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技術 けい酸質肥料、およびその製造方法

出願人 太平洋セメント株式会社
発明者 今井敏夫
出願日 2016年9月12日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-177506
公開日 2018年3月22日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2018-043888
状態 特許登録済
技術分野 汚泥処理 固体廃棄物の処理 肥料
主要キーワード ICP発光分析法 有機質結合材 汚泥乾燥物 蛍光エックス線 酸溶出量 化学組成比 ケイ酸カルシウム粉末 ケイカル
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図面 (2)

課題

本発明は、ゲーレナイト含有率が低く、水溶性けい酸の含有率とけい酸の水溶率が高いけい酸質肥料と、その製造方法を提供することを目的とする。

解決手段

本発明のけい酸質肥料は、下記(A)式を満たすSiO2、Al2O3、およびP2O5を含有する肥料である。 4.0≦(SiO2−Al2O3)/P2O5≦25.0 ・・・(A) ただし、(A)式中の化学式は、けい酸質肥料中の当該化学物質モル数を表す。 また、本発明のけい酸質肥料の製造方法は、前記けい酸質肥料を製造する方法であって、けい酸源りん酸源、およびカルシウム源を少なくとも含む混合原料を、1250〜1400℃で焼成して製造する方法である。

概要

背景

従来、けい酸質肥料は、ケイカルケイ酸カルシウム)とケイ酸カリケイ酸カリウム)肥料があり稲作等に用いられてきた。これらの肥料のうち、ケイカルは、おもにSiO2、CaO、およびAl2O3を含み、土壌へのけい酸の補給酸性土壌矯正等の効果がある。
しかし、ケイカルからのけい酸溶出量は、塩酸水溶液中では30%を越えるものの、土壌のpHである5〜7程度では5%程度と少ないため、水田1000m2当たり約200kgものケイカルを施肥する場合があり、手間やコストの点から農家にとって負担が大きい。また、ケイカルは肥料の三要素である窒素、燐、および加里のいずれも含まないため、通常、肥料の三要素を含む他の肥料に、多量のケイカルを混合する必要がある。例えば、中性域においても比較的けい酸溶出量が多い熔成りん肥に、ケイカルを混合する場合でも、ケイカルの混合量は、熔成りん肥40kgに対し200kgと多量になる。
なお、前記けい酸溶出量は、可溶性けい酸(0.5モルの塩酸水溶液中に溶出するけい酸の量)とは異なる量である。

そこで、ケイカルの欠点であるけい酸の低い水溶性を改善したけい酸質肥料が、いくつか提案されている。
例えば、特許文献1に記載のけい酸質肥料は、特定の粒度を有するけい酸質組成物粉末に、特定の水への溶解速度を有する有機質結合材蔗糖廃糖蜜)を添加し造粒してなるけい酸質肥料である。そして、イオン交換法を用いて測定した1ヶ月以内の該肥料のけい酸溶出量は16質量%以上である。
また、特許文献2に記載のけい酸質肥料は、前記有機質結合材が、糊化処理されたデンプンからなる肥料である。
そして、前記いずれのけい酸質肥料も、MgOを1〜20質量%、SiO2を30〜50質量%のほか、CaOおよびP2O5等を含有する非晶質物質である。
さらに、特許文献3に記載のけい酸質肥料は、主成分がSiO2、MgO、CaO、およびP2O5からなり、SiO2を12質量%以上30質量%未満含有し、イオン交換法を用いて測定した10日以内のけい酸溶出量は10質量%以上である。しかし、該けい酸質肥料の製造では、天然リン鉱石である蛇紋岩を使わなければならず、またバッチ方式による熔融スラグ化であるから、製造コストエネルギー消費および生産性の点で経済的ではない。
また、特許文献4に記載のけい酸質肥料は、CaO、SiO2、MgO、およびAl2O3を特定量含み、CaO/SiO2の比率が特定の範囲にある肥料用スラグ原料に用いてなる肥料であるが、特許文献4には該スラグを用いてけい酸質肥料を製造する方法の具体的な記載はなく、スラグがけい酸質肥料であるのか、けい酸質肥料の原料であるのか不明である。

ところで、前記熔成りん肥等のりん酸質肥料は、天然資源であるリン鉱石を原料の一部に用いて製造される。しかし、我が国では、リンは天然資源として産出されないため、そのほぼ全てを輸入に頼らざるを得ないが、近年、天然のリンは世界的に枯渇しつつあり、リンの価格が高騰してリンの確保が難しくなっている。そこで、肥料の製造分野では、天然のリン資源代わるものとして、リンの含有率がリン鉱石とほぼ同じ20〜30質量%である下水汚泥焼却灰が考えられている。また、我が国において、下水汚泥およびその焼却灰は、それぞれ、年間220万トンおよび30万トンと大量に発生するため、下水汚泥等の処理は社会的要請でもあった。そして、下水汚泥焼却灰はりん酸とけい酸を共に含んでいるため、けい酸質肥料の原料としても好適である。
しかし、けい酸質肥料のリン源として下水汚泥焼却灰を用いると、下水汚泥焼却灰中に多く含まれるAl2O3が、肥料の製造(焼成または溶融過程でSiO2と反応してゲーレナイトが生成し、ゲーレナイト中のけい酸は難溶性であるため、肥料中の水溶性けい酸の含有率が減少するという問題がある。
また、下水汚泥焼却灰以外のリン源として、下水し尿、および畜舎廃水等のリンを含む排水から、HAP(ヒドロキシアパタイト)法やMAPリン酸マグネシウムアンモニウム)法等を用いてリンを回収した後のハイドロキシアパタイトやリン酸マグネシウムアンモニウムの有効活用も望まれている。

概要

本発明は、ゲーレナイトの含有率が低く、水溶性けい酸の含有率とけい酸の水溶率が高いけい酸質肥料と、その製造方法を提供することを目的とする。本発明のけい酸質肥料は、下記(A)式を満たすSiO2、Al2O3、およびP2O5を含有する肥料である。 4.0≦(SiO2−Al2O3)/P2O5≦25.0 ・・・(A) ただし、(A)式中の化学式は、けい酸質肥料中の当該化学物質モル数を表す。 また、本発明のけい酸質肥料の製造方法は、前記けい酸質肥料を製造する方法であって、けい酸源、りん酸源、およびカルシウム源を少なくとも含む混合原料を、1250〜1400℃で焼成して製造する方法である。

目的

本発明は、ゲーレナイトの含有率が低く、水溶性けい酸の含有率とけい酸の水溶率が高いけい酸質肥料と、その製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

下記(A)式を満たすSiO2、Al2O3、およびP2O5を含有する、けい酸質肥料。4.0≦(SiO2−Al2O3)/P2O5≦25.0・・・(A)ただし、(A)式中の化学式は、けい酸質肥料中の当該化学物質モル数を表す。

請求項2

水溶性けい酸の含有率が15%以上の、請求項1に記載のけい酸質肥料。

請求項3

請求項1または2に記載のけい酸質肥料を製造する方法であって、けい酸源りん酸源、およびカルシウム源を少なくとも含む混合原料を、1250〜1400℃で焼成して製造する、けい酸質肥料の製造方法。

請求項4

前記けい酸源がケイ酸カルシウムである、請求項3に記載のけい酸質肥料の製造方法。

請求項5

前記焼成に用いる装置がロータリーキルンである、請求項3または4に記載のけい酸質肥料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ゲーレナイト(2CaO・Al2O3・SiO2)の含有率が低く、水溶性けい酸の含有率とけい酸の水溶率が高いけい酸質肥料と、その製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、けい酸質肥料は、ケイカルケイ酸カルシウム)とケイ酸カリケイ酸カリウム)肥料があり稲作等に用いられてきた。これらの肥料のうち、ケイカルは、おもにSiO2、CaO、およびAl2O3を含み、土壌へのけい酸の補給酸性土壌矯正等の効果がある。
しかし、ケイカルからのけい酸溶出量は、塩酸水溶液中では30%を越えるものの、土壌のpHである5〜7程度では5%程度と少ないため、水田1000m2当たり約200kgものケイカルを施肥する場合があり、手間やコストの点から農家にとって負担が大きい。また、ケイカルは肥料の三要素である窒素、燐、および加里のいずれも含まないため、通常、肥料の三要素を含む他の肥料に、多量のケイカルを混合する必要がある。例えば、中性域においても比較的けい酸溶出量が多い熔成りん肥に、ケイカルを混合する場合でも、ケイカルの混合量は、熔成りん肥40kgに対し200kgと多量になる。
なお、前記けい酸溶出量は、可溶性けい酸(0.5モルの塩酸水溶液中に溶出するけい酸の量)とは異なる量である。

0003

そこで、ケイカルの欠点であるけい酸の低い水溶性を改善したけい酸質肥料が、いくつか提案されている。
例えば、特許文献1に記載のけい酸質肥料は、特定の粒度を有するけい酸質組成物粉末に、特定の水への溶解速度を有する有機質結合材蔗糖廃糖蜜)を添加し造粒してなるけい酸質肥料である。そして、イオン交換法を用いて測定した1ヶ月以内の該肥料のけい酸溶出量は16質量%以上である。
また、特許文献2に記載のけい酸質肥料は、前記有機質結合材が、糊化処理されたデンプンからなる肥料である。
そして、前記いずれのけい酸質肥料も、MgOを1〜20質量%、SiO2を30〜50質量%のほか、CaOおよびP2O5等を含有する非晶質物質である。
さらに、特許文献3に記載のけい酸質肥料は、主成分がSiO2、MgO、CaO、およびP2O5からなり、SiO2を12質量%以上30質量%未満含有し、イオン交換法を用いて測定した10日以内のけい酸溶出量は10質量%以上である。しかし、該けい酸質肥料の製造では、天然リン鉱石である蛇紋岩を使わなければならず、またバッチ方式による熔融スラグ化であるから、製造コストエネルギー消費および生産性の点で経済的ではない。
また、特許文献4に記載のけい酸質肥料は、CaO、SiO2、MgO、およびAl2O3を特定量含み、CaO/SiO2の比率が特定の範囲にある肥料用スラグ原料に用いてなる肥料であるが、特許文献4には該スラグを用いてけい酸質肥料を製造する方法の具体的な記載はなく、スラグがけい酸質肥料であるのか、けい酸質肥料の原料であるのか不明である。

0004

ところで、前記熔成りん肥等のりん酸質肥料は、天然資源であるリン鉱石を原料の一部に用いて製造される。しかし、我が国では、リンは天然資源として産出されないため、そのほぼ全てを輸入に頼らざるを得ないが、近年、天然のリンは世界的に枯渇しつつあり、リンの価格が高騰してリンの確保が難しくなっている。そこで、肥料の製造分野では、天然のリン資源代わるものとして、リンの含有率がリン鉱石とほぼ同じ20〜30質量%である下水汚泥焼却灰が考えられている。また、我が国において、下水汚泥およびその焼却灰は、それぞれ、年間220万トンおよび30万トンと大量に発生するため、下水汚泥等の処理は社会的要請でもあった。そして、下水汚泥焼却灰はりん酸とけい酸を共に含んでいるため、けい酸質肥料の原料としても好適である。
しかし、けい酸質肥料のリン源として下水汚泥焼却灰を用いると、下水汚泥焼却灰中に多く含まれるAl2O3が、肥料の製造(焼成または溶融過程でSiO2と反応してゲーレナイトが生成し、ゲーレナイト中のけい酸は難溶性であるため、肥料中の水溶性けい酸の含有率が減少するという問題がある。
また、下水汚泥焼却灰以外のリン源として、下水し尿、および畜舎廃水等のリンを含む排水から、HAP(ヒドロキシアパタイト)法やMAPリン酸マグネシウムアンモニウム)法等を用いてリンを回収した後のハイドロキシアパタイトやリン酸マグネシウムアンモニウムの有効活用も望まれている。

先行技術

0005

特開2002−068871号公報
特開2002−068870号公報
特開2002−047081号公報
特開2007−284289号公報

発明が解決しようとする課題

0006

そこで、本発明は、ゲーレナイトの含有率が低く、水溶性けい酸の含有率とけい酸の水溶率が高いけい酸質肥料と、その製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、前記目的を達成できるけい酸質肥料等を検討したところ、下記のけい酸質肥料は、ゲーレナイトの含有率が低く、水溶性けい酸の含有率とけい酸の水溶率が高いことを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記の構成を有するけい酸質肥料等である。

0008

[1]下記(A)式を満たすSiO2、Al2O3、およびP2O5を含有する、けい酸質肥料。
4.0≦(SiO2−Al2O3)/P2O5≦25.0 ・・・(A)
ただし、(A)式中の化学式は、けい酸質肥料中の当該化学物質モル数を表す。
[2]水溶性けい酸の含有率が15%以上の、前記[1]に記載のけい酸質肥料。
[3]前記[1]または[2]に記載のけい酸質肥料を製造する方法であって、
けい酸源、りん酸源、およびカルシウム源を少なくとも含む混合原料を、1250〜1400℃で焼成して製造する、けい酸質肥料の製造方法。
[4]前記けい酸源がケイ酸カルシウムである、前記[3]に記載のけい酸質肥料の製造方法。
[5]前記焼成に用いる装置がロータリーキルンである、前記[3]または[4]に記載のけい酸質肥料の製造方法。

発明の効果

0009

本発明のけい酸質肥料は、水溶性けい酸の含有率が高い。
また、本発明のけい酸質肥料の製造方法は、下記(i)〜(iii)の効果を有する。
(i)ケイ酸カルシウムを、けい酸質肥料のけい酸源として有効利用できる。
(ii)溶融肥料の製造と比べて製造時のエネルギー消費が少ない。
(iii)焼成装置としてロータリーキルンを用いると、けい酸質肥料の連続生産が可能となり製造効率が向上する。

図面の簡単な説明

0010

実施例7および比較例1の焼成物X線回折線図を示す。

0011

以下、本発明について、けい酸質肥料とその製造方法に分けて詳細に説明する。
1.けい酸質肥料
本発明のけい酸質肥料は、前記(A)式を満たすSiO2、Al2O3、およびP2O5を含有するけい酸質肥料である。そして、本発明のけい酸質肥料の水溶性けい酸の含有率は、好ましくは15%以上である。後掲の表1に示すように、前記(A)式を満たすけい酸質肥料は、水−弱酸性陽イオン交換樹脂法を用いて測定した水溶性けい酸の含有率が16.81%以上と高い。なお、前記(A)式のモル比は、好ましくは5.0以上で10.0以下である。
ここで、前記水−弱酸性陽イオン交換樹脂法は、中性(pH=7)付近で肥料中のけい酸分成分溶解性を評価する方法であって、以下の文献Aおよび文献Bに記載されている方法に準拠して測定できる。
文献A:加直人著「農林水産省・農業環境技術研究所報告」16巻,9−75頁(1998)
文献B:加藤、尾和共著 Soil Sci.Plant Nutr.,43巻,2号,351−359頁(1997)

0012

また、水溶性けい酸の測定において、イオン交換樹脂を用いるのは、けい酸質肥料から溶出するアルカリ土類金属等のアルカリ性物質溶液溶けて生ずるpHの上昇を、イオン交換樹脂のイオン交換能を利用して防止するためである。水田の土壌はほぼ中性でありpH緩衝能が高いため、水−弱酸性陽イオン交換樹脂法を用いると、実際の水田により近い環境下でけい酸の水溶性を評価できる。なお、原料およびけい酸質肥料中の酸化物の定量は、蛍光エックス線装置を用いてファンダメンタルパラメーター法により行うことができる。

0013

2.けい酸質肥料の製造方法
本発明のけい酸質肥料の製造方法は、けい酸源、りん酸源、およびカルシウム源を少なくとも含む混合原料を、1250〜1400℃で焼成して製造する方法であり、けい酸源、りん酸源、およびカルシウム源等を混合して混合原料を得る混合工程と、該混合原料を焼成して、焼成物であるけい酸質肥料を得る焼成工程とを、必須の工程として含む。
以下、本発明のけい酸質肥料の製造方法を、混合工程と焼成工程に分けて説明する。

0014

(1)混合工程
前記けい酸源は、特に制限されないが、例えば、高炉スラグ鉄鋼スラグ珪砂珪石石炭灰鋳物砂頁岩白土ゼオライト珪藻土粘土火山灰廃コンクリート、および生コンスラッジ等や、リンを回収後のリン回収材の有効活用の観点から、リンを回収した後の非晶質ケイ酸カルシウム水和物、リンを回収した後の非晶質ケイ酸カルシウム水和物と水酸化カルシウム複合物(以下「リンを回収後のリン回収材」という。)から選ばれる1種以上が挙げられる。前記非晶質ケイ酸カルシウム水和物、および非晶質ケイ酸カルシウム水和物と水酸化カルシウムの複合物は、例えば珪酸ナトリウム水溶液消石灰または生石灰等の石灰を、非加熱下で混合して製造されるため、30質量%のけい酸を含んでいる。また、化学組成比の調整が容易であることから、SiO2の含有率が50質量%以上のけい酸源が好ましい。なお、前記けい酸源の内、鉄鋼スラグ、廃コンクリート、生コンスラッジおよびリンを回収後のリン回収材等は、カルシウム源としても機能する。

0015

また、前記りん酸源は、特に制限されないが、汚泥脱水汚泥汚泥乾燥物汚泥炭化物汚泥焼却灰汚泥溶融スラグ、前記リンを回収後のリン回収材、および熔成りん肥から選ばれる1種以上が挙げられる。
前記汚泥は、下水道終末処理場における下水処理屎尿処理場における屎尿処理、およびこれらの排水処理の過程において、沈殿やろ過等により分離して得た有機物無機物を含む泥状物である。また、前記脱水汚泥は、前記泥状物を遠心分離等で脱水して得られたものである。
前記汚泥乾燥物は、前記下水汚泥を天日干しまたは乾燥機により乾燥して、含水率を概ね50質量%以下にしたものである。
また、前記汚泥炭化物は、汚泥を加熱して汚泥に含まれる有機物の一部または全部を炭化物にしたものである。該加熱温度は、好ましくは300〜800℃、より好ましくは500〜700℃である。該加熱温度が300℃未満では炭化に時間がかかり、800℃を超えると炭化物が燃焼するおそれがある。該燃焼を抑制するために、好ましくは無酸素または低酸素状態で加熱する。該炭化物は、本発明のけい酸質肥料の製造において燃料の一部にもなるため、その分、製造に要するエネルギーを節約できる。
前記汚泥焼却灰は汚泥を焼却して得られる残渣(下水汚泥焼却灰等)である。また、前記汚泥溶融スラグは、前記汚泥焼却灰を1350℃以上で溶融したものである。
前記汚泥等はその形態や含水率が異なっても、焼成した後の化学成分およびその組成は同一または実質的に同一であるため、焼成用の原料の一部として何れを用いてもよい。

0016

さらに、前記カルシウム源は、炭酸カルシウム酸化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム塩化カルシウム硫酸カルシウム石灰石、生石灰、消石灰、セメント、鉄鋼スラグ、石膏、および畜産焼却灰等から選ばれる1種以上が挙げられる。

0017

前記混合工程は、混合原料中のSiO2、Al2O3、およびP2O5が前記(A)式を満たすように、けい酸源、りん酸源、およびカルシウム源等の原料を混合する。また、混合し易い粒度にするために、前記原料は、必要に応じてボールミルローラーミル、またはロッドミル等で粉砕してもよい。
原料の混合方法として、例えば、各原料の一部を電気炉等で焼成した後、該焼成灰中の酸化物を定量し、該定量値と所定の配合に基づき、各原料を混合する方法が挙げられる。該酸化物の定量は、蛍光エックス線装置を用いてファンダメンタルパラメーター法により行うことができる。表1に示すように、焼成前の混合原料の化学組成(代表例として、SiO2とCaOを示す。)は、焼成後の焼成物の化学組成と、焼成による揮発成分を除きほぼ同一であるから、前記(A)式を満たすけい酸質肥料(焼成物)を得るためには、通常、前記(A)式を満たす混合原料を用いて焼成すれば十分である。ただし、正確を期すために、該混合原料の一部を電気炉等で焼成して、該混合原料中のSiO2、Al2O3、およびP2O5の含有率と、該焼成物中のSiO2、Al2O3、およびP2O5の含有率との相関事前に把握しておき、該相関に基づき、原料の混合割合を、目的とする焼成物中のSiO2、Al2O3、およびP2O5の含有率になるように修正することが好ましい。

0018

(2)焼成工程
該焼成工程は前記混合原料を、1250〜1400℃で焼成して、焼成物であるけい酸質肥料を得る工程である。前記混合原料は、粉末のままで焼成するか、該粉末に水を添加してスラリーにした状態で焼成するか、または脱水ケーキの状態で焼成するか、若しくは、より焼成効率を上げるために、該粉末、または該粉末のセメント混練物等を、パンペレタイザー等の造粒機や、ブリケットマシンロールプレス等の成形機で、それぞれ造粒や成形してから焼成する。また、焼成温度が、1250℃未満では焼成が不十分でけい酸の水溶性が低く、1400℃を超えると焼成物が溶融して溶融物になるおそれがある。なお、焼成温度は、好ましくは1290〜1350℃である。また、前記焼成に用いる装置は、けい酸質肥料の連続生産が可能であることから、好ましくはロータリーキルンが挙げられる。また、焼成時間は好ましくは10〜60分である。焼成時間が10分未満では焼成が不十分であり、60分を超えると生産効率が低下する。なお、焼成時間は、より好ましくは20〜40分である。

0019

(3)粉砕および造粒工程
該工程は、前記焼成物の粒度を調整する工程であり、粉塵の発生を抑制して、肥料の取り扱いを容易にするためや、肥料効果を十分に発揮させるため、肥料の粒度の調整が必要な場合に選択される任意の工程である。該粒度は好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmである。
粉砕手段は、ジョークラッシャー、ローラーミル、ボールミル、またはロッドミル等を用いることができ、造粒手段は、パン型ミキサー、パンペレタイザー、ブリケットマシン、ロールプレス、押出成型機等を用いることができる。
また、該工程において、肥料の用途に応じて、適宜、けい酸やりん酸の成分を追加したり、窒素、加里、苦土等のその他の肥料成分を、新たに添加することができる。

0020

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.けい酸質肥料の製造
下水汚泥焼却灰、ケイ酸カルシウム粉末(肥料用のケイカル、くみあい珪酸苦土石灰石灰工業社製)、および炭酸カルシウム粉末を用いて、表1に示す実施例1〜7、および比較例1〜18の配合に従い混合して混合原料を調製した。次に、該混合原料を用いて、一軸加圧成形機により成形し、直径40mm、高さ10mmの円柱状の原料を作製した。さらに、該円柱状の原料を、電気炉内に載置した後、昇温速度20℃/分で、表1に示す温度まで昇温し、該温度の下で10分間焼成して焼成物を得た。さらに、該焼成物を、鉄製乳鉢を用いて目開き600μmのふるいを全通するまで粉砕して、表1に示す化学組成を有する粉末状の焼成物(実施例1〜7、および比較例1〜18)を製造した。なお、焼成物の化学組成は、表1に示すように、焼成前の混合原料の化学組成(代表例として、SiO2とCaOを示す。)と、焼成による揮発成分を除きほぼ同一であった。

0021

2.水溶性けい酸
水溶性けい酸の測定は、水−弱酸性陽イオン交換樹脂法を用いて以下の手順で行い、水溶性けい酸を測定し、けい酸の水溶率を算出した。
具体的には、あらかじめ水酸化ナトリウム水溶液希塩酸を用いて逆再生処理したイオン交換樹脂(商品名:アンバーライトIRC−50[登録商標]、オルガノ社製)2gと純水1リットルを入れた樹脂製のビーカー内に、前記実施例および比較例のけい酸質肥料0.2gをそれぞれ加え、マグネチックスターラーで静かに10分間撹拌した後、10日間静置した。この10日間が経過した後、再度マグネチックスターラーで静かに10分間撹拌した後、30分間静置して上澄み液2mlをメスフラスコ分取し、塩酸(1+1)1mlを添加した後、20mlに希釈した。次に、ICP発光分析法を用いて該水溶液中のSiの濃度を定量してSiO2の濃度に換算し、水溶性けい酸を測定し、けい酸の水溶率を算出した。この結果を表1に示す。

0022

0023

表1に示すように、実施例1〜7の焼成物(けい酸質肥料)の水溶性けい酸は16.81〜20.06%、およびけい酸の水溶率は79〜87%といずれも高かった。これに対し、比較例1〜18の焼成物の水溶性けい酸は3.22〜12.27%、およびけい酸の水溶率は9〜69%といずれも低かった。なお、前記けい酸の水溶率は、けい酸質酸肥料中の全けい酸に対する、水−弱酸性陽イオン交換樹脂法による水溶性けい酸の質量比(%)である。
また、図1に、実施例の中で最も水溶性けい酸が低い実施例7、および比較例のなかで最も水溶性けい酸が高い比較例1の焼成物のX線回折線図を示す。図1に示すように、実施例7の焼成物中のゲーレナイトのX線回折強度は、比較例1の焼成物中のゲーレナイトのX線回折強度と比べて低いことから、実施例の焼成物中のゲーレナイトの含有率は、比較例の焼成物中のゲーレナイトの含有率よりも低いことがわかる。

実施例

0024

以上の結果から、本発明のけい酸質肥料は、ゲーレナイトの含有率が低く、水溶性けい酸は多く、また、けい酸の水溶性は高い。また、本発明のけい酸質肥料の製造方法は、熔融肥料の製造と比べて、焼成におけるエネルギー消費が少なく、ロータリーキルンを用いた場合、連続生産が可能で生産効率が高い。

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