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技術 抗ポルフィロモナス・ジンジバリス組成物

出願人 サンスター株式会社
発明者 上崎聖子水道裕久今中宏真
出願日 2016年9月16日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-182196
公開日 2018年3月22日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2018-043965
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 医薬品製剤 食品の着色及び栄養改善
主要キーワード 関与成分 食品用原料 臨床検査センター 介護食 歯肉溝滲出液 チモステロール コーティング物 微粒二酸化ケイ素
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月22日)のものです。
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図面 (4)

課題

ポルフィロモナスジンジバリス(P.g)を抑制及び/又は除去できる新規で簡便な手段を提供すること。

解決手段

ラクトフェリンを有効成分として含む、抗ポルフィロモナス・ジンジバリス経口組成物

概要

背景

ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g)は、口腔内に存在する。P.gは歯周病病原菌の1種として知られており、口腔内ケアのためには当該菌を抑制・除去することが重要である。

また、ラクトフェリン(Lactoferrin:LF)は、分子量約8万の鉄結合性蛋白質である。LFは1本鎖のポリペプチドに2本の糖鎖が結合した構造からなり、分子内にFe3+を2個結合することができる。LFはヒトを含む哺乳動物乳汁唾液涙液などの外分泌液、粘液好中球および消化管粘膜細胞表面などに存在する。

LFは、抗菌作用抗ウイルス作用抗酸化作用など、様々な効果を奏することが知られている。例えば、大腸菌O157などグラム陰性菌に対する殺菌作用を示し、ロタウイルスによる下痢緩和するなど、腸内環境を改善する可能性が示唆されている。また例えば、バイオフィルム(特にP.gの産生するバイオフィルム)の形成抑制に用い得ることも特許文献1(特開2013−75927号公報)に開示されている。しかし、特許文献1では、LFがバイオフィルム形成を抑制できることは記載されている一方で、LFがポルフィロモナス・ジンジバリスに対する抗菌活性を有さないことが実験により示されている。

概要

ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)を抑制及び/又は除去できる新規で簡便な手段を提供すること。ラクトフェリンを有効成分として含む、抗ポルフィロモナス・ジンジバリス経口組成物。なし

目的

本発明は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)を抑制及び/又は除去できる新規で簡便な手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

請求項2

嚥下組成物である、請求項1に記載の経口組成物。

請求項3

ラクトフェリンを有効成分として含む、唾液内への免疫グロブリンA分泌促進用経口組成物

請求項4

嚥下組成物である、請求項3に記載の経口組成物。

請求項5

食品組成物又は医薬組成物である、請求項1〜4のいずれかに記載の経口組成物。

請求項6

ラクトフェリンを含んだリポソームを有効成分として含む、請求項1〜5のいずれかに記載の経口組成物。

技術分野

0001

本発明は、抗ポルフィロモナスジンジバリス組成物等に関する。

背景技術

0002

ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis:P.g)は、口腔内に存在する。P.gは歯周病病原菌の1種として知られており、口腔内ケアのためには当該菌を抑制・除去することが重要である。

0003

また、ラクトフェリン(Lactoferrin:LF)は、分子量約8万の鉄結合性蛋白質である。LFは1本鎖のポリペプチドに2本の糖鎖が結合した構造からなり、分子内にFe3+を2個結合することができる。LFはヒトを含む哺乳動物乳汁唾液涙液などの外分泌液、粘液好中球および消化管粘膜細胞表面などに存在する。

0004

LFは、抗菌作用抗ウイルス作用抗酸化作用など、様々な効果を奏することが知られている。例えば、大腸菌O157などグラム陰性菌に対する殺菌作用を示し、ロタウイルスによる下痢緩和するなど、腸内環境を改善する可能性が示唆されている。また例えば、バイオフィルム(特にP.gの産生するバイオフィルム)の形成抑制に用い得ることも特許文献1(特開2013−75927号公報)に開示されている。しかし、特許文献1では、LFがバイオフィルム形成を抑制できることは記載されている一方で、LFがポルフィロモナス・ジンジバリスに対する抗菌活性を有さないことが実験により示されている。

先行技術

0005

特開2013−75927号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)を抑制及び/又は除去できる新規で簡便な手段を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、特許文献1のようにラクトフェリンを直接P.gに作用させるのではなく、ラクトフェリンを経口摂取することによって、P.gを抑制できることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。

0008

本発明は例えば以下の項に記載の主題包含する。
項1.
ラクトフェリンを有効成分として含む、抗ポルフィロモナス・ジンジバリス経口組成物
項2.
嚥下組成物である、項1に記載の経口組成物。
項3.
ラクトフェリンを有効成分として含む、唾液内への免疫グロブリンA分泌促進用経口組成物
項4.
嚥下組成物である、項3に記載の経口組成物。
項5.
食品組成物又は医薬組成物である、項1〜4のいずれかに記載の組成物。
項6.
ラクトフェリンを含んだリポソームを有効成分として含む、項1〜5のいずれかに記載の経口組成物。

発明の効果

0009

本発明に包含されるポルフィロモナス・ジンジバリス経口組成物によれば、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)を簡便に抑制及び/又は除去することができる。さらに、本発明には唾液内への免疫グロブリンA分泌促進用経口組成物も包含され、当該組成物によれば、簡便に唾液内への免疫グロブリンA分泌を促進させることができ、ひいてはP.gを抑制及び/又は除去することができる。

図面の簡単な説明

0010

ラクトフェリン摂取群非摂取群とで、sIgA濃度(mg/dL)及びsIgA分泌速度(μg/min)に違いが有るかを検討した結果を示す。左側の2つのグラフは1標本t検定、右側2つのグラフは2標本t検定の結果を示す。*はP<0.05を、**はP<0.01を、***はP<0.001を、†はP<0.10を、それぞれ示す。
ラクトフェリン摂取群と非摂取群とで、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)に対する血漿抗体価がどう変化するかを検討した結果を示す。
ラクトフェリン摂取により歯周病患者歯茎の状態が改善されるかを検討した結果を示す。
ラクトフェリン摂取により歯周病患者の歯肉溝滲出液中炎症性サイトカインIL−6濃度がどう変化するかを検討した結果を示す。

0011

以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。

0012

本発明に包含される抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)経口組成物は、ラクトフェリンを有効成分として含む。ここでの「有効成分」は、抗P.g作用を示す成分という意味合いであり、例えば当該組成物が食品の場合(特に特定保健用食品や機能性表示食品等の場合)には、当該「有効成分」は関与成分を包含する意味として用いられる。

0013

ラクトフェリンは、特に制限されず、アポラクトフェリン天然型ラクトフェリンまたはホロラクトフェリンであってもよい。また、ラクトフェリンとしては市販品を購入して用いることもできる。例えば、森永ラクトフェリンMLF−EX(森永乳業株式会社製)を好ましく用いることができる。また、市販品の他、哺乳類(例えば、ヒト、ウシ水牛ウマヤギヒツジ等)の初乳移行乳、常乳末期乳等、これらの処理物である脱脂乳ホエー等からイオン交換クロマトグラフィー等の常法により分離したラクトフェリン、ラクトフェリンから常法により鉄を除去したアポラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛マンガン等の金属を一部キレートさせた金属結合ラクトフェリン、または前記金属を完全にキレートさせた金属飽和ラクトフェリン、等を使用することができる。 特にウシ由来又はヒト由来のラクトフェリンが好ましい。

0014

また、本発明に用いるラクトフェリンはリポソームに内包された態様であってもよい。つまり、ラクトフェリンを含んだリポソームを好ましく用いることができ、本発明はラクトフェリンを含んだリポソームを有効成分として含む、抗ポルフィロモナス・ジンジバリス経口組成物も包含する。

0015

リポソームは脂質小胞体であり、リン脂質主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成される。リポソームは水溶性薬物をその内水層に、脂溶性薬物脂質二重層へ取り込むことができ、薬物のターゲティング徐放化、副作用の軽減などを目的にDDS製剤の薬物運搬体としてその応用が試みられている。また、リポソームは生体膜の成分から構成されているため安全性が高いことも知られている。

0016

一般的に、リポソームは脂質二重層の数に基づいて分類され、多重膜リポソーム(MLV)と一枚膜リポソームに分類される。一枚膜リポソームは、そのサイズに応じて、更にSUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)、GUV(giant unilamella vesicle)などに分類される。本発明のリポソームは、これらのいずれであってもよい。好ましいのはMLVである。本発明では、リポソームの大きさは、通常30〜1000nm、好ましくは30〜600nm、より好ましくは50〜200nmである。

0017

本発明において使用されるラクトフェリンを含んだリポソームにおいて、ラクトフェリンはリポソーム膜に囲まれる空間に封入されていることが好ましいが、ラクトフェリンがリポソーム膜構成成分として含まれていてもよいし、多重膜リポソームを構成する多重膜の間に含まれていてもよいし、リポソーム膜のうちの最も外側の膜にラクトフェリンが付着又は結合する形態で含まれていてもよい。

0018

ラクトフェリンを含んだリポソームは、従来の方法により製造することができる。例えば、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量のステロールを、例えばエタノールなどの適当な有機溶媒可溶化し、減圧下に溶媒を除去し、膜脂質を作成後、これにラクトフェリンや任意の生理活性物質を含む水溶液を添加して、例えば、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌して、リポソーム懸濁液を調製することにより、ラクトフェリンを封入したリポソームを得ることができる。

0019

また、この方法とは別に、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量ステロールを少量のエタノールに溶解後、水溶液又は緩衝液に分散して予備乳化を行った後、高圧で分散させて脂質二重層を形成させてリポソーム懸濁液を調製することによってもラクトフェリンを封入したリポソームを得ることができる。

0020

得られた懸濁液に対しては、必要に応じて、リポソーム外液中のラクトフェリンを除去する操作、例えば懸濁液を濾過後,得られた濾液透析する操作を行ってもよい。

0021

リポソームの懸濁液は、液状のままでも使用できるが、凍結乾燥した乾燥物として使用することもできる。リポソームは、その乾燥物を錠剤カプセル化したものをはじめ、様々な経口摂取に適した形態とすることが可能である。

0022

ラクトフェリンを含んだリポソーム中におけるラクトフェリンの含有量は好ましくは10〜99重量%程度、より好ましくは20〜95重量%程度、さらに好ましくは30〜90重量%程度である。

0023

レシチンとしては、例えば、卵黄レシチン大豆レシチンナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチンなどを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができるがこれらに限定されない。本発明では、これらの水素添加物を用いることもできる。レシチンはホスファチジルコリン又は1,2−ジアシルグリセロール3−ホスホコリンとも称され、一般的に、グリセロールの1位及び2位に脂肪酸が結合している。本発明では、上記例示のレシチンに加えて、1位及び2位の両方又は片方炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが好ましく、1位に炭素数12〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが特に好ましい。ここで、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸は直鎖状及び分枝状のいずれでもよい。好ましい不飽和脂肪酸としては、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸を使用できる。特に2位にオレイン酸リノール酸が多く結合したレシチンが好ましい。具体的には、卵黄レシチン、大豆レシチンが好ましい。

0024

ステロールとしては、コレステロールラノステロールジヒドロラノステロール、デスモステロールジヒドロコレステロールなどの動物由来のステロール;β−シトステロールカンペステロールスティグマステロールブラシカステロール、エルゴステロールエルスタディエノールシトステロール、ブラシカステロールなどの植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、コレステロール又はフィトステロールが好ましく用いられる。

0025

リポソームにおけるレシチンとステロールのモル比は、55:45〜95:5程度が好ましく、60:40〜90:10程度がより好ましく、75:25〜85:15程度が最も好ましい。モル比がこれらの範囲にあるとリポソーム膜の安定性が向上する。

0026

ラクトフェリンを含んだリポソームにおけるレシチンの含有量は、好ましくは1〜80重量%程度、より好ましくは3〜65重量%程度、さらに好ましくは5〜50重量%程度である。

0027

ラクトフェリンを含んだリポソームにおけるステロールの含有量は、好ましくは0〜40重量%程度、より好ましくは0.1〜30重量%程度、さらに好ましくは1〜20重量%程度である。

0028

レシチン又はステロールの含有量は既知の方法で測定できる。例えば、レシチンの含有量はFiske−Subbarow法など、ステロールの含有量はHPLC比色法などによって定量できる。

0029

さらに、ラクトフェリンを含んだリポソームの表面をコーティングすることができ、このコーティング物も有効成分として利用できる。好ましいコーティングとしては、硫酸基を含有する多糖類によるコーティングがあげられる。硫酸基含有多糖類としては、フコイダンカラギーナン寒天ヘパリンなどが挙げられる。また、該硫酸基含有多糖類としては、硫酸基を含まない多糖硫酸化したものも包含され、例えば、コンドロイチン硫酸デルマタン硫酸などであってもよい。

0030

硫酸基含有多糖類としては、分子量が5000〜300000程度のものが好ましく用いられる。これらの硫酸基含有多糖類の中でもフコイダン及びカラギーナンを好ましく用いることができ、特にフコイダンが好ましい。

0031

硫酸基含有多糖類の使用量は、例えば、リポソームに含有されるレシチン100重量部に対して、10〜500重量部程度が好ましく、20〜200重量部程度がより好ましい。

0032

コーティングは、例えば、ラクトフェリンを含んだリポソームを含む懸濁液に、硫酸基含有多糖類を加え、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌することにより行うことができる。なお、1つのコーティング膜の中に複数のリポソームが含まれていてもよい。

0033

リポソームが硫酸基含有多糖類でコーティングされていることは、例えば、リポソーム溶液ゼータ電位が、硫酸基含有多糖類を添加して撹拌したさいに変化することにより確認できる。

0034

ラクトフェリンを含んだリポソームにはレシチン、フィトステロール以外にも必要に応じて、トコフェロールアスコルビン酸などの抗酸化剤乳酸クエン酸などの有機酸ホスファチジルグリセロールホスファチジルエタノールアミンなどの脂質、キトサン、フコイダン、ヒアルロン酸などの天然高分子ポリエチレングリコールカルボキシビニルポリマーなどの合成高分子トレハロースラクチュロースマルチトールなどの糖質グリセリンなどのポリオール等を加えることができる。

0035

本発明に包含される上記抗P.g経口組成物(及び含有されるラクトフェリン)は、口腔内に存在するP.gに対して直接作用させることで効果を奏するのではなく、嚥下する(つまり、飲み込む)ことにより、間接的にP.gを抑制する効果を奏するものである。従って、当該抗P.g経口組成物は、好ましくは嚥下組成物であるということができる。ここでの嚥下組成物は、経口組成物であり、且つ飲み込むことを目的に用いられる組成物という意味合いである。つまり、使用後に吐き出すことを目的としている組成物や、最終的には飲み込むとしても口腔内で長時間保持して口腔内に適用することを目的とする組成物等は、ここでの嚥下組成物には該当しない。例えば、口腔用ケア組成物歯磨組成物マウスウォッシュ口臭ケア組成物等)は飲み込むことを目的としておらず、ここでいう嚥下組成物ではない。また、ガムや噛みタバコ等、使用後に吐き出すことを前提としたものも、ここでいう嚥下組成物ではない。また、トローチキャンディー(飴)等、口腔内で長時間保持して嗜好するものも、ここでいう嚥下組成物ではない。通常の食品組成物及び服用するための医薬品組成物が好ましい嚥下組成物として例示できる。

0036

当該抗P.g経口組成物におけるラクトフェリンの含有量は本発明の効果が奏される範囲であれば特に制限されない。例えば、1〜10000mg、5〜5000mg、10〜2000mg、又は20〜1000mg程度が例示できる。また、含有割合も特に制限はされず、例えば0.1〜100重量%、1〜99重量%、又は10〜80重量%程度、が例示できる。またさらに、当該抗P.g経口組成物を摂取する場合のラクトフェリンの摂取量も特に制限はされず、例えば成人一日あたり10〜10000mg、20〜5000mg、30〜2000mg、又は50〜1000mg程度が例示できる。

0037

また、当該抗P.g経口組成物は、1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて摂取することができる。適用対象はヒトが好ましいが、ヒト以外の非ヒト哺乳動物であってもよい。適用対象が非ヒト哺乳動物(例えばペット又は家畜、より具体的には、イヌネコサル、ウシ、ブタ、ヒツジ等)の場合も、当該ヒトの投与又は摂取量を参考として適宜設定することができる。

0038

本発明に係る組成物は、上述の通り、ラクトフェリンを有効成分として含むことにより、P.gを抑制及び/又は除去することができる。限定的な解釈望むものではないが、ラクトフェリンが経口摂取されることにより、唾液内への分泌型免疫グロブリンA(secretory Immunoglobulin A: sIgA)の分泌が促進されるため、これによりP.gの活動が抑制及び/又は除去されていることが考えられる。また、ラクトフェリンが経口摂取されることにより、血中における対P.g抗体価も減少するため、当該抗体価を測定することにより、客観的に本発明に係る抗P.g経口組成物の効果を評価することができる。特に、血漿中の対P.g抗体価を用いることが好ましい。

0039

なお、上記の通り、ラクトフェリンが経口摂取されることにより、唾液内への分泌型免疫グロブリンAの分泌が促進されることから、本発明に係る抗P.g経口組成物は、唾液内への免疫グロブリンA分泌促進用経口組成物ということもできる。本発明は、当該唾液内への免疫グロブリンA分泌促進用経口組成物も好ましく包含する。

0040

当該抗P.g経口組成物は、P.gを抑制及び/又は除去することができるため、歯周病の予防又は治療に特に有用である。従って、歯周病が気になるヒトや歯周病患者に好適に用いることができる。成人、特に30以上のヒトの歯周病の割合は非常に高いと言われており、例えばこのような年齢のヒトに好適である。また、歯周病を発症しやすいとされる疾患に罹患した患者も好適対象者であり、例えば糖尿病患者血糖値が気になるヒト、あるいはリウマチ患者(特に関節リウマチ患者)等も好適な対象となる。

0041

当該抗P.g経口組成物(及び嚥下組成物)は、医薬組成物、又は食品組成物(飲料組成物及び食品添加物組成物を包含する)として好ましく用いることができる。

0042

医薬組成物として用いる場合、他の成分としては、薬学的に許容される基剤担体、及び/又は添加剤(例えば溶剤分散剤乳化剤緩衝剤、安定剤、賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤等)等が例示できる。また、当該医薬組成物の形態も特に制限されず、錠剤、丸剤散剤液剤懸濁剤乳剤顆粒剤カプセル剤等が例示できる。これらの形態の医薬製剤は、必要に応じて当該他の成分と、ラクトフェリンを組み合わせて常法により調製することができる。なお、上記の通り、当該抗P.g経口組成物が嚥下組成物の場合、当該医薬組成物は服用して用いるもの(服薬医薬組成物)である。

0043

食品組成物として用いる場合、他の成分としては、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料が例示できる。また、当該食品組成物の形態も特に制限されず、例えば加工食品、健康食品(栄養補助食品栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示商品等)、サプリメント、病者向け食品(病院食、病人食又は介護食等)等が例示できる。これらは常法により調製することができる。特に、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示商品等)、又はサプリメントとして、食品組成物を調製する場合は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒カプセル、錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(飲料パウダードリンク剤等)等の形態で調製することが好ましく、なかでもカプセル、タブレット、錠剤、飲料パウダー、ドリンク剤の形態が摂取の簡便さの点からは好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。なお、食品組成物の中でも食品添加物組成物として用いる場合には、その形態として、例えば液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられる。

0044

特に制限はされないが、当該抗P.g経口組成物の上記その他の成分としては、デキストリンセルロース、レシチン(特に大豆由来)、微粒二酸化ケイ素ステアリン酸カルシウム等が特に好ましく例示される。

0045

なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。

0046

以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
唾液中の分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の検討
試験組成物として、森永ラクトフェリンMLF−EX(森永乳業株式会社製)を用いた。 MLF−EXは、既存の天然食品添加物であるウシ由来LFを90%以上含む食品用原料である。

0047

まずMLF−EXをリポソームに内包させ、次に当該ラクトフェリン内包リポソームに賦形剤等を配合して錠剤を調製した。具体的には、大豆レシチンをエタノールに溶解させ、ラクトフェリン水溶液に分散して予備乳化を行った後、140MPa程度の高圧で分散させてラクトフェリンを封入したリポソーム懸濁液を調製し、これにデキストリンを混和し凍結乾燥して乾燥粉末を得た。当該粉末にセルロース、微粒化二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウムなどの腑形剤を配合して打錠して、ラクトフェリン内包リポソーム含有錠剤(300mg)を得た。なお、当該錠剤6錠あたり、LFとして270mgを含むように原材料量を調整した(すなわち、1錠300mgあたりラクトフェリン45mgを含有する)。また、プラセボとして、MLF−EXをデキストリンで置き換えた錠剤も同様に製造した。これらの錠剤を一日6錠ずつ、4週間被験者に摂取させた。また試験開始0、2、4週後に唾液を採取した。このとき、唾液分泌速度(ml/min)もあわせて測定した。採取した唾液中のsIgAの定量を株式会社第一臨床検査センター委託して行った。また、唾液分泌速度(ml/min)に唾液sIgA濃度(mg/dL)を乗じて唾液sIgA分泌速度(μg/min)を算出した。さらに、唾液sIgA濃度の変化量、及び唾液sIgA分泌速度の変化量も算出した。(2週目の値から0週目の値を減じて求めた変化量をΔ2週(W)、4週目の値から0週目の値を減じて求めた変化量をΔ4週(W)、と標記することがある。)結果を図1に示す。ラクトフェリンを摂取した群をLLF群と標記することがある。

0048

なお、当該試験の被験者は、60名(男性31名、女性29名、年齢40.5±11.0歳)であった。また、当該試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較法で実施した。

0049

LLF群において、唾液sIgA濃度およびsIgA分泌速度は、0週と比較して2週および4週に増加した。また、唾液sIgA濃度のΔ4週は、placebo群に比べLLF群で増加する傾向があった。また、4週において唾液sIgA濃度が増加した被験者数は、placebo群では17名であったのに対し、LLF群で26名と有意に多かった(χ2乗検定、p=0.010)。特に、4週での唾液sIgA分泌速度、唾液sIgA濃度およびsIgA分泌速度のΔ4週は、placebo群に比してLLF群で有意または有意傾向をもって増加した。

0050

唾液中の分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の検討
成人女性20名(平均年齢58.7歳)に、上記と同様に製造したラクトフェリン含有錠剤を、一日6錠ずつ、3ヶ月間摂取させた。当該摂取直前及び摂取3ヶ月後に採血し、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)に対する血漿抗体価(IgG抗体値)を測定した。測定は、Murayama, et al., Adv Dent Res, 2: 339−245, 1988に記載の酵素免疫測定法ELISA法)に準じて行った。

0051

結果を図2に示す。被験者20名の抗P.g血漿抗体価は、その平均値及び中央値ともに、ラクトフェリン摂取前よりも摂取後の方が低下していた。

0052

以上のように、ラクトフェリンを摂取することにより、唾液中へのIgAの分泌が促進され、さらにP.gに対する血漿抗体価も低下することから、ラクトフェリンを摂取することで、P.gの活動を抑制し、及び/又は除去できることが分かった。

0053

歯茎の健康状態の検討
賦形剤として、二酸化ケイ素、及びステアリン酸カルシウムの代わりに、セルロース、マルチトール、プルラン、及びショ糖脂肪酸エステルを用いた以外は、上述のようにしてラクトフェリン内包リポソーム含有錠剤(1錠300mgあたりラクトフェリン45mgを含有)を製造した。当該錠剤を、歯周病罹患者12名(男性8名、女性4名、42〜59歳、いずれも歯周ポケット≧3mmの部位を5箇所以上有する者)に一日4錠ずつ4週間摂取させた。被験者に対して、「歯茎からの出血」及び「歯茎の膨張」の二項目について、当該試験開始時及び4週間目に以下の4段階のアンケートをとり、それぞれ集計して解析した。
<アンケートの4段階評価
1.いつもある
2.時々ある
3.あまり無い
4.全く無い
結果を図3に示す。歯茎からの出血及び歯茎の膨張(はれ)の、いずれについても、ラクトフェリンを摂取することで改善されることが分かった。この点からも、ラクトフェリンを摂取することで、P.gの活動を抑制し、及び/又は除去できることが裏付けられた。

実施例

0054

また、被験者から当該試験開始時及び4週間目に歯肉溝滲出液(Gingival Crevicular Fluid:GCF)を採取した。具体的には、被験部位歯肉縁プラーク滅菌綿球にて除去後、簡易防湿下でペリペーパーを被験隣接面歯肉縁下に30秒間挿入し、GCFを採取した。採取量はペリオトロン8000(Harco,CA,USA)により測定した。そして、50μlのリン酸緩衝生理食塩水PBS)をGCF採取に用いたぺリオペーパーに添加後、30分間室温にて激しく振盪し、遠心(5min×10000rpm)して得た上清を用いてBio−Plex Suspension Array System(Bio−Rad Laboratories, Inc.)によりIL−6濃度を測定した。なお、IL−6は炎症性サイトカインの1種であり、P.gの存在により強く誘導されることが知られている。結果を図4に示す。図4において、試験開始時及び4週間目の結果を比べると、平均値が1.1から0.9に(中央値は0.68から0.52に)下がった。よって、IL−6の濃度は、ラクトフェリンを摂取することで低下する傾向があることが分かった。この点からも、ラクトフェリンを摂取することで、P.gの活動を抑制し、及び/又は除去できることが裏付けられた。

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