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技術 異常な短縮率(fractional shortening)を持つ患者の同定

出願人 エフ.ホフマン-ラロシュアーゲー
発明者 ブロック,ディルクマッソン,セルジェヴィーンヒューズ-テレン,ウルスラ-ヘンリケツァウグ,クリスティアンラティーニ,ロベルト
出願日 2017年11月16日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-220660
公開日 2018年3月29日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2018-049032
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 電子フィルター 無線シグナル Mモード 修正計算 検出構成要素 光放出ダイオード 独立型装置 エレクトロルミネセントランプ
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

被験体画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法を提供する。

解決手段

被験体由来試料における心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量(単数または複数)の決定、ならびにこうして決定した量(単数または複数)と参照量(単数または複数)の比較に基づく。本発明はまた、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかの評価を実行するためのシステム、方法を実行する際に用いる試薬およびキット死亡および/または心臓血管事象リスク予測するための方法、保持された左室駆出を有する被験体における、初期段階のLVHを診断するための方法を含む。

概要

背景

概要

被験体画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法を提供する。被験体由来試料における心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量(単数または複数)の決定、ならびにこうして決定した量(単数または複数)と参照量(単数または複数)の比較に基づく。本発明はまた、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかの評価を実行するためのシステム、方法を実行する際に用いる試薬およびキット死亡および/または心臓血管事象リスク予測するための方法、保持された左室駆出を有する被験体における、初期段階のLVHを診断するための方法を含む。なし

目的

その2つの機能は、尿亜リン酸排出を誘導し、そしてビタミンD活性化を阻害することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被験体画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法であって、a)被験体由来試料において、心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量(単数または複数)を決定し、そしてb)こうして決定した量(a)を参照量(単数または複数)と比較し、それによって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価する、工程を含む、前記方法。

請求項2

被験体が高血圧を患い、そして/または被験体が左室肥大を患わず、特に、被験体が正常左室重量を有する、請求項1の方法。

請求項3

画像法に基づく診断評価が心エコーまたは磁気共鳴画像法であり、好ましくは、画像法に基づく診断評価が、拡張機能不全および/または収縮機能不全を診断するためであり、特に、異常な中壁短縮率を診断するためである、請求項1または2のいずれか一項の方法。

請求項4

参照量が、計算された参照量であり、参照量と比較した際の被験体由来の試料における量の増加が、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示し、そして/または、参照量と比較した際の被験体由来の試料における量の減少が、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきではないことを示す、請求項1〜3のいずれか一項の方法。

請求項5

i)参照量が、画像法に基づく診断評価に感受性であることが知られる被験体または被験体群由来し、ここで、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはそれよりも多い心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量が、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきである(包含する)ことを示し、そして/またはii)参照量が、画像法に基づく診断評価に感受性ではないことが知られる被験体または被験体群に由来し、ここで、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはそれよりも少ないトロポニンおよび/またはFGF−23の量が、試験しようとする被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきではない(排除する)ことを示す請求項1〜3のいずれか一項の方法。

請求項6

参照量が、請求項1の工程a)に示すような試料(「第二の試料」)の前に、被験体から得られていた第一の試料における量である、請求項1〜3のいずれか一項の方法。

請求項7

第一の試料が、第二の試料の6〜18ヶ月前に得られている、請求項6の方法。

請求項8

第一の試料における量より少なくとも10%、または特に少なくとも25%多い、第二の試料における心臓トロポニン、特にトロポニンTの量、および/または、第一の試料における量より少なくとも5%、または特に少なくとも10%多い、第二の試料におけるFGF−23の量が、画像法に基づく診断評価に供するべき被験体の指標であり、そして/または第一の試料と比較した際、第二の試料におけるFGF−23および/または心臓トロポニンの本質的に不変の量または減少した量が、画像法に基づく診断評価に供するべきではない被験体の指標である、請求項6または7の方法。

請求項9

被験体が、第一の試料が得られた時点では異常なMFSを患わず、特に被験体が、第一の試料を得た時点で高血圧を患う、請求項6〜8のいずれか一項の方法。

請求項10

試料が血液、血清または血漿試料である、請求項1〜9のいずれか一項の方法。

請求項11

心臓トロポニンおよびFGF−23の両方の量を決定する、請求項1〜10のいずれかの方法。

請求項12

FGF−23の量を決定する際、方法が、工程a)において、FGF−23の決定に加えて、ビタミンDの量の決定、さらなる工程a1)において、ビタミンDの量に対するFGF−23の量の間の比の計算、およびこうして計算した比の参照比との比較を含む、請求項1〜11のいずれか一項の方法。

請求項13

被験体が、特に血液、血清または血漿試料中で、増加したNT−プロBNPレベルを持たない、請求項1〜12のいずれか一項の方法。

請求項14

被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための、被験体試料におけるi)心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の、あるいはii)心臓トロポニンに特異的に結合する検出剤および/またはFGF−23に特異的に結合する検出剤の使用。請求項1〜13の方法を実行するために適応したデバイスであってa)心臓トロポニンに特異的に結合する検出剤、FGF−23に特異的に結合する検出剤、IGFBP7に特異的に結合する検出剤、ミメカンに特異的に結合する検出剤、および/またはエンドスタチンに特異的に結合する検出剤(ならびに場合によって、FGF−23を決定しようとする場合、ビタミンDに特異的に結合する検出剤)を含むアナライザーユニットであって、被験体試料におけるマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)を決定するために適応した、前記ユニット;およびb)決定した量(単数または複数)と参照量(単数または複数)を比較し、それによって、被験体を画像法に基づく評価に供するべきか評価するためのアナライザーユニットであって、参照量(単数または複数)を含むデータベース、および比較を実行するためのコンピュータ実装アルゴリズムを含む、前記ユニットを含む、前記デバイス。

請求項15

心不全を患っておらず、そして/または心不全の明らかな徴候を示さない被験体において、死亡および/または心臓血管事象リスク予測するための方法であって、a)前記被験体由来の試料において、IGFBP7の量および/またはFGF−23の量を決定し、そしてb)工程a)において決定した量(単数または複数)を、参照量(単数または複数)と比較し、それによって、前記被験体における死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する、工程を含む、前記方法。

請求項16

被験体が保持されたLVEF(左室駆出率)を有する、特にLVEFが55%より高いかまたは60%より高い、請求項15の方法。

請求項17

方法が、FGF−23の量の決定を含み、そして方法が、ビタミンDの量の決定、FGF−23およびビタミンDの量の間の比の計算、ならびにその比の参照比との比較をさらに含む、請求項15および16の方法。

請求項18

工程a)が、被験体由来の試料における、脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPまたはNT−プロBNPの量、および/または心臓トロポニン、特にトロポニンTまたはIの量を決定する工程をさらに含む、請求項15〜17のいずれか一項の方法。

請求項19

心不全の明らかな徴候を示さない被験体が、ACCAH分類にしたがって病期Aまたは病期Bと分類される心不全を患うか、あるいは被験体が心疾患および障害に関しては健康である、請求項15〜18のいずれか一項の方法。

請求項20

保持された左室駆出率を有する被験体において、初期段階の左室肥大を診断するための方法であって、a)被験体由来の試料において、エンドスタチンの量を決定し、そしてb)被験体由来の試料において、BNP型ペプチドおよび/または心臓トロポニンの量を決定し、そしてc)工程a)およびb)において決定したような量を、参照量と比較し、それによって、初期段階の左室肥大を診断する工程を含む、前記方法。

請求項21

エンドスタチンおよびBNP型ペプチドの量の決定を含む、請求項20の方法。

請求項22

エンドスタチンおよび心臓トロポニンの量の決定を含む、請求項20の方法。

請求項23

被験体が高血圧を患う、請求項20〜22のいずれか一項の方法。

請求項24

被験体が、ACC/AHA分類にしたがって、病期Bと分類される心不全を患う、請求項20〜23のいずれか一項の方法。

請求項25

被験体が男性の場合、初期段階のLVHが、好ましくは116g/m2〜149g/m2の間の範囲、より好ましくは116g/m2〜135g/m2の間の範囲、さらにより好ましくは116g/m2〜130g/m2の間の範囲、そして最も好ましくは116g/m2〜125g/m2の間の範囲の左室重量指数を指す、請求項20〜24のいずれか一項の方法。

請求項26

被験体が女性の場合、初期段階のLVHが、好ましくは96g/m2〜125g/m2の間の範囲、より好ましくは96g/m2〜120g/m2の間の範囲、さらにより好ましくは96g/m2〜115g/m2の間の範囲、そして最も好ましくは96g/m2〜108g/m2の間の範囲の左室重量指数を指す、請求項20〜24のいずれか一項の方法。

請求項27

保持されたLVEFを有する被験体が、55%より高いかまたは60%より高いLVEFを有する、請求項20〜26のいずれか一項の方法。

請求項28

(i)決定したマーカーの1つの量が参照量より高い場合、または(ii)両方のマーカー(または3つすべてのマーカー)の量が参照量より高い場合、試験被験体が初期段階のLVHにある、請求項20〜27のいずれか一項の方法。

請求項29

両方のマーカーの量が参照量より少ない場合、被験体が初期段階のLVHにはない、請求項20〜28のいずれか一項の方法。

請求項30

試料が、血液、血清または血漿試料である、請求項15〜29のいずれか一項の方法。

請求項31

被験体がヒトである、請求項15〜30のいずれか一項の方法。

請求項32

被験体が女性である、請求項15〜31のいずれか一項の方法。

技術分野

0001

本発明は、被験体画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法に関する。該方法は、被験体由来試料における心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量(単数または複数)の決定、ならびにこうして決定した量(単数または複数)と参照量(単数または複数)の比較に基づく。本発明はまた、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかどうかの評価を実行するためのシステム、そして本明細書に開示する方法を実行する際に用いる試薬およびキットにも関する。さらに、本発明は、死亡および/または心臓血管事象リスク予測するための方法に関する。保持された左室駆出を有する被験体における、初期段階のLVHを診断するための方法も含まれる。

発明が解決しようとする課題

0002

異常な中壁(midwall)短縮率MFS)は、左室肥大(LVH)および心不全に進行する間の初期前臨床段階に、ならびに心筋虚血において、異常な収縮および/または拡張心室機能を示す。MFSは、標的器官損傷、収縮予備能損傷、および死亡増加の証拠を有する高血圧患者を同定する、収縮機能測定値である。したがって、異常な短縮率を有する被験体の同定が重要である。特に、この同定によって、左室肥大またはさらに心不全の不可逆的進行が起こる前に、適切な予防治療を開始することが可能になる。

0003

短縮率は、画像様式を用いることによって認識可能である(例えばHonda Tら J Cardiol. 2002 Mar;39(3):141−50.; Palmiero Pら Echocardiography. 2008 Jan;25{l):20−6.; Shimizu GらCirculation. 1985;71:266−272を参照されたい)。しかし、異常な中壁短縮率は、しばしば、試験されないかまたは見逃される。これは、特に高齢者に当てはまる心エコーを用いた短縮率の評価は、高価な計測手段、特殊化された画像化技術、ならびに専門的な画像記録および解釈技能を必要とする。異常なMFSに関する心エコースクリーニングの広く行われる適用は、コスト対費用を考慮することによって限定されてきている。しかし、この不都合は、中壁短縮率に関連する血液バイオマーカーを用いて克服可能であった。

0004

さらに、バイオマーカーに基づく方法は、心エコーまたは磁気共鳴画像法などの続く画像化技術のために、患者を階層化するために有用であろう。
WO 2012/025355は、心不全を発展させるリスク因子所持する被験体において、心臓トロポニンおよびIGFBP7の量を決定することによって、心不全に先行する心臓の機能異常および/または構造異常を診断する方法を記載する。該文献は、3.5pg/mlに等しいかまたはそれより高いトロポニンTのレベルが、心不全に先行する心臓の機能異常および/または構造異常の指標であることを開示する。<15%の中壁短縮率(MFS)を持つ被験体は記載されない。

0005

Saytanら 2007(Am J Kidney Dis. December; 50(6):1009−1019)は、低い中壁短縮率が、劣った収縮機能の測定値であり、そして無症候性血液透析患者において低い中壁短縮率はlogNT−プロBNPに独立に相関する(p<0.01)ことを開示する。さらに、cTnTおよびmWFSの間には有意な相関はなかった(p=0.51)。

0006

Kitagawaら 2011(Nephron Extra 1(1):166−177)は、BNPならびにhsトロポニンIを用いて、非糖尿病慢性腎疾患患者における左室拡張機能不全を検出可能であることを開示する。

0007

線維芽細胞増殖因子−23(FGF−23)は骨細胞から血中に分泌される32kDaホルモンである。その2つの機能は、尿亜リン酸排出を誘導し、そしてビタミンD活性化を阻害することである;どちらの作用も近位尿細管で起こる。末期腎疾患患者において、高濃度循環FGF−23が見出されている。該ホルモンは、カルシウムリン酸およびビタミンD代謝の制御における重要な因子であり、そして心臓血管事象の主要な決定要因である、LV肥大病因形成において、原因となる役割を有する。

0008

Kirkpanturら 2011(Nephrol Dial Transplant 26:1346−1354)は、FGF−23レベルが、透析患者における増加した左室重量指数(LVMI)および心筋性能指数と関連することを開示する(表2を参照されたい)。<15%の異常な短縮率を有する被験体は調べられなかった(表2を参照されたい;すべての被験体は、FS=ほぼ30%の短縮率を有する)。

0009

Mirzaaら 2009(Mirzaa Atheroscleosis 207, 546−551)は、上昇した血清FGF−23レベル、ならびに増加した左室重量、左室肥大および左室幾何形状、および高齢被験体における左室肥大の存在に関するリスクの増加の間の関連を開示し、これは腎疾患を有する患者(eGFR<60mL/分)でより顕著である。

0010

Faulら 2011(J Clin Invest 121(11):4393−4408)は、動物モデルにおいて、LVHの病因形成におけるFGF−23の原因となる役割を調べ、そして慢性的に上昇したFGF−23レベルが、高率の左室肥大および死亡に直接寄与することを示唆する。該文献はまた、ヒトにおける上昇した血清FGF−23レベルおよび左室肥大の有病率の間の関連もまた開示し、そして慢性腎疾患のヒトにおいて、FGF−23レベルの増加が、左室肥大の発展に先行することも開示する。やはり記載されるのは、FGF−23の検出に基づいて、患者が、将来、左室肥大を患うリスクを予測する方法である。

0011

Gutierrezら 2009(Circulation May 19; 119(19):2545−2552)は、FGF−23濃度が、LVMI増加と有意に関連することを開示する。log FGF−23濃度の増加はまた、左室肥大の存在とも有意に関連した。

0012

Taddeiら 2011(Heart Fail Rev 16:615−620)は、慢性腎疾患患者におけるLVHのリスク因子として、ビタミンD欠乏、すなわちビタミンDレベル減少を開示する。

0013

Palmieroら 2008(Echocardiography Jan; 25(1):20−6)は、中壁短縮率が、拡張機能が正常である場合であってさえ、高血圧患者における心室機能不全の重要な初期徴候であることを開示する。

0014

Ixら 2012(J Am College of Cardiol.)は、FGF−23が集団被験体における予測因子として使用可能であることを開示する。
IGFBP系は、細胞増殖および分化において、重要な役割を果たす。IGF結合タンパク質7(=IGFBP−7)は、内皮細胞血管平滑筋細胞線維芽細胞、および上皮細胞によって分泌されることが知られる、30kDaのモジュラー糖タンパク質である(Ono, Y.ら, Biochem Biophys Res Comm 202(1994)1490−1496)。文献において、この分子はまた、FSTL2;IBP 7;IGF結合タンパク質関連タンパク質I;IGFBP7;IGFBP7v;IGFBP rPl;IGFBP7;IGFBPRP1;インスリン様増殖因子結合タンパク質7;インスリン様増殖因子結合タンパク質7前駆体;MAC25;MAC25タンパク質;PGI2刺激因子;およびPSFまたはプロスタサイクリン刺激因子とも称されてきている。低レベルのIGFB−7は、ランダムヒト血清において検出されており、そして血清レベルの増加は、インスリン耐性と関連することが示されてきている(Lopez−Bermejo, A.ら, J. Clinical Endocrinology and Metabolism 88(2003)3401−3408, Lopez−Bermejo, A.ら, Diabetes 55(2006)2333−2339)。

0015

US2010/0285491は、心不全の評価におけるIGFBP−7の使用を開示する。該文献は、さらに、マーカー、IGFBP−7が、HFを患う患者に対して、治療措置を選択するために使用可能であることを開示する。

0016

Motiwalaらは、IGFBP7の連続測定を、左室収縮機能不全の患者における予測因子として使用可能であることを開示する(JACC, 2013, 61(10), E565)。

0017

ミメカン(しばしば、「オステオグリシン」とも称される)は、細胞外マトリックス多機能構成要素である。ミメカンは、発生、組織修復、および転移において必須であるプロセス、コラーゲン原線維形成の制御に関与することが示されてきている(Tashevaら, Mol. Vis. 8(2002)407−415)。それは、TGF−ベータ−1またはTGF−ベータ−2との組み合わせにおいて、骨形成において役割を果たす。ラットおよびヒト心臓組織におけるトランスクリプトーム分析によって、ミメカンと左室重量、ならびに拡張性心筋疾患における細胞外リモデリングとの高い相関が明らかになった(Petretto, E.ら, Nature Genetics 40(2008)546−552)。

0018

WO2011/012268は、ミメカンを心不全評価のためのマーカーとして使用可能であることを開示する。
エンドスタチンは、元来、XVIII型コラーゲンの20kDAタンパク質分解的分解断片として、ネズミ血管内皮腫から単離された(O’Reilly, M.S.ら, Cell 88(1997)277−285)。コラーゲンは、超分子凝集物を形成する特徴的な三重らせんコンホメーションを持つ細胞外マトリックスタンパク質ファミリーを代表し、該分子は組織構造完全性を維持する際に主要な役割を果たす。過剰なコラーゲン沈着は、周囲組織の正常機能を破壊する線維症を導く。エンドスタチンは、多様なタンパク質分解酵素の作用によって、コラーゲンXVIIIのアルファ1鎖から放出される(Ortega, N.およびWerb, Z., Journal of Cell Science 115(2002)4201−4214)。エンドスタチンは、血管新生および血管成長の強力な阻害剤である。

0019

WO2010/124821は、エンドスタチンを心不全評価のためのマーカーとして使用可能であることを開示する。
本発明の根底にある技術的問題は、前述の必要性に応じるための手段および方法の提供として見られうる。

0020

技術的問題は、請求項および以下の本明細書に特徴付けられる態様によって解決される。

課題を解決するための手段

0021

被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法
本発明は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量(単数または複数)を決定し、そして
b)こうして決定した量(単数または複数)を参照量(単数または複数)と比較し、それによって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価する、
工程を含む、前記方法に関する。

0022

好ましくは、工程b)において実行する比較の結果に基づいて、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価する、さらなる工程c)を実行することによって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価する。

0023

本発明の方法は、好ましくは、ex vivoまたはin vitro法である。さらに、該方法は、上に明確に言及するものに加えて、工程を含んでもよい。例えば、さらなる工程は、試料の前処理、または方法によって得られる結果の評価に関連するものであることも可能である。方法を手動で実行してもよいし、または方法は自動化によって補助されていてもよい。好ましくは、工程(a)および/または(b)は、全体で、または部分的に、自動化によって、例えば工程(a)における決定のための、あるいは工程(b)におけるコンピュータ実装比較および/または前記比較に基づく評価のための、適切なロボットおよびセンサー装置によって、補助されていてもよい。

0024

したがって、本発明はまた、好ましくは、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するためのシステムであって、
a)被験体由来の試料の一部を、in vitroで、心臓トロポニンに対する特異的結合アフィニティを含むリガンドと、そして/またはFGF−23に対する特異的結合アフィニティを含むリガンドと接触させるよう設定された、アナライザーユニット
b)リガンド(単数または複数)と接触させた被験体由来の試料の一部から、シグナルを検出するように設定された、アナライザーユニット、
c)プロセッサを有し、そして前記アナライザー装置と操作可能な通信がある、計算デバイス、および
d)プロセッサによって実行可能な複数の命令を含む非一過性機械読み取り可能媒体であって、該命令が実行された際、心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量(単数または複数)を計算し、そして参照量(単数または複数)と該量(単数または複数)を比較して、それによって被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価する、前記媒体
を含む、前記システムに関する。

図面の簡単な説明

0025

図1A:ボーダーラインのLVH/穏やかに上昇したLV重量を持つ女性被験体における、エンドスタチンおよびNT−プロBNPレベル図1B:ボーダーラインのLVH/穏やかに上昇したLV重量を持つ女性被験体における、エンドスタチンおよびcTnTレベル。
図2A:ボーダーラインのLVH/穏やかに上昇したLV重量を持つ男性被験体における、エンドスタチンおよびcTnTレベル。図2B:ボーダーラインのLVH/穏やかに上昇したLV重量を持つ男性被験体における、エンドスタチンおよびNT−プロBNPレベル。

0026

用語「評価する」は、本明細書において、本明細書に示すような被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかどうかを決定することを意味する。したがって、本発明の方法を実行することによって、本明細書に示すような被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかどうかを階層化することも可能である。本発明の方法を実行することによって、例えばこれらの診断評価に供するべきではない被験体を同定することも可能である。これらの評価は、高価な計測手段、特殊化された画像化技術、ならびに専門的な画像記録および解釈技能を必要とするため、不要な医療費を回避することも可能である。画像法に基づく評価に感受性である被験体は、好ましくは、収縮機能不全および/または拡張機能不全を患う可能性が増加している被験体である。したがって、該被験体は、画像法に基づく診断評価を必要とする。特に、画像法に基づく評価に感受性である被験体は、好ましくは、異常な中壁短縮率を患う可能性が増加している被験体である。画像法に基づく評価に感受性ではない被験体は、好ましくは、収縮機能不全および/または拡張機能不全を患う可能性が減少している被験体である。したがって、該被験体は、画像法に基づく診断評価を必要としない。特に、画像法に基づく評価に感受性ではない被験体は、好ましくは、異常な中壁短縮率を患う可能性が減少している被験体である。

0027

業者に理解されるであろうように、こうした評価は、通常、評価しようとする被験体の100%に関して正確であることは意図されない。該用語は、しかし、被験体の統計的に有意な部分が正確に評価可能であることを必要とする。評価が正しいかどうかは、当該技術分野に周知の方法によって確認可能である。さらに、部分が統計的に有意であるかどうかは、多様な周知の統計評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定マンホイットニー検定等を用いて、当業者によって、容易に決定可能である。詳細は、DowdyおよびWearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。

0028

本発明の方法にしたがって、試験しようとする被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するものとする。好ましくは、画像法に基づく診断評価は、心臓の写真を生成することを目的とする。したがって、評価は、心臓の評価であるものとする。より好ましくは、画像法に基づく診断評価は、心エコーまたは磁気共鳴画像法(MRI)である。最も好ましい診断評価は心エコーである。

0029

上述の画像化技術は、当該技術分野に周知である。用語「心エコー」は、本明細書において、好ましくは、超音波によって生じる画像および記録を用いた心臓構造および機能の評価を指す。好ましくは、該用語には、一次元、二次元および三次元心エコーが含まれる。さらに、用語「心エコー」には、経胸壁心エコー、負荷心エコー、およびコントラスト心エコーが含まれることが想定される。特に好ましい態様において、心エコーは、Mモード心エコーである。

0030

磁気共鳴画像法は、体の内部構造を詳細に視覚化するため、放射線学で用いられる医学的画像化技術である。MRIによって、高周波電波が、強い磁場に置かれた水分子および他の組織構成要素中の水素原子照射する際、該電波の吸収および透過を分析する。用語「磁気共鳴画像法」は、本明細書において、心臓磁気共鳴画像法(しばしば、心臓血管磁気共鳴画像法とも称される)を指す。

0031

本発明の方法の好ましい態様において、画像法に基づく診断評価を、拡張機能不全を診断するために用いる。本発明の方法のさらにより好ましい態様において、画像法に基づく診断評価を、収縮機能不全を診断するために用いる。

0032

用語「拡張機能不全」は、当業者によく理解されている。好ましくは、該用語は、心室充満障害による、心臓のポンプ機能の減少を指す。したがって、該用語は、好ましくは、拡張期中の心臓の一方または両方の心室の性能の低下を指す。用語「収縮機能不全」もまた、当該技術分野に周知である。本明細書において、該用語は、好ましくは、心室収縮の減少による、心臓のポンプ機能の減少を指す。好ましくは、収縮機能不全および/または拡張機能不全には、心不全の明らかな徴候は伴わない。やはり好ましくは、収縮機能不全および/または拡張機能不全には、左室肥大は伴わないものとする。

0033

本発明の方法の特に好ましい態様において、異常な中壁短縮率、特に異常な左室中壁短縮率を診断するため、画像法に基づく診断評価を用いる。
表現「中壁短縮率」は、当該技術分野に周知である(本明細書において、「MFS」と略される)。減少した左室(LV)MFSが、LV機能不全の初期徴候であることが当該技術分野に周知である。好ましくは、中壁短縮率は、15%より低い場合、異常と見なされる。このカットオフポイントは、HFの設定において参照値として用いられてきており、そして高血圧被験体における予後関連が立証されてきている(Murreduら, European Journal of Heart Failure(2012)14, 718−729を参照されたい)。やはり好ましくは、中壁短縮率は、14%または13%より低い場合、異常と見なされる。さらに、中壁短縮率は、15%より高い(またはそれに等しい)場合、正常と見なされる。やはり好ましくは、中壁短縮率は、16%または17%より高い場合、正常と見なされる。

0034

中壁短縮率は、周知の方法によって計算可能である。例えば、その全開示内容に関して、本明細書に援用される、Shimizuらによって記載されるような2シェル筒状モデルから計算可能である(Shimizu G, Hirota Y, Kita Y, Kawamura, K, Saito T, Gaasch WH.全身動脈性高血圧における左室中壁力学Circulation 1991;83:1676−84)。この方法は、慣用的な中壁法を洗練したものであり、そして理論的周囲中壁線維または心筋リングの短縮を反映するデータを提供する。該方法は、心周期を通じて左室重量が一定であることを仮定し、そして内壁および外壁肥厚率が等しいという仮定を必要としない。

0035

MFSの決定はまた、Mayetらによって、またはShimizuらの先の論文においても記載され、これらはすべて本明細書に援用される(例えば、Mayetら, Hypertension. 2000;36:755−759; Shimizu G, ZileMR, Blaustein AS, Gaasch WH.左室肥大を伴う患者における左室充満および中壁線維伸長:慣用的な中壁測定による線維速度の過大評価。Circulation. 1985;71:266−272、またはShimizu G, Conrad CH, Gaasch WH. 左室肥大を伴う患者における左室充満および中壁線維伸長の位相面分析Circulation. 1987;75(suppl l):I−34−I−39を参照されたい)。さらに、MFSの決定は、de Simoneら(JACC, 1994, Vol. 23(6):1444−51)によって記載されてきており、これもまたその全体が本明細書に援用される。好ましくは、MFSは、本明細書において、Shimizuによって1987年および1985年に記載されるような方法にしたがって決定され、より好ましくは、MFSは、Mayetらにしたがって決定され、最も好ましくは、MFSはde Simoneにしたがって決定される。

0036

用語「被験体」は、本明細書において、動物、好ましくは哺乳動物、そしてより好ましくはヒトに関する。本発明の文脈における被験体は、男性または女性であってもよい。さらに、被験体が65より高齢であることが特に想定される。

0037

本発明の好ましい態様において、被験体は、左室肥大を患っていない。特に、被験体が正常な左室重量を有することが特に想定される。
用語「左室肥大」は、当該技術分野に周知である。左室肥大に関する詳細な概説は、例えば標準的な教科書に見出されうる(Swamy Curr Cardiol Rep(2010)12:277−282を参照されたい)。LVHは、心電図、心エコー、または心臓磁気共鳴画像法(MRI)によって検出可能である。好ましくは、LVHは、心エコーによって検出される。さらに、LVH診断のための基準が当該技術分野に周知である(Manciaら, European Heart J. 2007, 28: 1462, Die Innere Medizin: Referenzwerk fur den Facharzt − Wolfgang Gerok −2007, 293ページ, Swamy Curr Cardiol Rep(2010)12:277−282)。

0038

LVHの評価には、好ましくは、当該技術分野に知られる公式にしたがった、左室重量の計算とともに、隔壁直径、左室後方壁厚および拡張期直径の測定が含まれる。LVHを診断するための特に好ましい基準は、例えば、ガイドラインに開示される(Manciaら, European Heart J. 2007, 28: 1462)。また、好ましくは、基準は、成人における慢性心不全の評価および管理のためのACC/AHAガイドラインから採用されてもよい。J. Am. Coll. Cardiol. 2001;38;2101−2113。

0039

好ましくは、Cornell電圧基準、Cornell積基準、Sokolow−Lyon電圧基準またはRomhilt−Estesポイントスコア系を用いる(Manciaら, European Heart J. 2007, 28:1462)。

0040

用語「左室肥大」(「LVH」と略される)は、本明細書において、好ましくは、心室壁の肥厚に関連する。LVHは、好ましくは、心臓に対する慢性に増加した作業負荷に対する反応である。動脈性高血圧(すなわち高い血圧)を患う患者において見出されるLVHは、治療が必要な疾患である。本発明の文脈において、心臓の機能異常および/または構造異常は、典型的には、左室肥大および/または心不全に先行する。

0041

全身血管耐性上昇に関連する後負荷増加に対する反応としての肥大は、特定のポイントまで必要であり、そして保護性である。そのポイントを超えると、多様な機能不全がLVHに付随し、これには、より低い冠動脈血管拡張能、抑圧された左室壁力学、および異常な左室拡張期充満パターンが含まれる。

0042

好ましくは、男性被験体は、左室重量指数(そしてしたがって、LVMIと略される体表面に対する左室重量の比)が、105g/m2より高い、より好ましくは110g/m2より高い、そして最も好ましくは115g/m2より高い(または特に116g/m2より高い)場合、LVHを患う。好ましくは、女性被験体は、LVMIが、85g/m2より高い、さらにより好ましくは90g/m2より高い、そして最も好ましくは96g/m2より高い場合、LVHを患う。

0043

本明細書に上述するように、被験体は、好ましくは、正常な左室重量を有するものとする。被験体が男性である場合、以下が当てはまる:被験体は、男性被験体の左室重量指数が、好ましくは105g/m2に等しいかまたはそれより低い、あるいはより好ましくは110g/m2に等しいかまたはそれより低い、あるいは最も好ましくは115g/m2に等しいかまたはそれより低い(あるいは特に116g/m2に等しいかまたはそれより低い)場合、正常な左室重量を有すると見なされる。被験体が女性である場合、以下が当てはまる:被験体は、被験体の左室重量指数が、好ましくは85g/m2に等しいかまたはそれより低い、あるいはより好ましくは90g/m2に等しいかまたはそれより低い、あるいは最も好ましくは96g/m2に等しいかまたはそれより低い場合、正常な左室重量を有すると見なされる。正常な左室重量を有する被験体はLVHを患わないことが理解されるものとする。

0044

好ましくは、LVMIは、Langら(心室定量化に関する推奨Eur J Echocardiogr 2006;7:79−108)によって開示されるように決定される。

0045

本発明の好ましい態様において、被験体は高血圧を患う。高血圧は、当業者に知られる、いかなる型の高血圧であってもよい。本発明の好ましい態様において、個体は、動脈性高血圧、収縮期高血圧および/または拡張期高血圧を患う。特に、被験体は、動脈性高血圧を患うものとする。好ましくは、被験体は、収縮期圧が140mmHgを超え、そして/または拡張期圧が90mmHgを超える場合、動脈性高血圧を患う。より好ましくは、被験体は、3ヶ月またはそれより長く、6ヶ月またはそれより長く、12ヶ月またはそれより長く、2年またはそれより長く、3年またはそれより長く、あるいは5年またはそれより長く、収縮期圧が140mmHgを超え、そして/または拡張期圧が90mmHgを超える場合、動脈性高血圧を患う。好ましくは、例えば運動によって一時的に上昇した血圧は、用語「動脈性高血圧」には含まれない。

0046

高血圧には、心不全を発展させるリスク要因が付随する可能性もある。心不全を発展させる好ましいリスク要因は、例えば心臓、脳、腎臓、血管の無症候性臓器損傷;肥満、好ましくは体格指数BMI<25kg/m2によって定義される肥満;脂肪過多症メタボリックシンドローム1型または2型糖尿病、特に2型糖尿病;微量アルブミン尿を伴う1型糖尿病、喫煙;血管再建歴;心臓毒性薬剤療法歴またはアルコール濫用歴;脂質異常症;総コレステロール、総コレステロール/HDLコレステロール比、リウマチ熱個人歴;心筋症家族歴である。したがって、被験体が、上述のさらなるリスク要因の1またはそれより多くが付随する高血圧を患う可能性もある。しかし、前記被験体が、高血圧のみを患うこともまた意図される。

0047

さらに、被験体が、ACS(急性冠動脈症候群)を患わないことがさらに想定される。用語「ACS」には、本明細書において、STEMI(ST上昇心筋梗塞)、NSTEMI(非ST上昇心筋梗塞)および不安定狭心症が含まれる。試験しようとする被験体は、ACS歴を持たないことがさらに想定される。特に、被験体は、本発明の方法を実行する1ヶ月以内(より正確には、試料を得る前の1ヶ月以内)に、ACSを患っていないものとする。

0048

被験体が冠動脈疾患を患っていないこともまた意図される。CADと略される用語「冠動脈疾患」は、しばしば、冠動脈心臓疾患(CHD)またはアテローム性動脈硬化性心臓疾患とも称され、当業者に知られる。好ましくは、該用語は、心臓に血液および酸素を供給する血管が狭窄している状態を指す。冠動脈疾患は、通常、アテローム性動脈硬化症と呼ばれる状態によって引き起こされ、該状態は、プラークと呼ばれる脂肪性の成分および物質が、動脈壁上に蓄積した際に起こる。これによって血管が狭窄する。特に、CADは、心筋(心臓の筋肉)に供給する動脈壁内のアテローム性プラーク集積の結果である。好ましくは、CADを患う被験体は、少なくとも1つの主要冠動脈において、少なくとも50%の狭窄(そしてしたがって少なくとも50%の閉塞)を有する。したがって、CADを患っていない被験体は、好ましくは、主要冠動脈において、50%未満の狭窄を有する。冠動脈の閉塞の度合いを評価する方法は、当該技術分野に周知であり、好ましくは、度合いは、冠動脈造影によって評価される。疾患の進行した状態において、冠動脈疾患の症状および徴候が認められるが、冠動脈疾患を伴う患者の大部分は、急性事象の最初の発症、しばしば「突然の」心臓発作が最終的に起こるまで、疾患が進行するにつれて、何十年も、疾患の証拠をまったく示さない。

0049

さらに、被験体は妊娠していないものとする。また、被験体は、好ましくはアスリートではない。
被験体が、心不全を患わず、そして/または心不全の明らかな症状を示さないことがさらに想定される。

0050

用語「心不全」は、本明細書において、好ましくは、当業者に知られるような、心不全の明らかな徴候が付随する損なわれた収縮機能および/または拡張機能に関する。好ましくは、本明細書で言及する心不全はまた、慢性心不全である。本発明記載の心不全には、明らかなおよび/または進行した心不全が含まれる。明らかな心不全において、被験体は、当業者に知られるような心不全の症状を示す。用語「心不全」は、本明細書において、ACC/AHA分類病期CおよびDを指すことが特に意図される。これらの病期において、被験体は、心不全の典型的な症状を示し、すなわち被験体は見かけ上健康ではない。心不全を有し、そして病期CまたはDと分類される被験体は、心筋に対して、永続的で、不可逆的な構造および/または機能の変化を有し、そしてこれらの変化の結果、完全な健康回復は不可能である。

0051

ACC/AHA分類は、米国心臓病学会および米国心臓協会によって開発された心不全の分類である(J. Am. Coll. Cardiol. 2001;38;2101−2113, 2005改訂を参照されたい。J. Am. Coll. Cardiol. 2005;46;e1−e82を参照されたい)。4つの病期、A、B、CおよびDが定義される。病期AおよびBはHF(心不全)ではないが、「真の」HFを発展させる前の患者を早期に同定するのを補助すると見なされる。病期AおよびBの患者は、HFを発展させるリスク要因を持つ患者と定義するのが最適である。例えば、左室(LV)機能障害、肥大、または幾何学的心室変形をいまだ示さない、冠動脈疾患、高血圧、または糖尿病を有する患者は、病期Aと見なされるであろうし、一方、無症候性であるが、LV肥大(LVH、心室壁が肥厚する現象)および/またはLV機能障害を示す患者は、病期Bと指定されるであろう。次いで、病期Cは、根底にある構造的心臓疾患に関連したHFの現在のまたは過去の症状を伴う患者(HF患者の大部分)を示し、そして病期Dは、真性難治性HFの患者を指定する。

0052

本発明の好ましい態様において、試験しようとする被験体は、病期Bの被験体と分類される(上述のようなACC/AHA分類にしたがう)。したがって、被験体は、心不全の明らかな徴候を示さない。被験体が病期B被験体と分類される場合、被験体は、好ましくは、本明細書の別の箇所により詳細に明記するように、正常左室重量を有する。

0053

さらに、本発明の文脈において、被験体は、腎機能障害を持たないことが想定される。好ましくは、被験体は腎不全を患っていないものとし、特に被験体は、急性、慢性および/または末期腎不全を患っていないものとする。さらに、被験体は、好ましくは、腎性高血圧を患わないものとする。被験体が腎機能障害を示すかどうかを評価する方法は、当該技術分野に周知である。知られており、そして適切と見なされる任意の手段によって、腎障害を診断することも可能である。特に、糸球体濾過率(GFR)によって、腎機能を評価することも可能である。例えば、Cockgroft−GaultまたはMDRD公式によって、GFRを計算することも可能である(Levey 1999, Annals of Internal Medicine, 461−470)。GFRは、単位時間あたりに、腎糸球体毛細管からボウマン嚢内に濾過される液体体積である。臨床的には、これは、しばしば、腎機能を決定するために用いられる。GFRは、元来、血漿内にインスリン注入することによって概算された(GFRは決定不可能であり、Cockgroft−Gault公式またはMDRD公式などの公式から得られるすべての計算は、概算を述べており、そして「真の」GFRではない)。インスリンは糸球体濾過後には腎臓によって再吸収されないため、その排出速度は、糸球体フィルターの水および溶質濾過速度正比例する。しかし、臨床実施においては、GFRを測定するためには、クレアチニンクリアランスが用いられる。クレアチニンは、内因性の分子であり、体において合成され、糸球体によって自由に濾過される(しかしまた、非常に少量、腎尿細管によって分泌される)。クレアチニンクリアランス(CrCl)は、したがって、GFRの近似値である。GFRは、典型的には、1分あたりのミリリットルで記録される(mL/分)。男性に関するGFRの正常範囲は、97〜137mL/分であり、女性に関するGFRの正常範囲は、88〜128ml/分である。したがって、腎機能障害を示さない被験体のGFRは、この範囲内であることが特に意図される。さらに、前記被験体は、好ましくは、0.9mg/dlより低い、より好ましくは1.1mg/dlより低い、そして最も好ましくは、1.3mg/dlより低い血液クレアチニンレベル(特に、血清クレアチニンレベル)を有する。

0054

本発明の方法が、FGF−23(およびビタミンD)の量の決定を含む場合、被験体は、好ましくは、ビタミンD欠乏を示さないものとする。
さらに、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法、異常なMFSを診断するための方法、および死亡のリスクを予測するための方法の文脈において、被験体は、増加したナトリウム利尿ペプチドレベルを持たないことが好ましい。好ましくは、被験体は、増加した脳ナトリウム利尿ペプチドレベルを持たない。より好ましくは、被験体は、増加したBNP型ナトリウム利尿ペプチドレベルを持たない。最も好ましくは、被験体は、増加したNT−プロBNPレベルを持たない。好ましくは、被験体は、特に、血液、血清または血漿試料において、<75歳に関しては、125pg/ml、≧75歳に関しては、450pg/mlより低いNT−プロBNPレベルを有し、またはより好ましくは、<75歳に関しては、100pg/ml、≧75歳に関しては、300pg/mlより低いNT−プロBNPレベルを有する。

0055

用語「試料」は、体液試料、分離された細胞の試料、あるいは組織または臓器由来の試料を指す。体液試料は、周知の技術によって得られることも可能であり、そしてこれには、好ましくは、血液、血漿、血清、または尿の試料、より好ましくは、血液、血漿または血清の試料が含まれる。組織または臓器試料は、例えば、生検によって任意の組織または臓器から得られうる。分離された細胞は、分離技術、例えば遠心分離または細胞ソーティングによって、体液、あるいは組織または臓器から得られうる。好ましくは、細胞、組織または臓器試料は、本明細書に言及するペプチド発現するかまたは産生する細胞、組織または臓器から得られる。

0056

用語「心臓トロポニン」は、心臓の細胞、そして好ましくは心内膜下細胞において発現されるすべてのトロポニン・アイソフォームを指す。これらのアイソフォームは、例えば、Anderson 1995,Circulation Research, vol. 76, no. 4:681−686およびFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44:487−493に記載されるように、当該技術分野において、よく特徴付けられる。好ましくは、心臓トロポニンは、トロポニンTおよび/またはトロポニンIであり、そして最も好ましくは、トロポニンTである。トロポニンのアイソフォームは、本発明の方法において、一緒に、すなわち同時にまたは連続して、あるいは個々に、すなわち他のアイソフォームをまったく決定せずに、決定することも可能であることが理解されるものとする。ヒトトロポニンTおよびヒトトロポニンIのアミノ酸配列は、Anderson、同所およびFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44:487−493に開示される。

0057

用語「心臓トロポニン」はまた、前述の特定のトロポニンの、すなわち好ましくはトロポニンIの、そしてより好ましくはトロポニンTの変異体も含む。こうした変異体は、特定の心臓トロポニンと、少なくとも同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を有する。特に、これらは、本明細書において言及するものと同じ特異的アッセイによって、例えば前記心臓トロポニンを特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いたELISAアッセイによって、検出可能である場合、同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明にしたがって言及されるような変異体は、少なくとも1つのアミノ酸置換欠失および/または付加のために異なるアミノ酸配列を有するものと理解され、ここで、変異体のアミノ酸配列はなお、好ましくは、特定のトロポニンのアミノ酸配列と(特に全長に渡って)、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である。好ましくは、同一性の度合いは、比較ウィンドウに渡って2つの最適に整列された配列を比較することによって決定されるものとし、ここで、比較ウィンドウ中のアミノ酸配列の断片は、最適整列のため、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較した際、付加または欠失(例えばギャップまたはオーバーハング)を含んでもよい。両方の配列において同一のアミノ酸残基が存在する位の数を決定して、マッチした位の数を得て、比較ウィンドウ中の位の総数で、マッチした位の数を割り、そして結果に100を乗じて、配列同一性パーセントを得ることによって、割合を計算する。比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman Add.APL. Math. 2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch J. Mol. Biol. 48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装によって(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、BLASTPASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI)、または視覚検査によって、行うことも可能である。2つの配列が、比較のために同定されたならば、好ましくは、GAPおよびBESTFITを使用して、最適整列を決定し、そしてしたがって同一性の度合いを決定する。好ましくは、ギャップ加重の5.00、およびギャップ加重長の0.30のデフォルト値を用いる。変異体はアレル変異体または任意の他の種特異的相同体パラログ、またはオルソログであってもよい。さらに、本明細書に言及する変異体には、断片が上述のような本質的な免疫学的および生物学的特性を有する限り、特定の心臓トロポニンまたは前述のタイプの変異体の断片が含まれる。好ましくは、心臓トロポニン変異体は、ヒトトロポニンTまたはトロポニンIのものに匹敵する免疫学的特性(すなわちエピトープ組成)を有する。したがって、変異体は、心臓トロポニンの濃度の決定に用いられる前述の手段またはリガンドによって認識可能であるはずである。こうした断片は、例えばトロポニンの分解産物であってもよい。さらに含まれるのは、リン酸化またはミリスチン化などの翻訳後修飾のために異なる変異体である。好ましくは、トロポニンIおよびその変異体の生物学的特性は、アクトミオシンATPアーゼを阻害するか、またはin vivoおよびin vitroの血管新生を阻害する能力であり、これらは、Mosesら 1999 PNAS USA 96(6):2645−2650によって記載されるアッセイに基づいて、検出可能である。好ましくは、トロポニンTおよびその変異体の生物学的特性は、トロポニンCおよびIと複合体を形成して、カルシウムイオンに結合するか、あるいは好ましくはトロポニンC、IおよびTの複合体、またはトロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT変異体によって形成される複合体として存在する場合、トロポミオシンに結合する能力である。低濃度の循環心臓トロポニンは、多様な条件で被験体において検出可能であることが知られるが、それぞれの役割および率を理解するためには、さらなる研究が必要である(Massonら, Curr Heart Fail Rep(2010)7:15−21)。

0058

好ましくは、心臓トロポニンはトロポニンT、特にヒトトロポニンTである。好ましくは、トロポニンTの量は、実施例、またはWO2012/025355に記載されるような高感度トロポニンアッセイを用いることによって決定される。

0059

線維芽細胞増殖因子−23(「FGF−23」と略される)は、リン酸カルシウムおよびビタミンD代謝の制御における重要な因子であり、そして心臓血管事象の重要な決定因子であるLV肥大の病因形成において、原因となる役割を有する。線維芽細胞増殖因子−23(FDF−23)は、骨細胞から血液内に分泌される、32kDaホルモンである。その2つの機能は、尿亜リン酸排出を誘導し、そしてビタミンDの活性化を阻害することである;どちらの作用も腎近位尿細管で起こる。末期腎疾患患者において、高濃度の循環FGF−23が見出されている。好ましくは、FGF−23はヒトFGF−23である。ヒトFGF−23の配列は、当該技術分野に周知であり、例えばアミノ酸配列は、GenBank寄託番号NM_020638.1GI:10190673を通じてアクセス可能である。さらに、該配列はまた、Shimadaら, 2001, PNAS, vol. 98(11)6500〜6505ページにも開示される。用語「FGF−23」はまた、前述のFGF−23の変異体も含む。こうした変異体は、特定のFGF−23と、少なくとも同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を有する。特に、これらは、本明細書において言及するものと同じ特異的アッセイによって、例えば前記FGF−23を特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いたELISAアッセイによって、検出可能である場合、同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明にしたがって言及されるような変異体は、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失および/または付加のために異なるアミノ酸配列を有するものと理解されるものとし、ここで、変異体のアミノ酸配列はなお、好ましくは、FGF−23のアミノ酸配列と(特に全長に渡って)、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である。同一性の度合いを計算する方法は、本明細書の別の箇所に開示される。好ましくは、FGF−23は、Immutopics, Inc.のヒトFGF−23(C末端)ELISAキット(例えば、カタログ番号60−6100で流通している)によって決定される。

0060

本明細書に言及するペプチドまたはポリペプチドの、特に心臓トロポニン、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、GDF−15、エンドスタチンおよびミメカンからなる群より選択されるマーカーの量を決定する工程は、量または濃度を、好ましくは半定量的または定量的に測定する工程に関する。測定は、直接または間接的に行うことも可能である。直接測定は、ペプチドまたはポリペプチド自体から得られるシグナル、および試料中に存在するペプチドの分子数直接相関する強度に基づいて、ペプチドまたはポリペプチドの量または濃度を測定する工程に関する。こうしたシグナルは、本明細書において時に、強度シグナルと称され、例えばペプチドまたはポリペプチドの特定の物理的または化学的特性強度値を測定することによって得られうる。間接的測定には、二次構成要素(すなわちペプチドまたはポリペプチド自体ではない構成要素)または生物学的読み取り値、例えば測定可能細胞反応、リガンド、標識、または酵素反応産物から得られるシグナルを測定する工程が含まれる。

0061

本発明にしたがって、ペプチドまたはポリペプチドの量を決定する工程は、試料におけるペプチドの量を決定するためのすべての既知の手段によって達成可能である。前記手段は、イムノアッセイ、および多様なサンドイッチ競合、または他のアッセイ形式標識分子利用可能な方法を含む。こうしたアッセイは、好ましくは、検出剤、例えば決定しようとするペプチドまたはポリペプチドを特異的に認識する抗体に基づく。検出剤は、直接または間接的のいずれかで、ペプチドまたはポリペプチドの存在または非存在を示すシグナルを生成することが可能であるものとする。さらに、シグナル強度は、好ましくは、試料中に存在するポリペプチドの量に、直接または間接的に(例えば反比例)相関することも可能である。さらに適切な方法は、ペプチドまたはポリペプチドに特異的な物理的または化学的特性、例えばその正確な分子量またはNMRスペクトルを測定する工程を含む。前記方法は、好ましくは、バイオセンサー、イムノアッセイにカップリングした光学デバイスバイオチップ分析デバイス、例えば質量分析器、NMRアナライザー、またはクロマトグラフィデバイスを含む。さらに、方法には、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全自動化またはロボットイムノアッセイ(例えばElecsysTMアナライザー装置上で利用可能)、CBA(例えば、Roche−HitachiTMアナライザー装置上で利用可能な、酵素的コバルト結合アッセイ)、およびラテックス凝集アッセイ(例えば、Roche−HitachiTMアナライザー装置上で利用可能)が含まれる。

0062

好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量を決定する工程は、(a)その強度が、ペプチドまたはポリペプチドの量の指標となる細胞反応を誘発可能な細胞と、前記ペプチドまたはポリペプチドを、適切な期間、接触させ、(b)該細胞反応を測定する工程を含む。細胞反応を測定するため、試料またはプロセシングされた試料を、好ましくは細胞培養に添加し、そして内部または外部細胞反応を測定する。細胞反応には、レポーター遺伝子の測定可能な発現、あるいは物質、例えばペプチド、ポリペプチド、または小分子の分泌が含まれうる。発現または物質は、ペプチドまたはポリペプチドの量に相関する強度シグナルを生じるものとする。

0063

やはり好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量を決定する工程は、試料におけるペプチドまたはポリペプチドから得られうる特異的強度シグナルを測定する工程を含む。上述のように、こうしたシグナルは、ペプチドまたはポリペプチドに特異的なマススペクトルまたはNMRスペクトルにおいて観察されるペプチドまたはポリペプチドに特異的なm/z変数で観察されるシグナル強度であることも可能である。

0064

ペプチドまたはポリペプチドの量を決定する工程は、好ましくは、(a)特異的リガンドとペプチドを接触させ、(b)(場合によって)非結合リガンドを除去し、(c)結合したリガンド、すなわち工程(a)で形成されたリガンド複合体の量を測定する工程を含むことも可能である。好ましい態様にしたがって、接触し、除去し、そして測定する前記工程は、本明細書に開示するシステムのアナライザーユニットによって実行されてもよい。いくつかの態様にしたがって、前記工程は、前記システムの単一のアナライザーユニットによって、または互いに機能可能な通信がある1より多いアナライザーユニットによって、実行可能である。例えば、特定の態様にしたがって、本明細書に開示する前記システムには、接触させ、そして除去する工程を実行するための第一のアナライザーユニット、および輸送装置(例えばロボットアーム)によって前記の第一のアナライザーユニットに機能可能であるように連結されている、測定する前記工程を実行する、第二のアナライザーユニットが含まれることも可能である。

0065

結合したリガンド、すなわち、リガンドまたはリガンド/ペプチド複合体は、強度シグナルを生じるであろう。本発明にしたがった結合には、共有および非共有結合の両方が含まれる。本発明にしたがったリガンドは、本明細書記載のペプチドまたはポリペプチドに結合する、任意の化合物、例えばペプチド、ポリペプチド、核酸、または小分子であってもよい。好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド、例えば該ペプチドまたはポリペプチドに関する受容体または結合パートナー、および該ペプチドに対する結合ドメインを含むその断片、ならびにアプタマー、例えば核酸またはペプチドアプタマーが含まれる。こうしたリガンドを調製する方法は、当該技術分野に周知である。例えば、適切な抗体またはアプタマーの同定および産生はまた、商業的供給者によっても提供される。当業者は、より高いアフィニティまたは特異性を持つリガンドの誘導体を発展させる方法をよく知っている。例えば、ランダム突然変異を、核酸、ペプチドまたはポリペプチド内に導入することも可能である。次いで、これらの誘導体を、当該技術分野に知られるスクリーニング法、例えばファージディスプレイにしたがって、結合に関して試験することも可能である。本明細書に言及するような抗体には、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方、ならびに抗原またはハプテンに結合可能な、その断片、例えばFv、FabおよびF(ab)2断片が含まれる。本発明にはまた、一本鎖抗体およびヒト化ハイブリッド抗体も含まれ、ここで、望ましい抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列を、ヒトアクセプター抗体の配列と組み合わせる。ドナー配列には、通常、少なくともドナーの抗原結合アミノ酸残基が含まれるが、ドナー抗体の他の構造的および/または機能的に適切なアミノ酸残基もまた含まれてもよい。こうしたハイブリッドは、当該技術分野に周知のいくつかの方法によって調製可能である。好ましくは、リガンドまたは剤は、ペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合する。本発明にしたがった特異的結合は、リガンドまたは剤が、分析しようとする試料中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質に実質的に結合(これらと「交差反応」)してはならないことを意味する。好ましくは、特異的に結合するペプチドまたはポリペプチドは、いかなる他の関連するペプチドまたはポリペプチドよりも、少なくとも3倍高い、より好ましくは少なくとも10倍高い、そしてさらにより好ましくは少なくとも50倍高いアフィニティで結合しなければならない。非特異的結合は、例えばウェスタンブロット上のサイズにしたがって、または試料におけるより高い存在量によって、それがなお区別可能であり、そして明白に測定可能である場合、許容されうる。リガンドの結合は、当該技術分野に知られる任意の方法によって測定可能である。好ましくは、前記方法は、半定量的または定量的である。ポリペプチドまたはペプチドの決定のためのさらなる適切な技術を以下に記載する。

0066

リガンドの結合を直接、例えばNMRまたは表面プラズモン共鳴によって測定することも可能である。好ましい態様にしたがって、リガンド結合の測定は、本明細書に開示するシステムのアナライザーユニットによって実行される。その後、本明細書に開示するシステムの計算デバイスによって、測定した結合の量を計算することも可能である。リガンドがまた、関心対象のペプチドまたはポリペプチドの酵素活性基質としても働く場合、酵素反応産物を測定してもよい(例えば、切断された基質の量を、例えばウェスタンブロット上で測定することによって、プロテアーゼの量を測定することも可能である)。あるいは、リガンドは、それ自体、酵素特性を示すことも可能であり、そして「リガンド/ペプチドまたはポリペプチド」複合体、あるいはペプチドまたはポリペプチドによってそれぞれ結合されるリガンドを、適切な基質と接触させて、強度シグナルの生成による検出を可能にすることも可能である。酵素反応産物の測定のため、好ましくは基質の量は飽和量である。基質はまた、反応の前に検出可能な標識で標識されてもよい。好ましくは、試料を基質と適切な期間接触させる。適切な期間は、検出可能な、好ましくは測定可能な量の産物が産生されるために必要な時間を指す。産物の量を測定する代わりに、所定の(例えば検出可能な)量の産物の出現に必要な時間を測定することも可能である。第三に、リガンドを、共有的にまたは非共有的に、リガンドの検出および測定を可能にする標識にカップリングすることも可能である。標識を、直接または間接的方法によって行ってもよい。直接標識は、標識をリガンドに直接(共有的または非共有的に)カップリングする工程を含む。間接的標識は、第一のリガンドに二次リガンドを(共有的または非共有的に)結合させる工程を含む。二次リガンドは、第一のリガンドに特異的に結合しなければならない。前記の二次リガンドを、適切な標識にカップリングさせてもよいし、そして/または前記の二次リガンドは該二次リガンドに結合する三次リガンドのターゲットレセプター)であってもよい。二次、三次、またはさらにより高次のリガンドは、しばしば、シグナルを増加させるために用いられる。適切な二次およびより高次の他のリガンドには、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジンビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が含まれることも可能である。リガンドまたは基質はまた、当該技術分野に知られるような1またはそれより多いタグで、「タグ付け」されていてもよい。こうしたタグは次いで、より高次のリガンドのターゲットであることも可能である。適切なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、His−タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼFLAG、GFP、myc−タグ、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質等が含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは、好ましくはN末端および/またはC末端にある。適切な標識は、適切な検出法によって検出可能な任意の標識である。典型的な標識には、金粒子ラテックスビーズアクリダンエステルルミノールルテニウム酵素的活性標識、放射性標識磁気標識(例えば常磁性および超常磁性標識を含む「磁気ビーズ」)、および蛍光標識が含まれる。酵素的活性標識には、例えば西ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼアルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼルシフェラーゼ、およびその誘導体が含まれる。検出に適した基質には、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(Roche Diagnosticsから既製ストック溶液として入手可能な、4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド、および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート)、CDP−StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)が含まれる。適切な酵素−基質の組み合わせは、着色反応産物、蛍光または化学発光を生じることも可能であり、これらは当該技術分野に知られる方法にしたがって(例えば感光フィルムまたは適切なカメラシステムを用いて)測定可能である。酵素反応の測定に関しては、上述の基準が同様に適用される。典型的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(例えばGFPおよびその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッドフルオレセイン、およびAlexa色素(例えばAlexa568)が含まれる。さらなる蛍光標識は、例えばMolecular Probes(Oregon)から入手可能である。蛍光標識としての量子ドットの使用もまた意図される。典型的な放射性標識には、35S、125I、32P、33P等が含まれる。放射性標識は、既知のおよび適切な任意の方法、例えば感光フィルムまたはホスホイメージャーによって、検出可能である。本発明にしたがった適切な測定法にはまた、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光電気生成化学発光)、RIAラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイECLIA)、解離増進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法比濁分析ラテックス増進比濁法または比濁分析、あるいは固相免疫試験も含まれる。当該技術分野に知られるさらなる方法(例えばゲル電気泳動、2Dゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウェスタンブロッティング、および質量分析)を、単独で、あるいは上述の標識または他の検出法と組み合わせて、用いてもよい。

0067

ペプチドまたはポリペプチドの量はまた、好ましくは、以下のように決定可能である:(a)上に明記するようなペプチドまたはポリペプチドに対するリガンドを含む固体支持体を、ペプチドまたはポリペプチドを含む試料と接触させ、そして(b)支持体に結合しているペプチドまたはポリペプチドの量を測定する。好ましくは、リガンドは、核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体およびアプタマーからなる群より選択され、好ましくは、固定された型で、固体支持体上に存在する。固体支持体を製造するための材料は、当該技術分野に周知であり、そしてとりわけ、これには、商業的に入手可能なカラム材料ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シートデュラサイト(duracyte)、ウェルおよび反応トレイの壁、プラスチックチューブ等が含まれる。リガンドまたは剤を、多くの異なるキャリアーに結合させてもよい。周知のキャリアーの例には、ガラス、ポリスチレン塩化ポリビニルポリプロピレンポリエチレンポリカーボネートデキストランナイロンアミロース天然および修飾セルロースポリアクリルアミドアガロースおよびマグネタイトが含まれる。キャリアーの性質は、本発明の目的のため、可溶性または不溶性のいずれであることも可能である。前記リガンドを固定/不動化するための適切な方法が周知であり、そしてこれには、限定されるわけではないが、イオン性疎水性、共有相互作用等が含まれる。本発明にしたがったアレイとして、「懸濁アレイ」の使用もまた意図される(Nolan 2002, TrendsBiotechnol. 20(1):9−12)。こうした懸濁アレイにおいて、キャリアー、例えばマイクロビーズまたは微小球体が懸濁中に存在する。アレイは、標識されていてもよく、異なるリガンドを所持する、異なるマイクロビーズまたは微小球体からなる。例えば固相化学反応および光感受性保護基に基づいて、こうしたアレイを産生する方法が、一般的に知られる(US 5,744,305)。

0068

好ましくは、実施例1および2に記載するアッセイを用いることによって、本明細書に言及するようなマーカーの量を決定する。
用語「量」は、本明細書において、ポリペプチドまたはペプチドの絶対量、前記ポリペプチドまたはペプチドの相対量または濃度、ならびにこれらに相関するかまたはこれらから派生しうる任意の値またはパラメータを含む。こうした値またはパラメータは、直接測定によって前記ペプチドから得られるすべての特異的物理的または化学的特性由来の強度シグナル値、例えばマススペクトルまたはNMRスペクトルの強度値を含む。さらに、本明細書の別の箇所に明記する間接的な測定によって得られるすべての値またはパラメータ、例えばペプチドに反応して生物学的読み取り系から決定される反応量、または特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。前述の量またはパラメータに相関する値はまた、すべての標準的な数学演算によっても得られうることが理解されるものとする。

0069

用語「比較すること」は、本明細書において、本明細書に言及するようなマーカーの量、特に分析しようとする試料によって含まれるペプチドまたはポリペプチドの量を、本明細書の別の箇所に明記する適切な参照供給源の量と比較することを含む。本明細書において、比較することは、対応するパラメータまたは値の比較を指し、例えば絶対量を絶対参照量と比較する一方、濃度を参照濃度と比較するか、または試験試料から得られる強度シグナルを参照試料の同じタイプの強度シグナルと比較すると理解されるものとする。本発明の方法の工程(b)において言及される比較を、手動で、または計算デバイス(例えば本明細書に開示するシステムの)によって、実行してもよい。コンピュータ補助比較に関しては、決定される量の値を、コンピュータプログラムによってデータベース中に記憶されている適切な参照に対応する値と比較することも可能である。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価することも可能であり、すなわち適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供する。前記結果は、好ましくは、被験体を本明細書の別の箇所に示すような画像法に基づく診断評価に供するべきであるかどうかを評価する際の補助として働くことも可能である。例えば、比較の結果を生データ(絶対量または相対量)として提供してもよいし、そしていくつかの場合、特定の診断/評価の指標となりうる単語、記号、または数値の形の指標として、提供してもよい。したがって、参照量は、比較される量の相違または類似性のいずれかが、本明細書に開示する評価または診断を実行することを可能にするように選択されるものとする。

0070

用語「参照量」は、本明細書において、画像法に基づく診断評価に供するべきである被験体群、または画像法に基づく診断評価に供するべきではない被験体群のいずれかに、被験体を割り当てることを可能にする量を指す。こうした参照量は、これらの群を互いに分離する閾値量であることも可能である。したがって、本明細書に言及するようなバイオマーカー、特に心臓トロポニンまたはFGF−23の参照量は、画像法に基づく診断評価に供するべきである被験体群、または画像法に基づく診断評価に供するべきではない被験体群に、被験体を割り当てることを可能にする量であるものとする。2つの群を分離する適切な閾値量は、該評価に供するべきである被験体または被験体群、あるいは該評価に供するべきではない被験体または被験体群のいずれかに由来する本明細書に言及するようなマーカーの量に基づいて、本明細書の別の箇所に言及する統計検定によって、容易に計算可能である。前述の被験体または被験体群から得られうる好ましい参照量は、本明細書の別の箇所に示される。

0071

参照量を用いて、閾値量を定義するかまたは確立することも可能である。閾値量は、好ましくは、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかどうかの包含および/または排除を可能にする。前記包含および/または排除は、参照または閾値への、計算された「量」の前記比較に基づいて、本明細書に開示するシステムの計算デバイスによって提供されうる。例えば、システムの計算デバイスは、包含または排除の指標である単語、記号、または数値の形で、指標を提供することも可能である。個々の被験体に適用可能な参照量は、多様な生理学的パラメータ、例えば年齢性別、または亜集団、ならびに本明細書に言及するポリペプチドまたはペプチドの決定に用いる手段に応じて多様でありうる。適切な参照量を、試験試料と一緒に、すなわち同時にまたは続いて分析しようとする参照試料から決定することも可能である。

0072

好ましくは、参照量は計算された参照量である。好ましくは、計算された参照量は、画像法に基づく診断評価に供するべきである被験体、および画像法に基づく診断評価に供するべきではない被験体の間を区別することを可能にするものとする。参照量は、原則的に、標準的統計法を適用することによって、所定のバイオマーカーに関する平均値に基づいて、上に明記するような被験体のコホートに関して計算されうる。特に、試験、例えば事象かまたはそうでないかを診断する目的の方法の正確性は、受信者操作特性(ROC)によって最適に記載される(特に、Zweig 1993, Clin. Chem. 39:561−577を参照されたい)。ROCグラフは、観察されるデータの全範囲に渡って決定閾値を連続して変化させることから生じる感度/特異性対のすべてのプロットである。診断法の臨床的成績は、その正確性、すなわち特定の評価、予後または診断に被験体を正確に割り当てる能力に依存する。ROCプロットは、区別を行うために適した閾値の完全な範囲に関して、1−特異性に対して感度をプロットすることによる、2つの分布間の重複を示す。y軸にあるのは感度であるかまたは真の陽性分画であり、これは真の陽性の数および偽陰性試験結果の数の積に対する、真の陽性試験結果の数の比として定義される。これはまた、疾患または状態の存在における陽性とも称されてきている。これは、もっぱら罹患した下位群から計算される。x軸にあるのは、偽陽性分画、または1−特異性であり、真の陰性の数および偽陽性結果の数の積に対する、偽陽性結果の数の比として定義される。これは、特異性の指標であり、そして完全に、罹患していない下位群から計算される。真の陽性および偽陽性分画は、完全に別個に計算されるため、2つの異なる下位群からの試験結果を用いることによって、ROCプロットは、コホートにおける事象の有病率からは独立である。ROCプロット上の各ポイントは、特定の決定閾値に対応する、感度/特異性対に相当する。完全な区別(結果の2つの分布に重複が全くない)を伴う試験は、上部左隅を通るROCプロットを有し、ここで、真の陽性分画は、1.0、または100%(完全感度)であり、そして偽陽性分画は0(完全特異性)である。区別なしの試験の理論的プロット(2つの群に関する結果の同一の分布)は、下部左隅から上部右隅を通る、45°の対角線である。大部分のプロットは、これらの2つの極値の間に属する。ROCプロットが45°対角線の完全に下にある場合、これは「陽性」に関する基準を「より大きい」から「未満である」に逆転させるか、またはその逆を行うことによって、容易に修正される。定性的には、プロットが上部左隅に近くなればなるほど、試験の全体の正確性が高くなる。望ましい信頼区間に応じて、閾値をROC曲線から得て、感度および特異性、それぞれの適切なバランスで、所定の事象の診断または予測を可能にすることも可能である。したがって、本発明の前述の方法に用いられるべき参照値は、好ましくは、閾値またはカットオフ量であることも可能であり、そしてこれを、好ましくは、上述のような前記コホートに関するROCを確立し、そしてそこから閾値量を得ることによって、生成することも可能である。診断法の望ましい感度および特異性に応じて、ROCプロットは、適切な閾値を得ることを可能にする。

0073

心臓トロポニン、特にトロポニンTに関して、好ましい参照量は、5〜6pg/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は5.9pg/mlである。
FGF−23に関して、好ましい参照量は、73〜77pg/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は74RU/mlである。好ましくは、マーカーの量は、実施例1および2に記載するアッセイを用いることによって、決定される。

0074

好ましくは、以下が診断アルゴリズムとして適用される(特に参照が計算参照量である場合):
好ましくは、参照量と比較した際の、被験体由来の試料におけるマーカー(そしてしたがって、心臓トロポニンおよび/またはFGF−23)の増加した量は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示す。やはり好ましくは、参照量と比較した際の、被験体由来の試料におけるマーカー(単数または複数)の減少した量は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきではないことを示す。

0075

本明細書において、上に示すように、参照量は、画像法に基づく診断評価に感受性であることが知られる被験体または被験体群から得られてもよい。この場合、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはそれより高い、本発明の文脈において決定しようとするマーカー(単数または複数)の量は、試験しようとする被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示す。好ましくは、参照量は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。好ましくは、画像法に基づく診断評価に感受性であることが知られる被験体は、異常な中壁率化(midwall fractioning)を患う被験体である(用語「異常な中壁率化」は、本明細書の別の箇所に明記される)。

0076

好ましくは、前述の参照量を適用することによって、被験体を画像法に基づく評価に供するべきであると包含することも可能である。
さらにまたはあるいは、参照量は、好ましくは、画像法に基づく診断評価に感受性ではないことが知られる被験体または被験体群から得られてもよい。この場合、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはそれより低い、本発明の文脈において決定しようとするマーカー(単数または複数)の量は、試験しようとする被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきではないことを示す。好ましくは、参照量は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。好ましくは、画像法に基づく診断評価に感受性ではないことが知られる被験体は、異常な中壁率化を患っていない被験体である(用語「異常な中壁率化」を、本明細書の別の箇所に明記する)。

0077

好ましくは、前述の参照量を適用することによって、被験体を画像法に基づく評価に供するべきではないと排除することも可能である。
さらに、参照量が、画像法に基づく診断評価に感受性でないことが知られる被験体または被験体群から、特に異常な中壁率化を患っていない被験体または被験体群から得られている場合、以下が診断アルゴリズムとして当てはまる:好ましくは、心臓トロポニン、特にトロポニンTの参照量よりも、少なくとも10%、またはより好ましくは少なくとも25%高い心臓トロポニン、特にトロポニンTの量は、画像法に基づく診断評価に供されるべきである被験体の指標である。やはり好ましくは、FGF−23の参照量よりも、少なくとも5%、またはより好ましくは少なくとも10%、またはさらにより好ましくは少なくとも25%高いFGF−23の量は、画像法に基づく診断評価に供されるべきである被験体の指標である。

0078

用語「被験体」の定義は、本明細書の別の箇所に提供される。該定義はまた、本発明の方法にしたがった参照被験体(単数または複数)(すなわち参照量を得る被験体)にも当てはまる。好ましくは、試験しようとする被験体および参照被験体(単数または複数)は、同じ年齢、性別および/または人種である。したがって、参照量は、年齢、性別および/または人種に関して調整されていることが好ましい。やはり好ましくは、試験しようとする被験体および参照被験体(単数または複数)は、高血圧、特に同じリスク要因(リスク要因に関しては、本明細書の別の箇所を参照されたい)が付随する高血圧を患うことも可能である。

0079

本明細書に言及するようなマーカーを単独で決定してもよい。しかし、これらを、一緒に決定してもよく、すなわち本発明の方法は、心臓トロポニンおよびFGF−23の決定を含むことも可能である。

0080

さらに、本発明の態様において、FGF−23の決定に加えて、工程a)において、ビタミンDの量をさらに決定して、FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比をさらなる工程a1)において計算して、そしてこうして計算した比を参照比と比較することが意図される。

0081

したがって、本発明はまた、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量およびビタミンDの量を決定して、
a1)FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比を計算して、そして
b)こうして計算した比を参照比と比較して、それによって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価する
工程を含む、前記方法にも関する。

0082

FGF−23およびビタミンDの量を、被験体由来の異なる試料において決定してもよい。しかし、同じ試料における量を決定することもまた意図される。
好ましくは、前述の方法は、試料における心臓トロポニンの量の決定(工程a)における)、およびこうして決定した量の参照量との比較(工程b)における)をさらに含むことも可能である。

0083

好ましくは、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかの評価は、工程b)で実行する比較(単数または複数)の結果に基づく。
FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比は、ビタミンDの量に対するFGF−23の量の比であってもよいし、またはFGF−23の量に対するビタミンDの量の比であってもよい。

0084

適切な参照比は、参照量の文脈において上に示すように、当業者によって容易に決定可能である。
好ましくは、比がビタミンDの量に対するFGF−23の量の比である場合、以下もまた診断アルゴリズムとして当てはまる:
好ましくは、(ビタミンDの量に対するFGF−23の量の)参照比と比較した際の、被験体由来の試料におけるビタミンDの量に対するFGF−23の量の比の増加は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示す。やはり好ましくは、(ビタミンDの量に対するFGF−23の量の)参照比と比較した際の、被験体由来の試料におけるビタミンDの量に対するFGF−23の量の比の減少は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきではないことを示す。

0085

ビタミンDに対するFGF−23の参照比は、画像法に基づく診断評価に感受性であることが知られる被験体または被験体群から得られてもよい。この場合、参照比と本質的に同一であるかまたは参照比より高い、ビタミンDに対するFGF−23の比は、被験体を前記評価に供するべきであることを示す。好ましくは、参照比は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。好ましくは、画像法に基づく診断評価に供するべきであることが知られる被験体は、異常なMFSを患う被験体である。

0086

好ましくは、前述の参照比を適用することによって、被験体を前記評価に供するべきであると包含することも可能である。
さらにまたはあるいは、ビタミンDに対するFGF−23の参照比は、好ましくは、画像法に基づく診断評価に感受性ではないことが知られる被験体または被験体群から得られてもよい。この場合、参照比と本質的に同一であるかまたは参照比より低い、試験試料におけるビタミンDに対するFGF−23の比は、被験体を前記評価に供するべきではないことを示す。好ましくは、参照比は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。好ましくは、画像法に基づく診断評価に供するべきではないことが知られる被験体は、異常なMFSを患っていない被験体である。

0087

好ましくは、前述の参照比を適用することによって、被験体を前記評価に供することを排除することも可能である。
やはり好ましくは、ビタミンDに対するFGF−23の参照比が、異常な中壁率化を患っていない被験体からまたは被験体群から得られる場合、以下もまた診断アルゴリズムとして当てはまる:好ましくは、参照比より少なくとも5%、またはより好ましくは少なくとも10%高い、試験試料におけるビタミンDに対するFGF−23の比は、画像法に基づく診断評価に供されるべきである被験体の指標である。

0088

用語「ビタミンD」は、当業者によく理解される。本明細書において、該用語は、好ましくは、脂溶性プロホルモン群であって、その2つの主要な型がビタミンD2(エルゴカルシフェロールとも称される)およびビタミンD3(コレカルシフェロールとも称される)である、前記群に関する。好ましくは、該用語は、任意の型のビタミンD、特にビタミンD1、ビタミンD2、ビタミンD3またはビタミンD4を含む。さらに、該用語は、任意の前駆体も含むと想定される。ビタミンDは、典型的には、生物において、日光曝露食品、および栄養補助剤より得られ、生物学的に不活性であり、そして2つのヒドロキシル化反応を経て、生物において活性化される。例えば、ヒトで見られるビタミンDの活性型カルシトリオールである。

0089

当該技術分野において、ビタミンDの量を決定する最も正確な方法は、25−ヒドロキシビタミンDの決定を通じるものであることが知られる。25−ヒドロキシビタミンDは、酵素、コレカルシフェロール25−ヒドロキシラーゼによって、ビタミンD3(コレカルシフェロール)がヒドロキシル化されることによって、肝臓において産生されるプレホルモンである。したがって、用語「ビタミンD」は、特に、25−ヒドロキシビタミンDを指す。したがって、本発明の文脈において、被験体由来の試料における25−ヒドロキシビタミンDの量を決定することが特に好ましい。

0090

前述の方法の好ましい態様において、方法の文脈において決定しようとするマーカー(単数または複数)の参照量(比)は、工程a)に示すような試料の前に得られている、(試験)被験体由来の試料におけるマーカー(単数または複数)の量(比)である。

0091

本出願の文脈において、工程a)に示すような試料の前に得られている試料はまた、「第一の試料」と称され、工程a)に示す試験試料は、第一の試料の後で得られるはずであるため、「第二の試料」と称される。

0092

したがって、本発明は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるか評価する方法であって、
a)被験体由来の第一の試料および第二の試料において、心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量(単数または複数)を決定し、そして
b)こうして決定した第二の試料における量(単数または複数)を、第一の試料における量(単数または複数)と比較して、それによって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるか評価する
工程を含む、前記方法に関する。

0093

上に示すように、第二の試料は、第一の試料の後に得られているはずである(言い換えると:第一の試料は第二の試料の前に得られているはずである)。第二の試料が、第一の試料を得た後、妥当な期間の後に、得られることが特に想定される。本明細書に言及するバイオマーカーの量は、瞬間的(例えば1分または1時間以内)には変化しないことが理解されるものとする。したがって、この文脈における「妥当な」は、バイオマーカー(単数または複数)が調整されることを可能にする、第一および第二の試料を得る間の間隔を指す。好ましくは、第二の試料は、第一の試料の1〜24ヶ月後に得られているものとする。より好ましくは、第二の試料は、第一の試料の6〜18ヶ月後に得られているものとする。さらにより好ましくは、第二の試料は、第一の試料の6〜12ヶ月後に得られているものとする。最も好ましくは、第二の試料は、第一の試料の9〜12ヶ月後に得られているものとする。したがって、第一の試料は、好ましくは、第二の試料の1〜24ヶ月前、より好ましくは6〜18ヶ月前、さらにより好ましくは6〜12ヶ月前、または最も好ましくは9〜12ヶ月前に得られているものとする。

0094

本発明の方法において言及されるようなマーカー、すなわち心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量の時間経過(または本明細書に示すような、被験体におけるFGF−23およびビタミンDの間の比の時間経過)を評価することもまた想定される。したがって、前述の方法は、前記被験体由来の少なくとも1つのさらなる試料において(したがって第三の試料において、第四の試料において、第五の試料においてなど)、心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量(またはFGF−23およびビタミンDの間の比)を決定し、そしてこうして決定した量(比)を、前記の第一の試料および/または前記の第二の試料および/または前記の少なくとも1つのさらなる試料を得る前に得た任意の試料における、前記の心臓トロポニンおよびFGF−23の量の比(またはFGF−23およびビタミンDの間の比)と、それぞれ比較する、さらなる工程を含むことも可能である。試料を得るために好ましい時間間隔に関しては、上記を参照されたい。

0095

好ましくは、第一の試料と比較した際の、第二の試料における心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量(および/またはビタミンDの量に対するFGF−23の量の比)の増加、そしてより好ましくは有意な増加、そして最も好ましくは統計的に有意な増加は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示す。好ましくは、第一の試料と比較した際の、第二の試料における心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量(および/またはビタミンDの量に対するFGF−23の量の比)の減少、そしてより好ましくは有意な減少、そして最も好ましくは統計的に有意な減少、あるいは心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の本質的に不変の量(または本質的に不変の比)は、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきではないことを示す。

0096

特に、有意な増加は、評価に関して有意であると見なされるサイズの増加であり、特に前記増加は統計的に有意と見なされる。
用語「有意」および「統計的に有意」は、当業者に知られる。したがって、増加または減少が有意または統計的に有意であるかどうかは、多様な周知の統計評価ツールを用いて、当業者によって、容易に決定可能である。

0097

本発明の経過中に、画像法に基づく診断評価に供されるべきである、またはない、被験体の指標として見出されてきている、心臓トロポニンおよび/またはFGF−23の量(またはビタミンDに対するFGF−23の比)、好ましくは血液、血清または血漿試料におけるバイオマーカー(単数または複数)の量(比)の有意な増加を、本明細書において、以下に提供する。

0098

マーカーが心臓トロポニンである場合、以下が当てはまる:
好ましくは、参照量(第一の試料における心臓トロポニンの量)よりも少なくとも10%、またはより好ましくは少なくとも25%高い、第二の試料における心臓トロポニン、特にトロポニンTの量は、画像法に基づく診断評価に供されるべき被験体の指標である。

0099

さらに、本発明にしたがって、好ましくは少なくとも0.5pg/ml、より好ましくは少なくとも1.0pg/ml、そしてさらにより好ましくは少なくとも1.5pg/ml、少なくとも2.0pg/ml、または少なくとも2.5pg/ml、少なくとも3.0pg/ml、そして最も好ましくは少なくとも4.0pg/mlの、第一の試料における量と比較した、第二の試料における心臓トロポニン、特にトロポニンTの量の増加は、有意であると見なされ、そしてしたがって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示す。

0100

マーカーがFGF−23である場合、以下が当てはまる:
好ましくは、参照量(第一の試料におけるFGF−23の量)よりも少なくとも5%、またはより好ましくは少なくとも10%高い、第二の試料におけるFGF−23の量は、画像法に基づく診断評価に供されるべき被験体の指標である。

0101

さらに、本発明にしたがって、好ましくは少なくとも1.0pg/ml、より好ましくは少なくとも2.0pg/ml、そしてさらにより好ましくは少なくとも3.0pg/ml、少なくとも4.0pg/ml、または少なくとも5.0pg/ml、少なくとも6.0pg/ml、そして最も好ましくは少なくとも7.0pg/mlの、第一の試料における量と比較した、第二の試料におけるFGF−23の量の増加は、有意であると見なされ、そしてしたがって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであることを示す。

0102

ビタミンDに対するFGF−23の比を決定する場合、以下が当てはまる。
好ましくは、参照比(第一の試料における比)よりも少なくとも5%、またはより好ましくは少なくとも10%高い、第二の試料における比は、画像法に基づく診断評価に供されるべき被験体の指標である。

0103

前述の方法の好ましい態様において、試験しようとする被験体は、第一の試料を得た時点で、異常なMFSを患わない。さらに、被験体は、第一の試料を得た時点で、拡張機能不全および/または収縮機能不全を患っていないことが好ましい。しかし、被験体は、第一の試料を得た時点で高血圧を患っているものとする。高血圧には、本明細書の別の箇所に示すようなリスク要因が付随していてもよい。好ましくは、これは、第一の試料を得た時点で、上に言及するようなACC/AHA分類にしたがって、病期A被験体と分類される。

0104

異常な中壁短縮率を診断するための方法
本明細書の上記に提供する定義および説明は、変更すべきところは変更して、以下に当てはまる。

0105

本発明はまた、被験体において、異常な中壁短縮率(MFS)を診断するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、心臓トロポニンおよび/または線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量を決定し、そして
b)こうして決定した量(単数または複数)を、参照量(単数または複数)と比較して、それによって異常な中壁短縮率を診断する
工程を含む、前記方法にも関する。

0106

好ましくは、c)工程b)で実行した比較の結果に基づいて、被験体が異常なMFSを患っているかを評価する、さらなる工程を実行することによって、被験体が異常なMFSを患っているか評価する。

0107

本発明の方法は、好ましくは、ex vivoまたはin vitro法である。さらに、上に明らかに言及するものに加えて、工程を含むことも可能である。例えば、さらなる工程は、試料の前処理、または方法によって得られる結果の評価に関連することも可能である。方法を手動で実行してもよいし、または自動化によって補助してもよい。好ましくは、工程(a)および/または(b)は、工程(a)における決定、あるいは工程(b)における前記比較に基づくコンピュータ実装比較および/または区別のため、全体で、または部分的に、自動化、例えば適切なロボットおよびセンサー装置によって、補助されてもよい。

0108

用語「診断すること」は、本明細書において、好ましくは、本明細書に言及するような被験体が、異常な中壁短縮率(MFS)を患っているかどうかを評価することを意味する。用語「異常な中壁短縮率」は、本明細書の別の箇所に定義されている。

0109

当業者に理解されるであろうように、こうした評価は、通常、診断しようとする被験体の100%に関して正しいとは意図されない。しかし、該用語は、被験体の統計的に有意な部分(例えばコホート研究におけるコホート)に関して、評価が正しいことを必要とする。部分が統計的に有意であるかどうかは、多様な周知の統計評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値決定、スチューデントのt検定、マン−ホイットニー検定などを用いて、当業者によって容易に決定可能である。詳細は、DowdyおよびWearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。

0110

用語「参照量」は、本明細書の別の箇所に定義されている。前述の方法の文脈において、該用語は、異常なMFSを患っている被験体群、または異常なMFSを患っていない(そしてしたがって、正常MFSを有する)被験体群のいずれかに、被験体を割り当てることを可能にする量を指す。こうした参照量は、これらの群を互いに分離する閾値量であってもよい。したがって、本明細書に言及するようなバイオマーカーに関する、特に心臓トロポニンまたはFGF−23の参照量は、異常なMFSを患っている被験体群、または異常なMFSを患っていない被験体群に、被験体を割り当てることを可能にする量であるものとする。2つの群を分離する適切な閾値量は、異常なMFSを患っていることが知られる被験体または被験体群、あるいは異常なMFSを患っていないことが知られる被験体または被験体群のいずれか由来の、本明細書に言及するようなマーカーの量に基づいて、本明細書の別の箇所に言及する統計検定によって、容易に計算可能である。前述の被験体または被験体群から得られうる好ましい参照量は、本明細書の別の箇所に示される。

0111

好ましくは、以下が診断アルゴリズムとして当てはまる:
好ましくは、参照量(単数または複数)と比較した際の、被験体由来の試料におけるバイオマーカーの増加した量(単数または複数)は、被験体が異常なMFSを患うことを示し、そして参照量(単数または複数)と比較した際の、被験体由来の試料における減少した量(単数または複数)は、被験体が異常なMFSを患っていないことを示す。好ましくは、異常なMFSを患っていない被験体は、正常なMFSを有する。

0112

本明細書に上に示すように、参照量は、異常なMFSを患うことが知られる被験体または被験体群に由来することも可能である。この場合、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはそれよりも高い、工程a)で決定されるマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は、試験しようとしている被験体が異常なMFSを患うことを示す。好ましくは、参照量は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。

0113

好ましくは、前述の参照量を適用することによって、異常なMFSを包含することも可能である。
さらにまたはあるいは、参照量は、好ましくは、異常なMFSを患っていないことが知られる被験体または被験体群に由来することも可能である。この場合、参照量(単数または複数)よりも低い、工程a)で決定されるマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は、被験体が異常なMFSを患っていないことを示す。好ましくは、参照量は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。

0114

好ましくは、前述の参照量を適用することによって、異常なMFSを排除することも可能である。
好ましくは、参照量(単数または複数)が、異常な中壁率化を患っていないことが知られる被験体または被験体群から得られる場合、以下もまた、診断アルゴリズムとして当てはまりうる:好ましくは、心臓トロポニン、特にトロポニンTの参照量よりも少なくとも10%、またはより好ましくは少なくとも25%高い、心臓トロポニン、特にトロポニンTの量は、異常なMFSを患う被験体の指標である。やはり好ましくは、FGF−23の参照量よりも少なくとも5%、またはより好ましくは少なくとも10%高い、FGF−23の量は、異常なMFSを患う被験体の指標である。

0115

用語「被験体」の定義は、本明細書の別の箇所に提供される。定義はまた、参照被験体(単数または複数)にも当てはまる。好ましくは、試験しようとする被験体および参照被験体(単数または複数)は、ほぼ同じ年齢(+/−歳、好ましくは同じ年齢)、同じ性別および/または人種を有する。やはり好ましくは、試験しようとする被験体および参照被験体(単数または複数)は、高血圧、特に同じリスク要因(リスク要因に関しては、本明細書の別の箇所を参照されたい)が付随する高血圧を患うことも可能である。

0116

さらに、本発明の態様において、FGF−23の決定に加えて、工程a)において、ビタミンDの量をさらに決定して、さらなる工程a1)において、FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比を計算して、そしてこうして計算した比を参照比と比較することが意図される。

0117

したがって、本発明はまた、被験体において、異常な中壁短縮率(MFS)を診断するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量およびビタミンDの量を決定して、
a1)FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比を計算して、そして
b)こうして計算した比を参照比と比較して、それによって、異常な中壁短縮率を診断する
工程を含む、前記方法にも関する。

0118

FGF−23およびビタミンDの量を、被験体由来の異なる試料において決定してもよい。しかし、同じ試料における量を決定することが特に意図される。
場合によって、方法は、試料における心臓トロポニンの量の決定(工程a)における)、およびこうして決定した量の参照量との比較(工程b)における)をさらに含むことも可能である。

0119

好ましくは、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかの評価は、工程b)で実行する比較(単数または複数)の結果に基づく。
FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比は、ビタミンDの量に対するFGF−23の量の比であってもよいし、またはFGF−23の量に対するビタミンDの量の比であってもよい。

0120

適切な参照比は、参照量の文脈において上に示すように、当業者によって容易に決定可能である。
好ましくは、比がビタミンDの量に対するFGF−23の量の比である場合、以下が診断アルゴリズムとして当てはまる:
好ましくは、(ビタミンDの量に対するFGF−23の量の)参照比と比較した際の、被験体由来の試料におけるビタミンDの量に対するFGF−23の量の比の増加は、被験体がMFSを患うことを示す。やはり好ましくは、(ビタミンDの量に対するFGF−23の量の)参照比と比較した際の、被験体由来の試料におけるビタミンDの量に対するFGF−23の量の比の減少は、被験体が異常なMFSを患っていないことを示す。

0121

好ましくは、ビタミンDに対するFGF−23の比を決定する場合、以下もまた当てはまる:
ビタミンDに対するFGF−23の参照比は、異常なMFSを患うことが知られる被験体または被験体群から得られてもよい。この場合、参照比と本質的に同一であるかまたは参照比より高い、ビタミンDに対するFGF−23の比は、試験しようとする被験体が異常なMFSを患うことを示す。好ましくは、参照比は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。

0122

さらにまたはあるいは、ビタミンDに対するFGF−23の参照比は、異常なMFSを患っていないことが知られる被験体または被験体群から得られてもよい。この場合、参照比と本質的に同一であるかまたは参照比より低い、試験試料におけるビタミンDに対するFGF−23の比は、被験体が異常なMFSを患っていないことを示す。好ましくは、参照量は、前記被験体の試料から、または前記被験体群の試料から得られる。

0123

好ましくは、ビタミンDに対するFGF−23の参照比が、異常な中壁率化を患っていないことが知られる被験体からまたは被験体群から得られる場合、以下もまた診断アルゴリズムとして当てはまる:好ましくは、参照比より少なくとも5%、またはより好ましくは少なくとも10%高い、試験試料におけるビタミンDに対するFGF−23の比は、異常なMFSを患う被験体の指標である。

0124

特に、異常な中壁率化を患っていないことが知られる被験体または被験体群から得られる好ましい参照比は、こうした被験体群における中央値比である。好ましくは、参照比は5.3である。

0125

好ましい態様において、本発明の方法は、試験しようとする被験体が異常なMFSを患っている場合、および/または試験しようとする被験体が画像法に基づく診断評価に供されるべきである場合、療法を推奨する工程をさらに含む。

0126

本発明の文脈において使用されるような好ましい療法は、生活様式の変更、食餌措置、体に対する介入、ならびに被験体治療のための適切な薬剤の投与を含む。
治療のために適切な薬剤は当該技術分野に周知であり、例えば、Heart Disease, 2008, 第8版, Braunwald監修, Elsevier Sounders、第24章(心不全に関して)および第41章(高血圧に関して)を参照されたい。これらの治療は、本発明の一部である。

0127

生活様式の変更には、禁煙、適切なアルコール消費身体活動性の増加、体重減少ナトリウム(塩)制限、体重管理および健康な食生活、毎日魚油、塩制限が含まれる。
療法にはまた介入も含まれてもよい。本発明の文脈における1つの好ましい介入は、抗高血圧薬剤の投与であり、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、アルドステロンアンタゴニスト利尿剤に対するベータブロッカー、およびカルシウム・アンタゴニストが好ましい。

0128

好ましくは、1またはそれより多い以下の薬剤の投与が推奨されるべきである:
ループ利尿剤のような利尿剤、チアジドおよびチアジド様利尿剤、カリウム保持性利尿剤、I型ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、抗アルドステロン、炭酸脱水素酵素阻害剤、昇圧(vasopressure)アンタゴニスト。

0130

死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測するための方法
本発明は、被験体において、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測するための方法であって、
a)前記被験体由来の試料において、IGFBP7の量および/またはFGF−23の量を決定し、そして
b)工程a)で決定したような量(単数または複数)を、参照量(単数または複数)と比較して、それによって、前記被験体における死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する
工程を含む、前記方法にさらに関連する。

0131

前述の方法の態様において、FGF−23の決定に加えて、工程a)において、ビタミンDの量をさらに決定して、FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比を計算して、そしてこうして計算した比を参照比と比較することが意図される。

0132

したがって、本発明はまた、被験体において、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)の量およびビタミンDの量を決定して、
a1)FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比を計算して、そして
b)こうして計算した比を参照比と比較して、それによって、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する
工程を含む、前記方法も含む。

0133

もちろん、FGF−23およびビタミンDの量に加えて、IGFBP7の量もまた決定してもよい。
したがって、本発明はまた、被験体において、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、IGFBP7、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)およびビタミンDの量を決定して、
a1)FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比を計算して、
b)こうして計算した比を参照比と比較して、そして
b1)参照比にIGFBP7の量を比較して、
それによって、前記被験体における死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する
工程を含む、前記方法にも関する。

0134

FGF−23の量およびビタミンDの量の間の比は、ビタミンDの量に対するFGF−23の量の比であってもよいし、またはFGF−23の量に対するビタミンDの量の比であってもよい。

0135

好ましくは、c)工程b)(または工程b)およびb1))において実行する比較の結果に基づいて、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する、さらなる工程を実行することによって、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する。

0136

バイオマーカーの量を、被験体由来の異なる試料において決定してもよい。しかし、同じ試料における量を決定することもまた意図される。
好ましい態様において、死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測するための方法は、被験体由来の試料において、脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPまたはNT−プロBNPの量、および/または心臓トロポニン、特にトロポニンTまたはIの量を決定する工程、ならびに前記脳ナトリウム利尿ペプチドの量および/または心臓トロポニンの量を、参照量(単数または複数)と比較する工程をさらに含む。

0137

本発明の方法は、好ましくは、ex vivoまたはin vitro法である。さらに、該方法は、上に明確に言及するものに加えて、工程を含んでもよい。例えば、さらなる工程は、試料の前処理、または方法によって得られる結果の評価に関連するものであることも可能である。本発明の方法はまた、監視確証、および下位分類にも使用可能である。方法を手動で実行してもよいし、そして/または方法は自動化によって補助されていてもよい。好ましくは、工程(a)、(b)および/または(c)は、全体で、または部分的に、自動化によって、例えば工程(a)における決定のための、または工程(b)におけるコンピュータ実装比較のための、適切なロボットおよびセンサー装置によって、補助されていてもよい。

0138

用語「予測すること」は、本明細書において、将来の定義された時間ウィンドウ(予測ウィンドウ)内で、被験体が死ぬ(例えば心不全によって引き起こされる死亡)、および/または心臓血管事象、好ましくは急性心臓血管事象、例えば急性冠動脈症候群(ACS)を発展させる確率を評価することを指す。予測ウィンドウは、予測される確率にしたがって被験体が心臓血管事象を発展させるかまたは死亡するであろう間隔である。予測ウィンドウは、本発明の方法による分析に際して、被験体の全余命であることも可能である。しかし、好ましくは、予測ウィンドウは、本発明の方法を実施した後(より好ましくはそして正確には、本発明の方法によって分析しようとする試料を得た後)、1年、2年、3年、4年、5年、10年、15年または20年の間隔である。最も好ましくは、前記予測ウィンドウは、4年または5年の間隔である。当業者に理解されるであろうように、こうした評価は、通常、分析しようとする被験体の100%に関して正しいとは意図されない。しかし、該用語は分析しようとする被験体の統計的に有意な部分に関して、評価が有効であろうことを必要とする。部分が統計的に有意であるかは、多様な周知の統計評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値決定、スチューデントのt検定、マン−ホイットニー検定などを用いて、当業者によって容易に決定可能である。詳細は、DowdyおよびWearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。好ましくは、本発明によって想定される確率は、予測が、所定のコホートの被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%に関して正しいであろうことを可能にする。

0139

用語「死亡」は、本明細書において、好ましくは、任意の原因による死亡、そしてより好ましくは心臓血管事象による死亡に関連する。用語「心臓血管事象」は、本明細書において、心臓血管系の任意の障害を指し、これには、好ましくは任意の急性心臓血管事象が含まれる。急性心臓血管事象は、好ましくは、安定狭心症SAP)または急性冠動脈症候群(ACS)である。ACS患者は、不安定狭心症(UAP)または心筋梗塞(MI)を示すことも可能である。MIは、ST上昇MI(STEMI)または非ST上昇MI(NSTEMI)であることも可能である。NSTE−ACSは、本明細書において、UAPおよびNSTEMIを含む。MIの発症には、左室機能不全(LVD)、心不全の発展、またはさらに死亡が続くこともありうる。さらなる好ましい心臓血管事象は、心臓徐脈性不整脈または頻脈性不整脈を含み、心突然死および脳卒中(脳血管事象またはアクシデント)を含む。また、死亡はまた、死亡率または被験体の所定の集団に対する死亡数の比を指すことも可能である。

0140

表現「死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測すること」は、本明細書において、本発明の方法によって分析しようとする被験体を、上昇したリスクを有する集団の被験体群に、または減少したリスクを有する群のいずれかに割り当てることを意味する。本発明にしたがって称されるような、上昇したリスクは、好ましくは、あらかじめ決定した予測ウィンドウ内で、被験体集団における心臓血管事象または心臓死亡の平均リスクに関して、被験体に関する心臓血管事象を発展させるリスクまたは死亡リスクが有意に上昇している(すなわち有意に増加している)ことを意味する。本発明にしたがって言及されるような減少したリスクは、好ましくは、あらかじめ決定した予測ウィンドウ内で、被験体集団における心臓血管事象または心臓死亡の平均リスクに関して、被験体に関する心臓血管事象を発展させるリスクまたは死亡リスクが有意に減少していることを意味する。特に、リスクの有意な増加または減少は、予後に関して有意であると見なされるサイズのリスクの増加または減少であり、特に、前記増加または減少は、統計的に有意であると見なされる。用語「有意」および「統計的に有意」は、当業者に知られる。したがって、リスクの増加または減少が有意であるかまたは統計的に有意であるかは、多様な周知の統計評価ツールを用いて、当業者によって容易に決定可能である。

0141

好ましくは、4年(または5年)の予測ウィンドウに関して、死亡(または心臓血管事象)の上昇したリスクは、8.0%〜19.0%の範囲内、より好ましくは12.0%〜17.0%の範囲内、最も好ましくは8.0%〜16.0%の範囲内である。死亡の上昇した、そしてしたがって増加したリスクは、本明細書において、好ましくは、4年(または5年)の予測ウィンドウに関して、好ましくは、8.0%より高い、好ましくは12.0%より高い、より好ましくは17%より高い、さらにより好ましくは20%より高い、リスクに関する。本明細書において、死亡(または心臓血管事象)の減少したリスクは、好ましくは、4年の予測ウィンドウに関して、好ましくは8.0%未満、好ましくは6%未満、さらにより好ましくは4%未満、そして最も好ましくは3.0%〜8.0%の範囲内である。

0142

用語「被験体」は、上に定義される通りである。用語「被験体」の定義はまた、前述の方法にも当てはまる。したがって、被験体を画像法に基づく診断評価に供するべきであるかを評価するための方法と関連して、本明細書において、上に示すように、被験体は、例えば正常心室重量を有するものとする。

0143

死亡および/または心臓血管事象のリスクを予測する、本発明の前述の方法の文脈において、被験体は、好ましくは、心不全を患わず、そして/または心不全の明白な症状を示さない(上記説明を参照されたい)。したがって、被験体は、ACC/AHA分類(上記参考文献を参照されたい)にしたがって、病期CまたはDと分類される心不全を患わないものとする。さらに、本明細書の以下に示すように、患者は、減少した左室駆出率を持たない。

0144

前述の方法の好ましい態様において、被験体は、好ましくは、ACC/AHA分類にしたがって、病期Aまたは病期Bと分類される心不全を患う。前述の方法の別の好ましい態様において、被験体は心臓疾患および障害に関して健康である。心臓疾患および障害に関して健康である被験体は、心臓疾患および障害を患わない被験体と見なされる。

0145

好ましくは、上述の方法の文脈において、被験体は、収縮不全(特に駆出率が減少した収縮不全)および/または収縮機能不全を患わない。好ましくは、被験体は、保持された左室駆出率を有するものとする。したがって、試験しようとする被験体は、好ましくは、55%より多い、より好ましくは60%より多い、そして最も好ましくは65%より多い、左室駆出率(LVEF)を有することも可能である。

0146

インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP)系は、細胞増殖および分化において、重要な役割を果たす。該タンパク質は、2つのリガンド、IGF−IおよびIGF−II、2つの受容体1型および2型IGF受容体、そして1995年現在で、6つのIGF結合タンパク質(IGFBP)、IGFBP−1〜−6(Jones, J.I.ら, Endocr. Rev. 16(1995)3−34)を含む。近年、IGFBPファミリーは、IGFBPと有意な構造的類似性を有する、IGFBP関連タンパク質(IGFBP−rP)も含むように拡大されてきている(Hwa, V.ら, Endocr. Rev 20(1999)761−787)。したがって、IGFBPスーパーファミリーには、IGFに対して高いアフィニティを有する6つの慣用的なIGFBP、ならびにIGFBPの保存されたアミノ末端ドメインを共有するだけでなく、ある程度の度合いのIGFおよびインスリンに対するアフィニティも示す、少なくとも10のIGFBP−rPが含まれる。IGFBP−rPは、多様な細胞機能、例えば細胞増殖、細胞接着および遊走、ならびに細胞外マトリックスの合成を制御する、システインリッチタンパク質群である。さらに、これらのタンパク質は、組織増殖および分化、再生、血管新生、創傷修復、炎症、線維症、および腫瘍発生のような生物学的プロセスに関与する可能性もある(Hwa, V.ら, Endocr. Rev 20(1999)761−787)。

0147

IGF結合タンパク質7(=IGFBP7)は、内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、および上皮細胞によって分泌されることが知られる30kDaのモジュール糖タンパク質である(Ono, Y.ら, Biochem Biophys Res Comm 202(1994)1490−1496)。文献において、この分子はまた、FSTL2;IBP7;IGF結合タンパク質関連タンパク質I;IGFBP 7;IGFBP 7v;IGFBP rP1;IGFBP7;IGFBPRP1;インスリン様増殖因子結合タンパク質7;インスリン様増殖因子結合タンパク質7前駆体;MAC25;MAC25タンパク質;PGI2刺激因子;およびPSFまたはプロスタサイクリン刺激因子とも称されてきている。ノーザンブロット研究によって、心臓、脳、胎盤、肝臓、骨格筋、および膵臓を含む、ヒト組織におけるこの遺伝子の広い発現が明らかになった(Oh, Y.ら, J. Biol. Chem. 271(1996)30322−30325)。

0148

IGFBP7は、対応物腫瘍細胞と比較して、正常な軟髄膜および乳腺上皮細胞において示差的に発現される遺伝子として最初に同定され、そして髄膜腫関連cDNA(MAC25)と命名された(Burger, A.M.ら, Oncogene 16(1998)2459−2467)。発現されるタンパク質は、腫瘍由来接着因子(後に、アンギオモジュリンと改名された)(Sprenger, C.C.ら, Cancer Res 59(1999)2370−2375)として、そしてプロスタサイクリン刺激因子(Akaogi, K.ら, Proc Natl Acad Sci USA 93(1996)8384−8389)として、独立に精製された。さらに、該分子は、乳癌において下方制御される遺伝子、T1 A12としても報告されてきている(StCroix, B.ら, Science 289(2000)1197−1202)。

0149

好ましくは、用語「IGFBP7」は、ヒトIGFBP7を指す。該タンパク質の配列は、当該技術分野において周知であり、そして例えばGenBank(NP_001240764.1)を通じてアクセス可能である。IGFBP7は、本明細書において、好ましくは、特定のIGFBP7ポリペプチドの変異体もまた含む。用語「変異体」の説明に関しては、上記を参照されたい。

0150

上に示すように、前述の方法は、被験体由来の試料における脳ナトリウム利尿ペプチドの量および/または心臓トロポニンの量の決定をさらに含むことも可能である。用語「心臓トロポニン」は、本明細書において別の箇所に記載されてきている。本明細書において、用語「脳ナトリウム利尿ペプチド」は、好ましくは脳ナトリウム利尿(Brain Natriuretic Peptide)(BNP)型ペプチドおよび同じ予測能を有するその変異体を指す。BNP型ペプチドは、プレプロBNP、プロBNP、NT−プロBNP、およびBNPを含む。プレプロペプチド(プレプロBNPの場合は134アミノ酸)は、短いシグナルペプチドを含み、該シグナルペプチドは、酵素的に切断されて、プロペプチドを放出する(プロBNPの場合は108アミノ酸)。プロペプチドは、さらに切断されてN末端プロペプチド(NT−プロペプチド、NT−プロBNPの場合は76アミノ酸)となり、そして活性ホルモン(BNPの場合は32アミノ酸)となる。好ましくは、本発明にしたがった脳ナトリウム利尿ペプチドは、NT−プロBNP、BNP、およびその変異体である。BNPは活性ホルモンであり、そしてそれぞれの不活性対応物NT−プロBNPよりも短い半減期を有する。BNPは血液中で代謝され、一方、NT−プロBNPは、インタクトな分子として血液中を循環し、そしてこうしたものとして、腎臓で排出される。NT−プロBNPのin vivo半減期は、20分であるBNPの半減期より120分長い(Smith 2000, J Endocrinol. 167:239−46.)。前解析は、NT−プロBNPでよりロバストであり、中央実験室に試料を容易に輸送することが可能である(Mueller 2004, Clin Chem Lab Med 42:942−4.)。血液試料は、数日間、室温で保存してもよく、あるいは回収損失を伴わずに郵送または搬送することも可能である。対照的に、室温または4℃でBNPを48時間保存すると、少なくとも20%の濃度損失につながる(Mueller、同所; Wu 2004, Clin Chem 50:867−73.)。したがって、時間経過または関心対象の特性に応じて、ナトリウム利尿ペプチドの活性型または不活性型のいずれかの測定が好適でありうる。本発明にしたがって最も好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT−プロBNPまたはその変異体である。上に簡潔に論じるように、ヒトNT−プロBNPは、本発明にしたがって称される際、好ましくは、ヒトNT−プロBNP分子のN末端部分に対応する長さ76アミノ酸を含むポリペプチドである。ヒトBNPおよびNT−プロBNPの構造は、先行技術、例えばWO 02/089657、WO 02/083913またはBonow、同所にすでに詳細に記載されてきている。好ましくは、ヒトNT−プロBNPは、本明細書において、EP 0 648 228 B1に開示されるような、ヒトNT−プロBNPである。これらの先行技術文献は、文献中に開示されるNT−プロBNPおよびその変異体の特定の配列に関して、本明細書に援用される。本発明にしたがって言及されるNT−プロBNPは、上に論じるヒトNT−プロBNPの前記の特定の配列のアレル変異体および他の変異体をさらに含む。具体的には、アミノ酸レベルで、ヒトNT−プロBNPに、好ましくはヒトNT−プロBNPの全長に渡って、好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一である変異体ポリペプチドが想定される。2つのアミノ酸配列間の同一性の度合いは、当該技術分野に周知のアルゴリズムによって決定可能である。好ましくは、同一性の度合いは、2つの最適に整列される配列を、比較ウィンドウに渡って、比較することによって決定可能であり、ここで、比較ウィンドウ中のアミノ酸配列の断片は、最適整列のため、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較した際、付加または欠失(例えばギャップまたはオーバーハング)を含んでもよい。両方の配列において同一のアミノ酸残基が存在する位の数を決定して、マッチした位の数を得て、比較ウィンドウ中の位の総数で、マッチした位の数を割り、そして結果に100を乗じて、配列同一性パーセントを得ることによって、割合を計算する。比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman Add.APL. Math. 2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch J. Mol. Biol. 48:443(1970)の相同性整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装によって(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI)、または視覚的検査によって、行うことも可能である。2つの配列が、比較のために同定されたならば、好ましくは、GAPおよびBESTFITを使用して、最適整列を決定し、そしてしたがって同一性の度合いを決定する。好ましくは、ギャップ加重の5.00、およびギャップ加重長の0.30のデフォルト値を用いる。上に言及する変異体はアレル変異体または任意の他の種特異的相同体、パラログ、またはオルソログであってもよい。診断手段によって、またはそれぞれの全長ペプチドに対して向けられるリガンドによって、なお認識されるタンパク質分解性分解産物は、実質的に類似であり、そしてやはり想定される。ポリペプチドがNT−プロBNP特性を有する限り、ヒトNT−プロBNPのアミノ酸配列と比較して、アミノ酸欠失置換、および/または付加を有する変異体ポリペプチドもまた含まれる。本明細書に言及するようなNT−プロBNP特性は、免疫学的および/または生物学的特性である。好ましくは、NT−プロBNP変異体は、ヒトNT−プロBNPのものに匹敵する免疫学的特性(すなわちエピトープ組成)を有する。したがって、変異体は、ナトリウム利尿ペプチドの量の決定のために用いられる前述の手段またはリガンドによって認識可能であるものとする。生物学的および/または免疫学的NT−プロBNP特性は、Karlら(Karl 1999, Scand J Clin Lab Invest 230:177−181)、Yeoら(Yeo 2003, Clinica Chimica Acta 338:107−115)に記載されるアッセイによって検出可能である。変異体にはまた、グリコシル化ペプチドなどの翻訳後修飾ペプチドも含まれる。さらに、本発明にしたがった変異体はまた、試料収集後に、例えばペプチドへの標識、特に放射性または蛍光標識の共有または非共有付着によって修飾されているペプチドまたはポリペプチドである。

0151

用語「参照量」は、上に定義される通りである。前述の方法の文脈において、本明細書に言及するようなバイオマーカーに関する、特にFGF−23、IGFBP7、心臓トロポニン、または脳ナトリウム利尿ペプチドの参照量は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇した被験体群に、あるいは死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少した被験体群に、被験体を割り当てることを可能にする量であるものとする。2つの群を分離する、適切な閾値量は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇していることが知られる被験体または被験体群、あるいは死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少していることが知られる被験体または被験体群のいずれかから、本明細書に言及するようなマーカーの量に基づいて、本明細書の別の箇所に言及する統計検定によって、容易に計算可能である。前述の被験体または被験体群から得られうる好ましい参照量は、本明細書の別の箇所に示される。

0152

好ましくは、以下が診断アルゴリズムとして当てはまる:
好ましくは、参照量は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇していることが知られる被験体または被験体群から得られる。この場合、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはこれより多い、マーカーFGF−23の量および/またはIGFBP7の量は、試験しようとする被験体の死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇していることを示す。本発明の文脈において、さらに決定されてもよいマーカー、すなわち心臓トロポニンおよび脳ナトリウム利尿ペプチドにも同じことが当てはまる。

0153

さらにまたはあるいは、参照量は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少していることが知られる被験体または被験体群から得られうる。この場合、参照量(単数または複数)と本質的に同一であるかまたはこれより低い、マーカーFGF−23の量および/またはIGFBP7の量は、試験しようとする被験体の死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少していることを示す。本発明の文脈において、さらに決定されてもよいマーカー、すなわち心臓トロポニンおよび脳ナトリウム利尿ペプチドにも同じことが当てはまる。

0154

さらに、参照量が計算された参照量であることが想定される。好ましくは、計算された参照量は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇している被験体、および死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少している被験体の間を区別することを可能にするものとする。好ましくは、マーカー(単数または複数)の増加した量(単数または複数)は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇している被験体の指標であり、一方、マーカー(単数または複数)の減少した量(単数または複数)は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少している被験体の指標である。

0155

上に示すように、前述の方法は、FGF−23およびビタミンDの組み合わせた決定、ならびに参照比の計算を含んでもよい。適切な参照比は、参照量の文脈において、上に示すように、当業者によって容易に決定可能である。

0156

ビタミンDの量に対するFGF−23の量の比に関する好ましい参照比は、4〜8.5の範囲内、特に、6.5〜8.5の範囲内である。ビタミンDの量に対するFGF−23の量のさらなる参照比は、好ましくは、6.5、より好ましくは7.5、または最も好ましくは8.5である。

0157

好ましい参照量は、IGFBP7に関して100〜115ng/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は115ng/mlである。
好ましくは、比が、ビタミンDの量に対するFGF−23の量の比である場合、以下もまた、診断アルゴリズムとして当てはまる:
好ましくは、(ビタミンDの量に対するFGF−23の量の)参照比と比較した際の、被験体由来の試料におけるビタミンDの量に対するFGF−23の量の比の増加は、被験体の死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇していることを示す。やはり好ましくは、(ビタミンDの量に対するFGF−23の量の)参照比と比較した際の、被験体由来の試料におけるビタミンDの量に対するFGF−23の量の比の減少は、被験体の死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少していることを示す。

0158

やはり好ましくは、ビタミンDに対するFGF−23の参照比は、死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇していることが知られる被験体または被験体群に由来することも可能である。この場合、参照比と本質的に同一であるか、またはこれより大きい、ビタミンDに対するFGF−23の比は、被験体の死亡および/または心臓血管事象のリスクが上昇していることを示す。

0159

さらにまたはあるいは、ビタミンDに対するFGF−23の参照比は、好ましくは、死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少していることが知られる被験体または被験体群に由来することも可能である。この場合、参照比と本質的に同一であるか、またはこれより低い、試験試料におけるビタミンDに対するFGF−23の比は、被験体の死亡および/または心臓血管事象のリスクが減少していることを示す。

0160

初期段階の左室肥大(LVH)を診断するための方法
本発明の根底にある研究において、エンドスタチンおよびBNP型ペプチド(例えばNT−プロBNPおよび/またはBNP)の組み合わせた決定、またはエンドスタチンおよび心臓トロポニンの組み合わせた決定によって、初期段階の左室肥大である被験体の信頼可能な同定が可能になることが示されてきている。これらのマーカーの組み合わせた決定は、一方でエンドスタチン、そしてもう一方でBNP型ペプチドまたは心臓トロポニンの決定が、初期段階のLVHである被験体の異なる下位群の同定を可能にするため、改善された診断を生じる。マーカーの1つの増加した量、または2つのマーカーの増加した量は、初期段階のLVHの指標である。1つのマーカーの量のみを決定する場合、初期段階のLVHである患者のあるものは、見逃されるであろう。

0161

マーカーの組み合わせた決定は、特に、LVHがより顕著になる前に、高血圧から収縮または拡張機能不全へと進行中の、中間表現型を可能にするため、保持された左室駆出率を有する被験体において好適である。

0162

したがって、本発明は、保持された左室駆出率を有する被験体において、初期段階の左室肥大を診断するための方法であって、
a)被験体由来の試料において、エンドスタチンの量を決定し、そして
b)被験体由来の試料において、BNP型ペプチドおよび/または心臓トロポニンの量を決定し、そして
c)工程a)およびb)で決定したような量を、参照量と比較して、これによって、初期段階の左室肥大を診断する
工程を含む、前記方法に関する。

0163

好ましくは、初期段階の左室肥大は、d)工程c)で実行する比較の結果に基づいて、被験体が初期段階の左室肥大であるかどうかを診断する、さらなる工程を実行することによって、診断される。

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