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※この項目の情報は公開日時点(2018年3月22日)のものです。
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概要
背景
六価クロムによる汚染は大きな社会問題となっている。具体的には、六価クロムは、IARC(国際がん研究機関)によれば、グループ1(ヒトに対し発がん性を示す)に分類しており、鼻中隔穿孔やがん等は急性的ではなく、長い年月の後に発症するとされている。そして、六価クロムによる汚染は、土壌、地下水、ため池、貯水槽、水田、ハウス栽培の用水などの人間が直接手を触れる環境に広まりつつあるため、六価クロムの低減や除去のための手段について様々な観点より検討されている。
そして、本発明者は、環境への悪影響がなく、土壌を肥沃化することができ、確実に六価クロムを低減することができ六価クロム低減剤を提案している(特許文献1)。
一方、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、熱に対して安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れているため、加熱や冷却用媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に用いられてきた。しかしながら、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、脂肪組織に蓄積しやすく、発癌性があり、皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすという毒性の高さが社会問題化しており、各所で保管されているPCB廃棄物の処理と汚染土壌対策が急務になっている。
概要
目的
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、土壌やコンクリートなどに含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)や鉛などの重金属を低減することができるPCBおよび重金属の低減剤を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
請求項2
請求項3
さらに、カルボキシメチルセルロースを含むことを特徴とする請求項1または2のPCBおよび重金属の低減剤。
請求項4
請求項5
さらに、クエン酸を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかのPCBおよび重金属の低減剤。
請求項6
請求項7
さらに、リン酸を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかのPCBおよび重金属の低減剤。
請求項8
請求項9
前記重金属は、鉛またはヒ素であることを特徴とする請求項1から8のいずれかのPCBおよび重金属の低減剤。
技術分野
背景技術
0002
六価クロムによる汚染は大きな社会問題となっている。具体的には、六価クロムは、IARC(国際がん研究機関)によれば、グループ1(ヒトに対し発がん性を示す)に分類しており、鼻中隔穿孔やがん等は急性的ではなく、長い年月の後に発症するとされている。そして、六価クロムによる汚染は、土壌、地下水、ため池、貯水槽、水田、ハウス栽培の用水などの人間が直接手を触れる環境に広まりつつあるため、六価クロムの低減や除去のための手段について様々な観点より検討されている。
0003
そして、本発明者は、環境への悪影響がなく、土壌を肥沃化することができ、確実に六価クロムを低減することができ六価クロム低減剤を提案している(特許文献1)。
0004
一方、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、熱に対して安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れているため、加熱や冷却用媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に用いられてきた。しかしながら、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、脂肪組織に蓄積しやすく、発癌性があり、皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすという毒性の高さが社会問題化しており、各所で保管されているPCB廃棄物の処理と汚染土壌対策が急務になっている。
先行技術
0005
特開2016-121251号公報
発明が解決しようとする課題
0006
しかしながら、特許文献1の六価クロム低減剤は、六価クロム低減効果に優れているものの、ポリ塩化ビフェニル(PCB)や鉛などの重金属に対する低減効果についてはこれまで十分な検討がなされてこなかった。
0007
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、土壌やコンクリートなどに含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)や鉛などの重金属を低減することができるPCBおよび重金属の低減剤を提供することを課題としている。
課題を解決するための手段
0008
上記の課題を解決するために、本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、植物系材料を含むことを特徴としている。
0010
このPCBおよび重金属の低減剤では、さらに、カルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
0012
このPCBおよび重金属の低減剤では、さらにクエン酸を含むことが好ましい。
0013
このPCBおよび重金属の低減剤では、さらにカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
0015
このPCBおよび重金属の低減剤では、さらにリン酸を含むことが好ましい。
0017
このPCBおよび重金属の低減剤では、重金属は、鉛またはヒ素であることが好ましい。
発明の効果
0018
本発明のPCBおよび重金属の低減剤によれば、環境への悪影響がなく、土壌やコンクリートなどに含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)や鉛などの重金属を低減することができる。
0019
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、植物系材料を含んでおり、土壌やコンクリートなどに添加することで、ポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」と記載する)や鉛などの重金属を低減することができる。
0020
植物系材料は、植物由来のセルロースを含むものを例示することができ、具体的には、例えば、大豆、小麦、そば、コーンスターチ、きなこ、ほうれん草、お茶、にんじん、大根などの植物粉末のうちの1種または2種以を例示することができる。なかでも、PCBおよび重金属の低減効果に優れ、肥料成分としても優れている大豆粉末、コーンスターチが特に好ましく例示される。また、例えば大豆粉末の場合、加熱処理を施し、脱脂したものがより好適である。なお、植物粉末の粒子の大きさは特に限定されず、適宜設定することができる。
0021
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、植物系材料を有効成分としているため、使用による環境への悪影響がない。そして、植物系材料によって確実に、PCBおよび重金属の低減を低減することができる。さらに、植物系材料は肥料成分としての作用するため土壌を肥沃化することができ、畑や水田などの農業用地への使用に適している。
0022
また、本発明の低減剤が対象とする重金属には、六価クロム、鉛、ヒ素、カドミウム、シアン、総水銀、アルキル水銀、セレン、フッ素、ホウ素などが含まれ、例えば鉛やヒ素などに対しては、キレート効果によって土壌などから高濃度で溶出させることができるため、この溶出液を処理することで、土壌などに含まれる鉛やヒ素などの重金属を低減することができる。
0023
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、植物系粉末に加え、アスコルビン酸またはエリソルビン酸のうちの少なくともいずれかを含むことが好ましい。これによって、重金属低減効果を高めることができる。アスコルビン酸およびエリソルビン酸は併用することもできる。アスコルビン酸は還元効果が強く安定性も高い。エリソルビン酸は、アスコルビン酸の異性体であり、溶解性は低いが防腐作用が強く、後述する植物系材料(例えば大豆粉末など)の酸化防止、腐敗抑制剤としても効果を発揮する。アスコルビン酸並びエリソルビン酸の配合量は、アスコルビン酸の範囲は、0.1重量%〜33重量%の範囲内、エリソルビン酸にあっては、0.1重量%〜16重量%の範囲内とすることが好ましい。
0024
植物系材料とアスコルビン酸またはエリソルビン酸とによって相乗的にPCB低減効果および重金属低減効果が向上する。
0025
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、さらにクエン酸を含むことが好ましい。
0026
クエン酸は、アスコルビン酸又は、エリソルビン酸と同様に酸性を示し、溶解性が高い物質である。クエン酸自体も若干の六価クロム低減効果を有しているが、特に、クエン酸を混合することで、アスコルビン酸またはエリソルビン酸による六価クロムの三価クロムへの移行反応を安定化させる反応安定剤として機能する。クエン酸は、水への溶解度がおよそ73 g/100 mlであり、クエン酸の好ましい配合量としては、0.1重量%〜42重量%の範囲内を例示することができる。
0027
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、さらにカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
0028
カルボキシメチルセルロースは水溶性のセルロースであり、アスコルビン酸又は、エリソルビン酸を含む本発明のPCBおよび重金属の低減剤に配合することでPCB低減効果および重金属低減効果を高めることができる。
0029
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、さらに疎水性セルロースまたはアガロースを含むことが好ましい。疎水性セルロースまたはアガロースを配合することで分散性が向上するため、PCB低減効果および重金属低減効果を高めることができる。
0030
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、さらにリン酸を含むことが好ましい。リン酸は、PCB低減効果および重金属低減効果を妨げることはないため、畑や水田などの農業用地の肥料成分としての効果が期待できる。
0031
本発明のPCBおよび重金属の低減剤には、肥料成分の微量必須元素である亜鉛、銅を配合することもでき、肥料成分としての効果と酸化抑制効果、腐敗防止効果を付与することができる。具体的には、硫酸亜鉛、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅などを例示することができるが、溶解度が高く、他の成分に影響が少ない硫酸銅(5水和物)、硫酸亜鉛(7水和物)が好適である。
0032
本発明のPCBおよび重金属の低減剤には、マグネシウムを配合することもできる。この場合、溶解度の高い硫酸マグネシウムを例示することができ、これによって、酸化抑制効果、腐敗防止効果を高めることができる。
0033
本発明のPCBおよび重金属の低減剤には、公知のpH調整剤を配合することができる。具体的には、pH調整剤としては、例えば水酸化ナトリウム一水和物、水酸化カリウム、水酸化リチウム一水和物、エチレンジアミン四酢酸などを例示することができ、なかでも、水酸化ナトリウム一水和もしくはエチレンジアミン四酢酸が好ましい。
0034
その他、本発明のPCBおよび重金属の低減剤には、ペプトン、アガー、ポリペプトン、寒天、ゼラチン、アルギンニン、タピオカデンプンなどの天然のデンプンやバイオガム、グアーガム、キタンサンガムなどを適宜配合することができる。
0035
以下、本発明のPCBおよび重金属の低減剤について実施例とともに詳しく説明するが、本発明のPCBおよび重金属の低減剤は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
0036
<実施例1>含有成分および配合例
本発明のPCBおよび重金属の低減剤は、例えば、以下の表1に記載した含有成分および配合を例示することができる。
0037
0038
特許文献1に記載されているように、このような配合によれば、アスコルビン酸(またはエリソルビン酸)、クエン酸、セルロースによる相乗効果によって優れた六価クロム低減効果を発揮することができる。
0039
<実施例2>PCB低減効果
表1に示した溶液によるPCB低減効果について検討した。具体的には、土壌にPCBを添加し、PCBの土壌溶出試験の濃度が約0.050mg/Lに調整した模擬汚染土壌(ブランク)を作成し、以下の条件によるPCB低減効果を確認した。なお、PCBの測定方法は、S48 環境庁告示13号産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法に沿って行った。
0041
条件2:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を200倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比1.0%)。
0042
条件3:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を100倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比2.0%)。
0043
結果を表2に示す。
0044
0045
表2に示したように、表1の溶液によれば、模擬汚染土壌から溶出するPCBが低下すること確認された。また、土壌中のPCB濃度は、0.003mg/Lが好ましい基準値とされているが、条件3の場合、この基準値以下にまでPCBが低減されることが確認された。
0046
<実施例3>鉛低減効果
表1に示した溶液による鉛(Pb)の低減効果について検討した。具体的には、土壌に鉛(Pb)を添加し、鉛(Pb)の土壌溶出試験の濃度が約0.10mg/Lに調整した模擬汚染土壌(ブランク)を作成し、以下の条件によるPCB低減効果を確認した。なお、鉛(Pb)の測定方法は、JIS K 0102-54.3に沿って行った。
0047
条件1:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を400倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比0.5%)。
0048
条件2:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を200倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比1.0%)。
0049
条件3:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を100倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比2.0%)。
0050
結果を表3に示す。
0051
0052
表3に示したように、表1の溶液によれば、キレート効果によって模擬汚染土壌から鉛(Pb)が溶出し、土壌から鉛(Pb)が低減されること確認された。また、添加される溶液の濃度が高まるに従って高濃度で鉛(Pb)が溶出することが確認された。
0053
<実施例4>ヒ素低減効果
表1に示した溶液によるヒ素(As)の低減効果について検討した。具体的には、土壌にヒ素(As)を添加し、ヒ素(As)の土壌溶出試験の濃度が約0.10mg/Lに調整した模擬汚染土壌(ブランク)を作成し、以下の条件によるPCB低減効果を確認した。なお、ヒ素(As)の測定方法は、JIS K 0102-61.3に沿って行った。
0054
条件1:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を400倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比0.5%)。
0055
条件2:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を200倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比1.0%)。
0056
条件3:模擬汚染土壌10gに対し、表1に記載した溶液を100倍に希釈したものを20g加えて1時間振とうし、24時間放置後、乾燥したものを溶出操作に用いた(土壌対比2.0%)。
0057
結果を表4に示す。
0058
実施例
0059
表4に示したように、表1の溶液によれば、キレート効果によって模擬汚染土壌からヒ素(As)が溶出し、土壌からヒ素(As)が低減されること確認された。また、添加される溶液の濃度が高まるに従って高濃度でヒ素(As)が溶出することが確認された。