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技術 渦巻きばねの製造方法

出願人 藤倉コンポジット株式会社
発明者 鈴木宣暁鶴渕淳也
出願日 2016年9月28日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-190120
公開日 2018年4月5日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-051905
状態 特許登録済
技術分野 型の被覆による成形、強化プラスチック成形 ばね プラスチック等の注型成形、圧縮成形
主要キーワード 渦巻き状態 作用効率 部分平面 渦巻き方向 縮径量 繊維角度 渦巻きばね 渦巻きの
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

所望のばね定数具備した繊維強化樹脂製渦巻きばねを容易に製造することができる渦巻きばねの製造方法を提供する。

解決手段

繊維に硬化性樹脂組成物含浸させた長尺状であり、繊維の方向が長尺長手方向に対して所望の角度をなしているプリプレグシートを準備し、該角度が長尺長手方向に対してプラスとなるプリプレグシートとマイナスとなるプリプレグシートとを交互に積層して長尺状積層体を形成し、金型渦巻き状の凹溝に長尺状積層体を曲げ変形させて収容してプリフォームを形成し、樹脂組成物を硬化して、繊維強化樹脂製の渦巻きばねとする。

概要

背景

渦巻きばねは、長尺薄板材渦巻き状に巻いた構造であり、内側端部と外側端部が周方向に相対的に移動して縮径することにより弾性力蓄積した状態となる。そして、この弾性力を開放することによりトルクが発生する。このような渦巻きばねは、所望部材の回転駆動等に使用される。また、渦巻きばねは、内側端部に固定された部材のトルクに応じて捻れるので、部材の回転トルク緩衝することができ、この作用を利用した用途にも使用されている。

渦巻きばねは、薄板材の厚み、幅、巻き回し数、自由長状態における直径等に応じて、縮径する方向の回転トルクの変化に対する捻れ角度の変化が定まる。従来の渦巻きばねは、例えば、ばね用ステンレス鋼の薄板材を用いた金属製であり、用途に応じて、薄板材の厚み、幅、巻き回し数、自由長状態における直径等が設定されている(特許文献1、2)。
一方、コイルばねにおいては、近年、金属よりも柔軟性がありながら高い強度を有する繊維強化樹脂芯材螺旋状に巻きつけることにより、ばね定数を大きくしたものが開発されている(特許文献3)。

概要

所望のばね定数を具備した繊維強化樹脂製の渦巻きばねを容易に製造することができる渦巻きばねの製造方法を提供する。 繊維に硬化性樹脂組成物含浸させた長尺状であり、繊維の方向が長尺長手方向に対して所望の角度をなしているプリプレグシートを準備し、該角度が長尺長手方向に対してプラスとなるプリプレグシートとマイナスとなるプリプレグシートとを交互に積層して長尺状積層体を形成し、金型の渦巻き状の凹溝に長尺状積層体を曲げ変形させて収容してプリフォームを形成し、樹脂組成物を硬化して、繊維強化樹脂製の渦巻きばねとする。

目的

本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、所望のばね定数を具備した繊維強化樹脂製の渦巻きばねを容易に製造することができる渦巻きばねの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

繊維に硬化性樹脂組成物含浸させた長尺状のプリプレグシートであって、前記繊維の方向が長尺長手方向に対して所望の角度をなしているプリプレグシートを準備し、前記角度が長尺長手方向に対してプラスとなるプリプレグシートと、前記角度が長尺長手方向に対してマイナスとなるプリプレグシートとを交互に積層して長尺状積層体を形成し、渦巻き状の凹溝を有する金型の該凹溝に、前記長尺状積層体を曲げ変形させ収容してプリフォームを形成し、前記樹脂組成物を硬化することを特徴とする渦巻きばねの製造方法。

請求項2

長尺長手方向に対する繊維の方向の前記角度が異なる複数種のプリプレグシートを使用し、積層方向に向けて前記角度が大きくなる、あるいは、小さくなるように複数種の前記プリプレグシートを積層して前記長尺状積層体を形成し、前記長尺状積層体において前記角度が大きいプリプレグシートが位置する側を渦巻きの外側として前記プリフォームを形成することを特徴とする請求項1に記載の渦巻きばねの製造方法。

請求項3

前記長尺状積層体の中央に位置する前記プリプレグシートは、前記角度が5°以下であることを特徴とする請求項2に記載の渦巻きばねの製造方法。

請求項4

曲げ変形させて前記凹溝に収容した渦巻き状の前記長尺状積層体を、渦巻き方向に垂直な方向から加圧して、前記プリフォームを形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の渦巻きばねの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、渦巻きばね係り、特に繊維強化樹脂を用いた渦巻きばねの製造方法に関する。

背景技術

0002

渦巻きばねは、長尺薄板材渦巻き状に巻いた構造であり、内側端部と外側端部が周方向に相対的に移動して縮径することにより弾性力蓄積した状態となる。そして、この弾性力を開放することによりトルクが発生する。このような渦巻きばねは、所望部材の回転駆動等に使用される。また、渦巻きばねは、内側端部に固定された部材のトルクに応じて捻れるので、部材の回転トルク緩衝することができ、この作用を利用した用途にも使用されている。

0003

渦巻きばねは、薄板材の厚み、幅、巻き回し数、自由長状態における直径等に応じて、縮径する方向の回転トルクの変化に対する捻れ角度の変化が定まる。従来の渦巻きばねは、例えば、ばね用ステンレス鋼の薄板材を用いた金属製であり、用途に応じて、薄板材の厚み、幅、巻き回し数、自由長状態における直径等が設定されている(特許文献1、2)。
一方、コイルばねにおいては、近年、金属よりも柔軟性がありながら高い強度を有する繊維強化樹脂を芯材螺旋状に巻きつけることにより、ばね定数を大きくしたものが開発されている(特許文献3)。

先行技術

0004

特開平10−238573号公報
特開2006−26737号
特開2006−226327号

発明が解決しようとする課題

0005

渦巻きばねにおいても、金属の薄板材に繊維強化樹脂を併用することにより、例えば、縮径する方向の回転トルクの変化に対する捻れ角度の変化量の調整が容易になると考えられる。コイルばねと異なり、金属製の渦巻きばねに繊維強化樹脂を併用する場合、渦巻き方向に繊維が連続することが望ましい。しかし、渦巻き状の金属の薄板材の両面に、渦巻き方向に繊維が連続するように繊維強化樹脂を固着させた構造の渦巻きばねは、製造が困難である。
このため、芯材となる金属の薄板材を使用せずに、繊維強化樹脂のみで渦巻きばねを製造することが考えられる。しかしながら、長手方向に繊維が連続する炭素繊維等に樹脂組成物を浸みこませた長尺状のプリプレグを、金型渦巻き状態凹溝に収容し成型する方法では、金型の凹溝の内側の長さと外側の長さの違いによる影響で、金型の凹溝へのプリプレグの収容が困難である。また、例えば、裁断した炭素繊維等の繊維と樹脂組成物を混ぜて射出成形し、加熱硬化させる方法では、繊維配向ランダムとなり、繊維長が短く、ばね定数が大きい渦巻きばねの製造は困難である。また、長尺の炭素繊維等の繊維を金型の凹溝の渦巻き方向に沿って入れ込み、その後、溶融した熱硬化性樹脂組成物低圧注入して繊維間に樹脂浸透させる成形方法では、長尺繊維が嵩≡であり、金型の凹溝への入れ込みが難しいという問題がある。さらに、炭素繊維等の繊維に樹脂組成物を浸みこませ、両面をフィルムで挟んだ状態の成形材料を所定の形状に裁断して複数の小片を作製し、この小片を金型に載置し、加熱、加圧して硬化させる方法では、繊維配向がランダムとなり、ばね定数が大きい渦巻きばねの製造は困難である。したがって、現状では、繊維強化樹脂からなり、所望のばね特性具備するような渦巻きばねは得られていない。

0006

本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、所望のばね定数を具備した繊維強化樹脂製の渦巻きばねを容易に製造することができる渦巻きばねの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

このような目的を達成するために、本発明は、繊維に硬化性の樹脂組成物を含浸させた長尺状のプリプレグシートであって、前記繊維の方向が長尺長手方向に対して所望の角度をなしているプリプレグシートを準備し、前記角度が長尺長手方向に対してプラスとなるプリプレグシートと、前記角度が長尺長手方向に対してマイナスとなるプリプレグシートとを交互に積層して長尺状積層体を形成し、渦巻き状の凹溝を有する金型の該凹溝に、前記長尺状積層体を曲げ変形させ収容してプリフォームを形成し、前記樹脂組成物を硬化するような構成とした。

0008

本発明の他の態様として、長尺長手方向に対する繊維の方向の前記角度が異なる複数種のプリプレグシートを使用し、積層方向に向けて前記角度が大きくなる、あるいは、小さくなるように複数種の前記プリプレグシートを積層して前記長尺状積層体を形成し、前記長尺状積層体において前記角度が大きいプリプレグシートが位置する側を渦巻きの外側として前記プリフォームを形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記長尺状積層体の中央に位置する前記プリプレグシートは、前記角度が5°以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、曲げ変形させて前記凹溝に収容した渦巻き状の前記長尺状積層体を、渦巻き方向に垂直な方向から加圧して、前記プリフォームを形成するような構成とした。

発明の効果

0009

本発明は、所望のばね定数を具備した繊維強化樹脂製の渦巻きばねを製造することが可能である。

図面の簡単な説明

0010

図1は、本発明の渦巻きばねの製造方法に使用するプリプレグシートを説明するための部分側面図である。
図2は、プリプレグシートを積層して形成した長尺状積層体の部分側面図である。
図3は、プリプレグシートを積層して形成した長尺状積層体の部分平面図である。
図4は、渦巻き状の凹溝を有する渦巻きばね製造用の金型の平面図である。
図5は、渦巻き状の凹溝における歪み量を説明するための図である。
図6は、曲げ変形させて金型の凹溝に収容した渦巻き状の長尺状積層体を説明するための図である。
図7は、本発明の渦巻きばねの製造方法に使用するプリプレグシートを説明するための部分側面図であり、図1に対応する図である。
図8は、プリプレグシートを積層して形成した長尺状積層体の他の例を示す部分平面図であり、図3に対応する図である。
図9は、渦巻きばねの捻れ角度と回転トルクとの関係を説明するための図である。
図10は、実施例における渦巻きばねのばね定数の解析条件を説明するための図である。

0011

本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、或いは、各部材間の寸法の比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
図1は、本発明の渦巻きばねの製造方法に使用するプリプレグシートを説明するための部分側面図である。プリプレグシート12,13は、複数の繊維15に硬化性の樹脂組成物16を含浸させた長尺状のプリプレグシートである。プリプレグシート12は、繊維15の方向が長尺長手方向(図1に矢印aで示す方向)に対してプラス、図示例では角度+θをなしているプリプレグシートである。また、プリプレグシート13は、繊維15の方向が長尺長手方向(図1に矢印aで示す方向)に対してマイナス、図示例では角度−θをなしているプリプレグシートである。図示例のように、繊維15の方向に関するプラス(+)、マイナス(−)は、長尺長手方向(図1に矢印aで示す方向)に対して逆方向への角度を示している。したがって、プリプレグシート12は、長尺長手方向をそのままに、表裏を逆にすると、プリプレグシート13となる。以下において、繊維15の方向が長尺長手方向に対してなす上記の角度を、繊維角度とも記す。尚、図示例では、繊維15の太さ、ピッチ、本数は便宜的に記載している。

0012

プリプレグシート12,13を構成する繊維15としては、炭素繊維、ポリアマイド繊維、ボロン繊維アルミナ繊維アラミド繊維ガラス繊維等からなる一方向繊維を使用することができる。また、硬化性の樹脂組成物16としては、エポキシ樹脂メラミン樹脂フェノール樹脂不飽和ポリエステル樹脂ポリイミド樹脂等を使用することができる。
プリプレグシート12,13の厚みtは、0.02〜1.0mmの範囲内で適宜設定することができる。また、プリプレグシート12,13の高さHは、製造する渦巻きばねの高さを超えるものであればよいが、通常、渦巻きばねの高さの1〜1.4倍の範囲とすることができる。さらに、プリプレグシート12,13の長手方向の長さは、製造する渦巻きばねの自由長状態における外側端部から内側端部までの長さを超えるものであればよい。

0013

図2は、上記のプリプレグシート12,13を積層して形成した長尺状積層体11の部分側面図、図3は、部分平面図である。長尺状積層体11は、繊維角度θが長尺長手方向(矢印a方向)に対してプラスとなるプリプレグシート12と、繊維角度θが長尺長手方向に対してマイナスとなるプリプレグシート13とを交互に積層したものである。図2では、プリプレグシート12における繊維15を実線で示し、プリプレグシート13の繊維15を一点鎖線で示している。このように、プリプレグシート12,13を交互に積層することにより、渦巻きばねを縮径して蓄積した弾性力を開放することにより発生するトルクの作用方向は、渦巻きばねの渦巻き平面内に収まり、トルクの作用効率が高いものとなる。
長尺状積層体11を構成するプリプレグシート12,13の枚数は、長尺状積層体11の厚みTが、後述する金型の凹溝に収容可能な厚みとなるように設定することができ、製造する渦巻きばねの幅、プリプレグシート12,13の厚み等を考慮して適宜設定することができる。例えば、長尺状積層体11を構成するプリプレグシート12,13の枚数が40枚である場合、プリプレグシート12を20枚、プリプレグシート13を20枚使用する。したがって、尚、図3では、長尺状積層体11の積層方向(図3に矢印bで示す方向)の両側端側に位置する3枚づつのプリプレグシートのみを示している。

0014

図4は、渦巻き状の凹溝を有する渦巻きばね製造用の金型の平面図である。図4に示される金型31は、外側端部32aから内側端部32bへ向けて縮径する渦巻き状の凹溝32を備えている。そして、外側端部32aにはアウターフック形成用の凹溝32A、内側端部32bにはインナーフック形成用の凹溝32Bがそれぞれ連続している。
金型31における凹溝32の最大径D、幅w、1周毎の縮径量ΔDは、製造する渦巻きばねに応じて適宜設定することができる。また、凹溝32の深さdは、製造する渦巻きばねの高さを超えるものであればよく、通常、渦巻きばねの高さの1〜1.5倍の範囲とすることができる。
この金型31の凹溝32に、長尺状積層体11を曲げ変形させて収容する。図4では、凹溝32内に収容されている長尺状積層体11を、砂目模様を付して示している。金型31の凹溝32への長尺状積層体11の収容は、凹溝32の外側端部32a、内側端部32bのいずれから開始してもよい。

0015

上記のプリプレグシート12,13において、繊維15の方向が長尺長手方向(矢印a)となす角度(+θ、−θ)は、長尺状積層体11を曲げ変形させて渦巻き状とする金型31の凹部32における歪み量に応じて設定することができる。ここで、図4図5に示すように、金型31の凹溝32の外側に沿った外側端部32aから内側端部32bまでの長さ(外側長)をLout、内側に沿った外側端部32aから内側端部32bまでの長さ(内側長)をLin、金型31の凹溝32の幅方向の中央における外側端部32aから内側端部32bまでの長さ(中心線長)をLAとする。金型31の凹部32における歪み量は、中心線長LAに対する外側長Loutの比Lout/LA(外側歪み量)、中心線長LAに対する内側長Linの比Lin/LA(内側歪み量)で表すことができる。このような外側歪み量(Lout/LA)は、必然的に1より大きく、内側歪み量(Lin/LA)は、必然的に1未満となる。そして、外側歪み量が大きくなるに従い、あるいは、内側歪み量が小さくなるに従い、繊維角度(+θ、−θ)を大きく設定することが好適である。例えば、外側歪み量(Lout/LA)が1.15未満、内側歪み量(Lin/LA)が0.85を超える場合、繊維角度(+θ、−θ)を±5°〜±20°の範囲で設定することができる。また、外側歪み量(Lout/LA)がより大きく、1.15以上の場合、内側歪み量(Lin/LA)がより小さく、0.85以下の場合、繊維角度(+θ、−θ)を±20°〜±25°の範囲で設定することができる。したがって、例えば、外側歪み量(Lout/LA)が1.15、あるいは、内側歪み量(Lin/LA)が0.85の場合、繊維角度(+θ、−θ)を±20°〜±25°の範囲で設定することができる。繊維角度(+θ、−θ)が±20°未満であると、長尺状積層体11の渦巻き状の曲げ変形が困難となり、また、繊維角度(+θ、−θ)が±25°を超えると、充分なばね定数が得られない場合がある。

0016

但し、使用する長尺状積層体11の厚み、使用する繊維15の種類、硬化性の樹脂組成物16の種類によっては、繊維角度(+θ、−θ)が±20°未満であっても、長尺状積層体11の渦巻き状の曲げ変形が可能な場合があり、一方、繊維角度(+θ、−θ)が±25°を超えても、充分なばね定数が得られる場合がある。したがって、上記の繊維角度(+θ、−θ)の範囲は例示であり、製造する渦巻きばねの用途、要求されるばね定数等に応じて、使用する繊維15の種類、硬化性の樹脂組成物16の種類等を考慮して、長尺状積層体11の渦巻き状の曲げ変形が可能であり、かつ、充分なばね定数が得られるように、繊維角度(+θ、−θ)を設定することができる。例えば、外側歪み量(Lout/LA)が1.15以上、あるいは、内側歪み量(Lin/LA)が0.85以下の場合、本発明の効果が奏されるように、長尺状積層体11を構成するプリプレグシートに、繊維角度(+θ、−θ)が±20°〜±25°の範囲のものを含み、長尺状積層体11を構成する他のプリプレグシートに、繊維角度(+θ、−θ)が±20°未満のものを含むようにしてもよい。

0017

図6は、曲げ変形させて凹溝32に収容した渦巻き状の長尺状積層体11を説明するための図である。図6(A)は、渦巻き状の長尺状積層体11の外側に位置するプリプレグシート12の状態を示し、図6(B)は、渦巻き状の長尺状積層体11の内側に位置するプリプレグシート12の状態を示している。長尺状積層体11を渦巻き状に曲げ変形させる際、長尺状積層体11の外側には、長尺長手方向(矢印aで示す方向)に延伸応力Fが作用し、長尺状積層体11の内側には、長尺長手方向(矢印aで示す方向)に圧縮応力F′が作用する。このような延伸応力Fにより、渦巻き状の長尺状積層体11の積層方向の略中央から外側に位置するプリプレグシート12は、外側に位置するプリプレグシート12ほど大きな延伸応力Fで長尺長手方向に延伸される。これにより、図6(A)に示すように、繊維15が長尺状積層体11の長尺長手方向(矢印aで示す方向)となす繊維角度が、曲げ変形させる前の角度θよりも小さな角度θoutとなる。一方、圧縮応力F′により、渦巻き状の長尺状積層体11の積層方向の略中央から内側に位置するプリプレグシート12は、内側に位置するプリプレグシート12ほど大きな圧縮応力F′で長尺長手方向に圧縮される。これにより、図6(B)に示すように、繊維15が長尺状積層体11の長尺長手方向(矢印aで示す方向)となす繊維角度が、曲げ変形させる前の角度θよりも大きな角度θinとなる。上記の説明は、プリプレグシート12について行ったが、プリプレグシート13においても、同様である。尚、図6では、延伸応力F、圧縮応力F′が作用した状態の繊維15を実線で示し、長尺状積層体11を曲げ変形させる前の繊維15を一点鎖線で示している。

0018

このように、本発明では、プリプレグシート12,13では、予め繊維15が、長尺状積層体11の長尺長手方向(矢印aで示す方向)と角度±θをなすように設定されているので、渦巻き状に曲げ変形させる際に長尺状積層体11に作用する延伸応力F、圧縮応力F′により、繊維15の方向が変化可能である。これにより、金型31の凹部32における歪み量の影響を緩和することができ、長尺状積層体11を渦巻き状に曲げ変形させて、金型31の凹溝32に収容することができる。しかし、繊維の方向が長尺長手方向に沿っているプリプレグシート(θ=0°)を使用して形成した長尺状積層体では、金型31の凹部32における歪み量の影響を緩和することができず、内側にシワ出っ張りが生じて、金型31の凹溝32に収容することは困難である。
このように、曲げ変形させて金型31の凹溝32に収容した渦巻き状の長尺状積層体11を、渦巻き方向に垂直な方向から加圧して、プリフォームを形成する。この長尺状積層体11の加圧は、例えば、金型31の凹溝32に嵌合可能な渦巻き状の加圧部材を用いて行うことができる。

0019

その後、プリフォームの樹脂組成物を硬化することにより、渦巻きばねを得ることができる。樹脂組成物の硬化は、金型31を所定温度に加熱することにより行うことができる。上記の金型31の凹溝32への長尺状積層体11の収容、プリフォームの形成、樹脂組成物の硬化は、連続して行うことができる。また、金型31を用いて複数のプリフォームを形成し、その後、複数のプリフォームの樹脂組成物の硬化を、金型31を用いて行うこともできる。この場合、長尺状積層体11の収容から樹脂組成物の硬化までを連続して行う場合に比べて、金型31の昇温、冷却の要する時間の短縮が可能となり、製造効率が高いものとなる。

0020

上述の実施形態では、使用するプリプレグシート12,13における繊維15の方向が長尺長手方向(図1に矢印aで示す方向)に対してなす繊維角度が1種(+θ、−θ)であるが、繊維角度が異なるプリプレグシートを組み合わせて使用してもよい。例えば、図7に示すように、繊維15の方向が長尺長手方向(図7に矢印aで示す方向)に対して角度+θ′をなしているプリプレグシート12′と、繊維15の方向が長尺長手方向(図7に矢印aで示す方向)に対して角度−θ′をなしているプリプレグシート13′を、上述のプリプレグシート12,13と組み合わせて使用してもよい。尚、θとθ′との間には、θ>θ′の関係があり、θとθ′との差は、使用する金型の凹部における歪み量を考慮して設定することができ、例えば、(θ−θ′)を5°〜15°の範囲で適宜設定することができる。

0021

このようなプリプレグシート12′,13′をプリプレグシート12,13と組み合わせて使用する場合、図8に示すように、プリプレグシート12,13を交互に積層(例えば、プリプレグシート12を10枚、プリプレグシート13を10枚)し、その後、プリプレグシート12′,13′を交互に積層(例えば、プリプレグシート12′を10枚、プリプレグシート13′を10枚)することにより、長尺状積層体11′(プリプレグシート枚数=40枚)を形成することができる。この長尺状積層体11′を上述の金型31の凹溝32に収容する際には、例えば、繊維角度(lθl)が大きいプリプレグシート12,13が渦巻き形状の外側、繊維角度(lθ′l)が小さいプリプレグシート12′,13′が渦巻き形状の内側となるように、曲げ変形させることができる。

0022

このような長尺状積層体11′を上述の金型31の凹溝32に収容する際に、
長尺状積層体11′の外側には、長尺長手方向に延伸応力Fが作用し、曲げ変形させる前のプリプレグシート12,13における繊維角度θよりも小さな角度θoutとなる。一方、長尺状積層体11の内側には、長尺長手方向に圧縮応力F′が作用し、曲げ変形させる前のプリプレグシート12′,13′における繊維角度θ′よりも大きな角度θ′outとなる。したがって、曲げ変形させる前の(θ−θ′)に対して、曲げ変形させる後の(θout−θ′out)は小さいものとなり、金型31の凹溝32に収容された長尺状積層体11′における繊維角度は、長尺状積層体11′のプリプレグシートの積層方向において均一、あるいは、バラツキの小さいものとなり好ましい。

0023

上記の例では、プリプレグシート12,13とプリプレグシート12′,13′を、長尺状積層体11′の積層方向の中央で区分して使い分けているが、使い分けの境界は積層方向の中央に限定されるものではない。また、繊維15の方向が長尺長手方向に対してなす角度が異なる3種以上のプリプレグシートを組み合わせて使用してもよい。この場合、積層方向に向けて繊維角度が大きくなる、あるいは、小さくなるように複数種のプリプレグシートを積層して長尺状積層体を形成するが、繊維角度が異なるプリプレグシートの使い分けの境界は適宜設定することができる。そして、この長尺状積層体を上述の金型31の凹溝32に収容する際には、長尺状積層体において繊維角度が大きいプリプレグシートが位置する側を渦巻きの外側として、曲げ変形させることができる。

0024

また、上記のように、渦巻き状に曲げ変形させた長尺状積層体11の外側に延伸応力Fが作用し、内側に圧縮応力F′が作用する場合、長尺状積層体11の積層方向の中央は、応力が作用しないものとなる。このため、長尺状積層体11の積層方向の中央に位置するプリプレグシートを、繊維角度が5°以下、好ましくは0°のプリプレグシートとしてもよい。これにより、ばね定数が更に大きな渦巻きばねの製造が可能となる。但し、このような繊維角度が小さいプリプレグシートは、上述の金型31の凹部32における歪み量(外側歪み量(Lout/LA)、内側歪み量(Lin/LA))と繊維角度(+θ、−θ)の関係から外れるものであり、長尺状積層体を構成する総プリプレグシートの20%以下、好ましくは10%以下とすることが好適である。尚、「積層方向の中央」とは、長尺状積層体11の積層方向の厚みTとしたときに、長尺状積層体11の積層方向の中央から±0.1Tの範囲を意味する。

0025

上述したように、本発明では、プリプレグシートを積層した長尺状積層体を、渦巻き状に曲げ変形させて金型の凹溝に収容することができ、プリプレグシートの樹脂組成物を硬化することにより、渦巻きばねを製造することが可能である。これにより、従来の繊維強化樹脂のみ製造された渦巻きばねに比べて、より高いばね定数を具備する渦巻きばねの製造が可能となる。したがって、図9に示すように、捻れ角度増大による回転トルクの蓄積量の増大が緩やかで(図9の実線を参照)、所望の回転トルクtを得るための捻れ角度αを、金属製の渦巻きばね(図9の一点鎖線を参照)における捻れ角度βよりも大きくすることできる。しかし、従来の繊維強化樹脂のみ製造された渦巻きばね(図9二点鎖線を参照)は、繊維長が短かったり、繊維配向がランダムであり、ばね定数が小さいため、所望の回転トルクtが得られない、あるいは、所望の回転トルクtを得るための捻れ角度が大きく、実用に供し得える範囲が狭いものとなる。
上述の実施形態は例示であり、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、使用する金型は例示であり、製造する渦巻きばねに応じて所望の凹溝を備えた金型を使用することができる。

0026

試料1の作製>
長尺長手方向に対して+20°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートA1(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)と、長尺長手方向に対して−20°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートB1(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)を準備した。
これらのプリプレグシートA1、プリプレグシートB1を交互に計40枚積層して、長尺状積層体(厚みT=4.56mm)を形成した。

0027

一方、外側端部から内側端部へ向けて縮径する渦巻き状の凹溝を備えた金型(図4を参照)を準備した。この金型の凹溝の最大径Dは125mm、幅wは5.25mm、1周毎の縮径量ΔDは16.3mm、深さdは15mmであった。また、この金型の渦巻き状の凹溝の歪み量は、外側歪み量(Lout/LA)が1.15、内側歪み量(Lin/LA)が0.85であった。
次に、上記の長尺状積層体を曲げ変形させて、金型の凹溝に収容した。その後、凹溝に収容した長尺状積層体を、金型の凹溝に嵌合可能な渦巻き状の加圧部材を用いて加圧して、プリフォームを形成した。次いで、金型を150℃に120分間維持してエポキシ樹脂を硬化した。これにより、渦巻きばね(試料1)を作製した。

0028

<試料2の作製>
長尺長手方向に対して+15°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートA2(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)と、長尺長手方向に対して−15°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートB2(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)を準備した。
これらのプリプレグシートA2、プリプレグシートB2を交互に18枚積層し、さらに、上記のプリプレグシートA1、プリプレグシートB1を交互に18枚積層して、計36枚のプリプレグシートが積層された長尺状積層体(厚みT=4.10mm)を形成した。
次に、プリプレグシートA1、プリプレグシートB1が位置する側を渦巻きの外側となるようにして長尺状積層体を曲げ変形させ、試料1の作製に使用した金型の凹溝に収容した。その後、試料1と同様に、加圧してプリフォームを形成し、エポキシ樹脂を硬化して、渦巻きばね(試料2)を作製した。

0029

<試料3の作製>
長尺長手方向に対して+5°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートA3(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)と、長尺長手方向に対して−5°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートB3(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)を準備した。
これらのプリプレグシートA3、プリプレグシートB3を交互に4枚積層し、その一方の面に、上記のプリプレグシートA2、プリプレグシートB2を交互に18枚積層し、プリプレグシートA3、B3の4枚積層体の他方の面に、上記のプリプレグシートA1、プリプレグシートB1を交互に18枚積層して、計40枚のプリプレグシートが積層された長尺状積層体(厚みT=4.56mm)を形成した。
次に、プリプレグシートA1、プリプレグシートB1が位置する側を渦巻きの外側となるようにして長尺状積層体を曲げ変形させ、試料1の作製に使用した金型の凹溝に収容した。その後、試料1と同様に、加圧してプリフォームを形成し、エポキシ樹脂を硬化して、渦巻きばね(試料3)を作製した。

0030

<試料4の作製>
長尺長手方向に対して+10°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートA4(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)と、長尺長手方向に対して−10°に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させた長尺状のプリプレグシートB4(厚みt=0.120mm、高さH=12mm)を準備した。
上記のプリプレグシートA4、プリプレグシートB4を交互に計40枚積層して、プリプレグシートが積層された長尺状積層体(厚みT=4.56mm)を形成した。
次に、この長尺状積層体を曲げ変形させ、試料1の作製に使用した金型の凹溝に収容することを試みたが、渦巻き状の曲げ変形における内側にシワ、出っ張りが生じて、金型の凹溝に収容することができず、渦巻きばねを製造できなかった。

0031

<ばね定数の測定>
作製した渦巻きばね(試料1〜3)について、下記の条件でばね定数を解析し、結果を下記の表1に示した。
(ばね定数の解析条件)
図10に示すように、渦巻きばね41の内側端部10mmの拘束部41B(斜線を付した部位)を固定拘束し、渦巻きばね41の中心Cを基準にした半径40mmの円に沿って外側端部41Aを接線方向(矢印Y方向)に5°回転させた。

実施例

0032

表1に示されるように、所望のばね定数を具備した繊維強化樹脂製の渦巻きばねの製造が可能であることが確認された。

0033

繊維強化樹脂を用いた渦巻きばねの製造、使用に利用可能である。

0034

11,11′…長尺状積層体
12,12′,13,13′…プリプレグシート
15…繊維
16…樹脂組成物
31…金型
32…凹溝
41…渦巻きばね
41A…外側端部
41B…内側端部の拘束部

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