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技術 リンの製造方法

出願人 株式会社北匠
発明者 山本高郁
出願日 2016年9月15日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-181038
公開日 2018年3月22日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-043915
状態 特許登録済
技術分野 りん、その化合物
主要キーワード シャフト形 廃パルプ 酸化ヨウ素 ベンチュリスクラバー 代表組 粗リン酸 フェロマンガン リン原料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

エネルギーコストを低減でき、かつ、アンチモンを除去可能なリンの製造方法を提供する。

解決手段

炉10内に堆積する炭材21の燃焼により、炉10内のガス還元性のガスに調整した状態で、炉10内の炭材21に液状のリン原料を吹き込むことにより、リン原料を熱分解してリンを生成し、リンを蒸発させる吹き込み工程と、蒸発したリンを、炉10の排出ガスから回収する回収工程と、を含む。

概要

背景

リン酸(H3PO4)は、湿式法または乾式法によって製造される。リン酸の製造に関する技術は、非特許文献1に記載される。非特許文献1に記載される乾式法によるリン酸の製造では、電気炉によって珪素および炭素とともにリン鉱石を加熱し、1400〜1500℃の高温で分解させる。これにより、中間体黄リン(P4)を製造する。黄リンから酸化リン(P2O5)を経て、さらに水と反応させ、最終生成物の乾式リン酸が製造される。中間体の黄リンは、リン化合物(例えば三塩化リンオキシ塩化リンまたは硫化リン等)の原料としても利用される。

黄リンを電気炉で加熱する処理を繰り返すことにより、黄リンを精製し、黄リンの純度を向上できる。しかしながら、エネルギーコストが問題となるので、電気炉による黄リンの製造および精製は、日本国内で行われていない。このため、黄リンは、比較的エネルギーコストが問題とならない外国で製造され、日本国内に輸入される。輸入された黄リンから、乾式リン酸が製造される。

乾式リン酸は、半導体エッチングに使用される。この場合、リン酸中アンチモン含有量が多いと、コンタミネーション等を引き起こすおそれがある。このため、乾式リン酸の原料(中間体)となる黄リンにおいて、アンチモンの含有量を低減することが望まれる。

高純度の黄リンを製造する技術は、特許文献1に記載される。特許文献1に記載されるリンの製造方法では、先ず、酸化ヨウ素またはヨウ素酸化合物を黄リンに添加して加熱することにより、リン中のヒ素酸化ヒ素に変化させる。その後、黄リンを酸化ヒ素の沸点以下に加熱して蒸留することにより、高純度のリンを回収する。

概要

エネルギーコストを低減でき、かつ、アンチモンを除去可能なリンの製造方法を提供する。炉10内に堆積する炭材21の燃焼により、炉10内のガス還元性のガスに調整した状態で、炉10内の炭材21に液状のリン原料を吹き込むことにより、リン原料を熱分解してリンを生成し、リンを蒸発させる吹き込み工程と、蒸発したリンを、炉10の排出ガスから回収する回収工程と、を含む。

目的

本発明の目的は、エネルギーコストを低減でき、かつ、アンチモンを除去可能なリンの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

リンの製造方法であって、炉内に堆積する炭材燃焼により、前記炉内のガス還元性のガスに調整した状態で、前記炉内の前記炭材に液状のリン原料を吹き込むことにより、前記リン原料を熱分解してリンを生成し、前記リンを蒸発させる吹き込み工程と、蒸発した前記リンを、前記炉の排出ガスから回収する回収工程と、を含む、リンの製造方法。

請求項2

請求項1に記載のリンの製造方法であって、前記リン原料は、リン鉄を酸に溶解することによって生成されたものであり、前記酸は、水素酸素一酸化炭素および窒素に熱分解する酸である、リンの製造方法。

請求項3

請求項1に記載のリンの製造方法であって、前記リン原料は、乾式法または湿式法によって製造された粗リン酸である、リンの製造方法。

請求項4

請求項1または2に記載のリンの製造方法であって、前記吹き込み工程では、前記炭材のうちで290〜610℃である領域に、前記リン原料を吹き込む、リンの製造方法。

請求項5

請求項1または2に記載のリンの製造方法であって、前記吹き込み工程では、前記炭材のうちで290〜430℃である領域に、前記リン原料を吹き込む、リンの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、リン酸等の液状のリン原料からリン黄リン)を製造する方法に関する。

背景技術

0002

リン酸(H3PO4)は、湿式法または乾式法によって製造される。リン酸の製造に関する技術は、非特許文献1に記載される。非特許文献1に記載される乾式法によるリン酸の製造では、電気炉によって珪素および炭素とともにリン鉱石を加熱し、1400〜1500℃の高温で分解させる。これにより、中間体の黄リン(P4)を製造する。黄リンから酸化リン(P2O5)を経て、さらに水と反応させ、最終生成物の乾式リン酸が製造される。中間体の黄リンは、リン化合物(例えば三塩化リンオキシ塩化リンまたは硫化リン等)の原料としても利用される。

0003

黄リンを電気炉で加熱する処理を繰り返すことにより、黄リンを精製し、黄リンの純度を向上できる。しかしながら、エネルギーコストが問題となるので、電気炉による黄リンの製造および精製は、日本国内で行われていない。このため、黄リンは、比較的エネルギーコストが問題とならない外国で製造され、日本国内に輸入される。輸入された黄リンから、乾式リン酸が製造される。

0004

乾式リン酸は、半導体エッチングに使用される。この場合、リン酸中アンチモン含有量が多いと、コンタミネーション等を引き起こすおそれがある。このため、乾式リン酸の原料(中間体)となる黄リンにおいて、アンチモンの含有量を低減することが望まれる。

0005

高純度の黄リンを製造する技術は、特許文献1に記載される。特許文献1に記載されるリンの製造方法では、先ず、酸化ヨウ素またはヨウ素酸化合物を黄リンに添加して加熱することにより、リン中のヒ素酸化ヒ素に変化させる。その後、黄リンを酸化ヒ素の沸点以下に加熱して蒸留することにより、高純度のリンを回収する。

0006

特開平6−40710号公報

先行技術

0007

永剛一他、”リンの工業利用”、生物工学会誌、公益財団法人日本生物工学会、2012年、90巻、8号、477〜480頁

発明が解決しようとする課題

0008

前述の通り、黄リンは電気炉によって製造される。製造された黄リンは、電気炉で加熱する処理を繰り返すことにより、純度を向上できる。しかしながら、エネルギーコストが問題となるので、日本国内で工業的に実施するのは困難である。

0009

特許文献1に記載のリンの製造方法によれば、リン中のヒ素を除去することができる。しかしながら、アンチモンについては、何ら検討されていない。

0010

本発明の目的は、エネルギーコストを低減でき、かつ、アンチモンを除去可能なリンの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明の一実施形態によるリンの製造方法は、炉内に堆積する炭材部分燃焼により、前記炉内のガス還元性のガスに調整した状態で、前記炉内の前記炭材に液状のリン原料を吹き込むことにより、前記リン原料を熱分解してリンを生成し、前記リンを蒸発させる吹き込み工程と、蒸発した前記リンを、前記炉の排出ガスから回収する回収工程と、を含む。

0012

前記リン原料として、リン鉄と酸とを反応させることによって生成されるリン原料を採用できる。この場合、前記酸は、水素酸素一酸化炭素および窒素に熱分解する酸であるのが好ましい。あるいは、前記リン原料として、乾式法または湿式法によって製造されたリン酸を採用できる。

0013

前記吹き込み工程では、前記炭材のうちで300〜600℃である領域に、前記リン原料を吹き込むのが好ましく、前記炭材のうちで300〜420℃である領域に、前記リン原料を吹き込むのが好ましい。

発明の効果

0014

本発明のリンの製造方法では、炉内のガスを還元性のガスに調整した状態で、炉内の高温の炭材に液状のリン原料を吹き込む。これにより、リン原料からリン(黄リン)を生成して蒸発させる。また、蒸発したリンを、炉の排出ガスから回収する。このような本発明のリンの製造方法は、電気炉を用いないことから、エネルギーコストを低減できる。また、アンチモンは蒸発しないので、アンチモンが除去された高純度のリンを回収できる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本実施形態のリンの製造方法に用いる炉の構造および使用状態概念的に示す断面図である。
図2は、リン鉄から得たリン原料を用いる場合の炉の構造および使用状態を概念的に示す断面図である。

0016

以下に、本発明のリンの製造方法の一実施形態ついて、図面を参照しながら説明する。

0017

図1は、本実施形態のリンの製造方法に用いる炉の構造および使用状態を概念的に示す断面図である。図1に示す炉10は、シャフト形式の筒型炉である。その炉10は、開口部14、一次羽口11、二次羽口12およびランス13および排滓口(図示なし)を有する。

0018

開口部14は炉頂に位置する。この開口部14を通じて、炉内ガスを排出するとともに炭材を装入する。ランス13は上下に伸びる。一次羽口11は炉10の中間部の下側に設置される。この一次羽口11を通じて、支燃性ガスとともに燃料(例えば天然ガス)を炉内に吹き込む。二次羽口12は炉10の中間部の上側に設置される。ランス13および二次羽口12のうちの少なくとも一方を通じて、リン原料を炉内の炭材に吹き込む。ここで、支燃性ガスとは、酸素分子を含む気体である。排滓口は炉底に設置される。この排滓口を通じて、溶融スラグを排出する。

0019

このような構成の炉10には、開口部14から装入された炭材21が堆積する。炭材21とは、部分燃焼によって熱と一酸化炭素を発生させる固体材料である。また、炭材21は、炭素を主成分とする。炭材21として、例えば、コークス木炭バイオマスRDF廃木材廃パルプおよび微粉炭を用いることができる。ここで、「RDF」とは、「Refuse Derived Fuel」の略であり、廃棄物に由来する炭材を意味する。炭材は、炉で使用可能な限り、非固体炭素材料(例えばコールタールピッチ)を含んでもよく、石炭を含んでもよい。炭材は、一種を単独で使用してもよく、複数種を所定の割合で配合して使用してもよい。

0020

このような炭材21を、一次羽口11から支燃性ガスを吹き込みながら燃焼させる。炭材21の燃焼熱により、炉内の温度は、炉底に近付くほど上昇する。また、燃焼に伴って炭材21は降下する。二次羽口12の前の炉内温度は、支燃性ガスの吹き込み量と炭材の投入量によって、所定の温度に設定する。

0021

炉10の下部には、溶融スラグ22が発生する。その溶融スラグ22を排滓口から排出することにより、スラグが得られる。

0022

ここで、炭材21が堆積した状態では、炭材と酸素分子との部分酸化反応によって一酸化炭素ガスが生成する。これにより、炉内のガスが還元性のガスとなる。炉内のガスが還元性のガスである状態で、ランス13から液状のリン原料を炭材21内に吹き込む(図1太線矢印参照)。二次羽口12から液状のリン原料を炭材21内に吹き込んでも構わない。要するに、ランス13および二次羽口12のうちの少なくとも一方から、液状のリン原料を炭材21内に吹き込むことができる。二次羽口12からリン原料を吹き込む場合、ランス13を炉10に設ける必要はない。

0023

リン原料は、リン酸を含む原料である。リン原料には、例えば、湿式法または乾式法等によって製造されたリン酸を採用できる。リン酸(H3PO4)は213℃で熱分解するので、リン原料を高温の炭材21内に吹き込むと、リン原料の主成分のリン酸が熱分解する。これにより、リン(黄リン)が生成する。黄リンは280.5℃で蒸発するので、生成したリンは蒸発し、蒸発したリンは開口部14から炉内のガスとともに排出される(図1網掛け矢印参照)。前述の通り、炉内のガスは還元性のガスに調整されているので、リンの酸化を防止できる。

0024

開口部14から排出される炉の排出ガスから、リン(黄リン)を回収する。リンの回収は、例えば、ベンチュリスクラバーにより、排出ガスに水を噴霧し、その水を回収すればよい。これにより、水中に保存された状態でリンを回収できる。

0025

このような本実施形態の製造方法は、電気炉を用いることなく、炭材の燃焼熱によってリン原料を熱分解してリンを生成し、蒸発させる。このため、本実施形態の製造方法は、エネルギーコストを大幅に低減できる。

0026

ヒ素は615℃で蒸発する。炉内の上部では温度が下がり、堆積した炭材は、フィルターとして機能し、ヒ素を捕捉する。このため、堆積した炭材のうちで600℃以下の領域にリン原料を吹き込めば、リン原料に含まれるヒ素は、蒸発する前に、炭材に捕捉される。炉の定期的な補修時に、炭材は廃棄され、ヒ素もまた取り除かれる。換言すると、回収(製造)されるリン(黄リン)は、ヒ素が除去されている。このため、本実施形態の製造方法は、高純度のリンを製造できる。

0027

また、アンチモンは1587℃以上で蒸発する。上述したヒ素と同様のメカニズムにより、炉内の上部では温度が下がり、アンチモンは炉内の炭材に捕捉される。換言すると、回収(製造)されるリン(黄リン)は、アンチモンが除去されている。このため、本実施形態の製造方法は、高純度のリンを製造できる。つまり、回収(製造)されるリン(黄リン)は、アンチモンのみならずヒ素も除去されている。よって、炭材のうちで600℃以下の領域にリン原料を吹き込むのが好ましい。

0028

硫黄は444℃で蒸発する。また、堆積した炭材は、フィルターとして機能し、硫黄を捕捉する。このため、炭材のうちで420℃以下の領域にリン原料を吹き込めば、リン原料に含まれる硫酸塩の熱分解によって硫黄を生成しても、その硫黄が蒸発する前に、炭材に捕捉される。したがって、硫黄は蒸発することなく、炭材とともにスラグ層に到達する。換言すると、回収(製造)されるリン(黄リン)は、アンチモン、ヒ素および硫黄がいずれも除去されている。よって、炭材のうちで420℃以下の領域にリン原料を吹き込むのがより好ましい。

0029

一方、リン原料を吹き込む領域の温度が低すぎると、リン原料から熱分解によって生成するリンが、蒸発する前に、炭材に捕捉され、リンの回収量が低下するおそれがある。リン原料を吹き込む領域の温度が300℃以上であれば、生成したリンの大部分は炭材に捕捉される前に蒸発するので、リンの回収量を確保できる。このため、炭材のうちで300℃以上の領域にリン原料を吹き込むのが好ましい。

0030

ここで、リン原料を吹き込む領域の温度は、ランスの下端位置の炉内温度である。このため、リン原料を吹き込む領域の温度は、ランスの下端位置の高さを変更することによって調整できる。具体的には、ランスの下端位置の高さを高く設定すると、リン原料を吹き込む空間の温度が低下する。一方、ランスの下端位置の高さを低く設定すると、リン原料を吹き込む空間の温度は上昇する。

0031

炉10には、図1に示すような転炉形式の筒型炉を用いることができる。あるいは、高炉形式の筒型炉を用いてもよい。これらの炉は、筒状であり、炉頂に開口部を有する。また、炉は、炉内の炭材に支燃性ガスを吹き込むための羽口と、炉内の炭材にリン原料を吹き込むためのランスとを有する。炉は、形状や大きさについて特に制限はなく、10t程度の容量の炉でもよいし、200tを超える大容量の炉でもよい。

0032

炉10には、スラグの流動性を確保するため、炭材の一部に代えて石灰石を装入してもよい。

0033

上述の実施形態では、リン原料を乾式法または湿式法によるリン酸としたが、リン鉄からリン原料を得てもよい。以下に、リン鉄から得たリン原料を用いる実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図1に示す実施形態と共通する事項の説明は、適宜省略する。

0034

図2は、リン鉄から得たリン原料を用いる場合の炉の構造および使用状態を概念的に示す断面図である。図2に示す炉10は、前記図1に示す炉10と基本構造が同じであり、出湯口(図示なし)をさらに有する。出湯口は炉底に設置される。この出湯口を通じて、溶融鉄を排出する。この場合、排滓口は出湯口よりも高い位置に設置される。

0035

リン原料として、リン鉄と酸とを反応させることによって生成するリン原料を用いる。酸は、例えば、硫酸、シュウ酸または硝酸である。ここで、リン鉄の主成分は、Fe、PおよびMnである。このため、リン原料は、リン酸とともにFeおよびMnを含有する。

0036

炉内のガスが還元性のガスである状態で、ランス13から液状のリン原料を炭材内に吹き込むと(図2の太線矢印参照)、熱分解によってリン(黄リン)が生成する。生成したリンは蒸発し、蒸発したリンは開口部14から炉内のガスとともに排出される(図2ハッチングを施した矢印参照)。開口部14から排出される炉の排出ガスから、リン(黄リン)を回収する。

0037

リン原料に含有されるFeおよびMnは、炭材とともに降下する。その過程で、炭材の燃焼熱によってFeおよびMnが加熱されて溶融し、Mnを含有する溶融鉄23が生成する。その結果、Mnを含有する溶融鉄層が炉底に形成され、その溶融鉄層の上に溶融スラグ層が形成される。溶融鉄を出湯口から排出すれば、マンガン系合金鉄フェロマンガン)が得られる。

0038

このようにリン鉄から得られるリン原料を用いる場合であっても、リン(黄リン)を製造することができる。この場合、副生成物としてマンガン系合金鉄(フェロマンガン)がさらに得られる。

0039

リン鉄から得られるリン原料を用いる場合、リン鉄と酸とを反応させることによってリン原料が生成する。その際、水素、酸素および窒素に熱分解する酸を用いるのが好ましい。より具体的には、シュウ酸等の有機酸、または硝酸等を用いるのが好ましい。これは、リン鉄からリン原料を得る際に、硫酸を用いると溶融鉄のS(硫黄)含有量が増加し、そのSを除去する工程が発生するからである。

0040

本発明の燐の製造方法による効果を検証するため、下記の試験を行った。

0041

[リン鉄に由来するリン原料を用いる試験]
本試験では、前記図2に示すシャフト形式の筒型炉を用いた。炉10の寸法は、直径が1.5mであり、炉底から炉頂までの高さが3.8mであり、内容積が6.0m3であった。炉10の側壁には、炉底からの高さが0.8mの位置に90゜間隔で一次羽口11を4本設け、炉底からの高さが1.2mの位置に90゜間隔で二次羽口12を4本設けた。また、炉10の側壁には、炉底の位置に出湯口を1個設け、炉底からの高さが0.73mの位置に排滓口を1個設けた。リン原料を吹き込むためのランス13を1本設けた。ランス13の下端位置の高さは、炉底から1.6mとした。

0042

このような炉21内に炭材を炉底からの高さが概ね3.6mとなるように装入した。その際、スラグの流動性を確保するため、炭材とともに石灰石を装入した。炭材の燃焼によって炉内のガスを還元性のガスに調整した状態で、ランス13からリン原料を吹き込んだ。

0043

炭材としてコークスを用いた。石灰石の装入量は、スラグの塩基度が0.9〜1.4になるように調整した。リン原料としては、リン鉄をシュウ酸に溶解したものを使用した。リン鉄は、質量%で、P:23〜28%、Si:1%、C:1%、S:0.01%、Mn:10%およびTi:1%を含有し、残部がFeおよび不純物であった。

0044

一次羽口11から、支燃性ガスの酸素とともに燃料の天然ガスを吹き込んだ。これらの支燃性ガスおよび燃料の吹込み量を調整することにより、ランス13の下端位置の高さにおける炉内温度を420±10℃(410〜430℃)に制御した。また、炭材の装入高さを調整することにより、炉頂の高さ位置の炉内温度を300±10℃(290〜310℃)に制御した。

0045

炉頂の開口部14からの排出ガスをベンチュリスクラバーに供給することにより、排出ガスからリン(黄リン)を回収した。また、炉の下部に生成する溶融鉄23は、出湯口から排出し、水砕によって所定の粒度に調整した。炉の下部に生成する溶融スラグ22は、排滓口から排出し、水砕によって所定の粒度に調整した。

0046

炭材(コークス)の装入量は、溶融鉄1tあたり70kgであった。また、一次羽口からの酸素の吹込み量は、溶融鉄1tあたり362Nm3であった。一次羽口からの燃料の吹込み量は、溶融鉄1tあたり170kgであった。

0047

リン鉄1tあたり、約250kgのリンが回収できた。回収されたリン(黄リン)は極めて高純度であった。その中に含まれる不純物について、アンチモンの濃度が100ppb、ヒ素の濃度が10ppb、硫化物イオンの濃度が50ppb以下であった。得られたマンガン系合金鉄の代表組成は、質量%で、Fe:80%およびMn:13%であり、S含有量は0.025質量%であった。得られたスラグの代表組成は、質量%で、CaO:38%、SiO2:30%(CaO/SiO2=1.27)およびAl2O3:5%、であり、P2O5含有量は0質量%であった。

0048

これらから本実施形態の製造方法により、電気炉を用いることなく、リン鉄に由来するリン原料から極めて高純度のリン(黄リン)を製造できることが明らかになった。

0049

粗リン酸をリン原料とする試験]
本試験では、リン原料として粗リン酸を用いた。粗リン酸は、リン酸の濃度が85質量%、アンチモンの濃度が4ppm、ヒ素の濃度が40ppm、硫化物イオンの濃度が40ppmであった。

0050

本試験では、前記図1に示すシャフト形式の筒型炉を用いた。炉の寸法、一次羽口11の配置、二次羽口12の配置、および、ランス13の配置は、前述の[リン鉄に由来するリン原料を用いる試験]と同じにした。本試験の炉10には、出湯口を設けることなく、排滓口を炉底に設けた。

0051

炭材、石灰石、支燃性ガスおよび燃料については、前述の[リン鉄に由来するリン原料を用いる試験]と同じにした。支燃性ガスおよび燃料の吹込み量を調整することにより、ランス13の下端の高さ位置における炉内温度を420±10℃(410〜430℃)に制御した。また、炭材の装入高さを変更することにより、炉頂の高さ位置の炉内温度を300±10℃(290〜310℃)に制御した。

0052

炭材(コークス)の装入量は、回収されるリン1tあたり70kgであった。また、一次羽口からの酸素の吹込み量は、回収されるリン1tあたり362Nm3であった。一次羽口からの燃料の吹込み量は、回収されるリン1tあたり170kgであった。

0053

使用したリン原料1tあたり、約850kgのリンが回収できた。回収されたリン(黄リン)は極めて高純度であった。その中に含まれる不純物は、アンチモンの濃度が100ppb、ヒ素の濃度が10ppb、硫化物イオンの濃度が50ppb以下であった。

実施例

0054

これらから本実施形態の製造方法により、電気炉を用いることなく、乾式リン酸からリン(黄リン)を製造できることが明らかになった。また、本実施形態の製造方法により、アンチモンを除去できることが確認でき、炉内の炭材のうちで420℃以下の領域にリン原料を吹き込めば、ヒ素および硫黄をさらに除去できることが確認できた。

0055

本実施形態のリンの製造方法によれば、エネルギーコストを低減でき、かつ、高純度のリンを回収できる。このため、本実施形態の製造方法はリン(黄リン)の製造で有効に利用できる。

0056

10 炉
11 一次羽口
12二次羽口
13ランス
14 開口部
21炭材
22溶融スラグ(層)
23溶融鉄(層)

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