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技術 ポリイミドフィルム

出願人 東レ・デュポン株式会社
発明者 小路弘晃我妻亮作大場大史
出願日 2016年9月30日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-195260
公開日 2018年4月12日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2018-058923
状態 特許登録済
技術分野 高分子成形体の製造 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般 プリント板の材料
主要キーワード 加熱路 方性指数 超音波速度 最小速度 加熱イミド化法 ステンレス材料 電気処理 ポリイミドゲル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月12日)のものです。
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図面 (1)

課題

寸法変化のバラツキが小さい等の特性を有するポリイミドフィルムを提供する。

解決手段

ポリイミドフィルムにおいて、フィルムの搬送方向(MD)の線膨張係数αMD及び幅方向(TD)の線膨張係数αTDの両方を7ppm/℃以下とし、かつ超音波パルス伝播速度Vを測定したときの下記式で表される異方性指数AI値を全幅にわたって15以下とする。 AI=(VMAX^2−VMIN^2)/(VMAX^2+VMIN^2)(式中、VMAX^2はパルス伝播速度の最大値の2乗、VMIN^2はパルス伝播速度の最小値の2乗を示す。)

概要

背景

フレキシブルプリント配線板FPC:Flexible printed circuits)は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルム基板とし、この基板の表面に、金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、耐熱性電気絶縁性に優れた、ポリイミドフィルムが好ましく用いられている。

近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。

このようなポリイミドフィルムの寸法変化を小さくしようとする試みがなされつつある。例えば、特許文献1(特開2015−10107号公報)には、製膜幅が1m以上あって、フィルム機械搬送方向(MD)を基準として、フィルムの配向角度(θ)が45°と135°における配向係数AI(45、135)値が全幅にわたって12以下であり、全幅において対角線(45°、135°)方向のフレキシブル金属積層板エッチング処理前後の寸法変化率がいずれも−0.05〜0.05%であり、少なくとも片面に厚みが0.5〜20μmの熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミドフィルムによれば、寸歩変化が低減される旨が記載されている。

このように、さらなるポリイミドフィルムの改善が求められている。

概要

寸法変化のバラツキが小さい等の特性を有するポリイミドフィルムを提供する。ポリイミドフィルムにおいて、フィルムの搬送方向(MD)の線膨張係数αMD及び幅方向(TD)の線膨張係数αTDの両方を7ppm/℃以下とし、かつ超音波パルス伝播速度Vを測定したときの下記式で表される異方性指数AI値を全幅にわたって15以下とする。 AI=(VMAX^2−VMIN^2)/(VMAX^2+VMIN^2)(式中、VMAX^2はパルス伝播速度の最大値の2乗、VMIN^2はパルス伝播速度の最小値の2乗を示す。)なし

目的

本発明の目的は、製膜幅方向において寸法変化のバラツキが少ないポリイミドフィルム及びこのポリイミドフィルムを備えたフレキシブル金属積層板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

フィルムの搬送方向(MD)の線膨張係数αMD及び幅方向(TD)の線膨張係数αTDの両方が7ppm/℃以下であり、超音波パルス伝播速度Vを測定したときの下記式で表される異方性指数AI値が全幅にわたって15以下であるポリイミドフィルム。AI=(VMAX^2−VMIN^2)/(VMAX^2+VMIN^2)(式中、VMAX^2はパルス伝播速度の最大値の2乗、VMIN^2はパルス伝播速度の最小値の2乗を示す。)

請求項2

製膜幅が1000mm以上であり、αMDのフィルム幅方向線膨張係数の差が2ppm/℃以下である請求項1に記載のポリイミドフィルム。

請求項3

製膜幅が1000mm以上であり、αTDのフィルム幅方向の線膨張係数の差が2ppm/℃以下である請求項1又は2に記載のポリイミドフィルム。

請求項4

ポリイミドフィルムが、パラフェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物および3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1種以上の酸無水物成分とを重合成分とするポリイミドで構成されている請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。

請求項5

ポリイミド前駆体溶液支持体上に流延塗布して部分的に乾燥及び硬化させた自己支持性を有するゲルフィルムを作製し、該ゲルフィルムの幅方向両端把持しつつ加熱炉を通過させ乾燥及び熱処理を行う、請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。

請求項6

ゲルフィルムのイミド化率が55〜75%である請求項5記載の製造方法。

請求項7

請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルムと金属箔とを備えたフレキシブル金属積層板

技術分野

0001

本発明は、ポリイミドフィルム及びその製造方法に関する。さらには、このポリイミドフィルムと金属箔とを備えたフレキシブル金属積層板に関する。

背景技術

0002

フレキシブルプリント配線板FPC:Flexible printed circuits)は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルム基板とし、この基板の表面に、金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、耐熱性電気絶縁性に優れた、ポリイミドフィルムが好ましく用いられている。

0003

近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。

0004

このようなポリイミドフィルムの寸法変化を小さくしようとする試みがなされつつある。例えば、特許文献1(特開2015−10107号公報)には、製膜幅が1m以上あって、フィルム機械搬送方向(MD)を基準として、フィルムの配向角度(θ)が45°と135°における配向係数AI(45、135)値が全幅にわたって12以下であり、全幅において対角線(45°、135°)方向のフレキシブル金属積層板のエッチング処理前後の寸法変化率がいずれも−0.05〜0.05%であり、少なくとも片面に厚みが0.5〜20μmの熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミドフィルムによれば、寸歩変化が低減される旨が記載されている。

0005

このように、さらなるポリイミドフィルムの改善が求められている。

先行技術

0006

特開2015−10107号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、製膜幅方向において寸法変化のバラツキが少ないポリイミドフィルム及びこのポリイミドフィルムを備えたフレキシブル金属積層板を提供することにある。

0008

本発明の他の目的は、熱処理後の片伸びが小さいポリイミドフィルム及びこのポリイミドフィルムを備えたフレキシブル金属積層板を提供することにある。

0009

本発明のさらに他の目的は、上記のような特性を有するポリイミドフィルムを、優れた製膜性で製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らの検討によれば、特許文献1のフィルムなどでは、寸法変化をある程度改善できるものの、フィルム全体では寸法変化のバラツキがあったり、熱処理による片伸び現象を生じることがわかった。また、寸法変化バラツキ低減と片伸びの低減を両立させるべく、支持体上でのイミド化を調整することを検討したが、把持された部分の裂け等、フィルム破れが発生し、両立が困難であった。

0011

このような中、本発明者らは、さらなる鋭意研究を重ねた結果、ポリイミドフィルムにおいて、特許文献1のように特定の角度だけでなく、全角度の配向性を特定のAI値で規定するとともに、この特定のAI値と特定の線膨張係数とを組み合わせることにより、寸法変化を単に小さくするだけでなく、そのバラツキを抑制できること、また、熱処理後の片伸びを小さくできること、さらには、優れた成膜性担保しつつ、このようなAI値や線膨張係数を調整するためには、ポリイミドフィルムの前駆体フィルムであるゲルフィルムイミド化率等の調整が必要であることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。

0012

すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]フィルムの搬送方向(MD)の線膨張係数αMD及び幅方向(TD)の線膨張係数αTDの両方が7ppm/℃以下であり、超音波パルス伝播速度Vを測定したときの下記式で表される異方性指数AI値が全幅にわたって15以下であるポリイミドフィルム。
AI=(VMAX^2−VMIN^2)/(VMAX^2+VMIN^2)
(式中、VMAX^2はパルス伝播速度の最大値の2乗、VMIN^2はパルス伝播速度の最小値の2乗を示す。)
[2]製膜幅が1000mm以上であり、αMDのフィルム幅方向の線膨張係数の差(最大値と最小値との差)が2ppm/℃以下である[1]に記載のポリイミドフィルム。
[3]製膜幅が1000mm以上であり、αTDのフィルム幅方向の線膨張係数の差(最大値と最小値との差)が2ppm/℃以下である[1]又は[2]に記載のポリイミドフィルム。
[4]ポリイミドフィルムが、パラフェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物および3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1種以上の酸無水物成分とを重合成分とするポリイミドで構成されている[1]〜[3]のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
[5]ポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延塗布してゲルフィルム(特に部分的に乾燥及び硬化させた自己支持性を有するゲルフィルム)を作製し、該ゲルフィルムを熱処理する[特に、該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱炉を通過させ熱処理(乾燥及び熱処理)を行う]、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
[6]ゲルフィルム(支持体から剥離したゲルフィルム)のイミド化率が55〜75%である[5]記載の製造方法。
[7][1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミドフィルムと金属箔とを備えたフレキシブル金属積層板。

発明の効果

0013

本発明のポリイミドフィルムは、製膜(フィルム)幅方向において寸法変化のバラツキが少ない。また、本発明のポリイミドフィルムは、熱処理後の片伸びが小さい。
そして、本発明のポリイミドフィルムを用いて得られるフレキシブル金属積層板においては、金属箔を除去する前後の寸法変化がポリイミドフィルム製膜幅方向において小さい。
そのため、微細な配線を形成したフレキシブル金属積層板(FPC)等に好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法によれば、ゲルフィルムのイミド化率の調整等により、上記のような優れた特性を有するポリイミドフィルムを、優れた成膜性で製造できる。

図面の簡単な説明

0014

実施例において測定した片伸び値を示す図である。

0015

[ポリイミドフィルム]
本発明のポリイミドフィルムは、特定の線膨張係数及び異方性指数(AI値)を有する。このような特定の線膨張係数と特定のAI値とを組み合わせて有することにより、効率よく、寸法変化のバラツキが少なく、熱処理後の片伸びが少ないフィルムとすることができる。

0016

なお、線膨張係数やAI値は、例えば、フィルムを構成するポリイミドの組成、フィルムの製造条件(ゲルフィルムのイミド化率、延伸条件、支持体の温度、イミド化の速度、乾燥条件など)などを選択することにより調整できる。

0017

まず、本発明のポリイミドフィルムにおいて、フィルムの搬送方向(MD)の線膨張係数αMD及び幅方向(TD)の線膨張係数αTDの両方が、7ppm/℃以下、好ましくは6ppm/℃以下、さらに好ましくは5ppm/℃以下、特に4.5ppm/℃以下である。

0018

本発明のポリイミドフィルムにおいて、αMDのフィルム幅方向の線膨張係数の差は、例えば、3ppm/℃以下、好ましくは2ppm以下、さらに好ましくは1.5ppm以下であってもよい。

0019

本発明のポリイミドフィルムにおいて、αTDのフィルム幅方向の線膨張係数の差は、例えば、3ppm/℃以下、好ましくは2ppm/℃以下、さらに好ましくは1.5ppm以下であってもよい。

0020

なお、線膨張係数は、例えば、TMA−50(島津製作所製)を使用し、測定温度範囲50〜200℃、昇温速度10℃/分の条件で測定できる。

0021

線膨張係数は、例えば、フィルム幅方向に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれら5点で線膨張係数を測定し、得られた測定値平均値として得ることができる。

0022

また、フィルム幅方向の線膨張係数の差(バラツキ)は、例えば、フィルム幅方向に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれら5点で線膨張係数を測定し、得られた測定値のうち、最大値と最小値との差として得ることができる。

0023

また、本発明のポリイミドフィルムは、超音波パルスの伝播速度Vを測定したときの下記式で表される異方性指数AI値が、全幅にわたって15以下[例えば、0〜15(例えば、0.5〜14.8)、好ましくは14.5以下(例えば、1〜14.2)、さらに好ましくは14以下(例えば、2〜13.8)、特に13.5以下(例えば、3〜13.2)]である。

0024

AI=(VMAX^2−VMIN^2)/(VMAX^2+VMIN^2)
(式中、VMAX^2はパルス伝播速度の最大値の2乗、VMIN^2はパルス伝播速度の最小値の2乗を示す。)

0025

なお、AI値は、例えば、以下のようにして測定できる。
フィルム幅方向に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれら5点でAIを測定する。AIは野商事製SST−2500を使用して測定できる。SST−2500を使用すると、フィルムの面方向0〜180°(0°はMDに平行)について11.25°刻みで16方向の超音波速度が自動的に測定される。なお、角度(配向角度)は、配向軸の方向を意味しており、フィルムの機械搬送方向(MD)を基準線となる0°とし、時計方向へ回転させた側の角度で表す。得られた各方向の速度の内、最も大きいパルス伝播速度をVMAX、得られた各方向の速度のうち、最も小さいパルス伝播速度をVMINとし、これらの値からAIを求める。

0026

本発明のポリイミドフィルムの幅(製膜幅)は、特に限定されないが、特に、1000mm以上(例えば、1200〜2500mm)、好ましくは1500mm以上(例えば、1700〜2500mm)、さらに好ましくは2000mm以上(例えば、2000〜2500mm)であってもよい。

0027

本発明では、このような比較的広幅のフィルムにおいても、上記のような特定の線膨張係数及び異方性指数(AI値)を充足でき、寸法変化(熱収縮)のバラツキや熱処理後の片伸びを小さくできる。

0028

本発明のポリイミドフィルムの厚み(平均厚み)は、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、1μm以上(例えば、1〜300μm)、好ましくは2〜200μm、さらに好ましくは3〜150μm(例えば、5〜100μm)程度であってもよい。

0029

本発明のポリイミドフィルムは、前記のように、製膜幅方向における寸法変化(熱収縮)のバラツキや熱処理後の片伸びが小さい。また、本発明のポリイミドフィルムを用いて得られるフレキシブル金属積層板の製膜幅方向における寸法変化率バラツキが小さい。

0030

例えば、本発明のポリイミドフィルムは、フレキシブル金属積層板の金属箔を除去する前後のフィルム製膜幅方向の寸法変化率のバラツキにおいて、0.05%以下、好ましくは0.04%以下であってもよい。

0031

また、本発明のポリイミドフィルムにおいて、幅方向の200℃における熱収縮率差は、0.05%以下、好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.02%以下であってもよい。

0032

なお、フィルム幅方向における、寸法変化率のバラツキや熱収縮率差は、例えば、フィルム幅方向に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれら5点で寸法変化率や熱収縮率を測定し、得られた測定値のうち、最大値と最小値との差として得ることができる。

0033

さらに、本発明のポリイミドフィルムは、幅508mm及び長さ6.5mにおいて、200℃で30分間処理したときの片伸び(後述の図1におけるaの長さ)が、5mm以下、好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3.5mm以下であってもよい。

0034

本発明のフィルムは、ポリイミドで構成(又は形成)されている。以下に、フィルムの製法とともに、ポリイミドについても説明する。

0035

[ポリイミド及びポリイミドフィルムの製造方法]
ポリイミド(又はポリアミック酸)は、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを重合成分とする。

0036

具体的には、ポリイミド(又はポリイミドフィルム)を製造するに際して、まず、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体溶液を得る。

0037

芳香族ジアミン成分は、通常、パラフェニレンジアミン(PPD)を少なくとも含む。芳香族ジアミン成分は、パラフェニレンジアミン以外ものを含んでいてもよく、パラフェニレンジアミン以外の前記芳香族ジアミン成分の具体例としては、メタフェニレンジアミンベンジジンパラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニルベンゼン及びこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミン(PPD)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)との組み合わせが好ましく、特に、パラフェニレンジアミン(PPD)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)との組み合わせが好ましく、特に、パラフェニレンジアミン(PPD)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)との組み合わせが好ましい。

0038

芳香族ジアミン成分がパラフェニレンジアミンを含む場合、芳香族ジアミン成分に対するパラフェニレンジアミンの割合は、例えば、20モル%以上(例えば、25〜100モル%)、好ましくは30モル%以上(例えば、31〜80モル%)、さらに好ましくは35モル%以上(例えば、37〜70モル%)であってもよく、通常30〜50モル%(例えば、35〜45モル%)であってもよい。

0039

パラフェニレンジアミン(PPD)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)とを組み合わせる場合、これらの割合は、PPD/DPE(モル比)=80/20〜30/70、好ましくは75/25〜35/65(例えば、70/30〜35/65)程度であってもよく、通常60/40〜30/70(例えば、50/50〜35/65、好ましくは45/55〜37/63)であってもよい。

0040

酸無水物成分(又は酸のアミド形成性誘導体)としては、例えば、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ジフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルエーテルピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸無水物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、ピロメリット酸二無水物(PMPA)、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が好ましく、特に、これらを組み合わせるのが好ましい。

0041

酸無水物成分がBPDAを含む場合、酸無水物成分に対するBPDAの割合は、例えば、15モル%以上(例えば、15〜100モル%)、好ましくは20モル%以上(例えば、22〜90モル%)、好ましくは25モル%以上(例えば、28〜80モル%)、さらに好ましくは30モル%以上(例えば、32〜60モル%)であってもよく、通常25〜45モル%(例えば、30〜40モル%)であってもよい。

0042

ピロメリット酸二無水物(PMPA)と3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とを組み合わせる場合、これらの割合は、PMPA/BPDA(モル比)=90/10〜20/80、好ましくは85/15〜30/70、さらに好ましくは80/20〜35/65(例えば、75/25〜40/60)程度であってもよく、通常70/30〜50/50(例えば、70/30〜55/45、好ましくは69/31〜60/40)であってもよい。

0043

ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシドジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンN−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾールキシレノールハロゲン化フェノールカテコール等のフェノール系溶媒又はヘキサメチルホスホルアミドγ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は2種以上を使用した混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレントルエン等の芳香族炭化水素の使用も可能である。

0044

重合方法は、公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後、酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と当量等モル)になるように加えて重合する方法。
(2)先に酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後、芳香族ジアミン成分を酸無水物成分と当量になるように加えて重合する方法。
(3)一方の芳香族ジアミン成分(a1)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の酸無水物成分(b1)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分(a2)を添加し、続いて、もう一方の酸無水物成分(b2)を全芳香族ジアミン成分と全酸無水物成分とがほぼ当量になるように添加して重合する方法。
(4)一方の酸無水物成分(b1)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分(a1)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の酸無水物成分(b2)を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分(a2)を全芳香族ジアミン成分と全酸無水物成分とがほぼ当量になるように添加して重合する方法。
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミック酸溶液(A)を調整するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では酸無水物成分を過剰に、またポリアミック酸溶液(A)で酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全酸無水物成分とがほぼ当量になるように調整する。なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。

0045

なお、ポリアミック酸溶液は、フィルムの易滑性を得るため必要に応じて、酸化チタン微細シリカ炭酸カルシウムリン酸カルシウムリン酸水素カルシウム、ポリイミドフィラー等の化学的に不活性有機フィラー又は無機フィラー等を含有していてもよい。

0046

ポリアミック酸溶液は、通常、5〜40重量%程度の固形分を含有し、好ましくは10〜30重量%程度の固形分を含有する。また、その粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定値で通常10〜2000Pa・s程度であってもよく、安定した送液のために、好ましくは100〜1000Pa・s程度であってもよい。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。

0047

次に、ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。ポリイミドフィルムを製膜(製造)は、例えば、ポリアミック酸溶液を環化反応させてゲルフィルムを得る工程(1)、得られたゲルフィルムを加熱(及び脱溶媒)処理する工程(2)を経て得ることができる。なお、加熱処理により、乾燥及びイミド化が進行する。

0048

工程(1)において、ポリアミック酸溶液を環化反応させる方法は、特に限定されないが、具体的には、(i)ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし、熱的に脱水環化させてゲルフィルムを得る方法(熱閉環法)、又は(ii)ポリアミック酸溶液に環化触媒及び転化剤脱水剤)を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作製し、加熱により、ゲルフィルムを得る方法(化学閉環法)等が挙げられ、特に後者の方法が好ましい。上記ポリアミック酸溶液は、ゲル化遅延剤等を含有することができる。ゲル化遅延剤としては、特に限定されず、アセチルアセトン等を使用することができる。

0049

環化触媒としては、アミン類、例えば、脂肪族第3級アミントリメチルアミントリエチレンジアミンなど)、芳香族第3級アミン(ジメチルアニリンなど)、複素環第3級アミン(例えば、イソキノリン、ピリジン、β−ピコリンなど)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、β−ピコリンなどの複素環式第3級アミンが好ましい。

0050

脱水剤としては、酸無水物、例えば、脂肪族カルボン酸無水物(例えば、無水酢酸無水プロピオン酸無水酪酸など)、芳香族カルボン酸無水物(例えば、無水安息香酸など)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましく、特に無水酢酸が好ましい。

0051

環化触媒及び脱水剤の使用量は、特に限定されないが、それぞれ、ポリアミック酸(又はポリアミド酸)のアミド基(又はカルボキシル基)1モルに対して、例えば、1モル以上(例えば、1.5〜10モル)、好ましくは2モル以上(例えば、2.2〜8モル)、さらに好ましくは2.5モル以上(例えば、2.7〜5モル)程度であってもよく、通常2〜4モル(例えば、2.5〜3.3モル)程度であってもよい。

0052

ゲルフィルム(自己支持性を有するゲルフィルム)は、通常、ポリアミック酸溶液(特に環化触媒及び転化剤を混合したポリアミック酸溶液)を、支持体上に流延(塗布)して部分的に乾燥及び硬化(イミド化)させることで得ることができる。

0053

より具体的には、ゲルフィルムは、ポリアミック酸溶液を、スリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成型し、支持体からの受熱熱風又は電気ヒーター等の熱源からの受熱により、加熱して閉環反応させ、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体から剥離することにより得てもよい。

0054

支持体としては、特に限定されないが、金属(例えばステンレス)製の回転ドラムエンドレスベルト等が例として挙げられる。支持体の温度は、特に限定されず、例えば、30〜200℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃であってもよく、特に70〜100℃(例えば、75〜95℃)程度であってもよい。

0055

なお、支持体の温度は、(i)液体又は気体熱媒体、(ii)電気ヒーター等の輻射熱等により制御できる。

0056

ゲルフィルム(加熱処理に供するゲルフィルム、支持体から剥離したゲルフィルム)のイミド化率は、例えば、50〜80%、好ましくは52〜78%、さらに好ましくは55〜75%(例えば、57〜73%)程度であってもよい。

0057

なお、イミド化率は、FT−IRを用いて1375cm−1と1500cm−1のピーク高さの比によって求める下式によって表される。

0058

イミド化率(%)=A/B×100
[式中、Aは(測定対象のフィルムの1375cm−1のピーク高さ)/(測定対象のフィルムの1500cm−1のピーク高さ)、Bは(基準となるポリイミドフィルムの1375cm−1のピーク高さ)/(基準となるフィルムの1500cm−1のピーク高さ)を示す。]

0059

ゲルフィルムのイミド化率を上記のような範囲とすることで、本発明のポリイミドフィルムを効率良く得やすい。

0060

工程(2)では、ゲルフィルムを加熱[及び乾燥(脱溶媒)]処理する。通常、工程(2)は、ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱炉(テンター加熱路など)を通過させて、熱処理(及び乾燥)を行う工程を含んでいてもよい。

0061

具体的には、支持体から剥離されたゲルフィルムは、特に限定されないが、通常、回転ロールにより走行速度を規制しながら搬送方向に延伸されてもよい。搬送方向への延伸は、140℃以下の温度で実施されてもよい。その延伸倍率(MDX)は、通常1.05〜1.9倍であり、好ましくは1.1〜1.6倍であり、さらに好ましくは1.1〜1.5倍(例えば、1.15〜1.3倍)である。

0062

また、ゲルフィルム(特に、搬送方向に延伸されたゲルフィルム)は、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方法へ延伸されてもよい。

0063

幅方向への延伸は、200℃以上の温度で実施されてもよい。その延伸倍率(TDX)は、例えば、MDXの1.1〜1.5倍であり、好ましくは1.2〜1.45倍であってもよい。具体的な延伸倍率(TDX)は、例えば、1.1〜2倍、好ましくは1.3〜1.8倍、さらに好ましくは1.35〜1.7倍(例えば、1.4〜1.6倍)であってもよい。

0064

このようにして得られたポリイミドフィルムが得られる。得られたポリイミドフィルムに対しては、さらにアニール処理や、易接着処理(例えば、コロナ処理プラズマ処理のような電気処理又はブラスト処理)を行ってもよい。

0065

[フレキシブル金属積層板]
本発明のポリイミドフィルムは、例えば、フレキシブル金属積層板(フレキシブルプリント配線板)の絶縁性フィルムとして利用できる。

0066

そのため、本発明には、本発明のポリイミドフィルムを備えたフレキシブル金属積層板を含む。このようなフレキシブル金属積層板は、通常、ポリイミドフィルムと金属箔とを備えている。

0067

金属箔を構成する金属の種類は特に限定はないが、例として銅及び銅合金ステンレス鋼及びその合金ニッケル及びニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム及びアルミニウム合金等が挙げられる。好ましくは銅及び銅合金である。また、これらの金属表面に防錆層耐熱層(例えば、クロム亜鉛等のメッキ処理)、シランカップリング剤等を形成したものも利用できる。好ましくは銅及び/又は、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、コバルトモリブテンタングステンバナジウムベリリウムチタン、スズ、マンガン、アルミニウム、燐、珪素等のうち、少なくとも1種以上の成分と銅を含む銅合金であり、これらは回路加工上好まれて使用される。特に望ましい金属箔としては圧延又は電解メッキ法によって形成された銅箔であり、その厚さは3〜150μmが好ましく、3〜35μmがより好ましい。

0068

金属箔は両面共に如何なる粗化処理も施されていないものであっても、片面若しくは両面に粗化処理が施されていてもよい。

0069

フレキシブル金属積層板は、ポリイミドフィルム及び金属箔を備えている限り、その積層の形態は特に限定されず、例えば、ポリイミドフィルムと金属箔とが直接的に積層されていてもよく、接着層(接着剤層)を介してポリイミドフィルムと金属箔とが積層され(貼り合わせられ)てもよい。

0070

接着層を構成する接着成分は、特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂熱可塑性樹脂のいずれであってもよい。特に、接着層は、熱可塑性ポリイミドで構成してもよい。

0071

そのため、本発明には、前記ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層(熱可塑性ポリイミドで構成された接着層)を有する接着フィルム積層フィルム)も含まれる。

0072

熱可塑性ポリイミドは、前駆体であるポリアミック酸をイミド化することにより得られる。熱可塑性ポリイミドの前駆体についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミック酸を用いることができる。またその製造に関しても、公知の原料反応条件等を用いることができる。また、必要に応じて無機又は有機物のフィラーを添加してもよい。

0073

熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は、例えば、150℃〜350℃程度であってもよい。

0074

接着フィルムは、上記ポリイミドフィルム(非熱可塑性ポリイミドフィルム)の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより得られる。その具体的な製造方法としては、基材フィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記ポリイミドフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示される。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、ポリイミドフィルム上に上記接着層を設けることが困難となる場合がある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を含有する溶液を調製して、これを基材フィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。

0075

ポリアミック酸溶液をポリイミドフィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーターリバースコーターブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。接着層は連続的に形成する場合に、発明の効果が顕著となる。すなわち、上述のようにして得られたポリイミドフィルムを巻き取り、これを繰り出して、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を含む溶液を、連続的に塗布する方法である。また、前記ポリアミック酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。また耐熱性接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すればよい。

0076

イミド化の方法としては、加熱イミド化法又は化学的イミド化法のどちらも用いることができる。いずれのイミド化手順を採る場合も、イミド化を効率良く進めるために加熱を行うが、その時の温度は、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−100℃)〜(ガラス転移温度+200℃)の範囲内に設定することが好ましく、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−50℃)〜(ガラス転移温度+150℃)の範囲内に設定することがより好ましい。加熱温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、イミド化速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こすことがある。一方、加熱温度が低すぎると、化学的イミド化でもイミド化が進みにくく、イミド化工程に要する時間が長くなってしまう。

0077

イミド化時間に関しては、実質的にイミド化及び乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、特に限定されるものではない。

0078

熱可塑性ポリイミドの厚さは0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。

0079

非熱可塑性ポリイミドと金属の加熱圧着方法としては、非熱可塑性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミック酸及び/またはポリイミド溶液を塗布・乾燥させた後金属と張り合わせるか、予め金属に熱可塑性ポリイミドを同様の方法で形成させた後、非熱可塑性ポリイミドフィルムと張り合わせる方法があり、張り合わせには加熱プレス法及び/又は連続ラミネート法が使用できる。加熱プレス法としては例えば、プレス機の所定のサイズに切りだした金属箔とポリイミドとを重ね合わせを行ない、加熱プレスにより熱圧着することにより製造できる。

0080

連続ラミネート法としては、特に制限は無いが、例えば、ロールとロール間に挟み込み、張り合わせを行なう方法がある。このロールは金属ロールゴムロール等が利用できる。材質に制限はないが、金属ロールとしては、鋼材ステンレス材料が使用される。表面にハードクロムメッキタングステンカーバイド表面硬度を高めた処理ロールを使用することが好ましい。ゴムロールとしては、金属ロールの表面に耐熱性のあるシリコンゴムフッ素系のゴムを使用することが好ましい。

0081

また、ベルトラミネートと呼ばれる、上下2本の金属ロールを1組とし、それを1組以上直列に配置した上下ロール間に上下2つのシームレスステンレスベルトを間に配置させ、そのベルトを金属ロールにより加圧し、更に、金属ロールやその他熱源により加熱させることで連続ラミネートしてもよい。

0082

ラミネート温度としては、200〜400℃の温度範囲が好ましい。加熱プレス及び/又は連続ラミネート後加熱アニールすることも好ましい。

0083

本発明のフレキシブル金属積層板は、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。

0084

本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。

0085

次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。

0086

本発明における各種特性測定方法について以下に説明する。

0087

(イミド化率)
イミド化率とは製品のポリイミドフィルムに対して対象とするフィルムのイミド基がどの程度存在するかを相対的に表すものである。
FT−IRを用いて1375cm−1と1500cm−1のピーク高さの比によって求める下式によって表される。

0088

イミド化率(%)=A/B×100
[式中、Aは(測定対象のフィルムの1375cm−1のピーク高さ)/(測定対象のフィルムの1500cm−1のピーク高さ)、Bは(基準となるポリイミドフィルムの1375cm−1のピーク高さ)/(基準となるフィルムの1500cm−1のピーク高さ)を示す。]

0089

なお、基準となるポリイミドフィルムには、乾燥及び熱処理を行った後のフィルムを用いた。

0090

(AI値)
超音波パルスの伝播速度Vは、以下の野村商事製SST−2500(Sonic Sheet Tester)を使用して測定した。SST−2500を使用すると、フィルムの面方向0〜180度(0度はMD方向に平行)について11.25°刻みで16方向の超音波速度が自動的に測定される。得られた各方向の速度のうち、最大速度(MAX)、最小速度(MIN)から式1で表される異方性指数(Anisotoropy Index:AI)が求められる。下記実施例及び比較例によって得られたフィルムを用いて、以下の測定範囲にてそれぞれ測定を行った。

0091

(式1):AI=(VMAX^2−VMIN^2)/(VMAX^2+VMIN^2)
(式中、VMAX^2はパルス伝播速度の最大値の2乗、VMIN^2はパルス伝播速度の最小値の2乗を示す。)

0092

フィルム幅方向(TD方向)に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれらの5点で測定。
AI値は、フィルム幅方向に直線上で少なくとも5点で測定し、その測定点のうち、最も大きいAIの値(AI値MAX)を表に記載した。すなわち、フィルム幅方向の異方性を最も大きく見積もるとAI値MAXとなる(AI値MAXを示すことで、フィルム全幅にわたって、AI値がAI値MAX以下であることがわかる)。AI値MAX(又は全幅にわたるAI値)が大きいと、フィルム熱処理後の片伸びが悪化し、巻き取り時にシワ等の不良が発生する。また、ポリイミドフィルムを用いて得られるフレキシブル金属積層板の金属箔除去前後における寸法変化率がフィルム製膜幅方向においてバラつく。

0093

熱膨張係数(CTE)及びCTEのフィルム幅方向のバラツキ)
TMA−50(島津製作所製)を使用し、測定温度範囲50〜200℃、昇温速度10℃/分の条件で、以下の測定範囲にて測定した。

0094

フィルム幅方向(TD方向)に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれらの5点で測定した。
そして、各測定点の値から、MD方向のCTE(ppm/℃)及びTD方向のCTE(ppm/℃)をそれぞれ、平均値として得た。
また、各測定点の値のうち、MD方向のCTE(ppm/℃)及びTD方向のCTE(ppm/℃)のそれぞれについて、最大値と最小値との差を幅方向のMD−CTE差(ppm/℃)及び幅方向のTD−CTE差(ppm/℃)とした。

0095

(フィルム幅方向の熱収縮率のバラツキ)
フィルム機械搬送方向(MD方向)に200mm、フィルム幅方向(TD方向)に200mmに切り出し、25℃、60%RHに調整された部屋に2日間放置した後のフィルム寸法(L1)を測定し、続いて200℃、60分間加熱した後、再び25℃、60RH%に調整された部屋に2日間放置した後のフィルム寸法(L2)を測定し、下記式により熱収縮率を求めた。

0096

熱収縮率(%)=−{(L2−L1)/L1}×100
なお、フィルム幅方向の熱収縮率のバラツキは、フィルム幅方向(TD方向)に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選び、少なくともこれらの5点のそれぞれを含んで(中心として)切り出したフィルムについて測定し、得られた測定値(熱収縮率)のうち、最大値と最小値との差として求めた。

0097

(フィルム幅方向の寸法変化率のバラツキ)
JIS C6481 5.16に基づいて、試料の接着フィルムの中心及び対角線上に4つの穴を形成し、中心部から各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、銅箔を貼り付けて、エッチング工程を実施してフレキシブル金属積層板から金属箔を除去した後に、再びエッチング工程前と同様に、上記4つの穴についてそれぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率(4つの穴における平均値)を求めた。

0098

寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
このような寸法変化率は、フィルム幅方向(TD方向)に製膜幅両端から200mm内側に入った点を2点選び、該2点を結ぶ直線の範囲内で該2点を含む直線上の中央部±200mm以内の1点とさらに任意の2点を選んで、少なくともこれらの5点について測定し、最大値と最小値との差をフィルム幅方向の寸法変化率のバラツキとした。

0099

なお、金属積層板は、ポリイミドフィルムの片面に接着剤層(熱可塑性ポリイミド層)を積層した後、接着剤層側に圧延銅泊を貼り合わせることで作成した。具体的には、フィルムに、熱可塑性ポリイミドのポリアミック酸溶液[1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを溶媒ジメチルアセトアミドに加え、溶解するまで撹拌した。その後、4、4’−ジオキシジフタル酸無水物を加え、撹拌を行うことで得られたポリアミック酸溶液]を乾燥後の厚さで2μmになるように塗布し、150℃で10分間、350℃で1分間熱イミド化させた(接着フィルムの作製)。その後、熱可塑性ポリイミド側に銅箔を350℃/30分で貼り合わせ、フレキシブル金属積層板を作製した。

0100

(片伸び値)
以下の手順で、図1の(a)に示す片伸び値(mm)を測定した。
ポリイミドフィルムを508mm幅で長さ6.5mの短冊状にスリットする。
この短冊状フィルムを200℃の熱風オーブン中外力がかからない状態で30分加熱した後、オーブンから取り出す。
サンプルを平らな床面上に広げて、密着させた時の湾曲の弧と弦の最大距離(片伸び値)を測定する。

0101

(実施例1〜5)
ピロメリット酸二無水物(PMPA、分子量218.12)/3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE、分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(PPD、分子量108.14)をモル比65/35/60/40の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。

0102

このポリアミド溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が3.0となるように添加した後、口金から90℃のステンレス製支持体上へ流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。

0103

このゲルフィルムを支持体上から剥がし、ニップロールを経て搬送、縦延伸を行った。縦延伸後、フィルムの両端を把持し、横延伸をしながら、テンター内で乾燥した。乾燥後、電気ヒーターを用いて熱処理を実施し、ポリイミドフィルムを得た。

0104

ポリイミドフィルムの厚みは口金吐出速度/支持体回転速度の比を制御することにより変化させ、平均厚さ7.5から38μmのポリイミドフィルムを得た。

0105

(参考例1)
ピロメリット酸二無水物(PMPA、分子量218.12)/3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE、分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(PPD、分子量108.14)をモル比75/25/60/40の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。

0106

このポリアミド溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が3.3となるように添加した後、75℃のステンレス製支持体上へ流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。

0107

このゲルフィルムを支持体上から剥がし、ニップロールを経て搬送、縦延伸を行った。縦延伸後、フィルムの両端を把持し、横延伸をしながら、テンター内で乾燥した。乾燥後、電気ヒーターを用いて熱処理を実施し、ポリイミドフィルムを得た。

0108

(参考例2)
ピロメリット酸二無水物(PMPA、分子量218.12)/3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE、分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(PPD、分子量108.14)をモル比75/25/60/40の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。

0109

このポリアミド溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が2.8となるように添加した後、75℃のステンレス製支持体上へ流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。

0110

このゲルフィルムを支持体上から剥がし、ニップロールを経て搬送、縦延伸を行った。縦延伸後、フィルムの両端を把持し、横延伸をしながら、テンター内で乾燥した。乾燥後、電気ヒーターを用いて熱処理を実施し、ポリイミドフィルムを得た。

0111

(参考例3)
ピロメリット酸二無水物(PMPA、分子量218.12)/3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE、分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(PPD、分子量108.14)をモル比75/25/60/40の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。

0112

このポリアミド溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が2.5となるように添加した後、75℃のステンレス製支持体上へ流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。

0113

このゲルフィルムを支持体上から剥がし、ニップロールを経て搬送、縦延伸を行った。縦延伸後、フィルムの両端を把持し、横延伸をしながら、テンター内で乾燥した。乾燥後、電気ヒーターを用いて熱処理を実施し、ポリイミドフィルムを得た。

0114

(参考例4)
ピロメリット酸二無水物(PMPA、分子量218.12)/3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DPE、分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(PPD、分子量108.14)をモル比65/35/82/18の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。

0115

このポリアミド溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が2.8となるように添加した後、95℃のステンレス製支持体上へ流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。

0116

このゲルフィルムを支持体上から剥がし、ニップロールを経て搬送、縦延伸を行った。縦延伸後、フィルムの両端を把持し、横延伸をしながら、テンター内で乾燥した。乾燥後、電気ヒーターを用いて熱処理を実施し、ポリイミドフィルムを得た。

0117

ポリイミドの組成、ポリイミドフィルムの作成条件、ポリイミドフィルムの各種物性をまとめたものを下記表1に示す。

0118

実施例

0119

上記結果から、本発明のポリイミドフィルムでは、フィルム幅方向の寸法変化のバラツキが小さく、片伸びも少ないことが確認できた。

0120

本発明のポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板などに有用である。

0121

1:短冊状フィルム
2:フィルム端
a:片伸び値

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