図面 (/)
課題
第1ポンプの停止時においても第2ポンプと操舵用モータとの協働によって操舵負荷の増大を抑制し得るパワーステアリング装置を提供する。
解決手段
操舵機構11と、操舵機構に操舵力を付与する第1パワーシリンダC1と、エンジンで駆動される第1ポンプP1と、ポンプ駆動用モータで駆動される第2ポンプP2と、第1ポンプまたは第2ポンプから供給されるオイルを選択的に第1パワーシリンダの第1,第2油圧室X1,X2に供給するロータリバルブ13と、操舵機構の入力軸18に操舵力を付与する操舵用モータM1と、マイクロコンピュータが搭載された制御装置70と、を有するパワーステアリング装置において、制御装置70に、少なくとも第1ポンプが停止状態のときポンプ駆動用モータを駆動するポンプ駆動用モータ制御部75と、少なくとも第1ポンプが停止状態のとき操舵用モータを駆動する操舵用モータ制御部74と、を設けた。
概要
背景
概要
第1ポンプの停止時においても第2ポンプと操舵用モータとの協働によって操舵負荷の増大を抑制し得るパワーステアリング装置を提供する。操舵機構11と、操舵機構に操舵力を付与する第1パワーシリンダC1と、エンジンで駆動される第1ポンプP1と、ポンプ駆動用モータで駆動される第2ポンプP2と、第1ポンプまたは第2ポンプから供給されるオイルを選択的に第1パワーシリンダの第1,第2油圧室X1,X2に供給するロータリバルブ13と、操舵機構の入力軸18に操舵力を付与する操舵用モータM1と、マイクロコンピュータが搭載された制御装置70と、を有するパワーステアリング装置において、制御装置70に、少なくとも第1ポンプが停止状態のときポンプ駆動用モータを駆動するポンプ駆動用モータ制御部75と、少なくとも第1ポンプが停止状態のとき操舵用モータを駆動する操舵用モータ制御部74と、を設けた。
目的
本発明は、従来の実情に鑑みて案出されたもので、第1ポンプの停止時においても第2ポンプと操舵用モータの協働によって運転者の操舵負荷の増大を抑制し得るパワーステアリング装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
ステアリングホイールの操舵操作に伴い回転する入力軸と、前記入力軸とトーションバーを介して接続された出力軸と、前記出力軸の回転を操舵輪に伝達する伝達機構と、を有する操舵機構と、ピストンによって隔成された1対の液圧室を有し、前記操舵機構に操舵アシスト力を付与するパワーシリンダと、車両のエンジンで駆動され、作動液を吐出する第1ポンプと、電動モータであるポンプ駆動用モータで駆動され、作動液を吐出する第2ポンプと、前記入力軸と出力軸の相対回転に応じて前記第1ポンプまたは前記第2ポンプから供給される作動液を選択的に前記パワーシリンダの1対の液圧室に供給するロータリバルブと、前記入力軸に操舵力を付与する電動モータである操舵用モータと、マイクロコンピュータが搭載された制御装置と、前記制御装置に設けられ、前記第1ポンプの駆動状態の信号を受信する第1ポンプ信号受信部と、前記制御装置に設けられ、少なくとも前記第1ポンプが停止状態のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動するポンプ駆動用モータ制御部と、前記制御装置に設けられ、少なくとも前記第1ポンプが停止状態のとき、前記操舵用モータを駆動する操舵用モータ制御部と、を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項2
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、車速が所定値以下のときエンジンを停止させるアイドリングストップ制御期間中、前記ポンプ駆動用モータを駆動可能とし、前記操舵用モータ制御部は、前記アイドリングストップ制御期間中、前記操舵用モータを駆動可能とすることを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項3
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、車両のアクセルペダル操作が行われていないとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動可能とし、前記操舵用モータ制御部は、車両のアクセルペダル操作が行われていないとき、前記操舵用モータを駆動可能とすることを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項4
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記第1ポンプから供給される作動液の供給液圧を検出する圧力センサを備え、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記第1ポンプの前記供給液圧が所定値以下のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動制御し、前記操舵用モータ制御部は、前記第1ポンプの前記供給液圧が前記所定値以下のとき、前記操舵用モータを駆動制御することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項5
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記制御装置は、操舵トルク信号を受信する操舵トルク信号受信部を備え、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記操舵トルク信号に基づき前記ポンプ駆動用モータを駆動制御し、前記操舵用モータ制御部は、前記操舵トルク信号に基づき前記操舵用モータを駆動制御することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項6
請求項5に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、前記操舵用モータ制御部は、前記操舵トルクが第1所定値以上のとき前記操舵用モータを駆動制御し、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記操舵トルクが前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動制御することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項7
請求項5に記載のパワーステアリング装置において、前記制御装置は、操舵速度信号を受信する操舵速度信号受信部を備え、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記操舵トルクの増大または前記操舵速度の上昇に応じて前記ポンプ駆動用モータの回転数が上昇するように前記ポンプ駆動用モータを駆動制御することを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項8
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、操舵機構がストロークエンドにあるとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動しないことを特徴とするパワーステアリング装置。
請求項9
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記第1ポンプから供給される作動液の前記ロータリバルブへの供給と遮断を切り換える切り換えバルブと、前記切り換えバルブと前記ロータリバルブとを接続する1対の油路を備え、前記切り換えバルブは、前記ロータリバルブの回転軸線に対する径方向において前記ロータリバルブの前記径方向外側であって前記ロータリバルブの回転軸線方向において前記ロータリバルブとオーバーラップするように配置され、前記操舵用モータは、前記入力軸周りを包囲するように設けられた中空モータであって、第1スクリュおよび第2スクリュによって前記ハウジングに接続され、前記第1スクリュは、前記ロータリバルブの回転軸線周りの方向において、前記1対の油路の一方側に配置され、前記第2スクリュは、前記ロータリバルブの回転軸線周りの方向において前記1対の油路の他方側に配置されることを特徴とするパワーステアリング装置。
技術分野
0001
本発明は、パワーステアリング装置に関する。
背景技術
0002
従来のパワーステアリング装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
0003
このパワーステアリング装置は、エンジンによって駆動される第1ポンプと、電動モータによって駆動される第2ポンプと、を備える。そして、通常時には第1ポンプのみか、あるいは第1,第2ポンプの両方によって操舵機構に液圧を供給することで操舵をアシストする。また、第1ポンプの失陥時等の第1ポンプによる液圧の供給が期待できない場合には、第2ポンプを駆動させることで操舵アシストを継続するようになっている。
先行技術
0004
特開2013−018379号公報
発明が解決しようとする課題
0005
ところで、近年、自動運転を可能とするために、前記従来のようなパワーステアリング装置の操舵装置に、操舵アシスト力の付与に供する操舵用モータを取り付ける技術が考案されている。このような場合、第1ポンプの失陥時等に操舵用モータについても駆動させ、第2ポンプと操舵用モータの協働によって操舵アシストを継続することが考えられるが、前記従来のパワーステアリング装置には操舵用モータについての記載がなく、当然ながら操舵用モータについては何ら考慮されていない。
0006
本発明は、従来の実情に鑑みて案出されたもので、第1ポンプの停止時においても第2ポンプと操舵用モータの協働によって運転者の操舵負荷の増大を抑制し得るパワーステアリング装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0007
本発明は、とりわけ、操舵機構と、前記操舵機構に操舵アシスト力を付与するパワーシリンダと、エンジンで駆動され、作動液を吐出する第1ポンプと、ポンプ駆動用モータで駆動され、作動液を吐出する第2ポンプと、前記第1ポンプまたは前記第2ポンプから供給される作動液を選択的に前記パワーシリンダの1対の液圧室に供給するロータリバルブと、前記操舵機構の入力軸に操舵力を付与する操舵用モータと、制御装置に設けられ、少なくとも前記第1ポンプが停止状態のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動するポンプ駆動用モータ制御部と、前記制御装置に設けられ、少なくとも前記第1ポンプが停止状態のとき、前記操舵用モータを駆動する操舵用モータ制御部と、を有することを特徴としている。
発明の効果
0008
本発明によれば、第1ポンプの停止時においても第2ポンプと操舵用モータとの協働によって運転者の操舵負荷の増大を抑制することができる。
図面の簡単な説明
0009
本発明に係るパワーステアリング装置を示す概略図である。
本発明に係るパワーステアリング装置本体の縦断面図である。
操舵用モータを取り外して示す図2のA矢視図である。
第1ポンプが作動している場合における液圧回路図である。
第1ポンプが停止している場合における液圧回路図である。
制御装置の演算回路構成を示す制御ブロック図である。
操舵トルクと操舵用モータが出力する操舵アシスト力との関係性を示す図である。
操舵トルクとポンプ駆動用モータの回転数との関係性を示す図である。
制御装置による操舵用モータとポンプ駆動用モータの駆動制御処理の一連の流れを示すフローチャートである。
本発明の第2実施形態に係る制御装置の演算回路構成を示す制御ブロック図である。
操舵トルクと第2ポンプを駆動するためのモータ駆動電流との関係性を示す図である。
操舵速度と第2ポンプの回転数との関係性を示す図である。
操舵速度と第2ポンプの回転数との関係性を示す図である。
本発明の第3実施形態に係る第2ポンプの回転数制御の詳細を示す図である。
実施例
0010
以下、本発明に係るパワーステアリング装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
0011
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係るパワーステアリング装置とこれに適用する液圧回路の構成を示す概略図である。
0012
本実施形態に係るパワーステアリング装置は、図外のステアリングホイールに入力された操舵力を、後述する第1パワーシリンダC1(図2参照)や操舵用モータM1によって増幅させ、主たる転舵輪である図外の第1転舵輪に伝達することで運転者の操舵操作をアシストするパワーステアリング装置本体10と、パワーステアリング装置本体10とは別体に設けられ、前記第1転舵輪とは別異の第2転舵輪の転舵等に供する第2パワーシリンダC2と、車両のエンジンEにより駆動され、後述するロータリバルブ13を介して作動液としてのオイルを各パワーシリンダC1,C2に供給するメインポンプとしての第1ポンプP1と、電動モータであるポンプ駆動用モータM2により駆動され、ロータリバルブ13を介してオイルを各パワーシリンダC1,C2に供給するサブポンプとしての第2ポンプP2と、各パワーシリンダC1,C2に供給するオイルの貯留に供されるリザーバタンクTと、ポンプ駆動用モータM2及び操舵用モータM1の駆動制御に供される制御装置70と、を有する。
0013
リザーバタンクTは、底壁から重力方向上方へ延びるように設けられた仕切り壁TWによって第1貯留部T1と第2貯留部T2とに仕切られている。第1貯留部T1は、主として第1ポンプP1が吸入及び吐出するオイルの貯留に供され、一方、第2貯留部T2は、主として第2ポンプP2が吸入及び吐出するオイルの貯留に供される。また、第1,第2貯留部T1,T2は、リザーバタンクT内に貯留されるオイルの液面が仕切り壁TWの高さよりも高い場合には、オイルを相互に共有する一方、オイルの液面が仕切り壁TWの高さよりも低い場合には、オイルを独立して保持するようになっている。なお、このオイルの液面の高さについては、リザーバタンクTの周壁において仕切り壁TWとほぼ同じ高さ位置に配置された液量センサ71によって検知されるようになっている。
0014
制御装置70は、マイクロコンピュータ等の電子部品を備えて構成され、イグニッションスイッチからのイグニッションオン信号(IGN信号)を受けることで通電状態となる。
0015
制御装置70は、パワーステアリング装置本体10に設けられる後述の第1レゾルバ55から舵角信号θsが入力され、同じくパワーステアリング装置本体10に設けられる後述の第2レゾルバ62から操舵用モータ回転角信号θm1が入力される。また、制御装置70は、ポンプ駆動用モータM2に取り付けられた図外のポンプ駆動用モータ回転角センサからポンプ駆動用モータ回転角信号θm2が入力される。さらに、制御装置70は、液量センサ71から油面の高さを示す油面レベル信号OLが入力されるほか、後述する第1供給通路F1に設けられ、第1ポンプP1からロータリバルブ13に供給されるオイルの供給液圧(供給油圧)を検出する圧力センサ72から供給液圧の高さを示す液圧信号OPが入力されるようになっている。そして、これら各種信号等に基づき、制御装置70は、ポンプ駆動用モータM2や操舵用モータM1の駆動制御をはじめとする各種制御処理を行うようになっている。
0016
図2は、パワーステアリング装置本体10の具体的な構成を示す縦断面図である。
0017
パワーステアリング装置本体10は、いわゆるインテグラル型の液圧パワーステアリング装置に前述した操舵用モータM1を搭載することで、液圧(油圧)とモータトルクとの協働による操舵アシスト制御や自動運転制御等を行えるようにしたものである。
0018
すなわち、パワーステアリング装置本体10は、図外のステアリングホイールの操舵操作に伴い前記第1転舵輪を転舵させる操舵機構11と、操舵機構11の一部を内部に収容するハウジング12と、ハウジング12内に構成された第1パワーシリンダC1及びロータリバルブ13と、第1,第2ポンプP1,P2とロータリバルブ13との接続状態やロータリバルブ13とリザーバタンクTの第1,第2貯留部T1,T2との接続状態の切り換えに供される切り換えバルブ14と、ロータリバルブ13と第2パワーシリンダC2との接続状態を切り換えるシリンダ切換バルブ15(図4参照)と、操舵機構11のハウジング12から露出した部位に取り付けられた操舵用モータM1と、を備えている。
0019
操舵機構11は、一端側がハウジング12外に臨んで前記ステアリングホイールに接続され、他端側がハウジング12内に収容された操舵軸16と、操舵軸16の他端側に接続され、操舵軸16の回転を前記第1転舵輪に伝達する伝達機構17と、を有する。
0020
操舵軸16は、一端側が前記ステアリングホイールに一体回転可能に接続された入力軸18と、一端側が第1トーションバー20(本発明に係るトーションバーに相当)を介して入力軸18の他端側に相対回転可能に接続された出力軸19と、を備えている。
0021
入力軸18は、前記ステアリングホイールに直接的に接続された一端側の第1入力軸21と、第1入力軸21に第2トーションバー23を介して相対回転可能に接続された他端側の第2入力軸22と、から構成されている。第1入力軸21は、中空状に形成され、内部に第2トーションバー23の大部分を収容している。また、第1入力軸21は、前記ステアリングホイール側の一端部に比べて他端部が小径に形成され、他端部が第2入力軸22の前記ステアリングホイール側の一端部に形成された開口凹部22a内に収容されている。さらに、第1入力軸21の他端部外周面と第2入力軸22の開口凹部22aの内周面との間には、2つのニードルベアリング24,24が設けられている。これらニードルベアリング24,24を介して、第1入力軸21は第2入力軸22に回転可能に支持されている。
0022
出力軸19は、中空状に形成され、内部に第1トーションバー20の大部分を収容している。また、出力軸19は、入力軸18側の一端部が他端部よりも大径に形成され、一端部の内部に第2入力軸22の他端部を収容している。
0023
第1トーションバー20は、その捩れ方向や捩れ角に応じて後述するロータリバルブ13の流路や流路断面積を変動させる機能を有している。一方、第2トーションバー23は、図2に図示しないトルクセンサ78(図6参照)用のトーションバーとして構成されており、トルクセンサ78は、この第2トーションバー23の捩れ量に応じて操舵トルクを検出するようになっている。
0024
伝達機構17は、出力軸19に入力された操舵力(回転力)を操舵軸16の回転軸線X方向への移動力に変換するボールねじ機構25と、ボールねじ機構25が変換した移動力に基づき回転するセクタシャフト26と、を備えている。
0025
ボールねじ機構25は、外周に螺旋溝であるボール溝25aが形成されたねじ軸としての出力軸19と、出力軸19の外周側に配置され、内周にボール溝25aに対応するボール溝25bが形成されたナットとしてのピストン29と、両ボール溝25a,25b内に収容された複数のボール25cと、を有する。ピストン29は、外周のセクタシャフト26と面する部位に歯部29aが形成されている。
0026
セクタシャフト26は、操舵軸16の回転軸線Xにほぼ直交するように配置されている。また、セクタシャフト26は、その軸線方向の一端部外周にピストン29の歯部29aと噛み合い可能な歯部26aが形成されている一方、他端部に伝達機構の一部である図外のピットマンアームが接続されている。このピットマンアームは、セクタシャフト26の回転に伴い車体の幅方向へ引っ張られることで、前記第1転舵輪の向きを適宜変更するようになっている。
0027
ハウジング12は、前記ステアリングホイール側の一端側が開口する第1ハウジング27と、第1ハウジング27の一端開口を閉塞するように設けられ、内部に後述のロータリバルブ13を収容する第2ハウジング28と、を備えている。なお、第1ハウジング27と第2ハウジング28は、操舵軸16の回転軸線Xに対する周方向の所定位置に配置される図外の複数のボルトをもって互いに締結されている。
0028
第1ハウジング27は、操舵軸16の回転軸線X方向に沿って形成され、内部にピストン29が収容されるほぼ円筒状のシリンダ部27aと、シリンダ部27aとほぼ直交し、かつ一部がシリンダ部27aへ臨むように形成され、内部にセクタシャフト26が収容されるシャフト収容部27bと、を有する。
0029
第1パワーシリンダC1は、第1ハウジング27のシリンダ部27aと、シリンダ部27aの内部に収容されたピストン29と、によって構成されている。
0030
ピストン29は、ボビン状を呈し、回転軸線X方向における前記ステアリングホイールに近い側の一端部29bと遠い側の他端部29cとが、それぞれシリンダ部27aの内径よりも僅かに小さな外径に形成されている。これにより、ピストン29がシリンダ部27a内において安定した姿勢に維持されるようになっている。また、ピストン29の他端部29c外周には、円環状のシール部材29dが装着されている。そして、このシール部材29dによって、シリンダ部27aの内部空間が、シール部材29dよりも前記ステアリングホイール側の第1油圧室X1と、前記ステアリングホイールから離間した側の第2油圧室X2と、に仕切られている。すなわち、第1パワーシリンダC1が、シリンダ部27a内においてピストン29によって仕切られた一対の液圧室である第1,第2油圧室X1,X2を有するようになっている。
0031
第1パワーシリンダC1は、第1油圧室X1または第2油圧室X2にオイルが供給されると、両油圧室X1,X2間の差圧を操舵アシスト力として操舵機構11の一部でもあるピストン29に付与する。なお、この際、シャフト収容部27bには第1油圧室X1内のオイルが導かれる構成となっており、第1油圧室X1へのオイルの供給に際して歯部26a,29a間が潤滑されるようになっている。
0032
ロータリバルブ13は、第2入力軸22と出力軸19との相対回転に基づく第1トーションバー20の捩れ量に応じて開弁し、第1パワーシリンダC1の各油圧室X1,X2等へのオイルの供給または排出を行う。
0033
具体的には、ロータリバルブ13は、前記ステアリングホイールが任意の一方向へ操舵された場合、出力軸19に貫通形成された第1連通路30を介して第1油圧室X1にオイルを供給し、第2油圧室X2からは第1,第2ハウジング28に跨って設けられた第2連通路31を介してオイルを排出する。一方、前記ステアリングホイールが他方向へ操舵された場合には、第2油圧室X2に第2連通路31を介してオイルを供給し、第1油圧室X1からは第1連通路30を介してオイルを排出するようになっている。
0034
図3は、操舵用モータM1を取り外して示す図2のA矢視図である。なお、この図3では、切り換えバルブ14とシリンダ切換バルブ15にかかる部位が一部断面して示されており、以下では、この図3に基づき両バルブ14,15を詳細に説明する。
0035
切り換えバルブ14は、長手方向の一端側が開口し、他端側が閉塞された弁体収容穴33を有するバルブボディ32と、弁体収容穴33の一端開口を閉塞するプラグ34と、弁体収容穴33の内部に軸方向に沿って移動可能に収容され、その軸方向位置に応じて外周部に設けられたランド部をもって後述する各ポートの連通状態を切り換えるスプール状の弁体35と、弁体収容穴33の底部と弁体35との間に設けられ、弁体35をプラグ34側へ常時付勢するバルブスプリング36と、を備えており、第1ポンプP1から供給されるオイルの油圧をパイロット圧として切換作動する。
0036
バルブボディ32は、ロータリバルブ13の側方にて第2ハウジング28に結合されている。これにより、切り換えバルブ14は、ロータリバルブ13の回転軸線(操舵軸16の回転軸線Xと同軸であるから、以下では同様に回転軸線Xと呼ぶ。)に対する径方向においてロータリバルブ13の径方向外側であって、かつ回転軸線X方向においてロータリバルブ13とオーバーラップするように配置されるようになっている。
0037
また、バルブボディ32の側部には、第1ポンプP1からのオイルを弁体収容穴33内に導入する第1ポンプ接続ポートPC1と、第2ポンプP2からのオイルを弁体収容穴33内に導入する第2ポンプ接続ポートPC2と、第1,第2ポンプP1,2の一方または両方から供給されたオイルをロータリバルブ13内に導入用油路37を介して導く導入ポートIPと、排出用油路38を介してロータリバルブ13から排出されたオイルを弁体収容穴33内に導く排出ポートXPと、弁体収容穴33内のオイルをリザーバタンクTの第1貯留部T1へ環流する第1タンク接続ポートTC1と、弁体収容穴33内のオイルをリザーバタンクTの第2貯留部T2へ環流する第2タンク接続ポートTC2と、がそれぞれ貫通形成されている。
0038
ここで、導入用油路37と排出用油路38について具体的に説明すると、これら両油路37,38は、本発明に係る一対の油路に相当するものであって、それぞれ第2ハウジング28に対して回転軸線Xの径方向に沿うように貫通形成されている。また、これら両油路37,38は、第2ハウジング28に操舵用モータM1を接続するための第1〜第4スクリュ39a〜39dのうち、切り換えバルブ14側の2つの第1,第2スクリュ39a,39bとの間にそれぞれ配置されるようになっている。換言すれば、第1スクリュ39aは、回転軸線X周りの方向において、両油路37,38の一方側に配置され、第2スクリュ39bは、回転軸線X周りの方向において、両油路37,38の他方側に配置されるようになっている。
0039
シリンダ切換バルブ15も、切り換えバルブ14と同様に、長手方向の一端側が開口し、他端側が閉塞された弁体収容穴41を有するバルブボディ40と、弁体収容穴41の一端開口を閉塞するプラグ42と、弁体収容穴41の内部に軸方向に沿って移動可能に収容され、その軸方向位置に応じて外周部に設けられたランド部をもって後述する各ポートの連通状態を切り換えるスプール状の弁体43と、弁体収容穴41の底部と弁体43との間に設けられ、弁体43をプラグ42側へ常時付勢するバルブスプリング44と、を備えており、第1ポンプP1から供給されるオイルの油圧をパイロット圧として切換作動する。
0040
バルブボディ40は、切り換えバルブ14のバルブボディ32と同様に、ロータリバルブ13の側方にて第2ハウジング28に結合されている。これにより、シリンダ切換バルブ15も、回転軸線Xに対する径方向においてロータリバルブ13の径方向外側であって、かつ回転軸線X方向においてロータリバルブ13とオーバーラップするように配置されるようになっている。
0041
また、バルブボディ40の側部には、ロータリバルブ13に接続される2つの第1,第2バルブ接続ポートBC1,BC2と、第2パワーシリンダC2の有する一対の液圧室である第1,第2油圧室Y1,Y2(図1及び図4参照)のうち第1油圧室Y1に接続される第1シリンダ接続ポートCC1と、第2パワーシリンダC2の第2油圧室Y2に接続される第2シリンダ接続ポートCC2と、がそれぞれ貫通形成されている。
0043
図4は、第1ポンプP1が作動している場合における液圧回路図である。
0044
すなわち、この状態では、第1ポンプP1が供給するオイルの油圧が切り換えバルブ14にパイロット圧として作用することから、この油圧に基づき弁体35がバルブスプリング36のばね力に抗してプラグ34と反対側の第1位置へ移動する。
0045
そうすると、第1,第2ポンプ接続ポートPC1,PC2が導入ポートIPと接続されることとなるため、運転状態に応じて第1ポンプP1のみか、あるいは第1,第2ポンプP1,P2の両方によって吐出されるオイルが第1,第2供給通路F1,F2や切り換えバルブ14内を通じてロータリバルブ13に供給されることとなる。そして、前記操舵操作に基づいたロータリバルブ13の開弁状態に応じ、ロータリバルブ13からは第1パワーシリンダC1の油圧室X1,X2のうち一方の油圧室にオイルが供給される一方、他方の圧力室からはオイルが排出されることとなる。ここで、切り換えバルブ14においては、弁体35が第1位置にあることで、排出ポートXPが第1タンク接続ポートTC1と接続されることとなる。このため、第1パワーシリンダC1から排出されたオイルは、その全てが第1タンク接続ポートTC1を介しつつ第1環流通路R1を通じてリザーバタンクTの第1貯留部T1へと環流されることとなる。
0046
また、第1ポンプP1が作動している状態では、第1ポンプP1が供給するオイルの油圧がシリンダ切換バルブ15にもパイロット圧として作用することから、シリンダ切換バルブ15についても、この油圧に基づき弁体43がバルブスプリング44のばね力に抗してプラグ42と反対側の第1位置へ移動することとなる。
0047
そうすると、第1バルブ接続ポートBC1が第1シリンダ接続ポートCC1と接続され、第2バルブ接続ポートBC2が第2シリンダ接続ポートCC2と接続されることとなる。これにより、前記操舵操作に基づいたロータリバルブ13の開弁状態に応じ、ロータリバルブ13からは第2パワーシリンダC2の油圧室Y1,Y2のうち一方の油圧室にオイルが供給される一方、他方の圧力室からはオイルが排出され、リザーバタンクTの第1貯留部T1へと環流されることとなる。
0048
図5は、第1ポンプP1が停止している場合における液圧回路図である。
0049
すなわち、この状態では、第1ポンプP1から切り換えバルブ14にオイルが供給されなくなることから、弁体35がバルブスプリング36のばね力によってプラグ34側の第2位置へ移動する。
0050
そうすると、第1ポンプ接続ポートPC1と導入ポートIPとの連通が遮断される一方、第2ポンプ接続ポートPC2と導入ポートIPとは接続された状態が維持されることなる。このため、ロータリバルブ13には、第2ポンプP2によって吐出されるオイルのみが第2供給通路F1や切り換えバルブ14内を通じて供給されることとなる。そして、前記操舵操作に基づいたロータリバルブ13の開弁状態に応じ、ロータリバルブ13からは第1パワーシリンダC1の油圧室X1,X2のうち一方の油圧室にオイルが供給される一方、他方の圧力室からはオイルが排出されることとなる。ここで、切り換えバルブ14においては、弁体35が第2位置にあることで、排出ポートXPが第2タンク接続ポートTC2と接続されることとなる。このため、第1パワーシリンダC1から排出されたオイルは、その全てが第2タンク接続ポートTC2を介しつつ第2環流通路R2を通じてリザーバタンクTの第2貯留部T2へと環流されることとなる。
0051
なお、この第1ポンプP1の停止時においては、シリンダ切換バルブ15についても、パイロット圧が導入されないことから、弁体43がバルブスプリング44のばね力に抗してプラグ42側の第2位置へ移動することとなる。
0052
そうすると、第1バルブ接続ポートBC1と第1シリンダ接続ポートCC1との連通が遮断されると共に、第2バルブ接続ポートBC2と第2シリンダ接続ポートCC2との連通も遮断されることから、ロータリバルブ13と第2パワーシリンダC2の油圧室Y1,Y2との連通が遮断される。すなわち、第1ポンプP1の停止状態においては、第2パワーシリンダC2は作動せず、この第2パワーシリンダC2による操舵アシストは行われないこととなる。
0053
操舵用モータM1は、図2に戻って説明すると、入力軸18周りを包囲するように設けられた中空モータでかつ、いわゆる3相交流式のブラシレスモータであって、操舵アシスト力の生成に供されるモータ要素と、該モータ要素を内部に収容するモータハウジング45と、を有する。
0054
前記モータ要素は、第2入力軸22に結合部材48を介して一体回転可能に固定された円筒状のモータロータ46と、モータロータ46の外周側に所定隙間を介して配置された円筒状のモータステータ47と、を備える。
0055
モータハウジング45は、ハウジング12側に向かって開口し、内部に前記モータ要素を収容する有蓋円筒状の第1モータハウジング構成部49と、第1モータハウジング構成部49の開口部を閉塞する円板状の第2モータハウジング構成部50と、を有する。これら第1,第2モータハウジング構成部49,50は、共にアルミニウム合金など所定の金属材料により構成されている。
0056
第1モータハウジング構成部49は、筒状部49aの内径がモータステータ47の外径とほぼ同一となるように形成され、内周にモータステータ47が圧入や焼き嵌め等により固定されている。
0057
また、第1モータハウジング構成部49は、開口部の外周側にフランジ部49bを有し、このフランジ部49bが円板状のアダプタ部材51にボルト52によって締結固定されている。ここで、アダプタ部材51は、ボルト53によってハウジング12の第2ハウジング28とも締結固定されている。したがって、第1モータハウジング構成部49は、アダプタ部材51を介して第2ハウジング28に固定されるようになっている。
0058
第1モータハウジング構成部49の蓋部49cには、結合部材48(操舵軸16)を挿入する挿入孔が形成されていると共に、この挿入孔の内周面と結合部材48の外周面との間には第1ボールベアリング54が設けられている。
0059
また、蓋部49cよりも前記ステアリングホイール側の部位には、第1レゾルバ55が配置されている。
0060
第1レゾルバ55は、第1入力軸21の外周に一体回転可能に固定された円環状のレゾルバロータ55aと、レゾルバロータ55aの外周側に所定隙間を隔てて配置された円環状のレゾルバステータ55bと、を有する。そして、レゾルバステータ55bによってレゾルバロータ55aの回転位置を検出することで、第1入力軸21の回転角、すなわち前記ステアリングホイールの舵角を検出するようになっている。なお、この検出された前記ステアリングホイールの舵角の信号である舵角信号θsは、第1センサハーネス56を介して制御装置70に送信されるようになっている。
0061
また、第1レゾルバ55は、カバー部材57によって覆われている。このカバー部材57は、第1モータハウジング構成部49にボルト58によって締結固定されている。また、カバー部材57の軸心位置には、第1入力軸21を挿入する挿入孔が形成されていると共に、この挿入孔と第1入力軸21との間には、第1入力軸21を回転可能に支持する第2ボールベアリング59と、挿入孔と第1入力軸21の間をシールするシール部材60と、が設けられている。
0062
第2モータハウジング構成部50は、その軸心位置に結合部材48(操舵軸16)を挿入する挿入孔が形成されていると共に、この挿入孔の内周面と結合部材48の外周面との間には、第3ボールベアリング61が設けられている。
0063
また、第2モータハウジング構成部50のハウジング12側の部位には、第2レゾルバ62が配置されている。第2レゾルバ62は、結合部材48を介して第2入力軸22の外周に一体回転可能に固定された円環状のレゾルバロータ62aと、レゾルバステータ62aの外周側に所定隙間を隔てて配置された円環状のレゾルバステータ62bと、を有する。そして、レゾルバステータ62bによってレゾルバロータ62aの回転位置を検出することで、第2入力軸22の回転角を検出するようになっている。なお、この第2入力軸22の回転角は、操舵用モータM1のモータロータ46の回転角と同等である。よって、第2レゾルバ62は、モータロータ46の回転角であるモータ回転角を検出するモータ回転角センサとしても機能する。なお、この検出されたモータ回転角(第2入力軸22の回転角)の信号であるモータ回転角信号θm1は、第2センサハーネス63を介して制御装置70に送信されるようになっている。
0064
図6は、制御装置70の演算回路構成を示す制御ブロック図である。
0065
制御装置70は、マイクロコンピュータ内に、第1ポンプP1の駆動状態を判断する第1ポンプ駆動状態判断部73と、操舵用モータM1を駆動制御する操舵用モータ制御部74と、ポンプ駆動用モータM2を駆動制御するポンプ駆動用モータ制御部75と、を有している。また、この他にも、制御装置70のマイクロコンピュータ内には、操舵機構11がストロークエンドにあるか否かを判断するストロークエンド判断部76や、トルクセンサ78から操舵トルク信号Trを受信する操舵トルク信号受信部77等が設けられている。
0066
第1ポンプ駆動状態判断部73は、車両がアイドリングストップ制御期間中であるか否かを判断するアイドリングストップ判断部79と、車両のアクセルペダル(図外)の操作がオフ状態であるか否かを判断するアクセルオフ判断部80と、第1ポンプP1の供給油圧(吐出圧)が所定値以下であるか否かを判断する液圧低下判断部81と、これら各判断部79,80,81の判断結果に基づき第1ポンプP1が停止状態にあるか否かを判断する最終判断部82と、を備えている。
0067
アイドリングストップ判断部79は、CAN(Controller Area Network)通信等により取得した車速信号Vsまたはエンジン回転数信号Neに基づき車両がアイドリングストップ制御期間中であるか否かを判断する。
0068
より詳しくは、アイドリングストップ判断部79は、車速信号Vsあるいはエンジン回転数信号Neが、それぞれ予め設定された所定値以下である場合に、エンジン回転数Neに基づき判断する場合にはエンジン回転数信号Neが所定回転数以下である場合に、エンジンEがアイドリングストップ制御期間中であると判断する。そして、アイドリングストップ判定信号SigAを最終判断部82に出力する。
0069
アクセルオフ判断部80は、CAN通信等により取得したアクセル開度信号AOが0である場合に、車両のアクセルペダル操作がオフ状態であると判断し、アクセルオフ判定信号SigBを最終判断部82に出力する。
0070
液圧低下判断部81は、圧力センサ72から送信される液圧信号OPが所定値以下である場合に、第1ポンプP1が供給する液圧が低下しているものと判断し、液圧低下判定信号SigCを最終判断部82に出力する。
0071
最終判断部82は、前段の判断部79,80,81からアイドリングストップ判定信号SigA、アクセルオフ判定信号SigBまたは液圧低下判定信号SigCが入力された場合に、第1ポンプP1が停止状態にあると判断する。そして、第1ポンプP1が停止状態であることを示す第1ポンプ停止信号SigDを、操舵用モータ制御部74とポンプ駆動用モータ制御部75と、に出力する。
0072
操舵用モータ制御部74は、操舵用モータM1の駆動制御に必要な操舵用モータトルク指令Tm1*を演算する操舵用モータトルク指令演算部83と、操舵用モータトルク指令Tm1*に基づき操舵用モータM1を駆動制御する操舵用モータ駆動部84と、を備える。
0073
一方、ポンプ駆動用モータ制御部75は、ポンプ駆動用モータM2の駆動制御に必要なポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*を演算するポンプ駆動用モータトルク指令演算部85と、操舵用モータトルク指令Tm*2に基づきポンプ駆動用モータM2を駆動制御するポンプ用モータ駆動部86と、を備える。
0074
両モータトルク指令演算部83,85は、第1ポンプP1の駆動状態を示す信号である第1ポンプ停止信号SigDを受信する第1ポンプ信号受信部として機能するようになっている。そして、この受信した第1ポンプ停止信号SigDに基づき第1ポンプP1の駆動状態を考慮しつつ、操舵トルク信号受信部77が受信した操舵トルク信号Trに基づきそれぞれモータトルク指令Tm1*,Tm2*を演算するようになっている。
0075
すなわち、第1ポンプP1が駆動されている状態においては、第1ポンプP1が供給するオイルの油圧に基づき必要な操舵アシスト力の大部分が生成されることとなる。よって、両モータトルク指令演算部83,85は、第1ポンプP1が供給する油圧では賄い切れない操舵アシスト力の一部を補填可能なモータトルク指令Tm1*,Tm2*を、操舵トルク信号Trに基づき算出することとなる。なお、第1ポンプP1が供給する油圧によって操舵アシスト力を殆ど賄えるような状態では、モータトルク指令Tm1*,Tm2*の両方あるいは何れか一方を0とすることも可能である。
0076
以下、第1ポンプP1が駆動されている状態において算出される操舵用モータトルク指令Tm1*及びポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*を、便宜上、「操舵用モータトルク指令Tm1*(A)」及び「ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(A)」と呼称する。
0077
一方、第1ポンプP1の停止時、すなわち最終判断部82から両モータトルク指令演算部83,85に第1ポンプ停止信号SigDが入力されている場合には、第1ポンプP1が操舵機構11に油圧を供給しておらず、この油圧に基づく操舵アシスト力が期待できない。よって、両モータトルク指令演算部83,85は、第2ポンプP2が供給する油圧と操舵用モータM1が出力するモータトルクとによって必要な操舵アシスト力を全て賄えるようなモータトルク指令Tm1*,Tm2*を、操舵トルク信号Trに基づき算出することとなる。
0078
以下、第1ポンプP1の停止状態において算出される操舵用モータトルク指令Tm1*及びポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*を、便宜上、「操舵用モータトルク指令Tm1*(B)」及び「ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)」と呼称する。
0079
より詳しくは、操舵用モータトルク指令演算部83は、第1ポンプP1の停止時において、操舵トルク信号Trの値が第1所定値である第1トルクT1以上となった場合に操舵用モータトルク指令Tm1*(B)の演算を開始する。なお、このとき算出される操舵用モータトルク指令Tm1*(B)は、操舵トルク信号Trの上昇に伴い漸次大きくなるように設定されている。
0080
これにより、第1ポンプP1の停止時においては、前記ステアリングホイールに入力される操舵トルクに対して操舵用モータM1が出力する操舵アシスト力が、図7に示すような関係性を有するようになっている。換言すれば、操舵用モータ制御部74は、操舵トルクの上昇に応じて操舵用モータM1が出力する操舵アシスト力が上昇するように操舵用モータM1を駆動制御するようになっている。
0081
一方、ポンプ駆動用モータトルク指令演算部85は、第1ポンプP1の停止時において、操舵トルク信号Trの値が第1トルクT1よりも大きな第2所定値である第2トルクT2以上となった場合に、ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)の演算を開始する。なお、このとき算出されるポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)は、操舵トルク信号Trの上昇に伴い漸次大きくなるように設定されている。
0082
これにより、第1ポンプP1の停止時においては、前記ステアリングホイールに入力される操舵トルクに対するポンプ駆動用モータM2の回転数Nm2が、図8に示すような関係性を有するようになっている。換言すれば、ポンプ駆動用モータ制御部75は、操舵トルク信号Trの上昇に応じてポンプ駆動用モータM2の回転数Nm2が上昇するようにポンプ駆動用モータM2を駆動制御するようになっている。
0083
なお、図8では、操舵トルク信号Trの値が第2トルクT2未満の領域においてもポンプ駆動用モータM2が一定数回転するようになっているが、これはあくまで第2ポンプP2の始動性を向上させるためのアイドリングによるものであり、ポンプ駆動用モータM2が駆動制御したものには含まれない。また、この第2ポンプP2のアイドリング機能は必須の機能ではなく、このため、操舵トルク信号Trの値が第2トルクT2未満の領域におけるポンプ駆動用モータM2を完全に0とすることも可能である。
0084
また、ポンプ駆動用モータ制御部75は、第1ポンプP1の停止時において、ストロークエンド判断部76によって操舵機構11がストロークエンドにあると判断された場合には、ポンプ駆動用モータM2を駆動制御しないようになっている。
0085
ストロークエンド判断部76は、第1レゾルバ55により検出された舵角の信号である舵角信号θsを受信し、この舵角信号θsがストロークエンドに近い所定舵角以上である場合に、操舵機構11がストロークエンドにあると判断する。そして、ストロークエンド判定信号SigEをポンプ駆動用モータ制御部75に出力するようになっている。
0086
次に、図9に示すフローチャートに基づいて、本実施形態の制御装置70による操舵用モータM1とポンプ駆動用モータM2の駆動制御処理について具体的に説明する。
0087
本フローでは、まず、液圧低下判断部81に第1ポンプP1の供給油圧を示す液圧信号OPを取り込んだ後(ステップS101)、この取り込んだ液圧信号OPが所定圧力OPx以上であるか否かを判断する(ステップS102)。ここで、Yesと判断された場合には、第1ポンプP1が停止または第1ポンプP1による正常なオイル供給が行われていないものとして、続くステップS112に移行する。
0088
一方、ステップS102においてNoと判断された場合には、続いてアクセルオフ判断部80にアクセル開度信号AOを取り込んだ後(ステップS103)、この取り込んだアクセル開度信号AOが0であるか否かを判断する(ステップS104)。ここで、Yesと判断された場合には、第1ポンプP1がアクセルオフに伴う停止状態にあるものとして続くステップS112に移行する。
0089
一方、ステップS104においてNoと判断された場合には、続いてアイドリングストップ判定部79に車速信号Vsを取り込んだ後(ステップS105)、この取り込んだ車速信号Vsが所定車速Vx以下であるか否かを判断する。ここで、Yesと判断された場合には、第1ポンプP1がエンジンEのアイドリングストップに伴う停止状態にあるものとして続くステップS112に移行する。なお、本フローでは、ステップS104で取り込んだ車速信号Vsに基づき、ステップS105で第1ポンプP1がエンジンEのアイドリングストップに伴う停止状態にあるかを判断しているが、ステップS104で取り込む信号をエンジン回転数Neに置き換えても同様の判断を行うことができる。この場合、ステップS105では、取り込んだエンジン回転数Neが所定回転数Nx以下である場合に、第1ポンプP1がエンジンEのアイドリングストップに伴う停止状態にあると判断することとなる。
0090
一方、ステップS106においてNoと判断された場合には、第1ポンプP1が正常に駆動されているものとして、トルクセンサ78から操舵トルク信号受信部77を介して操舵トルク信号Trを取り込んだ後(ステップS107)、この取り込んだ操舵トルク信号Trに基づき操舵用モータトルク指令Tm*(A)及びポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(A)を演算する(ステップS108,S109)。そして、これらモータトルク指令Tm1*(A),Tm2*(A)に基づいて操舵用モータM1とポンプ駆動用モータM2とを駆動制御することをもって(ステップS110,S111)、本プログラムが終了する。
0091
ステップS112に移行した場合、第1ポンプP1は停止状態にあるか、または操舵機構11に対して正常にオイル供給が行えない異常状態にあると考えられる。そのため、ステップS112からステップS119までの一連のフローでは、第1ポンプP1停止時における操舵用モータトルク指令Tm1*(B)及びポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)を適宜演算することとなる。
0092
すなわち、この一連のフローにおいては、まず、操舵トルク信号Trを取り込んだ後(ステップS112)、この取り込んだ操舵トルク信号Trの値が第1トルクT1以上であるか否かを判断する(ステップS113)。ここでNoと判断された場合には、第1ポンプP1停止時における操舵用モータトルク指令Tm1*(B)及びポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)を演算することなく、両モータトルク指令Tm1*(B),Tm1*(B)を0としてステップS110に移行する。この場合、操舵用モータM1とポンプ駆動用モータM2とが駆動されることなく、本プログラムが終了する。
0093
一方、ステップS113においてYesと判断された場合には、ステップS114において第1ポンプP1の停止時における操舵用モータトルク指令Tm1*(B)を演算した後、ステップS115に移行する。
0094
ステップS115では、操舵トルク信号Trの値が第1トルクT1よりも大きな第2トルクT2以上であるか否かを判断する。ここでNoと判断された場合には、ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)を演算することなく、ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)を0としてステップS110に移行する。この場合、操舵用モータM1は第1ポンプP1停止時における操舵用モータトルク指令Tm1*(B)に基づき駆動制御されるが、ポンプ駆動用モータM2については駆動されることなく、本プログラムが終了する。
0095
一方、ステップS115でYesと判断された場合には、第1ポンプP1の停止時におけるポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*を演算し(ステップS116)、ストロークエンド判定部76に第1レゾルバ55が出力する舵角信号θsを取り込んだ後(ステップS117)、ステップS118に移行する。
0096
ステップS118では、ステップS117で取り込んだ舵角信号θsが所定角度θx以上であるか否かを判断する。ここでYesと判断された場合には、操舵機構11がストロークエンドにあるとして、ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)を0とした後(ステップS119)、ステップS110に移行する。この場合、操舵用モータM1は第1ポンプP1停止時における操舵用モータトルク指令Tm1*(B)に基づき駆動制御されるが、ポンプ駆動用モータM2については駆動されることなく、本プログラムが終了する。
0097
一方、ステップS118においてNoと判断された場合には、ポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)を0とすることなく、そのままステップS110に移行する。この場合、操舵用モータM1は、第1ポンプP1停止時における操舵用モータトルク指令Tm1*(B)に基づき駆動制御され、ポンプ駆動用モータM2は、第1ポンプP1停止時におけるポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)に基づき駆動制御されることとなる。
〔本実施形態の作用効果〕
従来のパワーステアリング装置のような、エンジンによって駆動される第1ポンプが失陥等により停止した場合に、操舵用モータによって第2ポンプを駆動させることで操舵アシストを継続するような構成では、サブポンプである第2ポンプはメインポンプである第1ポンプよりも小容量なものである場合が多い。そして、このような場合、第1ポンプが停止してしまうと、それまで第1ポンプが出力していた油圧を第2ポンプでは賄いきれず、操舵アシスト力が不足することで運転者の操舵負荷が増大してしまうおそれがある。
0098
これに対して、本実施形態では、第1ポンプP1の停止時に、操舵機構11に対して第2ポンプP2が供給する油圧に基づく操舵アシスト力のみならず、操舵用モータM1が出力するモータトルクに基づく操舵アシスト力についても付与するようにした。すなわち、第1ポンプP1の停止時における操舵アシスト力の付与に際して、自動運転等の観点等から設けられた操舵用モータM1のモータトルクについても考慮するようにした。
0099
したがって、本実施形態によれば、第1ポンプP1の停止時においても、第2ポンプP2と操舵用モータM1とによって操舵機構11に十分な操舵アシスト力を付与できることから、運転者にかかる操舵負荷の増大を抑制することができる。
0100
また、本実施形態では、エンジンEがアイドリングストップ制御期間中である場合に、ポンプ駆動用モータM2及び操舵用モータM1を駆動可能とした。これにより、アイドリングストップ制御期間中に据え切りを行う必要がある場合等においても、その操舵操作(据え切り操作)に対してアシスト制御を行うことが可能となる。
0101
さらに、本実施形態では、車両のアクセルペダル操作が行われていない場合についても、ポンプ駆動用モータM2及び操舵用モータM1を駆動可能とした。これにより、アクセルオフに伴うエンジン停止時においてもアシスト制御を行うことが可能となる。すなわち、停車中は勿論のこと、高速走行時や下り坂を走行している際の惰性走行中においても操舵機構11に操舵アシスト力を付与することができる。
0102
また、本実施形態では、第1ポンプP1から供給されるオイルの油圧を検出する圧力センサ72を設け、この圧力センサ72が算出する液圧信号OPが所定値OPx以下のときにポンプ駆動用モータM2及び操舵用モータM1を駆動制御するようにした。これにより、第1ポンプP1が単純に停止している場合は勿論のこと、第1ポンプP1から吐出されたオイルが流れる配管に破損が生じた場合等の第1ポンプP1による正常なオイル供給が行われていない場合においても操舵機構11に操舵アシスト力を付与できる。
0103
さらに、本実施形態では、前記ステアリングホイールに入力される操舵トルクが大きいほど要求される操舵アシスト力が大きくなることに着目し、ポンプ駆動用モータM2及び操舵用モータM1を、それぞれ操舵トルクに基づき駆動制御するようにした。これにより、操舵トルクの大きい高負荷時においても、十分な操舵アシスト力を操舵機構11に付与することができ、もって運転者の操舵負荷を効果的に低減することができる。また、操舵トルクの小さい低負荷時においては、ポンプ駆動用モータM2及び操舵用モータM1の回転数を抑えることができるため、省エネルギ化を図ることも可能となる。
0104
ところで、一般に、モータトルクによる操舵アシストと油圧による操舵アシストとでは、前者は出力が小さいが応答性が良く、後者は応答性で劣るが出力が大きい傾向にあることが知られている。
0105
そこで、本実施形態では、操舵用モータM1については操舵トルク信号Trの値が第1トルクT1以上となった場合に駆動を開始するように制御し、ポンプ駆動用モータM2については操舵トルク信号Trの値が第1トルクT1よりも大きな第2トルクT2以上となった場合に駆動を開始するようにした。これにより、低負荷時における高応答性と、高負荷時における大出力による操舵アシスト力の付与とを両立することができる。
0106
また、本実施形態では、操舵用モータ制御部74を、操舵機構11がストロークエンドにあるときはポンプ駆動用モータM2を駆動しないようにした。これにより、ストロークエンドにおいて無用な操舵力付与が行われるのを抑制できることから、省エネルギ化を図り、もって燃費性能を向上させることができる。また、ストロークエンド時に前記ステアリングホイールを切り込もうとすると、転舵輪の反力が第1,第2パワーシリンダC1,C2に反映され、操舵違和感が生じるおそれがあるが、本実施形態では、このような操舵違和感についても十分に低減することが可能となる。
0107
さらに、本実施形態では、操舵用モータM1と第2ハウジング28とを接続する第1〜第4スクリュ39a〜39dのうち切り換えバルブ14に近接して配置される第1,第2スクリュ39a,39bを、回転軸線X周りの方向において、導入用油路37と排出用油路38の一方側と他方側にそれぞれ配置するようにした。これにより、第1,第2スクリュ39a,39bと両油路37,38との干渉を抑制することができる。
0108
〔第2実施形態〕
図10に示す本発明の第2実施形態は、基本構成は第1実施形態とほぼ同様であるが、液圧低下判断部81による第1ポンプP1の液圧低下判断の方法が変更されている。なお、本実施形態では、前記第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付すことにより、具体的な説明を省略する(以下の各実施形態に同じ)。
0109
仮に、第1ポンプP1の正常時と液圧低下時とにかかわらず、ポンプ駆動用モータM2を一定かつ任意のモータ駆動電流Iであるモータ駆動電流I1に基づき駆動制御するものと考えると、第1ポンプP1の正常時には、第1ポンプP1による操舵補助が行われるため、操舵トルク信号Trの値は比較的小さなものとなり、具体的には、図11に示す第1,第2閾値Tb1,Tb2内に収まることとなる。一方、第1ポンプP1の液圧低下時には、第1ポンプP1による操舵補助が殆ど行われないことから、操舵トルク信号Trの値は、モータ駆動電流I1の大きさに応じて決定される第1,第2閾値Tb1,Tb2のうち大きな方の第2閾値Tb2よりも高くなる。
0110
これは、裏を返せば、ポンプ駆動用モータM2に任意のモータ駆動電流I1が出力されている場合における操舵トルク信号Trの値が第2閾値Tbを超えているか否かに基づき、第1ポンプP1の液圧低下を判断できることを示している。
0111
本実施形態の液圧低下判断部81は、前述の内容を加味して構成されたものであって、図10に示すように、ポンプ用モータ駆動部86からモータ駆動電流I1を取り込むと共に、操舵トルク信号受信部77から操舵トルク信号Trを取り込むようになっている。そして、操舵トルク信号Trの値がモータ駆動電流Imに応じて決定される第1,第2閾値Tb1,Tb2のうち大きな方の第2閾値Tb2よりも高い場合に、第1ポンプP1に液圧低下が生じているものと判断し、液圧低下判定信号SigCを最終判断部82に出力するようになっている。
0112
以上の構成から、本実施形態のパワーステアリング装置によれば、圧力センサ72を用いずとも、前記第1実施形態と同一の作用効果を得ることが可能となる。これにより、圧力センサ72が不要となることから、部品点数を削減し、もって製造コストの削減を図ることができる。
0113
なお、他の作用効果については、前記第1実施形態とほぼ同様である。
0114
〔第3実施形態〕
図12〜図14に示す本発明の第3実施形態は、基本構成は前記第1実施形態と同様であるが、ポンプ駆動用モータトルク指令演算部85によるポンプ駆動用モータトルク指令Tm2*(B)の演算処理内容を変更したものである。
0115
ポンプ駆動用モータM2の回転数Nmを設定するのにあっては、図12に示すような操舵速度ωsとの相関性に基づき行う方法と、図13に示すような操舵トルク信号Trの値との相関性に基づき行う方法と、が一般に知られている。
0116
これに対して、本実施形態のポンプ駆動用モータトルク指令演算部85は、操舵速度ωsと操舵トルク信号Trとの両方を考慮してポンプ駆動用モータM2の回転数Nmを決定するようにした。
0117
すなわち、本実施形態のポンプ駆動用モータトルク指令演算部85は、図14に示すように、基本的に操舵速度ωsに基づいてポンプ駆動用モータM2の回転数Nmを決定するが、これを操舵トルク信号Trの大きさに応じて適宜増大補正できるようにした。
0118
かかる構成により、本実施形態のパワーステアリング装置によれば、前記ステアリングホイールに大きな操舵トルクが入力されている場合に、即座に大きな操舵アシスト力を付与することができるため、スムーズな操舵感を確保することが可能となる。
0119
なお、他の作用効果については前記第1実施形態とほぼ同様である。
0120
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成を変更することも可能である。
0121
例えば、前記各実施形態ではインテグラル型のパワーステアリング装置に本発明を適用したが、ラックバーやタイロッドからなる伝達機構を備えたラック・ピニオン型やコラム型のパワーステアリング装置に適用することもできる。
0122
さらに、本実施形態では、操舵用モータ制御部74とポンプ駆動用モータ制御部75とを、共に同じ制御装置70のマイクロコンピュータ内に設けられるものとしたが、それぞれを制御装置70上の異なるマイクロコンピュータ内に設けてもよい。
0123
また、操舵用モータ制御部74が設けられる制御装置とポンプ駆動用モータ制御部75が設けられる制御装置は、必ずしも同一の制御装置である必要はない。すなわち、ポンプ駆動用モータ制御部75を第2ポンプP2専用の制御装置のマイクロコンピュータ内に設け、これとは別個の制御装置のマイクロコンピュータ内に操舵用モータ制御部74を設けるといったことも可能である。
0124
以上説明した各実施形態に基づくパワーステアリング装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
0125
パワーステアリング装置は、その一つの態様において、ステアリングホイールの操舵操作に伴い回転する入力軸と、前記入力軸とトーションバーを介して接続された出力軸と、前記出力軸の回転を操舵輪に伝達する伝達機構と、を有する操舵機構と、ピストンによって隔成された1対の液圧室を有し、前記操舵機構に操舵アシスト力を付与するパワーシリンダと、車両のエンジンで駆動され、作動液を吐出する第1ポンプと、電動モータであるポンプ駆動用モータで駆動され、作動液を吐出する第2ポンプと、前記入力軸と出力軸の相対回転に応じて前記第1ポンプまたは前記第2ポンプから供給される作動液を選択的に前記パワーシリンダの1対の液圧室に供給するロータリバルブと、前記入力軸に操舵力を付与する電動モータである操舵用モータと、マイクロコンピュータが搭載された制御装置と、前記制御装置に設けられ、前記第1ポンプの駆動状態の信号を受信する第1ポンプ信号受信部と、前記制御装置に設けられ、前記ポンプ駆動用モータを駆動制御するポンプ駆動用モータ制御部であって、少なくとも前記第1ポンプが停止状態のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動するポンプ駆動用モータ制御部と、前記制御装置に設けられ、前記操舵用モータを駆動制御する操舵用モータ制御部であって、少なくとも前記第1ポンプが停止状態のとき、前記操舵用モータを駆動する操舵用モータ制御部と、を有する。
0126
前記パワーステアリング装置の好ましい態様において、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、車速が所定値以下のときエンジンを停止させるアイドリングストップ制御期間中、前記ポンプ駆動用モータを駆動可能とし、前記操舵用モータ制御部は、前記アイドリングストップ制御期間中、前記操舵用モータを駆動可能とする。
0127
別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、車両のアクセルペダル操作が行われていないとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動可能とし、前記操舵用モータ制御部は、車両のアクセルペダル操作が行われていないとき、前記操舵用モータを駆動可能とする。
0128
さらに別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記パワーステアリング装置は、前記第1ポンプから供給される作動液の供給液圧を検出する圧力センサを備え、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記第1ポンプの前記供給液圧が所定値以下のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動制御し、前記操舵用モータ制御部は、前記第1ポンプの前記供給液圧が前記所定値以下のとき、前記操舵用モータを駆動制御する。
0129
さらに別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記制御装置は、操舵トルク信号を受信する操舵トルク信号受信部を備え、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記操舵トルク信号に基づき前記ポンプ駆動用モータを駆動制御し、前記操舵用モータ制御部は、前記操舵トルク信号に基づき前記操舵用モータを駆動制御する。
0130
さらに別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記操舵用モータ制御部は、前記操舵トルクが第1所定値以上のとき前記操舵用モータを駆動制御し、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記操舵トルクが前記第1所定値よりも大きい第2所定値以上のとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動制御する。
0131
さらに別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記制御装置は、操舵速度信号を受信する操舵速度信号受信部を備え、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、前記操舵トルクの増大または前記操舵速度の上昇に応じて前記ポンプ駆動用モータの回転数が上昇するように前記ポンプ駆動用モータを駆動制御する。
0132
さらに別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ポンプ駆動用モータ制御部は、操舵機構がストロークエンドにあるとき、前記ポンプ駆動用モータを駆動しない。
0133
さらに別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、パワーステアリング装置は、前記第1ポンプから供給される作動液の前記ロータリバルブへの供給と遮断を切り換える切り換えバルブと、前記切り換えバルブと前記ロータリバルブとを接続する1対の油路を備え、前記切り換えバルブは、前記ロータリバルブの回転軸線に対する径方向において前記ロータリバルブの前記径方向外側であって前記ロータリバルブの回転軸線方向において前記ロータリバルブとオーバーラップするように配置され、前記操舵用モータは、前記入力軸周りを包囲するように設けられた中空モータであって、第1スクリュおよび第2スクリュによって前記ハウジングに接続され、前記第1スクリュは、前記ロータリバルブの回転軸線周りの方向において、前記1対の油路の一方側に配置され、前記第2スクリュは、前記ロータリバルブの回転軸線周りの方向において前記1対の油路の他方側に配置される。
0134
11…操舵機構、13…ロータリバルブ、17…伝達機構、18…入力軸、19…出力軸、20…第1トーションバー(トーションバー)、29…ピストン、60…制御装置、74…操舵用モータ制御部、75…ポンプ駆動用モータ制御部、83…操舵用モータトルク指令演算部(第1ポンプ信号受信部)、85…ポンプ駆動用モータトルク指令演算部(第1ポンプ信号受信部)、C1…第1パワーシリンダ(パワーシリンダ)、X1,X2…第1,第2油圧室(一対の液圧室)、E…エンジン、P1…第1ポンプ、P2…第2ポンプ、M1…操舵用モータ、M2…ポンプ駆動用モータ
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成