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概要
背景
従来、導電性粘着テープ(導電性粘着シートを含む)は、電気・電子機器やケーブルの電磁波シールド用途、静電気防止用のアース取りなどの用途に用いられている。このような導電性粘着テープとしては、例えば、金属箔などの導電性基材上にニッケル粉などの導電性フィラーを粘着性物質中に分散させた導電性粘着剤からなる粘着剤層が設けられた粘着テープが知られている(特許文献1、2参照)。
近年、フレキシブルOLEDやヘルスケア用ウェアラブルデバイスなど、高いフレキシブル性が要求されるデバイスにおいては、それを構成する材料として導電性粘着テープが用いられる場合、該導電性粘着テープにおいても高いフレキシブル性が要求される。
導電性粘着テープにおける高いフレキシブル性とは、具体的には、繰り返し屈曲されても導電性粘着テープの性能を維持できるという高い耐屈曲性が挙げられる。このような導電性粘着テープの性能としては、Z軸方向において十分な導電性を発現できることはもちろんのこと、回路接続等に有効なXY軸方向においても十分な導電性を発現できることが挙げられる。
耐屈曲性については全く開示も示唆もない先行技術文献であるが、近年の電気・電子機器の小型化、薄膜化を意識した導電性粘着テープについての技術を報告した先行技術文献がある(特許文献3参照)。この技術は、粘着剤層を薄膜化した場合であっても、粘着性と導電性に優れ、さらに段差に貼付した場合にも被着体からの「浮き」が生じない優れた段差吸収性を有するという効果を発現する導電性粘着テープに関する。この技術は、代表的には、金属箔からなる基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層として特定の導電性フィラー含有粘着剤から構成される粘着剤層を有し、粘着剤層の厚みが10μm〜30μm(実施例では15μm〜25μm)、金属箔からなる基材の厚みが10μm〜100μm(実施例では40μm)という導電性粘着テープに関する。この導電性粘着テープにおいては、総厚みが約60μmというレベルまで薄膜化を達成した状態において、上記効果の発現が確認されている。そこで、この導電性粘着テープについて耐屈曲性を確認したところ、繰り返し屈曲した後に、XY軸方向における導電性が極端に低下することがわかった。
概要
高いフレキシブル性を有する導電性粘着テープを提供する。本発明の導電性粘着テープは、基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する導電性粘着テープであって、総厚みが30μm以下である。
目的
本発明の課題は、高いフレキシブル性を有する導電性粘着テープを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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請求項1
請求項2
前記基材が金属箔からなる基材である、請求項1に記載の導電性粘着テープ。
請求項3
前記基材の厚みが9μm以下である、請求項1または2に記載の導電性粘着テープ。
請求項4
請求項5
請求項6
請求項7
請求項8
前記導電性フィラーの粒径d50が前記粘着剤層の厚みより小さい、請求項4から7までのいずれかに記載の導電性粘着テープ。
請求項9
前記ベースポリマーがアクリル系ポリマーである、請求項4から8までのいずれかに記載の導電性粘着テープ。
請求項10
前記粘着剤層の厚みが20μm以下である、請求項1から9までのいずれかに記載の導電性粘着テープ。
請求項11
前記基材の両方の面側に前記粘着剤層を有する、請求項1から10までのいずれかに記載の導電性粘着テープ。
技術分野
0001
本発明は導電性粘着テープに関する。
背景技術
0002
従来、導電性粘着テープ(導電性粘着シートを含む)は、電気・電子機器やケーブルの電磁波シールド用途、静電気防止用のアース取りなどの用途に用いられている。このような導電性粘着テープとしては、例えば、金属箔などの導電性基材上にニッケル粉などの導電性フィラーを粘着性物質中に分散させた導電性粘着剤からなる粘着剤層が設けられた粘着テープが知られている(特許文献1、2参照)。
0003
近年、フレキシブルOLEDやヘルスケア用ウェアラブルデバイスなど、高いフレキシブル性が要求されるデバイスにおいては、それを構成する材料として導電性粘着テープが用いられる場合、該導電性粘着テープにおいても高いフレキシブル性が要求される。
0004
導電性粘着テープにおける高いフレキシブル性とは、具体的には、繰り返し屈曲されても導電性粘着テープの性能を維持できるという高い耐屈曲性が挙げられる。このような導電性粘着テープの性能としては、Z軸方向において十分な導電性を発現できることはもちろんのこと、回路接続等に有効なXY軸方向においても十分な導電性を発現できることが挙げられる。
0005
耐屈曲性については全く開示も示唆もない先行技術文献であるが、近年の電気・電子機器の小型化、薄膜化を意識した導電性粘着テープについての技術を報告した先行技術文献がある(特許文献3参照)。この技術は、粘着剤層を薄膜化した場合であっても、粘着性と導電性に優れ、さらに段差に貼付した場合にも被着体からの「浮き」が生じない優れた段差吸収性を有するという効果を発現する導電性粘着テープに関する。この技術は、代表的には、金属箔からなる基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層として特定の導電性フィラー含有粘着剤から構成される粘着剤層を有し、粘着剤層の厚みが10μm〜30μm(実施例では15μm〜25μm)、金属箔からなる基材の厚みが10μm〜100μm(実施例では40μm)という導電性粘着テープに関する。この導電性粘着テープにおいては、総厚みが約60μmというレベルまで薄膜化を達成した状態において、上記効果の発現が確認されている。そこで、この導電性粘着テープについて耐屈曲性を確認したところ、繰り返し屈曲した後に、XY軸方向における導電性が極端に低下することがわかった。
先行技術
0006
特開2004−263030号公報
特開2005−277145号公報
特許第5291316号公報
発明が解決しようとする課題
0007
本発明の課題は、高いフレキシブル性を有する導電性粘着テープを提供することにある。
課題を解決するための手段
0008
本発明者は、上記課題を解決するために検討を行った。その結果、基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する導電性粘着テープにおいて、その総厚みを従来にない薄いレベルにまで薄く設計すると、高い耐屈曲性という効果を顕著に発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、この効果は、特に、基材の厚みを従来にない極めて薄いレベルにまで薄く設計することによって、より顕著に発現できることがわかった。
0009
本発明の導電性粘着テープは、
基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する導電性粘着テープであって、
総厚みが30μm以下である。
0010
一つの実施形態においては、上記基材が金属箔からなる基材である。
0012
一つの実施形態においては、上記基材の厚みが9μm以下である。
0013
一つの実施形態においては、上記粘着剤層が、ベースポリマーおよび導電性フィラーを含有する導電性粘着剤から構成される。
0017
一つの実施形態においては、上記導電性フィラーの粒径d50が前記粘着剤層の厚みより小さい。
0018
一つの実施形態においては、上記導電性フィラーの粒径d50が2μm〜20μmである。
0020
一つの実施形態においては、上記ベースポリマーがアクリル系ポリマーである。
0021
一つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマーが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分として構成される重合体である。
0023
一つの実施形態においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、アクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル酸2−エチルへキシルである。
0024
一つの実施形態においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対する含有割合が、50重量%以上である。
0025
一つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマーが、アクリル酸2−エチルヘキシル20重量%〜50重量%、アクリル酸n−ブチル40重量%〜79重量%、アクリル酸1重量%〜10重量%からなるモノマー成分から得られるアクリル系ポリマーである。
0026
一つの実施形態においては、上記粘着剤層の厚みが20μm以下である。
0027
一つの実施形態においては、上記基材の両方の面側に上記粘着剤層を有する。
発明の効果
0028
本発明によれば、高いフレキシブル性を有する導電性粘着テープを提供することができる。特に、本発明によれば、繰り返し屈曲されても、Z軸方向において十分な導電性を発現でき、且つ、XY軸方向においても十分な導電性を発現できる、高い耐屈曲性を発現できる導電性粘着テープを提供することができる。
図面の簡単な説明
0032
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。
0033
本発明の導電性粘着テープは、基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する。すなわち、本発明の導電性粘着テープは、基材の一方の面側のみに粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよいし、基材の両方の面側に粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。
0034
本発明における「導電性粘着テープ」は、シート状の形態のもの、すなわち、「導電性粘着シート」を含むものとする。
0035
図1は、本発明の導電性粘着テープの一つの実施形態の概略断面図である。図1において、導電性粘着テープ1000は、基材100の両面に、粘着剤層200a、200bを有する。粘着剤層200a、200bは、図1に示すように、好ましくはそれぞれ、後述するような導電性フィラー20a、20bを含む。図1に示すように、本発明の導電性粘着テープは、粘着剤層の基材の反対側の表面に、粘着層表面の保護やブロッキング防止の観点などから、剥離ライナー(図1では、300a、300b)を有していてもよい。
0036
剥離ライナーは、代表的には、テープの使用時に剥離する。剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材;などが挙げられる。
0037
本発明の導電性粘着テープは、総厚みが30μm以下であり、好ましくは28μm以下であり、より好ましくは25μm以下であり、さらに好ましくは23μm以下である。本発明の導電性粘着テープの総厚みの下限値は、取り扱い性の点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、さらに好ましくは5μm以上である。本発明の導電性粘着テープは、総厚みが上記範囲内にあることにより、従来にないレベルの薄膜化が実現されるとともに、繰り返し屈曲されても、Z軸方向において十分な導電性を発現でき、且つ、XY軸方向においても十分な導電性を発現できる、高い耐屈曲性を発現し得る。
0038
基材は、好ましくは、金属箔からなる基材である。金属箔としては、導電性を有する材質の金属箔であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な金属箔を採用し得る。このような金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、銀箔、鉄箔、これらの合金箔などが挙げられる。これらの中でも、コスト、加工性などの観点から、好ましくは、アルミニウム箔、銅箔である。
0039
基材の厚みは、好ましくは9μm以下であり、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは7μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下であり、特に好ましくは3μm以下である。基材の厚みの下限値は、取り扱い性の点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上であり、さらに好ましくは0.5μm以上であり、特に好ましくは0.7μm以上であり、最も好ましくは1μm以上である。
0040
本発明の導電性粘着テープにおいては、基材の厚みが、好ましくは、従来の導電性粘着テープに備えられている基材の厚み(代表的には40μmあたり)と比較して、単なる設計事項の域を超えて非常に薄いレベルにある。本発明の導電性粘着テープにおいては、基材の厚みをこのように非常に薄くすることにより、繰り返し屈曲されても、Z軸方向においてより十分な導電性を発現でき、且つ、XY軸方向においてもより十分な導電性を発現できる、より高い耐屈曲性を発現し得る。ここで、例えば、基材としての金属箔(例えば、銅箔)のみを繰り返し屈曲した場合には、その基材の厚みが非常に薄いレベル(9μm以下)であってもそれより厚いレベルであっても、いずれにおいても、Z軸方向において十分な導電性を発現でき、且つ、XY軸方向においても十分な導電性を発現できる。ところが、興味深いことに、基材の少なくとも一方の面側に後述するような粘着剤層を配置して導電性粘着テープの構成とすると、繰り返し屈曲した場合、基材の厚みが非常に薄いレベル(9μm以下)のときは、Z軸方向において十分な導電性を発現でき、且つ、XY軸方向においても十分な導電性を発現できるものの、一方で、基材の厚みがそれより厚いレベルのときは、Z軸方向においては十分な導電性を発現できるが、XY軸方向においては十分な導電性を発現できないことがわかった。
0041
上記のように厚みが非常に薄い基材としては、例えば、金属箔からなる基材であって、所定の方法によって得られる超薄型金属箔を採用することができる。このような超薄型金属箔としては、例えば、圧延処理された金属箔(例えば、圧延銅箔など)、蒸着処理された金属箔(蒸着銅箔など)、スパッタ処理された金属箔から選ばれる少なくとも1種などが挙げられる。
0043
粘着剤層の厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは18μm以下であり、さらに好ましくは16μm以下であり、特に好ましくは14μm以下であり、最も好ましくは12μm以下である。粘着剤層の厚みの下限値は、取り扱い性の点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは5μm以上であり、最も好ましくは7μm以上である。本発明の導電性粘着テープは、粘着剤層の厚みが上記範囲内にあることにより、従来にないレベルの薄膜化がより実現されるとともに、繰り返し屈曲されても、Z軸方向においてより十分な導電性を発現でき、且つ、XY軸方向においてもより十分な導電性を発現できる、より高い耐屈曲性を発現し得る。粘着剤層の厚みが厚すぎると、本発明の導電性粘着テープの総厚みが大きくなってしまい、本発明の効果が発現できないおそれがある。粘着剤層の厚みが小さ過ぎると、導電性粘着剤が導電性フィラーを含む場合に、導電性フィラーが粘着剤層の厚みよりも大きくなってしまうおそれがあり、粘着剤層の表面に突起を形成するため、粘着剤層と被着体の接触面積が低下して粘着性が低下するおそれがあり、また、外観が不良となるおそれがある。
0044
ベースポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリマーを採用し得る。このようなポリマーとしては、天然ゴムや各種の合成ゴム[例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンや、これらの変性体等]などのゴム系ポリマー;アクリル系ポリマー;シリコーン系ポリマー;ビニルエステル系ポリマー;などが挙げられる。
0046
アクリル系ポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分として構成される重合体である。このようなモノマー主成分の他に、カルボキシル基含有モノマーを共重合モノマー成分として含むことが好ましい。また、必要に応じて、さらに他のモノマーが用いられていてもよい。
0047
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な(メタ)アクリル酸アルキルエステルを採用し得る。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。
0048
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、粘弾性特性の観点から、好ましくは、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)である。
0049
モノマー主成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
0050
アクリル系ポリマーにおいて、モノマー主成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対する含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。モノマー成分全量に対するモノマー主成分の割合の上限としては、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは97重量%以下である。モノマー成分全量に対するモノマー主成分の割合が上記範囲内にあることにより、粘着剤層に適度な粘弾性が付与される。モノマー成分全量に対するモノマー主成分の割合が少なすぎると、適度な粘弾性が得られないおそれがある。
0051
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有モノマーとして用いることが可能である。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
0052
モノマー成分全量に対するカルボキシル基含有モノマーの含有割合は、好ましくは1重量%〜10重量%であり、より好ましくは3重量%〜8重量%である。モノマー成分全量に対するカルボキシル基含有モノマーの含有割合が上記範囲内にあることにより、被着体に対する良好な接着性を確保し得るとともに、良好な塗工性を確保し得る。モノマー成分全量に対するカルボキシル基含有モノマーの含有割合が少なすぎると、被着体に対する良好な接着性が確保できないおそれがある。モノマー成分全量に対するカルボキシル基含有モノマーの含有割合が多すぎると、粘着剤の粘度上昇による塗工性不良などの問題が生じるおそれがある。
0053
他のモノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基含有モノマー[(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなど]、エポキシ基含有アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなど]、グリセリンジメタクリレートや2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の官能性モノマー;トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルや(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなど]や、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステル]等の芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;などが挙げられる。
0054
モノマー成分全量に対する他のモノマーの含有割合は、好ましくは10重量%未満である。
0055
ベースポリマーとして用いられるアクリル系ポリマーとしては、特に、アクリル酸2−エチルヘキシル20重量%〜50重量%、アクリル酸n−ブチル40重量%〜79重量%、アクリル酸1重量%〜10重量%からなるモノマー成分から得られるアクリル系ポリマーが、粘着剤層の粘弾性特性の観点などからも特に好ましい。
0056
アクリル系ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合方法により調製することができる。このような重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、紫外線照射による重合方法などが挙げられ、フィラー分散性、コストなどの点で、溶液重合方法が好適である。
0058
重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤;などの油溶性重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。重合開始剤の使用量は、モノマー成分全量に対して、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。
0059
溶液重合方法では、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
0060
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは30万〜100万であり、より好ましくは40万〜80万である。重量平均分子量(Mw)は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。なお、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
0061
導電性フィラー(導電性粒子)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な導電性フィラーを採用し得る。このような導電性フィラーとしては、例えば、ニッケル、鉄、クロム、コバルト、アルミニウム、アンチモン、モリブデン、銅、銀、白金、金などの金属、これらの合金もしくは酸化物、カーボンブラックなどのカーボンなどからなるフィラー;これらをポリマービーズ、樹脂、ガラス、セラミックなどに被覆したフィラー;などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、金属フィラーおよび/または金属被覆フィラーであり、特に好ましくは、ニッケル粉である。
0062
導電性フィラーの形状は、球状および/またはスパイク状であり、好ましくは球状である。球状および/またはスパイク状の導電性フィラーを用いることにより、均一分散しやすくなるため、本発明の導電性粘着テープにおける粘着性と導電性を両立し易くなる。フィラメント状、フレーク状や樹枝状のフィラーを用いる場合には、分散性が低下して粗大凝集体となったり、フィラーが粘着剤層中で粘着面と水平方向に並んでしまって厚み方向の導電性を発揮しにくくなったりするため、本発明の導電性粘着テープにおける粘着性と導電性を両立できないおそれがある。また、フィラメント状、フレーク状や樹枝状のフィラーを用いる場合には、外観不良となるおそれがある。
0063
導電性フィラーのアスペクト比は、好ましくは1.0〜1.5であり、より好ましくは1.0〜1.1である。なお、導電性フィラーのアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)にて測定することができる。
0064
導電性粘着剤に含まれる全フィラー中に占める導電性フィラーの含有割合は、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であり、さらに好ましくは99重量%以上であり、特に好ましくは実質的に全て(100重量%)のフィラーが導電性フィラーである。導電性粘着剤に含まれる全フィラー中に占める導電性フィラーの含有割合が上記範囲内にあることによって、本発明の導電性粘着テープにおける粘着性と導電性をより両立し易くなる。
0065
導電性フィラーの粒径(フィラー径ともいう)d50は、好ましくは、粘着剤層の厚みより小さい。すなわち、好ましくは、粘着剤層の厚み>d50の関係にある。d50は、粒径分布における50%累積値(メディアン径)である。d50は、例えば、レーザー回折・散乱法により測定される。なお、粘着剤層中に2種以上の導電性フィラーが含まれている場合には、全ての導電性フィラーを混合した分布からd50を算出する。
0066
d50が上記関係にあることにより、粘着剤層はより高い導電性とより優れた粘着性を両立することが可能となる。d50が粘着剤層の厚み以上の場合には、半数以上の導電性フィラーが粘着剤層の厚みよりも大きくなってしまい、粘着剤層の表面に突起を形成するため、粘着剤層と被着体の接触面積が低下して粘着性が低下するおそれがあり、また、外観が不良となるおそれがある。d50の具体的な範囲としては、好ましくは2μm〜20μmであり、より好ましくは3μm〜15μmであり、さらに好ましくは4μm〜12μmであり、特に好ましくは5μm〜10μmである。
0068
導電性粘着剤中の上記導電性フィラーの含有割合は、該導電性フィラーを除く該導電性粘着剤中の全固形分100重量部に対して、好ましくは14重量部〜45重量部である。導電性粘着剤中の上記導電性フィラーの含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の導電性粘着テープにおける粘着性と導電性をより両立し易くなる。なお、上記、「導電性フィラーを除く導電性粘着剤中の全固形分」とは、導電性粘着剤の全固形分から導電性粘着剤に含まれる導電性フィラーを除外した固形分をいうものとする。
0069
導電性粘着剤には、粘着性向上の観点から、粘着付与樹脂が添加されていてもよい。粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ロジン系粘着付与樹脂である。これら粘着付与樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
0070
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
0071
フェノール系粘着付与樹脂としては、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックの他、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
0072
ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。なお、ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;などが挙げられる。
0073
石油系粘着付与樹脂としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。
0074
芳香族系石油樹脂としては、例えば、炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)が1種のみまたは2種以上用いられて得られる重合体などが挙げられる。芳香族系石油樹脂としては、ビニルトルエンやインデン等の留分(いわゆる「C9石油留分」)から得られる芳香族系石油樹脂(いわゆる「C9系石油樹脂」)を好適に用いることができる。
0075
脂肪族系石油樹脂としては、例えば、炭素数4〜5のオレフィンやジエン[ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等のオレフィン;ブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、イソプレン等のジエンなど]が1種のみまたは2種以上用いられて得られる重合体などが挙げられる。脂肪族系石油樹脂としては、ブタジエン、ピペリレンやイソプレン等の留分(いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」など)から得られる脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を好適に用いることができる。
0076
脂環族系石油樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体またはその水素添加物、芳香族系炭化水素樹脂や、脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、スチレン−オレフィン系共重合体などが挙げられる。脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、いわゆる「C5/C9共重合系石油樹脂」などを用いることができる。
0077
粘着付与樹脂は、市販品を用いることが可能であり、例えば、ハリマ化成(株)製の商品名「ハリエスター」、荒川化学(株)製の商品名「エステルガム」や「ペンセル」、(株)理化ファインテク製の商品名「リカタック」などを使用することができる。
0078
導電性粘着剤中の粘着付与樹脂の含有割合は、粘着性向上の観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の全固形分に対して、好ましくは10重量%〜50重量%であり、より好ましくは15重量%〜45重量%である。
0079
粘着剤層に用いられる導電性粘着剤には、粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶分の割合)をコントロールする観点から、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これら中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
0080
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」];などが挙げられる。
0081
エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
0082
導電性粘着剤中の架橋剤の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の全固形分に対して、好ましくは0.001重量%〜10重量%である。
0083
導電性粘着剤には、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、防錆剤(ベンゾトリアゾール、トリルロリアゾール、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエートなど)などの、他の添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な量で含まれていてもよい。
0084
導電性粘着剤は、各種の一般的な溶剤により適宜粘度を調節して溶液(粘着剤溶液)として用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
0085
導電性粘着剤は、架橋構造化した後(すなわち、粘着剤層の状態)の、動的粘弾性試験による0〜40℃の範囲における貯蔵弾性率G’が、好ましくは1×104Pa以上1×106Pa未満である。G’が1×104Pa未満では、粘着剤層が軟らかくなりすぎ、凝集力に劣るおそれがある。一方、G’が1×106Pa以上では、粘着剤層が硬くなり、貼り付け作業性が著しく低下するおそれがある。また、導電性粘着剤は、硬化させた後の損失正接tanδのピーク温度が、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは−10℃以下である。tanδのピーク温度が0℃を超えると、低温時に粘着剤層が硬くなり、貼り付け作業性が著しく低下するおそれがある。
0086
粘着剤層の形成方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、導電性粘着剤(または、有機溶媒などを用いて溶液とした導電性粘着剤溶液)を、所定の面上(基材面上など)に、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、必要に応じて乾燥して硬化させる方法(直写法)、適当な剥離ライナー上に導電性粘着剤(または、有機溶媒などを用いて溶液とした導電性粘着剤溶液)を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、必要に応じて乾燥して硬化させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を所定の面上(基材面上など)に転写(移着)させる方法(転写法)などが挙げられる。なお、導電性粘着剤(または、有機溶媒などを用いて溶液とした導電性粘着剤溶液)の塗布に際しては、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いることができる。
0087
本発明の導電性粘着テープにおける粘着剤層の粘着力(対SUS板、180°ピール)は、好ましくは3N/25mm〜20N/25mmであり、より好ましくは5N/25mm〜17N/25mmであり、さらに好ましくは7N/25mm〜15N/25mmであり、特に好ましくは9N/25mm〜13N/25mmである。
0088
本発明の導電性粘着テープは、高いフレキシブル性を有するため、フレキシブルOLEDやヘルスケア用ウェアラブルデバイスなど、高いフレキシブル性が要求されるデバイスなどの用途に好適に用いられる。
0089
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
0090
(フィラー径d50)
フィラー径d50は、レーザー回折・散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300(日機装(株)製)を用いて測定した。溶媒は水(屈折率1.33)を使用して、試料濃度がdv値(測定粒子から得られる散乱光量から得られる無次元量の値)(測定部の粒子の体積に比例する数値で測定濃度を決定するマイクロトラックでの目安)が0.02〜0.5の範囲となるように試料(フィラー)を添加し、超音波装置(出力40W)を用いて超音波を3分間照射し、流速70%(35cc/分)で循環させながら測定を行った。
0091
(粘着剤層厚み(JIS Z 0237に準拠))
粘着剤層の厚みは、JIS B 7503に規定されたダイヤルゲージを用いた。ダイヤルゲージの接触面は平面とし、径は5mmとした。幅150mmの試験片を用いて、1/1000mm目盛りのダイヤルゲージで幅方向に等間隔で5点の厚みを測定した。
0092
(導電性フィラーのアスペクト比)
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製、「S−4800」)を用いて測定を行った。試料(フィラー)を直接試料台に固定し、Pt−Pdスパッタリングを25秒間施したものを、加速電圧1kV、二次電子像にて観察した。得られた電子像から、任意の10個のフィラー(凝集していないもの)についての短軸と長軸の比を計測、長軸の長さ/短軸の長さをもってアスペクト比とした。値は10個の測定値の平均値を用いた。フレーク状(円筒形)のフィラーについては、直径と厚みの比をアスペクト比とした。なお、測定は粉体状のフィラー(粘着剤に添加する前のもの)を用いて行うことが望ましいが、粘着剤層からフィラーを取り出して測定することもできる。
0093
(粘着力)
実施例、比較例で得られた導電性粘着テープのサンプル(サンプル幅25mm)を、ステンレス板(SUS304BA板)に、23℃、60%RHの雰囲気下、重さ2.0kg、幅30mmのローラーを1往復させて貼り合わせた(貼り合わせ長さ:100mm)。常温(23℃、60%RH)で30分間放置した後、引張試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠して、引張速度300mm/分で、180°剥離試験を行い、引き剥がし粘着力(N/25mm)を測定した。
0094
(Z軸方向の抵抗値)
実施例、比較例で得られた導電性粘着テープから20mm×20mmの試験片を切り出した。図2のように、90度の角度で交差させた2枚の厚さ35μmの圧延銅箔(20mm×50mm)の間に試験片を、貼り合わせ部分の面積が20mm×20mmとなるように、常温環境下、重さ5kg、幅30mmのローラーを1往復させて貼り合わせた。貼り合わせた後、常温環境下で30分以上放置した後、圧延銅箔の片端部(貼り合わせていない部分)に端子を接続し、抵抗計(日置電機(株)製、製品名「抵抗計:R3544−01、端子:HIOKIL2102」)にて、端子間の抵抗値(単位:Ω/20mm×20mm)を測定した。
0095
(XY軸方向の抵抗値)
実施例、比較例で得られた導電性粘着テープから2mm×110mm(両端5mmφ)の試験片を切り出した。図3のように、試験片と、一方の面に厚さ25μmのポリイミドフィルムを積層した厚さ35μmの圧延銅箔基材のもう一方の銅面を電解ニッケルによってめっき処理(厚さ3μm)をした上に厚さ0.03μm以上の電解金めっき処理をした金めっき箔(10mm×50mm)と、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとを配置し、上記金めっき箔と試験片の両端5mmφの部分を常温環境下、重さ5kg、幅30mmのローラーを1往復させて貼り合せた。貼り合せた後、常温環境下で30分以上放置した後、図3のように、各金めっき箔の片端部(貼り合せていない部分)に端子を接続し、抵抗計(日置電機(株)製、製品名「抵抗計:R3544−01、端子:HIOKIL2102」)にて、端子間の抵抗値(単位:Ω)を測定した。
0096
(屈曲試験)
実施例、比較例で得られた導電性粘着テープから2mm×110mm(両端5mmφ)の試験片を切り出した。屈曲試験機(ユアサシステム機器(株)製、DLDMLH−FS)に試験片を設置し、面間距離:10mm(R=5mm)、屈曲速度:1回/秒(60rpm)の条件で屈曲試験を1000回実施し、XY軸方向の抵抗値を測定した。
0097
〔製造例1〕:導電性粘着剤層の製造
アクリル酸2−エチルヘキシル:30重量部、アクリル酸n−ブチル:67重量部、およびアクリル酸:3重量部を、トルエンを溶媒として、アゾビスイソブチロニトリル:0.1重量部を開始剤として、常法により溶液重合させて(65℃×5時間、80℃×2時間)、重量平均分子量が約50万のアクリル系ポリマーの溶液(最終固形分濃度:40.0重量%)を得た。
このアクリル系ポリマー溶液の固形分100重量部に対して、粘着付与樹脂として重合ロジンペンタエリスリトールエステル(荒川化学(株)製、「ペンセルD−125」):35重量部を配合し、アクリル系樹脂組成物溶液(固形分濃度:46.8重量%)を製造した。
このアクリル系樹脂組成物溶液の固形分100重量部に対して、ニッケル粉末(INCO製「Ni123J」、フィラー径d50:6.7μm、タップ密度:4.08g/cm3、スパイク状):25重量部、トルエン:200重量部、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、商品名「コロネート L」):2重量部を配合して、攪拌機で10分間混合して、導電性粘着剤の溶液(アクリル系粘着剤溶液)を得た。
得られた導電性粘着剤溶液を、形成される粘着剤層の厚みが10μmになるように、厚み50μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレート基材上に塗布し、120℃の乾燥機で3分間乾燥させ、連続的に成形した。さらにその上に、厚み38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。
0098
〔実施例1〕
製造例1で得られた粘着剤層(厚み10μm)の片方の面に備えられた厚み38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層面を、厚み9μmの圧延銅箔(JX金属(株)製、商品名「HA−V2」)の両面に貼り合わせ、50℃で2日間エージングして、厚み29μmの導電性粘着テープ(両面粘着テープ)(1)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
製造例1で得られた粘着剤層(厚み10μm)の片方の面に備えられた厚み38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層面を、厚み6μmの圧延銅箔(JX金属(株)製、商品名「HA−V2」)の両面に貼り合わせ、50℃で2日間エージングして、厚み26μmの導電性粘着テープ(両面粘着テープ)(2)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例3〕
製造例1で得られた粘着剤層(厚み10μm)の片方の面に備えられた厚み38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層面を、厚み2μmの蒸着銅膜(東レKPフィルム(株)製、商品名「極薄箔転写用蒸着フィルム」)の両面に貼り合わせ、50℃で2日間エージングして、厚み22μmの導電性粘着テープ(両面粘着テープ)(3)を得た。
結果を表1に示した。
0099
〔比較例1〕
製造例1で得られた粘着剤層(厚み10μm)の片方の面に備えられた厚み38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層面を、厚み35μmの圧延銅膜(JX金属(株)製、商品名「HA−V2」)の両面に貼り合わせ、50℃で2日間エージングして、厚み55μmの導電性粘着テープ(両面粘着テープ)(C1)を得た。
結果を表1に示した。
0100
〔比較例2〕
製造例1で得られた粘着剤層(厚み10μm)の片方の面に備えられた厚み38μmの離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層面を、厚み12μmの圧延銅膜(JX金属(株)製、商品名「HA−V2」)の両面に貼り合わせ、50℃で2日間エージングして、厚み32μmの導電性粘着テープ(両面粘着テープ)(C2)を得た。
結果を表1に示した。
実施例
0101
0102
本発明の導電性粘着テープは、フレキシブルOLEDやヘルスケア用ウェアラブルデバイスなど、高いフレキシブル性が要求されるデバイスなどの用途に利用可能である。
0103
1000導電性粘着テープ
100基材
200a粘着剤層
200b 粘着剤層
20a導電性フィラー
20b 導電性フィラー
300a剥離ライナー
300b 剥離ライナー
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