図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
近年、石油に代えて、石炭やバイオマス、タイヤチップなどの未利用燃料等の原料をガス化して合成ガスを生成する技術が開発されている。このようにして生成された合成ガスは、発電システムや、水素の製造、合成燃料(合成石油)の製造、化学肥料(尿素)等の化学製品の製造等に利用されている。合成ガスの原料のうち、特に石炭は、可採年数が100年程度と、石油の可採年数の2倍以上であり、また、石油と比較して埋蔵地が偏在していないため、長期に亘り安定供給が可能な天然資源として期待されている。
従来、石炭のガス化プロセスは、酸素や空気を用いて部分酸化することにより行われていた。しかし、従来のガス化プロセスは、2000℃といった高温で部分酸化する必要があるため、ガス化炉のコストが高くなるといった欠点を有していた。
この問題を解決するために、水蒸気を利用し、700℃〜900℃程度で石炭をガス化する技術(水蒸気ガス化)が開発されている。この水蒸気ガス化技術では、温度を低く設定することでコストを低減することが可能となる。しかし、生成された合成ガスには、2000℃の高温で部分酸化して生成した合成ガスと比較して、タールが多く含まれる。したがって、水蒸気ガス化によって生成された合成ガスを利用するプロセスにおいて合成ガスの温度が低下すると、合成ガスに含まれるタールが凝縮し、配管の閉塞、プロセスで使用する機器の故障、触媒の被毒等の問題が生じてしまう。
そこで、合成ガスを触媒に接触させ、触媒でタールを改質することで、合成ガスに含まれるタールを除去する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術では、合成ガスを触媒の活性温度まで上昇させるために、合成ガスに酸化剤を供給して合成ガスの一部を燃焼させている。
概要
煤の発生量を低減する。タール改質装置200は、少なくとも合成ガスGG1および酸化剤(酸素、空気)を含む予混合気KGが通過するダクト210と、ダクト210内に設けられた邪魔板264と、を備える。これにより、急激な温度上昇を回避することができ、煤の発生量を低減して、予混合気KGを昇温することが可能となる。したがって、昇温された予混合気KGを改質する触媒間に形成される流路や、配管、タール改質装置200の後段に配される精製装置を構成する機器等が煤によって閉塞されてしまう事態を回避しつつ、合成ガスGG1に含まれるタールを改質して除去することができる。
目的
本開示は、このような課題に鑑み、煤の発生量を低減することが可能なタール改質装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
近年、石油に代えて、石炭やバイオマス、タイヤチップなどの未利用燃料等の原料をガス化して合成ガスを生成する技術が開発されている。このようにして生成された合成ガスは、発電システムや、水素の製造、合成燃料(合成石油)の製造、化学肥料(尿素)等の化学製品の製造等に利用されている。合成ガスの原料のうち、特に石炭は、可採年数が100年程度と、石油の可採年数の2倍以上であり、また、石油と比較して埋蔵地が偏在していないため、長期に亘り安定供給が可能な天然資源として期待されている。
0003
従来、石炭のガス化プロセスは、酸素や空気を用いて部分酸化することにより行われていた。しかし、従来のガス化プロセスは、2000℃といった高温で部分酸化する必要があるため、ガス化炉のコストが高くなるといった欠点を有していた。
0004
この問題を解決するために、水蒸気を利用し、700℃〜900℃程度で石炭をガス化する技術(水蒸気ガス化)が開発されている。この水蒸気ガス化技術では、温度を低く設定することでコストを低減することが可能となる。しかし、生成された合成ガスには、2000℃の高温で部分酸化して生成した合成ガスと比較して、タールが多く含まれる。したがって、水蒸気ガス化によって生成された合成ガスを利用するプロセスにおいて合成ガスの温度が低下すると、合成ガスに含まれるタールが凝縮し、配管の閉塞、プロセスで使用する機器の故障、触媒の被毒等の問題が生じてしまう。
0005
そこで、合成ガスを触媒に接触させ、触媒でタールを改質することで、合成ガスに含まれるタールを除去する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術では、合成ガスを触媒の活性温度まで上昇させるために、合成ガスに酸化剤を供給して合成ガスの一部を燃焼させている。
先行技術
0006
特開2014−205582号公報
発明が解決しようとする課題
0007
上述した特許文献1の技術では、合成ガスに酸化剤を供給した際に拡散燃焼が生じ、合成ガス中の炭化水素やタールから煤が発生してしまうことがある。この場合、煤によって機器の運転等に不具合を来してしまう。
0008
本開示は、このような課題に鑑み、煤の発生量を低減することが可能なタール改質装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0010
また、前記ダクトにおける前記邪魔板の下流側に酸化剤を供給する酸化剤供給装置を備えてもよい。
0011
また、前記ダクトは、大径空間と、前記大径空間の下流端に連通され、上流側から下流側に向かって流路断面積が漸減する絞り空間と、前記絞り空間の下流端に連通され、前記大径空間より小径の小径空間と、前記小径空間の下流端に連通され、上流側から下流側に向かって流路断面積が漸増する拡大空間と、を有し、前記大径空間に前記合成ガスが導入され、前記絞り空間に酸化剤を導入して前記小径空間内で前記予混合気を生成する予混合気生成部を備え、前記酸化剤供給装置が供給する酸化剤の流量は、前記予混合気生成部が導入する酸化剤の流量より小さくてもよい。
発明の効果
0012
煤の発生量を低減することが可能となる。
図面の簡単な説明
0013
合成ガス生成装置を説明するための図である。
タール改質装置を説明するための図である。
ダクト、予混合気生成部、および、煤生成抑制装置を説明する図である。
煤生成抑制装置を説明する図である。
変形例にかかる邪魔板を説明する図である。
実施例と比較例との予混合気の温度変化を説明する図である。
実施例
0014
以下に添付図面を参照しながら、実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
0015
(合成ガス生成装置100)
図1は、合成ガス生成装置100を説明するための図である。図1に示すように、合成ガス生成装置100は、燃焼炉112と、媒体分離装置(サイクロン)114と、ガス化炉116と、タール改質装置200と、精製装置300とを含んで構成される。なお、図1中、原料の流れを破線の矢印で、ガスの流れを実線の矢印で、流動媒体(砂)の流れを一点鎖線の矢印で示す。
0016
合成ガス生成装置100では、全体として、粒径が300μm程度の硅砂(珪砂)等の砂で構成される流動媒体を熱媒体として循環させている。具体的には、まず、流動媒体は、燃焼炉112で900℃〜1000℃程度に加熱される。燃焼炉112で加熱された流動媒体は、二酸化炭素(CO2)を含む燃焼排ガスとともに媒体分離装置114に導入される。媒体分離装置114においては、高温の流動媒体と燃焼排ガスとが分離される。分離された高温の流動媒体は、ガス化炉116に導入される。そして、ガス化炉116に導入された流動媒体は、ガス化炉116の底面から導入されるガス化剤(水蒸気)によって流動層化された後、最終的に、燃焼炉112に戻される。また、媒体分離装置114で分離された燃焼排ガスは、ボイラ等で熱回収される。
0017
ガス化炉116は、例えば、循環流動層方式の一種である気泡流動層ガス化炉である。ガス化炉116は、原料を700℃〜900℃でガス化させて合成ガスを生成する。原料は、例えば、褐炭等の石炭、石油コークス(ペトロコークス)、バイオマス、タイヤチップ等の固体原料や、黒液等の液体原料である。本実施形態では、ガス化炉116に水蒸気を供給することにより、原料をガス化させて合成ガスを生成する(水蒸気ガス化)。
0018
なお、ここでは、ガス化炉116として、循環流動層方式を例に挙げて説明する。しかし、原料をガス化することができれば、ガス化炉116の構成に限定はない。例えば、ガス化炉116は、単なる気泡流動層方式や、砂が自重で鉛直下方向に流下することで移動層を形成する移動層方式であってもよい。
0019
ガス化炉116で生成された合成ガスGG1には、タール、水蒸気等が含まれている。このため、合成ガスGG1は、後述するタール改質装置200に導入され、タール改質装置200でタールが改質される。タール改質装置200においてタールが改質された合成ガスGG2は、精製装置300でさらに精製される。また、ガス化炉116において生じたチャー(原料残渣)は、流動媒体とともに燃焼炉112に導入され、燃焼炉112において燃焼される。
0020
精製装置300は、熱交換器、スプレー塔、ミストセパレータ、昇圧器、脱硫装置、脱硝装置、脱塩装置等を含んで構成され、合成ガスGG2を精製する。熱交換器は、タール改質装置200から送出された合成ガスGG2を冷却する。スプレー塔は、熱交換器で冷却された合成ガスに水を噴霧して残留タールやスラッジを除去する。ミストセパレータは、合成ガスに霧状の水を噴霧して残留タールやスラッジをさらに除去する。昇圧器は、残留タールやスラッジが除去された合成ガスを昇圧する。脱硫装置は、合成ガスから硫化物を除去する。脱硝装置は、合成ガスから窒化物を除去する。脱塩装置は、合成ガスから塩化物を除去する。
0021
(タール改質装置200)
続いて、タール改質装置200の具体的な構成について説明する。図2は、タール改質装置200を説明するための図であり、図3は、ダクト210、予混合気生成部220、および、煤生成抑制装置260を説明する図である。本実施形態の図2、図3をはじめ、以下の図では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。また、図2中、ガス化炉116で生成された合成ガスGG1を黒い塗りつぶしの矢印で示し、合成ガスGG1と酸化剤との予混合気KGをクロスハッチングの矢印で示し、合成ガスGG1が改質された合成ガスGG2を白抜きの矢印で示す。また、図3中、ガス化炉116で生成された合成ガスGG1を黒い塗りつぶしの矢印で示し、合成ガスGG1と酸化剤との予混合気KGをクロスハッチングの矢印で示し、酸化剤を白抜き矢印で示す。
0023
ダクト210は、ガス化炉116と、後述する改質炉230とを接続する管である。ダクト210は、図2中YZ断面がL字形状に屈曲した管であり、上流管212と、下流管214とを備える。上流管212は、鉛直方向(図2中Z軸方向)に延在した管であり、一端がガス化炉116に接続され、他端が下流管214に接続される。また、上流管212の流路断面積(図2中XY断面積、内径)は、鉛直方向に亘って略同一である。
0024
下流管214は、水平方向(図2中Y軸方向)に延在した管であり、一端が上流管212に接続され、他端が改質炉230の導入口232に接続される。図3に示すように、下流管214は、合成ガスGG1の流れ方向の上流側(上流管212側)から下流側(改質炉230側)に向かって、大径空間214a、絞り空間214b、小径空間214c、拡大空間214d、中径空間214eが内部に形成される。
0025
大径空間214aは、一端(上流端)が上流管212の内部空間に連通され、他端(下流端)が絞り空間214bに連通される。大径空間214aの流路断面積(図2中XZ断面積、径)は、水平方向に亘って略同一である。絞り空間214bは、一端(上流端)が大径空間214aの下流端に連通され、他端(下流端)が小径空間214cに連通される。絞り空間214bは、一端から他端に向かうに従って流路断面積(図2中XZ断面積、径)が漸減するように構成される。小径空間214cは、一端(上流端)が絞り空間214bの下流端に連通され、他端(下流端)が拡大空間214dに連通される。小径空間214cの流路断面積(図2中XZ断面積、径)は、絞り空間214bの他端の流路断面積と実質的に等しく、水平方向に亘って略同一である。
0026
拡大空間214dは、一端(上流端)が小径空間214cの下流端に連通され、他端(下流端)が中径空間214eに連通される。拡大空間214dは、一端から他端に向かうに従って流路断面積(図2中XZ断面積、径)が漸増するように構成される。なお、拡大空間214dの一端の流路断面積は、小径空間214cの流路断面積と実質的に等しい。中径空間214eは、一端(上流端)が拡大空間214dの下流端に連通され、他端(下流端)が改質炉230の導入口232に連通される。中径空間214eの流路断面積(図2中XZ断面積、径)は、拡大空間214dの他端の流路断面積と実質的に等しく、水平方向に亘って略同一である。
0027
予混合気生成部220は、下流管214における絞り空間214bに酸化剤を高速(例えば、139m/s程度)で吹き込む。具体的に説明すると、予混合気生成部220は、ノズル222を含んで構成され、ノズル222の先端が絞り空間214bに位置するように設けられる。ここで、酸化剤は、例えば、酸素、空気である。
0028
予混合気生成部220が下流管214内に酸化剤を吹き込むと、エジェクタ効果により、小径空間214cが低圧となる。そうすると、ガス化炉116から下流管214内に合成ガスGG1(例えば、800℃程度)が混合され(例えば、4.8m/s程度)、下流管214内において合成ガスGG1と酸化剤との予混合気KGが生成されることとなる。
0029
なお、下流管214の内部空間(大径空間214a、絞り空間214b、小径空間214c、拡大空間214d、中径空間214e)は、予混合気KG中の合成ガスGG1と酸化剤との急激な燃焼反応によって生じる火炎の伝播速度より大きい流速で予混合気KGが流れるように設計される。これにより、火炎の発生を防止(急激な温度上昇を回避)して煤の発生を防止しつつ、逆火(火炎が上流側に伝播する現象)を防止することができる。
0030
こうして生成された予混合気KGは、絞り空間214bにおいて流速が高くなり(例えば、17m/s程度)、拡大空間214dにおいて流速が低くなった(例えば、8.8m/s程度)後、改質炉230に導入されることとなる。
0031
図2に戻って説明すると、改質炉230は、円筒形状の外壁部230aと、外壁部230aの上面を構成する上壁部230bと、外壁部230aの下面を構成する下壁部230cとを含んで構成される。改質炉230は、外壁部230aの軸が鉛直方向(図2中Z軸方向)となるように設けられる。外壁部230aには、合成ガスGG1と酸化剤との予混合気KGが導かれる導入口232と、導入口232の下方に設けられ、改質炉230内で改質された合成ガスGG2が通過する送出口234が設けられている。したがって、改質炉230における導入口232と送出口234との間には、予混合気KG、合成ガスGG2が流通する流通路236が形成される。予混合気KGは、導入口232から送出口234に向かって流通路236を流れることとなる。
0032
なお、流通路236の流路断面積(図2中XY断面積)は、中径空間214eの流路断面積より大きいため、導入口232から改質炉230内に導入された予混合気KGの流速は低くなる(例えば、1.9m/s程度)。そうすると、予混合気KG中の合成ガスGG1と酸化剤との燃焼反応が急激に促進されて火炎が生じ、予混合気KGの温度が、後述する触媒保持部250の活性温度程度まで上昇することとなる。
0033
流路断面積変更部240は、外壁部230aの内周面における導入口232と送出口234との間に設けられた環形状の部材である。流路断面積変更部240は、上壁部230bから下壁部230cに向かって、流通路236の流路断面積を漸減させる絞部242aと、絞部242aから下壁部230cに向かって流路断面積が実質的に一定となる頂部242bと、頂部242bから下壁部230cに向かって流路断面積を漸増させる拡大部242cとを含んで構成される。
0034
流路断面積変更部240を備える構成により、拡大部242cの下方において、予混合気KGを再循環させることができる。このため、合成ガスGG1と酸化剤との燃焼反応を促進させることが可能となる。したがって、予混合気KG中の酸化剤が未反応のまま触媒保持部250に流入してしまう事態を回避することができ、煤の発生を低減して、予混合気KGを昇温する(合成ガスGG1と酸化剤との燃焼反応を促進させる)ことが可能となる。
0035
触媒保持部250は、タールの改質を促進する触媒を流通路236内に保持する。ここで、触媒は、少なくともNi(ニッケル)を含んで構成される。触媒は、活性温度の環境(雰囲気)下において、予混合気KGと接触することで、予混合気KG中のタールを改質することができる。
0036
こうして、触媒保持部250によってタールが改質(除去)された合成ガスGG2は、送出口234を通じて、上記精製装置300に供給されることとなる。
0037
上記したように、導入口232から改質炉230内に予混合気KGが導入されると、流速の低下により、改質炉230において急激な温度上昇(火炎)が生じる。そうすると、合成ガスGG1中の炭化水素やタールが煤になってしまうことがある。この場合、煤によって、触媒間の流路や配管が閉塞したり、精製装置300を構成する機器が故障したりする等の問題が生じるおそれがある。
0038
そこで、本実施形態のタール改質装置200では、煤生成抑制装置260を備える。煤生成抑制装置260は、供給管(酸化剤供給装置)262と、邪魔板264とを含んで構成される。
0039
図4は、煤生成抑制装置260を説明する図である。図4(a)は、図3におけるIVa−IVa線断面図であり、図4(b)は煤生成抑制装置260の拡大図であり、図4(c)は煤生成抑制装置260の斜視図である。なお、図4(a)中、予混合気KGを実線の矢印で示し、酸化剤を破線の矢印で示す。また、図4(a)中、理解を容易にするために、予混合気生成部220を省略する。
0040
図4(a)に示すように、供給管262は、先端が小径空間214cに位置するように配される。また、図4(b)、図4(c)に示すように、供給管262の先端近傍には、開口262aが形成されており、開口262aが下流側(導入口232側)に臨むように設置される。供給管262は、開口262aを通じて酸化剤を下流管214内に供給する。供給管262が供給する酸化剤の流量(単位時間あたりの導入量)は、上記予混合気生成部220が導入する酸化剤の流量より小さく、例えば、1/10程度である。つまり、供給管262は、予混合気KG中の酸化剤より、少量の酸化剤を予混合気KGに供給する。
0041
邪魔板264は、水平断面(図4中XY断面)がV字形状の板であり、頂部264aが上流側(大径空間214a側)に配されるように小径空間214cに設置される。本実施形態において、邪魔板264は、供給管262に溶接されることで固定される。具体的に説明すると、邪魔板264の頂部264aが供給管262の開口262aの上流側に配されるように、供給管262に固定される。つまり、邪魔板264の下流側から酸化剤が供給されることとなる。なお、邪魔板264の大きさに限定はないが、例えば、小径空間214cの流路断面積の1/2を占有する程度の大きさである。
0042
邪魔板264を備える構成により、邪魔板264の上流側を流れる予混合気KGが邪魔板264に衝突し、邪魔板264の下流側で予混合気KGを再循環させることができる。つまり、邪魔板264の下流側に、予混合気KGの主な流れと逆方向の渦が形成され、予混合気KGの一部の流速を低下させることが可能となる。これにより、下流管214内における邪魔板264の下流側において予混合気KG中の合成ガスGG1と酸化剤との燃焼反応を、火炎が生じない程度に進行させることができる。したがって、下流管214内において、急激な温度上昇を回避して(火炎を発生させずに)、予混合気KGを昇温することが可能となる。
0043
そして、予混合気KGは、下流管214内において酸化剤が一部消費された後に改質炉230に導入されることになる。したがって、邪魔板264を備えない構成と比較して、改質炉230に導入される予混合気KG中の合成ガスGG1(未反応)および酸化剤(未反応)の量が少なくなる。これにより、改質炉230において予混合気KGの流速が低下しても、急激な燃焼反応を抑制することができ、火炎の発生を抑制することが可能となる。したがって、煤の発生量を低減することができる。
0044
また、仮に邪魔板264の設置のみで燃焼反応が進行しなかった場合に、供給管262が少量の酸化剤を供給することにより、下流管214内において燃焼反応を進行させることが可能となる。
0045
以上説明したように、本実施形態にかかるタール改質装置200によれば、煤生成抑制装置260を備える構成により、煤生成抑制装置260を備えない構成と比較して、予混合気KGの温度上昇(燃焼反応)を多段化させることができ、急激な温度上昇(火炎の発生)を抑制することが可能となる。したがって、本実施形態にかかるタール改質装置200は、煤の発生量を低減しつつ、合成ガスGG1(予混合気KG)の温度を上昇させることができる。
0046
(変形例)
上記実施形態では、邪魔板264を、水平断面(図4中XY断面)がV字形状の板で構成する例について説明した。しかし、邪魔板264は、予混合気KGの一部の流速を低下させる(再循環領域を形成する)ことができれば、構成に限定はない。
0047
図5は、変形例にかかる邪魔板を説明する図である。図5(a)は、第1の変形例にかかる邪魔板264の水平断面図を示し、図5(b)は、第1の変形例にかかる邪魔板264の斜視図を示す。図5(c)は、第2の変形例にかかる邪魔板264の水平断面図を示し、図5(d)は、第2の変形例にかかる邪魔板264の斜視図を示す。
0048
例えば、図5(a)、(b)に示すように、邪魔板264を、水平断面(図5中XY断面)が半円形状の板で構成してもよい。また、図5(c)、(d)に示すように、邪魔板264を、三角錐で構成してもよい。また、単なる平板で邪魔板264を構成してもよい。
0049
(下流管214、流通路236、触媒保持部250の温度変化について)
上記タール改質装置200を用いた場合の予混合気KGの温度変化(実施例)と、煤生成抑制装置260を備えないタール改質装置を用いた場合の予混合気KGの温度変化(比較例)とについてシミュレーションを行った。
0050
図6は、実施例と比較例との予混合気KGの温度変化を説明する図である。なお、図6中、実施例を実線で、比較例を破線で示す。また、実施例における邪魔板264までの温度変化と、流路断面積変更部240以降の温度変化については、比較例と同様であるため、図6中、記載を省略する。
0051
図6に示すように、比較例では、ダクト210において、予混合気KGの温度は殆ど上昇しない。しかし、改質炉230に導入されると、予混合気KGの温度は急激な燃焼反応により煤が生成される温度(煤生成温度)まで上昇する。そして、予混合気KGの温度が一旦低下した後、流路断面積変更部240に到達すると、再度、予混合気KGの温度が上昇する。その後、予混合気KGの温度は低下するものの、触媒保持部250においては活性温度以上に維持されている。
0052
一方、実施例では、ダクト210における邪魔板264の下流側において、予混合気KGの温度が上昇する。しかし、比較例とは異なり、予混合気KGの温度は、煤生成温度にまでは到達しない。そして、予混合気KGの温度が一旦低下した後、改質炉230に導入されると、予混合気KGの温度が上昇する。しかし、改質炉230に導入されても、比較例とは異なり、一部の酸素が既に消費されているため、予混合気KGの温度は、煤生成温度にまでは到達しない。そして、予混合気KGの温度が一旦低下した後、流路断面積変更部240に到達すると、再度、予混合気KGの温度が上昇する。その後、予混合気KGの温度は低下するものの、触媒保持部250においては活性温度以上に維持されている。
0053
このように、シミュレーション結果からも、実施例では煤生成温度まで予混合気KGの温度が上昇しないことが確認された。
0054
以上説明したように、本実施形態にかかるタール改質装置200によれば、煤生成抑制装置260を設置するだけといった簡易な構成で、煤の発生量を低減しつつ、合成ガスGG1の温度を触媒保持部250の活性温度まで上昇させることが可能となる。したがって、触媒間に形成される流路や、配管、精製装置300を構成する機器等が煤によって閉塞されてしまう事態を回避しつつ、合成ガスGG1に含まれるタールを改質して除去することができる。
0055
また、上述したように、ガス化炉116では、水蒸気ガス化を行っているため、ガス化炉116で生成された合成ガスGG1には水蒸気が多く(例えば、50%程度)含まれている。したがって、合成ガスGG1に触媒を接触させることで、混合ガス中のタールと水蒸気とを反応させることができ、タールを、水素(H2)、一酸化炭素(CO)等に改質することが可能となる。
0056
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に技術的範囲に属するものと了解される。
0057
例えば、上記実施形態において、煤生成抑制装置260が酸化剤供給装置(供給管262)を備える構成を例に挙げて説明した。しかし、煤生成抑制装置260は、少なくとも、邪魔板264を備えていればよい。
0058
また、上記実施形態において、供給管262の先端が小径空間214cに位置する構成を例に挙げて説明した。しかし、供給管262は、拡大空間214d、または、中径空間214eに位置してもよい。
0059
また、上記実施形態において、流路断面積変更部240を備える構成を例に挙げて説明したが、流路断面積変更部240は必須の構成ではない。また、流路断面積変更部240を複数備える構成であってもよい。
0060
また、上記実施形態において、触媒として、少なくともNiを含む触媒を例に挙げて説明した。しかし、混合ガス中のタールを改質して、タールを除去することができれば、触媒の材質に限定はない。例えば、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、および、Si(ケイ素)の群から選択される1または複数の元素の酸化物または炭酸塩であり、例えば、ドロマイト、カンラン石、褐鉄鉱、石灰石といった天然鉱石を触媒として用いてもよい。つまり、Ca、Mg、Fe、および、Siの群から選択される1または複数を含む触媒を採用してもよい。
0061
本開示は、合成ガス中のタールを改質するタール改質装置に利用することができる。
0062
200タール改質装置
210ダクト
214a 大径空間
214b絞り空間
214c小径空間
214d拡大空間
220予混合気生成部
262供給管(酸化剤供給装置)
264 邪魔板