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技術 鋼床版における溶接金属の溶け込み量の評価方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 島貫広志米澤隆行
出願日 2016年10月7日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-198744
公開日 2018年4月12日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-058094
状態 特許登録済
技術分野 処理全般、補助装置、継手、開先形状 橋または陸橋
主要キーワード 設定変位量 評価方向 平面ひずみ 硬化則 FEM解析モデル 押圧側 拘束点 変形係数
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図面 (11)

課題

鋼床版において、溶接金属溶け込み量を簡単に評価することができる方法を提供する。

解決手段

押圧工程では、側壁部6b,6cがUリブ6の外側に向かって変形するように、押圧部28a,28bによって側壁部6b,6cをUリブ6の内側から押す。情報取得工程では、押圧工程における側壁部6b,6cの変位量および押圧部28a,28bから側壁部6b,6cに加わる荷重に関する変形情報を取得する。評価工程では、予め設定されたマスターカーブと情報取得工程で取得した変形情報に基づいて、デッキプレート3と側壁部6b,6cとを接合する溶接金属10の溶け込み量を評価する。

概要

背景

従来、橋梁等の土木構造物において、鋼床版が用いられている(例えば、特許文献1参照)。図1は、鋼床版を備えた橋梁の一例を示す図である。なお、図1においては、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示している。X方向は橋梁1の長さ方向を示し、Y方向は橋梁1の幅方向を示し、Z方向は鉛直方向を示す。以下の説明では、橋梁1の幅方向を、左右方向ともいう。

図1に示す橋梁1は、鋼床版2を有している。鋼床版2は、デッキプレート3と、複数の主桁4と、複数の横リブ5と、複数の縦リブ6とを有している。デッキプレート3、主桁4、横リブ5および縦リブ6はそれぞれ、鋼材からなる。

デッキプレート3は、平板形状を有する。デッキプレート3の表面3aは、舗装材7によって舗装されている。舗装材7としては、例えば、アスファルトまたはコンクリート等の種々の材料を用いることができる。

主桁4は、Y−Z平面に平行な断面においてI字形状を有し、かつ橋梁1の長さ方向に延びるように設けられている。主桁4の上端部は、例えば、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。

横リブ5は、X−Z平面に平行な断面において逆T字形状を有し、かつ橋梁1の幅方向に延びるように設けられている。具体的には、横リブ5は、上下に延びるウェブと、ウェブの下端部に一体に設けられたフランジとを有している。なお、図1においては、横リブ5の形状を分かりやすくするために、ウェブにハッチングを付している。横リブ5の左右の端部は、例えば、主桁4に溶接されている。

縦リブ6は、上方に向かって開口するように開断面形状(図1の例では、略U字形状)を有するUリブである。以下、縦リブ6を、Uリブ6という。具体的には、Uリブ6は、左右方向に延びる底壁部6aと、底壁部6aの左右方向における両端部から上方に延びる一対の側壁部6b,6cとを有する。側壁部6b,6cは、先端側(図1においては上側)ほど互いの間隔が広がるように、底壁部6aに対して傾斜している。Uリブ6は、橋梁1の長さ方向に延びるように、かつ横リブ5を貫通するように設けられている。側壁部6b,6cの上端部は、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。

図2は、Uリブ6と側壁部6bとの接合部9を示す拡大図である。図2に示すように、側壁部6bをデッキプレート3に溶接する際には、例えば、側壁部6bの先端部のうち外側の部分6dが溶接金属溶接ビード)10によってデッキプレート3に接合される。通常、側壁部6bの先端部のうち内側の部分6eは接合されない。このため、デッキプレート3と溶接金属10と部分6eとの間に、切欠き状の空間11(以下、不溶着部11という。)が形成されている。なお、図2には示していないが、デッキプレート3および側壁部6cも同様に溶接金属10によって接合されている。

概要

鋼床版において、溶接金属の溶け込み量を簡単に評価することができる方法を提供する。押圧工程では、側壁部6b,6cがUリブ6の外側に向かって変形するように、押圧部28a,28bによって側壁部6b,6cをUリブ6の内側から押す。情報取得工程では、押圧工程における側壁部6b,6cの変位量および押圧部28a,28bから側壁部6b,6cに加わる荷重に関する変形情報を取得する。評価工程では、予め設定されたマスターカーブと情報取得工程で取得した変形情報に基づいて、デッキプレート3と側壁部6b,6cとを接合する溶接金属10の溶け込み量を評価する。

目的

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、鋼床版において、溶接金属の溶け込み量を簡単に評価することができる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

デッキプレートと、一対の側壁部を有するUリブとを備えた鋼床版において、前記デッキプレートと前記一対の側壁部とを接合する溶接金属溶け込み量を評価する評価方法であって、前記一対の側壁部が前記Uリブの外側に向かって変形するように、一対の押圧部によって前記一対の側壁部を前記Uリブの内側から押す押圧工程と、前記押圧工程における前記一対の側壁部の前記Uリブの外側への変位量および前記一対の押圧部から前記一対の側壁部に加わる荷重に関する変形情報を取得する情報取得工程と、予め設定された変形情報と溶け込み量に関する溶け込み情報との関係、および前記情報取得工程で取得した前記変形情報に基づいて、前記デッキプレートと前記一対の側壁部とを接合する前記溶接金属の溶け込み量を評価する評価工程と、を含む、溶接金属の溶け込み量の評価方法。

請求項2

前記押圧工程では、前記一対の側壁部に加わる荷重が予め設定された設定荷重になるように前記一対の押圧部によって前記一対の側壁部を押し、前記情報取得工程では、前記押圧工程において前記一対の側壁部に加わる荷重が前記設定荷重に等しくなったときの前記一対の側壁部の変位量を前記変形情報として取得する、請求項1に記載の溶接金属の溶け込み量の評価方法。

請求項3

前記押圧工程では、前記一対の側壁部のうちの少なくとも一方の側壁部の変位量が予め設定された設定変位量になるように前記一対の押圧部によって前記一対の側壁部を押し、前記情報取得工程では、前記押圧工程において前記一方の側壁部の変位量が前記設定変位量に等しくなったときに前記一対の側壁部に加わる荷重を前記変形情報として取得する、請求項1に記載の溶接金属の溶け込み量の評価方法。

請求項4

前記情報取得工程では、前記押圧工程で前記一対の側壁部が変形する過程における複数の時点の前記変形情報を取得する、請求項1に記載の溶接金属の溶け込み量の評価方法。

技術分野

0001

本発明は、鋼床版デッキプレートとUリブとを接合する溶接金属溶け込み量を評価する方法に関する。

背景技術

0002

従来、橋梁等の土木構造物において、鋼床版が用いられている(例えば、特許文献1参照)。図1は、鋼床版を備えた橋梁の一例を示す図である。なお、図1においては、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示している。X方向は橋梁1の長さ方向を示し、Y方向は橋梁1の幅方向を示し、Z方向は鉛直方向を示す。以下の説明では、橋梁1の幅方向を、左右方向ともいう。

0003

図1に示す橋梁1は、鋼床版2を有している。鋼床版2は、デッキプレート3と、複数の主桁4と、複数の横リブ5と、複数の縦リブ6とを有している。デッキプレート3、主桁4、横リブ5および縦リブ6はそれぞれ、鋼材からなる。

0004

デッキプレート3は、平板形状を有する。デッキプレート3の表面3aは、舗装材7によって舗装されている。舗装材7としては、例えば、アスファルトまたはコンクリート等の種々の材料を用いることができる。

0005

主桁4は、Y−Z平面に平行な断面においてI字形状を有し、かつ橋梁1の長さ方向に延びるように設けられている。主桁4の上端部は、例えば、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。

0006

横リブ5は、X−Z平面に平行な断面において逆T字形状を有し、かつ橋梁1の幅方向に延びるように設けられている。具体的には、横リブ5は、上下に延びるウェブと、ウェブの下端部に一体に設けられたフランジとを有している。なお、図1においては、横リブ5の形状を分かりやすくするために、ウェブにハッチングを付している。横リブ5の左右の端部は、例えば、主桁4に溶接されている。

0007

縦リブ6は、上方に向かって開口するように開断面形状図1の例では、略U字形状)を有するUリブである。以下、縦リブ6を、Uリブ6という。具体的には、Uリブ6は、左右方向に延びる底壁部6aと、底壁部6aの左右方向における両端部から上方に延びる一対の側壁部6b,6cとを有する。側壁部6b,6cは、先端側(図1においては上側)ほど互いの間隔が広がるように、底壁部6aに対して傾斜している。Uリブ6は、橋梁1の長さ方向に延びるように、かつ横リブ5を貫通するように設けられている。側壁部6b,6cの上端部は、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。

0008

図2は、Uリブ6と側壁部6bとの接合部9を示す拡大図である。図2に示すように、側壁部6bをデッキプレート3に溶接する際には、例えば、側壁部6bの先端部のうち外側の部分6dが溶接金属(溶接ビード)10によってデッキプレート3に接合される。通常、側壁部6bの先端部のうち内側の部分6eは接合されない。このため、デッキプレート3と溶接金属10と部分6eとの間に、切欠き状の空間11(以下、不溶着部11という。)が形成されている。なお、図2には示していないが、デッキプレート3および側壁部6cも同様に溶接金属10によって接合されている。

0009

特開2013−245459号公報

先行技術

0010

道路橋示方書・同解説I共通編 II鋼橋編 社団法人 日本道路協会 2012年 p.509−510

発明が解決しようとする課題

0011

ところで、溶接金属10の溶け込み量は、例えば、Uリブの厚みの75%が基準とされている(例えば、非特許文献1参照)。この溶け込み量が小さ過ぎると、上述の不溶着部11が大きくなり、デッキプレート3とUリブ6との接合強度を十分に確保できない。

0012

一方、溶接金属10の溶け込み量が大き過ぎると、Uリブ6内に溶接金属がはみ出る場合がある。この場合も、デッキプレート3とUリブ6との接合強度を十分に確保できない。

0013

以上のことから、デッキプレート3とUリブ6との接合状態を適切に評価するためには、溶接金属10の溶け込み量を確認することが重要になる。溶接金属10の溶け込み量は、不溶着部11の大きさによって評価することができる。したがって、不溶着部11の大きさを確認することができれば、デッキプレート3とUリブ6との接合状態を評価することができる。

0014

しかしながら、図2から分かるように、不溶着部11は、Uリブ6の外側からは見えない位置にある。このため、不溶着部11の大きさを目視で評価することは難しい。目視以外の方法としては、超音波を利用してデッキプレート3の上面3a側から不溶着部11の大きさを評価することが考えられる。しかしながら、Uリブ6の長さ方向の全域に亘って、超音波によって不溶着部11の大きさを測定しようとすると、長い時間を要する。また、橋梁1として用いられている鋼床版2では、超音波によって不溶着部11の大きさを測定するためには、舗装材7を除去する必要がある。この場合も、短時間で不溶着部11の大きさを評価することは難しい。

0015

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、鋼床版において、溶接金属の溶け込み量を簡単に評価することができる方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0016

(1)本発明の一実施形態に係る評価方法は、デッキプレートと、一対の側壁部を有するUリブとを備えた鋼床版において、前記デッキプレートと前記一対の側壁部とを接合する溶接金属の溶け込み量を評価する方法であって、
前記一対の側壁部が前記Uリブの外側に向かって変形するように、一対の押圧部によって前記一対の側壁部を前記Uリブの内側から押す押圧工程と、
前記押圧工程における前記一対の側壁部の前記Uリブの外側への変位量および前記一対の押圧部から前記一対の側壁部に加わる荷重に関する変形情報を取得する情報取得工程と、
予め設定された変形情報と溶け込み量に関する溶け込み情報との関係、および前記情報取得工程で取得した前記変形情報に基づいて、前記デッキプレートと前記一対の側壁部とを接合する前記溶接金属の溶け込み量を評価する評価工程と、
を含む。

0017

(2)前記押圧工程では、前記一対の側壁部に加わる荷重が予め設定された設定荷重になるように前記一対の押圧部によって前記一対の側壁部を押し、
前記情報取得工程では、前記押圧工程において前記一対の側壁部に加わる荷重が前記設定荷重に等しくなったときの前記一対の側壁部の変位量を前記変形情報として取得してもよい。

0018

(3)前記押圧工程では、前記一対の側壁部のうちの少なくとも一方の側壁部の変位量が予め設定された設定変位量になるように前記一対の押圧部によって前記一対の側壁部を押し、
前記情報取得工程では、前記押圧工程において前記一方の側壁部の変位量が前記設定変位量に等しくなったときに前記一対の側壁部に加わる荷重を前記変形情報として取得してもよい。

0019

(4)前記情報取得工程では、前記押圧工程で前記一対の側壁部が変形する過程における複数の時点の前記変形情報を取得してもよい。

発明の効果

0020

本発明によれば、デッキプレートとUリブとを接合する溶接金属の溶け込み量を簡単に評価することができる。

図面の簡単な説明

0021

図1は、鋼床版を備えた橋梁の一例を示す図である。
図2は、縦リブと側壁部との接合部を示す拡大図である。
図3は、FEM解析モデルの一例を説明するための図である。
図4は、解析結果を示す図である。
図5は、解析結果を示す図である。
図6は、解析によって得られたマスターカーブを示す図である。
図7は、本発明の一実施形態に係る評価方法を説明するための図である。
図8は、本発明の一実施形態に係る評価方法を説明するための図である。
図9は、本発明の一実施形態に係る評価方法を説明するための図である。
図10は、本発明の他の実施形態に係る評価方法を説明するための図である。

実施例

0022

本発明者らが溶接金属の溶け込み量の評価方法について研究を進める中で、予め作成したマスターカーブを用いることによって、溶接金属の溶け込み量を簡単に評価することができることが分かった。このマスターカーブは、Uリブの側壁部の変形情報と、溶接金属の溶け込み量に関する情報(以下、溶け込み情報という。)との関係を示すものである。詳細は後述するが、側壁部の変形情報には、押圧部から側壁部に加わる荷重および側壁部の変形量が含まれる。同様に、詳細は後述するが、溶け込み情報としては、例えば、不溶着部11の長さを挙げることができる。

0023

以下、本発明の一実施形態に係る溶接金属の溶け込み量の評価方法について説明する前に、マスターカーブについて説明する。

0024

(マスターカーブ)
本発明者らは、図1および図2に示した構成を有する鋼床版2において、溶接金属10の溶け込み量を適切に評価するための方法について研究を進めた。この研究の中で、本発明者らは、コンピュータを用いたFEM解析弾塑性解析)によるシミュレーションを行い、溶接金属10の溶け込み量が、鋼床版2に与える影響について検討した。

0025

図3は、本発明者らが作成したFEM解析モデルの一例を説明するための図である。具体的には、図3(a)は、鋼床版2の解析モデルを示す図であり、図3(b)は、解析モデルにおいて接合部9に相当する部分の拡大図である。解析モデルは、4節点の2次元平面ひずみ要素を用いて作成した。図3(a)に示すように、Uリブ6は、対称性を考慮して1/2モデルとした。また、鋼床版2に加えてさらに、押圧部16のモデルを作成した。押圧部16は、曲率半径Rが35mmの円弧状の押圧面16aを有している。

0026

なお、図3(a)においては、解析モデルの拘束点三角形記号で示している。FEM解析では、Uリブ6およびデッキプレート3の材料としてSM490B(JIS G3106 2008)を用いたと仮定し、その応力−ひずみ線図を用いた。SM490Bの降伏応力は452MPa、ヤング率は206GPa、ポアソン比は0.3にそれぞれ設定し、等方硬化則を仮定し4節点の二次元平面ひずみ要素を用いてFEM解析を行った。

0027

なお、以下の説明では、上下方向およびUリブ6の長さ方向に対して垂直な方向をUリブ6の幅方向とする。図3(a)においては、左右方向がUリブ6の幅方向になる。

0028

図3(b)を参照して、鋼床版2の解析モデルは、不溶着部11の長さ(Uリブ6の幅方向における長さ)dを変えて4種類作成した。不溶着部11の長さdは、2.5mm、2mm、1.5mm、および1.02mmに設定した。本実施形態では、不溶着部11の長さが、溶接金属の溶け込み量に関する溶け込み情報に相当する。

0029

シミュレーションでは、図3(a)に矢印Wで示すように、押圧部16によって、鋼床版2の側壁部6bをUリブ6の幅方向に押した。より具体的には、押圧面16aによって、側壁部6bを、Uリブ6の内側から外側に向かって押した。そして、押圧部16から側壁部6bに加わる荷重、側壁部6bの変位量、および不溶着部11の長さの関係を調べた。なお、側壁部6bの変位量とは、押圧部16が側壁部6bに接触した際の側壁部6bの位置と荷重が加えられている際の側壁部6bの位置の距離を意味する。このシミュレーションでは、押圧部16を側壁部6b側へ移動させて、押圧面16aと側壁部6bとが接触した時点の押圧部16の位置を零点として、押圧部16の零点からの移動量を、側壁部6bの変位量とした。また、押圧部16から側壁部6bに荷重が加わった際に、側壁部6bのうち、押圧部16に接触している側(内面)の移動量と、押圧側16に接触していない側(外面)の移動量とは等しい。

0030

図4および図5は、解析結果を示す図である。図4において、横軸は、側壁部6bの変位量を示し、縦軸は、押圧部16から側壁部6bに加わる単位長さ当たりの荷重を示す。なお、単位長さとは、Uリブ6の長さ方向における単位長さを意味する。また、図5において、横軸は、側壁部6bの変位量を示し、縦軸は、押圧部16から側壁部6bに加わる単位長さ当たりの荷重の変化量を、側壁部の変位量で除した値(以下、変形係数ともいう。)を示す。

0031

なお、図5においてプロットされた複数のデータ(変形係数の値)は、図4においてプロットされた複数のデータにそれぞれ対応する。図5に示した複数のデータ(変形係数の値)は、以下のようにして、図4に示した複数のデータから算出することができる。例えば、図4においてプロットされた複数のデータについてそれぞれ、そのデータの近傍における、側壁部の変位量に対する側壁部に加わる荷重の変化量の割合を求める。このようにして複数のデータごとに求められた割合が、図5においてプロットされた複数のデータ(変形係数の値)とされる。具体的には、図4を参照して、例えば、データA1とデータA2との間における、上記側壁部の変位量に対する上記荷重の変化量の割合を求めてもよい。そして、求められた割合を、図5に示すデータa1としてもよい。

0032

図5に示すように、変形係数の値(側壁部の変位量に対する側壁部に加わる荷重の変化量の割合)は、不溶着部11の長さが大きいほど、小さくなった。この結果から、本発明者らは、変形係数の値と不溶着部11の長さとの関係を整理することによって、変形係数に基づいて溶接金属10の溶け込み量を評価できると考えた。

0033

ただし、図5に示すように、変形係数の値は、側壁部6bの変位量が大きい領域(例えば、変位量が0.25mm以上の領域)では、大きく変化している。このよう変形係数の値の変化量が大きくなったのは、鋼床版2の塑性変形量が大きくなったからだと考えられる。一方、側壁部6bの変位量が小さい領域(例えば、変位量が0.25mm未満の領域)では、変形係数の値はほとんど変化していない。本発明者らは、このように変形係数の値が略一定となる領域に着目した。すなわち、側壁部6bの変位量が小さい領域における変形係数の値と不溶着部11の長さとの関係を整理することによって、溶接金属10の溶け込み量をより適切に評価できると考えた。

0034

そこで、本発明者らは、解析モデルごとに、側壁部6bの変位量が小さい領域(図5においては、変位量が0.25mm未満の領域)における変形係数の値の平均値を算出して、図6に示すようなマスターカーブを得た。図6において横軸は、不溶着部11の長さを示し、縦軸は、押圧部16から側壁部6bに加わる単位長さ当たりの荷重の変化量を、側壁部の変位量で除した値(変形係数の値)を示す。すなわち、図6に示すマスターカーブは、Uリブの側壁部の変形情報(押圧部から側壁部に加わる荷重および側壁部の変形量)と、溶接金属の溶け込み情報(不溶着部の長さ)との関係を示すものである。

0035

なお、上記の例では、解析モデルにおいて、不溶着部11の長さdを、2.5mm、2mm、1.5mm、および1.02mmに設定したが、解析モデルにおいて設定される長さdの値は、評価対象となる鋼床版2の寸法等に応じて適宜変更される。また、上述のマスターカーブの作成方法は単なる一例であり、他の方法によって、マスターカーブを作成してもよい。例えば、上述のようにFEM解析に基づいてマスターカーブを作成するのではなく、実際の鋼床版2を用いた実験によって、マスターカーブを作成してもよい。なお、マスターカーブは、評価対象となる鋼床版の寸法や材質に応じて適宜作成すればよい。

0036

(評価方法の説明)
次に、本発明の一実施形態に係る溶接金属の溶け込み量の評価方法について説明する。図7図9は、本実施形態に係る評価方法を説明するための図である。以下においては、図7に示すように、押圧装置20を用いて評価方法を実施する場合について説明する。また、以下においては、上述のマスターカーブを用いて溶接金属の溶け込み量を評価する場合について説明する。

0037

図7を参照して、本実施形態に係る評価方向では、例えば、Uリブ6の内側に、押圧装置20が配置される。そこで、まず、押圧装置20について簡単に説明する。

0038

押圧装置20は、本体部22、複数の車軸24(図7においては、1本の車軸24のみ図示)、複数の車輪26、一対の押圧部28a,28b、駆動装置30、移動量検出部32、荷重検出部34、および移動距離検出部36を備えている。なお、以下においては、Uリブ6の長さ方向を、押圧装置20の前後方向ともいい、Uリブ6の幅方向を、押圧装置20の幅方向ともいう。

0039

本実施形態では、複数(例えば、2本)の車軸24が、前後方向に並びかつ本体部22を貫通するように設けられている。各車軸24は、回転可能に本体部22に支持されている。各車軸24の両端にそれぞれ、車輪26が設けられている。各車輪26は、磁石を含む。このため、図7に示すように、デッキプレート3が上でかつUリブ6が下になった状態で、デッキプレート3の裏面3bに、磁力によって車輪26をくっつけることができる。例えば、図1に示したように、鋼床版2が橋梁1の構成部材として利用されている状態で、デッキプレート3の裏面3bに、車輪26をくっつけることができる。

0040

本体部22は、車軸24に対して、車軸24の軸方向に移動可能に設けられている。これにより、本体部22は、デッキプレート3およびUリブ6に対して、車軸24の軸方向(Uリブ6の幅方向)に移動することができる。なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、例えば、複数の車軸24のうちの少なくとも一つが、図示しない駆動源(例えば、電動モータ)によって回転駆動される。これにより、押圧装置20が、Uリブ6内において、Uリブ6の長さ方向に移動することができる。上記駆動源は、例えば、作業者によって遠隔操作されてもよい。

0041

一対の押圧部28a,28bは、本体部22に対して押圧装置20の幅方向に移動可能に、本体部22に支持されている。詳細な説明は省略するが、押圧部28a,28bはそれぞれ、上述の押圧部16と同様に、側壁部6b,6cの内面を押すための押圧面28cを有している。Uリブ6の長さ方向に直交する断面において、押圧面28cは、例えば、曲率半径が5〜50mmの円弧形状を有している。

0042

駆動装置30は、例えば、油圧によって一対の押圧部28を移動させる。本実施形態では、一対の押圧部28a,28bは、押圧装置20の幅方向に互いに均等に移動する。駆動装置30は、例えば、作業者によって遠隔操作されてもよい。なお、駆動装置30として、電動モータ等の他の装置を用いてもよい。

0043

移動量検出部32は、一対の押圧部28a,28bの本体部22に対する移動量を検出する。移動量検出部32としては、光学センサおよびレーザセンサ等の公知の変位センサを用いることができる。したがって、移動量検出部32の詳細な説明は省略する。

0044

荷重検出部34は、押圧部28a,28bに加わる荷重を検出する。荷重検出部34としては、例えば、公知の荷重センサを用いることができる。したがって、荷重検出部34の詳細な説明は省略する。

0045

移動距離検出部36は、鋼床版2(デッキプレート3)に対する本体部22の移動距離を算出する。移動距離検出部36としては、例えば、光学センサおよびレーザセンサ等の公知の変位センサを用いることができる。したがって、移動距離検出部36の詳細な説明は省略する。

0046

以下、本実施形態に係る評価方法について詳しく説明する。本実施形態では、まず、図8に示すように、押圧部28a,28bをUリブ6の幅方向に移動させて側壁部6b,6cに接触させる。以下、押圧部28a,28bが移動して、押圧部28aが側壁部6bに接触し、かつ押圧部28bが側壁部6cに接触した時点の押圧装置20の状態を、押圧装置20の基準状態とする。また、以下において左右方向とは、Uリブ6の幅方向を意味する。

0047

なお、図7に示す状態において、本体部22が側壁部6bと側壁部6cとの中央に位置していない場合には、図7に示す状態から押圧部28a,28bを左右方向に伸ばす際に、例えば、押圧部28aが先に側壁部6bに接触する。ここで、上述したように、本体部22は、車軸24に対して左右方向に移動可能に設けられている。このため、押圧部28aが側壁部6bに接触した後、さらに押圧部28a,28bを左右方向に伸ばすと、本体部22は、側壁部6cに近づくように移動する。その後、押圧部28bが側壁部6cに接触することによって、押圧装置20が基準状態になる。

0048

図9(a)には、押圧装置20が基準状態のときの、壁部6b,6c、本体部22、および押圧部28a,28bの位置関係が示されている。また、図9においては、押圧装置20が基準状態のときの、押圧部28aと側壁部6bとの接触点、押圧部28bと側壁部6cとの接触点、および本体部22の中心の左右方向における位置P1,P2,P3が示されている。

0049

次に、基準状態の押圧装置20から、押圧部28a,28bを左右方向に移動させる。具体的には、押圧部28a,28bを左右にさらに伸ばして、一対の側壁部6b,6cがUリブ6の外側に向かって変形するように、一対の押圧部28によって一対の側壁部6b,6cをUリブ6の内側から押す(押圧工程)。

0050

押圧工程では、例えば、押圧部28a,28bから側壁部6b,6cに加わる荷重が予め設定された設定荷重(本実施形態では、単位は、N/mm2)になるように、押圧部28a,28bによって側壁部6b,6bを押す。押圧部28a,28bから側壁部6b,6cに加わる荷重は、荷重検出部34の検出結果に基づいて算出することができる。なお、上記設定荷重は、例えば、押圧部28a,28bの左右方向への移動量(合計値)が1mm以下となるように設定される。

0051

次に、押圧工程における側壁部6b,6cの変形情報が取得される(情報取得工程)。本実施形態では、情報取得工程において、上記設定荷重と、側壁部6b,6cに加わる荷重が上記設定荷重になったときの側壁部6b,6cのそれぞれの変位量とが、変形情報として取得される。

0052

なお、側壁部6b,6cのそれぞれの変位量は、例えば、以下のようにして算出することができる。図9(b)には、押圧工程における、側壁部6b,6c、本体部22、および押圧部28a,28bの位置関係が示されている。また、図9においては、押圧工程における、押圧部28aと側壁部6bとの接触点、押圧部28bと側壁部6cとの接触点、および本体部22の中心の左右方向における位置p1,p2,p3が示されている。また、図9には、位置P1と位置p1との左右方向における距離d1、位置P2と位置p2との左右方向における距離d2、および位置P3と位置p3との左右方向における距離d3が示されている。

0053

上述したように、本実施形態では、押圧部28aと押圧部28bとは、本体部22に対して、互いに均等に移動する。すなわち、押圧部28aおよび押圧部28bの、本体部22に対する移動量は等しい。したがって、距離d1、距離d2および距離d3は、下記式(i)で示される関係を満たす。
d3=d1−d2 ・・・ (i)

0054

また、距離d1と距離d2との合計値は、押圧部28a,28bの移動量の合計値に相当する。したがって、押圧部28a,28bの移動量の合計値を、距離d4とすると、距離d1、距離d2および距離d4は、下記式(ii)で示される関係を満たす。
d4=d1+d2 ・・・ (ii)

0055

上記式(i),(ii)から、距離d1,d2は、下記式(iii),(iv)で表すことができる。
d1=(d3+d4)/2 ・・・ (iii)
d2=(d4−d3)/2 ・・・ (iv)

0056

本実施形態では、距離d3は、移動距離検出部36(図8参照)によって検出することができる。また、距離d4は、移動量検出部32によって検出することができる。したがって、上記式(iii),(iv)と、移動量検出部32および移動距離検出部36の検出結果とに基づいて、側壁部6b,6cのそれぞれの変位量(すなわち、距離d1,d2)を求めることができる。

0057

上記のようにして側壁部6b,6cのそれぞれの変位量を求めた後、上述のマスターカーブ(図6参照)に基づいて、溶接金属の溶け込み量を評価する(評価工程)。具体的には、評価工程では、上記の設定荷重を側壁部6bの変位量で除することによって、側壁部6bの変形係数(側壁部の変位量に対する側壁部に加わる荷重の変化量の割合)を求める。求めた変形係数を、上述のマスターカーブの縦軸の値として用いて、側壁部6bとデッキプレート3との間の不溶着部11の長さを求める。同様に、上記の設定荷重を側壁部6cの変位量で除することによって、側壁部6cの変形係数を求める。求めた変形係数を、上述のマスターカーブの縦軸の値として用いて、側壁部6cとデッキプレート3との間の不溶着部11の長さを求める。

0058

以上のように、本実施形態によれば、押圧部28a,28bで側壁部6b,6cを押したときの、側壁部6b,6cに加わる荷重(押圧部28a,28bに加わる荷重)および側壁部6b,6cの変位量に基づいて、溶接金属10の溶け込み量を簡単に評価することができる。

0059

(他の実施形態)
上述の実施形態では、押圧部28a,28bが本体部22に対して均等に移動する場合について説明したが、押圧部28aおよび押圧部28bのうちの一方が固定されていてもよい。以下、図10を参照しつつ、押圧部28aが固定されている場合を例に挙げて、側壁部6b,6cの変位量の算出方法を説明する。なお、本実施形態に係る評価方法においても、側壁部6b,6cの変位量の算出以外については、上述の実施形態に係る評価方法と同様に処理が行われるので、側壁部6b,6cの変位量の算出方法以外についての説明は省略する。

0060

図9(a)と同様に、図10(a)には、押圧装置20が基準状態のときの、壁部6b,6c、本体部22、および押圧部28a,28bの位置関係が示されている。また、図9(b)と同様に、図10(b)には、押圧工程における、側壁部6b,6c、本体部22、および押圧部28a,28bの位置関係が示されている。

0061

押圧部28aが固定されている場合も、距離d1と距離d2との合計値は、押圧部28bの移動量の合計値に相当する。したがって、押圧部28bの移動量を、距離d5とすると、距離d1、距離d2および距離d5は、下記式(v)で示される関係を満たす。
d5=d1+d2 ・・・ (v)

0062

また、押圧部28aは固定されているので、距離d1と距離d3とは等しくなる。したがって、上記式(v)において距離d1と距離d3とを置き換えることによって、距離d2は、下記式(vi)で表すことができる。
d2=d5−d3 ・・・ (vi)

0063

上述したように、距離d3は、移動距離検出部36(図8参照)によって検出することができる。また、距離d5は、押圧部28bの移動量に等しいので、移動量検出部32によって検出することができる。したがって、上記式(vi)と、移動量検出部32および移動距離検出部36の検出結果とに基づいて、側壁部6cの変位量(すなわち、距離d2)を求めることができる。また、上述したように、距離d1は距離d3に等しいので、移動距離検出部36の検出結果に基づいて、側壁部6bの変位量を求めることができる。

0064

上述の実施形態では、押圧工程において、押圧部28a,28bから側壁部6b,6cに加わる荷重が予め設定された設定荷重になるように、押圧部28a,28bを移動させる場合について説明した。しかしながら、押圧工程は、上述の例に限定されない。例えば、側壁部6b,6cの少なくも一方の変位量が予め設定された設定変位量になるように、押圧工程を実行してもよい。この場合、情報取得工程では、上記設定変位量とともに、押圧工程において一方の側壁部の変位量が設定変位量に等しくなったときに一対の側壁部に加わる荷重が、変形情報として取得される。評価工程では、この変形情報に基づいて溶接金属10の溶け込み量(不溶着部11の長さ)が評価される。

0065

なお、一対の側壁部6b,6cがそれぞれ、予め設定された設定変位量になるように、押圧工程を実行してもよい。この場合、情報取得工程では、側壁部6b,6cについてそれぞれ、押圧工程において変位量が設定変位量に等しくなったときに側壁部に加わる荷重が、変形情報として取得される。

0066

なお、情報取得工程では、押圧工程で一対の側壁部が変形する過程における複数の時点の変形情報(変位量および荷重)を取得してもよい。この場合、溶接金属10の溶け込み量をより適切に評価することができる。

0067

上述の実施形態では、溶接金属10の溶け込み情報の一例として、不溶着部11の長さを挙げたが、不溶着部11の長さ以外の情報に基づいて溶接金属10の溶け込み量を評価してもよい。例えば、Uリブ6の厚みから不溶着部11の長さを減算して得られる値を、溶接金属10の溶け込み情報としてもよい。

0068

上述の実施形態では、押圧装置20を用いて評価方法を実施する場合について説明したが、側壁部6b,6cの変位量および側壁部6b,6cに加わる荷重を測定できる他の装置を用いて、本発明に係る評価方法を実施してもよい。

0069

本発明によれば、デッキプレートとUリブとを接合する溶接金属の溶け込み量を簡単に評価することができる。したがって、本発明は、橋梁等を構成する鋼床版において、溶接金属の溶け込み量を評価する際に好適に利用することができる。

0070

1橋梁
2鋼床版
3デッキプレート
4主桁
5横リブ
6 Uリブ(縦リブ)
7舗装材
自動車
9接合部
10溶接ビード
11不溶着部
16,28a,28b押圧部
20 押圧装置

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