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技術 液晶性樹脂組成物および成形品

出願人 住友化学株式会社
発明者 山西啓介
出願日 2016年9月28日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-189559
公開日 2018年4月5日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2018-053070
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 表面起伏 液晶樹脂組成物 炭化ケイ素ウイスカー 棒状試験片 横型成形機 粒状充填材 液晶ポリエステル組成物 フルオロカーボン系界面活性剤
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品成形可能な液晶性樹脂組成物を提供する。

解決手段

液晶性樹脂と、結晶性多糖類形成材料とする繊維状充填材と、を含み、繊維状充填材の5%重量減少温度が280℃以上である液晶性樹脂組成物。

概要

背景

液晶ポリエステルをはじめとする液晶性樹脂は、溶融流動性に優れ、耐熱性や強度・剛性が高いことから、電気電子部品向けの射出成形材料として好適に用いられている。しかしながら、液晶性樹脂は、成形時にその分子鎖流動方向配向し易いため、成形品収縮率膨張率機械物性の異方性が生じ易いという問題点がある。このような問題点を解消すべく、液晶性樹脂にガラス繊維などの無機充填材を配合して上述の異方性を抑制する手法がとられることが知られている(例えば、特許文献1)。

概要

成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形可能な液晶性樹脂組成物を提供する。液晶性樹脂と、結晶性多糖類形成材料とする繊維状充填材と、を含み、繊維状充填材の5%重量減少温度が280℃以上である液晶性樹脂組成物。なし

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形可能な液晶性樹脂組成物およびその成形品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

液晶性樹脂と、結晶性多糖類形成材料とする繊維状充填材と、を含み、前記繊維状充填材の5%重量減少温度は280℃以上である液晶性樹脂組成物

請求項2

前記結晶性多糖類は、セルロースキチンおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上である請求項1に記載の液晶性樹脂組成物。

請求項3

前記液晶性樹脂100質量部に対して、前記繊維状充填材は5質量部以上50質量部以下含まれる請求項1または2に記載の液晶性樹脂組成物。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項の液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品

技術分野

0001

本発明は、液晶性樹脂組成物および成形品に関するものである。

背景技術

0002

液晶ポリエステルをはじめとする液晶性樹脂は、溶融流動性に優れ、耐熱性や強度・剛性が高いことから、電気電子部品向けの射出成形材料として好適に用いられている。しかしながら、液晶性樹脂は、成形時にその分子鎖流動方向配向し易いため、成形品に収縮率膨張率機械物性の異方性が生じ易いという問題点がある。このような問題点を解消すべく、液晶性樹脂にガラス繊維などの無機充填材を配合して上述の異方性を抑制する手法がとられることが知られている(例えば、特許文献1)。

先行技術

0003

特開平08−231832号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1に記載されているような、液晶性樹脂と、ガラス繊維などの無機充填材とを含む従来の液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品では、成形品の表面から無機充填材が突き出しやすく、成形品の表面が荒れることがあった。つまり、従来の液晶性樹脂組成物では、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形することが困難であった。

0005

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形可能な液晶性樹脂組成物およびその成形品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、液晶性樹脂と、結晶性多糖類形成材料とする繊維状充填材と、を含み、この繊維状充填材の5%重量減少温度が280℃以上である液晶性樹脂組成物であれば、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形可能であることを見出した。

0007

本発明の一態様は、液晶性樹脂と、結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材と、を含み、繊維状充填材の5%重量減少温度は280℃以上である液晶性樹脂組成物を提供する。

0008

本発明の一態様においては、結晶性多糖類は、セルロースキチンおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。

0009

本発明の一態様においては、液晶性樹脂100質量部に対して、繊維状充填材は5質量部以上50質量部以下含まれることが好ましい。

0010

本発明の一態様は、上記の液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品を提供する。

発明の効果

0011

本発明の一態様によれば、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形可能な液晶性樹脂組成物およびその成形品が提供される。

0012

<液晶性樹脂組成物>
本実施形態の液晶樹脂組成物は、液晶性樹脂と、結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材(以下、単に「繊維状充填材」と称することがある。)と、を含む。本実施形態の液晶性樹脂組成物によれば、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形することが可能である。

0013

本明細書において、表面粗さとは、三次元表面粗さ(Sa)のことを指す。表面粗さ(Sa)は、起伏カーブ(以下、表面起伏形態という)と平均面とで囲まれた部分の体積測定面積で割ることにより求められる。すなわち、平均面をX−Y平面とし、高さ方向をZ軸とし、測定された表面起伏形態の面積zをz=f(x,y)で表すとき、表面粗さ(Sa)は下記式により定義される。

0014

0015

ただし、上記式において、LxはX方向の測定長さ、LyはY方向の測定長である。この測定はレーザー電子線による非接触表面形状測定により求められる。非接触表面形状測定に使用する装置としては、例えば、キーエンス株式会社製の3DマイクロスコープVR—3200」が挙げられる。

0016

[液晶性樹脂]
本実施形態で用いられる液晶性樹脂は、サーモトロピック液晶ポリマーであり、光学的異方性を示す溶融体を450℃以下の温度で形成し得るものである。以下では、サーモトロピック液晶ポリマーとして、液晶ポリエステルを例に挙げて説明するが、本実施形態はこれに限定されない。

0017

液晶ポリエステルとしては、具体的には、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸芳香族ジカルボン酸芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるもの、などを挙げることができる。

0018

なお、液晶ポリエステルの製造において、原料モノマーとして使用する芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの一部または全部を、予めエステル形成性誘導体にして重合に供することもできる。このようなエステル形成性誘導体を用いることにより、液晶ポリエステルをより容易に製造できるという利点がある。

0019

エステル形成性誘導体としては次のようなものが例示される。
分子内にカルボキシル基を有する芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の例としては、当該カルボキシル基が、ハロホルミル基酸ハロゲン化物)やアシルオキシカルボニル基酸無水物)などの高反応性の基に転化したものや、当該カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、一価アルコール類エチレングリコール等の多価アルコール類フェノール類などとエステルを形成したものが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールのようなフェノール性水酸基を有する化合物重合可能な誘導体の例としては、該フェノール性水酸基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、低級カルボン酸類とエステルを形成したものが挙げられる。

0020

さらに、エステル形成性を阻害しない程度であれば、上述の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールは、その芳香環に、塩素原子フッ素原子などのハロゲン原子メチル基エチル基ブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基フェニル基などの炭素数6〜20のアリール基置換基として有していてもよい。

0021

芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸(後述の(A1)を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸)、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(後述の(A2)を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニルエーテルや、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸の芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。該芳香族ヒドロキシカルボン酸は、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0022

このような芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。

0023

0024

芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(後述の(B1)を誘導する芳香族ジカルボン酸)、イソフタル酸(後述の(B2)を誘導する芳香族ジカルボン酸)、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジルボン酸(後述の(B3)を誘導する芳香族ジカルボン酸)、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル−4,4’−ジカルボン酸や、これらの芳香族ジカルボン酸の芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ジカルボン酸が挙げられる。該芳香族ジカルボン酸は、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0025

このような芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。

0026

0027

芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(後述の(C1)を誘導する芳香族ジオール)、ハイドロキノン(後述の(C2)を誘導する芳香族ジオール)、レゾルシン(後述の(C3)を誘導する芳香族ジオール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルビス(4−ヒドロキシフェニルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレンや、これらの芳香族ジオールの芳香環にある水素原子の一部が、アルキル基、アリール基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されてなる芳香族ジオールが挙げられる。該芳香族ジオールは、液晶ポリエステルの製造において、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0028

このような芳香族ジオールに由来する繰返し単位としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。なお、芳香族ジオールに由来する繰返し単位は、その芳香環にある水素原子の一部が、ハロゲン原子、アルキル基およびアリール基からなる群より選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。

0029

0030

前記繰返し単位(芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位、芳香族ジオールに由来する繰返し単位)が任意に有していてもよい置換基において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられ、アリール基の例としては、フェニル基が挙げられる。

0031

好適な液晶ポリエステルに関し説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位としては、パラヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位((A1))または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸もしくはその両方に由来する繰返し単位((A2))を有していると好ましく、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位としては、テレフタル酸に由来する繰返し単位((B1))、イソフタル酸に由来する繰返し単位((B2))および2,6−ナフタレンジカルボン酸((B3))に由来する繰返し単位からなる群より選ばれるものを有していると好ましく、芳香族ジオールに由来する繰返し単位としては、ヒドロキノンに由来する繰返し単位((C2))または4,4’−ジヒドロキシビフェニルもしくはその両方に由来する繰返し単位((C1))を有していると好ましい。

0032

さらに好ましい液晶ポリエステルとしては、全繰返し単位の合計に対して、パラヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位((A1))または2−ヒドロキシ−6−ナフト
酸もしくはその両方に由来する繰返し単位((A2))といった芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位の合計が30〜80モル%、
ヒドロキノンに由来する繰返し単位((C2))または4,4’−ジヒドロキシビフ
ニルもしくはその両方に由来する繰返し単位((C1))といった芳香族ジオールに由来する繰返し単位の合計が10〜35モル%、
テレフタル酸に由来する繰返し単位((B1))、イソフタル酸に由来する繰返し単位((B2))および2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位((B3))からなる群より選ばれる芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位の合計が10〜35モル%、である液晶ポリエステルを挙げることができる。

0033

とりわけ好ましい液晶ポリエステルとしては、イソフタル酸に由来する繰返し単位((B2))が、液晶ポリエステルの全繰り返し単位の合計に対して、5〜30モル%である液晶ポリエステルを挙げることができる。液晶ポリエステル中のイソフタル酸に由来する繰返し単位((B2))の含有量が5〜30モル%であることにより、液晶ポリエステルの成形温度を低くすることができる。これにより、後述する結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材のように、従来使用される無機充填材と比べて耐熱性が低い充填材を使用する場合においても、使用する液晶ポリエステルに適した成形温度で成形品を成形することができる。

0034

前記液晶ポリエステルの製造方法としては、例えば、特開2002−146003号公報に記載の方法などの公知の方法が適用できる。すなわち、上述の原料モノマー(芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールまたはこれらのエステル形成用誘導体)を溶融重合重縮合)させて、比較的低分子量の芳香族ポリエステル(以下、「プレポリマー」と略記する。)を得、次いで、このプレポリマーを粉末とし、加熱することにより固相重合する方法が挙げられる。このように固相重合させることにより、重合がより進行して、より高分子量の液晶ポリエステルを得ることができる。

0035

その他、最も基本的な構造となる前記(a)、(b)の繰返し単位の組み合わせを有する液晶ポリエステルの製造方法については、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報などにも記載されている。

0036

溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム酢酸第一錫、テトラブチルチタネート酢酸鉛酢酸ナトリウム酢酸カリウム三酸化アンチモンなどの金属化合物や、4−(ジメチルアミノピリジン、1−メチルイミダゾールなどの含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。

0037

液晶性樹脂組成物に含まれる液晶ポリエステルとしては、下記の方法で求められる流動開始温度が280℃以上の液晶ポリエステルであることが好ましい。上述のように、液晶ポリエステルの製造において固相重合を用いた場合には、液晶ポリエステルの流動開始温度を280℃以上にすることが比較的短時間で可能である。そして、このような流動開始温度の液晶ポリエステルを本実施形態の熱可塑性樹脂として用いることにより、得られる成形品は高度の耐熱性を有するものとなる。一方、成形品を実用的な温度範囲で成形する面では、液晶性樹脂組成物に含まれる液晶ポリエステルの流動開始温度は350℃以下が好ましく、330℃以下であればさらに好ましい。また、液晶ポリエステルの流動開始温度は、320℃以下でもよく、310℃以下でもよく、300℃以下でもよく、290℃以下でもよい。さらに、液晶ポリエステルの流動開始温度は、成形性の観点から、本実施形態における結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材の5%重量減少温度よりも低いことが好ましい。

0038

ここで、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイス取付け毛細管レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示す温度である。流動開始温度は、当技術分野で周知の液晶ポリエステルの分子量を表す指標である(小出直之編、「液晶性ポリマー合成・成形・応用−」、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。流動開始温度を測定する装置としては、例えば、(株)島津製作所製の流動特性評価装置フローテスターCFT−500D」を用いることができる。

0039

[結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材]
本実施形態の液晶性樹脂組成物は、結晶性多糖類を形成材料する繊維状充填材を含んでいる。本実施形態の繊維状充填材は、結晶性多糖類を含む天然素材(例えばセルロースを多く含む木材、キチンを多く含むカニ殻など)を精製および粉砕することで得られるものである。前記繊維状充填材は、結晶性多糖類を、通常80質量%以上含み、好ましくは90質量%以上含み、より好ましくは95質量%以上含み、さらに好ましくは98質量%以上含む。

0040

従来、結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材は、ポリプロピレンなどの比較的成形温度が低い樹脂に適用されてきたが、液晶ポリエステルなどの比較的成形温度が高い樹脂へは耐熱性の問題から使用されていなかった。しかしながら、本発明者らの検討によって、5%重量減少温度が280℃以上である結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材を選択することにより、液晶性樹脂を成形してなる成形品へ適用可能であることがわかった。

0041

すなわち、本実施形態において、繊維状充填材の5%重量減少温度は280℃以上である。繊維状充填材の5%重量減少温度が280℃以上であることにより、液晶性樹脂組成物を、例えば溶融成形法により成形して、成形品を得ることができる。

0042

本明細書において、繊維状充填材の5%重量減少温度とは、繊維状充填材の試料10mgを昇温速度20℃/分で600℃まで昇温して燃焼させ、このとき得られたTGA曲線から、150℃を基準として、試料の重量が5%減少したときの温度のことである。
5%重量減少温度は、高いものほど使用する繊維状充填材の耐熱性が高いことを示している。

0043

繊維状充填材の5%重量減少温度は、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは310℃以上であり、さらに好ましくは320℃以上であり、さらに好ましくは330℃以上である。

0044

結晶性多糖類としては、繊維状充填材の5%重量減少温度が280℃以上となるものであれば特に制限されない。なかでも、結晶性多糖類としては、セルロース、キチンおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。セルロースまたはキチンの誘導体としては、例えばメチルセルロースなどが挙げられる。

0045

結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材は、従来の成形品に使用される一般的な無機充填材と比べて柔らかいことが知られている。そのため、結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材は、成形品の表面から突き出しにくく、成形品の表面が荒れにくいと推測される。よって、結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材を含有することで、成形品の表面粗さ(Sa)を小さくすることができる。

0046

本実施形態では、液晶性樹脂100質量部に対して結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材は5質量部以上50質量部以下含まれることが好ましい。繊維状充填材の含有量が上記範囲であることにより、従来の成形品に使用される一般的な無機充填材と比べて、成形収縮率の異方性もさらに抑制することもできる。繊維状充填材の含有量は、液晶性樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは7質量部以上25質量部以下である。

0047

本実施形態の繊維状充填材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0048

[その他の充填材]
本実施形態の液晶性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材以外の充填材をさらに含有してもよい。本実施形態では、上述した充填材に加えて他の充填材を含有することで、十分な強度を示す成形品を得ることができる。

0049

他の充填材としては、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。また、上述した以外の繊維状充填材であってもよく、板状充填材であってもよく、粒状充填材であってもよい。

0050

上述した以外の繊維状充填材の例としては、ガラス繊維;パン炭素繊維ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維;シリカ繊維アルミナ繊維シリカアルミナ繊維などのセラミック繊維;およびステンレス繊維などの金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカーチタン酸バリウムウイスカーウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカーなどのウイスカーも挙げられる。

0051

板状充填材の例としては、タルクマイカグラファイト、ウォラストナイト、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムなどが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。

0052

粒状充填材の例としては、シリカアルミナ酸化チタン窒化ホウ素炭化ケイ素および炭酸カルシウムなどが挙げられる。

0053

本実施形態において、その他の充填剤を含有する場合、液晶性樹脂100質量部に対するその他の充填材の含有量は、好ましくは5質量部以上70質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上50質量部以下である。

0054

[その他の成分]
本実施形態の液晶性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、液晶性樹脂および上記充填材のいずれにも該当しない、他の成分を含有してもよい。

0055

他の成分の例としては、フッ素樹脂金属石鹸類などの離型改良剤染料顔料などの着色剤酸化防止剤熱安定剤紫外線吸収剤帯電防止剤界面活性剤などの、射出成形品に一般的に使用される添加剤が挙げられる。

0056

また、他の成分の例としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩フルオロカーボン系界面活性剤などの外部滑剤効果を有するものも挙げられる。

0057

さらに、他の成分の例としては、フェノール樹脂エポキシ樹脂ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂も挙げられる。

0058

本実施形態の液晶性樹脂組成物によれば、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さが小さい成形品を成形することが可能である。

0059

<成形品>
本実施形態の成形品は、上記の液晶性樹脂組成物を成形してなるものである。液晶性樹脂組成物の成形法としては、溶融成形法が好ましい。溶融成形法の例としては、射出成形法;Tダイ法やインフレーション法等の押出成形法圧縮成形法ブロー成形法真空成形法プレス成形法などが挙げられる。これらの中でも、液晶性樹脂組成物の成形法は、射出成形法であることが好ましい。

0060

液晶性樹脂組成物の成形条件は特に限定されず、成形法に応じて適宜選択すればよい。例えば、射出成形法で成形する場合には、射出成形機(例えば、日精樹脂工業社製「油圧式横型成形機PS40E5ASE型」)のシリンダー温度を好ましくは250〜350℃、金型温度を好ましくは20〜180℃として成形するとよい。また、当該シリンダー温度は、成形性の観点から、本実施形態における結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材の5%重量減少温度よりも低いことが好ましい。

0061

本実施形態の成形品によれば、上述の液晶性樹脂組成物を成形してなるものであるので、成形収縮率の異方性を抑制しつつ、表面粗さを十分小さくすることができる。

0062

以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下では液晶性樹脂として液晶ポリエステルを採用し、液晶ポリエステル組成物を調製した一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。

0063

〔液晶ポリエステルの流動開始温度の測定〕
フローテスター(株式会社島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mmおよび長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダー充填し、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。

0064

〔充填材の5%重量減少温度の測定〕
熱重量測定装置(株式会社島津製作所製、DTG—50)を用い、空気雰囲気下、開始温度30℃、終了温度600℃、昇温速度20℃/分、という条件下において熱重量分析を実施し、150℃におけるサンプルの重量%を100%とし、温度上昇によりサンプル重量%が95%に達した時の温度を5%重量減少温度とした。
5%重量減少温度は、高いものほど測定した充填材の耐熱性が高いことを示している。

0065

〔製造例(液晶ポリエステルの製造)〕
まず、攪拌装置トルクメータ窒素ガス導入管温度計および還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、テレフタル酸239.2g(1.44モル)、イソフタル酸159.5g(0.96モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)および無水酢酸1347.6g(13.2モル)を入れた。
次に、反応器内のガス窒素ガスで置換した後、1−メチルイミダゾール0.18gを加え、窒素ガス気流下攪拌しながら、室温から150℃まで30分かけて昇温し、150℃で30分還流させた。さらに、1−メチルイミダゾール2.4gを加え、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温した。その後、トルクの上昇が認められた時点で、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。
得られた固形物(内容物)を、粉砕機で粉砕した。粉砕した固形物を、窒素雰囲気下、室温から220℃まで1時間かけて昇温し、220℃から240℃まで30分かけて昇温し、240℃で10時間保持することにより、固相重合させた。重合後の生成物を冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、286℃であった。

0066

〔実施例1〜6、比較例1および参考例1(液晶ポリエステル組成物の調製および成形品の成形)〕
以下、液晶ポリエステル組成物の調製について説明する。なお、充填材として、次の繊維状充填材を使用した。
(繊維状充填材)
結晶性多糖類を形成材料とする繊維状充填材:Engineered Fibers Technology社のセルロース繊維「BioMid Fiber Uncoated」、5%重量減少温度332.86℃、数平均繊維長:150μm。
ガラス繊維:セントラルグラスファイバー株式会社のガラス繊維「EFH75−01」数平均繊維長:75μm。
なお、使用したガラス繊維においては、上述した条件下において熱重量分析を実施した結果、重量減少は認められなかった。

0067

(成形)
二軸押出機(池鉄工株式会社の「PCM−30」、シリンダー温度:280℃)を用いて、表1に示す量の液晶性樹脂および繊維状充填材を混合し、ペレット状の液晶ポリエステル組成物を得た。得られたペレット状の液晶ポリエステル組成物を射出成形機(日精樹脂工業株式会社製の「PS40E5ASE」)で300℃にて成形した。なお、この射出成形において2種類の金型A、Bを用いることで、2種類の試験片(成形品)を得た。以下に、金型A、Bの形状を示す。

0068

金型A:幅6.4mm、長さ127mm、厚さ12.7mmの棒状試験片用金型である。
金型B:1辺側にフィルムゲートが設けられ、縦64mm、横64mm、厚み3mmの平板試験片用金型である。

0069

〔評価1(表面粗さ(Sa))〕
金型Aを用いて作製した試験片について、キーエンス株式会社製の3Dマイクロスコープ「VR—3200」を用いて、測定面積27mm2の条件で表面粗さ(Sa)を5回測定した。そして、5回の測定値平均値を、試験片の表面粗さとした。ここで、表面粗さの数値が小さいほど、得られる成形品の表面は平滑であることを示している。

0070

〔評価2(成形収縮率の異方性比)〕
金型Bを用いて作製した試験片について、各辺の長さをマイクロメーターで測定した。この測定値と常温時の金型寸法との差を金型寸法で除することにより各辺の成形収縮率を求めた。次に、流動方向の成形収縮率(MD)を直角方向の成形収縮率(TD)で除することにより成形収縮率の異方性比(MD/TD)を求めた。なお、樹脂(液晶ポリエステル)の流動方向の2辺についての平均値を流動方向の成形収縮率(MD)、樹脂の流動方向と直行する2辺についての平均値を直角方向の成形収縮率(TD)とした。評価2において、成形収縮率の異方性比は1に近いほど、成形品における成形収縮率の異方性が小さいことを示している。つまり、本発明において、異方性比が1に近いほど、得られる成形品は、成形収縮率の異方性が抑えられているといえる。

0071

実施例、比較例および参考例の成形品について、評価1、2の結果を表1に示す。

0072

0073

評価1の結果に着目すると、充填材としてガラス繊維のみを使用した比較例1では、表面粗さ(Sa)が3.7であった。一方、充填材としてガラス繊維とセルロース繊維を併用した実施例1〜5では表面粗さ(Sa)が1.6〜2.5であった。つまり、実施例1〜5では、比較例1と比べて成形品の表面粗さ(Sa)が小さく、成形品の表面がより平滑であった。

0074

また、充填材としてセルロース繊維のみを使用した実施例6では、比較例1と比べて成形品の表面粗さ(Sa)を小さかった。さらに、充填材の含有量が少ないにもかかわらず、成形収縮率の異方性が抑えられることが示された。

0075

一方、評価2の結果に着目すると、充填材を含まない参考例1では、成形収縮率の異方性比が9.2であった。一方、充填材としてガラス繊維もしくはセルロース繊維またはその両方を含む実施例1〜6および比較例1では、成形収縮率の異方性比が1.9〜4.8であった。つまり、実施例1〜6および比較例1では、参考例1と比べて成形収縮率の異方性比が小さく、成形収縮率の異方性が抑えられることが示された。特に、セルロース繊維の含有量が5質量部以上50質量部以下の範囲であった実施例2〜6では、特に成形収縮率の異方性比が小さく、成形収縮率の異方性がより抑えられることが示された。

実施例

0076

以上の結果から、本発明が有用であることが確かめられた。

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