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図面 (3)

課題

電子部品に用いる熱伝導率を向上させた封入材を提供する。

解決手段

抵抗器10を封止する封入材19として、粒径材質の異なる2種類のフィラー、すなわち小粒径フィラーとしての多面体状アルミナ粒子と、大〜中粒径フィラーとしての球状のマグネシア粒子とを混合した組成とする。こうすることで、封入材における総界面積を減らして界面での熱損失を少なくし、熱伝導率を向上させることができる。

概要

背景

従来より、セラミック製のケース内巻線抵抗素子あるいは酸化金属皮膜抵抗素子を収納し、封入材により封止した大電力用の抵抗器が知られている。このような抵抗器は、例えば自動車エンジンルーム内で使用され、発熱量が大きいため抵抗素子で発生した熱を外部へ逃がすことが重要になる。

例えば特許文献1は、基体上に抵抗膜着膜した抵抗素子と、抵抗素子の両端に圧入した金属製キャップと、抵抗素子を内包するケースと、板状の電極端子と、抵抗素子をケース内に封止するための絶縁材料とで構成された、面実装が可能な高電力用の抵抗器を開示している。ここで絶縁材料は、アルミナ粉シリカ粉を含有したセメント樹脂等からなる。

また、大電力用の抵抗器として、従来よりセメント抵抗器(角型固定巻線抵抗器)が広く使用されている。例えば特許文献2は、抵抗素子と、抵抗素子を収容する絶縁ケースと、抵抗素子に当接するとともに絶縁ケースから導出される熱拡散板とを備え、抵抗素子を絶縁ケースに収容した状態で絶縁ケース内にセメントを充填して硬化させたセメント抵抗器を開示している。特許文献2のセメント抵抗器は、放熱効率を高めるため熱拡散板を抵抗素子に直接接触させた構造を有し、セメントは、砂状または粉末状の石英ジルコニアアルミナ雲母等からなる耐熱絶縁材を主成分とし、シリコーン樹脂等のバインダー材を少量含む耐熱絶縁充填剤等を用いている。

特開2000−82601号公報
特開2015−106598号公報

概要

電子部品に用いる熱伝導率を向上させた封入材を提供する。抵抗器10を封止する封入材19として、粒径材質の異なる2種類のフィラー、すなわち小粒径フィラーとしての多面体状アルミナ粒子と、大〜中粒径フィラーとしての球状のマグネシア粒子とを混合した組成とする。こうすることで、封入材における総界面積を減らして界面での熱損失を少なくし、熱伝導率を向上させることができる。

目的

本発明は、上述した課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、電子部品の封止に用いる封入材として熱伝導率を向上させた封入材を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電子部品封止に使用する封入材であって、少なくとも、粒子形状が多面体形状無機フィラーと、粒子形状が球形の無機フィラーと、シリコーン樹脂とを含有することを特徴とする封入材。

請求項2

前記多面体形状の無機フィラーの平均粒径サブミクロン数ミクロンであり、前記球形の無機フィラーの平均粒径は数十ミクロン数百ミクロンであることを特徴とする請求項1に記載の封入材。

請求項3

前記多面体形状の無機フィラーは酸化アルミニウム粒子であり、前記球形の無機フィラーは酸化マグネシウム粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の封入材。

請求項4

前記球形の無機フィラーと前記多面体形状の無機フィラーの混合比は6:4〜8:2であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の封入材。

請求項5

前記電子部品は、少なくとも抵抗器コンデンサバリスタヒューズを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の封入材。

請求項6

両端部に電極が装着された抵抗素子と、一面に開口部を有し、前記抵抗素子を収容する凹部が形成された絶縁性ケースとを備え、前記抵抗素子が収容された前記凹部を、前記開口部より充填した請求項1から4のいずれか1項に記載の封入材で封止してなることを特徴とする抵抗器。

請求項7

前記封入材の空隙率が10〜35%であることを特徴とする請求項6に記載の抵抗器。

技術分野

0001

本発明は、抵抗器等を含む電子部品封止に使用する封入材に関する。

背景技術

0002

従来より、セラミック製のケース内巻線抵抗素子あるいは酸化金属皮膜抵抗素子を収納し、封入材により封止した大電力用の抵抗器が知られている。このような抵抗器は、例えば自動車エンジンルーム内で使用され、発熱量が大きいため抵抗素子で発生した熱を外部へ逃がすことが重要になる。

0003

例えば特許文献1は、基体上に抵抗膜着膜した抵抗素子と、抵抗素子の両端に圧入した金属製キャップと、抵抗素子を内包するケースと、板状の電極端子と、抵抗素子をケース内に封止するための絶縁材料とで構成された、面実装が可能な高電力用の抵抗器を開示している。ここで絶縁材料は、アルミナ粉シリカ粉を含有したセメント樹脂等からなる。

0004

また、大電力用の抵抗器として、従来よりセメント抵抗器(角型固定巻線抵抗器)が広く使用されている。例えば特許文献2は、抵抗素子と、抵抗素子を収容する絶縁ケースと、抵抗素子に当接するとともに絶縁ケースから導出される熱拡散板とを備え、抵抗素子を絶縁ケースに収容した状態で絶縁ケース内にセメントを充填して硬化させたセメント抵抗器を開示している。特許文献2のセメント抵抗器は、放熱効率を高めるため熱拡散板を抵抗素子に直接接触させた構造を有し、セメントは、砂状または粉末状の石英ジルコニアアルミナ雲母等からなる耐熱絶縁材を主成分とし、シリコーン樹脂等のバインダー材を少量含む耐熱絶縁充填剤等を用いている。

0005

特開2000−82601号公報
特開2015−106598号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上述した従来の高電力用の抵抗器において絶縁材料として使用しているシリカ粉は、保存性、安定性欠けるため長期間の保管には適さないという問題がある。また、上記従来の大電力用抵抗器(セメント抵抗器)は、熱伝導率の高い板状の金属を屈曲させて形成した熱拡散板を抵抗素子に接触させる等、抵抗器の構造により放熱効率を向上させている。加えて、熱拡散板のうち絶縁ケースに収容された収容部とセラミック基板とを熱伝導率の高い接着剤を使用して面接触させていることから、抵抗器の構造および製造工程が複雑化する。

0007

一方、封入材の熱伝導率を向上させようとする場合、フィラーを多量にバインダー樹脂に配合する(充填率を高める)ことが有効であっても、フィラーの量を増やすと流動性が低下するという問題がある。また、フィラーの充填率を高めて熱伝導率を向上させることは、封入材の空隙率が小さくなることを意味する。この場合の空隙は、封入材の熱膨張を吸収する役割を果たすため、空隙率が小さくなり過ぎると熱膨張を吸収しきれず、封入材が注入された絶縁性ケースに亀裂が入ったり、絶縁性ケースが破壊されるおそれがある。

0008

本発明は、上述した課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、電子部品の封止に用いる封入材として熱伝導率を向上させた封入材を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、例えば、以下の構成を備える。すなわち、本発明は、電子部品の封止に使用する封入材であって、少なくとも、粒子形状が多面体形状無機フィラーと、粒子形状が球形の無機フィラーと、シリコーン樹脂とを含有することを特徴とする。

0010

例えば、前記多面体形状の無機フィラーの平均粒径サブミクロン数ミクロンであり、前記球形の無機フィラーの平均粒径は数十ミクロン数百ミクロンであることを特徴とする。また、例えば前記多面体形状の無機フィラーは酸化アルミニウム粒子であり、前記球形の無機フィラーは酸化マグネシウム粒子であることを特徴とする。さらには、例えば前記球形の無機フィラーと前記多面体形状の無機フィラーの混合比は6:4〜8:2であることを特徴とする。また、例えば、前記電子部品は、少なくとも抵抗器、コンデンサバリスタヒューズを含むことを特徴とする。

0011

また、本発明の抵抗器は、両端部に電極が装着された抵抗素子と、一面に開口部を有し、前記抵抗素子を収容する凹部が形成された絶縁性ケースとを備え、前記抵抗素子が収容された前記凹部を、前記開口部より充填した上記の封入材で封止してなることを特徴とする。例えば、前記封入材の空隙率が10〜35%であることを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、平均粒径と材質の異なる複数の無機フィラーを混合した封入材により、総界面積を減らして界面での熱の損失を少なくして、熱伝導率を向上できる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施の形態例に係る抵抗器の製造工程を時系列で示すフローチャートである。
本実施の形態例に係る抵抗器を示しており、(a)はその分解構造図、(b)は、図1の工程を経て作製された抵抗器の外観斜視図である。

実施例

0014

以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態例に係る抵抗器の製造工程を時系列で示すフローチャートである。また、図2(a)は、本実施の形態例に係る抵抗器の分解構造図、図2(b)は、図1の工程を経て作製された抵抗器の外観斜視図である。

0015

図1のステップS11において、抵抗器の抵抗素子を作製するため、例えばアルミナ等からなる円柱状の絶縁体、あるいはガラス繊維束ね長尺の棒状に形成した芯材の外周表面に、例えばNiCr系合金、NiFe系合金等からなる抵抗線所定ピッチ巻き付ける。抵抗線を巻き付けた芯材は長尺の状態であるため、ステップS13で、カッターにより所定長個片に切断し、抵抗素子を作製する。作製された抵抗素子を、図2(a)において符号12で示す。

0016

ステップS15では、個片に切断された抵抗素子の両端部にキャップを装着する。具体的には、図2(a)に示すようにキャップ部11aと板状端子13aとが一体となった金属製キャップ15aと、キャップ部11bと板状端子13bとが一体となった金属製キャップ15b各々を、抵抗素子12の両端部に装着(嵌合)する。

0017

なお、図2(a)に示す金属製キャップ15a,15bは、キャップ部11aと板状端子13a、キャップ部11bと板状端子13bそれぞれを一体成型しているが、キャップ部と板状端子を個別に製造して、それらを溶接等で接続して一体化してもよい。

0018

ステップS17において、セラミックケース17の内部に封入材19を充填する。図2(a)に示すようにセラミックケース17は全体が直方体形状で、開口した一つの面を上面(開口面)17aとし、抵抗素子12を収納する凹部14が形成されている。この凹部14に、無機材料である充填剤をバインダー等と混合して液状(泥状)にした封入材19を充填する。なお、抵抗素子を収容するケースは、上述したセラミック等の絶縁材料の他、例えば樹脂製のケース、金属製(アルミ等)のケースであってもよい。

0019

続くステップS19では、両端部に金属製キャップ15a,15bが装着された抵抗素子12を、図2(a)において白抜き矢印で示すように移動して、封入材19が充填されたセラミックケース17の凹部14に収容する。セラミックケース17内に収容された抵抗素子12は、図2(b)に示すように封入材19に浸って没入するが、金属製キャップ15a,15bの板状端子13a,13bの一部はセラミックケース17の開口部17aから外部に突出し、それら突出した部位が抵抗器10の外部接続端子18a,18bとなる。

0020

次にステップS21において、例えば200℃程度の温度で乾燥・焼付けを行って封入材19を硬化させた後、ステップS23において、セラミックケース17の表面にレーザーによる定格等の表示を行う。そして、最後のステップS25で抵抗器の抵抗値の検測、外観等の検査を行う。

0021

次に、本実施の形態例に係る抵抗器の封止に使用する封入材について詳細に説明する。本実施の形態例に係る抵抗器の封入材は、フィラー(充填材)、バインダー樹脂、溶剤添加剤(主に沈降抑制剤)により構成される樹脂組成物である。ここでは、充填材である無機フィラー(無機充填材)の粒子形状を、例えば八面体等の多面体形状とすることで熱伝導率を向上させている。また、後述するように、粒子形状と平均粒径の異なる複数種類のフィラーを組み合せる。

0022

封入材のバインダー樹脂として、シリコーン樹脂の一種であるポリシルセスキオキサンを用いる。バインダー樹脂の含有量は、例えばシリコーン組成物全体に対して10重量%以下とする。また、封入材の溶剤として、キシレンとIPA(イソプロピルアルコール)の混合溶媒、キシレンを用いないIPA、またはIPAとシクロヘキサンの混合溶媒のいずれかを用いる。

0023

なお、近年における環境保全の観点からは、環境負荷の大きい物質であるキシレンを用いない(キシレンレス)タイプの溶媒を使用することが望まれるとともに、IPAは、シリコーン樹脂を比較的良好に溶解でき、廉価で毒性が少ないため比較的安全に使用できる。また、IPAとシクロヘキサンの混合溶媒は、IPA/シクロヘキサン=1/2の重量比共沸系(任意の温度で液相組成気相組成が常に均一である)を形成し、共沸点が68.6℃と低いため、キシレンよりも蒸発速度が速いにもかかわらずコスト的に同程度であり、シリコーン樹脂との親和性もキシレンと同程度である。

0024

封入材においてフィラーの比重が溶剤よりも大きいためフィラーが沈降しやすいことから、封入材の添加剤(沈降抑制剤)として、例えば、有機ベントナイト等の有機変性した層状鉱物を添加する。

0025

上述したように、本実施の形態例に係る抵抗器の封入材において、多面体形状の無機フィラー(多面体フィラー)を使用することで、球状フィラーのみを使用した場合と比較して、フィラー同士が面で接触することとなり、熱伝導率を向上させることができる。すなわち、多面体フィラーは各面がほぼ平面であるため、破砕状フィラー、不定形フィラーよりもフィラー同士が面で接触しやすく、フィラー同士が面で接触することにより伝熱経路を確保し、熱伝導性が向上する。

0026

また、抵抗器内部の伝熱構造は、抵抗素子で発生した熱がフィラー内部の格子振動で伝わるので、フィラーは、熱損失が生じる結晶粒界を少なくすることが望ましい。このことから、結晶子のサイズが大きい(単結晶に近いものが望まれる)フィラーを使用する。よって、熱伝導率を向上させるためには、無機フィラーの粒径をできるだけ大きくして総界面積を減らし、界面での熱の損失を少なくすることが望ましい。

0027

さらに、封入材において熱伝導率を低下させる要因となる空気を含む空隙の割合を適切な範囲(10〜35%、望ましくは10〜20%)とするため、平均粒径が一種類のフィラーのみならず、複数種類の平均粒径のフィラーを組み合わせて、フィラーを高充填率化させる。

0028

そこで、本実施の形態例に係る抵抗器の封入材の無機フィラーにおいて、多面体フィラーに球形フィラーを混合することにより、適切な流動性と空隙率を確保する。ここでは、無機フィラーとして、多面体状酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)粒子(小粒径フィラー)と、高温焼成された球状の酸化マグネシウムマグネシア:MgO)粒子(大〜中粒径フィラー)の2種類の材質、粒径のフィラーを使用する。

0029

より具体的には、平均粒径がサブミクロン〜数ミクロン程度の多面体状のアルミナ粒子と、平均粒径が数十ミクロン〜数百ミクロン程度の球状のマグネシア粒子を使用する。これらの多面体状のアルミナ粒子を「小粒径フィラー」、球状のマグネシア粒子を「大〜中粒径フィラー」と総称すると、本実施の形態例に係る抵抗器の封入材における無機フィラーは、小粒径フィラーと大〜中粒径フィラーを各1種類ずつ混合してなると言える。

0030

アルミナとマグネシアは熱伝導率が良いことに加え、熱伝導率に異方性がなく等方的に熱が逃げることから、これらを使用して封入材の熱伝導率を向上させることができる。上述した大〜中粒径フィラーであるマグネシア粒子は、それ自体単体で熱伝導率が大きく、化学安定性が高いため、封入材の熱伝導率向上に寄与する。しかしながら、フィラーのすべてを大〜中粒径のマグネシア粒子で構成すると、粒径が比較的大きいため高充填が困難であり、空隙率が高くなりすぎてしまい、熱伝導率を向上させることが難しい。そこで、本実施の形態例に係る抵抗器では、比較的安価で熱伝導率が良く、化学的安定性の高い多面体形状のアルミナを小粒径フィラーとして選択した。

0031

なお、小粒径フィラーはフィラー同士の接触点が多いため熱損失が大きくなるという欠点がある。この点に鑑みて、本実施の形態例に係る抵抗器では、小粒径フィラーとして多面体形状の粒子を使用し、フィラー同士を面接触させることで熱伝導率を向上させている。

0032

また、後述するように封入材における球状フィラーと多面体状フィラーの混合比は、6:4〜8:2の範囲内、望ましくは7:3とする。これにより、従来の抵抗器における熱伝導率が1〜1.5W/m・K程度であったものを、2W/m・K以上まで向上できることが判明した。

0033

本実施の形態例に係る抵抗器は、上述したようにセラミックケース等の容器内に抵抗素子を配置し、封入材で封止している。そのため、封止材に熱膨張による体積の変化を吸収する空隙がある程度存在しないと、封入材が充填されたケースに亀裂が入り破裂するおそれがある。一方、熱伝導率を向上させて放熱性を改善するためには、フィラー同士の接触面積を増やすことが重要であり、フィラーの充填率を高めれば、熱伝導率は向上する。しかし、フィラーの充填率が高いことは、封止材の空隙率が低下することを意味しており、熱膨張を吸収できなくなる。

0034

そこで、本実施の形態例に係る抵抗器では、フィラーの充填率を65〜90%、望ましくは80〜90%以内(すなわち、空隙率を10〜35%、望ましくは10〜20%以内)に抑え、多面体状フィラーと球状フィラーにより接触面積を確保して、粒径と混合比を制御している。こうすることで熱伝導率が向上し、封止材の硬化時における封止材の空隙率が望ましい範囲となる。具体的には、熱伝導率が2W/m・K以上、かつ空隙率が10〜35%、望ましくは10〜20%以内の抵抗器を得ることができる。

0035

次に、本実施の形態例に係る抵抗器における封入材の具体的な組成(配合)について、実施例を参照して説明する。なお、以下の各実施例において熱伝導率の測定には、非定常法の一つである面加熱法を用いたホットディスク法定常法を使用した。また、充填率は、封入材の見掛け上の密度を封入材の真密度で割って100を掛けることによって求めた。

0036

<実施例1>
表1は、実施例1に係る封入材として、キシレンを含有し、粒径の異なる2種類のフィラー(平均粒径のオーダーが一桁異なる2種類のフィラー)を使用した封入材であって、大粒径フィラー(フィラー1(F1))と小粒径フィラー(フィラー2(F2))の組成を65/30に固定した封入材(試料1〜9)について、熱伝導率と充填率を測定した結果を示している。

0037

0038

表1より、実施例1に係る封入材は、充填率と熱伝導率の間に明確な相関は見受けられないものの、大〜中粒径フィラーとして大粒径MgOと中粒径MgOを使用し、小粒径フィラーとして小粒径多面体Al2O3を使用した試料において高い熱伝導率を示した。特に試料5(マグネシア粒子MgO(45.3μm)/多面体Al2O3(3.4μm)=65/30(重量比))の場合、熱伝導率が最大の3.988W/m・Kを示した。これは、比較対象とした現行品の2.3倍に当たり、このときの充填率は80.5%であった。

0039

その理由は、多面体アルミナ粒子Al2O3(3.4μm)が多面体形状であるため、大粒径の粒子の隙間に入り込んで高い充填率を確保できたと同時に、球状粒子と違って点接触ではなく面接触することで熱伝導のロスが少なくなる上、多面体アルミナ粒子は、例えば結晶子径が122nmと他のフィラーと比べて大きいため、結晶粒界での熱伝導の損失が少ないことに起因すると考えられる。

0040

<実施例2>
表2は、実施例2に係る封入材として、キシレンを含有し、粒径の異なる3種類のフィラー(フィラー1(F1)、フィラー2(F2)、およびフィラー3(F3))を使用した封入材(試料10〜16)について熱伝導率と充填率を測定した結果を示している。

0041

実施例2は、実施例1において最大の熱伝導率を示した試料5(MgO(45.3μm)/多面体Al2O3(3.4μm)=65/30(重量比))の組成に対して、コスト的な観点から、高価な多面体Al2O3粒子を使用しないか、あるいはその使用量を抑えた試料についての特性を示している。

0042

0043

表2に示すように、フィラーとして粒径の異なる3種類のMgOを組み合わせた場合、熱伝導率の向上は期待できなかったが、大、中、小の3種類の粒径のMgOのうち、小粒径のMgOを多面体Al2O3に変更することで熱伝導率の向上が確認できた。

0044

そこで、3種類のフィラー(F1,F2,F3)とバインダー(B)の重量比F1/F2/F3/Bにおいて、大粒径フィラーとしてのMgO粒子(45.3μm)の重量比率を65に固定し、残りのF2/F3についてMgO粒子(6.23μm)と多面体Al2O3粒子(3.4μm)の重量比率を25/5(試料12)、20/10(試料13)、15/15(試料14)、10/20(試料15)、5/25(試料16)にして、比較検討した。

0045

その結果、試料13(MgO(45.3μm)/MgO(6.23μm)/多面体Al2O3粒子(3.4μm)=65/20/10の組成)において最大の熱伝導率2.989W/m・Kが得られた。また、このときの充填率は83%と最も大きかった。よって、大粒径フィラーと中粒径フィラーをMgO、小粒径フィラーを多面体Al2O3粒子にすることで、封入材のコストダウンとともに熱伝導率の高いフィラーの配合組成が得られた。

0046

<実施例3>
表3は、実施例3に係る封入材として、キシレンを含有しない(キシレンレス)溶剤を用い、粒径の異なる2種類のフィラーの混合割合を変更した試料20〜24について、熱伝導率と充填率を測定した結果を示している。ここでは、実施例1で熱伝導率が最も大きい試料5に着目し、フィラー1(F1)として球形フィラーであるマグネシア粒子MgO(45.3μm)、フィラー2(F2)として多面体フィラーである多面体Al2O3(3.4μm)を選定した。

0047

実施例3では、フィラーF1,F2とバインダー樹脂Bの重量組成比(F1+F2)/Bを95/5に固定し、フィラーF1とフィラーF2の重量比率F1/F2を、90/10(試料20)、80/20(試料21)、70/30(試料22)、60/40(試料23)、50/50(試料24)とした。また、沈降抑制剤としてGARAMITE7305(ビックケミー社製)を、フィラーとバインダー樹脂の合計重量に対して外比で1重量%となるように添加した。

0048

0049

表3に示すように、粒径の異なる2種類のフィラーF1,F2の混合割合F1/F2を変更した封入材(試料20〜24)のうち、F1/F2=70/30(7:3)の試料22が熱伝導率、充填率ともに最も高く、F1/F2=80/20(8:2)の試料21、F1/F2=60/40(6:4)の試料23についても、従来品を超える良好な熱伝導率が得られた。これらより、封入材における球形の無機フィラーと多面体形状の無機フィラーの混合比は、6:4〜8:2の範囲が望ましく、7:3が好適と言える。また、いずれの試料においても、外観上フィラーが分離していない均一な状態が確認できた。なお、充填率は、試料20〜24のいずれも、上述した65〜90%の範囲内であった。

0050

以上説明したように本実施の形態例に係る抵抗器の封入材の組成として、粒径と材質の異なる2種類のフィラー、すなわち、小粒径フィラーとして多面体状のアルミナ粒子と、大〜中粒径フィラーとして球状のマグネシア粒子とを混合することで、熱伝導率の比較的良好な大〜中粒径フィラーをベースとして無機フィラーを高充填して空隙率を減らし、総界面積を減らして界面での熱の損失を少なくして、熱伝導率を向上させることができる。また、小粒径フィラーとして多面体状のアルミナ粒子を用いることにより、フィラー同士の接触点を減らすとともにフィラー同士の接触面積を増やし、点接触ではなく面接触とすることにより、熱伝導率を向上させることができる。

0051

さらに、粒径と材質の異なる3種類のフィラー、すなわち、大粒径フィラーおよび中粒径フィラーとして球状のマグネシア粒子と、小粒径フィラーとして多面体状のアルミナ粒子とを混合した封入材においても、高い熱伝導率が得られた。

0052

また、封入材において複数種類の平均粒径のフィラーを組み合わせることでフィラーを高充填率化させて、封入材における空気を含む空隙の割合を少なくするとともに、多面体状フィラーと球状フィラーにより接触面積を確保し、粒径と混合比を制御することにより、熱伝導率の向上のみならず、封入材としての適切な流動性と空隙率を確保できる。

0053

<変形例>
本発明は上述した実施の形態例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態例では抵抗器の抵抗素子を巻線型の抵抗素子としたが、これに限定されない。抵抗素子は、例えば円柱状絶縁体の外周に抵抗皮膜金属皮膜炭素皮膜メタルグレーズ被膜酸化金属皮膜)を着膜し、両端に金属製のキャップを嵌合した皮膜抵抗素子であってもよい。また、抵抗素子として、長方形状金属板(CuNi系合金、NiCr系合金等)を所定パターンに形成した、平板状の金属板抵抗素子、あるいは長方形状の絶縁基板酸化ルテニウム等の厚膜抵抗体と、抵抗体両端に電気的に接続した電極(銀等)をスクリーン印刷により形成し、その電極に外部接続端子を接続した厚膜抵抗素子を使用できる。

0054

上記実施の形態例に係る抵抗器では、外部に突出した板状端子13a,13bを抵抗器の外部接続端子18a,18bとしているが、これらの板状端子に代えてリード線をキャップ部11a,11bと一体成型するか、あるいは溶接等で接続して一体化して外部接続端子としてもよい。また、抵抗素子が上記の金属板抵抗素子の場合には、外部接続端子として、金属板の端部に接合した板状端子あるいはリード線を備える構成としてもよい。

0055

さらに、上記実施の形態例では外部接続端子18a,18bをケース開口部17aより突出させているが、例えばセラミックケース17の長手方向の側面に溝を形成して、その溝より外部接続端子を外部へ突出させてもよい。

0056

また、上記実施の形態例では抵抗器の封止に使用する封入材を例に挙げたが、抵抗器に限定されず、ケース内に素子を封入するタイプの電子部品、例えばコンデンサ、バリスタ、ヒューズ等の封入材にも適用できる。

0057

10抵抗器
11a,11bキャップ部
12抵抗素子
13a,13b板状端子
14 凹部
15a,15b金属製キャップ
17セラミックケース
17a 上面(開口面)
18a,18b外部接続端子
19 封入材

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