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技術 定電位電解式ガスセンサ

出願人 新コスモス電機株式会社
発明者 前川亨皆越知世石橋研二
出願日 2016年9月20日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-182840
公開日 2018年3月29日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2018-048826
状態 特許登録済
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析
主要キーワード 電気化学計測 反応極 多孔質PTFE膜 PTFE微粒子 漬電位 定電位電解式ガスセンサ 電極材料ペースト フッ素樹脂膜
関連する未来課題
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図面 (11)

課題

ガス検知性能に個体差が発生し難い電極を備えた定電位電解式ガスセンサを提供する。

解決手段

ガスを検知するガス電極として被検知ガス電気化学反応させる反応極11、反応極11に対する対極12および反応極11の電位を制御する参照極13を、電解槽30に収容した電解液20に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサであって、参照極13は、電解液20に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属担持させた担体を有し、設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整して構成してある定電位電解式ガスセンサX。

概要

背景

従来の定電位電解式ガスセンサは、電極電解液が密に収容される電解槽電解液収容部内に臨んで設けて構成してあり、例えば電極としては、ガスを検知するガス電極として被検知ガス電気化学反応させる作用電極、当該作用電極に対する対極、作用電極の電位を制御する参照電極の3電極を設けてあり、また、これらが接触自在な電解液を収容した電解槽と、各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路等を接続してある。前記3電極の材料としては撥水性を有するガス透過性多孔質PTFE膜白金や金、パラジウム等の貴金属触媒等を塗布したものが、電解液としては、硫酸リン酸等の酸性水溶液等が用いられていた。

また、定電位電解式ガスセンサは、周囲の環境変化に対して作用電極の電位を制御して一定に維持することによって、作用電極と対極との間に周囲の環境変化に相当する電流を生じさせる。そして、作用電極の電位が変化せず、またガス種によって酸化還元電位が異なることを利用することにより、ポテンシオスタット回路の設定電位によってはガスの選択的な検知が可能になる。また、ガス電極に用いる触媒を変えることで、目的とするガスに対して高い選択性を持たすことができる。

例えば粒径が数十nmのカーボンに、数百nm程度の貴金属微粒子担持させたものを使用することがあった。このようにカーボンに貴金属微粒子を担持させるには、例えば浸漬担持法を使用することがある。当該浸漬担持法で貴金属粒子担体に担持させる場合、当該担体を金属塩水溶液中に浸して、金属成分を担体表面に吸着させ、乾燥・焼成還元を行う。当該浸漬担持法で貴金属担持カーボンを作製した後、多孔質PTFE膜に塗布して電極を作製していた。

尚、本発明における従来技術となる上述した定電位電解式ガスセンサは、一般的な技術であるため、特許文献等の従来技術文献は示さない。

概要

ガス検知性能に個体差が発生し難い電極を備えた定電位電解式ガスセンサを提供する。ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極11、反応極11に対する対極12および反応極11の電位を制御する参照極13を、電解槽30に収容した電解液20に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサであって、参照極13は、電解液20に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体を有し、設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整して構成してある定電位電解式ガスセンサX。

目的

本発明の目的は、ガス検知性能の個体差が発生し難い電極を備えた定電位電解式ガスセンサを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ガスを検知するガス電極として被検知ガス電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサであって、前記参照極は、前記電解液に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属担持させた担体を有し、設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整して構成してある定電位電解式ガスセンサ。

請求項2

前記担体がカーボンであり、前記二種の貴金属が金および白金である請求項1に記載の定電位電解式ガスセンサ。

請求項3

電極の電位を設定するポテンシオスタット回路を接続してあり、当該ポテンシオスタット回路をショートして構成してある請求項1または2に記載の定電位電解式ガスセンサ。

技術分野

0001

本発明は、ガスを検知するガス電極として被検知ガス電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサに関する。

背景技術

0002

従来の定電位電解式ガスセンサは、電極を電解液が密に収容される電解槽の電解液収容部内に臨んで設けて構成してあり、例えば電極としては、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる作用電極、当該作用電極に対する対極、作用電極の電位を制御する参照電極の3電極を設けてあり、また、これらが接触自在な電解液を収容した電解槽と、各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路等を接続してある。前記3電極の材料としては撥水性を有するガス透過性多孔質PTFE膜白金や金、パラジウム等の貴金属触媒等を塗布したものが、電解液としては、硫酸リン酸等の酸性水溶液等が用いられていた。

0003

また、定電位電解式ガスセンサは、周囲の環境変化に対して作用電極の電位を制御して一定に維持することによって、作用電極と対極との間に周囲の環境変化に相当する電流を生じさせる。そして、作用電極の電位が変化せず、またガス種によって酸化還元電位が異なることを利用することにより、ポテンシオスタット回路の設定電位によってはガスの選択的な検知が可能になる。また、ガス電極に用いる触媒を変えることで、目的とするガスに対して高い選択性を持たすことができる。

0004

例えば粒径が数十nmのカーボンに、数百nm程度の貴金属微粒子担持させたものを使用することがあった。このようにカーボンに貴金属微粒子を担持させるには、例えば浸漬担持法を使用することがある。当該浸漬担持法で貴金属粒子担体に担持させる場合、当該担体を金属塩水溶液中に浸して、金属成分を担体表面に吸着させ、乾燥・焼成還元を行う。当該浸漬担持法で貴金属担持カーボンを作製した後、多孔質PTFE膜に塗布して電極を作製していた。

0005

尚、本発明における従来技術となる上述した定電位電解式ガスセンサは、一般的な技術であるため、特許文献等の従来技術文献は示さない。

発明が解決しようとする課題

0006

上述の手法によって作製された貴金属担持カーボンは、貴金属微粒子の粒径が担体であるカーボンの粒径より大きく、水溶液中で凝集し易い傾向にあるため、貴金属微粒子を均一に分散させるのが困難であった。このように貴金属微粒子が不均一な状態で作製された貴金属担持カーボンを貴金属触媒として使用すると、ガス検知性能の個体差が大きくなるなどの影響を与えることがあった。

0007

従って、本発明の目的は、ガス検知性能の個体差が発生し難い電極を備えた定電位電解式ガスセンサを提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するための本発明に係る定電位電解式ガスセンサは、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサであって、その第一特徴構成は、前記参照極は、前記電解液に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体を有し、設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整して構成した点にある。

0009

設定電位をゼロになるようにするためには、具体的には、一つの電極上で起こる複数の電気化学反応である混成電位反応によって参照電極の電位をシフトさせるとよい。これにより、例えば本来は+200mVの電位を印加してガス検知を行うところ、±0mVの電位を印加することでガス検知を行うことができる。
このように設定電位をゼロとすることで、定電位電解式ガスセンサの回路電圧が安定し、センサゼロ点の変動を抑制することができるため、ガス検知性能の個体差が発生し難くなる。

0010

尚、本発明に係る定電位電解式ガスセンサでは、「参照極は、前記電解液に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体を有する」および「設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整して構成した」として、物をその構造又は特性により直接特定した記載としてある。

0011

本発明に係る定電位電解式ガスセンサの第二特徴構成は、前記担体がカーボンであり、前記二種の貴金属が金および白金とした点にある。

0012

本構成のように、二種の貴金属が金および白金であれば、電解液に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属のうち、入手の容易な貴金属とすることができる。

0013

本発明に係る定電位電解式ガスセンサの第三特徴構成は、各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路を接続してあり、当該ポテンシオスタット回路をショートして構成した点にある。

0014

本構成によれば、ポテンシオスタット回路がショートするように構成するため、電源を設ける必要がなくなり、定電位電解式ガスセンサを簡便に構成することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の定電位電解式ガスセンサを示す概略図である。
ポテンシオスタット回路を示す概略図である。
反応極の断面図および要部拡大図である。
本発明の定電位電解式ガスセンサを使用して、ゲルマン1ppmを検知した結果を示したグラフである。
参照電極の電気化学計測を行った結果を示したグラフである。
本発明の参照電極へ種々の含有量の白金を入れて電位を調整した結果を示したグラフである。
シラン0.5ppmに対する感度について調べたグラフである。
ホスフィン0.5ppmに対する感度について調べたグラフである。
ゲルマン0.5ppmに対する感度について調べたグラフである。
アルシン0.5ppmに対する感度について調べたグラフである。

0016

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、定電位電解式ガスセンサXは、ガスを検知するガス電極10として被検知ガスを電気化学反応させる反応極11、当該反応極11に対する対極12、反応極11の電位を制御する参照極13を、電解槽30に収容した電解液20に接触するように備えている。

0017

反応極11、対極12及び参照電極13は、撥水性を有する多孔質ガス透過膜14の表面に、後述する電極材料より作製したペーストを塗布・焼成して形成してある。反応極11と、対極12及び参照電極13とは、対向して配置してある。

0018

電解槽30は側方に開口する開口部32を形成してガス導通部33を形成している。ガス透過膜14は二枚設けられ、一方のガス透過膜14には反応極11が配設され、他方のガス透過膜14には対極12及び参照電極13が配設される。反応極11の側に配設されたガス透過膜14は、開口部32に臨むように電解槽30に取り付けられる。被検知ガスはガス導通部33より導入され、反応極11上で反応する。

0019

それぞれのガス透過膜14とOリング15とは蓋部材16によって固定される。電解槽30の底面には、電解液収容部31に収容された電解液20の注入等のメンテナンスを行う電解液注入口34が形成されている。

0020

このような定電位電解式ガスセンサXは、各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路(図2)を備える。本発明の定電位電解式ガスセンサXは、例えばシラン、ホスフィン、ゲルマン、アルシン、ジボランなどの水素化物ガスの検知に用いられる。

0021

反応極11は、フッ素樹脂膜上に、フッ素樹脂粒子1および貴金属担持カーボン2を有する厚膜3を形成し、貴金属担持カーボン2がフッ素樹脂粒子1の間に充填された構造を呈する(図3)。

0022

本実施形態では、ガス透過膜14をフッ素樹脂膜とする。当該フッ素樹脂膜14は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレンテフロン)、PFAパーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。

0023

フッ素樹脂粒子1は、フッ素樹脂膜14の構成材料微粒子であり、その粒径範囲は、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmとするのがよい。また、厚膜3の厚さは、例えば5〜50μm、好ましくは10〜25μmとするのがよい。

0024

貴金属担持カーボン2は、例えば金や白金などの貴金属aを担持するカーボン(担体)bとすることができる。貴金属担持カーボン2は作製の過程コロイド溶液を使用することができ、貴金属ナノ粒子を分散させた状態で担体bであるカーボンに担持させることができるため、貴金属ナノ粒子の分散の程度を概ね均一な状態とすることができる。そのため、このような貴金属担持カーボン2を貴金属触媒として使用すれば、定電位電解式ガスセンサXにおいて、ガス検知性能に個体差が生じるのを防止することができる。本実施形態では、貴金属ナノ粒子として金ナノ粒子を使用した場合について説明する。

0025

担体bであるカーボンは、公知のカーボン粉末、例えばカーボンブラック(粒径5〜300nm程度)を使用することができ、特にアセチレンガス熱分解して得るアセチレンブラックを使用するのがよいが、これに限定されるものではない。

0026

貴金属担持カーボンの粒径範囲は、例えば0.01〜0.1μm、好ましくは0.01〜0.05μmとするのがよい。

0027

貴金属担持カーボン2は、溶媒にカーボン粉末を添加して撹拌するカーボン粉末添加工程と、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を添加するナノ粒子添加工程と、溶媒の沸点以下に維持した状態で乾燥させる乾燥工程と、乾燥して得られた粉末を250〜450℃で焼成を行う焼成工程と、を行って作製される。

0028

カーボン粉末添加工程では、カーボン粉末を所定量秤量し、溶媒である水を加え十分攪拌させる(一次分散)。本工程はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加して行うとよい。当該界面活性剤を添加することで、溶媒に対するカーボンの分散性を向上させることができる。界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用できる。また、溶媒へのカーボンの分散性を上げるためには、水/界面活性剤/カーボンの懸濁液を攪拌させながら、超音波ホモジナイザーなどの超音波処理で分散させ、カーボン粉末の凝集粒子粒子レベルまで分散させるとよい(二次分散)。

0029

二次分散した水/界面活性剤/カーボンの懸濁液を、ロータリーエバポレータ等によって脱泡した後、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を添加するナノ粒子添加工程を行う。

0030

金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液は、金ナノ粒子が溶液中に分散している状態となっている。当該コロイド溶液には、必要に応じて保護剤などの添加剤を添加してもよい。
金コロイド溶液は、例えばテトラクロロ金酸(III)などの塩化金酸溶液に還元剤としてクエン酸塩溶液を加えて加熱することにより、金属イオンを還元してコロイドとする溶液内還元反応を利用して作製することができるが、このような手法に限定されるものではない。当該方法においては、塩化金酸に対する還元剤の添加量増減することにより、金コロイド粒子の大きさを変化させることができる。金ナノ粒子は、約5〜50nm程度の粒径を有する粒子であればよいが、この範囲に限定されるものではない。この場合、5〜50nmの粒子の割合が90重量%以上となるような粒度分布とするのがよい。

0031

コロイド溶液を添加した後、超音波分散機などの超音波処理によってカーボン粒子および金ナノ粒子を粒子レベルまで分散させるとよい(三次分散)。三次分散した懸濁液を、ロータリーエバポレータ等によって撹拌し、70〜90℃程度で減圧加熱乾燥する。

0032

その後の乾燥工程では、得られた溶液を、溶媒(水)の沸点以下に維持した状態で乾燥させる。溶媒の沸点以下として設定する温度は、特に限定されるものではないが、溶媒が水の場合、80〜100℃程度とするのがよい。乾燥の手法は、例えば減圧乾燥真空乾燥吸引乾燥熱風乾燥など、公知の手法を適用することができる。これら乾燥の手法における乾燥条件は、公知の条件を適用すればよい。

0033

焼成工程では、乾燥して得られた粉末を250〜450℃で焼成を行う。
本実施形態における焼成温度は、空気雰囲気大気圧下でカーボンの酸化が進まない温度で、使用した界面活性剤等の有機物蒸発する温度(250〜450℃)としてある。
焼成時間は、界面活性剤、コロイドの保護剤等が蒸発、昇華、熱分解により完全になくなるまでの時間を適宜設定すればよい。そのため、焼成させる粉体の量で、その都度焼成時間の短縮・延長が可能である。しかし、金ナノ粒子の粒成長焼結による活性の低下などを考慮して、例えば当該焼成時間の上限を3時間程度までと設定してもよい。また、焼成時間を設定せず、所定の温度に達すれば焼成工程を終了するように設定してもよい。

0034

本実施形態における反応極11は、フッ素樹脂膜14であるPTFE膜上に、フッ素樹脂粒子1であるPTFEの微粒子および貴金属担持カーボン2(金担持カーボン)を有する厚膜3を形成した場合について説明する。

0035

即ち、反応極11は、金担持カーボン2の粉末にPTFE微粒子1を含むコロイド溶液を添加して混練して調製された電極材料ペーストPTFEシート膜14に印刷し、乾燥後、焼成することにより作製することができる。電極材料ペーストを調製する際には、界面活性剤を添加してもよい。

0036

対極12は、ガス透過膜14の表面に、公知の電極材料より作製したペーストを塗布・焼成して形成すればよい。

0037

参照電極13は、電解液20に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体bを有し、設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整してある。

0038

浸漬電位は、金属材料などを水溶液に浸漬したときに、溶存酸素イオンにより酸化還元反応金属材料表面で起こって電位が決まり、この電位を、参照電極13を基準にして測定した電位のことである。本発明の参照電極13で使用する二種の貴金属は浸漬電位が異なるものであれば特に限定されるものではないが、設定電位がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整する。例えば担体bはカーボンであり、二種の貴金属は金および白金とするのがよい。

0039

二種の貴金属の比率を調整は、例えば金および白金を使用した場合は、金は5〜70%、白金は1〜10%、好ましくは、金は20〜50%、白金は5〜10%とするのがよい。

0040

設定電位をゼロになるようにするためには、具体的には、一つの電極上で起こる複数の電気化学反応である混成電位反応によって参照電極13の電位をシフトさせるとよい。これにより、例えば本来は+200mVの電位を印加してガス検知を行うところ、±0mVの電位を印加することでガス検知を行うことができる。

0041

このように設定電位をゼロとすることで、定電位電解式ガスセンサの回路電圧が安定し、センサのゼロ点の変動を抑制することができる。

0042

異なる二種の貴金属を担持させたカーボンを作製する方法は、特に限定されるものではなく、含浸法共沈法など、公知の方法を適宜適用してもよいし、上述したカーボン粉末添加工程、ナノ粒子添加工程、乾燥工程、焼成工程に準じて作製することができる。このとき、ナノ粒子添加工程では、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液および白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を使用すればよい。白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液は、白金ナノ粒子が溶液中に分散している状態となっている。白金ナノ粒子は、上述した金ナノ粒子と同様に約5〜50nm程度の粒径を有する粒子であればよいが、この範囲に限定されるものではない。この場合、5〜50nmの粒子の割合が90重量%以上となるような粒度分布とするのがよい。

0043

本実施形態では設定電位がゼロになるようにしてあるため、ポテンシオスタット回路がショートするように構成してある。

0044

即ち、本構成では、0mVの電位を印加することでガス検知を行うことができるため、電源を設ける必要がなくなる。

0045

〔実施例1〕
本発明の実施例について説明する。
本発明の定電位電解式ガスセンサXにおける反応極11および参照電極13の作製手順を以下に説明する。

0046

参照電極13の作製は、実施例1の反応極11の作製手順に準じた手法で行うことができるため、最初に反応極11の作製手順を以下に説明する。

0047

まず、蒸留水にカーボンブラック(平均粒子径40nm)および界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を添加して撹拌し、一次分散させた(カーボン粉末添加工程)。この一次分散液を超音波ホモジナイザーによって超音波処理(20kHz、600W、15分)することにより、二次分散させた。

0048

この二次分散液をロータリーエバポレータによって脱泡(25℃、10hPa以下)し、金ナノ粒子(粒子径50nm程度)を分散させたコロイド溶液(3重量%金ナノコロイド水溶液、平均粒子径10nm)を添加した(ナノ粒子添加工程)。

0049

コロイド溶液を添加した後、超音波分散機によって超音波処理(100kHz、300W、15分)することにより、カーボン粒子および金ナノ粒子を粒子レベルまで分散させた(三次分散)。

0050

三次分散した懸濁液を、ロータリーエバポレータによって撹拌し、80℃で減圧・加熱乾燥(乾燥工程)し、さらに粉砕して400℃にて焼成(焼成工程)することにより、貴金属担持カーボン2(金担持カーボン)を得た。

0051

この金担持カーボン2の粉末にPTFE微粒子1(平均粒径0.2μm)を含むコロイド溶液を添加して混練して調製された電極材料ペーストをPTFEシート膜(フッ素樹脂膜)14に印刷し、室温にて一昼夜乾燥後、280℃にて焼成することにより反応極11を作製した。

0052

本発明の定電位電解式ガスセンサXにおける参照電極13の作製手順を以下に説明する。上述したように参照電極13の作製は、実施例1の反応極11の作製手順に準じた手法で行うことができる。

0053

ナノ粒子添加工程では、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液および白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を使用した。即ち、実施例1で作製した金担持カーボンを白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液(3重量%白金ナノコロイド水溶液、平均粒子径10nm)に添加した後、乾燥工程および焼成工程を行った。

0054

浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体bの粉末にPTFE微粒子1を含むコロイド溶液を添加して混練して調製された電極材料ペーストをPTFEシート膜(フッ素樹脂膜)14に印刷し、室温にて一昼夜乾燥後、280℃にて焼成することにより参照電極13を作製した。

0055

即ち、本実施例の参照電極13で使用する二種の貴金属の比率は金45%、白金10%となった。

0056

尚、従来の浸漬担持法における焼成の温度は600℃程度とすることがあるが、本発明のように担体bをカーボンとする場合に焼成の温度がこのように高温であると、担体であるカーボンbが燃焼してしまう虞があった。そのため、本実施形態では、400℃にて焼成(焼成工程)を行うため、担体であるカーボンbが燃焼することなく、電極作製時の焼成温度を低く抑えることができる。

0057

〔実施例2〕
本発明の定電位電解式ガスセンサX(4検体)を使用して、ゲルマン1ppmを検知した結果を図4に示した。比較例(2検体)として、従来の定電位電解式ガスセンサを使用して、ゲルマン1ppmを検知した結果も同時に示した。

0058

この結果、本発明の定電位電解式ガスセンサXにおいては、ゲルマンを検知した直後に良好な(急激な)立ち上がりを示し、その後、安定した高い出力を示すセンサ出力を呈した。一方、比較例の定電位電解式ガスセンサでは、ゲルマンを検知した直後の立ち上がりは緩やかであり、低い出力を示すセンサ出力を呈した。これにより、本発明の定電位電解式ガスセンサXは、比較例の定電位電解式ガスセンサに比べて2〜3倍程度の高い感度が得られたと認められた。

0059

〔実施例3〕
本発明の参照電極13で使用する二種の貴金属(金、白金)の比率を変化させた場合に、検知感度がどのように変化するか調べた。
本発明の参照電極13において、二種の貴金属は、5wt.%Pt/[45wt.%Au/C](5PtAu/C:本発明例1)、および、10wt.%Pt/[45wt.%Au/C](10PtAu/C:本発明例2)としたものを使用した。従来の参照電極は、浸漬担持法で作製した金担持カーボン(Au/C:比較例1)を使用した。
ALS社製電気化学アナライザーを使用して、これら電極の電気化学計測を行った。計測は、これら電極と、NHE(対標準水素電極:normal hydrogen electrode)との比を求めることで行った。計測は各電極とも5回行い、計測結果を表1に示した。

0060

0061

また、各電極において、平均、最大、最小のデータをプロットしたグラフを図5に示した。

0062

この結果、本発明例1,2および比較例1については異なる電気化学的性質を有するものと認められた。また、参照電極13で使用する二種の貴金属(金、白金)の比率を変化させた場合であっても、同等の良好な電気化学的性質を有するものと認められた。これにより、センサのゼロ点の変動を抑制することができるため、ガス検知性能に個体差が発生し難くなると認められた。

0063

〔実施例4〕
本発明の参照電極13で使用する二種の貴金属(金、白金)について、参照電極(45wt%Au/C)へ種々の含有量の白金を入れて電位を調整した。白金の含有量は0〜10%まで種々調節した。電位(V)の測定はポテンショスタットHA−151A(電工社製)を使用した。計測は各電極とも5回行い、結果を表2および図6に示した。

0064

0065

この結果、白金の含有量が0%(実施例3:比較例1)の場合は、0.73μAであるのに対して、白金の含有量が1〜10%の場合は、0.80〜0.93μAとなった。この結果、本発明例の参照電極13および比較例1については異なる電気化学的性質(ガス感度特性)を有するものと認められた。

0066

〔実施例5〕
本発明の参照電極13を使用した定電位電解式ガスセンサXによって、各ガスに対する感度について調べた。各ガスに対する感度は、実施例2で使用した従来の定電位電解式ガスセンサについても使用した。使用したガスは、シラン(SiH4)、ホスフィン(PH3)、ゲルマン(GeH4)、アルシン(AsH3)とした。何れのガスも0.5ppmとした。

0067

本発明の参照電極13については、実施例4で示したように、白金の含有量を0〜10%まで種々調節した。それぞれの白金の含有量のときにおいて、電流値を測定した。測定結果を表3に示した。

0068

0069

従来の定電位電解式ガスセンサについて測定した電流値を表4に示した。

0070

0071

また、各ガスにおける本発明の参照電極13を使用した定電位電解式ガスセンサXの電流量、および、従来の定電位電解式ガスセンサの電流量を、ガス毎にグラフ化し、図7(シラン)、図8(ホスフィン)、図9(ゲルマン)、図10(アルシン)にそれぞれ示した。

実施例

0072

この結果、本発明例の参照電極13を使用した定電位電解式ガスセンサXおよび従来の定電位電解式ガスセンサについては、各ガスにおいても異なる電気化学的性質(ガス感度特性)を有するものと認められた。

0073

本発明は、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサに利用できる。

0074

X定電位電解式ガスセンサ
b担体
11反応極
12対極
13参照極
20電解液
30 電解槽

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