂であればよく、動物油脂植物油脂を問わず、例えば大豆油菜種油綿実油サフラワー油コーン油米油オリーブ油ゴマ油ヤシ油パーム油パーム核油シソ油等の植物油マグロ油イワシ油等の魚油ラード牛脂乳脂等の動物油や、これら分別油、エステル交換油脂硬化油等が挙げられる。

0033

また、食品、特に油脂を含有する油性食品としては、クッキーやビスケット(クラッカーを含む)ケーキ類等の焼き菓子類、パン、蒸パン、蒸ケーキ中華まん、蒸まんじゅう等の蒸し菓子米菓ドーナツチュロス等の揚げ菓子アイスクリーム等の冷菓加熱調理食品(ポテトチップス等のスナック菓子フライドポテトコロッケ、から揚げ天ぷらインスタントラーメン等のフライ麺等のフライ食品、お好み焼き、焼き肉などの焼き物野菜炒め、焼きそばなどの炒め物、ソーセージハンバーグ等の肉類シチュー等)が挙げられる。このうち、油脂を加熱する工程を含む食品、例えば菓子類(クッキー、ビスケット、クラッカー、ケーキ等)、フライ食品、炒め物、焼き物、油脂をスプレーするスナック菓子、米菓等に用いるのが好ましく、さらに焼き菓子類(クッキー、ビスケット、クラッカー、ケーキ等)、フライ食品(フライ麺、ポテトチップス等)に用いるのがより好ましい。

0034

本発明において酸化安定性の向上効果を得るには、油性食品の製造工程の任意の工程で、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質とを配合する工程を含めばよい。

0035

例えば、油脂とジヒドロケルセチンとアルカリ物質とを個別に配合すること、油脂にジヒドロケルセチン、アルカリ物質のいずれか一方を添加し、いずれか一方を個別に配合すること、油脂にジヒドロケルセチンとアルカリ物質とを配合すること等が例示される。また、焼き菓子類、フライ食品等の油脂の加熱工程を含む食品の場合には、焼き菓子類の練り込み用油脂や、フライ食品の揚げ油等の加熱調理用油脂の中にジヒドロケルセチンとアルカリ物質を添加しておくのが好ましい。

0036

これらの油性食品においても、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質の配合量、および配合比は、前記抗酸化剤の場合と同様である。

0037

本発明の油脂組成物としては、前述の油脂にジヒドロケルセチンとアルカリ物質とを配合することができる。油脂組成物の製造方法としては、例えば、ジヒドロケルセチンを分散させた油脂に、アルカリ物質を分散させる方法、アルカリ物質を分散させた油脂に、ジヒドロケルセチンを分散させる方法、ジヒドロケルセチンを分散させた油脂と、アルカリ物質を分散させた油脂とを混合する方法、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質とを混合した混合物を油脂に分散させる方法等が例示される。

0038

また、ジヒドロケルセチンの分散性を向上させるために、エタノール、アルコール製剤などのアルコールや、水に分散させて配合することもできる。水を添加する場合は、長期保存性を考慮すると、脱水処理し使用することが好ましい。中でもジヒドロケルセチンの分散性がより向上し、均一な油脂組成物が得られ、また脱水処理等を行わず使用できるという観点から、アルカリ物質を分散させた油脂に、エタノールに分散させたジヒドロケルセチンを配合する方法がより好ましく考慮される。

0039

本発明では、上記油脂組成物を急冷捏和し、可塑性油脂として使用することもできる。

0040

また、上記油脂組成物に水相を添加した乳化物を急冷捏和し、可塑性油脂とすることもできる。

0041

水相を含有する乳化物の形態としては油中水型水中油型油中水中油型、水中油中水型が挙げられ、水相の含有量は、好ましくは0.6〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%である。水相を含有する形態としては油中水型が好ましく、マーガリンが例示される。

0042

また油脂を可塑性油脂とした形態としてはショートニングも例示される。

0043

可塑性油脂は、公知の方法により製造することができる。例えば本発明の油脂組成物を含む油相を加熱し、コンビネーター、パーフェクターボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。また水相を含有する形態のものは、本発明の油脂組成物を含む油相と水相とを適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。冷却混合機により急冷捏和後には、必要に応じて熟成テンパリング)してもよい。

0044

本発明の油脂組成物は、菓子に添加する場合は、菓子を製造する際の作業性と菓子へ均一に分散し、焼成品での酸化安定性がばらつくことがないという観点で可塑性油脂として添加することがより好ましい。

0045

本発明の油脂組成物は、本発明の効果を損なわないものであれば、公知の酸化防止剤を併用することができる。併用する酸化防止剤としては、天然及び合成された酸化防止剤が使用でき、例えば、各種トコフェロール類(α、β、γ、δ 等)、L−アスコルビン酸ステアレート、L−アスコルビン酸パルミテートエリソルビン酸ナトリウムカテキン類等が挙げられる。

0046

本発明の油脂組成物は、必要に応じて、香料色素シリコーン等を添加することができる。

0047

以下、本発明の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。

0048

実験1.アルカリ物質の添加量を変化させた場合の酸化安定性の評価>
(実施例1)
パーム油にアルカリ物質として酢酸ナトリウム濃度が0、10、20、100、200、1000、2000ppmとなるように酢酸ナトリウムを溶解した後、ジヒドロケルセチン(株式会社バイオ製、ジヒドロケルセチン含有量91.3%)の1%(w/v)エタノール溶液を調整し、パーム油100gに対し2mL添加して撹拌し、ジヒドロケルセチン量が対油200ppmである試料を得た。パーム油単独のCDM(hr)、ジヒドロケルセチンのみを添加したパーム油のCDM(hr)、および得られた試料のCDM(hr)を測定した。

0049

CDMの測定は、基準油脂分析法およびアメリカ化学協会法に公定法として収載された油脂の酸化安定性の評価方法であり、油脂の酸化により発生した揮発性分解物を純水中に捕集して、その導電率を継続的に測定し急激に変化率が上昇する屈曲点までの時間を求める方法である。[CDM試験(Conductometric Determination Method:ランシマット法]基準油脂分析試験法 2.5.1.2−1996(日本油化学会編)によりCDM値を求めた。具体的には、120℃に加熱した油脂に空気を吹き込み、酸化により生成した揮発性分解物を水中に捕集し、水の導電率が急激に変化する屈曲点までの時間(hr)を調べた。CDM値が高いほど油脂の酸化安定性が高いことを示す。

0050

また、以下の計算式から、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質の相乗効果について算出した。
{(ジヒドロケルセチンとアルカリ物質併用時のCDM)−(パーム油単独のCDM)}—{(ジヒドロケルセチンのCDM)−(パーム油単独のCDM)}—{(アルカリ物質添加時のCDM)−(パーム油単独のCDM)}…(1)

0051

結果を表1に示す。

0052

0053

(実施例2)
アルカリ物質を水酸化ナトリウム(NaOH)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ジヒドロケルセチンのみを添加したパーム油のCDM(hr)、得られた試料のCDM(hr)を測定した。また、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質との相乗効果について算出した。水酸化ナトリウム濃度の上限値は1000ppmとした。結果を表2に示す。

0054

0055

(実施例3)
アルカリ物質を乳酸ナトリウムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ジヒドロケルセチンのみを添加したパーム油のCDM(hr)、得られた試料のCDM(hr)を測定した。また、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質との相乗効果について算出した。結果を表3に示す。

0056

0057

(比較例1)
ジヒドロケルセチンをエピガロカテキンガレート(東京化成工業株式会社製、エピガロカテキンガレート含有量98.8%)に変更し、酢酸ナトリウムの添加量を500ppmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、エピガロカテキンガレートのみを添加したパーム油のCDM(hr)、得られた試料のCDM(hr)を測定した。また、エピガロカテキンガレートとアルカリ物質との相乗効果について算出した。結果を表4に示す。

0058

0059

(比較例2)
ジヒドロケルセチンをクロロゲン酸0.5水和物(和光純薬工業株式会社製、クロロゲン酸0.5水和物含有量99.8%)に変更し、酢酸ナトリウムの添加量を500ppmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、クロロゲン酸0.5水和物のみを添加したパーム油のCDM(hr)、得られた試料のCDM(hr)を測定した。また、クロロゲン酸とアルカリ物質との相乗効果について算出した。結果を表5に示す。

0060

0061

表1に示すように、アルカリ物質として、酢酸ナトリウムを用いた場合、見かけのCDMの値は、濃度依存的な上昇を続け、さらに、酢酸ナトリウムとジヒドロケルセチンの相乗効果についても、酢酸ナトリウムの濃度依存的にCDMの値が増大し、酸化安定性が向上していることが確認された。

0062

表2に示すように、アルカリ物質として、水酸化ナトリウムを用いた場合、酢酸ナトリウムを用いた場合と同様に、見かけのCDMの値と、水酸化ナトリウムとジヒドロケルセチンを併用したときの相乗効果を示すCDMの値のいずれもが、濃度依存的に増大し、酸化安定性が向上していることが確認された。

0063

表3に示すように、アルカリ物質として、乳酸ナトリウムを用いた場合、見かけのCDMの値は、濃度依存的な上昇を続けることが確認された。一方、乳酸ナトリウムとジヒドロケルセチンを併用したときの相乗効果を示すCDMの値については、大幅な相乗効果は見られなかったが、酸化安定性が向上していることが確認された。

0064

上記の3種類のアルカリ物質とジヒドロケルセチン併用時の相乗効果を示すCDMの値のグラフを図1に示す。

0065

図1に示すように、アルカリ物質として、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは乳酸ナトリウムを添加した場合、その添加量に応じてCDM延長の相乗効果が増大することが確認された

0066

一方、表4に示すように、ジヒドロケルセチンの代わりにエピガロカテキンガレートを用い、アルカリ物質として酢酸ナトリウムと併用した場合、相乗効果は認められず、CDMの値が減少することが確認された。

0067

また、表5に示すように、ジヒドロケルセチンの代わりにクロロゲン酸0.5水和物を用い、アルカリ物質として酢酸ナトリウムと併用した場合、相乗効果は認められず、CDMの値がわずかに減少することが確認された。

0068

<実験2.ジヒドロケルセチン添加量を変化させた場合の酸化安定性の評価>
パーム油に対するジヒドロケルセチンの添加量を変化させた場合の酸化安定性の変化について実験1.と同様にして評価した。ジヒドロケルセチンを2、20、50、200、500、2000ppm添加した。尚、ジヒドロケルセチンの調整については、実施例1と同様に1%(w/v)エタノール溶液を用いた。アルカリ物質としては、酢酸ナトリウムを100ppmとなるように添加した。結果を表6に示す。

0069

0070

表6に示すように、ジヒドロケルセチンの添加量が増大するにつれて、酢酸ナトリウムとジヒドロケルセチンを併用したときの相乗効果を示すCDMの値が、濃度依存的に増大し、酸化安定性が向上していることが確認された。

0071

<実験3.ポリフェノール化合物とアルカリ物質を併用したフライ試験
表7に示された組成の4種のフライ油を作製し、フライ試験を行った。

0072

0073

すなわち、1)パーム油のみのもの、2)パーム油にアルカリ物質として酢酸ナトリウム500ppmを添加したもの、3)パーム油にジヒドロケルセチンを200ppm添加したもの、4)パーム油にジヒドロケルセチンを200ppm、アルカリ物質として酢酸ナトリウム500ppmとなるように添加したものを調製し、フライ油を得た。尚、ジヒドロケルセチンの調製については、実施例1と同様に1%(w/v)エタノール溶液を用いた。

0074

得られたフライ油を用いポテトチップスを製造し、そのCDM(hr)を測定した。

0075

<ポテトチップスの製造>
0.5mm厚にスライスした生じゃがいもを180℃に加熱したフライ油で2分間フライし、ポテトチップスを得た。

0076

<CDM測定>
ポテトチップスを細かく砕き、3gを使用しポテトチップスのCDMを測定した。結果を表7に示す。

実施例

0077

表7に示すように、油脂にジヒドロケルセチンとアルカリ物質として酢酸ナトリウムを添加、混合したフライ油を用いて製造したポテトチップスでは、油脂のみのフライ油で製造したポテトチップスに比べ、酢酸ナトリウムのみを添加したフライ油で製造したポテトチップス、ジヒドロケルセチンのみを添加したフライ油で製造したポテトチップス、ジヒドロケルセチンとアルカリ物質を併用したフライ油で製造したポテトチップスの順に抗酸化能が向上し、CDMが延長することが確認された。

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