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技術 能動型振動騒音抑制装置

出願人 住友理工株式会社
発明者 大上直哉山本征範近藤光由岩本寛
出願日 2016年9月28日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2016-189276
公開日 2018年4月5日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2018-053988
状態 特許登録済
技術分野 防音、遮音、音の減衰 防振装置 車両の推進装置の配置または取付け ダンパーとばねの組合せ装置
主要キーワード 区画パネル 実フィルタ 位相成分φ 二次経路 次周波数成分 一次経路 誤差信号検出器 基準制御
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

評価点センサアクチュエータを設置しなくても、安定かつ容易に評価点における振動または騒音を抑制することができる能動型振動騒音抑制装置を提供する。

解決手段

制御装置60,160は、仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する基準制御振動生成部66と、誤差検出点20における対象振動d(n)と基準制御振動y2(n)との誤差を小さくするように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する基準フィルタ係数更新部69と、基準フィルタ係数C2(n)と誤差検出点20から評価点80までの伝達関数Bに応じた調整係数とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を算出する実フィルタ係数算出部71と、実フィルタ係数C1(n)に基づいて制御信号u1(n)を生成する制御信号生成部62とを備える。

概要

背景

例えば、特許文献1,2には、自動車において、エンジン振動に起因してステアリングユニット振動することを抑制するために、ステアリングユニットに振動センサおよびアクチュエータを設置することが記載されている。

概要

評価点センサやアクチュエータを設置しなくても、安定かつ容易に評価点における振動または騒音を抑制することができる能動型振動騒音抑制装置を提供する。制御装置60,160は、仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する基準制御振動生成部66と、誤差検出点20における対象振動d(n)と基準制御振動y2(n)との誤差を小さくするように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する基準フィルタ係数更新部69と、基準フィルタ係数C2(n)と誤差検出点20から評価点80までの伝達関数Bに応じた調整係数とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を算出する実フィルタ係数算出部71と、実フィルタ係数C1(n)に基づいて制御信号u1(n)を生成する制御信号生成部62とを備える。

目的

本発明は、評価点にセンサやアクチュエータを設置しなくても、安定かつ容易に評価点における振動または騒音を抑制することができる能動型振動騒音抑制装置を提供する

効果

実績

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請求項1

振動源による振動評価点に伝達された場合に、前記評価点における振動または騒音を能動的に抑制するための能動型振動騒音抑制装置であって、制御信号u1(n)(nは時間ステップ)に基づいた制御振動y1(n)を発生させる加振器と、前記振動源による前記振動が前記評価点とは異なる誤差検出点に伝達された場合に、前記誤差検出点に伝達された対象振動d(n)に、前記加振器が発生する前記制御振動y1(n)を合成した誤差信号e1(n)を検出する誤差信号検出器と、前記評価点における前記振動または前記騒音が小さくなるように適応制御により前記制御信号u1(n)を算出する制御装置と、を備え、前記制御装置は、仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する基準制御振動生成部と、前記誤差検出点における前記対象振動d(n)と前記基準制御振動y2(n)との誤差を小さくするように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する基準フィルタ係数更新部と、前記基準フィルタ係数C2(n)と前記誤差検出点から前記評価点までの伝達関数Bに応じた調整係数とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を算出する実フィルタ係数算出部と、前記実フィルタ係数C1(n)に基づいて前記制御信号u1(n)を生成する制御信号生成部と、を備える、能動型振動騒音抑制装置。

請求項2

前記制御装置は、前記制御信号u1(n)と前記制御信号生成部から前記誤差検出点までの伝達関数の推定値である推定伝達関数Ghとに基づいて、前記制御振動y1(n)の推定値である推定制御振動y1h(n)を算出する推定制御振動算出部と、前記誤差信号e1(n)から前記推定制御振動y1h(n)を減算することにより、前記対象振動d(n)の推定値である推定対象振動dh(n)を算出する推定対象振動算出部と、前記基準フィルタ係数C2(n)に基づいて基準制御信号u2(n)を生成する基準制御信号生成部と、前記基準制御信号u2(n)と前記推定伝達関数Ghとに基づいて前記仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する前記基準制御振動生成部と、仮想誤差検出点において前記推定対象振動dh(n)に前記仮想的な基準制御振動y2(n)を合成した仮想誤差信号e2(n)を算出する仮想誤差信号算出部と、前記仮想誤差信号e2(n)を小さくするように適応制御により前記基準フィルタ係数C2(n)を算出する前記基準フィルタ係数更新部と、を備える、請求項1に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項3

前記調整係数は、振幅成分を備え、前記調整係数の前記振幅成分は、前記振動源の振動の周波数に応じて異なる値に設定されている、請求項1または2に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項4

前記制御信号u1(n)は、複数の次数成分を合成した信号であり、前記調整係数の前記振幅成分は、前記制御信号u1(n)の次数に対応し、前記調整係数の前記振幅成分は、前記振動源の振動の周波数に応じて異なる値であり、かつ、前記制御信号u1(n)の前記次数に応じて異なる値に設定されている、請求項3に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項5

前記調整係数は、位相成分をさらに備え、前記調整係数の前記位相成分は、前記振動源の振動の周波数に応じて異なる値に設定されている、請求項3に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項6

前記調整係数は、位相成分をさらに備え、前記調整係数の前記位相成分は、前記制御信号u1(n)の次数に対応し、前記調整係数の前記位相成分は、前記振動源の振動の周波数に応じて異なる値であり、かつ、前記制御信号u1(n)の前記次数に応じて異なる値に設定されている、請求項4に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項7

前記調整係数の前記振幅成分は、前記評価点において前記振動源に起因する振動または騒音のレベルと、設定されたターゲットレベルと、に基づいて、設定されている、請求項3または4に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項8

前記ターゲットレベルは、前記振動源の振動の周波数に応じて異なる値に設定されている、請求項7に記載の能動型振動騒音抑制装置。

請求項9

前記制御装置は、複数の評価点に対応する複数の前記調整係数を記憶する記憶部を備え、前記実フィルタ係数算出部は、対象となる前記評価点に応じて、前記記憶部に記憶された前記複数の前記調整係数の中から選択された前記調整係数を用いる、請求項1−8の何れか一項に記載の能動型振動騒音抑制装置。

技術分野

0001

本発明は、能動型であって振動または騒音を抑制する装置に関するものである。

背景技術

0002

例えば、特許文献1,2には、自動車において、エンジン振動に起因してステアリングユニットが振動することを抑制するために、ステアリングユニットに振動センサおよびアクチュエータを設置することが記載されている。

先行技術

0003

特許第4107219号公報
特許第5207991号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、ステアリングユニットに振動センサおよびアクチュエータを設置することは、スペース制約から困難な場合がある。一方、振動センサおよびアクチュエータをステアリングユニットとは異なる位置に設置する場合には、振動センサの位置からステアリングユニットまでの伝達関数を予め同定することで、同定された伝達関数を考慮した適応制御によりアクチュエータを駆動することが考えられる。しかし、当該伝達関数を考慮して畳み込み演算により適応制御のフィルタ係数を算出するためには、多大な演算量を処理可能な高性能演算装置が必要となる。

0005

本発明は、評価点センサやアクチュエータを設置しなくても、安定かつ容易に評価点における振動または騒音を抑制することができる能動型振動騒音抑制装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係る能動型振動騒音抑制装置は、振動源による振動が評価点に伝達された場合に、前記評価点における振動または騒音を能動的に抑制するための能動型振動騒音抑制装置である。能動型振動騒音抑制装置は、制御信号u1(n)(nは時間ステップ)に基づいた制御振動y1(n)を発生させる加振器と、前記振動源による前記振動が前記評価点とは異なる誤差検出点に伝達された場合に、前記誤差検出点に伝達された対象振動d(n)に、前記加振器が発生する前記制御振動y1(n)を合成した誤差信号e1(n)を検出する誤差信号検出器と、前記評価点における前記振動または前記騒音が小さくなるように適応制御により前記制御信号u1(n)を算出する制御装置とを備える。

0007

前記制御装置は、仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する基準制御振動生成部と、前記誤差検出点における前記対象振動d(n)と前記基準制御振動y2(n)との誤差を小さくするように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する基準フィルタ係数更新部と、前記基準フィルタ係数C2(n)と前記誤差検出点から前記評価点までの伝達関数Bに応じた調整係数とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を算出する実フィルタ係数算出部と、前記実フィルタ係数C1(n)に基づいて前記制御信号u1(n)を生成する制御信号生成部とを備える。

0008

能動型振動騒音抑制装置によれば、誤差検出点における誤差信号e1(n)が抑制されるように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する。つまり、誤差検出点から評価点までの伝達関数Bが考慮されることなく、適応制御により基準フィルタ係数C2(n)が更新されている。そのため、適応制御において、誤差検出点から評価点までの伝達関数Bを考慮しないため、演算量が増大することはなく、高性能な演算装置が必要となることはない。

0009

ただし、基準フィルタ係数C2(n)は、評価点における振動または騒音を抑制するためのフィルタではなく、誤差検出点における誤差信号e1(n)を抑制するためのフィルタである。そこで、実フィルタ係数算出部が、基準フィルタ係数C2(n)と調整係数とを用いて、実フィルタ係数C1(n)を算出している。ここで、調整係数は、誤差検出点から評価点までの伝達関数Bに応じた係数である。そして、実フィルタ係数C1(n)を用いて、制御信号u1(n)が生成されている。従って、加振器が制御信号u1(n)に基づいて制御振動y1(n)を発生した場合に、評価点における振動または騒音が確実に抑制される。

図面の簡単な説明

0010

能動型振動騒音抑制装置を自動車に適用した場合における自動車の構成を示す図である。
第一実施形態の能動型振動騒音抑制装置の概略ブロック図である。
能動型振動騒音抑制装置を構成する加振器の一例の軸方向断面図である。
第一実施形態の能動型振動騒音抑制装置の制御装置の詳細ブロック図である。
エンジン回転数が3000rpmのときの誤差検出点における振動特性を示す。
エンジンの回転数が3000rpmのときの評価点としてのステアリングユニットにおける振動特性を示す。図6縦軸スケールは、図5の縦軸と同一である。
エンジンの回転数を1000rpm〜6000rpmに変化させた場合に、誤差検出点における振動特性を示す。図7には、全体(total)、1次成分、2次成分の振動レベルを示す。
エンジンの回転数を1000rpm〜6000rpmに変化させた場合に、評価点としてのステアリングユニットにおける振動特性を示す。図8には、全体(total)、1次成分、2次成分の振動レベルを示す。
第二実施形態の能動型振動騒音抑制装置の概略ブロック図である。
第三実施形態の能動型振動騒音抑制装置の制御装置の詳細ブロック図である。
係数リミッターに記憶される閾値を示す図である。

実施例

0011

<1.第一実施形態>
(1−1.自動車の構成)
能動型振動騒音抑制装置1(以下、「抑制装置」と称する)を自動車に適用した場合の自動車の構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、区画パネル11により区画されたエンジンルーム内に、振動発生源としてのエンジン10が、エンジンマウント12によりエンジンフレーム13に支持されている。区画パネル11には、区画パネル11により区画された車室内に、ステアリングシャフト14およびステアリングホイール15が取り付けられている。また、区画パネル11やエンジンフレーム13には、車室内にフロアパネル16およびシート17が固定されている。

0012

抑制装置1は、周期性の振動が発生する環境において、例えばエンジンマウント12に搭載された加振器30を能動的に駆動することで、評価点80における振動または騒音を抑制する。評価点80は、ステアリングホイール15やステアリングシャフト14などを構成するステアリングユニット81、シート82、または、乗員の元近傍83(ヘッドレスト)などから選択された点とする。

0013

抑制装置1による抑制対象は、エンジン10の振動に起因したステアリングユニット81の振動、エンジン10の振動に起因したシートの振動、または、エンジン10の振動に起因してフロアパネル16などが振動することによって乗員の耳元近傍83で生じる騒音などである。抑制装置1は、上記以外の位置における振動または騒音を抑制対象とすることもできる。

0014

抑制装置1は、加振器30と、誤差信号検出器40と、制御装置60とを備える。制御装置60は、適応制御により、加振器30を駆動するための制御信号u1(n)(nは時間ステップ)を生成する。制御装置60は、誤差信号検出器40により検出される誤差信号、および、エンジン10に取り付けられる回転数検出器18により検出されるエンジン10の回転数を用いて、制御信号u1(n)を生成する。

0015

適応制御に用いるための誤差信号検出器40は、評価点80とは異なる誤差検出点20における振動を検出する。誤差信号検出器40は、エンジンマウント12におけるエンジンフレーム13側に固定される部材に固定される。つまり、誤差検出点20は、振動発生源としてのエンジン10から評価点80までの振動の伝達経路の中間に位置する。また、加振器30は、エンジンマウント12に設けられており、誤差信号検出器40と同様に、エンジン10から評価点80までの振動の伝達経路の中間に位置する。このように、誤差信号検出器40および加振器30は、評価点80とは異なる誤差検出点20に設けられている。

0016

(1−2.制御ブロック図の概要
抑制装置1の制御ブロック図の概要について、図2を参照して説明する。振動発生源としてのエンジン10の振動は、一次経路Wを介して誤差検出点20に伝達され、さらに誤差検出点20から合成経路(伝達関数B)を介して評価点80に伝達される。

0017

なお、評価点80がステアリングユニット81である場合には、エンジン10の振動は、合成経路(伝達関数B1)を介して評価点80としてのステアリングユニット81に伝達される。評価点80がシート82である場合には、エンジン10の振動は、合成経路(伝達関数B2)を介して評価点80としてのシート82に伝達される。評価点80が乗員の耳元近傍83である場合には、エンジン10の振動は、合成経路(伝達関数B3)を介することで途中で騒音に変換されて、評価点80としての乗員の耳元近傍83に伝達される。

0018

一方、抑制装置1の制御装置60が生成した制御信号u1(n)は、二次経路の伝達関数Gを介して誤差検出点20に伝達される。二次経路とは、制御装置60から誤差検出点20までの経路である。ここで、二次経路の伝達関数Gには、加振器30の駆動に関する伝達関数、および、加振器30から誤差検出点20までの経路の伝達関数が含まれる。つまり、加振器30が発生した制御振動は、誤差検出点20を経由し、かつ、合成経路(伝達関数B)を介して評価点80に伝達される。

0019

従って、制御装置60は、誤差検出点20における誤差信号およびエンジン10による振動の周波数fに基づいて、適応制御により制御信号u1(n)を生成する。ただし、合成経路の伝達関数Bを考慮するために、制御装置60の記憶部70には、合成経路の伝達関数Bに関する特性が予め記憶されている。そして、制御装置60は、当該特性を用いて、適応フィルタの調整を行っている。なお、後述するが、適応フィルタの調整は、適応フィルタの更新演算とは異なる。

0020

(1−3.加振器30の構成)
加振器30の構成について、図3を参照して説明する。加振器30は、例えば、能動型エンジンマウント能動型ダイナミックダンパなどを適用できる。ここでは、加振器30は、能動型のエンジンマウントを例にあげる。

0021

加振器30は、図3に示すように、電磁式加振器である。つまり、加振器30は、固定子36aに巻回されているコイルを備える。加振器30は、コイルに流れる電流定格電流以下となるように制限されている。ここで、定格電流には、コイルが発熱で破損する電流値である温度上昇許容電流と、インダクタンス劣化が大きくなる電流値である直流重畳許容電流とがある。特に、コイルの破損を防止するために、加振器30は、コイルに流れる電流が定格電流のうち温度上昇許容電流以下となるように設定されている。

0022

また、加振器30は、制御振動を発生するために往復移動する加振体36bを備える。加振体36bは、加振体用ストッパ37により移動範囲規制されている。つまり、加振器30は、自身の動作制限の範囲内、すなわち、温度上昇許容電流による動作制限の範囲内且つストッパによる移動範囲の制限の範囲内において、制限された制御振動y1(n)を発生する。

0023

この加振器30は、例えば、特開2013−61001号公報に記載されている。加振器30は、エンジン10をエンジンフレーム13(図1に示す)に対して支持する部材であり、加振体36bを能動的に振動させることにより、エンジン10の振動を能動的にエンジンフレーム13に伝達することを抑制する。

0024

加振器30は、第一取付金具31と、第二取付金具32と、本体ゴム弾性体33と、弾性仕切板34と、ダイヤフラム35と、アクチュエータ36と、加振体用ストッパ37と、取付金具用ストッパ38を備える。

0025

第一取付金具31は、エンジン10側に取付けられる部材である。第二取付金具32は、複数の部材により全体として筒状に形成され、防振対象部材としてのエンジンフレームに取付けられる部材である。第一取付金具31と第二取付金具32とは、互いに離隔して対向配置されている。第一取付金具31と第二取付金具32との間には本体ゴム弾性体33が介装されており、第一取付金具31と第二取付金具32とは弾性的に連結されている。

0026

第二取付金具32の内部で本体ゴム弾性体33の図3の下方側には、円盤状のゴム製からなる弾性仕切板34が配置されている。この弾性仕切板34と本体ゴム弾性体33とにより、エンジン10からの振動が入力される受圧室34aを形成している。また、第二取付金具32の内部で弾性仕切板34の図3の下方側には、変形容易な薄肉ゴム弾性膜により形成されたダイヤフラム35が配置されている。このダイヤフラム35と弾性仕切板34とにより、容積変化が容易に許容される平衡室34bを形成している。そして、受圧室34aおよび平衡室34bには、非圧縮性流体封入されている。さらに、受圧室34aと平衡室34bとは、オリフィス通路により連通している。

0027

そして、アクチュエータ36は、固定子36aと、固定子36aに対して軸方向(図3の上下方向)に相対移動可能な加振体36bとを備える。固定子36aは、円筒形状に形成されており、第二取付金具32に固定されている。さらに、固定子36aは、コイルが巻回されている。

0028

加振体36bは、アーマチャを構成し、固定子36aの中心孔を軸方向に移動可能に配置されている。さらに、加振体36bは、弾性仕切板34に連結されている。つまり、固定子36aのコイルに周期性の電流を供給することにより、当該電流に応じた電磁力が発生し、当該電磁力により加振体36bが固定子36aに対して軸方向に振動する。そして、加振体36bの固定子36aに対する軸方向への振動することに伴い、弾性仕切板34が変形する。このように、弾性仕切板34の変形により、受圧室34aの圧力制御が行われる。つまり、弾性仕切板34を能動的に適切に変形させて受圧室34aの圧力を能動的に変化させることで、エンジン10の振動がエンジンフレーム13側へ伝達されないようにすることができる。

0029

加振体用ストッパ37は、ゴムにより形成され、加振体36bの下面に対向する位置にて、第二取付金具32に固定されている。加振体用ストッパ37は、加振体36bが下方に大きく移動した場合に、加振体36bの移動を規制する。この加振体用ストッパ37は、加振体36bを構成する円筒形状の加振体本体と加振体本体に連結されるロッドとのそれぞれを規制することができる。

0030

取付金具用ストッパ38は、第一取付金具31と第二取付金具32との相対変位を規制する。取付金具用ストッパ38は、第一取付金具31に取り付けられた一対のゴム板38a,38bにより構成される。一対のゴム板38a,38bの軸方向間には、第二取付金具32から延在して形成された当接部32aが挟まれるように配置されている。つまり、第一取付金具31と第二取付金具32とが大きく相対移動した場合には、当接部32aが、一対のゴム板38a,38bに当接する。なお、図3において、誤差信号検出器40が、第二取付金具32に固定されている。

0031

(1−4.制御装置60の構成)
制御装置60の構成について、図4を参照して説明する。数式および図面において、推定値を意味する「^」を用いるが、明細書の本文においては記載の都合上、推定値「ハット(^)」は「h」と記載する。

0032

制御装置60は、周波数算出部61と、制御信号生成部62と、推定制御振動算出部63と、推定対象振動算出部64と、基準制御信号生成部65と、基準制御振動生成部66と、仮想誤差信号算出部67と、推定伝達関数設定部68と、基準フィルタ係数更新部69と、記憶部70、実フィルタ係数算出部71とを備える。

0033

周波数算出部61は、振動または騒音の発生源としてのエンジン10による振動の基本周波数(1次周波数)fを算出する。詳細には、周波数算出部61は、エンジン10の回転数を検出するための回転数検出器18から周期性のパルス信号を入力する。そして、周波数算出部61は、入力されたパルス信号に基づいて、エンジン10による振動の周波数fを算出する。

0034

エンジンによる振動の基本周波数fは、式(1)により表される。式(1)において、Rは、エンジン10の1分間あたりの回転数であり、Naは、クランクシャフトが1回転する間に点火する回数である。

0035

0036

例えば、直列気筒エンジンの場合には、クランクシャフトが2回転する間に4回の点火が行われる。そのため、クランクシャフトが1回転する間に2回の点火が行われる。このように、クランクシャフトが1回転する間に点火する回数は、エンジン10の構成によって決まる。そして、エンジン10の回転数が3000rpmの場合には、基本周波数(1次周波数)fは、100Hzとなり、2次周波数(2f)は200Hzとなり、3次周波数(3f)は300Hzとなる。なお、基本周波数fに2πを乗算した値は、角周波数ωとなる。そこで、周波数算出部61は、角周波数ωを算出することもできる。

0037

制御信号生成部62は、実フィルタ係数C1(n)に基づいて制御信号u1(n)を生成する。制御信号u1(n)は、例えば、式(2)のように表される正弦波信号である。制御信号u1(n)は、1次成分(基本成分)と2次成分との合成により表される。ただし、制御信号u1(n)は、3次以上の成分を合成することもできる。式(2)において、a11(n)は、1次成分の振幅係数であり、a12(n)は、2次成分の振幅係数であり、φ11(n)は、1次成分の位相係数であり、φ12(n)は、2次成分の位相係数であり、ωは、周波数算出部61で算出された角周波数であり、t(n)は、サンプリング時刻である。

0038

0039

ここで、実フィルタ係数C1(n)は、式(3)に示すように、振幅係数a11(n),a12(n)、位相係数φ11(n),φ12(n)を含む。つまり、制御信号u1(n)は、実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n),a12(n)、位相係数φ11(n),φ12(n)、および、エンジン10による振動の周波数fに基づいて生成される。

0040

0041

推定制御振動算出部63は、制御振動y1(n)の推定値である推定制御振動y1h(n)を算出する。詳細には、推定制御振動算出部63は、式(4)に従って、制御信号u1(n)と二次経路の伝達関数Gの推定値である推定伝達関数Ghとに基づいて、推定制御振動y1h(n)を算出する。二次経路は、制御信号生成部62から誤差検出点20までの経路である。つまり、二次経路の伝達関数Gは、加振器30の伝達関数と、加振器30から誤差検出点20までの伝達関数G2とを含む。また、推定伝達関数Ghは、加振器30を駆動することによって、二次経路の伝達関数Gを予め同定することで得られる。推定伝達関数Ghを同定する際には、このとき、加振器30は、自身の動作制限の範囲内となるように駆動される。

0042

0043

推定対象振動算出部64は、対象振動d(n)の推定値である推定対象振動dh(n)を算出する。詳細には、推定対象振動算出部64は、式(5)に従って、誤差信号e1(n)から推定制御振動y1h(n)を減算することにより推定対象振動dh(n)を算出する。

0044

0045

基準制御信号生成部65は、基準フィルタ係数C2(n)に基づいて基準制御信号u2(n)を生成する。基準制御信号u2(n)は、例えば、式(6)のように表される正弦波信号である。基準制御信号u2(n)は、制御信号u1(n)と同様に、1次成分(基本成分)と2次成分との合成により表される。ただし、基準制御信号u2(n)は、3次以上の成分を合成することもできる。式(6)において、a21(n)は、1次成分の振幅係数であり、a22(n)は、2次成分の振幅係数であり、φ21(n)は、1次成分の位相係数であり、φ22(n)は、2次成分の位相係数であり、ωは、周波数算出部61で算出された角周波数であり、t(n)は、サンプリング時刻である。

0046

0047

ここで、基準フィルタ係数C2(n)は、式(7)に示すように、振幅係数a21(n),a22(n)、位相係数φ21(n),φ22(n)を含む。つまり、基準制御信号u2(n)は、基準フィルタ係数C2(n)の振幅係数a21(n),a22(n)、位相係数φ21(n),φ22(n)、および、エンジン10による振動の周波数fに基づいて生成される。

0048

0049

基準制御振動生成部66は、仮想誤差検出点21における仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する。仮想誤差検出点21とは、誤差検出点20に相当する位置であって、制御装置60において演算のみに用いる誤差検出点である。基準制御振動y2(n)は、対象振動d(n)を制振するための誤差検出点20における振動である。そして、基準制御振動生成部66は、式(8)に従って、基準制御信号u2(n)と推定伝達関数Ghとに基づいて基準制御振動y2(n)を算出する。

0050

0051

仮想誤差信号算出部67は、式(9)に従って、仮想誤差検出点21において、推定対象振動dh(n)に基準制御振動y2(n)を合成した仮想誤差信号e2(n)を算出する。

0052

0053

推定伝達関数設定部68は、エンジン10の振動の1次周波数fに応じて、推定伝達関数Ghの振幅係数および位相係数を予め記憶する。そして、推定伝達関数設定部68は、周波数算出部61により算出された周波数fに基づいて、周波数fに対応する推定伝達関数Ghの振幅係数A1hおよび位相係数Φ1hを決定する。

0054

基準フィルタ係数更新部69は、振幅および位相変数とするDXHSアルゴリズムを用いて、基準フィルタ係数C2(n)における振幅係数a21(n),a22(n)および位相係数φ21(n),φ22(n)を更新する。基準フィルタ係数更新部69は、仮想誤差信号e2(n)を用いて、仮想誤差信号e2(n)が小さくなるように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を算出する。つまり、基準フィルタ係数更新部69は、加振器30に基準制御振動y2(n)を発生させるための基準制御信号u2(n)における基準フィルタ係数C2(n)を適応制御により更新する。

0055

基準フィルタ係数更新部69は、例えば、式(10)(11)に従って、基準フィルタ係数C2(n)の振幅係数a21(n)の更新値Δa21(n+1)、および、位相係数φ21(n)の更新値Δφ21(n+1)を算出する。式(10)(11)において、μa1およびμφ1は、ステップサイズパラメータである。

0056

0057

0058

基準フィルタ係数更新部69は、同様に、基準フィルタ係数C2(n)の振幅係数a22(n)の更新値Δa22(n+1)、および、位相係数φ22(n)の更新値Δφ22(n+1)を算出する。

0059

更新された振幅係数a21(n+1)および位相係数φ21(n+1)は、式(12)(13)に示す通りである。また、振幅係数a22(n+1)および位相係数φ22(n+1)も同様に更新される。このように、基準制御信号生成部65が生成する基準制御信号u2(n)は、更新された振幅係数a21(n+1),a22(n+1)および位相係数φ21(n+1),φ22(n+1)を用いて生成される。

0060

0061

0062

記憶部70は、誤差検出点20から評価点80までの伝達関数B(B1、B2、B3)に応じた調整係数を記憶する。調整係数は、表1に示すように、振幅成分位相成分とを含む。さらに、調整係数の振幅成分および位相成分は、エンジン10による振動の次数毎に設定されている。さらに、調整係数の振幅成分および位相成分は、エンジン10による振動の1次周波数fの周波数帯域に応じて異なる値に設定されている。本実施形態においては、1次周波数fの周波数帯域は、f1〜f2、f2〜f3、f3〜f4としている。

0063

0064

例えば、直列4気筒エンジンの場合に、1次周波数f1は、エンジン10の回転数が1000rpmに対応する33Hz、f2は、2000rpmに対応する66Hz、f3は、4000rpmに対応する133Hz、f4は、6000rpmに対応する200Hzである。

0065

実フィルタ係数算出部71は、基準フィルタ係数C2(n)と記憶部70に記憶されている調整係数とに基づいて、実フィルタ係数C1(n)を算出する。実フィルタ係数算出部71は、式(14)〜式(17)に従って、実フィルタ係数C1(n)を算出する。つまり、実フィルタ係数算出部71は、基準フィルタ係数C2(n)に対して、調整係数を用いて補正する。

0066

0067

0068

0069

0070

つまり、式(14)(15)より、実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n),a12(n)は、基準フィルタ係数C2(n)の振幅係数a21(n),a22(n)に調整係数の振幅成分Aad11,Aad21,Aad31,Aad12,Aad22,Aad32を乗算した値とする。また、式(16)(17)より、実フィルタ係数C1(n)の位相係数φ11(n),φ12(n)は、基準フィルタ係数C2(n)の位相係数φ21(n),φ22(n)に調整係数の位相成分φad11,φad21,φad31,φad12,φad22,φad32を加算した値とする。実フィルタ係数C1(n)は、制御信号生成部62において制御信号u1(n)の生成に用いられる。

0071

(1−5.調整係数の具体例)
調整係数の具体例について、図5図8を参照して説明する。図5は、エンジン10の回転数が3000rpmの場合に、加振器30を駆動していない場合における誤差信号検出器40による検出値周波数特性である。図6は、エンジン10の回転数が3000rpmの場合に、加振器30を駆動していない場合における評価点80としてのステアリングユニット81における振動の周波数特性である。

0072

図5から分かるように、エンジン10による振動の1次周波数は、100Hzであり、2次周波数は、200Hzである。ここで、図6における1次周波数である100Hz付近における振動レベルは、図5における誤差検出点20における振動レベルに対して小さくなっている。一方、図6における2次周波数である200Hz付近における振動レベルは、図5における誤差検出点20における振動レベルに対して大きくなっている。つまり、エンジン10の回転数が3000rpmの場合には、1次周波数の振動の影響は小さく、2次周波数の振動の影響は大きい。

0073

図5および図6は、エンジン10の回転数が3000rpmの場合であったので、エンジン10の回転数が変化させた場合において、振動の1次周波数成分の影響と振動の2次周波数成分の影響について検討する。

0074

図7に、エンジン10の回転数を1000rpm〜6000rpmに変化させた場合に、誤差検出点20における振動特性を示す。図7から分かるように、エンジン10の回転数が大きくなるほど、全体の振動レベル(total)は、徐々に大きくなっている。また、エンジン10の回転数が大きくなるほど、1次成分の振動レベル、2次成分の振動レベルが、徐々に大きくなっている。そして、エンジン10の回転数が1000rpm〜6000rpmの全ての範囲において、1次成分の振動レベルは、2次成分の振動レベルより大きくなっている。

0075

図8には、エンジン10の回転数を1000rpm〜6000rpmに変化させた場合に、評価点80の一つであるステアリングユニット81における振動特性を示す。図8から分かるように、エンジン10の回転数が変化すると、全体の振動レベル(total)は周期的に変化している。詳細には、エンジン10の回転数が1000rpm、2000rpm、4000rpm、6000rpmの付近にて、全体の振動レベルが極小値を示す。つまり、エンジン10の回転数が1000〜2000rpmの中間付近、2000〜4000rpmの中間付近、4000〜6000rpmの中間付近にて、全体の振動レベルは極大値を示す。

0076

ところが、1次成分の振動レベルに着目すると、1次成分の振動レベルは、エンジン10の回転数が1000〜2000rpm、4000〜6000rpmにおいて、極大値を有する。一方、2次成分の振動レベルに着目すると、2次成分の振動レベルは、エンジン10の回転数が2000〜4000rpm、4000〜6000rpmにおいて、極大値を有する。

0077

つまり、図7によれば、誤差検出点20においては、エンジン10の回転数に関わりなく、1次成分の振動レベルが2次成分の振動レベルよりも常に大きな影響を有していた。これに対して、図8によれば、評価点81においては、エンジン10の回転数の帯域によって、1次成分の振動レベルの影響が主となる場合、2次成分の振動レベルの影響が主となる場合、1次成分および2次成分の振動レベルの影響が共に主となる場合がある。具体的には、エンジン10の回転数が1000〜2000rpmにおいては、1次成分の振動レベルの影響が主であり、2000〜4000rpmにおいては、2次成分の振動レベルの影響が主であり、4000〜6000rpmにおいては、1次成分および2次成分の振動レベルが共に主となる。

0078

そして、調整係数の振幅成分の決定方法について、以下に二つの例を挙げる。第一例として、振幅成分Aadは、式(18)に従って、算出される。例えば、1次の振幅成分Aad21は、対象の周波数帯域において、最大値D1を、当該最大値D1におけるエンジン10の回転数N(周波数f)におけるターゲットレベルDtで除算した値とする。このとき、2次の振幅成分Aad22は、当該回転数N(周波数f)における振動レベルD2を、ターゲットレベルDtで除算した値とする。

0079

0080

また、第二例としての振幅成分Aadは、式(19)に従って算出される。式(19)において、pは、予め設定された係数である。例えば、1次の振幅成分Aad21は、最大値D1からターゲットレベルDtを減算した値に、1を加算した値とする。一方、2次の振幅成分Aad22は、振動レベルD2からターゲットレベルDtを減算した値に、1を加算した値とする。

0081

0082

f1を1000rpmに対応する33Hz、f2を2000rpmに対応する66Hz、f3を4000rpmに対応する133Hz、f4を6000rpmに対応する200Hzとする。f1〜f2における調整係数の1次の振幅成分Aad11は、1.8であり、2次の振幅成分Aad12は、1である。f2〜f3における調整係数の1次の振幅成分Aad21は、1.2であり、2次の振幅成分Aad22は、1.8である。f3〜f4における調整係数の1次の振幅成分Aad31は、1.5であり、2次の振幅成分Aad32は、1.4である。

0083

このように、実フィルタ係数算出部71は、基準フィルタ係数C2(n)に対して調整係数の加減乗除の演算を行うことにより、実フィルタ係数C1(n)を算出する。従って、実フィルタ係数C1(n)は、非常に容易に算出できる。さらに、調整係数は、制御信号u1(n)の次数に応じて異なる値に設定され、かつ、エンジン10による振動の周波数帯域に応じて異なる値に設定されている。これにより、評価点80における振動または騒音を確実に抑制することができる。

0084

<2.第二実施形態>
第二実施形態の抑制装置11の制御装置60について、図9を参照して説明する。第一実施形態においては、評価点80は、ステアリングホイール15やステアリングシャフト14などを構成するステアリングユニット81、シート82、または、乗員の耳元近傍83(ヘッドレスト)などから選択された一つの点とした。つまり、評価点80は、予め決定されている。

0085

第二実施形態においては、図9に示すように、評価点80は、選択することができるようにする。つまり、記憶部70は、評価点81,82,83のそれぞれに対応する合成経路の伝達関数B1,B2,B3に対応する調整係数を記憶する。調整係数は、表2に示すとおりである。

0086

0087

例えば、乗員が振動または騒音の抑制対象を選択することができ、選択された抑制対象を評価点80とするように、制御装置60の実フィルタ係数算出部71が動作する。つまり、実フィルタ係数算出部71が、選択された抑制対象に対応する調整係数を用いて実フィルタ係数C1(n)を算出する。

0088

<3.第三実施形態>
(3−1.制御装置160の構成)
第三実施形態の抑制装置100の制御装置160について、図10を参照して説明する。抑制装置100は、第一実施形態の抑制装置1に対して、さらに温度検出器150を備える。温度検出器150は、加振器30の近傍に設置され、加振器30が設置される環境温度Tを検出する。制御装置160は、第一実施形態の制御装置60に対して、さらに係数リミッター172を備える。

0089

ここで、加振器30は、自身の動作制限の範囲内、すなわち、温度上昇許容電流による動作制限の範囲内且つストッパによる移動範囲の制限の範囲内において、制限された制御振動y1(n)を発生する。

0090

また、基準制御振動生成部66は、仮想誤差検出点21における仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する。ここで、基準制御振動y2(n)は、加振器30が動作制限を有しないと仮定した場合に対象振動d(n)を制振するための誤差検出点20における振動である。

0091

そのため、仮に、加振器30が、動作制限を超えるような制御信号u1’(n)を入力すると、制御信号u1’(n)に対応する制御振動y1’(n)ではなく、制限された制御振動y1(n)を発生する。この場合、誤差検出点20において誤差信号検出器40により検出される誤差信号e1(n)と、仮想誤差検出点21において仮想誤差信号算出部67により算出される仮想誤差信号e2(n)とは、異なる値となる。

0092

そこで、本実施形態においては、基準フィルタ係数更新部69が、仮想誤差信号e2(n)が小さくなるように基準フィルタ係数C2(n)を更新し、実フィルタ係数算出部71が、基準フィルタ係数C2(n)に対して調整係数の加減乗除の演算を行うことにより、実フィルタ係数C1(n)を算出する。そして、係数リミッター172が、加振器30自身の動作制限の範囲内となるように、制御信号u1(n)の実フィルタ係数C1(n)をさらに補正する。

0093

係数リミッター172は、閾値Th(limit)を記憶している。閾値Th(limit)は、加振器30の動作制限に対応する値であって、実フィルタ係数算出部71により算出された実フィルタ係数C1(n)に対する補正処理に用いられる。閾値Th(limit)は、周波数fおよび環境温度Tに応じて異なる値に設定されている。ここでは、閾値Th(limit)は、各振幅係数a11(n),a12(n)に対応する値である。そして、係数リミッター172は、周波数fおよび環境温度Tに基づいて、閾値Th(limit)を決定する。

0094

さらに、係数リミッター172は、実フィルタ係数算出部71により算出された実フィルタ係数C1(n)と閾値Th(limit)とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を補正する。詳細には、係数リミッター172は、実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n),a12(n)と閾値Th(limit)とを比較する。式(20)に示すように、a11(n)<Th(limit)の場合には、係数リミッター172は、実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n)を実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n)として選択する。一方、Th(limit)≦a11(n)の場合には、係数リミッター172は、閾値Th(limit)を実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n)として選択する。また、係数リミッター172は、振幅係数a12(n)についても同様の処理を行う。

0095

0096

つまり、実フィルタ係数算出部71および係数リミッター172は、全体として、基準フィルタ係数C2(n)に対して、式(21)に示すように選択される。

0097

0098

ここで、係数リミッター172は、実フィルタ係数算出部71により算出された位相係数φ11(n),φ12(n)の変更は行わない。つまり、位相係数φ11(n),φ12(n)は補正されない。そして、係数リミッター172により得られた実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n),a12(n)および位相係数φ11(n),φ12(n)は、上述した制御信号生成部62による制御信号u1(n)の生成に用いられる。

0099

(3−2.閾値Th(limit)の説明)
次に、閾値Th(limit)について、図11を参照して説明する。図11に示すように、閾値Th(limit)は、周波数fに応じて設定されており、且つ、環境温度T(図11では、Ta,Tb,Tcの3種類を示す)に応じて設定されている。

0100

図11において、閾値Th(limit)は、電圧として表している。閾値Th(limit)は、各振幅係数a11(n),a21(n)に対応する値である。つまり、各振幅係数a11(n),a21(n)および制御信号u1(n)は、電圧により表される。

0101

閾値Th(limit)として、加振器30のアクチュエータ36の固定子36aのコイルが発熱で破損する電流である温度上昇許容電流に対応する第一閾値Th1(Ta),Th1(Tb),Th1(Tc)と、加振体36bが加振体用ストッパ37に接触するときの電流に対応する第二閾値Th2(Ta),Th2(Tb),Th2(Tc)とが設定されている。なお、かっこ内の記号が、対応する環境温度Ta,Tb,Tcを表す。例えば、第一閾値Th1(Ta)は、環境温度Taにおける第一閾値Th1である。

0102

第一閾値Th1(Ta),Th1(Tb),Th1(Tc)は、広い周波数帯域に設定されており、周波数fが大きいほど大きな値となる。一方、第二閾値Th2(Ta),Th2(Tb),Th2(Tc)は、低い周波数帯域のみに設定されており、周波数fが大きくなるほど大きな値となる。ここで、周波数fが低い場合に加振体36bの振幅が大きくなるため、周波数fが低い帯域において加振体36bが加振体用ストッパ37に接触する可能性がある。そこで、第二閾値Th2(Ta),Th2(Tb),Th2(Tc)は、低い周波数帯域のみに設定されている。

0103

ここで、Ta,Tb,Tcは、環境温度Tを示しており、Ta<Tb<Tcの関係を有する。つまり、第一閾値Th1(Ta),Th1(Tb),Th1(Tc)および第二閾値Th2(Ta),Th2(Tb),Th2(Tc)は、環境温度Tが高いほど、小さな値となる。環境温度Tが高いほどコイルの抵抗が小さくなるため、電圧が一定の場合に、電流が大きくなる。そこで、上記のように、第一閾値Th1(Ta),Th1(Tb),Th1(Tc)および第二閾値Th2(Ta),Th2(Tb),Th2(Tc)は、環境温度Tに応じた値に設定している。

0104

つまり、係数リミッター172は、周波数算出部61により算出された周波数fに応じ、且つ、温度検出器150により検出された環境温度Tに応じた閾値Th(limit)を決定する。そして、係数リミッター172は、式(20)に従って、閾値Th(limit)と振幅係数a11(n)とを比較して、実フィルタ係数C1(n)の振幅係数a11(n)を決定する。

0105

上記実施形態においては、閾値Th(limit)は、周波数fおよび環境温度Tに応じて変化するものとした。この他に、閾値Th(limit)は、周波数fのみに応じて変化させることもでき、環境温度Tのみに応じて変化させることもできる。また、閾値Th(limit)は、第一閾値Th1と第二閾値Th2とを有するものとした。この他に、閾値Th(limit)は、第一閾値Th1のみを有するようにすることもでき、第二閾値Th2のみを有するようにすることもできる。さらに、第一閾値Th1と第二閾値Th2とが重なる周波数帯域では、第一閾値Th1と第二閾値Th2のうち値の小さい方を閾値Th(limit)として選択して用いたり、振幅係数a11(n)と第一閾値Th1および第二閾値Th2の比較結果から選択された振幅係数a11(n)のうち値の小さい方を選択して用いることもできる。

0106

<4.効果>
第一〜第三実施形態の抑制装置1,100は、振動源による振動が評価点80に伝達された場合に、評価点80における振動または騒音を能動的に抑制する。抑制装置1,100は、制御信号u1(n)(nは時間ステップ)に基づいた制御振動y1(n)を発生させる加振器30と、振動源による振動が評価点80とは異なる誤差検出点20に伝達された場合に、誤差検出点20に伝達された対象振動d(n)に、加振器30が発生する制御振動y1(n)を合成した誤差信号e1(n)を検出する誤差信号検出器40と、評価点80における振動または前記騒音が小さくなるように適応制御により制御信号u1(n)を算出する制御装置60,160とを備える。

0107

制御装置60,160は、仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する基準制御振動生成部66と、誤差検出点20における対象振動d(n)と基準制御振動y2(n)との誤差を小さくするように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する基準フィルタ係数更新部69と、基準フィルタ係数C2(n)と誤差検出点20から評価点80までの伝達関数Bに応じた調整係数とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を算出する実フィルタ係数算出部71と、実フィルタ係数C1(n)に基づいて制御信号u1(n)を生成する制御信号生成部62とを備える。

0108

抑制装置1,100によれば、誤差検出点20における誤差信号e1(n)が抑制されるように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を更新する。つまり、誤差検出点20から評価点80までの伝達関数Bが考慮されることなく、適応制御により基準フィルタ係数C2(n)が更新されている。そのため、適応制御において、誤差検出点20から評価点80までの伝達関数Bを考慮しないため、演算量が増大することはなく、高性能な演算装置が必要となることはない。

0109

ただし、基準フィルタ係数C2(n)は、評価点80における振動または騒音を抑制するためのフィルタではなく、誤差検出点20における誤差信号e1(n)を抑制するためのフィルタである。そこで、実フィルタ係数算出部71が、基準フィルタ係数C2(n)と調整係数とを用いて、実フィルタ係数C1(n)を算出している。ここで、調整係数は、誤差検出点20から評価点80までの伝達関数Bに応じた係数である。そして、実フィルタ係数C1(n)を用いて、制御信号u1(n)が生成されている。従って、加振器30が制御信号u1(n)に基づいて制御振動y1(n)を発生した場合に、評価点80における振動または騒音が確実に抑制される。

0110

また、制御装置60,160は、より詳細には、以下のように構成される。すなわち、制御装置60,160は、制御信号u1(n)と制御信号生成部62から誤差検出点20までの伝達関数の推定値である推定伝達関数Ghとに基づいて、制御振動y1(n)の推定値である推定制御振動y1h(n)を算出する推定制御振動算出部63と、誤差信号e1(n)から推定制御振動y1h(n)を減算することにより、対象振動d(n)の推定値である推定対象振動dh(n)を算出する推定対象振動算出部64と、基準フィルタ係数C2(n)に基づいて基準制御信号u2(n)を生成する基準制御信号生成部65と、基準制御信号u2(n)と推定伝達関数Ghとに基づいて仮想的な基準制御振動y2(n)を生成する基準制御振動生成部66と、仮想誤差検出点21において推定対象振動dh(n)に仮想的な基準制御振動y2(n)を合成した仮想誤差信号e2(n)を算出する仮想誤差信号算出部67と、仮想誤差信号e2(n)を小さくするように適応制御により基準フィルタ係数C2(n)を算出する基準フィルタ係数更新部69とを備える。

0111

制御装置60,160が上記のような構成であることで、仮想誤差検出点21における仮想誤差信号e2(n)を算出することができる。従って、基準フィルタ係数更新部69が、この仮想誤差信号e2(n)を用いることで、仮想誤差信号e2(n)を小さくするような適応制御により、確実に基準フィルタ係数C2(n)を算出することができる。

0112

また、制御装置60,160において、調整係数は、振幅成分を備え、調整係数の振幅成分は、振動源の振動の周波数fに応じて異なる値に設定されている。伝達関数Bの振幅成分が、振動源の振動の周波数fに応じて影響度合いが異なる。そこで、上記のように、伝達関数Bの振幅成分に対応するように、調整係数の振幅成分が設定されている。その結果、評価点80における振動または騒音を確実に抑制できる。

0113

さらに、制御信号u1(n)は、複数の次数成分を合成した信号であり、調整係数の振幅成分は、制御信号u1(n)の次数に対応している。調整係数の振幅成分は、振動源の振動の周波数に応じて異なる値であり、かつ、制御信号u1(n)の次数に応じて異なる値に設定されている。制御信号u1(n)が複数の次数成分(例えば、1次成分および2次成分)を合成した信号とする場合に、伝達関数Bの振幅成分が、次数に応じて影響度合いが異なる。そこで、上記のように、伝達関数Bの振幅成分に対応するように、調整係数の振幅成分が設定されている。その結果、評価点80における振動または騒音を確実に抑制できる。

0114

上記においては、調整係数の振幅成分について、振動源の振動の周波数fや制御信号u1(n)の次数に応じて異なる値に設定することとした。調整係数は、振幅成分に加えて、位相成分をさらに備える。この場合、調整係数の位相成分についても、振動源の振動の周波数fに応じて異なる値に設定されている。伝達関数Bの位相成分は、振動源の振動の周波数fに応じて異なる。そこで、伝達関数Bの位相成分に対応するように、調整係数の位相成分が設定されている。その結果、評価点80における振動または騒音を確実に抑制できる。

0115

さらには、調整係数の位相成分は、振動源の振動の周波数fに応じて異なる値であり、かつ、制御信号u1(n)の次数に応じて異なる値に設定されている。制御信号u1(n)が複数の次数成分(例えば、1次成分および2次成分)を合成した信号とする場合に、伝達関数Bの位相成分が、次数に応じて異なる。そこで、伝達関数Bの位相成分に対応するように、調整係数の位相成分が設定されている。その結果、評価点80における振動または騒音を確実に抑制できる。

0116

また、調整係数の振幅成分は、式(18)または式(19)に示すように、評価点80において振動源(エンジン10)に起因する振動または騒音のレベルD1,D2と、設定されたターゲットレベルDtと、に基づいて、設定されている。つまり、評価点80における振動または騒音がターゲットレベルとなるように、調整係数の振幅成分が設定されることになる。従って、評価点80における振動または騒音をターゲットレベルにまで抑制できる。

0117

また、図8に示すように、ターゲットレベルは、振動源の振動の周波数fに応じて異なる値に設定されている。調整係数の振幅の設定によって、抑制できる振動レベルは、周波数fによって異なる。そこで、ターゲットレベルを周波数fに応じて異なる値とすることで、適応制御による効果を適切に発揮できるようになる。

0118

また、第二実施形態において、制御装置60は、複数の評価点81,82,83に対応する複数の調整係数を記憶する記憶部70を備える。このとき、実フィルタ係数算出部71は、対象となる評価点81,82,83に応じて、記憶部70に記憶された複数の調整係数の中から選択された調整係数を用いる。乗員は、振動または騒音を抑制したい部位を選択することができる。従って、抑制したい部位の振動または騒音を確実に抑制できる。

0119

また、第三実施形態において、制御装置160は、実フィルタ係数算出部71により算出された実フィルタ係数C1(n)と動作制限に対応する閾値Th(limit)とに基づいて実フィルタ係数C1(n)を補正する係数リミッター172を備える。従って、制御信号u1(n)に基づいて加振器30が動作する場合、加振器30は、確実に自身の動作制限の範囲内で動作することができる。そのため、制御信号生成部62が期待した制御振動と、加振器30が実際に発生した制御振動y1(n)とが、一致する。その結果、加振器30の動作が自身の動作制限範囲内に制限されるものの、評価点80において、振動または騒音が確実に抑制される。

0120

1,100:能動型振動騒音抑制装置、 10:エンジン(振動源)、 18:回転数検出器、 20:誤差検出点、 21:仮想誤差検出点、 30:加振器、 36:アクチュエータ、 36b:加振体、 37:加振体用ストッパ、 40:誤差信号検出器、 60,160:制御装置、 61:周波数算出部、 62:制御信号生成部、 63:推定制御振動算出部、 64:推定対象振動算出部、 65:基準制御信号生成部、 66:基準制御振動生成部、 67:仮想誤差信号算出部、 68:推定伝達関数設定部、 69:基準フィルタ係数更新部、 70:記憶部、 71:実フィルタ係数算出部、 80,81,82,83:評価点、 150:温度検出器、 172:係数リミッター

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