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技術 ポリイミド多孔質体の製造方法

出願人 宇部興産株式会社
発明者 川岸健庄司達也
出願日 2016年9月29日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-190534
公開日 2018年4月5日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2018-053100
状態 特許登録済
技術分野 高分子物質の処理方法 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般
主要キーワード 耐熱フィルタ 生重合体 多孔質ポリイミド膜 目付質量 ポリイミド多孔質フィルム 液体用フィルタ 吸液材 良溶媒溶液
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年4月5日)のものです。
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図面 (2)

課題

本発明の目的は、耐熱性耐薬品性に優れたポリイミドからなり、高い空孔率を示すポリイミド多孔質体を製造可能な新しい技術を提供することにある。

解決手段

下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の溶媒と、イミド化触媒と、脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物を、溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させるポリイミド多孔質体の製造方法。

化1

〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕

概要

背景

ポリマー多孔質体は、電池用セパレータ電解コンデンサ用隔膜集塵精密濾過膜分離断熱材など様々な用途に用いられている。特にポリイミド多孔質体ポリイミド由来耐熱性力学特性耐薬品性を有する事からその応用展開が期待されており、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、蒸気誘起相分離法(VIPS)、熱誘起相分離法(TIPS)など、種々の方法での製造が検討されている。非溶媒誘起相分離法の例としては、特許文献1にビフェニルテトラカルボン酸成分ジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルム多孔質フィルムを積層した後、非溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。また、蒸気誘起相分離法の例としては、特許文献2にポリイミド前駆体0 .3〜60重量% と溶媒99 .7〜40重量%とからなる溶液フィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物に蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には凝固浴を用いずに多孔質膜を製造する方法として、ポリイミド前駆体と、アミド系溶媒と、アミド系溶媒より50℃以上高い沸点を有するエーテル系溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液基材上に流延し、加熱乾燥イミド化させることを特徴とするポリイミド多孔質フィルムの製造方法が開示されている。しかしながら、これらの手法は厚さが概ね1mm以下のフィルム状の多孔質体は比較的得やすいものの、相分離等に伴い形成された構造を積極的に凍結する事は考慮に入れていない為、1mm以上の厚膜や、バルクの多孔質体を得ることは、実質上困難であった。

一方、ポリイミド系樹脂化学架橋又は物理架橋することによって得られるゲルを、乾燥させることで多孔質体(キセロゲル)を得る方法が、特許文献4、5に開示されている。これらの方法では、架橋によって構造を凍結し、その後乾燥させることで多孔質体を得ているが、得られるゲルの網目構造は非常に小さく、超臨界乾燥等の毛細管力が実質的に生じない乾燥方法以外ではゲルが大幅に収縮し、空孔率の高い多孔質体を得ることは困難であった。

概要

本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、高い空孔率を示すポリイミド多孔質体を製造可能な新しい技術を提供することにある。 下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の溶媒と、イミド化触媒と、脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物を、溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させるポリイミド多孔質体の製造方法。 〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕なし

目的

本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、高い空孔率を示すポリイミド多孔質体を製造可能な新しい技術を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の溶媒と、イミド化触媒と、脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物を、溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させるポリイミド多孔質体の製造方法。〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕

請求項2

一般式(1)中、Bで示される構造の一部に下記化学式(2)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリイミド多孔質体の製造方法。

請求項3

一般式(1)中、Aで示される構造の一部に下記化学式(3)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド多孔質体の製造方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質体の製造方法において、表面疎水化処理が、ヘキサメチルジシラザンメチルトリクロロシラン、のいずれか又は混合物を用いた処理であることを特徴とするポリイミド多孔質体の製造方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られたポリイミド多孔質体を用いた断熱材。

技術分野

0001

本発明は、ポリイミド多孔質体の製造方法、及び概ポリイミド多孔質体を用いた断熱材に関する。

背景技術

0002

ポリマー多孔質体は、電池用セパレータ電解コンデンサ用隔膜集塵精密濾過膜分離、断熱材など様々な用途に用いられている。特にポリイミド多孔質体はポリイミド由来耐熱性力学特性耐薬品性を有する事からその応用展開が期待されており、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、蒸気誘起相分離法(VIPS)、熱誘起相分離法(TIPS)など、種々の方法での製造が検討されている。非溶媒誘起相分離法の例としては、特許文献1にビフェニルテトラカルボン酸成分ジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルム多孔質フィルムを積層した後、非溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。また、蒸気誘起相分離法の例としては、特許文献2にポリイミド前駆体0 .3〜60重量% と溶媒99 .7〜40重量%とからなる溶液フィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物に蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には凝固浴を用いずに多孔質膜を製造する方法として、ポリイミド前駆体と、アミド系溶媒と、アミド系溶媒より50℃以上高い沸点を有するエーテル系溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液基材上に流延し、加熱乾燥イミド化させることを特徴とするポリイミド多孔質フィルムの製造方法が開示されている。しかしながら、これらの手法は厚さが概ね1mm以下のフィルム状の多孔質体は比較的得やすいものの、相分離等に伴い形成された構造を積極的に凍結する事は考慮に入れていない為、1mm以上の厚膜や、バルクの多孔質体を得ることは、実質上困難であった。

0003

一方、ポリイミド系樹脂化学架橋又は物理架橋することによって得られるゲルを、乾燥させることで多孔質体(キセロゲル)を得る方法が、特許文献4、5に開示されている。これらの方法では、架橋によって構造を凍結し、その後乾燥させることで多孔質体を得ているが、得られるゲルの網目構造は非常に小さく、超臨界乾燥等の毛細管力が実質的に生じない乾燥方法以外ではゲルが大幅に収縮し、空孔率の高い多孔質体を得ることは困難であった。

先行技術

0004

特開平11−310658号公報
特開2001−089593号公報
特開2007−211136号公報
特開2000−154273号公報
特表2005−533893号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、高い空孔率を示すポリイミド多孔質体を製造可能な新しい技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、ポリイミドゲルを常圧乾燥させる際に生じる毛細管力を可能な限り低減させる事に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、ポリイミドゲル状組成物を、溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させることで、ゲルの収縮を抑制し、高い空孔率を有するポリイミド多孔質体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の事項に関する。

0007

1.下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の溶媒と、イミド化触媒と、脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物を、溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させるポリイミド多孔質体の製造方法。

0008

〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕

0009

2.一般式(1)中、Bで示される構造の一部に下記化学式(2)で示される構造を含むことを特徴とする前記項1に記載のポリイミド多孔質体の製造方法。

0010

3.一般式(1)中、Aで示される構造の一部に下記化学式(3)で示される構造を含むことを特徴とする前記項1又は2に記載のポリイミド多孔質体の製造方法。

0011

4.前記項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質体の製造方法において、表面疎水化処理が、ヘキサメチルジシラザンメチルトリクロロシラン、のいずれか又は混合物を用いた処理であることを特徴とするポリイミド多孔質体の製造方法。

0012

5.前記項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られたポリイミド多孔質体を用いた断熱材。

発明の効果

0013

本発明によって、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、高い空孔率を有するポリイミド多孔質体を得ることが出来る。本発明で得られるポリイミド多孔質体は、フィルム状の多孔質体のみならず、バルク状の多孔質体を得ることが可能である。

図面の簡単な説明

0014

実施例1の多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
比較例1の多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。

0015

以下本発明を詳細に説明する。

0016

本発明のポリイミドゲル状組成物は、ポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の溶媒と、イミド化触媒と、脱水剤を少なくとも混合してなる事を特徴とするポリイミドゲル状組成物を、溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させることで得られる。

0017

<ポリイミド前駆体モノマー
本発明に用いるポリイミド前駆体は、前記一般式(1)で示される反復単位からなり、式中、Bはテトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。また、Aはジアミン成分に起因する2価のユニットである。ポリイミド前駆体を構成するユニットについて以下に詳述する。

0018

ユニットBは、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。テトラカルボン酸成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物BTDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、2‐ビス(3,4−ジカルボキシフェニルプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物及びその混合物が挙げられる。その中でも特にs−BPDA、a−BPDA、PMDAがポリイミドゲル状組成物を得る観点、及び得られるポリイミド多孔質体の耐熱性、耐薬品性、力学特性の観点から好ましい。

0019

ユニットAは、ジアミン成分に起因する2価のユニットである。ジアミン成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、p−フェニレンジアミンPPD)、m−フェニレンジアミン(MPD)などのフェニレンジアミン類、3,5−ジアミノ安息香酸などのジアミノ安息香酸類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノビフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルメタン、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4'−ジアミノジフェニル)プロパンなどのジアミノジフェニルプロパン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン類、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジアミノジフェニルスルホン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジベンゾチオフェン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,6−ジメチル−ジベンゾチオフェンなどのジアミノジベンゾチオフェン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジフニレスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジエチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメトキシ−ジフェニレンスルフォン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジフェニレンスルフォンなどのジアミノジフェニレンスルフォン類(後述のジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド類に同じ)、4,4’−ジアミノビベンジル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジルなどのジアミノビベンジル類、0−ジアニシジン、0−トリジン、m−トリジンなどのジアミノビフェニル類、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノンなどのジアミノベンゾフェノン類、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジン、2,2',5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’,5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジンなどのジアミノベンジジン類、1,4−ビス(4−アミノフェノキシベンゼンTPE−Q)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)などのビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼンなどのジ(アミノフェニル)ベンゼン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン類、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのジ〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニルなどのジ(アミノフェニル)ビフェニル類、5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−ベンゾイミダゾール(DAPBI)などのジアミノベンゾアゾール類及びその混合物が挙げられる。その中でも特にODAがポリイミドゲル状組成物を得る観点、及びポリイミド多孔質体の耐熱性、耐薬品性、力学特性の観点から好ましい。その他、脂環族ジアミンとして、イソホロンジアミンシクロヘキサンジアミンなどを、重合性を妨げない範囲で適宜利用できる。

0020

良溶媒
本発明に用いるポリイミド前駆体の溶媒としては、ポリイミド前駆体を溶解するものであれば特に限定されないが、具体的にはアミド系溶媒が挙げられる。アミド系溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル2−ピロリドンNEP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミドDMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンDMI)等を挙げる事が出来る。これらの良溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。

0021

本発明には、必要に応じてポリイミド前駆体の非溶媒も併用する事が出来る。ポリイミド前駆体の非溶媒は、例えば、ポリイミド前駆体のイミド化の進行に伴う溶媒への溶解性の低下による相分離を制御する為に用いられる。特に、多孔構造のサイズを大きくしたい場合に併用する事で、相分離を促進し、より大きな空孔の多孔質体を得ることが可能となる。

0023

カルボン酸ジエステル系溶媒としては、こはく酸ジメチル、こはく酸ジエチル、グルタル酸ジメチルグルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチルアジピン酸ジエチル等が好ましい。また、こはく酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルの混合物である二塩基酸エステル商品名DBE:三協化学株式会社)等も好適に用いる事が出来る。

0024

グリコールモノエーテルアセテート系溶媒としては、エチルカルビネートアセテートブチルカルビネートアセテート等が具体的に挙げられる。これらの非溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。

0025

本発明において、非溶媒の混合量は、非溶媒の種類に応じて適宜決定されるが、概ね80wt%未満の範囲であり、70wt%未満である事がより好ましく、60wt%以下であることが特に好ましい。非溶媒の添加量は非溶媒としての強さ、即ちポリイミド前駆体及びポリイミドとの相溶性に応じて適宜調整することが重要である。一般的には、80wt%以上加えると、ポリイミド前駆体の段階で混合溶媒に溶解出来なくなってしまい、本技術による多孔質体形成が困難となる。

0026

<イミド化触媒・脱水剤>
本発明では、化学イミド化によりポリイミド前駆体をイミド化する。具体的にはイミド化触媒と脱水剤をポリイミド前駆体に混合する事で、イミド化を促進し、相分離及びゲル化を誘起する事で高次構造が制御されたポリイミドゲルを得ることが出来る。イミド化触媒としては、トリエチルアミントリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミンジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、イミダールベンズイミダゾール等の複素環第3級アミン等が挙げられるが、臭気反応性の観点からイソキノリンやメチルピリジン、イミダゾール等がより好ましい。脱水剤としては、無水酢酸無水プロピオン酸無水酪酸等の脂肪族酸無水物無水安息香酸無水フタル酸等の芳香族酸無水物等が挙げられるが、脂肪族酸無水物が好ましく、無水酢酸がより好ましい。

0027

<ポリイミドゲル状組成物>
本発明のポリイミドゲル状組成物は、ポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の溶媒と、イミド化触媒、及び脱水剤を少なくとも混合することで得られる。より具体的には、ポリイミド前駆体の溶液を調整し、その中にイミド化触媒、及び脱水剤を加える事でポリイミドゲル状組成物が得られる。

0028

ポリイミド前駆体溶液は、溶媒中において、前記の芳香族テトラカルボン酸二無水物芳香族ジアミンを用いて、公知の方法で重合することが出来る。非溶媒を加える場合、順序は特に限定されないが、例えば予め良溶媒と非溶媒の混合溶媒中に略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを添加して均一になるまで混合することでポリイミド前駆体溶液を得る事が出来る。また、ポリイミド前駆体の良溶媒中に略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを添加して均一になるまで混合することでポリイミド前駆体の良溶媒溶液を製造し、さらにこれらを撹拌しながら非溶媒を少量ずつ加えて均一になるまで混合する事で、良溶媒と非溶媒を含有したポリイミド前駆体溶液を得る事が出来る。

0029

芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを混合する際の反応温度は、−30〜120℃が好ましく、−20〜80℃がより好ましい。反応時間は、0.5時間〜100時間が好ましく、2時間〜48時間がより好ましい。テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合割合は等モルとなるように調整することが好ましいが、これらのモノマーの比率を若干変動させることにより、ポリイミド前駆体の重合度を任意に調節することができる。

0030

本発明のポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、通常1〜50wt%、好ましくは5〜30wt%である。1wt%未満では、固形分が不足することで良好なポリイミドゲル状組成物が得られない為に好ましくなく、50wt%を超えると溶媒中へのポリイミド前駆体の溶解が難しくなる。

0031

本発明のポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、1Pa・s〜3000Pa・s、好ましくは5Pa・s〜1000Pa・s、特に好ましくは10Pa・s〜500Pa・sである。溶液粘度が3000Pa・sを越えるとイミド化触媒及び脱水剤を添加後、シート状やバルク状に加工するために、基板上に流延したり、型に流し込んだりする事が困難となる。溶液粘度が1Pa・s未満ではゲルとしての形状を保持できなくなり、良好なポリイミドゲル状組成物が得られにくくなるため、適当ではない。

0032

本発明では、上記のポリイミド前駆体の良溶媒及び非溶媒からなる溶液に、イミド化触媒、及び脱水剤を加える事でイミド化が進行し、ポリイミドゲル状組成物が得られる。イミド化触媒及び脱水剤の添加量は、ポリイミド前駆体中のカルボキシル基に対して0.1〜4モル当量程度が好ましく、0.5〜2モル当量程度がより好ましい。0.1モル当量未満の場合、ポリイミド前駆体のイミド化が進みづらく、良好なポリイミドゲル状組成物が得られない為に好ましくなく、4モル当量を超えるとポリイミド前駆体のイミド化が急速に進行する為、基板上に流延したり、型に流し込んだりする加工が困難となる。

0033

イミド化触媒及び脱水剤を加えた後、ゲル化させる際の温度は、概ね0℃〜130℃が好ましく、10℃〜80℃がより好ましい。0℃未満だとゲル化が進行しづらくゲル化に長い時間を要するために好ましくなく、130℃を超えるとゲル化前に溶媒、イミド化触媒、脱水剤等が蒸発してしまう懸念があり、好ましくない。ゲル化時間はポリイミド前駆体の種類、濃度、イミド化触媒及び脱水剤の種類、添加量、ゲル化させる際の温度等によって適宜調整されるが、概ね1分〜48時間である。

0034

本発明のポリイミドゲル状組成物には、必要に応じて補強材を添加することが出来る。補強材としては、ポリイミドゲル状組成物を補強する効果のあるものであれば特に限定されないが、特に繊維状物質やそれからなる織布又は不織布等が好ましい。より具体的には、高分子繊維ガラス繊維セラミック繊維炭素繊維、又は生重合体繊維等からなる織布又は不織布等が挙げられる。補強材を添加する場合、イミド化触媒及び脱水剤を混合前又は混合後に、ドープが流動性を保っている間に添加することが好ましい。なお、織布や不織布を補強材として用いる場合は、イミド化触媒及び脱水剤を混合後、ドープが流動性を保っている間に織布や不織布に含浸させて複合させる事が好ましい。

0035

本発明のポリイミドゲル状組成物には、必要に応じて各種界面活性剤有機シラン顔料導電性カーボン粒子微細炭素繊維金属微粒子等の充填材摩滅材、誘電体潤滑材等の他、公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。

0036

<ポリイミド多孔質体の製造方法>
<溶媒置換>
本発明では、上記ポリイミドゲル状組成物を溶媒置換及び表面疎水化処理を経て常圧乾燥させることで、ポリイミド多孔質体を得ることが出来る。溶媒置換の方法としては、公知の手法を用いる事が出来るが、例えば、ポリイミドゲル状組成物の溶媒と相溶するエタノールメタノールイソプロピルアルコール等のアルコール置換し、更に表面張力の低いヘキサンヘプタンイソオクタンフッ素系溶媒等へ置換させることが好ましい。

0037

<表面疎水化処理>
本発明では、溶媒置換と共に表面疎水化処理を行う事で、更に乾燥時の毛細管力によるゲルの収縮を抑制し、高い空孔率を示すポリイミド多孔質体を得ることが可能となる。表面疎水化処理としては、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、フッ素系溶媒等が蒸発する際に表面張力が小さくなり、乾燥時の毛細管力による収縮を抑制出来るものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリクロロメチルシラン(TMCS)及びその混合物等の疎水化剤による処理が挙げられる。より具体的には、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の中に疎水化剤を加え、その中に溶媒置換後のポリイミドゲル状組成物を浸漬し、必要に応じて加熱することで、ポリマーの一部に疎水化剤を反応させる事が出来る。表面疎水化処理されたポリイミドゲル状組成物は、再び低表面張力の溶媒中に浸漬して未反応の疎水化剤を洗浄後、常圧乾燥させることで高い空孔率を示すポリイミドゲルが得られる。

0038

その他、低表面張力の溶媒の蒸発の際の表面張力を低減できる表面疎水化の方法としては、フッ素系界面活性剤の添加や、フッ素系シランカップリング剤による処理等が挙げられ、これらの処理も好適に用いる事が出来る。

0039

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0040

以下の例で用いた酸二無水物、ジアミン、溶媒、イミド化触媒、脱水剤、疎水化剤は以下のとおりである。

3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
イソキノリン
無水酢酸
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)
トリクロロメチルシラン(TMCS)

0041

以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。

0042

〔多孔構造の観察〕
得られたポリイミド多孔質体の多孔構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。試料液体窒素中で破断した断面にスパッタリングにより金を蒸着して観察を行った。測定にはJEOL社製Carry Scope JCM−5700を用いた。

0043

密度及び空孔率の測定〕
所定の大きさに切り取った多孔質体の面積、厚み、及び質量を測定し、目付質量から密度及び空孔率を下記一般式(2)、(3)によって求めた。

密度(g/cm3)=w/S×d (一般式2)

空孔率(%)=(1−(w/S×d)/D)×100 (一般式3)

(式中、Sは多孔質体の面積、dは厚み、wは測定した質量、Dはポリイミド緻密体の推定密度をそれぞれ意味する。ポリイミド緻密体の推定密度はs−BPDA/ODAポリイミド緻密体の密度を1.37g/cm3として計算した。)

0044

〔製造例1〕
撹拌羽窒素導入管排気管を取り付けた500mlのガラスセパラブルフラスコにODA12.16g及びDMAc270gを投入し、撹拌混合した。さらにs−BPDA約17.84gを徐々に加えながら撹拌し、室温で48時間混合してs−BPDA/ODAからなるポリイミド前駆体のDMAc溶液(ポリイミド前駆体固形分約10.0wt%)を調整した。

0045

〔実施例1〕
製造例1で得られたポリイミド前駆体のDMAc溶液10gと、DMAc10gと、イソキノリン0.522g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を混合し均一になるまで攪拌した。さらに、無水酢酸0.413g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を加え、THINKY社製あわとり練太郎(ARE−250)を用いて2000rpmで2分間攪拌、2200rpmで2分間脱泡を行い、均一になるように攪拌、脱泡操作を行った。得られた混合溶液テフロン登録商標)製のシャーレに移し、湿気が入らないように密閉した状態で、室温で1日静置して、ポリイミドゲル状組成物を得た。得られたポリイミドゲル状組成物をシャーレから取り出し、過剰量のエタノール中に浸漬し、8時間毎にエタノールを交換しながら24時間溶媒置換を行った。さらに、過剰量のヘプタン中に浸漬し、8時間毎にヘプタンを交換しながら24時間溶媒置換を行った。溶媒置換後のポリイミドゲル状組成物を、10wt%のHMDS/ヘプタン溶液に60℃で2時間浸漬し、表面疎水化処理を行った。さらに、過剰量のヘプタン中に浸漬し、8時間毎にヘプタンを交換しながら24時間溶媒置換を行って未反応のHMDSを洗浄し、室温、常圧で24時間乾燥させた後、110℃で2時間乾燥させてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図1に示す。表面疎水化処理を行う事で、高い空孔率の多孔質体が得られることが示された。

0046

〔実施例2〕
10wt%のHMDS/ヘプタン溶液の代わりに10wt%のTMCS/ヘプタン溶液を用いた他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。表面疎水化処理を行う事で、高い空孔率の多孔質体が得られることが示された。

0047

〔実施例3〕
10wt%のHMDS/ヘプタン溶液の代わりに、HMDS5wt%、TMCS5wt%のヘプタン溶液を用いた他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。表面疎水化処理を行う事で、高い空孔率の多孔質体が得られることが示された。

0048

〔比較例1〕
10wt%のHMDS/ヘプタン溶液を用いた表面疎水化処理を行わなかった他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図2に示す。表面疎水化処理を行わなかった場合、溶媒置換後の常圧乾燥のみではゲルの収縮を抑制出来ず、高い空孔率の多孔質体は得られなかった。

実施例

0049

0050

本発明により、溶媒置換後の常圧乾燥等、比較的コストのかからない手法で、ポリイミド由来の耐熱性、耐薬品性を兼ね備え、高い空孔率を有するポリイミド多孔質体を得ることが可能である。本発明で得られるポリイミド多孔質体は、断熱材、クッション材吸液材分離材セパレータ気体用フィルタ液体用フィルタ通気部品気体拡散層などの用途に好適に用いることができる。また、本発明の多孔質ポリイミド膜は、耐熱性に優れ、250℃以上の使用温度領域でも使用することができる為、音響部品保護膜、耐熱フィルタ触媒担体熱交換器等の用途にも好適に用いることができる。

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