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技術 偏移制御回路および無線機

出願人 アイコム株式会社
発明者 上野康男
出願日 2016年9月27日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-188514
公開日 2018年4月5日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-056715
状態 特許登録済
技術分野 角度変調・電磁波の変調 送信機
主要キーワード 最大変調度 スプラッタ 音声信号ライン 全域通過フィルタ 最大周波数偏移 変調感度 占有周波数帯域幅 プリエンファシス回路
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図面 (15)

課題

周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制する。

解決手段

偏移制御回路5は、第1のリミッタ回路11、移相器12、第1の抑圧部13および低減部14を備える。第1のリミッタ回路11は、マイク2から入力され、A−D変換器3でA−D変換され、プリエンファシス回路4で周波数微分され、高周波成分の相対強度が増大された制御対象信号の振幅制限を行う。移相器12は、振幅制限された制御対象信号に対し、第1の周波数範囲内の周波数成分の位相シフトを行う。第1の抑圧部13は、位相シフトされた制御対象信号に対し、第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う。低減部14は、周波数成分が抑圧された制御対象信号に対し、第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行い、情報信号として出力する。変調部6は情報信号に応じて搬送波を周波数変調し、送信部7は周波数変調された搬送波から送信信号を生成し、アンテナ8から送信する。

概要

背景

FM(Frequency Modulation:周波数変調無線機では、周波数変調における最大変調度最大周波数偏移)を既定値以下とするために、IDC(Instantaneous Deviation Control:瞬時偏移制御回路が設けられ、IDC回路の出力で搬送波が周波数変調される。IDC回路はリミッタ回路およびスプラッタフィルタを有する。リミッタ回路においてIDC回路に入力された信号の振幅が制限され、リミッタ回路において生じた高調波成分がスプラッタフィルタで抑圧される。

特許文献1に開示される無線送受信装置においては、マイクからの音声信号プリアンプおよびプリエンファシス回路にて周波数微分され、リミッタアンプ高レベルの信号がクリップされる。スプラッタフィルタにおいて、クリップによって生じる高調波が抑圧される。リミッタアンプおよびスプラッタフィルタがIDC回路を構成する。

概要

周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制する。偏移制御回路5は、第1のリミッタ回路11、移相器12、第1の抑圧部13および低減部14を備える。第1のリミッタ回路11は、マイク2から入力され、A−D変換器3でA−D変換され、プリエンファシス回路4で周波数微分され、高周波成分の相対強度が増大された制御対象信号の振幅制限を行う。移相器12は、振幅制限された制御対象信号に対し、第1の周波数範囲内の周波数成分の位相シフトを行う。第1の抑圧部13は、位相シフトされた制御対象信号に対し、第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う。低減部14は、周波数成分が抑圧された制御対象信号に対し、第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行い、情報信号として出力する。変調部6は情報信号に応じて搬送波を周波数変調し、送信部7は周波数変調された搬送波から送信信号を生成し、アンテナ8から送信する。

目的

本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが目的である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

周波数変調を行う無線機に設けられ、前記周波数変調に用いられる情報信号を出力する偏移制御回路であって、入力された制御対象信号の振幅を第1の閾値以下の値に制限する第1のリミッタ回路と、前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号に対して、定められた第1の周波数範囲内周波数成分の位相を定められた量だけシフトする、位相シフトを行う移相器と、前記移相器で前記位相シフトされた前記制御対象信号に対して、第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う第1の抑圧部と、前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号、前記移相器で前記位相シフトされた前記制御対象信号、および前記第1の抑圧部で前記第2の閾値以上の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号のいずれかに対して、定められた第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行うことで、前記情報信号の波高値を低減する低減部と、を備える偏移制御回路。

請求項2

前記低減部は、前記第1の抑圧部で前記第2の閾値以上の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号の振幅を第3の閾値以下の値に制限する第2のリミッタ回路と、前記第2のリミッタ回路で振幅が前記第3の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号に対して、第4の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う第2の抑圧部と、を備える請求項1に記載の偏移制御回路。

請求項3

前記第3の閾値は前記第1の閾値より大きい値である請求項2に記載の偏移制御回路。

請求項4

前記第4の閾値は前記第2の閾値に一致するとみなせる値である請求項2または3に記載の偏移制御回路。

請求項5

前記第2の周波数範囲は第5の閾値以下の周波数範囲であり、前記低減部は、前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号に対して、前記第5の閾値以下の周波数成分の抑圧を行い、前記移相器は、前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限され、前記低減部で前記第5の閾値以下の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号に対して、前記位相シフトを行う、請求項1に記載の偏移制御回路。

請求項6

前記第2の周波数範囲は第6の閾値以下の周波数範囲であり、前記低減部は、前記移相器で前記位相シフトされた前記制御対象信号に対して、前記第6の閾値以下の周波数成分の抑圧を行い、前記第1の抑圧部は、前記移相器で前記位相シフトされ、前記低減部で前記第6の閾値以下の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号に対して、前記第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う、請求項1に記載の偏移制御回路。

請求項7

請求項1から5のいずれか1項に記載の偏移制御回路と、前記情報信号の信号レベルに応じて搬送波の周波数を変化させる周波数変調を行う変調部と、前記変調部で前記周波数変調された前記搬送波から送信信号を生成し、アンテナから送信する送信部と、を備える無線機。

請求項8

前記送信信号の占有周波数帯域幅に応じて、前記移相器における前記位相シフトの対象となる前記第1の周波数範囲および前記位相シフトの前記定められた量、前記第1の抑圧部の前記第2の閾値、ならびに前記低減部の前記第2の周波数範囲の少なくともいずれかを調節する調節部をさらに備える請求項7に記載の無線機。

技術分野

0001

本発明は、偏移制御回路および無線機に関する。

背景技術

0002

FM(Frequency Modulation:周波数変調)無線機では、周波数変調における最大変調度最大周波数偏移)を既定値以下とするために、IDC(Instantaneous Deviation Control:瞬時偏移制御回路が設けられ、IDC回路の出力で搬送波が周波数変調される。IDC回路はリミッタ回路およびスプラッタフィルタを有する。リミッタ回路においてIDC回路に入力された信号の振幅が制限され、リミッタ回路において生じた高調波成分がスプラッタフィルタで抑圧される。

0003

特許文献1に開示される無線送受信装置においては、マイクからの音声信号プリアンプおよびプリエンファシス回路にて周波数微分され、リミッタアンプ高レベルの信号がクリップされる。スプラッタフィルタにおいて、クリップによって生じる高調波が抑圧される。リミッタアンプおよびスプラッタフィルタがIDC回路を構成する。

先行技術

0004

特開昭61−265930号公報

発明が解決しようとする課題

0005

マイクに対して息を吹きかける、マイクを金属棒で叩く、音声信号ラインに触れる、または大声でしゃべるなどした場合に、周波数変調における最大周波数偏移が既定値を超えることがある。上記の場合、IDC回路に入力された信号が複数の周波数成分を含むため、複数の周波数成分が重なり合うことで、周波数変調に用いられる信号の波高値が増大する。周波数変調に用いられる信号の波高値が増大することで、最大周波数偏移が既定値を超えてしまう。

0006

本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが目的である。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る偏移制御回路は、周波数変調を行う無線機に設けられ、前記周波数変調に用いられる情報信号を出力する偏移制御回路であって、
入力された制御対象信号の振幅を第1の閾値以下の値に制限する第1のリミッタ回路と、
前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号に対して、定められた第1の周波数範囲内の周波数成分の位相を定められた量だけシフトする、位相シフトを行う移相器と、
前記移相器で前記位相シフトされた前記制御対象信号に対して、第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う第1の抑圧部と、
前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号、前記移相器で前記位相シフトされた前記制御対象信号、および前記第1の抑圧部で前記第2の閾値以上の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号のいずれかに対して、定められた第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行うことで、前記情報信号の波高値を低減する低減部と、
を備える。

0008

好ましくは、前記低減部は、
前記第1の抑圧部で前記第2の閾値以上の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号の振幅を第3の閾値以下の値に制限する第2のリミッタ回路と、
前記第2のリミッタ回路で振幅が前記第3の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号に対して、第4の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う第2の抑圧部と、
を備える。

0009

好ましくは、前記第3の閾値は前記第1の閾値より大きい値である。

0010

好ましくは、前記第4の閾値は前記第2の閾値に一致するとみなせる値である。

0011

好ましくは、前記第2の周波数範囲は第5の閾値以下の周波数範囲であり、
前記低減部は、前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限された前記制御対象信号に対して、前記第5の閾値以下の周波数成分の抑圧を行い、
前記移相器は、前記第1のリミッタ回路で振幅が前記第1の閾値以下の値に制限され、前記低減部で前記第5の閾値以下の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号に対して、前記位相シフトを行う。

0012

好ましくは、前記第2の周波数範囲は第6の閾値以下の周波数範囲であり、
前記低減部は、前記移相器で前記位相シフトされた前記制御対象信号に対して、前記第6の閾値以下の周波数成分の抑圧を行い、
前記第1の抑圧部は、前記移相器で前記位相シフトされ、前記低減部で前記第6の閾値以下の周波数成分が抑圧された前記制御対象信号に対して、前記第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う。

0013

本発明の第2の観点に係る無線機は、
いずれかの前記偏移制御回路と、
前記情報信号の信号レベルに応じて搬送波の周波数を変化させる周波数変調を行う変調部と、
前記変調部で前記周波数変調された前記搬送波から送信信号を生成し、アンテナから送信する送信部と、
を備える。

0014

好ましくは、前記送信信号の占有周波数帯域幅に応じて、前記移相器における前記位相シフトの対象となる前記第1の周波数範囲および前記位相シフトの前記定められた量、前記第1の抑圧部の前記第2の閾値、ならびに前記低減部の前記第2の周波数範囲の少なくともいずれかを調節する調節部をさらに備える。

発明の効果

0015

本発明によれば、制御対象信号に対して、定められた周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行うことで、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが可能である。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施の形態1に係る無線機の構成例を示すブロック図
実施の形態1に係る制御対象信号の例を示す図
実施の形態1に係る制御対象信号の例を示す図
実施の形態1に係る制御対象信号の例を示す図
実施の形態1に係る制御対象信号の例を示す図
実施の形態1に係る制御対象信号の例を示す図
実施の形態1に係る無線機の周波数変調における周波数偏移の例を示す図
周波数変調における周波数偏移の例を示す図
実施の形態1に係る無線機の周波数変調における最大周波数偏移の例を示す図
周波数変調における最大周波数偏移の例を示す図
実施の形態1に係る無線機の他の構成例を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係る無線機の構成例を示すブロック図
実施の形態2に係る無線機の他の構成例を示すブロック図
実施の形態2に係る無線機の他の構成例を示すブロック図

実施例

0017

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。

0018

(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線機の構成例を示すブロック図である。無線機1は、マイク2、マイク2からの入力をA−D(Analog-to-Digital)変換するA−D変換器3、周波数微分を行うプリエンファシス回路4、および偏移制御回路5を備える。無線機1はさらに、偏移制御回路5が出力する情報信号に応じて周波数変調を行う変調部6、変調部6の出力に応じた送信信号を生成し、アンテナ8から送信する送信部7、コントローラ20、表示部25、および操作部26を備える。偏移制御回路5は、IDC(Instantaneous Deviation Control:瞬時偏移制御)回路であり、振幅制限を行う第1のリミッタ回路11、位相シフトを行う移相器12、高調波を抑圧する第1の抑圧部13、および定められた周波数範囲内の周波数成分を抑圧することで情報信号の波高値を低減する低減部14を備える。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)21、RAM(Random Access Memory)23、およびROM(Read-Only Memory)24を備える。A−D変換器3の後続の各部は、DSP(Digital Signal Processor)で実現することができる。

0019

複雑化を避け、理解を容易にするために、図1ではコントローラ20から各部への信号線が省略されている。コントローラ20は無線機1の各部にI/O(Input/Output)22を介して接続しており、各部の処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。CPU21は、ROM24に記憶されている制御プログラムを実行して、無線機1の制御を行う。またI/O22を介して操作部26から入力されるコマンドまたはデータを処理してRAM23に一時的に記憶し、記憶したコマンドやデータを、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成される表示部25に表示する。図1の例では、無線機1の送信機能についてのみ示しているが、無線機1は受信機能を有してもよい。

0020

無線機1の各部の動作について説明する。操作部26により発信操作がされると、マイク2は音声入力に応じてアナログの音声信号をA−D変換器3に出力する。A−D変換器3は、マイク2からの音声信号をアナログからデジタルに変換してプリエンファシス回路4に出力する。プリエンファシス回路4は、入力される信号の周波数に比例したレベルの信号を出力、すなわち周波数微分を行ったのち、受信側でのS/N(Signal-to-Noise:信号対雑音)比を改善するために、該信号の高周波成分の相対強度を予め増大させる処理を行う。

0021

偏移制御回路5は、プリエンファシス回路4から入力された制御対象信号に対して、後述する変調部6が行う周波数変調における最大周波数偏移を規定値以下にするための調節を行い、調節した制御対象信号を情報信号として変調部6に出力する。偏移制御回路5の各部の動作について説明する。第1のリミッタ回路11は、制御対象信号の振幅を第1の閾値以下の値に制限する、振幅制限を行う。第1の閾値は、変調部6が行う周波数変調における最大周波数偏移の規定値に応じて定めることができる。振幅制限を行うことで、波高値が第1の閾値より大きい制御対象信号の波形は、正弦波の波形から、矩形波とみなせる波形に変形される。矩形波は、基本波奇数倍の高調波とで構成される。すなわち、第1のリミッタ回路11では、奇数倍の高調波が生成される。第1のリミッタ回路11のサンプリング周波数は、折り返しによって発生するノイズのレベルおよび振幅制限の処理の負荷に応じて定められる。

0022

移相器12は、第1のリミッタ回路11で振幅制限された制御対象信号に対して、定められた第1の周波数範囲内の周波数成分の位相を定められた量だけシフトする、位相シフトを行う。移相器12は、例えば、IIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルタで構成される全域通過フィルタである。第1の周波数範囲は、制御対象信号の周波数が取り得る値に応じて定めることができる。

0023

第1の抑圧部13は、移相器12で位相シフトされた制御対象信号に対して、第2の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う。第1の抑圧部13は、制御対象信号に含まれている、第1のリミッタ回路11で行う振幅制限および移相器12で行う位相シフトによって生じる高調波を抑圧する。第2の閾値は、制御対象信号の周波数が取り得る値に応じて定めることができる。第1の抑圧部13は、例えば、FIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタで構成されるスプラッタフィルタである。スプラッタフィルタは、遮断周波数である第2の閾値以上の周波数成分を減衰させる。スプラッタフィルタをデジタル回路で実現する場合、スプラッタフィルタの減衰特性は、アナログ回路の場合と比べて急峻であるため、第1のリミッタ回路11の出力に含まれる高調波がアナログ回路の場合よりも急激に抑圧される。高調波成分が急激に抑圧されることで、周波数変調に用いられる信号の波高値が周波数ごとにばらつくため、周波数変調における最大周波数偏移が周波数ごとにばらついてしまう。そこで、本実施の形態1に係る無線機1においては、移相器12で高調波の位相を定められた量だけシフトする。周波数変調における最大周波数偏移にばらつきが生じることを防ぐために、移相器12は、例えば3倍高調波の位相を定められた量だけシフトする。位相のシフト量はシミュレーションまたは実験を行うことで、決定することができる。移相器12が位相をシフトすることで、波高値のばらつきが抑制され、周波数変調における最大周波数偏移のばらつきが抑制される。

0024

制御対象信号に複数の周波数成分が含まれる場合、複数の周波数成分が第1のリミッタ回路11で混合されることで生じた低周波の位相が移相器12で位相シフトされることで、移相器12が出力する信号の波高値が増大することがある。波高値は、周波数変調における最大周波数偏移と同義であるから、複数の周波数成分が第1のリミッタ回路11で混合され、移相器12で位相がシフトされることで、周波数変調における最大周波数偏移が増大してしまう。周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制するため、偏移制御回路5は、第1のリミッタ回路11で振幅制限された制御対象信号、移相器12で位相シフトされた制御対象信号および第1の抑圧部13で第2の閾値以上の周波数成分が抑圧された制御対象信号のいずれかに対して、定められた第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行うことで、情報信号の波高値を低減する低減部14を備える。第2の周波数範囲は、複数の周波数成分が第1のリミッタ回路11で混合されることで生じた低周波を含む周波数範囲であり、制御対象信号の周波数が取り得る値に応じて定めることができる。

0025

実施の形態1では、低減部14は、第1の抑圧部13で第2の閾値以上の周波数成分が抑圧された制御対象信号に対して、定められた第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行う。低減部14は、第2のリミッタ回路15および第2の抑圧部16を備える。第2のリミッタ回路15は、制御対象信号の振幅を第3の閾値以下の値に制限する、振幅制限を行う。第3の閾値は、第1の閾値と同様に、後述する変調部6が行う周波数変調における最大周波数偏移の規定値に応じて定めることができる。実施の形態1においては、第3の閾値は第1の閾値より大きい値である。第2の抑圧部16は、第1の抑圧部13で第2の閾値以上の周波数成分が抑圧され、第2のリミッタ回路15で振幅制限された制御対象信号に対して第4の閾値以上の周波数成分の抑圧を行う。すなわち、第2の抑圧部16は、制御対象信号に含まれている、第2のリミッタ回路15で振幅制限を行うことで生じる高調波を抑圧する。第2の抑圧部16は、FIRフィルタで構成されるスプラッタフィルタである。スプラッタフィルタは遮断周波数である第4の閾値以上の周波数を減衰する。第4の閾値は、第2の閾値と同様に、後述する変調部6が行う周波数変調における最大周波数偏移の規定値に応じて定めることができる。実施の形態1においては、第4の閾値は第2の閾値に一致するとみなせる値である。第2の抑圧部16で第4の閾値以上の周波数成分が抑圧された制御対象信号は、情報信号として変調部6に入力される。

0026

図2ないし図6は、実施の形態1に係る制御対象信号の例を示す図である。図2ないし図6は、1.1kHzおよび2.2kHzの周波数成分を含む制御対象信号が偏移制御回路5に入力された場合の、偏移制御回路5の各部が出力する信号の波形を示す。図2ないし図6において、横軸は時間であり、縦軸は信号レベルである。図2は、第1のリミッタ回路11が出力する信号の波形である。図3は、移相器12が出力する信号の波形である。第1の周波数範囲の周波数成分の位相シフトを行うことで、波高値が増大する。図4は、第1の抑圧部13が出力する信号の波形である。第1の抑圧部13が出力する信号の波高値は、移相器12が出力する信号の波高値とほぼ同じである。図5は、第2のリミッタ回路15が出力する信号の波形である。図6は、第2の抑圧部16が出力する信号の波形である。制御対象信号に対して2回目の振幅制限を行い、振幅制限によって生じる高調波を抑圧した結果である、第2の抑圧部16が出力する信号の波高値は、第1の抑圧部13が出力する信号の波高値と比べて、減少している。すなわち、低減部14を設けることで、情報信号の波高値が低減される。

0027

移相器12として全域通過フィルタを用い、全域通過フィルタのQ値または中心周波数を調節することで、最大周波数偏移の特性の調節を簡易化することが可能である。全域通過フィルタは上述のようにIIRで実現することができるため、FIRと比べて処理の負荷を低減することが可能である。全域通過フィルタはゲインを有さない、すなわち振幅を変化させないため、変調感度に影響を与えることなく、最大周波数偏移の特性を調節することが可能である。

0028

変調部6は、第2の抑圧部16が出力する情報信号の信号レベルに応じて搬送波の周波数を変化させる周波数変調を行う。送信部7は、変調部6で周波数変調された搬送波から送信信号を生成し、アンテナ8から送信する。

0029

図7は、実施の形態1に係る無線機の周波数変調における周波数偏移の例を示す図である。図7は、1.1kHzおよび2.2kHzの周波数成分を含む制御対象信号が偏移制御回路5に入力された場合の、変調部6での周波数変調における周波数偏移を示す。図7において横軸は時間であり、縦軸は周波数偏移(単位:kHz)である。図8は、周波数変調における周波数偏移の例を示す図である。図8は、1.1kHzおよび2.2kHzの周波数成分を含む制御対象信号が偏移制御回路5に入力され、第1の抑圧部13が出力する信号の信号レベルに応じて搬送波の周波数を変更する周波数変調を行った場合の、周波数変調における周波数偏移の例を示す図である。図の見方図7と同様である。図7および図8から、第2のリミッタ回路15および第2の抑圧部16で構成される低減部14を設けることで、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが可能であることがわかる。

0030

図9は、実施の形態1に係る無線機の周波数変調における最大周波数偏移の例を示す図である。図9は、制御対象信号に2つの周波数成分、すなわち第1の周波数成分および第2の周波数成分が含まれる場合の、無線機1が有する変調部6での周波数変調における最大周波数偏移を示す。水平面の一方の軸が第1の周波数成分(単位:kHz)を示し、他方の軸が第2の周波数成分(単位:kHz)を示し、垂直軸が最大周波数偏移(単位:kHz)を示す。図10は、周波数変調における最大周波数偏移の例を示す図である。図10は、制御対象信号に2つの周波数成分が含まれ、無線機1が有する第1の抑圧部13が出力する信号の信号レベルに応じて搬送波の周波数を変更する周波数変調を行った場合の、周波数変調における最大周波数偏移の例を示す図である。図の見方は図9と同様である。

0031

図9および図10から、第2のリミッタ回路15および第2の抑圧部16で構成される低減部14を設けることで、制御対象信号に含まれる周波数成分の値によらず、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが可能であることがわかる。

0032

図11は、実施の形態1に係る無線機の他の構成例を示すブロック図である。図11に示す無線機1は、図1に示す無線機1の構成に加えて、調節部9を備える。調節部9は、送信信号の占有周波数帯域幅に応じて、移相器12における第1の周波数範囲および位相シフトの量、第1の抑圧部13における第2の閾値、ならびに低減部14における第2の周波数範囲の少なくともいずれかを調節する。無線機1は、ナローモードおよびワイドモードの2つの動作モードを有する。ナローモードにおける送信信号の占有周波数帯域幅は、ワイドモードにおける送信信号の占有周波数帯域幅より狭い。例えば、調節部9は、無線機1がナローモードおよびワイドモードのいずれのモードで動作しているかに基づき、移相器12を構成する全域通過フィルタにおいて位相をシフトする対象となる第1の周波数範囲および位相シフト量、第1の抑圧部13を構成するスプラッタフィルタの遮断周波数、ならびに第2の抑圧部16を構成するスプラッタフィルタの遮断周波数の少なくともいずれかを調節する。調節部9を、コントローラ20の機能として実装してもよい。

0033

以上説明したとおり、本実施の形態1に係る無線機1が有する偏移制御回路5によれば、低減部14によって、制御対象信号に対して、第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行うことで、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが可能である。

0034

(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係る無線機の構成例を示すブロック図である。図12に示す実施の形態2に係る無線機1が有する偏移制御回路5は、実施の形態1と同じ第1のリミッタ回路11、移相器12、および第1の抑圧部13に加えて、低減部17を備える。低減部17は、第1のリミッタ回路11で振幅制限された制御対象信号に対して、第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行うことで、情報信号の波高値を低減する。第2の周波数範囲は、第5の閾値以下の周波数範囲である。すなわち、低減部17は、第1のリミッタ回路11で振幅制限された制御対象信号に対して、第5の閾値以下の周波数成分の抑圧を行う。低減部17は、高域通過フィルタである。高域通過フィルタは、遮断周波数である第5の閾値以下の周波数成分を減衰させる。移相器12は、低減部17で第5の閾値以下の周波数成分が抑圧された制御対象信号に対して、実施の形態1と同様に位相シフトを行う。第1の抑圧部13は、実施の形態1と同様に、移相器12で位相シフトされた制御対象信号に対して、第1の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行う。低減部17で低周波を抑圧することで、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが可能である。

0035

図13は、実施の形態2に係る無線機の他の構成例を示すブロック図である。図13に示す実施の形態2に係る無線機1が有する偏移制御回路5は、実施の形態1と同じ第1のリミッタ回路11、移相器12、および第1の抑圧部13に加えて、移相器12で位相シフトされた制御対象信号に対して、第2の周波数範囲内の周波数成分の抑圧を行う低減部18を備える。第2の周波数範囲は、第6の閾値以下の周波数範囲である。低減部18は、移相器12で位相シフトされた制御対象信号に対して、第6の閾値以下の周波数成分の抑圧を行う。低減部18は、高域通過フィルタである。高域通過フィルタは、遮断周波数である第6の閾値以下の周波数成分を減衰させる。第1の抑圧部13は、低減部18で第6の閾値以下の周波数成分が抑圧された制御対象信号に対して、第2の周波数範囲内の周波数成分を抑圧する。低減部18で低周波を抑圧することで、周波数変調における最大周波数偏移の増大を抑制することが可能である。

0036

図14は、実施の形態2に係る無線機の他の構成例を示すブロック図である。図14に示す無線機1は、図12に示す無線機1の構成に加えて、調節部9を備える。調節部9は、送信信号の占有周波数帯域幅に応じて、移相器12における第1の周波数範囲および位相シフトの量、第1の抑圧部13における第2の閾値、ならびに低減部17における第5の閾値の少なくともいずれかを調節する。例えば、調節部9は、無線機1がナローモードおよびワイドモードのいずれのモードで動作しているかに基づき、全域通過フィルタにおいて位相をシフトする対象となる第1の周波数範囲および位相シフト量、第1の抑圧部13における第2の閾値、ならびに低減部17を構成する高域通過フィルタの遮断周波数の少なくともいずれかを調節する。無線機1は、図13に示す構成に加えて、調節部9を備えてもよい。調節部9を、コントローラ20の機能として実装してもよい。

0037

本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。移相器12および第1の抑圧部13を、IIRフィルタで構成される1つのスプラッタフィルタで実現してもよい。IIRで構成される1つのスプラッタフィルタで移相器12および第1の抑圧部13を実現することで、フィルタのタップ数を削減することが可能である。

0038

1無線機
2マイク
3 A−D変換器
4プリエンファシス回路
5偏移制御回路
6変調部
7 送信部
8アンテナ
9調節部
11 第1のリミッタ回路
12移相器
13 第1の抑圧部
14,17,18 低減部
15 第2のリミッタ回路
16 第2の抑圧部
20コントローラ
21 CPU
22 I/O
23 RAM
24 ROM
25 表示部
26 操作部

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