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技術 ダブルメカニカルシール装置

出願人 イーグル工業株式会社株式会社IHI
発明者 高橋秀和長屋茂樹浅野望
出願日 2016年9月13日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-179015
公開日 2018年3月22日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2018-044593
状態 特許登録済
技術分野 メカニカルシール
主要キーワード 駆動ボルト スリーブカラー 油供給ユニット 水中機器 用推進器 加圧リング 海水圧力 取付長
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月22日)のものです。
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図面 (8)

課題

回転軸外径が大きい場合でも、それぞれの回転密封環をそれぞれの静止密封環に対して押し付けることが容易であり、シール性に優れたダブルメカニカルシール装置を提供すること。

解決手段

中間室70に位置する回転軸2の外周には、回転軸2と共に回転すると共に軸方向にも共に移動する中間リング80が配置してある。中間リング80には、周方向に沿って複数の軸方向に貫通するスプリング貫通孔82が形成してある。スプリング用貫通孔82には、スプリング86が軸方向に沿って装着してあり、それぞれのスプリング86の一端が、第1回転密封環31を第1静止密封環41に向けて押圧するように構成してあり、それぞれのスプリング86の他端が、第2回転密封環51を第2静止密封環61に向けて押圧するように構成してある。

概要

背景

ダブルメカニカルシール装置としては、たとえば下記に示す特許文献1または特許文献2に示すものが知られている。これらの文献の公報に示すダブルメカニカルシール装置では、回転軸の外周に、単一のスプリングを配置してある。単一のスプリングの一端は、一方の回転密封環を一方の静止密封環押し付け、スプリングの他端は、他方の回転密封環を他方の静止密封環に押し付けている。

しかしながら、これらの従来のダブルメカニカルシール装置では、比較的に小さい外径の回転軸のための密封を目的として工夫されており、回転軸の外径が大きい場合には、スプリングの外径を大きくする必要があり、スプリングの製造が困難になると共に、その取付も困難になる。また、スプリングが流体圧力などで外側に広がるなどの課題もある。

概要

回転軸の外径が大きい場合でも、それぞれの回転密封環をそれぞれの静止密封環に対して押し付けることが容易であり、シール性に優れたダブルメカニカルシール装置を提供すること。中間室70に位置する回転軸2の外周には、回転軸2と共に回転すると共に軸方向にも共に移動する中間リング80が配置してある。中間リング80には、周方向に沿って複数の軸方向に貫通するスプリング用貫通孔82が形成してある。スプリング用貫通孔82には、スプリング86が軸方向に沿って装着してあり、それぞれのスプリング86の一端が、第1回転密封環31を第1静止密封環41に向けて押圧するように構成してあり、それぞれのスプリング86の他端が、第2回転密封環51を第2静止密封環61に向けて押圧するように構成してある。

目的

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、回転軸の外径が大きい場合でも、それぞれの回転密封環をそれぞれの静止密封環に対して押し付けることが容易であり、シール性に優れたダブルメカニカルシール装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

機内に対して近位側に配置される第1シール部と、遠位側に配置される第2シール部と、前記第1シール部と前記第2シール部との間に形成される中間室と、を有するダブルメカニカルシール装置であって、前記第1シール部は、回転軸と共に回転するが軸方向には移動自在に配置してある第1回転密封環と、前記第1回転密封環の第1回転摺動面に対して摺動可能な第1静止摺動面を持ち、ハウジングに支持されて回転しない第1静止密封環と、を有し、前記第2シール部は、前記回転軸と共に回転するが前記軸方向には移動自在に配置してある第2回転密封環と、前記第2回転密封環の第2回転摺動面に対して摺動可能な第2静止摺動面を持ち、前記ハウジングに支持されて回転しない第2静止密封環と、を有し、前記中間室に位置する前記回転軸の外周には、前記回転軸と共に回転すると共に軸方向にも共に移動する中間リングが配置してあり、前記中間リングには、周方向に沿って複数の軸方向に貫通するスプリング貫通孔が形成してあり、それぞれの前記スプリング用貫通孔には、スプリングが軸方向に沿って装着してあり、それぞれの前記スプリングの一端が、前記第1回転密封環を前記第1静止密封環に向けて押圧するように構成してあり、それぞれの前記スプリングの他端が、前記第2回転密封環を前記第2静止密封環に向けて押圧するように構成してあるダブルメカニカルシール装置。

請求項2

前記回転軸の外周には、スリーブが前記回転軸と共に回転すると共に前記軸方向に沿って共に移動するように固定してあり、前記スリーブの外周に前記中間リングが固定してあり、前記スプリングの一端が第1加圧リングの背面に接触してあり、前記第1加圧リングの前面には、前記第1回転密封環の背面が当接し、前記スプリングの弾性力が、前記第1加圧リングを介して前記第1回転密封環に伝わり、前記第1静止密封環に向けて前記第1回転密封環を前記軸方向に沿って押すように構成してあり、前記スプリングの他端が第2加圧リングの背面に接触してあり、前記第2加圧リングの前面には、前記第2回転密封環の背面が当接し、前記スプリングの弾性力が、前記第2加圧リングを介して前記第2回転密封環に伝わり、前記第2静止密封環に向けて前記第2回転密封環を前記軸方向に沿って押すように構成してある請求項1に記載のダブルメカニカルシール装置。

請求項3

前記スリーブの外周で、前記中間リングの一端から前記軸方向に沿って第1所定距離で離れて、前記第1加圧リングおよび前記第1回転密封環が前記スリーブに対して軸方向移動自在に配置してあり、前記スリーブの外周で、前記中間リングの他端から前記軸方向に沿って第2所定距離で離れて、前記第2加圧リングおよび前記第2回転密封環が前記スリーブに対して軸方向移動自在に配置してある請求項2に記載のダブルメカニカルシール装置。

請求項4

前記第1回転密封環の内径と、前記第2回転密封環の内径とが、略同一であり、前記第1回転密封環が軸方向に移動自在に装着される位置に対応する前記スリーブの外径と、前記第2回転密封環が軸方向に移動自在に装着される位置に対応する前記スリーブの外径とが、略同一である請求項2または3に記載のダブルメカニカルシール装置。

請求項5

前記第2回転密封環と前記スリーブの外周面との間の段差状凹部には、シール部材が前記軸方向に沿って移動自在に装着してある請求項2〜4のいずれかに記載のダブルメカニカルシール装置。

請求項6

前記ハウジングには、前記第1静止密封環の内周側に位置する第1筒状凸部が配置してあると共に、前記第2静止密封環の内周側に位置する第2筒状凸部が配置してあり、前記第1筒状凸部の外径と、前記第2筒状凸部の外径とが、略同一であり、前記第1静止密封環の内径と、前記第2静止密封環の内径とが、略同一である請求項1〜5のいずれかに記載のダブルメカニカルシール装置。

請求項7

前記第1静止密封環と前記第1筒状凸部との間には、単一のOリングが介在してあり、前記第1筒状凸部の外周で前記第1静止密封環をフロート式に保持してあり、前記第2静止密封環と前記第2筒状凸部との間には、単一のOリングが介在してあり、前記第2筒状凸部の外周で前記第2静止密封環をフロート式に保持している請求項6に記載のダブルメカニカルシール装置。

請求項8

前記ハウジングは、カートリッジ式に、機器ケーシングに取り付けられ、前記第1シール部の内周側に、前記ケーシング内部の流体が位置し、前記第2シール部の内周側に、前記ケーシング外部の流体が位置するように、前記ハウジングに前記第1静止密封環と前記第2静止密封環が取り付けてある請求項1〜7のいずれかに記載のダブルメカニカルシール装置。

技術分野

0001

本発明は、回転密封環静止密封環との対を2つ有するダブルメカニカルシール装置に関する。

背景技術

0002

ダブルメカニカルシール装置としては、たとえば下記に示す特許文献1または特許文献2に示すものが知られている。これらの文献の公報に示すダブルメカニカルシール装置では、回転軸の外周に、単一のスプリングを配置してある。単一のスプリングの一端は、一方の回転密封環を一方の静止密封環に押し付け、スプリングの他端は、他方の回転密封環を他方の静止密封環に押し付けている。

0003

しかしながら、これらの従来のダブルメカニカルシール装置では、比較的に小さい外径の回転軸のための密封を目的として工夫されており、回転軸の外径が大きい場合には、スプリングの外径を大きくする必要があり、スプリングの製造が困難になると共に、その取付も困難になる。また、スプリングが流体圧力などで外側に広がるなどの課題もある。

先行技術

0004

実開昭62−2863号公報
実開平3−98368号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、回転軸の外径が大きい場合でも、それぞれの回転密封環をそれぞれの静止密封環に対して押し付けることが容易であり、シール性に優れたダブルメカニカルシール装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するために、本発明に係るダブルメカニカルシール装置は、
機内に対して近位側に配置される第1シール部と、遠位側に配置される第2シール部と、
前記第1シール部と前記第2シール部との間に形成される中間室と、を有するダブルメカニカルシール装置であって、
前記第1シール部は、
回転軸と共に回転するが軸方向には移動自在に配置してある第1回転密封環と、
前記第1回転密封環の第1回転摺動面に対して摺動可能な第1静止摺動面を持ち、ハウジングに支持されて回転しない第1静止密封環と、を有し、
前記第2シール部は、
前記回転軸と共に回転するが前記軸方向には移動自在に配置してある第2回転密封環と、
前記第2回転密封環の第2回転摺動面に対して摺動可能な第2静止摺動面を持ち、前記ハウジングに支持されて回転しない第2静止密封環と、を有し、
前記中間室に位置する前記回転軸の外周には、前記回転軸と共に回転すると共に軸方向にも共に移動する中間リングが配置してあり、
前記中間リングには、周方向に沿って複数の軸方向に貫通するスプリング用貫通孔が形成してあり、
それぞれの前記スプリング用貫通孔には、スプリングが軸方向に沿って装着してあり、
それぞれの前記スプリングの一端が、前記第1回転密封環を前記第1静止密封環に向けて押圧するように構成してあり、それぞれの前記スプリングの他端が、前記第2回転密封環を前記第2静止密封環に向けて押圧するように構成してある。

0007

本発明に係るダブルメカニカルシール装置は、複数の軸方向に貫通するスプリング用貫通孔が形成してある中間リングを有する。中間リングに形成してある複数のスプリング用貫通孔には、それぞれスプリングが装着され、それぞれのスプリングの弾性力が、第1回転密封環と第2回転密封環とを軸方向に引き離す方向に力が作用する。その結果、第1回転密封環は第1静止密封環に押し付けられ、第2回転密封環は第2静止密封環に押し付けられ、それらの間の密封性能が向上する。

0008

本発明のダブルメカニカルシール装置では、回転軸の外径が大きい場合には、中間リングの内径および外径を大きくし、中間リングの周方向に断続的に形成するスプリング用貫通孔の数を増やせば良く、スプリング自体の外径を大きくする必要はない。そのため、スプリングの製造が容易であると共に、標準サイズのスプリングを準備するのみで良く、その取付も容易である。また、各スプリングは、スプリング用貫通孔の内部に挿入されて使用されるため、スプリングが流体圧力などで外側に広がることもない。

0009

また、本発明のダブルメカニカルシール装置では、長期間の運転により回転軸の軸移動が生じても、一対の回転密封環は回転軸に対して軸方向に相対移動するため、スプリングの取付長さが変化しない。そのため、スプリングの弾性力による一対の回転密封環への押圧力が変化しにくく、密封性能を長期間一定に保持しやすい。また、第1シール部および第2シール部が、双方共にメカニカルシールで構成してあるために、高圧力差にも対応が可能であり、しかも密封性耐久性に優れており、長期間のメンテナンスフリーに対応することが容易である。したがって、本発明に係るダブルメカニカルシール装置は、舶用推進器など水中機器のためのシール装置として効果的に用いることができる。

0010

好ましくは、前記回転軸の外周には、スリーブが前記回転軸と共に回転すると共に前記軸方向に沿って共に移動するように固定してあり、
前記スリーブの外周に前記中間リングが固定してあり、
前記スプリングの一端が第1加圧リングの背面に接触してあり、前記第1加圧リングの前面には、前記第1回転密封環の背面が当接し、前記スプリングの弾性力が、前記第1加圧リングを介して前記第1回転密封環に伝わり、前記第1静止密封環に向けて前記第1回転密封環を前記軸方向に沿って押すように構成してあり、
前記スプリングの他端が第2加圧リングの背面に接触してあり、前記第2加圧リングの前面には、前記第2回転密封環の背面が当接し、前記スプリングの弾性力が、前記第2加圧リングを介して前記第2回転密封環に伝わり、前記第2静止密封環に向けて前記第2回転密封環を前記軸方向に沿って押すように構成してある。

0011

このように構成することで、各スプリングの弾性力が、第1回転密封環および第2回転密封環を軸方向に引き離すように良好に作用し、第1回転密封環は第1静止密封環に押し付けられ、第2回転密封環は第2静止密封環に押し付けられ、それらの間の密封性能が向上する。

0012

好ましくは、前記スリーブの外周で、前記中間リングの一端から前記軸方向に沿って第1所定距離で離れて、前記第1加圧リングおよび前記第1回転密封環が前記スリーブに対して軸方向移動自在に配置してあり、
前記スリーブの外周で、前記中間リングの他端から前記軸方向に沿って第2所定距離で離れて、前記第2加圧リングおよび前記第2回転密封環が前記スリーブに対して軸方向移動自在に配置してある。

0013

このように構成することで、長期間の運転により回転軸が軸方向にズレて、第1所定距離または第2所定距離の範囲内で中間リングが回転軸と共に軸方向に移動しても、第1回転密封環または第2回転密封環に中間リングが衝突することはない。また、中間リングが回転軸と共に軸方向にズレたとしても、各スプリングは、中間リングのスプリング用貫通孔に挿入してあるのみであるために、スプリングの軸方向取付長さは変化しない。そのため、スプリングの弾性力による一対の回転密封環への押圧力が変化しにくく、密封性能を長期間一定に保持しやすい。

0014

好ましくは、前記第1回転密封環の内径と、前記第2回転密封環の内径とが、略同一であり、
前記第1回転密封環が軸方向に移動自在に装着される位置に対応する前記スリーブの外径と、前記第2回転密封環が軸方向に移動自在に装着される位置に対応する前記スリーブの外径とが、略同一である。

0015

このように構成することで、中間室内流体に基づく第1回転密封環および第2回転密封環に作用する圧力作用径が略同一となり、両者に作用するスラスト力が相殺され、スラスト力のアンバランスを防止することができる。

0016

好ましくは、前記第2回転密封環と前記スリーブの外周面との間の段差状凹部には、シール部材が前記軸方向に沿って移動自在に装着してある。

0017

このように構成することで、中間室の圧力がケーシングの外部の圧力よりも高い場合でも、その逆でも、第2回転密封環を第2静止密封環に押し付けることが可能になり、第2シール部の密封性を良好に維持することができる。特に、ケーシング外部が海水などの液体で満たされる環境下の場合に、海水の圧力が中間室の内部圧力よりも高い場合でも、第2シール部の密封性が維持され、海水が中間室の内部に流れ込むことを効果的に防止することができる。海水の圧力が中間室の内部圧力よりも高い場合とは、たとえば中間室内に油を供給する油供給ユニットが停止した場合などである。

0018

好ましくは、前記ハウジングには、前記第1静止密封環の内周側に位置する第1筒状凸部が配置してあると共に、前記第2静止密封環の内周側に位置する第2筒状凸部が配置してあり、
前記第1筒状凸部の外径と、前記第2筒状凸部の外径とが、略同一であり、
前記第1静止密封環の内径と、前記第2静止密封環の内径とが、略同一である。

0019

このように構成することで、第1静止密封環および第2静止密封環に作用する圧力作用径が略同一となり、両者に作用するスラスト力が相殺され、スラスト力のアンバランスを防止することができる。

0020

好ましくは、前記第1静止密封環と前記第1筒状凸部との間には、単一のOリングが介在してあり、前記第1筒状凸部の外周で前記第1静止密封環をフロート式に保持してあり、
前記第2静止密封環と前記第2筒状凸部との間には、単一のOリングが介在してあり、前記第2筒状凸部の外周で前記第2静止密封環をフロート式に保持している。

0021

このように構成することで、第1静止密封環および第2静止密封環は、Oリングを回動中心として傾くことが可能になり、回転軸が多少傾いたとしても、第1シール部および第2シール部の密封性能が低下することはない。このような観点からは、第1回転密封環および第2回転密封環に関しても、それらの内周側に、それぞれ単一のOリングが装着してあり、それらをフロート式に保持してあることが好ましい。

0022

好ましくは、前記ハウジングは、カートリッジ式に、機器のケーシングに取り付けられ、
前記第1シール部の内周側に、前記ケーシング内部の流体が位置し、前記第2シール部の内周側に、前記ケーシング外部の流体が位置するように、前記ハウジングに前記第1静止密封環と前記第2静止密封環が取り付けてある。

0023

このようにカートリッジ式に構成することで、機器のケーシングなどへの取付やメンテナンスが容易になる。また、第1シール部の内周側に、ケーシング内部の流体が位置し、第2シール部の内周側に、ケーシング外部の流体が位置するため、第1シール部の圧力作用径と、第2シール部の圧力作用径とを略同一に構成することが容易である。

図面の簡単な説明

0024

図1は本発明の一実施形態に係るダブルメカニカルシール装置の概略半断面図である。
図2図1に示すダブルメカニカルシール装置の要部拡大断面図である。
図3図1に示すダブルメカニカルシール装置の図2とは異なる断面を示す要部拡大断面図である。
図4図2および図3に示す中間リングの分解斜視図である。
図5図2および図3に示す第2シール部の拡大断面図である。
図6は中間室の内部圧力よりも海水圧力が高い場合における第2シール部の拡大断面図である。
図7図2に示す回転軸が軸方向にズレた場合の要部拡大断面図である。

実施例

0025

以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
本発明の一実施形態のダブルメカニカルシール装置について、図1を参照して説明する。図1は、そのダブルメカニカルシール装置10の構成を示す半断面図である。

0026

ダブルメカニカルシール装置10は、回転軸(シャフト)2が貫通しているケーシング3の軸孔部3aに機外OS側から装着されるカートリッジ形式のシール装置である。ケーシング3は、たとえば舶用推進器などの水中機器のケーシングの一部として用いられる。

0027

ダブルメカニカルシール装置10は、このような舶用推進器などの用途に対応したシール装置である。ケーシング3の機内IS側に位置する回転軸2の外周には、原動機発電機のロータなどが固定してあってもよい。回転軸2のハウジング3と反対側には、推進用スクリュー水流を受けて回転するインペラのハブ12が固定してある。ハブ12は、回転軸2の外周面に焼嵌めなどの手段で嵌合してある。

0028

ダブルメカニカルシール装置10は、ケーシング3の軸方向の端面3bに取り付けられたカートリッジ式のハウジング8の内部に装着してある。ハウジング8は、カバープレート6とシールケース7とを有する。なお、図1においては、ダブルメカニカルシール装置10の左側が機内IS側であり、ケーシング8の外側が機外OS側である。

0029

ケーシング3の端面3bには、カバープレート6が取り付けられ、カバープレート6の外側(ハブ12側)には、シールケース7が取り付けられる。それぞれハウジングの一部を構成するカバープレート6およびシールケース7は、ケーシング3の端面3bからハブ12に向けて、この順序ボルト5a,5bにより端面3bに固定してある。

0030

ケーシング3の端面3bに取り付けられるカバープレート6の取付面には、Oリング溝が形成してあり、Oリング溝には、Oリング4が装着され、端面3bとカバープレート6との間をシールしている。本実施形態では、シールカバー6とシールケース7との間には、Oリング9が取り付けられて、これらの間の隙間を密封している。

0031

本実施形態では、ハウジング8の内部には中間室70が形成され、この中間室70の内部に、ダブルメカニカルシール装置10が配置される。ダブルメカニカルシール装置10は、回転軸2の軸方向に沿って機内IS側(近位側)に配置される第1シール部30と、ハブ12側(遠位側)に配置される第2シール部50と、これらの間に位置する中間リング80とを有する。これらの第1シール部30と、中間リング80と、第2シール部50とが、回転軸2の軸方向に沿って、ハウジング8の内部に配置される。

0032

中間室70は、ハウジング8の内部(内周側)で、第1シール部30と中間リング70と第2シール部50との外周を囲むように形成され、メカニカルシール30および50が適切に機能している状態では、機外OS側の空間に対して密封されると共に、機内IS側の空間とも密封される。

0033

ケーシング3の内部(軸孔部3aと回転軸2との間の隙間)は、原動機や発電機などの環境を維持するように大気圧に設定してあり、第1シール部30により中間室70と機内ISとの間を密封している。第2シール部50は、機外OSに存在する海水などが中間室70の内部に入り込むことを抑制している。本実施形態では、シールカバー6には、中間室70に通じる油供給口72が形成してあり、そこから、中間室70の内部に、油が供給される。なお、油排出口の図示は省略している。

0034

ハウジング8の内周側では、回転軸2の外周に、スリーブ20がスリーブカラー14などにより固定され、回転軸2と共に、その軸芯回りに回転可能になっている。スリーブ20は、比較的に厚肉のスリーブ本体21と、そのスリーブ本体21の端部から機内ISに向けて一体的に延びる比較的に薄肉の第1延長筒部26aと、スリーブ本体21の他端からハブ12に向けて一体的に延びる比較的に薄肉の第2延長筒部26aとを有する。

0035

第2延長筒部26bのハブ12側の端部外周面には、機内IS側に向けて外径が小さくなるテーパ面22と、その軸方向両側に位置するOリング溝とが形成してある。Oリング溝には、それぞれOリング24が装着してあり、スリーブカラー14とスリーブ20の延長筒部26bとの間を密封している。

0036

スリーブカラー14は、ボルト16などでハブ12に固定してある。スリーブカラー14には、少なくとも1つ、好ましくは複数のボルト18が、その先端がテーパ面22に略垂直に圧接するように、傾斜して取り付けてある。ボルト18の先端がスリーブ20のテーパ面22に圧接することで、スリーブ20には、回転軸2の外周に嵌合する力と、回転軸2の軸方向に沿って機内IS側と反対方向に向ける力とが作用する。その結果、機外OSに位置する海水の圧力に基づきスリーブ20に発生する機内ISに向けてのスラスト力に抵抗することができる。

0037

スリーブ20のスリーブ本体21は、ハウジング8の中間室70の内部に位置するように、回転軸2に位置決めして取り付けられる。スリーブ本体21の内周面には、たとえば軸方向に沿って複数位置でOリング溝が形成してあり、各Oリング溝にOリング25が装着されることで、スリーブ20と回転軸2との間の隙間を密封している。

0038

スリーブ本体21の第1外周面21aと第2外周面21bとの間には、第1外周面21aおよび第2外周面21bよりも外径が大きい大径部23が径方向に突出して形成してある。第1外周面21aの外径と、第2外周面21bの外径とは、略同一である。

0039

大径部23と第1外周面21aとの間の段差部に中間リング80の反機内IS側(機内ISと逆側)の内端係合するように、第1外周面21aには、中間リング80が固定してある。中間リング80は、たとえば図3に示すように、ボルト81などを用いてスリーブ20に対して固定してあり、回転軸2およびスリーブ20と共に回転し、これらと共に軸方向に移動するようになっている。

0040

図2に示すように、第1シール部30は、第1回転密封環31と第1静止密封環41とを有する。同様に、第2シール部50は、第2回転密封環51と第2静止密封環61とを有する。これらの密封環31,41,51,61の材質は、特に限定されないが、シリコンカーバイトカーボンセラミック等が例示され、好ましくはシリコンカーバイトである。これらの密封環31,41,51,61の材質は、全て同じであってもよいが異なっていてもよい。特に、海水に接する密封環51および61の材質をシリコンカーバイトで構成することにより、海水中の固形分や海洋生物摺動面間に噛み込んでも、摺動面の損耗が少ない。

0041

本実施形態では、第1回転密封環31と第2回転密封環51とが略同一形状であり、第1静止密封環41と第2静止密封環61とが略同一形状であり、しかも、回転密封環31,51と静止密封環41,61との形状も類似している。このため、これらの密封環31,41,51,61の製造時に、素材成形用型共用が可能になると共に、焼結時の収縮量を同じにすることができ、これらの製造が容易であり低コスト化も図れる。

0042

まず、第1シール部30について説明する。前述したように、第1シール部30は、第1回転密封環31と第1静止密封環41とを少なくとも有する。第1回転密封環31と第1静止密封環41とは、回転軸2の外周位置で、回転軸2の軸方向に向き合っている対向端面をそれぞれ有する。第1回転密封環31の対向面には、その内周側位置で軸方向に突出する第1回転摺動面31aが形成してある。第1回転摺動面31aに対応して、第1静止密封環41の対向面には、軸方向に突出する第1静止摺動面41aが形成してある。

0043

本実施形態では、比較的に径方向の幅が広い第1静止摺動面41aに対して、比較的に径方向の幅が狭い第1回転摺動面31aが摺動するように構成してあるが、逆でもよい。

0044

第1回転密封環31の内周面には、第1回転摺動面31aとは軸方向に逆の位置で段差状凹部36が形成してあり、そこに、シール部材としてのOリング32が装着してあり、第1回転密封環31の内周面とスリーブ20の第1外周面21aとの間の隙間を密封している。段差状凹部36が形成されていない位置での第1回転密封環31の内周面の内径R1aは、第1外周面21aの外径よりも僅かに大きく、その隙間をOリング32が密封している。

0045

段差状凹部36は、中間室70に対して開口しており、Oリング32は、中間室70に導入される油などの流体の圧力により、段差状凹部36の内部で、第1静止密封環41の方向に押し付けられる。段差状凹部36の軸方向幅は、Oリング32の線径の1.5倍以上、好ましくは2倍以上程度であるが、第1回転密封環31の軸方向の幅よりは狭い。

0046

第1静止密封環41の内周面には、第1静止摺動面41aとは軸方向に逆の位置で段差状凹部46が形成してあり、そこに、シール部材としてのOリング42が装着してあり、第2静止密封環41の内周面とシールカバー6の第1筒状凸部6aの外周面との間の隙間を密封している。段差状凹部46が形成されていない位置での第1静止密封環41の内周面の内径R1bは、第1筒状凸部6aの外周面の外径よりも僅かに大きく、その隙間をOリング42が密封している。

0047

第1筒状凸部6aは、ハウジング8を構成するシールカバー6の内周面に、中間室70の中央に向けて軸方向に突出して形成してある。図7に示すように、第1筒状凸部6aの軸方向の先端部は、スリーブ本体21との間で、軸方向に沿って第1所定隙間C1が保たれるようになっている。

0048

図2に示すように、段差状凹部46は、中間室70に対して開口しており、Oリング42と中間室70の第1軸方向端面6bとの間には、アダプタ48が装着してある。アダプタ48の軸方向一端は、段差状凹部46の内部に入り込み、Oリング42に当接し、その軸方向他端は、第1軸方向端面6bに当接している。アダプタ48を、Oリング42と第1軸方向端面6bとの間に配置することで、第1静止密封環41の反摺動面側端面と第1軸方向端面6bとの間に所定の軸方向隙間を形成することができる。

0049

Oリング32,42は、たとえばニトリルゴムフッ素ゴムシリコンゴム、VMQなどの材料で構成され、アダプタ48は、たとえばステンレス鋼ニッケル合金などの金属材料で構成される。なお、段差状凹部46の軸方向幅は、Oリング32の線径の1.1〜1.5倍程度であるが、第1静止密封環41の軸方向の幅よりは狭い。

0050

第1軸方向端面6bが形成してあるリング状の軸方向凹部は、シールカバー6の内周側で、第1筒状凸部6aの外周側に形成してあり、シールケース7の内周部に形成してある中間室70に連通するようになっている。第1軸方向端面6bには、その端面6bから軸方向に突出するように、複数のノックピン43が周方向に沿って所定間隔で固定してある。

0051

これらのノックピン43は、第1静止密封環41の外周側に周方向に沿って複数の軸方向に貫通する係合孔44にそれぞれ挿入され、第1静止密封環41がシールカバー6に対して相対的に回転することを防止している。ただし、ノックピン43は係合孔44に挿入してあるのみであるため、第1静止密封環41は、シールカバー6に対して軸方向に沿って移動することは許容されている。

0052

第1回転密封環31における第1摺動面31aと軸方向に反対側の端面には、第1加圧リング40の前面40aが内周側で接触している。第1加圧リング40の前面で、外周側には、複数のノックピン33が周方向に沿って所定間隔で、第1回転密封環31に向けて軸方向に突出するように固定してある。これらのノックピン33は、第1回転密封環31の外周側に周方向に沿って複数の軸方向に貫通する係合孔34にそれぞれ挿入され、第1回転密封環31が第1加圧リング40に対して相対的に回転することを防止している。ただし、ノックピン33は係合孔34に挿入してあるのみであるため、第1回転密封環31は、第1加圧リング40に対して軸方向に沿って移動することは許容されている。

0053

次に、第2シール部50について説明する。前述したように、第2シール部50は、第2回転密封環51と第2静止密封環61とを少なくとも有する。第2回転密封環51と第2静止密封環61とは、回転軸2の外周位置で、回転軸2の軸方向に向き合っている対向端面をそれぞれ有する。第2回転密封環51の対向面には、その内周側位置で軸方向に突出する第2回転摺動面51aが形成してある。第2回転摺動面51aに対応して、第2静止密封環61の対向面には、軸方向に突出する第2静止摺動面61aが形成してある。

0054

本実施形態では、比較的に径方向の幅が広い第2静止摺動面61aに対して、比較的に径方向の幅が狭い第2回転摺動面51aが摺動するように構成してあるが、逆でもよい。

0055

第2回転密封環51の内周面には、第2回転摺動面51aとは軸方向に逆の位置で段差状凹部56が形成してあり、そこに、シール部材としてのOリング52が装着してあり、第2回転密封環51の内周面とスリーブ20の第2外周面21bとの間の隙間を密封している。段差状凹部56が形成されていない位置での第2回転密封環51の内周面の内径R2aは、第2外周面21bの外径よりも僅かに大きく、その隙間をOリング52が密封している。

0056

段差状凹部56は、中間室70に対して開口しており、Oリング52は、通常運転状態で中間室70に導入される油などの流体の圧力により、段差状凹部56の内部で、第2静止密封環51の方向に押し付けられる。段差状凹部56の軸方向幅は、Oリング52の線径の1.5倍以上、好ましくは2倍以上程度であるが、第2回転密封環51の軸方向の幅よりは狭い。

0057

第2静止密封環61の内周面には、第2静止摺動面61aとは軸方向に逆の位置で段差状凹部66が形成してあり、そこに、シール部材としてのOリング62が装着してあり、第2静止密封環61の内周面とシールケース7の第2筒状凸部7aの外周面との間の隙間を密封している。段差状凹部66が形成されていない位置での第2静止密封環61の内周面の内径R2bは、第2筒状凸部7aの外周面の外径よりも僅かに大きく、その隙間をOリング62が密封している。

0058

第2筒状凸部7aは、ハウジング8を構成するシールケース7の内周面に、中間室70の中央に向けて軸方向に突出して形成してある。図7に示すように、第2筒状凸部7aの軸方向の先端部は、スリーブ本体21との間で、軸方向に沿って第2所定隙間C2が保たれるようになっている。

0059

図2に示すように、段差状凹部66は、中間室70に対して開口しており、Oリング62と中間室70の第7軸方向端面7bとの間には、アダプタ68が装着してある。アダプタ68の軸方向一端は、段差状凹部66の内部に入り込み、Oリング62に当接し、その軸方向他端は、第2軸方向端面7bに当接している。アダプタ68を、Oリング62と第2軸方向端面6bとの間に配置することで、第2静止密封環61の反摺動面側端面と第2軸方向端面7bとの間に所定の軸方向隙間を形成することができる。

0060

Oリング52,62は、たとえばOリング32,42と同様な材質により製造されるが、必ずしも同一である必要はない。また、アダプタ68は、たとえばアダプタ48と同様な材質により製造されるが、必ずしも同一である必要はない。なお、段差状凹部66の軸方向幅は、Oリング62の線径の1.1〜1.5倍程度であるが、第2静止密封環61の軸方向の幅よりは狭い。

0061

第2軸方向端面7bが形成してあるリング状の軸方向凹部は、シールケース7の内周側で、第2筒状凸部7aの外周側に形成してあり、シールケース7の内周部に形成してある中間室70に連通するようになっている。第2軸方向端面7bには、その端面7bから軸方向に突出するように、複数のノックピン63が周方向に沿って所定間隔で固定してある。

0062

これらのノックピン63は、第2静止密封環61の外周側に周方向に沿って複数の軸方向に貫通する係合孔64にそれぞれ挿入され、第1静止密封環61がシールケース7に対して相対的に回転することを防止している。ただし、ノックピン63は係合孔64に挿入してあるのみであるため、第2静止密封環61は、シールケース7に対して軸方向に沿って移動することは許容されている。

0063

第2回転密封環51における第2摺動面51aと軸方向に反対側の端面には、第2加圧リング60の前面60aが内周側で接触している。第2加圧リング60の前面で、外周側には、複数のノックピン53が周方向に沿って所定間隔で、第2回転密封環51に向けて軸方向に突出するように固定してある。

0064

これらのノックピン53は、第2回転密封環51の外周側に周方向に沿って複数の軸方向に貫通する係合孔54にそれぞれ挿入され、第2回転密封環51が第2加圧リング60に対して相対的に回転することを防止している。ただし、ノックピン53は係合孔54に挿入してあるのみであるため、第2回転密封環51は、第2加圧リング60に対して軸方向に沿って移動することは許容されている。

0065

第2加圧リング60は、第1加圧リング40に対応する部品であり、略同一な形状を有するが、スリーブ20の大径部23の外径に合わせて、第1加圧リング40の内径よりも大きくなっている。これらの加圧リング40および60の材質は、同じであることが好ましいが、異なっていても良く、たとえばステンレス鋼、ニッケル合金などの金属で構成してある。

0066

次に、中間リング80について説明する。図4に示すように、中間リング80は、円周方向に沿って所定間隔で複数のスプリング用貫通孔82を有する。スプリング用貫通孔82は、中間リング80を軸方向に貫通している。各スプリング用貫通孔82には、それぞれコイル状のスプリング86が、貫通孔82から軸方向に両端が飛び出すように挿入される。

0067

取付前の各スプリング86の軸方向の自由長さは、図7に示すように、中間リング80の軸方向厚みL0に第1所定距離L1と第2所定距離L2とを足した取付長さL3よりも大きい。図2に示すように、スプリング86の取付状態では、スプリング86には圧縮力が加わり、スプリング86の一端が第1加圧リング40の背面40bを第1回転密封環31に向けて押し、スプリング86の他端が第2加圧リング60の背面60bを第2回転密封環51に向けて押すようになっている。

0068

なお、スプリング86の一端は、第1加圧リング40の背面40bに圧接していれば良く、必ずしも固定されていなくても良い。同様に、スプリング86の他端は、第2加圧リング60の背面60bに圧接していれば良く、必ずしも固定されていなくても良い。

0069

図4に示すように、中間リング80には、円周方向に所定間隔で配置されるスプリング用貫通孔82の間に、別の一対の駆動孔84,85が円周方向に所定間隔で配置される。一方の駆動孔84には、それぞれ第1加圧リング40の背面40bに円周方向に沿って所定間隔で取付固定してある駆動用ボルト88の頭部が挿入されて嵌合してある。他方の駆動孔85には、それぞれ第2加圧リング60の背面60bに円周方向に沿って所定間隔で取付固定してある駆動用ボルト89の頭部が挿入されて嵌合してある。

0070

第1加圧リング40には、中間リング80の駆動孔85に対応する位置で、それぞれ操作孔85aが形成してあり、第2加圧リング60には、中間リング80の駆動孔84に対応する位置で、それぞれ操作孔84aが形成してある。操作孔85aは、その操作孔85aを通して、駆動孔85に挿入してある駆動用ボルト89の脱着を操作するための孔であり、操作孔84aは、その操作孔84aを通して、駆動孔84に挿入してある駆動用ボルト88の脱着を操作するための孔である。

0071

図3に示すように、中間リング80は、ボルト81などを用いてスリーブ20に対して固定してあり、回転軸2およびスリーブ20と共に回転し、これらと共に軸方向に移動するようになっている。中間リング80の駆動孔84および85には、それぞれ、駆動用ボルト88および89が挿入して係合してある。このため、中間リング80が回転軸2およびスリーブ20と共に回転すると、その回転力は、駆動ボルト88,89を介して、第1加圧リング40および第2加圧リング60に伝達する。したがって、第1加圧リング40および第2加圧リング60も回転軸2と共に回転する。

0072

図2に示すように、第1加圧リング40のノックピン33は、第1回転密封環31の係合孔34に係合してある。また、第2加圧リング60のノックピン53は、第2回転密封環51の係合孔64に係合してある。また、これらの加圧リング40および60は、スプリング86の弾性力(圧縮力)で、それぞれ第1回転密封環31および第2回転密封環51を軸方向に引き離す方向に押圧している。これらの第1回転密封環31および第2回転密封環51の軸方向の外側には、それぞれ第1静止密封環41および第2静止密封環61が位置している。

0073

したがって、第1加圧リング40および第2加圧リング60が、それぞれ第1回転密封環31および第2回転密封環51と共に、これらを軸方向に引き離す方向に押圧しながら回転する。その結果、第1回転密封環31は第1静止密封環41に押し付けられ、第2回転密封環51は第2静止密封環61に押し付けられ、それらの間の密封性能が向上する。

0074

本実施形態のダブルメカニカルシール装置10では、回転軸2の外径が大きい場合には、中間リング80の内径および外径を大きくし、中間リング80の円周方向に断続的に形成するスプリング用貫通孔82の数を増やせば良く、スプリング86自体の外径を大きくする必要はない。そのため、スプリング86の製造が容易であると共に、標準サイズのスプリング86を準備するのみで良く、その取付も容易である。また、各スプリング86は、スプリング用貫通孔82の内部に挿入されて使用されるため、スプリング86が流体圧力などで外側に広がることもない。本実施形態のダブルメカニカルシール装置10は、回転軸2の外径が、500〜1000mm、あるいはそれ以上だとしても対応が可能である。

0075

また、本実施形態のダブルメカニカルシール装置10では、長期間の運転により回転軸2の軸移動が生じても、一対の回転密封環31および51は回転軸2に対して軸方向に移動するため、図7に示すスプリング86の取付長さL3が変化しない。そのため、スプリング86の弾性力による一対の回転密封環31および51への押圧力が変化しにくく、密封性能を長期間一定に保持しやすい。

0076

また、第1シール部30および第2シール部50が、双方共にメカニカルシールで構成してあるために、高圧力差にも対応が可能であり、しかも密封性と耐久性に優れており、長期間(たとえば10年程度)のメンテナンスフリーに対応することが容易である。したがって、本実施形態に係るダブルメカニカルシール装置10は、舶用推進器などの水中機器のためのシール装置として効果的に用いることができる。

0077

さらに、本実施形態では、図2に示すように、スプリング86の一端が第1加圧リング40の背面40bに接触してあり、第1加圧リング40の前面40aには、第1回転密封環30の背面が当接する。そのため、スプリング86の弾性力が、第1加圧リング40を介して第1回転密封環31に伝わり、第1静止密封環41に向けて第1回転密封環31を軸方向に沿って押す。スプリング86の他端は、第2加圧リング60の背面60bに接触してあり、第2加圧リング60の前面60aには、第2回転密封環51の背面が当接する。そのため、スプリング86の弾性力が、第2加圧リング60を介して第2回転密封環51に伝わり、第2静止密封環61に向けて第2回転密封環51を軸方向に沿って押す。

0078

このように構成することで、各スプリング86の弾性力が、第1回転密封環31および第2回転密封環51を軸方向に引き離すように良好に作用し、第1回転密封環31は第1静止密封環41に押し付けられ、第2回転密封環51は第2静止密封環61に押し付けられ、それらの間の密封性能が向上する。

0079

また本実施形態では、図7に示すように、スリーブ20の外周で、中間リング80の一端から軸方向に沿って第1所定距離L1で離れて、第1加圧リング40および第1回転密封環31がスリーブ20に対して軸方向移動自在に配置してある。同様に、スリーブ20の外周で、中間リング80の他端から軸方向に沿って第2所定距離L2で離れて、第2加圧リング60および第2回転密封環51がスリーブ20に対して軸方向移動自在に配置してある。これらの所定距離L1およびL2は、それぞれ、たとえば0〜15mm、好ましくは数mm〜10mmの範囲で変化することができる。ただし、取付長さL3は変化しないことから、これらの所定距離L1およびL2のいずれか一方が大きくなれば、いずれか他方が小さくなる関係にある。

0080

さらに、第1筒状凸部6aの軸方向の先端部は、スリーブ本体21との間で、軸方向に沿って第1所定隙間C1が保たれるようになっている。また、第2筒状凸部7aの軸方向の先端部は、スリーブ本体21との間で、軸方向に沿って第2所定隙間C2が保たれるようになっている。これらの所定隙間C1,C2は、それぞれ、たとえば0〜12mm、好ましくは数mm〜10mmの範囲で変化することができる。ただし、第1筒状凸部6aの先端と第2筒状凸部7aの先端との間の軸方向距離C3は変化しないと共に、スリーブ本体21の軸方向長さも変化しないことから、これらの所定隙間C1およびC2のいずれか一方が大きくなれば、いずれか他方が小さくなる関係にある。

0081

このように構成することで、長期間の運転により回転軸2およびスリーブ20が軸方向にズレて、第1所定距離L1または第2所定距離L2の範囲内で中間リング80が回転軸2と共に軸方向に移動しても、第1回転密封環31または第2回転密封環51に中間リング80が衝突することはない。また、中間リング80が回転軸2と共に軸方向にズレたとしても、各スプリング86は、中間リング80のスプリング用貫通孔82に挿入してあるのみであるために、スプリング86の軸方向取付長さL3は変化しない。そのため、スプリング86の弾性力による一対の回転密封環31,51への押圧力が変化しにくく、密封性能を長期間一定に保持しやすい。

0082

また、スリーブ20のスリーブ本体21に関しても、第1所定隙間C1および第2所定隙間C2があることから、中間リング80と共にスリーブ20が軸方向に移動しても、スリーブ本体21が第1筒状凸部6aまたは第2筒状凸部7aに衝突することはない。

0083

さらにまた、本実施形態では、図2に示すように、第1回転密封環31の内径R1aと、第2回転密封環41の内径R2aとが、略同一である。また、第1回転密封環31が軸方向に移動自在に装着される位置に対応するスリーブ20の第1外周面21a外径と、第2回転密封環51が軸方向に移動自在に装着される位置に対応するスリーブ20の第2外周面21bの外径とが、略同一である。

0084

このように構成することで、中間室70内の流体に基づく第1回転密封環31および第2回転密封環51に作用する圧力作用径が略同一となり、両者に作用するスラスト力が相殺され、スラスト力のアンバランスを防止することができる。

0085

また本実施形態では、第2回転密封環51とスリーブ20の外周面との間の段差状凹部56には、Oリング52が軸方向に沿って移動自在に装着してある。このように構成することで、中間室70の圧力がケーシング8の外部の機外側OSの海水圧力よりも高い場合でも、その逆でも、第2回転密封環51を第2静止密封環61に押し付けることが可能になり、第2シール部50の密封性を維持することができる。

0086

図5に示すように、たとえば中間室70内に油を供給する油供給ユニットが正常である場合には、機外OSに位置する海水の圧力よりも、中間室70の内部圧力を0.1〜0.2MPa程度に高くすることができる。その場合には、中間室70の内部圧力が、段差状凹部56に作用して、Oリング52を、段差状凹部56の内部で第2回転摺動面51aの方向に移動させる。その結果、中間室70の内部圧力により、第2回転密封環51を第2静止密封環61に対して押し付ける。

0087

また、図6に示すように、たとえば中間室内に油を供給する油供給ユニットが停止した場合などのように、機外OSに位置する海水の圧力が中間室70の内部圧力よりも高い場合がある。このような場合には、第2所定隙間C2を通過する海水は、第2回転密封環51の内周面とスリーブ20の第2外周面21bとの間の隙間を通り、段差状凹部56に導かれる。その結果、Oリング52を、段差状凹部56の内部で第2回転摺動面51aから離れる方向に移動させる。その結果、段差状凹部56に導入された海水の圧力により、第2回転密封環51を第2静止密封環61に対して押し付ける。

0088

このように、いずれの場合でも、第2回転密封環51を第2静止密封環61に押し付けることが可能になり、第2シール部50の密封性を維持することができる。

0089

さらにまた、図2に示すように、本実施形態では、第1筒状凸部6aの外径と、第2筒状凸部7aの外径とが、略同一であり、第1静止密封環41の内径R1bと、第2静止密封環61の内径R2bとが、略同一である。このように構成することで、第1静止密封環41および第2静止密封環61に作用する圧力作用径が略同一となり、両者に作用するスラスト力が相殺され、スラスト力のアンバランスを防止することができる。さらに本実施形態では、内径R1aおよびR2aは、内径R1bおよびR2bとも略同一であり、この点からも、スラスト力のアンバランスを防止することができる。

0090

また本実施形態では、第1静止密封環41と第1筒状凸部6aとの間には、単一のOリング42が介在してあり、第1筒状凸部6aの外周で第1静止密封環41をフロート式に保持してある。また第2静止密封環61と第2筒状凸部7aとの間にも、単一のOリング62が介在してあり、第2筒状凸部7aの外周で第2静止密封環61をフロート式に保持している。

0091

このように構成することで、第1静止密封環41および第2静止密封環61は、Oリング42,62を回動中心としてそれぞれ傾くことが可能になり、回転軸2が多少傾いたり偏心したりしても、第1シール部30および第2シール部50の密封性能が低下することはない。このような観点から、第1回転密封環31および第2回転密封環51に関しても、それらの内周側に、それぞれ単一のOリング32,52が装着してあり、それらをフロート式に保持してある。

0092

また本実施形態では、図1に示すように、ハウジング8は、シールカバー6とシールケース7とから成り、カートリッジ式に、機器のケーシング3に取り付けられる。また、第1シール部30の内周側に、ケーシング3内部の空気が位置し、第2シール部50の内周側に、ケーシング8外部の海水が位置するように、ハウジング8の内部に第1静止密封環41と第2静止密封環61が取り付けてある。

0093

このようにカートリッジ式に構成することで、機器のケーシング3などへのダブルメカニカルシール装置10の取付やメンテナンスが容易になる。また、第1シール部30の内周側に、ケーシング8内部の空気が位置し、第2シール部50の内周側に、ケーシング8外部の海水が位置するため、第1シール部30の圧力作用径と、第2シール部50の圧力作用径とを略同一に構成することが容易である。

0094

なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば、機外OSに存在する流体としては、海水に限らず、その他の液体や気体であっても良い。機内ISに存在する流体としては、空気に限らず、その他のガスであっても良い。また、上述した実施形態では、機内ISの圧力が機外OSに比較して低い場合に用いられるダブルメカニカルシール装置について説明したが、その逆であっても良い。

0095

2…回転軸(シャフト)
3…ケーシング
3a…軸孔部
3b…端面
4…Oリング
5a,5b…ボルト
6…カバープレート(ハウジングの一部)
6a…第1筒状凸部
6b…第1軸方向端面
7…シールケース(ハウジングの一部)
7a…第2筒状凸部
7b…第2軸方向端面
8…ハウジング
9…Oリング
10…ダブルメカニカルシール装置
12…ハブ
14…スリーブカラー
16,18…ボルト
20…スリーブ
21…スリーブ本体
21a…第1外周面
21b…第2外周面
22…テーパ面
23…大径部
24,25…Oリング
26a,26b…延長筒部
30…第1シール部
31…第1回転密封環
31a…第1回転摺動面
32…Oリング
33…ノックピン
34…係合孔
36…段差状凹部
40…第1加圧リング
40a…前面
40b…背面
41…第1静止密封環
41a…第1静止摺動面
42…Oリング
43…ノックピン
44…係合孔
46…段差状凹部
48…アダプタ
50…第2シール部
51…第2回転密封環
51a…第2回転摺動面
52…Oリング
53…ノックピン
54…係合孔
56…段差状凹部
60…第2加圧リング
60a…前面
60b…背面
61…第2静止密封環
61a…第2静止摺動面
62…Oリング
63…ノックピン
64…係合孔
66…段差状凹部
68…アダプタ
70…中間室
72…油供給口
80…中間リング
81…ボルト
82…スプリング用貫通孔
84,85…駆動孔
84a,85a…操作孔
86…スプリング
88…駆動用ボルト
89…駆動用ボルト
IS…機内側
OS… 機外側

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