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技術 金属酸化物からなる発泡体、その製造方法、および、その用途

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 名嘉節中根茂行中山美奈子田口実
出願日 2016年9月26日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-186804
公開日 2018年4月5日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-051426
状態 特許登録済
技術分野 固体収着剤及びろ過助剤 触媒
主要キーワード 水熱合成装置 アルミナ坩堝中 ハニカムセラミックス 修飾金属 アジピン酸水溶液 利用化 窒素吸脱着等温線 スラリ状
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

アジピン酸が修飾された金属酸化物からなる粒子を用いて、金属酸化物からなる発泡体、その製造方法およびその用途を提供すること。

解決手段

本発明の金属酸化物からなる発泡体を製造する方法は、少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子と遊離したアジピン酸との混合物を、340℃以上800℃未満の温度範囲熱処理するステップ包含する。本発明の金属酸化物からなる発泡体は、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有し、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布ピークを有する。

概要

背景

排ガス浄化用触媒としては、大別して、触媒ナノ粒子反応塔内充填したもの(均一系触媒)と、触媒ナノ粒子をハニカムセラミックス等の基材上に担持したもの(不均一系触媒)がある。前者の場合、触媒効率に優れるが、ナノ粒子充填密度によっては背圧が高くなって排ガスの流れが悪くなり、また、触媒ナノ粒子自体が排ガスによって排出される危険性がある。後者の場合、触媒と排ガスとの接触面積が限られるので効率が低いという問題があるが、メンテナンスし易いことから、現在広く使用されており、例えばハニカムセラミックス上にアルミナジルコニアセリア等の金属酸化物ナノ粒子に、白金パラジウム等の貴金属を担持させたものがある。

上記金属酸化物ナノ粒子の製造方法としては、高温高圧において、例えばヘキサン酸デカン酸等の有機物質の存在下で、酸化物微結晶粒子を構成すべき陽イオン水酸化物原料として用いることによって活性結晶面からなる金属酸化物粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。また、同様の方法あるいは水熱合成法によって得られる、有機リガンドで修飾されたセリアのナノ結晶が知られている(例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。

このようにして得られた有機物質で修飾された金属酸化物粒子は触媒活性に優れる。しかし、触媒として用いる場合には、何等かの基材に担持させる必要があり、煩瑣である。したがって、基材に担持させずとも触媒等の用途に使用することができる金属酸化物を提供できれば望ましい。このような金属酸化物粒子のさらなる応用が期待される。

概要

アジピン酸が修飾された金属酸化物からなる粒子を用いて、金属酸化物からなる発泡体、その製造方法およびその用途を提供すること。 本発明の金属酸化物からなる発泡体を製造する方法は、少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子と遊離したアジピン酸との混合物を、340℃以上800℃未満の温度範囲熱処理するステップ包含する。本発明の金属酸化物からなる発泡体は、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有し、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布ピークを有する。

目的

本発明の課題は、アジピン酸が修飾された金属酸化物からなる粒子を用いて、金属酸化物からなる発泡体、その製造方法およびその用途を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属酸化物からなる発泡体を製造する方法であって、少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子遊離したアジピン酸との混合物を、340℃以上800℃未満の温度範囲熱処理するステップ包含する、方法。

請求項2

前記熱処理するステップに先立って、金属塩とアジピン酸とを水熱反応させるステップをさらに包含する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記水熱反応させるステップは、前記金属塩中の金属と前記アジピン酸とが、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10を満たし、10MPa以上40MPa以下の圧力下で、200℃以上500℃以下の温度範囲で水熱反応させる、ステップをさらに包含する、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記水熱反応させるステップにおいて、前記金属塩中の金属と前記アジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:7を満たす、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記水熱反応させるステップにおいて、前記金属塩中の金属と前記アジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.2〜1:5を満たす、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記水熱反応させるステップに続いて、前記水熱反応させるステップで得られた混合物を乾燥するステップをさらに包含する、請求項2に記載の方法。

請求項7

前記熱処理するステップは、340℃以上600℃以下の温度範囲で熱処理する、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記混合物において、前記アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10を満たす、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記混合物において、前記アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:7を満たす、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記混合物において、前記アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.2〜1:5を満たす、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記金属酸化物は、Fe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から少なくとも1つ選択される金属の酸化物である、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記混合物は、水をさらに含有する、請求項1に記載の方法。

請求項13

金属酸化物からなる発泡体であって、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有し、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布ピークを有する、発泡体。

請求項14

120m2/g以上150m2/g以下の範囲のBET比表面積を有する、請求項13に記載の発泡体。

請求項15

前記金属酸化物にはアジピン酸が修飾されている、請求項13に記載の発泡体。

請求項16

前記金属酸化物は、Fe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から少なくとも1つ選択される金属の酸化物である、請求項13に記載の発泡体。

請求項17

請求項13〜16のいずれかに記載の発泡体を用いた触媒

請求項18

請求項13〜16のいずれかに記載の発泡体を用いた吸着剤

請求項19

請求項13〜16のいずれかに記載の発泡体を用いた研磨剤

技術分野

0001

本発明は、金属酸化物からなる発泡体、その製造方法、および、その用途に関する。

背景技術

0002

排ガス浄化用触媒としては、大別して、触媒ナノ粒子反応塔内充填したもの(均一系触媒)と、触媒ナノ粒子をハニカムセラミックス等の基材上に担持したもの(不均一系触媒)がある。前者の場合、触媒効率に優れるが、ナノ粒子充填密度によっては背圧が高くなって排ガスの流れが悪くなり、また、触媒ナノ粒子自体が排ガスによって排出される危険性がある。後者の場合、触媒と排ガスとの接触面積が限られるので効率が低いという問題があるが、メンテナンスし易いことから、現在広く使用されており、例えばハニカムセラミックス上にアルミナジルコニアセリア等の金属酸化物ナノ粒子に、白金パラジウム等の貴金属を担持させたものがある。

0003

上記金属酸化物ナノ粒子の製造方法としては、高温高圧において、例えばヘキサン酸デカン酸等の有機物質の存在下で、酸化物微結晶粒子を構成すべき陽イオン水酸化物原料として用いることによって活性結晶面からなる金属酸化物粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。また、同様の方法あるいは水熱合成法によって得られる、有機リガンドで修飾されたセリアのナノ結晶が知られている(例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。

0004

このようにして得られた有機物質で修飾された金属酸化物粒子は触媒活性に優れる。しかし、触媒として用いる場合には、何等かの基材に担持させる必要があり、煩瑣である。したがって、基材に担持させずとも触媒等の用途に使用することができる金属酸化物を提供できれば望ましい。このような金属酸化物粒子のさらなる応用が期待される。

0005

特開2007−217265号公報
特開2008−248136号公報

先行技術

0006

J. Zhangら,Adv.Mater.,2007,19,203-206
M. Taguchiら,Crystal Growth & Design,Vol.9,No.12,2009

発明が解決しようとする課題

0007

以上から、本発明の課題は、アジピン酸が修飾された金属酸化物からなる粒子を用いて、金属酸化物からなる発泡体、その製造方法およびその用途を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、二価有機酸で修飾された金属酸化物からなる粒子について研究を進めるなかで、二価有機酸としてアジピン酸を用い、かつ、アジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子を、遊離のアジピン酸が存在した状態で熱処理することによって、発泡体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。

0009

本発明による金属酸化物からなる発泡体を製造する方法は、少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子と遊離したアジピン酸との混合物を、340℃以上800℃未満の温度範囲で熱処理するステップ包含し、これにより上記課題を解決する。
前記熱処理するステップに先立って、金属塩とアジピン酸とを水熱反応させるステップをさらに包含してもよい。
前記水熱反応させるステップは、前記金属塩中の金属と前記アジピン酸とが、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10を満たし、10MPa以上40MPa以下の圧力下で、200℃以上500℃以下の温度範囲で水熱反応させる、ステップをさらに包含してもよい。
前記水熱反応させるステップにおいて、前記金属塩中の金属と前記アジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:7を満たしてもよい。
前記水熱反応させるステップにおいて、前記金属塩中の金属と前記アジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.2〜1:5を満たしてもよい。
前記水熱反応させるステップに続いて、前記水熱反応させるステップで得られた混合物を乾燥するステップをさらに包含してもよい。
前記熱処理するステップは、340℃以上600℃以下の温度範囲で熱処理してもよい。
前記混合物において、前記アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10を満たしてもよい。
前記混合物において、前記アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:7を満たしてもよい。
前記混合物において、前記アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.2〜1:5を満たしてもよい。
前記金属酸化物は、Fe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から少なくとも1つ選択される金属の酸化物であってもよい。
前記混合物は、水をさらに含有してもよい。
本発明による金属酸化物からなる発泡体は、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有し、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布ピークを有し、これにより上記課題を解決する。
120m2/g以上150m2/g以下の範囲のBET比表面積を有してもよい。
前記金属酸化物にはアジピン酸が修飾されていてもよい。
前記金属酸化物は、Fe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から少なくとも1つ選択される金属の酸化物であってもよい。
本発明の触媒は、上述の発泡体を用い、これにより上記課題を解決する。
本発明の吸着剤は、上述の発泡体を用い、これにより上記課題を解決する。
本発明の研磨剤は、上述の発泡体を用い、これにより上記課題を解決する。

発明の効果

0010

本発明の発泡体によれば、大きな比表面積および所定の細孔径分布を有するので、細孔に触媒として機能する金属等を担持させた触媒として機能する。例えば、発泡体を構成する金属酸化物として酸化ジルコニウム酸化セリウムとの組み合わせを用いれば、本発明の発泡体それ自身で触媒として機能できる。あるいは、本発明の発泡体の細孔を利用すれば吸着剤あるいはフィルタとして有利である。本発明の発泡体の細孔に薬剤等を付与すれば研磨剤として機能し得る。また、本発明の発泡体の細孔を利用した、マイクロナノレベル化学材料を合成する反応場材料としても期待される。

0011

本発明の製造方法によれば、アジピン酸が修飾した金属酸化物粒子と遊離したアジピン酸との混合物を340℃以上800℃未満の温度範囲で熱処理するだけで、発泡体が得られるので、熟練技術者や特別な装置を不要とし、工業的な生産に有利である。さらに、本発明の製造方法によれば、水熱反応によりアジピン酸が修飾した金属酸化物粒子を調製すれば、水熱反応時の原料のモル比を制御するだけで、大きな比表面積および所定の細孔分布を有する多孔体を得ることができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の発泡体を製造するステップを示すフローチャート
本発明の発泡体を製造するステップを示す別のフローチャート
流通水熱合成装置を示す模式図
実施例1における水熱合成による生成物XRDパターンを示す図
実施例2で用いた流通式水熱合成装置の外観を示す図
実施例2における水熱合成により回収した混合物の様子を示す図
実施例3における水熱合成による生成物のXRDパターンを示す図
実施例1における熱処理後の生成物の様子を示す図
実施例2、3および4における熱処理後の生成物の様子を示す図
比較例5〜10における熱処理後の生成物の様子を示す図
実施例1における熱処理後の生成物のSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)を示す図
実施例2における熱処理後の生成物のSEM像および細孔径分布を示す図
実施例3における熱処理後の生成物のSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)を示す図
実施例4における熱処理後の生成物のSSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)を示す図
比較例5における熱処理後の生成物のSEM像を示す図
比較例6における熱処理後の生成物のSEM像を示す図
比較例8における熱処理後の生成物のSEM像を示す図
比較例9における熱処理後の生成物のSEM像を示す図
実施例2〜4における熱処理後の生成物のXRDパターンを示す図
実施例2による熱処理前後の生成物のFT−IRスペクトルを示す図
実施例/比較例11〜14における熱処理後の生成物の様子を示す図
実施例/比較例11、12および15の熱処理後の生成物のXRDパターンを示す図

0013

以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。

0014

本発明の発泡体は、金属酸化物からなり、連通する細孔を有した多孔性スポンジ状の形態を有している。詳細には、本発明の発泡体は、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有し、電子顕微鏡観察等から直接求めた、0.02μm(20nm)以上0.3μm(300nm)以下の範囲に細孔径分布のピークを有する。BET比表面積が55m2/g未満となると触媒活性が低下する場合があり、BET比表面積が200m2/gを超えると連通する細孔が低減し得る。また、細孔径分布におけるピークが上記範囲を外れると、細孔が壊れ、形態を維持できないことがある。このように、本発明による発泡体は、大きな比表面積および所定サイズの細孔を有するので、細孔に触媒として機能するPt、Ni、Pdなどに代表される金属を担持させた触媒として機能することができる。なお、細孔径分布を、ガス吸着法を用いたBJH法(Barrett,Joyner,Hallender)により求めてよく、この場合であっても、細孔径分布のピークの範囲の誤差は、±10%程度である。

0015

好ましくは、本発明の発泡体は、120m2/g以上150m2/g以下の範囲のBET比表面積を有する。この範囲のBET比表面積を有せば、高い触媒活性を維持できる。

0016

好ましくは、本発明の発泡体は、細孔径分布において、0.05μm(50nm)以上0.15μm(150nm)以下の範囲にピークを有する。これにより細孔径のそろった発泡体となるので、薬剤を担持させた研磨剤、または、所定サイズの物質あるいは排ガス、NOx等のガス処理用のフィルタに有効である。あるいは、利用化学材料を合成する反応場材料、細胞を培養する足場材料などにも利用可能である。

0017

金属酸化物は、Fe、Co等の鉄族元素、Ti、Zr等のチタン族元素(第4A族)、Al、Ga等の第3B族、Ce等のランタノイド元素、および、これらの混合物の金属元素の酸化物を使用することができるが、好ましくは、Fe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から選択される少なくとも1つ選択される金属の酸化物である。金属酸化物が、酸化セリウム(CeO2)である場合、後述する製造方法により容易に製造されるため、好ましい。金属酸化物が、酸化ジルコニウムと酸化セリウムとの組み合わせを用いれば、本発明の発泡体それ自身で触媒として機能できる。

0018

本発明の発泡体は、後述する製造方法において、原料にアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子を用いるため、構成する金属酸化物にアジピン酸が修飾されていてもよい。アジピン酸の修飾により、発泡体に機能性を持たせることができる。後処理によりアジピン鎖に各種官能基を付与でき、発泡体はさらなる機能を発揮できる。例えば、修飾したアジピン酸によるカルボキシル基、あるいは、アジピン酸に導入したチオール基アミン基等の官能基によって、本発明の発泡体は揮発性有機化合物(VOC)を吸着できる。

0019

なお、本発明の発泡体を触媒、吸着剤等に利用する場合、基板等に担持させることなく本発明の発泡体をそのまま所望の形状に加工して用いてもよいし、本発明の発泡体を粉砕後基板等に担持させてもよい。

0020

次に、本発明の発泡体を製造する方法について詳述する。
図1は、本発明の発泡体を製造するステップを示すフローチャートである。

0021

ステップS110:少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物(以降では、簡単のため、アジピン酸修飾金属酸化物と呼ぶ)からなる粒子と遊離したアジピン酸との混合物を、340℃以上800℃未満の温度範囲で熱処理する。このような熱処理により、上述したスポンジ状の金属酸化物からなる発泡体が得られる。なお、原理解明されていないが、熱処理によって金属酸化物からなる粒子同士の焼結および粒成長が生じるが、同時に、余剰に存在するアジピン酸と、金属酸化物に修飾したアジピン酸とが、加熱により燃焼し、細孔を形成するものと考える。このため、熱処理温度は、アジピン酸の沸点(337.5℃)よりも高いことが必要となるため、340℃を下限とすればよい。また、熱処理温度が800℃以上となると、粉末状となるため、800℃未満を上限とする。

0022

好ましくは、ステップS110の混合物において、アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10を満たす。これにより、上述の発泡体が得られる。より好ましくは、混合物において、アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:7を満たす。これにより、上述の発泡体が高収率で得られる。さらに好ましくは、混合物において、アジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸とは、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.2〜1:5を満たす。これにより、上述の発泡体を高収率で確実に得ることができる。

0023

熱処理温度は、好ましくは、340℃以上600℃以下の温度範囲である。この温度範囲であれば、残留するアジピン酸を低減しつつ、高効率に上述の発泡体を得ることができる。さらに好ましくは、500℃以上600℃以下の温度範囲である。これにより、確実に上述の発泡体を得ることができる。

0024

熱処理時間は、1時間以上5時間以下の時間であればよい。熱処理時間が1時間より短いと、焼結および粒成長が十分でなく発泡体が得られない場合がある。熱処理時間が5時間を超えても、焼結および粒成長に変化は見られない。

0025

熱処理雰囲気は、好ましくは、大気中である。なお、ステップS110における熱処理は、上述の熱処理温度、熱処理時間、熱処理雰囲気を適宜組み合わせて行われる。

0026

アジピン酸修飾金属酸化物における金属酸化物は、Fe、Co等の鉄族元素、Ti、Zr等のチタン族元素(第4A族)、Al、Ga等の第3B族、Ce等のランタノイド元素、および、これらの混合物の金属元素の酸化物を使用することができるが、好ましくは、Fe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から少なくとも1つ選択される金属の酸化物である。金属酸化物が酸化セリウム(CeO2)であれば、本発明の製造方法によって容易に発泡体が得られる。金属酸化物が、酸化ジルコニウムと酸化セリウムとの組み合わせを用いれば、本発明の発泡体それ自身で触媒として機能できる。

0027

ステップS110の混合物は、少なくともアジピン酸修飾金属酸化物と遊離したアジピン酸とを含むが、溶媒として水をさらに含んでもよい。これにより、混合物はスラリ状となり、熱処理によって反応を促進できる。

0028

図2は、本発明の発泡体を製造するステップを示す別のフローチャートである。
図2に示すように、ステップS110の熱処理に先立って、アジピン酸修飾金属酸化物からなる粒子を合成してもよい。詳細に説明する。

0029

ステップS210:ステップS110の熱処理に先立って、金属塩とアジピン酸とを水熱反応させる。これにより、アジピン酸修飾金属酸化物からなる粒子が合成される。水熱反応は、オートクレーブ等の耐圧反応容器を用いてバッチ式で行っても、連続式で行ってもよいが、好ましくは、超・亜臨界水合成装置、あるいは、流通式水熱合成装置を用いて行われる。

0030

金属塩は、Fe、Co等の鉄族元素、Ti、Zr等のチタン族元素(第4A族)、Al、Ga等の第3B族、Ce等のランタノイド元素、および、これらの混合物の金属の塩を使用することができるが、好ましくは、上述したFe、Co、Ti、Zr、Al、GaおよびCeからなる群から少なくとも1つ選択される金属の塩である。金属の塩としては、水酸化物、ハロゲン化物硝酸塩硫酸塩、炭酸塩が例示される。これらのうち硝酸塩が好ましい。金属塩は、金属の濃度が0.01〜1モル/L(Mとも表記する)、好ましく0.05〜0.5モル/Lの水溶液の形態で反応に付される。

0031

ステップ210において、金属塩中の金属とアジピン酸とが、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10を満たす。これにより、続いてステップS110の熱処理を行えば、上述の発泡体が得られる。好ましくは金属塩中の金属とアジピン酸とが、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:7を満たす。これにより、続いてステップS110の熱処理を行えば、上述の発泡体が高収率で得られる。より好ましくは、金属塩中の金属とアジピン酸とが、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.2〜1:5を満たす。これにより、続いてステップS110の熱処理を行えば、上述の発泡体を高収率で確実に得ることができる。アジピン酸を水溶液の形態で反応に付するときには、0.01〜15モル/Lの濃度とすることが好ましい。

0032

ステップS110の熱処理に先立って、ステップS210の水熱反応を行えば、ステップS210の原料の混合時に金属塩とアジピン酸との量を調製するだけで、ステップS110において改めてアジピン酸修飾金属酸化物中の金属と、遊離したアジピン酸との量を調製する必要がなくなるため、有利である。

0033

なお、ステップS210の水熱反応において、例えば、金属がCeであり、その硝酸塩(Ce(NO3)3・6H2O)を原料として使用する場合、次式の反応が生じる。これにより、少なくともアジピン酸修飾CeO2粒子が得られる。
Ce(NO3)3・6H2O →Ce(OH)3・6H2O →CeO2

0034

なお、ステップS210では、必ずしも、原料のすべてがアジピン酸修飾金属酸化物となる必要はない。少なくともアジピン酸修飾金属酸化物が生じていればよく、一部が未反応の金属塩であってもよい。これは、続くステップS110の熱処理により反応が完全に進むとともに、細孔が形成され発泡体が得られるからである。

0035

ステップS210における水熱反応は、10MPa以上40MPa以下の圧力下で、200℃以上500℃以下の温度範囲で行われる。この範囲であれば、上述の反応が進み、少なくともアジピン酸修飾金属酸化物が得られる。好ましくは、20MPa以上30MPa以下の圧力下で、220℃以上400℃以下の温度範囲で行われる。圧力又は温度が下限値未満であると反応効率が低く、上限値を超えても反応効率の上昇は認められない。例示的な反応時間は、1分以上20分以下の範囲である。

0036

ここで、ステップS210を、流通式水熱合成装置を用いて行う場合を説明する。
図3は、流通式水熱合成装置を示す模式図である。

0037

流通式水熱合成装置300は、耐圧反応容器310、耐圧反応容器310を冷却するための冷却ジャケット320、および、生成物を分級する分級アレイ330を備える。耐圧反応容器310はカラム状であり、耐圧反応容器310で反応して得られた生成物は、カラム下端部から上部へと移動する。耐圧反応容器310には、原料を保持する複数の槽340、350、360が接続されており、ポンプ等の輸送手段によって耐圧反応容器310に投入される。

0038

流通式水熱合成装置300では、槽340からポンプにより水が、槽350から金属塩水溶液が、槽360からアジピン酸水溶液が、それぞれ、圧力計背圧弁で調整される圧力で、耐圧反応容器310に供給される。ヒータ370により温度200〜500℃に加熱された高圧水が耐圧反応容器310の底部から噴出される。ここで、水はイオン交換水蒸留水超純水のいずれであってもよい。

0039

耐圧反応容器310内の圧力は10MPa以上40MPa以下に維持される。また、耐圧反応容器310内の温度は、底部から中央部にかけてヒータ370によって200℃以上500℃度以下に制御されており、その間に上述の水熱反応が起こる。耐圧反応容器310の頂部では冷却ジャケット320により生成物が40〜60℃へと冷却される。このようにして生成された生成物は、少なくともアジピン酸修飾金属酸化物からなるナノ粒子である。分級アレイ330で分級され、大気圧下、室温において、少なくともアジピン酸修飾金属酸化物からなるナノ粒子と余剰のアジピン酸とを含む混合物がスラリの形態で槽380に回収される。槽380で回収されたスラリを上述のステップS110において熱処理すればよい。本明細書においてナノ粒子とする粒径は、10nm〜100nmである。

0040

なお、回収された混合物を乾燥してもよい。乾燥する手段は限定されず、加熱乾燥温風または熱風乾燥減圧乾燥、および、これらの組み合わせによって行ってよい。大気圧下で加熱乾燥する場合には、60℃以上90℃以下の範囲で行うことが好ましい。乾燥の程度は、混合物の流動性がなくなる程度であればよい。

0041

以上のようにして本発明の発泡体を製造することができる。次に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0042

<種々のセリウム含有原料および種々の二価有機酸を用いた場合の比較>
[実施例1]
実施例1では、超・亜臨界水熱合成装置を用いて、非特許文献2に記載の方法を用いてアジピン酸修飾金属酸化物として、アジピン酸修飾酸化セリウム(以降では簡単のためAA修飾セリア1と称する)を合成し、これと遊離したアジピン酸との混合物を熱処理し、本発明の発泡体を製造した。

0043

金属塩として水酸化セリウム(Ce(OH)4、Sigma−Aldrich製、0.25mM)と、アジピン酸(和光純薬工業株式会社製、0.25mM)と、蒸留水(2.5mL)とを耐圧容器内容積5.0mL)に移し、水熱反応した(図2のステップS210)。ここで、金属塩中の金属(セリウム)とアジピン酸とのモル比は、1:1であった。水熱反応は、38MPaの圧力下で、400℃の温度で10分間行った。耐圧容器を室温の水浴に浸し、反応を終了させた。生成物を水およびエタノール洗浄し、大気中で乾燥させた。この生成物を、CuKα線(λ=1.5405Å)を用いた粉末X線回折(株式会社Rigaku製、RINT−2000)を用いて同定した。結果を図4に示す。また、生成物を、KBr法を用いたフーリエ変換赤外分光(FT−IR)光度計(日本分光株式会社製、FT/IR−6200)を用いてFT−IRスペクトルを測定した。

0044

図4は、実施例1における水熱合成による生成物のXRDパターンを示す図である。

0045

図4上段に示すXRDパターンは、実施例1における水熱合成による生成物のXRDパターンであり、下段に示すXRDパターンは、シミュレーションから求めたCeO2のXRDパターンである。図4によれば、実施例1における水熱合成による生成物のXRDパターンは、シミュレーションから求めたCeO2のそれに良好に一致した。このことから、実施例1における水熱合成による生成物は酸化セリウムであることが確認された。

0046

図示しないが、生成物のFT−IRスペクトルは、−COO−基の対称伸縮振動に相当する1456cm−1、1433cm−1および1403cm−1に明瞭なピークを示した。図4のXRDパターンおよびFT−IRスペクトルから、実施例1における水熱合成による生成物は、アジピン酸が修飾した酸化セリウム(AA修飾セリア1)からなる粉末であることが確認された。なお、AA修飾セリア1の粉末は、10nm〜100nmの粒径を有するナノ粒子であった。

0047

次に、生成物であるAA修飾セリア1(16mg)と、アジピン酸(14mg)とを混ぜた混合物を熱処理した(図1のステップS110)。ここで、AA修飾セリア1におけるセリウムとアジピン酸とのモル比は、セリウム:アジピン酸=1:1を満たした。この混合物をアルミナ坩堝中で、大気中、550℃で2時間熱処理した。熱処理後の生成物の様子を観察した。観察結果図8に示す。さらに、熱処理後の生成物について走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジー製、TM3030)により観察し、細孔径分布を作成した。結果を図11および表2に示す。

0048

また、熱処理後の生成物について窒素吸脱着等温線を測定し、BET比表面積を求めた。結果を表2に示す。さらに、熱処理後の生成物を、X線粉末回折により同定した。

0049

[実施例2]
実施例2では、流通式水熱合成装置を用いて、アジピン酸修飾金属酸化物として、アジピン酸修飾酸化セリウム(以降では簡単のためAA修飾セリア2と称する)を合成し、これと遊離したアジピン酸との混合物を熱処理し、本発明の発泡体を製造した。

0050

図5は、実施例2で用いた流通式水熱合成装置の外観を示す図である。

0051

図5の流通式水熱合成装置の槽340に蒸留水を、槽350に金属塩水溶液として硝酸セリウム(III)6水和物(Sigma−Aldrich製、10mM)を、槽360にアジピン酸(50mM)をセットした。ヒータ370により蒸留水は400℃に加熱され、硝酸セリウム(III)6水和物とアジピン酸とを、セリウム:アジピン酸(モル比)=1:5となるように耐圧反応容器310(1.3cmφ×23cm)に送液した。

0052

耐圧反応容器310において、圧力は約24MPaであった。耐圧反応容器310の底部の温度を約400℃、頂部の温度を約50℃に設定し、温度勾配を設けた。耐圧反応容器310における原料の滞在時間は2.5分であった。生成物を分級アレイ330で分級し、生成物と余剰のアジピン酸とを含む混合物を槽380で回収した。回収した混合物の様子を観察した。観察結果を図6に示す。

0053

図6は、実施例2における水熱合成により回収した混合物の様子を示す図である。

0054

図6によれば、混合物は白色の懸濁したスラリ状であった。この混合物の一部について遠心分離デカンテーションとを繰り返し、水およびエタノールで洗浄し、余剰のアジピン酸を除去し、大気中で乾燥させた。得られた生成物を、実施例1と同様に粉末X線回折を用いて同定し、FT−IRスペクトルを測定した。得られたXRDパターン(図示せず)は、CeO2を示すピークと、原料である硝酸セリウム(III)6水和物を示すピークとが混在していた。また、FT−IRスペクトル(図20を参照)によれば、−COO−基の対称伸縮振動に相当する1456cm−1、1433cm−1および1403cm−1に明瞭なピークを示した。このことから、実施例2における水熱合成による生成物は、アジピン酸が修飾した酸化セリウム(AA修飾セリア2)と未反応の硝酸セリウム(III)6水和物とからなり、混合物には、この生成物に加えて余剰のアジピン酸が存在することが示された。

0055

次に、AA修飾セリア2、未反応の硝酸セリウム(III)6水和物および遊離したアジピン酸を含有するスラリ状の混合物(1000mL)をビーカー中で80℃で約4日間流動性がなくなるまで加熱・乾燥した。加熱・乾燥後の混合物をアルミナ坩堝中で、大気中、550℃で2時間熱処理した。熱処理後の生成物の様子を観察した。観察結果を図9に示す。さらに、熱処理後の生成物についてSEM観察し、細孔径分布を作成した。結果を図12および表2に示す。また、熱処理後の生成物をX線粉末回折により同定し、FT−IRスペクトルを測定した。結果を図19および図20に示す。

0056

[実施例3]
実施例3は、硝酸セリウム(III)6水和物とアジピン酸とを、セリウム:アジピン酸(モル比)=1:1としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。

0057

実施例2と同様に、水熱合成による生成物を粉末X線回折により同定し、FT−IRスペクトルを測定した。結果を図7に示す。

0058

図7は、実施例3における水熱合成による生成物のXRDパターンを示す図である。

0059

図7によれば、実施例2と同様に、CeO2を示すピークと、原料である硝酸セリウム(III)6水和物を示すピークとが混在していた。FT−IRスペクトル(図示せず)によれば、−COO−基の対称伸縮振動に相当する1456cm−1、1433cm−1および1403cm−1に明瞭なピークを示した。このことから、実施例3における水熱合成による生成物は、アジピン酸が修飾した酸化セリウム(AA修飾セリア3)と未反応の硝酸セリウム(III)6水和物とからなり、混合物には、この生成物に加えて余剰のアジピン酸が存在することが示された。

0060

実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察した。さらに、熱処理後の生成物について、SEM観察し、細孔径分布を作成するとともに、BET比表面積を求めた。これらの結果を図9図13および表2に示す。

0061

[実施例4]
実施例4は、硝酸セリウム(III)6水和物とアジピン酸とを、セリウム:アジピン酸(モル比)=1:0.2としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。

0062

実施例2と同様に、水熱合成による生成物を粉末X線回折により同定し、FT−IRスペクトルを測定した。実施例2と同様に、得られたXRDパターン(図示せず)は、CeO2を示すピークと、原料である硝酸セリウム(III)6水和物を示すピークとが混在していた。FT−IRスペクトル(図示せず)によれば、−COO−基の対称伸縮振動に相当する1456cm−1、1433cm−1および1403cm−1に明瞭なピークを示した。このことから、実施例4における水熱合成による生成物は、アジピン酸が修飾した酸化セリウム(AA修飾セリア4)と未反応の硝酸セリウム(III)6水和物とからなり、混合物には、この生成物に加えて余剰のアジピン酸が存在することが示された。

0063

実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察した。さらに、熱処理後の生成物について、SEM観察し、細孔径分布を作成するとともに、BET比表面積を求めた。これらの結果を図9図14および表2に示す。

0064

[比較例5]
比較例5は、実施例1で得られたAA修飾セリア1のみを熱処理した。熱処理条件は実施例1と同様であった。熱処理後の生成物の様子を観察した。結果を図10および図15に示す。

0065

[比較例6]
比較例6では、硝酸セリウム(III)6水和物のみを熱処理した。熱処理条件は実施例1と同様であった。熱処理後の生成物の様子を観察した。この結果を図10および図16に示す。

0066

[比較例7]
比較例7は、酸化セリウム(Sigma−Aldrich製、0.27g)とアジピン酸(0.23g)とを混ぜた混合物を熱処理した。ここで、酸化セリウムにおけるセリウムとアジピン酸とのモル比は、セリウム:アジピン酸=1:1を満たした。熱処理条件は実施例1と同様であった。熱処理後の生成物の様子を観察した。結果を図10に示す。

0067

[比較例8]
比較例8は、硝酸セリウム(III)6水和物(0.87g)とアジピン酸(0.29g)とを混ぜた混合物を熱処理した。ここで、硝酸セリウム(III)6水和物におけるセリウムとアジピン酸とのモル比は、セリウム:アジピン酸=1:1を満たした。熱処理条件は実施例1と同様であった。熱処理後の生成物の様子を観察し、細孔径およびBET比表面積を求めた。これらの結果を図10図17および表2に示す。

0068

[比較例9]
比較例9は、アジピン酸に代えてステアリン酸(和光純薬工業株式会社製、0.57g)を用いた以外は、比較例8と同様であった。ここで、硝酸セリウム(III)6水和物におけるセリウムとステアリン酸とのモル比は、セリウム:ステアリン酸=1:1を満たした。熱処理後の生成物の様子を観察し、BET比表面積を求めた。これらの結果を図10図18および表2に示す。

0069

[比較例10]
比較例10は、アジピン酸に代えてドデカン二酸(和光純薬工業株式会社製、0.49g)を用いた以外は、比較例8と同様であった。ここで、硝酸セリウム(III)6水和物におけるセリウムとドデカン二酸とのモル比は、セリウム:ドデカン二酸=1:1を満たした。熱処理後の生成物の様子を観察した。結果を図10に示す。

0070

簡単のため、表1に実施例/比較例1〜10の実験条件を示し、結果を説明する。

0071

0072

図8は、実施例1における熱処理後の生成物の様子を示す図である。
図9は、実施例2、3および4における熱処理後の生成物の様子を示す図である。
図10は、比較例5〜10における熱処理後の生成物の様子を示す図である。

0073

図8および図9によれば、実施例1〜4における熱処理後の生成物は、多孔性のスポンジ状の形態を示した。一方、図10によれば、比較例5における熱処理後の生成物は粉末状のままであった。比較例8における熱処理後の生成物は、一見すると多孔性の様態であったが、一瞬にして粉末となった。比較例6、7、9および10における熱処理後の生成物は、いずれも、坩堝の底面に固着しており、多孔性でなかった。

0074

図11は、実施例1における熱処理後の生成物のSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)を示す図である。
図12は、実施例2における熱処理後の生成物のSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)を示す図である。
図13は、実施例3における熱処理後の生成物のSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)を示す図である。
図14は、実施例4における熱処理後の生成物のSEM像(A)(B)および細孔径分布(C)である。
図15は、比較例5における熱処理後の生成物のSEM像を示す図である。
図16は、比較例6における熱処理後の生成物のSEM像を示す図である。
図17は、比較例8における熱処理後の生成物のSEM像を示す図である。
図18は、比較例9における熱処理後の生成物のSEM像を示す図である。

0075

図11(A)(B)〜図14(A)(B)に示されるように、実施例1〜4における熱処理後の生成物は、連通する細孔からなる空隙を多く有した多孔性の発泡体であることを確認した。この結果は、図8および図9の観察結果に良好に整合した。また、SEM像から直接観察して得られた細孔径分布を示す図11(C)〜図14(C)によれば、実施例1〜4における熱処理後の生成物は、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布のピークを有することが分かった。特に、実施例3における熱処理後の生成物は、0.05μm以上0.15μm以下の範囲に細孔径分布のピークを有しており、細孔径のそろった発泡体であることが分かった。

0076

一方、図15〜18に示されるように、比較例5、6、8および9における熱処理後の生成物は、一見すると気泡のような穴を有していても、その細部は、連通する細孔からなる空隙でなく、発泡体ではなかった。図示しないが、比較例7における熱処理後の生成物も同様の様態であった。

0077

0078

表2は、実施例/比較例1〜4、8および9のBET比表面積および細孔径分布から求めた細孔径の一覧を示す。表2によれば、実施例1〜4における熱処理後の生成物は、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有することが分かった。特に、実施例3における熱処理後の生成物は、120m2/g以上150m2/g以下の範囲のBET比表面積を有しており、高い触媒活性が期待できる。

0079

比較例8および9における熱処理後の生成物のBET比表面積は55m2/gより小さく、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布のピークを有しなかった。この結果は、図17あるいは図18において気泡のようなものが確認できたが、細部において連通する空隙が見えなかったことに整合する。

0080

図19は、実施例2〜4における熱処理後の生成物のXRDパターンを示す図である。

0081

実施例2〜4における熱処理後の生成物のXRDパターンは、シミュレーションから求めたCeO2のそれに良好に一致した。このことから、実施例2〜4における熱処理後の生成物は酸化セリウムであり、多孔性のスポンジ状の発泡体であることが確認された。図示しないが、実施例1における熱処理後の生成物のXRDパターンもCeO2のそれに良好に一致した。

0082

図20は、実施例2による熱処理前後の生成物のFT−IRスペクトルを示す図である。

0083

図20は、実施例2による熱処理前(すなわち、ステップS210後、かつ、ステップS110前)の生成物である、AA修飾セリア2のFT−IRスペクトルと、熱処理後の生成物のFT−IRスペクトルとを示す。AA修飾セリア2のFT−IRスペクトルは、−COO−基の対称伸縮振動に相当する1456cm−1、1433cm−1および1403cm−1に明瞭なピークを示した。一方、実施例2における熱処理後の生成物のFT−IRスペクトルは、これらのピーク強度が低減していた。このことは、酸化セリウムに修飾していたアジピン酸は、熱処理により、わずかながら残留するも、実質的に消失することが分かった。熱処理条件によっては、修飾しているアジピン酸は完全に消失される。

0084

実施例1と、比較例5〜10との比較から、少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子と遊離したアジピン酸との混合物を、340℃以上800℃未満の温度範囲で熱処理する(図1のステップS110)ことにより、55m2/g以上200m2/g以下の範囲のBET比表面積を有し、0.02μm以上0.3μm以下の範囲に細孔径分布のピークを有する、金属酸化物からなる発泡体が得られることが示された。

0085

実施例2〜4の結果から、熱処理(図1のステップS110)に先立って、金属塩とアジピン酸とを水熱反応させる(図2のステップS210)ことにより、原料の混合時に金属塩とアジピン酸との量を、金属とアジピン酸とが、モル比で、金属:アジピン酸=1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.2〜1:5を満たすように調製するだけで、上述の本発明の発泡体が得られることが示された。

0086

<熱処理温度の依存性
[比較例11]
比較例11は、熱処理温度を300℃としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察し、粉末X線回折を行った。これらの結果を図21および図22に示す。

0087

[実施例12]
実施例12は、熱処理温度を350℃としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察し、粉末X線回折を行った。これらの結果を図21および図22に示す。

0088

[実施例13]
実施例13は、熱処理温度を400℃としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察し、粉末X線回折を行った。結果を図21に示す。

0089

[実施例14]
実施例14は、熱処理温度を450℃としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察し、粉末X線回折を行った。結果を図21に示す。

0090

[比較例15]
比較例15は、熱処理温度を800℃としたことを除き、実施例2と同様であるため、説明を省略する。実施例2と同様に、熱処理後の生成物の様子を観察し、粉末X線回折を行った。結果を図22に示す。

0091

簡単のため、表3に実施例/比較例11〜15の実験条件を示し、結果を説明する。

0092

0093

図21は、実施例/比較例11〜14における熱処理後の生成物の様子を示す図である。

0094

実施例12〜14における熱処理後の生成物は、多孔性のスポンジ状の形態を示した。一方、比較例11における熱処理後の生成物は、坩堝の底面に黒く固着しており、多孔性の様態でなかった。図示しないが、比較例15における熱処理後の生成物は、粉末状であった。

0095

図22は、実施例/比較例11、12および15の熱処理後の生成物のXRDパターンを示す図である。

0096

いずれのXRDパターンも、シミュレーションから求めたCeO2のそれに良好に一致したが、比較例11における熱処理後の生成物のXRDパターンのピークは、ブロードであり、反応が十分でなかった。図示しないが、実施例13および実施例14における熱処理後の生成物のXRDパターンも実施例12のそれと同様であった。

実施例

0097

実施例1〜4および12〜14と、比較例11および15との比較から、少なくともアジピン酸が修飾した金属酸化物からなる粒子と遊離したアジピン酸との混合物の熱処理における熱処理温度は、340℃以上800℃未満の温度範囲がよく、好ましくは、340℃以上600℃以下の温度範囲であることが示された。

0098

本発明の方法によれば、多孔性の金属酸化物からなる発泡体を簡便に得ることができる。このような発泡体は、触媒、吸着剤またはフィルタ、研磨剤等の用途に有利である。

0099

300流通式水熱合成装置
310耐圧反応容器
320冷却ジャケット
330分級アレイ
340、350、360、380 槽
370 ヒータ

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