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技術 哺乳動物用乳量改善剤

出願人 株式会社J-オイルミルズ
発明者 木村功齋藤三四郎
出願日 2016年9月28日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-189620
公開日 2018年4月5日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2018-050521
状態 未査定
技術分野 飼料(2)(一般) 食品の着色及び栄養改善 食用蛋白質及び食用リン脂質
主要キーワード 保管タンク わら類 粗製レシチン 油さい アセトン可溶物 エネルギー不足 高泌乳牛 精製牛脂
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課題

哺乳動物乳量を改善する乳量改善剤及びそれを用いた乳量改善方法を提供する。

解決手段

本発明は、植物クルードレシチン、好ましくは大豆クルードレシチンを有効成分として含む哺乳動物用乳量改善剤を提供する。本発明は、また、この哺乳動物用乳量改善剤を含む哺乳動物用乳量改善用飼料を提供する。本発明は、また、哺乳動物用乳量改善剤を哺乳動物に給与することを含む、哺乳動物の乳量を改善する方法を提供する。

概要

背景

家畜動物は、炭水化物蛋白質及び脂質を配合した給与飼料及び下部消化管内で消化吸収する。ウシ等の反芻動物では、通常の動物で利用できないような繊維質セルロースヘミセルロース)を利用するために、ルーメン第一胃)という反芻胃発達させている。胃や反芻胃、下部消化管等で消化吸収された飼料(栄養源)は、酢酸プロピオン酸酪酸等の短鎖脂肪酸揮発性脂肪酸ともいう)、グルコースアミノ酸遊離脂肪酸グリセリン無機物類等の乳成分原料となる。乳腺では、上記乳成分原料から、乳脂肪乳糖及び乳蛋白質からなる乳を合成する。

前記乳成分原料の種類と量やそれから合成される乳の量や質は、給与される飼料原料化学的特性消化性や代謝・内分泌特性)とその配合比率等の飼養管理によって大きく変動する。例えば、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令では、牛乳乳脂率は3.0%以上と規定されている。乳脂肪の主成分は、97〜98%を占めるトリグリセリド(TG)である。TGを構成するC4〜C16脂肪酸は、ルーメン内で生産された酢酸及び酪酸を用いて乳腺で合成される。C16〜C18脂肪酸は、飼料由来脂肪体脂肪から乳脂肪として取り込まれる。このように、乳脂率は、飼養管理によって変動する。

非特許文献1によれば、乳牛に酢酸を給与することで、乳量の増加、乳脂肪濃度及び乳糖濃度が上昇し、そしてプロピオン酸を給与することで、乳蛋白質濃度が上昇すると報告されている。

非特許文献2(p91〜92)は、低脂肪乳発生の原因は、濃厚飼料の給比率の上昇や粗飼料の給比率の減少によってルーメン内の発酵パターンが変化すること、内分泌制御に起因する乳腺への脂肪供給不足が生じること、不飽和度の高い植物性脂肪過給によりルーメン内の微生物叢が影響を受けること、乳腺におけるトランス型多価不飽和脂肪酸による乳脂肪酸合成が阻害されること等であると指摘している。

非特許文献2には、また、反芻動物への脂肪の不適切な給与が、ルーメン微生物及びその活性に影響を及ぼし、例えば、繊維の消化率低下やVFA(短鎖脂肪酸)の組成の変化をもたらし、乳脂率が低下する直接の要因となると記載されている。また、脂肪を給与すると、乳蛋白質が低下する傾向があるため、給与飼料中脂肪含量は、乾物中、5〜6%を目途とすべきと述べている。

非特許文献3には、飼料への大豆油添加により、乳脂率が低下することが報告されている。非特許文献4には、trans−10, cis−12 C18:2脂肪酸を第4胃内注入すると、乳脂率が低下し、この低下は、日ごとに高まってゆく。一方、cis−9, trans−11 C18:2脂肪酸を注入しても、乳脂率は低下しない。乳脂率の低下の原因は、乳腺で合成されるC4〜C16脂肪酸の量が減少するためと考えられる。

反芻動物は、夏場暑熱ストレス下、飼料の摂取減により生体内エネルギー不足し、乳量や乳成分量が低下することが知られている。高泌乳期には、摂食エネルギーよりも乳として排出されるエネルギーの方が多くなって、体内エネルギーバランスマイナスとなる(非特許文献2 p57−64)。

高泌乳牛やその他の家畜エネルギー源として、特に暑熱時のエネルギー補給用に、脂肪酸カルシウムを配合した飼料を給与する方法が知られている。(非特許文献2 p91−92)。脂肪酸カルシウムは、ルーメン内では消化されず、第四胃以降で消化吸収されるため、エネルギーを効率良く補給できるとされる。非特許文献5には、パーム油由来の脂肪酸カルシウムを給与した際は乳脂率に影響を及ぼさないことが報告されている。一方、非特許文献6には、多価不飽和脂肪酸を多く含む油脂を原料とした脂肪酸カルシウムを用いた場合は、乳脂率が低下することが報告されている。

動物を飼育する際、一般に、高エネルギーの飼料を効率的に給与することが求められる。脂質を過度に含む飼料原料を反芻動物に与えると、飼料原料のルーメン微生物による発酵が抑制される。飼料中の繊維質がルーメン微生物によって代謝されて有機酸ができる。ルーメン微生物に脂質が付着すると、ある種の脂肪酸の毒性作用や、微生物細胞膜の変化によって、微生物の代謝が阻害される、ルーメン微生物の生育が抑制される等の問題が生じる。したがって、反芻動物への脂質の過度の投与は、反芻胃における有機酸の生成やそこから合成される乳の量や質に良い影響を与えない。動物、特に反芻動物の成長や乳量や乳質の維持と改善には、飼料原料、特に脂質を含む飼料原料の選択と飼養管理が重要である。

概要

哺乳動物の乳量を改善する乳量改善剤及びそれを用いた乳量改善方法を提供する。本発明は、植物クルードレシチン、好ましくは大豆クルードレシチンを有効成分として含む哺乳動物用乳量改善剤を提供する。本発明は、また、この哺乳動物用乳量改善剤を含む哺乳動物用乳量改善用飼料を提供する。本発明は、また、哺乳動物用乳量改善剤を哺乳動物に給与することを含む、哺乳動物の乳量を改善する方法を提供する。なし

目的

そこで、本発明の目的は、哺乳動物の乳量を改善する哺乳動物用乳量改善剤及びそれを使用する飼料を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

植物クルードレシチンを有効成分として含む哺乳動物用乳量改善剤

請求項2

前記植物クルードレシチンは、20質量%以上90質量%未満のアセトン不溶物を含む、請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤。

請求項3

前記植物クルードレシチンは、10質量%超80質量%以下のアセトン可溶物を含む、請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤。

請求項4

前記植物クルードレシチンは、大豆菜種、ひまわり、綿実とうもろこし、落花生パームゴマ、米、紅花エゴマ及びアマニからなる群から選ばれる少なくとも一種植物由来である、請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤。

請求項5

前記植物クルードレシチンは、大豆クルードレシチンである、請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤。

請求項6

前記植物クルードレシチンを、アセトン不溶物の質量基準で2質量%以上90質量%未満含む、請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤。

請求項7

請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤を含む哺乳動物用乳量改善用飼料

請求項8

前記乳量改善剤を、前記植物クルードレシチンのアセトン不溶物の質量基準で0.01〜10質量%含む、請求項7に記載の哺乳動物用乳量改善用飼料。

請求項9

反芻動物用である、請求項7に記載の哺乳動物用乳量改善用飼料。

請求項10

請求項1に記載の哺乳動物用乳量改善剤を哺乳動物給与することを含む、哺乳動物の乳量を改善する方法。

請求項11

前記哺乳動物が反芻動物である、請求項10に記載の哺乳動物の乳量を改善する方法。

技術分野

0001

本発明は、哺乳動物用乳量改善剤及び乳量改善方法に関し、より詳細には特定のレシチンを含む前記乳量改善剤及びそれを用いた乳量改善方法に関する。

背景技術

0002

家畜動物は、炭水化物蛋白質及び脂質を配合した給与飼料及び下部消化管内で消化吸収する。ウシ等の反芻動物では、通常の動物で利用できないような繊維質セルロースヘミセルロース)を利用するために、ルーメン第一胃)という反芻胃発達させている。胃や反芻胃、下部消化管等で消化吸収された飼料(栄養源)は、酢酸プロピオン酸酪酸等の短鎖脂肪酸揮発性脂肪酸ともいう)、グルコースアミノ酸遊離脂肪酸グリセリン無機物類等の乳成分原料となる。乳腺では、上記乳成分原料から、乳脂肪乳糖及び乳蛋白質からなる乳を合成する。

0003

前記乳成分原料の種類と量やそれから合成される乳の量や質は、給与される飼料原料化学的特性消化性や代謝・内分泌特性)とその配合比率等の飼養管理によって大きく変動する。例えば、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令では、牛乳乳脂率は3.0%以上と規定されている。乳脂肪の主成分は、97〜98%を占めるトリグリセリド(TG)である。TGを構成するC4〜C16脂肪酸は、ルーメン内で生産された酢酸及び酪酸を用いて乳腺で合成される。C16〜C18脂肪酸は、飼料由来脂肪体脂肪から乳脂肪として取り込まれる。このように、乳脂率は、飼養管理によって変動する。

0004

非特許文献1によれば、乳牛に酢酸を給与することで、乳量の増加、乳脂肪濃度及び乳糖濃度が上昇し、そしてプロピオン酸を給与することで、乳蛋白質濃度が上昇すると報告されている。

0005

非特許文献2(p91〜92)は、低脂肪乳発生の原因は、濃厚飼料の給比率の上昇や粗飼料の給比率の減少によってルーメン内の発酵パターンが変化すること、内分泌制御に起因する乳腺への脂肪供給不足が生じること、不飽和度の高い植物性脂肪過給によりルーメン内の微生物叢が影響を受けること、乳腺におけるトランス型多価不飽和脂肪酸による乳脂肪酸合成が阻害されること等であると指摘している。

0006

非特許文献2には、また、反芻動物への脂肪の不適切な給与が、ルーメン微生物及びその活性に影響を及ぼし、例えば、繊維の消化率低下やVFA(短鎖脂肪酸)の組成の変化をもたらし、乳脂率が低下する直接の要因となると記載されている。また、脂肪を給与すると、乳蛋白質が低下する傾向があるため、給与飼料中脂肪含量は、乾物中、5〜6%を目途とすべきと述べている。

0007

非特許文献3には、飼料への大豆油添加により、乳脂率が低下することが報告されている。非特許文献4には、trans−10, cis−12 C18:2脂肪酸を第4胃内注入すると、乳脂率が低下し、この低下は、日ごとに高まってゆく。一方、cis−9, trans−11 C18:2脂肪酸を注入しても、乳脂率は低下しない。乳脂率の低下の原因は、乳腺で合成されるC4〜C16脂肪酸の量が減少するためと考えられる。

0008

反芻動物は、夏場暑熱ストレス下、飼料の摂取減により生体内エネルギー不足し、乳量や乳成分量が低下することが知られている。高泌乳期には、摂食エネルギーよりも乳として排出されるエネルギーの方が多くなって、体内エネルギーバランスマイナスとなる(非特許文献2 p57−64)。

0009

高泌乳牛やその他の家畜エネルギー源として、特に暑熱時のエネルギー補給用に、脂肪酸カルシウムを配合した飼料を給与する方法が知られている。(非特許文献2 p91−92)。脂肪酸カルシウムは、ルーメン内では消化されず、第四胃以降で消化吸収されるため、エネルギーを効率良く補給できるとされる。非特許文献5には、パーム油由来の脂肪酸カルシウムを給与した際は乳脂率に影響を及ぼさないことが報告されている。一方、非特許文献6には、多価不飽和脂肪酸を多く含む油脂を原料とした脂肪酸カルシウムを用いた場合は、乳脂率が低下することが報告されている。

0010

動物を飼育する際、一般に、高エネルギーの飼料を効率的に給与することが求められる。脂質を過度に含む飼料原料を反芻動物に与えると、飼料原料のルーメン微生物による発酵が抑制される。飼料中の繊維質がルーメン微生物によって代謝されて有機酸ができる。ルーメン微生物に脂質が付着すると、ある種の脂肪酸の毒性作用や、微生物細胞膜の変化によって、微生物の代謝が阻害される、ルーメン微生物の生育が抑制される等の問題が生じる。したがって、反芻動物への脂質の過度の投与は、反芻胃における有機酸の生成やそこから合成される乳の量や質に良い影響を与えない。動物、特に反芻動物の成長や乳量や乳質の維持と改善には、飼料原料、特に脂質を含む飼料原料の選択と飼養管理が重要である。

先行技術

0011

Brit.J.Nutr.,15、(1961)、p361−369
日本飼養標準「乳牛2006年版」(中央畜産会、平成19年9月20日発行、p57−64、p91−92
McLeord GK et al.,JDR 35,p439−453,(1973)
BaumardLHet al.,Am.J.Physiol.Rregulatory integrative Comp.Physiol.,278,R179−R184
Wu Z et al.,JDS 76 p3562−3570,(1993)
Chouinard PY et al.,JDS 81,p471−481,(1998)
Abel−CainesSF,et al.,J Dairy Sci.;81(2):462−70,(1998)

発明が解決しようとする課題

0012

そこで、本発明の目的は、哺乳動物の乳量を改善する哺乳動物用乳量改善剤及びそれを使用する飼料を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、前記課題を鋭意検討した結果、特定のレシチンを動物に給与することにより、前記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、植物クルードレシチンを有効成分として含む哺乳動物用乳量改善剤を提供する。

0014

非特許文献7には、大豆皮大豆レシチン及び油さい(Soapstock)を組み合わせた混合物(SLSSSH)を配合したTMR飼料が開示されている。TMR飼料への大豆皮の配合量は13.0%であった。大豆レシチン及び油さいの配合量は、SLSSSHから導入される脂質が2.25%となるように決められた。また、大豆レシチンと油さいとの比率は、1:1、2.5:1又は4:1(DM)であった。SLSSSHを配合したTMR飼料、SLSSSHを配合しないTMR飼料(対照)又はSLSSSHの代わりに大豆油を配合したTMR飼料(比較飼料)を、泌乳期のホルスタイン種乳牛に与えたところ、すべてのTMR飼料で、同様の乳量及びFCM(脂肪補正乳)の効率を示した(非特許文献7の表3)。また、大豆レシチンと油さいとの比率が4:1の場合に2.5:1と比較して乳蛋白質率が3.1%上昇したこと以外は、TMR飼料は乳組成に影響を与えなかった。したがって、非特許文献7は、本発明の植物クルードレシチンが乳量改善剤として有用であることを教示も示唆もしていない。

0015

前記植物クルードレシチンは、特に、20質量%以上90質量%未満のアセトン不溶物を含む。

0016

前記植物クルードレシチンは、特に、10質量%超80質量%以下のアセトン可溶物を含む。

0017

前記植物クルードレシチンの由来となる植物は、大豆菜種、ひまわり、綿実とうもろこし、落花生パームゴマ、米、紅花エゴマ及びアマニからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。

0018

前記植物クルードレシチンは、特に大豆クルードレシチンである。

0019

前記乳量改善剤は、前記植物クルードレシチンを、アセトン不溶物の質量基準で、例えば2質量%以上90質量%未満含む。

0020

本発明は、また、前記哺乳動物用乳量改善剤を含む哺乳動物用乳量改善用飼料を提供する。

0021

前記乳量改善用飼料は、前記乳量改善剤を、アセトン不溶物の質量基準で0.01〜10質量%含むことが好ましい。

0022

前記乳量改善用飼料は、反芻動物用であることが好ましい。

0023

本発明は、また、前記乳量改善剤を哺乳動物に給与することを含む、哺乳動物の乳量を改善する方法を提供する。

0024

前記哺乳動物は、反芻動物であることが好ましい。

発明の効果

0025

本発明の哺乳動物用乳量改善剤を哺乳動物、特に反芻動物に投与すると、乳量が改善される。特に、THI(温湿度係数)が68以上の暑熱ストレス時において、乳量を有意に改善することができる。

0026

本発明の哺乳動物用乳量改善剤は、単独投与の他に、飼料として用いることができる。本発明の哺乳動物用乳量改善剤を含む飼料を哺乳動物、特に泌乳牛に給与することで、乳量の改善が可能である。

0027

本発明の哺乳動物用乳量改善剤の有効成分である植物クルードレシチンは、植物から取得され、リン脂質を主成分とするアセトン不溶物、及び脂質を主成分とするアセトン可溶物を含んだ混合物であり、ペースト状レシチンや粗製レシチンとも呼ばれる。前記アセトン不溶物の具体例には、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルイノシトール(以下、PIと称する。)、ホスファチジルセリン(以下、PSと称する。)、ホスファチジン酸(以下、PAと称する。)、ホスファチジルグリセロール(以下、PGと称する。)等が挙げられ、他に少量の糖脂質オリゴ糖等が含まれる。本発明の哺乳動物用乳量改善剤は、特にホスファチジルコリン(以下、PCと称する。)及びホスファチジルエタノールアミン(以下、PEと称する。)を含むことが好ましい。リン脂質の構成脂肪酸は、主にパルミチン酸ステアリン酸オレイン酸リノール酸等である。前記アセトン可溶物の具体例には、トリアシルグリセロールジアシルグリセロールモノアシルグリセロール、遊離脂肪酸等が含まれる。

0028

前記植物クルードレシチン中のアセトン不溶物の含有量は、植物及びクルードレシチンの製造条件に依存する。該含有量は、通常、20質量%以上90質量%未満であり、好ましくは20質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上75質量%以下である。

0029

前記植物クルードレシチン中のアセトン可溶物は、通常、10質量%超80質量%以下であり、好ましくは20質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上75質量%以下である。

0030

植物クルードレシチンは、植物由来である限り、特に限定されない。植物クルードレシチンの例には、大豆クルードレシチン、菜種クルードレシチン、ひまわりクルードレシチン、綿実クルードレシチン、とうもろこしクルードレシチン、落花生クルードレシチン、パームクルードレシチン、ゴマクルードレシチン、米クルードレシチン、紅花クルードレシチン、エゴマクルードレシチン、アマニクルードレシチン等が挙げられる。本発明の哺乳動物用乳量改善剤には、上記植物クルードレシチンを一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。好ましい植物クルードレシチンは、大豆クルードレシチン又は菜種クルードレシチンであり、より好ましくは大豆クルードレシチンである。

0031

植物クルードレシチンは、例えば油糧種子から植物油を製造する際に、脱ガム工程で分離されるガム質を、通常、水分1%以下に乾燥することにより得られる。植物クルードレシチンは、市販のものを特に制限なく使用可能である。市販の植物クルードレシチンの例には、大豆クルードレシチンとして製品名:レシチンAY(株式会社J−オイルミルズ製)が挙げられる。

0032

本発明の哺乳動物用乳量改善剤には、植物クルードレシチン以外に、本発明の作用効果を阻害しない限り、エトキシキン、BHT、BHA、TBHQ、トコフェロールアスコルビン酸アスコルビン酸パルミテート等の保存安定剤又は酸化防止剤植物油脂、脂肪酸、白土活性炭珪藻土パーライト等を添加可能である。

0033

前記乳量改善剤は、前記植物クルードレシチンをアセトン不溶物基準で、通常、2質量%以上90質量%未満、好ましくは3質量%以上90質量%未満、特に好ましくは4質量%以上80質量%以下を含む。

0034

本発明は、また、上記乳量改善剤を含む哺乳動物用乳量改善用飼料(以下、「本発明の飼料」という)を提供する。前記乳量改善剤の飼料への配合量は、前記植物クルードレシチンをアセトン不溶物の質量基準で、通常、0.01〜10質量%でよく、好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%である。

0035

前記乳量改善剤の配合により、植物クルードレシチンが、通常、0.015〜20質量%、好ましくは0.075〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜4.5質量%、特に好ましくは0.15〜1.5質量%、飼料に配合される。

0036

本発明の飼料の前記乳量改善剤以外の飼料原料としては、生草サイレージ乾草わら類;米、玄米ライ麦小麦大麦トウモロコシマイロ、大豆等の穀類;大豆粕、脱皮大豆粕大豆蛋白濃縮物分離大豆蛋白、大豆蛋白分離副産物菜種粕、綿実粕、ルピナス種粕、コーングルテンミールコーングルテンフィードアルファルファ粉、ポテトプロテインヒヨコマメエンドウマメインゲンマメレンズマメブラックビーン等の植物性蛋白源;肉骨粉血粉フェザーミールポークミールチキンミール脱脂粉乳等の動物性蛋白源;植物性油脂動物性油脂粉末精製牛脂肝油等の油脂類バイオエタノール蒸留粕DDGS)、ビール粕焼酎粕酒粕ワイン粕、ウイスキー粕、醤油粕等の発酵残渣類;おから、抽出粕野菜果物抽出粕、コーヒー粕等の食品工業副産物類;リジンメチオニンスレオニントリプトファンバリンイソロイシン等のアミノ酸類ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸カルシウムニコチン酸アミド葉酸ビタミンCビオチンコリン等のビタミン類又はビタミン様作用物質亜鉛カルシウムセレン、鉄、リン等のミネラル類硫酸マグネシウム硫酸鉄硫酸銅硫酸亜鉛ヨウ化カリウム硫酸コバルト炭酸カルシウムリン酸三カルシウム塩化ナトリウムリン酸カルシウム等の無機塩類色素等が挙げられる。

0037

上記飼料原料は、可消化養分や粗繊維の含量によって、粗飼料と濃厚飼料とに大別される。本明細書において、粗飼料という用語は、粗繊維含量が高く、可消化養分が少ない成分を意味する。一方、濃厚飼料という用語は、可消化養分が多く、粗繊維含量が低い成分を意味する。粗飼料の具体例には、生草、サイレージ、乾草、わら類等が含まれる。濃厚飼料の具体例には、穀類、そうこう類、植物性油かす類、発酵副産物類、配合飼料等が含まれる。

0038

粗飼料と濃厚飼料との混合飼料をTMR飼料という。従来、粗飼料と濃厚飼料との比率(粗濃比)が、反芻動物の基本的な栄養管理指標として採用されている。反芻動物へ与えるTMR飼料の粗濃比は、通常、質量比で1:9〜9:1、好ましくは質量比で2:8〜9:1、より好ましくは質量比で3:7〜9:1である。

0039

本発明の飼料において、粗飼料の下限の割合は、通常、10質量%であり、好ましくは15質量%であり、さらに好ましくは30質量%である。一方、粗飼料の上限の割合は、通常、90質量%であり、好ましくは85質量%であり、さらに好ましくは80質量%である。

0040

本発明の飼料には、飼料の品質の低下防止、栄養成分の有効利用の促進等のために、栄養源以外の助剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で使用してもよい。そのような例には、抗酸化剤防カビ剤粘結剤乳化剤pH調整剤抗菌剤呈味料、着香料酵素生菌剤、有機酸等が挙げられる。

0041

本発明の哺乳動物用乳量改善剤又はそれを含む哺乳動物用乳量改善用飼料の適用対象は、例えば、ウシ、ヤギヒツジ水牛ヤクラクダ等の反芻動物、ブタウマウサギ等の単胃動物等の愛玩動物である。好ましくは、飲料用及び乳加工製品用の乳を採取するウシ、ヒツジ、及びヤギであり、より好ましくはウシである。

0042

本発明は、また、哺乳動物用乳量改善剤又はそれを含む哺乳動物用乳量改善用飼料を、哺乳動物に給与することを含む、哺乳動物の乳量を改善する方法を提供する。哺乳動物用乳量改善剤又はそれを含む哺乳動物用乳量改善用飼料の給与量は、投与する哺乳動物に依存する。例えば、ウシ、ヤギ、又はヒツジのような反芻動物の場合、哺乳動物用乳量改善剤又はそれを含む哺乳動物用乳量改善用飼料の給与量は、植物クルードレシチンのアセトン不溶物の質量基準で、通常、15〜1000g/日、好ましくは20〜800g/日、特に好ましくは30〜600g/日である。

0043

以下に、実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。

0044

〔アセトン不溶物含有量及びアセトン可溶物含有量の定量方法
本発明のアセトン不溶物含有量は、日本油化学会制定の基準油脂分析試験法(2013年版)4.3.1−2013「アセトン不溶物」に記載の方法で定量した。また、アセトン可溶物含有量は、前記基準油脂分析試験法4.3.2−2013「アセトン可溶物」に記載の方法で定量した。

0045

〔実施例1〕
本発明の哺乳動物用乳量改善剤を含む飼料をウシに与えたときの、乳量に及ぼす影響を調べた。
(1)飼料の作製
試験期に投与するTMR飼料を、表1に示す組成で用意した。また、試験期前(対照期)の対照用飼料として、前記TMR飼料から哺乳動物用乳量改善剤を除いたものを用意した。

0046

エクセルフィード:((株)J−オイルミルズ製)
ファイバーフィードII:((株)J−オイルミルズ製)
※豊年スーパーヴィタクリン:((株)J−オイルミルズ製)
マイコ−AD A−Z:(日本全薬工業(株)製)
※レシチンAY:大豆クルードレシチン((株)J−オイルミルズ製、アセトン不溶物含有量68質量%、アセトン可溶物含有量32質量%;各リン脂質成分含有量 PC19.1g/100g,PE16.2g/100g,PI11.8g/100g,PG3.0g/100g,PA12.1g/100g)

0047

TMR飼料に哺乳動物用乳量改善剤を0.4質量%配合することにより、TMR飼料に植物クルードレシチンのアセトン不溶物の質量基準で0.24質量%添加したことになる。

0048

TMR飼料の粗濃比は、対照期及び試験期とも、質量比で2.7:1であった。

0049

フリーバーンで飼育するホルスタイン種泌乳牛(平均産数2.7回)に対して、対照期の1週間は対照用飼料を平均47.79kg/日/頭、対照期に続く試験期の1か月間、表1に示すTMR飼料を、平均47.97kg/日/頭の量を給餌した。試験期のウシには、171g/日/頭の大豆クルードレシチン(アセトン不溶物換算で、平均116g/日/頭)を与えたことになる。搾乳は1日2回実施し、すべて同じ生乳保管タンク保管した。平均乳量は、1日に集荷した乳量をその日の搾乳頭数で割ることにより求めた。乳成分は、1日に集荷した生乳を全て混合後、測定した。

0050

試験期間中、本発明の哺乳動物用乳量改善剤を飼料に配合しても、嗜好性に影響はなかった。対照期及び試験期の試験データを表2に示す。THIは、温湿度係数(Temperature and Humidity Index)であり、以下の式:



により算出される。68以上のTHIは、乳牛にとって暑熱ストレスとなり、乳量低下の原因となると言われている。

0051

MUNは、Milk Urea Nitrogen(乳中尿素態窒素)であり、乳牛が飼料から摂取した蛋白質量とエネルギー量のバランスを判断する指標となる。MUNの適正範囲は10〜14mg/dLと言われている。MUNがこの適正範囲よりも少ないと、蛋白質不足又はエネルギー過剰が疑われる。逆に、MUNがこの適正範囲よりも多いと、蛋白質過剰又はエネルギー不足が疑われる。

0052

0053

表2に示すとおり、対照期及び試験期のTHIは、乳牛に暑熱ストレスを与えるほど高かった。THIが高いにもかかわらず、本発明に従う哺乳動物用乳量改善剤をウシに与えると、平均乳量は、試験期間の経過とともに増加し、給与30日後に乳量増加率が10.8%にまで増加した。これは、本発明の哺乳動物用乳量改善剤は、暑熱ストレス下の哺乳動物用乳量改善剤として有効であることを示している。さらに、本発明の哺乳動物用乳量改善剤を飼料に定常的に配合することが、泌乳牛の乳量増に寄与することを示している。

実施例

0054

表2において、乳脂率は、試験経過とともに若干低下しているが、飲用向けを主体とした生乳取引における乳脂肪基準である3.5%以上を維持している。乳脂生産量及び乳蛋白質生産量が、それぞれ、1.13から1.17及び0.98から1.04に増大していることから、乳脂率及び乳蛋白質率の若干の低下は、乳量の増加の影響が顕著であったためと推察される。また、乳脂、乳蛋白質及び乳糖の生産量の増大から見て、本発明の哺乳動物用乳量改善剤中の植物クルードレシチンは、ルーメン微生物の活動に負の影響を及ぼさずに、エネルギー源や栄養源として有効利用されたといえる。試験期間中のMUNが適正範囲に入っていることからも、蛋白質量とエネルギー量とのバランスは保たれている。

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