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技術 ホウ素アルコキシドとポリビニルアルコールからの炭化ホウ素ナノ粒子の形成

出願人 コミサリアアレネルジーアトミックエオゼネルジーアルテルナティブ
発明者 オリヴィエポンスレパスカルフジエジョナサンスクルツィプスキー
出願日 2017年8月30日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2017-165428
公開日 2018年4月12日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 2018-058751
状態 特許登録済
技術分野 炭素・炭素化合物
主要キーワード ホウ素アルコキシド 炭化ホウ素粒子 石英管炉 磁製ボート 中性子吸収剤 エントレインメント 中性子流 撹拌システム
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課題

放射線防護用の炭化ホウ素として、nmスケール粒子径で、高純度粒子を高収率で得られる製造方法の提供。

解決手段

(i)ホウ酸酸化ホウ素又はB(OR)3型ホウ酸エステルを、1〜2モル当量の1以上のC2〜C4ポリオールと、ホウ素アルコキシド粉末の形成に有利な条件下で相互作用させ、(ii)得られたホウ素アルコキシド粉末を水性媒体中で、有効量の1以上のポリビニルアルコールPVA)と、架橋されたPVAゲルの形成に有利な条件下で相互作用させ、上記PVAが完全に加水分解されており、かつ10,000〜80,000g・mol−1のモル質量を有するもので、及び(iii)形成された架橋されたゲルの酸化熱分解を、空気を流しながら500〜1200℃、好ましくは600〜1000℃、特に好ましくは800℃のCB4ナノ粒子の形成に有利な条件下で行うことを含む、炭化ホウ素ナノ粒子製造法

概要

背景

放射線防護において、および反応器運転を調整するために、中性子流を吸収するまたは減少させることができることが必要である。中性子吸収特性ならびに豊富さおよび低毒性の点において、最も有利な原子ホウ素である。不幸なことに、ホウ素元素は、その高い反応性故に、使用するのが困難である。

すなわち、今日まで、高い重量%のホウ素を有するが、他方、攻撃的な環境に関して不活性である代替物質の使用が好まれている。このため、窒化ホウ素(BN)および特に炭化ホウ素(CB4)は、それぞれ39%および75%のホウ素を含むので、特に有利であることが分かる。

すなわち、炭化ホウ素(CB4)は、特に劣悪環境での電子工業部品として、ケイ素代わる非常に興味深い物質である。ホウ素の10B同位体富むと、いくつかの型の核反応器における中性子吸収剤としても使用される。

しかし、標的の用途に関して、使用される物質が、100nm未満の、好ましくは80〜50nmの粒子サイズを有するのがよい。

実際、炭化ホウ素は、たまたま非常に高い硬度(30MPa超のビッカース硬さ)を有する物質である。したがって、ナノメートルの寸法を得るために、「トップダウン」法、言い換えるとサイズ減少、例えば粉砕によって炭化ホウ素ナノ粒子を合成することは適切でないことが分かる。この困難さを克服する一つの手段は、したがって、炭化ホウ素の合成プロセスの間に「ボトムアップアプローチにしたがって、ナノメートルのサイズに直接近づくことである。

従来、CB4は、石英炉において、炭素の存在下で、かつ例えばアルゴンまたは窒素還元雰囲気中でB2O3の熱分解還元によって得られる。反応媒体還元力を増加させるために、金属還元剤、典型的にはマグネシウム粉末を添加することが一般に必要である。

不幸なことに、この方法は、完全に満足のいくものとはならない。実際、ミクロメーターのサイズを有するCB4粒子が形成され、ミリメートルのサイズですらある。

さらに、こうして得られたCB4粒子は、得られた生成物が、ホウ化マグネシウムの粒子およびグラファイトの粒子によって汚染されるので、不十分な純度を有する。これらの不純物は、洗浄溶媒不溶であるので、炭化ホウ素から単離することが困難である。また、空気中または分子酸素中でのアニーリングは、炭化ホウ素のCO2および酸化ホウ素(B2O3)への変形をもたらす限り、行うことができない。

さらに、得られた炭化ホウ素粉末は、未結合のホウ素および/または炭素が全くないわけでなく、これらの元素の含量は、例えばそれぞれ3〜7%および2〜3%のオーダーであり得る。最後に、得られた生成物の組成および特にその化学量論に関して、再現性を制御することが困難である。

現在、炭化ホウ素の合成のための種々の代替ルートは、ポリマー状の前駆体を炭素源として使用することに関する。

特に、Fathiら[1]は、ポリビニルアルコールPVA)とホウ酸からCB4ナノ粒子を合成する方法を開発した。ホウ酸(B(OH)3)は、ポリビニルアルコールの架橋剤として知られている。水性ホウ酸溶液水性ポリビニルアルコール溶液に添加すると、非常に硬質ゲルが形成され、このゲルは乾燥され得る。このゲルの乾燥形態は次いで、100nm未満のサイズを有するナノ粒子の形態の炭化ホウ素を得るために、空気中において800℃までの石英炉で熱分解される。必要ならば、CB4の結晶化度が、顆粒成長なしに、1300℃でアルゴン中でのアニーリングにより高められ得る。空気中でのこの熱分解は、CB4からの分離が不可能である、炭素に基づく不純物の形成を防止するという利点を有する。しかし、下記実施例1に示されるように、主としてB2O3を形成し、したがって、10%未満の不十分なCB4収率をもたらすという結果をも有する。

Kakiageら[2]は、その一部に関して、ホウ酸とグリセロールとの縮合生成物から炭化ホウ素粉末を形成することを記載している。得られる合成収率は特定されていない。さらに、1.1μmのオーダーの得られた粒子サイズは、上記で言及された、炭化ホウ素に関して意図された用途には十分でない。

概要

放射線防護用の炭化ホウ素として、nmスケール粒子径で、高純度の粒子を高収率で得られる製造方法の提供。(i)ホウ酸、酸化ホウ素又はB(OR)3型ホウ酸エステルを、1〜2モル当量の1以上のC2〜C4ポリオールと、ホウ素アルコキシド粉末の形成に有利な条件下で相互作用させ、(ii)得られたホウ素アルコキシド粉末を水性媒体中で、有効量の1以上のポリビニルアルコール(PVA)と、架橋されたPVAゲルの形成に有利な条件下で相互作用させ、上記PVAが完全に加水分解されており、かつ10,000〜80,000g・mol−1のモル質量を有するもので、及び(iii)形成された架橋されたゲルの酸化的熱分解を、空気を流しながら500〜1200℃、好ましくは600〜1000℃、特に好ましくは800℃のCB4ナノ粒子の形成に有利な条件下で行うことを含む、炭化ホウ素ナノ粒子の製造法。なし

目的

本発明の目的は特に、これらの要件の全てを満足させることを可能にする、CB4粒子の合成のための新規方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

炭化ホウ素ナノ粒子製造法であって、下記の段階:(i)ホウ酸酸化ホウ素B2O3またはB(OR)3型ホウ酸エステル(ここで、Rは互いに同一または異なり、C1−4アルキル基を表わす)を、1〜2モル当量の少なくとも1のC2〜C4ポリオールと、ホウ素アルコキシド粉末の形成に有利な条件下で相互作用させること、(ii)段階(i)の結果として得られたホウ素アルコキシド粉末を水性媒体中で、有効量の1以上のポリビニルアルコールと、架橋されたPVゲルの形成に有利な条件下で相互作用させること、ここで上記ポリビニルアルコールは、完全に加水分解されているものでありかつ10,000〜80,000g・mol−1のモル質量を有する、および(iii)先の段階(ii)の結果として形成された架橋されたゲルの酸化熱分解を、CB4ナノ粒子の形成に有利な条件下で行うことを少なくとも含むことを特徴とする方法。

請求項2

CB4ナノ粒子が、100nm以下、特に90nm以下、特に25〜80nm、より特に50〜80nmの平均サイズを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

段階(i)が、ホウ酸、ホウ酸トリメチルまたはホウ酸トリエチルから出発して行われる、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

段階(i)におけるポリオールが、エチレングリコールプロピレングリコールジエチレングリコールプロパン−1,3−ジオールブタン−2,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,2,4−トリオールグリセロールおよびそれらの混合物から、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびそれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

段階(i)が、ホウ酸、またはその複数のエステルB(OR)3の1、または酸化ホウ素B2O3と上記ポリオールとを一緒にし、次いで反応媒体を加熱することによって行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

上記加熱が、50〜150℃、特に120℃の温度で、好ましくは酸化雰囲気中、特に空気中で行われる、請求項5に記載の方法。

請求項7

段階(ii)が、上記ホウ素アルコキシド粉末をポリビニルアルコールの水性溶液に添加し、次いで反応媒体を加熱することによって行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

上記加熱が、5〜100℃、特に60〜90℃、特に80℃の温度で行われ、加熱時間が、特に1〜5時間、特に1時間30分〜2時間30分、より特に2時間である、請求項7に記載の方法。

請求項9

段階(iii)における熱分解が、500〜1200℃、特に600〜1000℃、特に800℃の温度で加熱することにより行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

段階(iii)における熱分解が、空気を流しながら行われる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、炭化ホウ素新規合成法に関する。それは、炭化ホウ素を中性子吸収剤として使用する観点から、特に有利である。

背景技術

0002

放射線防護において、および反応器運転を調整するために、中性子流を吸収するまたは減少させることができることが必要である。中性子吸収特性ならびに豊富さおよび低毒性の点において、最も有利な原子ホウ素である。不幸なことに、ホウ素元素は、その高い反応性故に、使用するのが困難である。

0003

すなわち、今日まで、高い重量%のホウ素を有するが、他方、攻撃的な環境に関して不活性である代替物質の使用が好まれている。このため、窒化ホウ素(BN)および特に炭化ホウ素(CB4)は、それぞれ39%および75%のホウ素を含むので、特に有利であることが分かる。

0004

すなわち、炭化ホウ素(CB4)は、特に劣悪環境での電子工業部品として、ケイ素代わる非常に興味深い物質である。ホウ素の10B同位体富むと、いくつかの型の核反応器における中性子吸収剤としても使用される。

0005

しかし、標的の用途に関して、使用される物質が、100nm未満の、好ましくは80〜50nmの粒子サイズを有するのがよい。

0006

実際、炭化ホウ素は、たまたま非常に高い硬度(30MPa超のビッカース硬さ)を有する物質である。したがって、ナノメートルの寸法を得るために、「トップダウン」法、言い換えるとサイズ減少、例えば粉砕によって炭化ホウ素ナノ粒子を合成することは適切でないことが分かる。この困難さを克服する一つの手段は、したがって、炭化ホウ素の合成プロセスの間に「ボトムアップアプローチにしたがって、ナノメートルのサイズに直接近づくことである。

0007

従来、CB4は、石英炉において、炭素の存在下で、かつ例えばアルゴンまたは窒素還元雰囲気中でB2O3の熱分解還元によって得られる。反応媒体還元力を増加させるために、金属還元剤、典型的にはマグネシウム粉末を添加することが一般に必要である。

0008

不幸なことに、この方法は、完全に満足のいくものとはならない。実際、ミクロメーターのサイズを有するCB4粒子が形成され、ミリメートルのサイズですらある。

0009

さらに、こうして得られたCB4粒子は、得られた生成物が、ホウ化マグネシウムの粒子およびグラファイトの粒子によって汚染されるので、不十分な純度を有する。これらの不純物は、洗浄溶媒不溶であるので、炭化ホウ素から単離することが困難である。また、空気中または分子酸素中でのアニーリングは、炭化ホウ素のCO2および酸化ホウ素(B2O3)への変形をもたらす限り、行うことができない。

0010

さらに、得られた炭化ホウ素粉末は、未結合のホウ素および/または炭素が全くないわけでなく、これらの元素の含量は、例えばそれぞれ3〜7%および2〜3%のオーダーであり得る。最後に、得られた生成物の組成および特にその化学量論に関して、再現性を制御することが困難である。

0011

現在、炭化ホウ素の合成のための種々の代替ルートは、ポリマー状の前駆体を炭素源として使用することに関する。

0012

特に、Fathiら[1]は、ポリビニルアルコールPVA)とホウ酸からCB4ナノ粒子を合成する方法を開発した。ホウ酸(B(OH)3)は、ポリビニルアルコールの架橋剤として知られている。水性ホウ酸溶液水性ポリビニルアルコール溶液に添加すると、非常に硬質ゲルが形成され、このゲルは乾燥され得る。このゲルの乾燥形態は次いで、100nm未満のサイズを有するナノ粒子の形態の炭化ホウ素を得るために、空気中において800℃までの石英炉で熱分解される。必要ならば、CB4の結晶化度が、顆粒成長なしに、1300℃でアルゴン中でのアニーリングにより高められ得る。空気中でのこの熱分解は、CB4からの分離が不可能である、炭素に基づく不純物の形成を防止するという利点を有する。しかし、下記実施例1に示されるように、主としてB2O3を形成し、したがって、10%未満の不十分なCB4収率をもたらすという結果をも有する。

0013

Kakiageら[2]は、その一部に関して、ホウ酸とグリセロールとの縮合生成物から炭化ホウ素粉末を形成することを記載している。得られる合成収率は特定されていない。さらに、1.1μmのオーダーの得られた粒子サイズは、上記で言及された、炭化ホウ素に関して意図された用途には十分でない。

発明が解決しようとする課題

0014

その結果、現在利用されている方法は、ナノメートルのスケールの粒子サイズ、好ましくは100nm未満の粒子サイズと高い純度を同時に有するCB4粒子を満足のいく収率で得ることを可能にしない。

0015

本発明の目的は特に、これらの要件の全てを満足させることを可能にする、CB4粒子の合成のための新規方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0016

特に、本発明は、炭化ホウ素(CB4)ナノ粒子の製造法に関し、上記方法は、下記の段階:
(i)ホウ酸(B(OH)3)、酸化ホウ素B2O3またはB(OR)3型ホウ酸エステル(ここで、Rは互いに同一または異なり、C1−4アルキル基を表わす)を、1〜2モル当量の少なくとも1のC2〜C4ポリオールと、ホウ素アルコキシド粉末の形成に有利な条件下で相互作用させること、
(ii)段階(i)の結果として得られたホウ素アルコキシド粉末を水性媒体中で、有効量の1以上のポリビニルアルコール(PVA)と、架橋されたPVAゲルの形成に有利な条件下で相互作用させること、ここで上記PVAは、完全に加水分解されているものでありかつ10,000〜80,000g・mol−1のモル質量を有する、および
(iii)先の段階(ii)の結果として形成された架橋されたゲルの酸化的熱分解を、CB4ナノ粒子の形成に有利な条件下で行うこと
を少なくとも含む。

発明の効果

0017

本発明に従う方法は、いくつかの理由で有利であることが分かる。

0018

第一に、それは、100nm未満、好ましくは25〜90nm、特に50〜80nmの平均サイズを有するCB4ナノ粒子を得ることを可能にする。すなわち、非常に硬い炭化ホウ素粒子を、ナノメートルのサイズの等級にするために粉砕する必要がない。

0019

さらに、実施例1に示されるように、炭化ホウ素反応収率が、特にFathiら[1]によって与えられた方法と比較して、有意に改善される。実際、本発明の方法は、(使用されたB(OH)3またはホウ酸エステルB(OR)3の初期重量から計算して)少なくとも40重量%の炭化ホウ素収率を得ることを可能にする。

0020

同時に、不純物、特に炭素に基づく残渣の含量が減少される。これは一般に、炭化ホウ素のための用途にとって望ましい。

0021

さらに、本発明の方法は、炭化ホウ素を結果の良好な再現性を伴って合成することを可能にする。これは、上記方法を工業的に行うための主要な利点を構成する。

0022

最後に、慣用的な方法に関しては、本発明に従う方法は、処理温度および処理時間に関して有利である。特に、不純物を除去するためにアニーリングを行う必要がない。

0023

実際、本発明者らは、全ての予想に反して、本発明に従うホウ素アルコキシド粉末をポリビニルアルコールと本発明の段階(ii)にしたがって相互作用させることが、ホウ酸を水性PVA溶液直接添加することにより得られるゲルと比較して、有意に改善された均質性を示す架橋されたPVAゲルを得ることを可能にすることを見出した。

0024

これは、ホウ酸の水性PVA溶液への直接の添加を行う、例えばFathiら[1]に記載された合成法は、直ちの、しかし均質でないゲル化をもたらすからである。特に、B(OH)3に富む領域と、弱く架橋されたPVAに富む領域とが、形成されたゲル中に観察される。それは、低分子量のホウ素アルコキシド、例えばB(OMe)3またはB(OEt)3の使用の際にも同じである。これらのアルコキシドは、加水分解しそして縮合して、ホウ素に富む小さいクラスターを与える。

0025

有利には、理論によってコミットされることなく、本発明に従う合成法の場合には、架橋されたPVAゲルの形成が、有意に遅くされる。この結果が、ゲル化された物質中におけるホウ素の均質な分布である。

0026

実際、本発明者らは、ゲルの均質性が、酸化的熱分解の結果として得られる物質の品質に有意な影響を及ぼすことを見出した。すなわち、下記実施例1に示されるように、石英炉中で160℃/時の温度上昇で50リットル/時の空気を流しながら行われる酸化的熱分解中に、Fathiら[1]によって得られたような均質でないゲルは、CB4の合成に関して低収率を結果する(投入されたB(OH)3に関して10重量%)。

0027

他方、本発明に従う方法の場合には、この収率が有利に有意に高められる。その上、粒子のサイズは100nm未満のままである。

0028

再び、有利には、本発明の方法に従う熱分解による炭化ホウ素の形成は、アルカリ金属還元剤またはアルカリ土類金属還元剤、例えばマグネシウム金属の導入を必要としない。実際、糖、デンプンまたはセルロースを炭素源として使用する、文献に記載された合成法では、上記炭素源が分解してCO2およびH2Oを与えるのを防ぎそして炭化ホウ素を得るために、そのような還元剤の添加が必要である([3])。しかし、そのような添加は、不純物、例えばホウ化マグネシウムおよびグラファイトによって汚染された生成物を生じるという副作用を有する。上記不純物は、炭化ホウ素から単離するのが困難である。

0029

本発明者らは、酸化的条件下および還元剤の不存在下での熱分解の状況ですら、本発明の方法に従って使用されたPVAは、その水分を保持することにより、酸素拡散に対しておよび反応媒体中での酸化性ラジカルに対して効果的なバリヤを形成することを見出した。あらゆる予想に反して、本発明に従って行われる酸化的熱分解は、炭化ホウ素を高い収率で得ることを可能にすることになる。さらに、それは、有利なことに、汚染物、例えばホウ化マグネシウム粒子の副次的な形成を克服することを可能にする。

0030

本発明に従う方法の他の特徴、代替の形態および利点は、下記の記載、実施例および図面を見ることによってより明確になるであろう。下記実施例および図面は、説明のためであり、本発明を制限するものでない。

0031

本明細書において、「・・・〜・・・」、「・・・〜・・・の」、「・・・〜・・・の範囲の」および「・・・から・・・までの」は互いに等価であり、特に断らない限り、上限下限が包含されることを意味することが意図される。

0032

特に断らない限り、表現「1を含む」は「少なくとも1を含む」と理解されるべきである。

0033

段階(i):ホウ素アルコキシドの調製
上述したように、本発明の方法の第一段階は、ホウ素アルコキシド粉末を得ることから成る。

0034

本発明に従う考慮下のホウ素アルコキシド粉末は、特に下記:
ホウ酸(H3BO4またはB(OH)3)、酸化ホウ素B2O3またはB(OR)3の型のホウ酸エステル(Rは互いに同じまたは異なり、C1−4アルキル基、特にメチルまたはエチルを表わす)、例えばホウ酸トリメチルまたはホウ酸トリエチルと、
1以上のC2〜C4ポリオール、特に下記に記載されるものと
から得られる。

0035

上記ポリオールは、上記ホウ酸、上記酸化ホウ素または上記ホウ酸エステルB(OR)3に関して1〜2モル当量の割合で使用される。段階(i)の結果として得られたホウ素アルコキシドはしたがって、少なくとも1のB−OHまたはB−OR結合をなおも示し、上記結合は、段階(ii)において、上記加水分解されているポリビニルアルコールに関して反応性である。

0036

好ましくは、本発明に従う考慮下のホウ素アルコキシド粉末が、ホウ酸、またはその複数のエステルB(OR)3の一つから、特にホウ酸、ホウ酸トリメチルまたはホウ酸トリエチルから得られる。

0037

好ましくは、使用されるポリオールが、62〜106g・mol−1の、特に76g・mol−1以下の分子量を示す。

0038

特定の実施形態によれば、上記ポリオールが、ジオールおよびトリオールから選択される。

0039

特に、上記ポリオールが、エチレングリコールエタン−1,2−ジオール)、プロピレングリコールプロパン−1,2−ジオール)、ジエチレングリコール(2,2’−オキシジエタノール)、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,2,4−トリオール、グリセロールおよびそれらの混合物から選択され得る。

0040

好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびそれらの混合物から選択される。

0041

もちろん、当業者は、所望の粉末状のホウ素アルコキシド物質の形成のために実験条件を調整できる立場にある。

0042

特に、段階(i)は、ホウ酸またはそのエステルB(OR)3または酸化ホウ素B2O3と上記ポリオールを一緒にし、次いで反応媒体を加熱することにより行われ得る。

0043

上記加熱は、特に、50℃〜150℃の温度、特に約120℃の温度で行われ得る。

0044

好ましくは、上記加熱が酸化雰囲気下で、特に空気中において行われる。

0045

反応物の溶解は、使用されたポリオールの性質に応じて、速かったり遅かったりする。

0046

上記加熱の時間は、30分〜2.5時間、特に約2時間であり得る。

0047

上記加熱の結果、ホウ素アルコキシド粉末が得られる。

0048

上述したように、本発明の方法に従ってホウ酸(またはB(OR)3型のそのエステルの一つまたは酸化ホウ素B2O3)を変形してホウ素アルコキシドを得る予備段階が、所望のCB4ナノ粒子を酸化的熱分解によって得るために特に有利な、下記で詳述する段階(ii)における、均質な架橋されたPVAゲルの形成を左右する。

0049

段階(ii):架橋されたPVAゲルの形成
本発明の方法の第二段階は、水性媒体において、段階(i)で得られたホウ素アルコキシド粉末を有効量の1以上のポリビニルアルコールと、架橋されたPVAゲルの形成に有利な条件下で相互作用させることからなる。

0050

本明細書の以降において、本発明に従って使用されるポリビニルアルコールは、より簡単に、通常の略語「PVA」で記載されるだろう。

0051

段階(ii)は、特に、上記で調製されたホウ素アルコキシド粉末を水性PVA溶液に添加し、次いで反応媒体を加熱することによって行われ得る。

0052

特に、本発明の方法の背景において、PVAは、ホウ酸と一緒にされない。

0053

本発明に特に適するPVAは、それを含む水性反応媒体において流動性を保持するために調整されたモル質量を有する。すなわち、この媒体の粘度が20〜50Pa・s−1を超えないのが望ましい。

0054

上記粘度は、例えば、フォードカップ型のデバイスを使用して測定され得る。

0055

すなわち、80,000g・mol−1未満、特に10,000〜80,000g・mol−1、特に20,000〜80,000g・mol−1、特に50,000〜80,000g・mol−1のモル質量を有するPVAが特に適する。例えば、使用されるPVAが50,000g・mol−1のモル質量を有し得る。

0056

そのようなポリビニルアルコールの使用は、高温条件下で取り扱われ得る架橋されたPVAゲルを得ることを可能にする。

0057

さらに、上述したように、本発明に従って使用されるPVAは、完全に加水分解されている。

0058

典型的に、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアセテートアルカリ加水分解によって得られる。本発明の意義の範囲内で、ポリビニルアセテートから得られるポリビニルアルコールは、加水分解度が98%以上である場合に完全に加水分解されていると考えられる。

0059

この理由のために、本発明に従って使用されるポリビニルアルコールは、段階(iii)で行われる酸化的熱分解中に、所望の炭化ホウ素にとって不利なほどに酸化ホウ素(B2O3)を形成し得る酢酸源を構成しない。

0060

当業者は、架橋されたPVAゲルを得るために、ホウ素アルコキシドとPVAの反応の実験条件、例えば反応物の量、反応媒体の温度および反応時間に関する条件を調整できる立場にある。

0061

PVAの「有効量」の用語は、本発明の意義の範囲内で、熱分解によってCB4ナノ粒子を得ることができる所望の架橋されたゲルを得るために十分なPVAの量を意味すると理解される。

0062

本発明の方法の段階(ii)に従って、ホウ素アルコキシドとPVAを0.5〜1.5、特に0.75〜1.2のPVA/ホウ素アルコキシド重量比で使用することが特に有利である。好ましくは、PVAの重量による量が、ホウ素アルコキシドの重量による量と同等である。

0063

そのようなPVA/ホウ素アルコキシド重量比は、酸化ホウ素(B2O3)の形成を制限しかつ除去が困難なグラファイトの生成を回避しながら、所望の炭化ホウ素の形成を促進することを可能にする。

0064

典型的に、段階(ii)は、5〜100℃、好ましくは60〜90℃、特に約80℃の温度で反応媒体を加熱することにより行われ得る。

0065

上記加熱は、1〜5時間、特に1時間30分〜2時間30分、より特に2時間の間維持され得る。

0066

そのような加熱は、媒体の良好な均質性を得ることを可能にする。

0067

好ましくは、反応媒体の良好な均質性、特に反応媒体におけるホウ素の均質な分散を確実にするために、反応媒体が、加熱の前におよび/またはゲル化の間に、例えば撹拌システムを使用して撹拌され続けられ得る。

0068

下記実施例1に示されるように、本発明に従う段階(ii)の結果として形成される架橋されたPVAゲルは、遅くかつ均質なゲル化によって得られる。

0069

本発明に従う架橋されたPVAゲルは、有利には、形成されたゲル内でのホウ素の分布に関して良好な均質性を示す。

0070

可視スペクトル全体にわたって澄んで透明なゲルは、得られた媒体の良好な均質性の証拠である。特に、段階(ii)の結果として得られたゲル内には、ホウ素アルコキシドに富むミクロドメインおよびPVAに富む他のミクロドメインがない。

0071

架橋されたPVAゲルは、酸化的熱分解(iii)の前に、乾燥されそして粉末に変えられ得る。

0072

段階(iii):酸化的熱分解
本発明の方法の段階(iii)によれば、均質な架橋されたPVAゲルが、酸化的熱分解による処理に付される。

0073

用語「酸化的熱分解」は、本発明の意義の範囲内で、熱分解が、炭素の除去を促進しかつ炭素に基づく不純物の形成を防止する目的で、酸化雰囲気下で、例えば空気中において行われることを意味すると理解される。

0074

すなわち、段階(iii)における熱分解は、有利には、空気、例えば1時間あたり50Lの空気を流しながら行われ得る。

0075

上記熱分解は、慣用の炉、例えば石英炉中で行われ得る。

0076

熱分解温度は、500〜1200℃、特に600〜1000℃、より好ましくは800℃であり得る。

0077

好ましくは、上記温度が、50〜200℃/時、特に160℃/時の温度上昇で達成される。

0078

酸化的熱分解処理のためのそのような温度上昇を用いると、捕獲されたポリオールによるエントレインメント(entrainment)によるホウ素の損失が危ぶまれたかもしれない。驚いたことに、本発明者らは、全ての予想に反して、ホウ素が実際にはそのPVA脈石(gangue)に捕獲され、上記熱分解処理が、所望のCB4ナノ粒子を形成することを可能にすることを見出した。

0079

生成物は、少なくとも2時間の間、熱分解温度で維持され得る。

0080

使用された炉の観点から、特に使用された炉の幾何学に関して、熱分解の条件、特に熱分解の時間を調整することは、当業者次第である。

0081

上述したように、本発明の方法に従う熱分解による炭化ホウ素の形成は、アルカリ金属還元剤またはアルカリ土類金属還元剤、例えばマグネシウム金属の導入を必要としない。

0082

すなわち、有利には、本発明に従って行われる熱分解が、いつくかの汚染物質、例えばホウ化マグネシウム粒子の副次的形成を克服することを可能にする。

0083

本発明に従って得られる炭化ホウ素粒子
有利には、下記実施例1に示されるように、本発明に従って行われる酸化的熱分解が、Fathiら[1]に従って行われる熱分解と比較して、炭化ホウ素の形成を有意に改善された収率で形成する。

0084

炭化ホウ素の合成に関する収率は、例えば、投入されたB(OH)3、B2O3またはホウ酸エステルB(OR)3の初期重量に関して評価され得る。

0085

特に、本発明に従う炭化ホウ素の反応収率は、有利には、20重量%超、特に30重量%以上、有利には35重量%以上である。

0086

副次的副生物、酸化ホウ素(B2O3)、CO2およびH2Oは、上記酸化的熱分解の結果として得られた反応媒体から容易に除去され得る。例えば、水による簡単な洗浄は、痕跡量の酸化ホウ素を除去することを可能にする。

0087

酸化ホウ素は次いで、本発明の方法の段階(i)にリサイクルされ、またはホウ酸に転化され得る。ホウ酸は、本発明の方法の段階(i)にリサイクルされる。

0088

さらに、有利には、本発明の方法の結果として得られた炭化ホウ素が、高い純度を有する。特に、それは、炭素に基づく残渣をほとんど含まず、それどころか全く含まない。

0089

グラファイトの存在または不存在は、例えば、X線回折分析によって確認され得る。CB4および副次的生成物、例えば酸化ホウ素は、FTIR(フーリエ変換赤外分析によって確認され得る。

0090

本発明に従って得られる炭化ホウ素粒子の平均サイズは、100nm以下、特に厳密に100nm未満、特に90nm以下、特に25〜80nm、より特に50〜80nmである。上記サイズは、走査電子顕微鏡(SEM)によって粉末を観察することにより評価され得る。

0091

さらに、得られたナノ粒子は、サイズにおいて小さい分散を示す。特に、粒子の95%が100nm以下のサイズを示し、好ましくは粒子の80%が80nm〜50nmのサイズを示す。サイズにおける分散は、SEMによってナノ粒子を分析することにより評価され得る。

0092

本発明の方法の結果として得られた炭化ホウ素ナノ粒子は、全体的に球状の形を示す。

0093

特定の実施形態によれば、本発明の方法は、炭化ホウ素ナノ粒子の熱アニーリングという続く段階を含み得る。このアニーリング段階は、ナノ粒子のサイズに影響を及ぼすことなく、炭化ホウ素の結晶化度を増加することを可能にする。

0094

このアニーリングは、800〜1600℃、特に約1300℃の温度で、特に不活性雰囲気下で行われ得る。それは、2〜5時間、特に約3時間の範囲の間、行われ得る。

0095

炭化ホウ素ナノ粒子の合成
合成プロトコル
5gのB(OH)3(0.083mol)が7.75gのエチレングリコールと混合される。得られた混合物が、空気中において120℃で2時間加熱され、次いで環境温度に戻されて結晶化する。

0096

透明でありかつわずかに黄色である得られた粉末が破砕される。この粉末の4gが、加水分解されているPVA(Mowiol 4−98 MW 27000、Mowiol 6−98 MW 47000またはPVA Aldrich MW 77000−79000、98%加水分解されている)の4%水性溶液の100gに添加される。

0097

反応媒体が、80℃で2時間加熱される。ホウ素アルコキシドの完全な溶解が観察され、次いで、透明なまたはわずかに白色の固体の均質なゲルの形成を伴って粘度が増加する。

0098

ゲルが乾燥され、次いで破砕される。次いで、空気中において、石英管炉中で磁製ボート中で800℃で熱分解される(1時間につき50リットルの空気;1時間につき160℃の上昇)。

0099

酸化的熱分解の結果として得られた灰色の粉末が、痕跡量のB2O3を除去するために水で洗浄され、次いでオーブン中で300℃で乾燥された。

0100

同様の合成が、エチレングリコールの代わりにプロピレングリコールまたはグリセロールを使用し、および/またはホウ酸の代わりにホウ酸トリメチル(B(OMe)3)またはホウ酸トリエチル(B(OEt)3)を使用して行われた。

0101

結果
炭化ホウ素粉末の解析
上記条件下で得られた粉末の赤外吸収分光法による分析により、C−B結合に帰すことができる1170cm−1でのピークを有する炭化ホウ素の形成が確認された。

0102

上記炭化ホウ素粉末はまた、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察され得る。SEMによって得られた写真は、90nm未満のサイズを有する均質な球形の結晶の集団であることを証明する。

0103

合成収率
得られた炭化ホウ素の収率が、上記合成の出発時に導入されたB(OH)3(またはホウ酸エステル)の初期重量に関して測定される。

0104

上述した条件下で、ホウ酸および、低分子量のポリオールとしてのエチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールを使用して、酸化的熱分解の結果として約40重量%の炭化ホウ素の収率が得られる。

0105

同様に、出発物質として、ホウ酸の代わりのB(OMe)3およびB(OEt)3を1〜2モル当量の低分子量のポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とともに使用することは、酸化的熱分解の結果として、35〜40重量%の炭化ホウ素の合成収率を得ることを可能にする。

0106

他方、Mowiol 4−98タイプの加水分解されているPVAを用いてFathiら[1]のプロトコルを使用することによる炭化ホウ素の合成は、熱分解された灰色粉末を水で洗浄した後に、投入されたホウ酸に関して9〜10重量%の炭化ホウ素の収率を結果する。

0107

Aldrichにより販売された、98%加水分解されておりかつ3000g・mol−1の分子量を有するPVAのグレードを用いて、Fathiら[1]のプロトコルに従って同様に合成を行うと、なおも約10重量%の炭化ホウ素の合成収率を結果する。

実施例

0108

参考文献
[1] Fathiら, Synthesis of boron carbide nano particles using polyvinyl alcohol and boric acid, Ceramics−Silikaty, 56(1), 32−35(2012)、
[2] Kakiageら, Low−temperature synthesis of boron carbide powder from condensed boric acid−glycerin product, Materials Letters, 65(2011), 1839−1841、
[3] Murray, Low temperature Synthesis of Boron Carbide Using a Polymer Precursor Powder Route, School of Metallurgy and Materials, University of Birmingham, Sept 2010−Sept 2011。

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