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技術 三相インダクタ及びその製造方法

出願人 公立大学法人首都大学東京東邦亜鉛株式会社
発明者 松盛裕明清水敏久黒崎紘史中澤知之松本勇二
出願日 2016年9月5日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-173077
公開日 2018年3月15日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2018-041773
状態 特許登録済
技術分野 コア、コイル、磁石の製造 一般用変成器の鉄心 変成器又はリアクトル一般
主要キーワード 矩形波成分 ポリカーボネード樹脂 中心脚 相互間隙 一周期間 最大飽和磁束密度 磁束密度変化量 絶縁性塗料
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

各相励磁インダクタンスが均等になる高効率で小型の三相インダクタ及びその製造方法を提供する。

解決手段

対向配置され、第1の磁性材料を含む一対の端部コアと、前記一対の端部コア間に互いに離間して配置され、前記端部コアとともに環状の磁心を形成し、前記第1の磁性材料を含み、それぞれに導線が巻きつけられる両脚と、前記両脚と実質的に平行になるように前記両脚の中間に配置され、前記一対の端部コアの一方から他方までの間に取付けられ、前記第1の磁性材料とは異なる磁性を有する第2の磁性材料を含み、導線が巻きつけられる中央脚と、を有する三相インダクタ。

概要

背景

従来の三相インダクタは、例えば非特許文献1に記載されているように、基本設計において三相変圧器設計思想をそのまま利用していることから、その構造が三相変圧器に近似したものとなっている。

三相変圧器の設計では、負荷電流に対して励磁電流をいかに小さくするかが重要なポイントである。三相変圧器において、励磁電流が十分に小さい場合は、励磁電流が多少アンバランスであっても実質的に問題ないものとされている。そのため、三相変圧器の設計では各相の励磁電流を合わせこむ必要性がなく、各相の励磁インダクタンス間に多少の差分が存在していても実用上問題を生じないものとして無視されている。

これに対して三相インダクタの設計では、各相の励磁インダクタンスを均等化することが重要なポイントになっている。そのため、三相インダクタの設計に対して、三相の各巻線電流リプルをできるだけ均等に揃えることが要求される。

概要

各相の励磁インダクタンスが均等になる高効率で小型の三相インダクタ及びその製造方法を提供する。対向配置され、第1の磁性材料を含む一対の端部コアと、前記一対の端部コア間に互いに離間して配置され、前記端部コアとともに環状の磁心を形成し、前記第1の磁性材料を含み、それぞれに導線が巻きつけられる両脚と、前記両脚と実質的に平行になるように前記両脚の中間に配置され、前記一対の端部コアの一方から他方までの間に取付けられ、前記第1の磁性材料とは異なる磁性を有する第2の磁性材料を含み、導線が巻きつけられる中央脚と、を有する三相インダクタ。

目的

本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、各相の励磁インダクタンスが均等になる高効率で小型の三相インダクタ及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

対向配置され、第1の磁性材料を含む一対の端部コアと、前記一対の端部コア間に互いに離間して配置され、前記端部コアとともに環状の磁心を形成し、前記第1の磁性材料を含み、それぞれに導線が巻きつけられる両脚と、前記両脚と実質的に平行になるように前記両脚の中間に配置され、前記一対の端部コアの一方から他方までの間に取付けられ、前記第1の磁性材料とは異なる磁性を有する第2の磁性材料を含み、導線が巻きつけられる中央脚と、を有することを特徴とする三相インダクタ

請求項2

前記第2の磁性材料は、前記第1の磁性材料よりも高飽和磁化特性を有することを特徴とする請求項1記載の三相インダクタ。

請求項3

前記第2の磁性材料は、純鉄粉粒子、Fe-Si系合金粒子、Fe-Si-Cr-Bアモルファス粒子、Fe-Si-Cr-Pアモルファス粒子、およびFe-Si-Al系合金粒子からなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする請求項2記載の三相インダクタ。

請求項4

前記第1の磁性材料は、Fe-Si系合金粒子、Fe-Si-Cr-Bアモルファス粒子、Fe-Si-Cr-Pアモルファス粒子、Co-Fe-Si-Bアモルファス粒子、パーマロイ粒子、Fe-Si-Al系合金粒子、およびフェライト粒子からなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする請求項2記載の三相インダクタ。

請求項5

前記中央脚の横断面積が前記両脚の横断面積より小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の三相インダクタ。

請求項6

前記第1の磁性材料の最大飽和磁束密度と前記第2の磁性材料の最大飽和磁束密度との差分に応じて、前記中央脚の横断面積を前記両脚の横断面積より小さくすることを特徴とする請求項5記載の三相インダクタ。

請求項7

(a)第1及び第2の磁粉をそれぞれ準備し、(b)前記第1の磁粉に第1の成形助剤を混合し、該混合粉を第1の金型プレス成形し、該プレス成形品熱処理し、これにより両脚および端部コアとなるべきコ字型またはI字型の第1の磁心を形成し、(c)前記第2の磁粉に第2の成形助剤を混合し、該混合粉を第2の金型でプレス成形し、該プレス成形品を熱処理し、これにより中央脚となるべきI字型の第2の磁心を形成し、(d)前記第1の磁心の両脚となるべき部分にそれぞれ直接または間接に導線を巻きつけるとともに、前記第2の磁心に直接または間接に導線を巻きつけ、これにより合計3つの巻線部を形成し、(e)複数個の前記第1の磁心を組合せて環状の両脚/端部コアアッセンブリを形成するとともに、前記両脚/端部コアアッセンブリの両脚の中間に前記両脚と実質的に平行に前記第2の磁心を取り付ける、ことを特徴とする三相インダクタの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ACフィルタとして無停電電源装置(UPS)等の三相PWMインバータ回路に組み込まれる三相インダクタ及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

従来の三相インダクタは、例えば非特許文献1に記載されているように、基本設計において三相変圧器設計思想をそのまま利用していることから、その構造が三相変圧器に近似したものとなっている。

0003

三相変圧器の設計では、負荷電流に対して励磁電流をいかに小さくするかが重要なポイントである。三相変圧器において、励磁電流が十分に小さい場合は、励磁電流が多少アンバランスであっても実質的に問題ないものとされている。そのため、三相変圧器の設計では各相の励磁電流を合わせこむ必要性がなく、各相の励磁インダクタンス間に多少の差分が存在していても実用上問題を生じないものとして無視されている。

0004

これに対して三相インダクタの設計では、各相の励磁インダクタンスを均等化することが重要なポイントになっている。そのため、三相インダクタの設計に対して、三相の各巻線電流リプルをできるだけ均等に揃えることが要求される。

先行技術

0005

IEEE TRANSACTIONS ON POWERELECTRONICS VOL.29, NO.7, 3657-3668, JULY 2014, “Loss Estimation Method for Three-Phase AC Reactors of Two Types of Structures Using Amorphous Wound Cores in 400-kVAUPS”, Kenichi Onda et al.

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、現在流通している無停電電源装置(UPS)に用いられている従来構造の三相インダクタでは、変圧器の設計思想に従って巻線される各脚の横断面積が一定の面積固定化されているために、各相の励磁インダクタンスを均等化することができない。同一磁性体材料で構成されることが前提条件とされる三相変圧器では、三相の最大磁束密度を均一にする必要があるため、必然的に各脚の横断面積が等しくなるからである。

0007

また、実際の回路設計では多くの場合に三相インダクタの代用品として3個の単相インダクタを接続して用いる例がみられるが、多数の部品で構成される三相PWMインバータ回路において1つの部品が多くのスペース占有するのは装置の大型化を招くという問題点がある。

0008

本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、各相の励磁インダクタンスが均等になる高効率で小型の三相インダクタ及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係る三相インダクタは、対向配置され、第1の磁性材料を含む一対の端部コア(11,12)と、前記一対の端部コア間に互いに離間して配置され、前記端部コアとともに環状の磁心を形成し、前記第1の磁性材料を含み、それぞれに導線が巻きつけられる両脚(32,33)と、前記両脚と実質的に平行になるように前記両脚の中間に配置され、前記一対の端部コアの一方から他方までの間に取付けられ、前記第1の磁性材料とは異なる磁性を有する第2の磁性材料を含み、導線が巻きつけられる中央脚(31)と、を有する。

発明の効果

0010

本発明の三相インダクタによれば、いわゆる内鉄形の構造において巻線部を有する中央脚および両脚に生成される三相の励磁インダクタンスが均等になるため、インダクタ損失が低減され、高い電力変換効率を実現することができる。

0011

また、本発明の三相インダクタは、同特性、同損失であれば従来品に比べて小型であり、三相インバータ回路に対する省スペースの要求を満たすことができる。

0012

本発明構造の三相インダクタでは、両脚B,Cの磁束密度最大値を中央脚Aの磁束密度の最大値よりも小さくしているため、外側に位置する両脚に低損失材料を用いることが可能になり、磁心全体を単一の材料で作製する従来構造の三相インダクタに比べて鉄損が低減する。

0013

また、本発明構造の三相インダクタでは、中央脚部の横断面積を両脚部/横脚部よりも小さくすることで、中央脚の磁束密度を上昇させ、外側にある両脚の磁束密度を減少させる。これにより、中央脚の磁束密度の最大値と両脚の磁束密度の最大値との間に差分をもうけることができる。一般に鉄損が少ない磁性体材料は飽和磁束密度が低い傾向にあるからである。また、熱がこもりやすい中央脚の温度上昇が抑えられる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施形態に係る三相インダクタを示す外観斜視図。
本発明の実施形態に係る三相インダクタを示す平面模式図。
本発明の実施形態に係る三相インダクタの製造方法を示すフローチャート
他の実施形態に係る三相インダクタの製造方法を示すフローチャート。
従来構造の三相インダクタを示す外観斜視図。
三相インダクタが組み込まれた三相インバータ回路図。
三相インダクタの作用を説明するために磁心を示す平面模式図。
三相インダクタの等価回路図
各種インダクタ損失の計算結果を示すプロット図
(a)はSA=1cm2のときに三相インダクタの各脚に生じる磁束密度波形を示す波形図、(b)はSA=2cm2のときの各脚の磁束密度波形を示す波形図。
各種磁心に矩形波励磁かつバイアス磁界印加時の鉄損特性を示す特性プロット線図。
各種インダクタ損失の計算結果を示すプロット図。
各種磁心の効率を調べた結果を示す特性プロット線図。
単相インバータ三角波の磁束密度波形を示す波形図。
三相PWMインバータ励磁下の磁束密度波形を示す波形図。
従来構造の三相インダクタの各脚に生じる磁束密度波形を示す波形図。
比較例試料の各種損失の理論値を示す特性プロット線図。
実施例試料の各種損失の理論値を示す特性プロット線図。
インダクタ損失全体の理論値を本発明品と従来品とで比較した特性プロット線図。
電力変換効率の実測値と理論値を比較する特性プロット線図。
三相インバータの各損失の分析結果を示す棒グラフ図。

0015

以下、添付の図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態を説明する。

0016

図1図2に本発明の実施形態に係る三相インダクタを示す。本実施形態の三相インダクタ40Aは、磁心の三脚にそれぞれ導線が巻きつけられて3つのコイルを形成するいわゆる内鉄形と呼ばれる構造を有するものである。図1に示すように、三相インダクタ40Aは、中央脚用カバーケース41A、一対の両脚用カバーケース42,43、一対の導線取出しスリットプレート44,45、一対の端部コア用カバーケース46,47を備えている。各ケース41A,42,43内には巻線されたコイルボビンが収容されている。各コイルボビンからの導線の両端は一対の導線取出しスリット付プレート44,45を介して外部にそれぞれ導出されるようになっている。

0017

中央脚用カバーケース41Aは、両側に配置された両脚用カバーケース42,43よりもX軸方向の幅が約30%狭くなっている。これは、収容される中央脚31(図示せず)のX軸方向の幅が両脚32,33のそれに比べて約30%狭いからである。

0018

これに対して、図5に示す従来構造の三相インダクタ40Bでは、中央脚用カバーケース41BのX軸方向の幅は両脚用カバーケース42,43のそれと同じ幅である。これは、収容される中央脚(図示せず)のX軸方向の幅が両脚32,33のそれと等しいからである。

0019

図2に示すように、三相インダクタの磁心10は、中央脚31および中央脚の両側に左右対称に配置された一対の両脚32,33および一対の端部コア21,22を有する。一対の端部コア11,12は、互いに離間して対向配置され、それぞれX軸方向に平行に延び出している。

0020

両脚32,33は、一対の端部コア11,12の間に互いに離間して配置され、それぞれY軸方向に平行に延び出し、端部コア11,12とともに環状の磁心を形成する。両脚32,33にはそれぞれ導線が巻きつけられ、2つのコイルが形成される。両脚32,33および端部コア11,12は、第1の磁性材料を含むものであり、一体成形することも可能であるが、別々に成形するようにしてもよい。

0021

中央脚31は、両脚32,33と実質的に平行になるように両脚32,33の中間に配置され、一方の端部コア11から他方の端部コア12までの間に取付けられる。中央脚31には、導線が巻きつけられ、1つのコイルが形成される。中央脚31は、第1の磁性材料とは異なる磁性を有する第2の磁性材料を含む。

0022

図6に実施形態の三相インダクタを含む三相インバータ回路を示す。

0023

UPSでは交流出力回路にACLとコンデンサを挿入して正弦波に近い波形が得られるようにしている。また、モータ用インバータにおいても高周波リプルによるモータの異常発熱や不要なノイズ発生を防ぐ目的からACLが使用されている。三相インバータ回路は、
PWM変調で動作する三相3線方式の構成をとるように設計されている。三相インダクタ40Aは、三相インバータ回路中において電源スイッチング素子回路と各種負荷との間に接続され、ACフィルタとして機能するようになっている。

0024

次に、三相インダクタの各相の励磁インダクタンスの発生原理およびそれらを均等化するために必要となる理論的根拠について説明する。

0025

まず、三相インダクタに流れる電流リプルが同一となる条件を導き出す。対称三相負荷であるとすると、三相インダクタの各相の電圧下式(1)〜(3)でそれぞれ与えられ、電流は下式(4)で与えられる。三相インダクタの磁脚断面積を変化させても、各相のインダクタに流れる電流リプルを同一にするには三相インバータ運転時におけるA相,B相,C相のインダクタのインダクタンス値LTotalA,LTotalB,LTotalCを揃える必要がある。

0026

次に各相のインダクタンスの導出手順を説明する。

0027

図7に示す三相インダクタの等価回路を用いると、各磁脚の磁束は式(5)〜(7)で与えられる。

0028

0029

ただし、記号laは中央脚Aの部分(I字形)の実効磁路長、記号lb,lcは三相インダクタコアの両脚/横脚部分(コ字形)の実効磁路長をそれぞれ示す。

0030

鎖交磁束数をψA=NAφA,ψB=NBφB,ψC=NCφCとすると式(8)で与えられる。

0031

相互インダクタンス対称性を有することから上式(8)は下式(9)で書き表すことができる。

0032

三相インダクタの自己インダクタンスをLA,LB,LCとし、相互インダクタンスをMAB,MBC,MCAとすると、各相のインダクタ電圧vLA,vLB,vLCはインダクタ電流iLA(t),iLB(t),iLC(t)を用いて式(10)〜(12)でそれぞれ与えられる。

0033

三相3線回路の場合、vLA(t)+vLB(t)+vLC(t)=0であるから式(13)のように示すことができる。

0034

また、iLA(t)+iLB(t)+iLC(t)=0であるから式(13)は式(14)のように示すことができる。

0035

対称三相負荷の場合、A相,B相,C相のインダクタ電圧はA相,B相,C相の電流によって与えられることから、式(15)〜(17)のように示すことができる。

0036

このときA相,B相,C相の端子からみた見掛けの上のインダクタンスLTotalA,LTotalB,LTotalCは式(18)〜(20)でそれぞれ示される。

0037

対称三相電流を流すためにはLTotalA=LTotalB=LTotalCである必要があるから、各相の見掛け上のインダクタンスLTotalA=LTotalB=LTotalC=Lが等しいとおいたとき、見掛け上のインダクタンスLと各相の巻き数NA,NB,NCの関係は式(21)〜(23)となる。

0038

ただし、三相インダクタのコアは内鉄形で中央をA脚とし、両側の脚をB脚,C脚とした対称構造であり、B相とC相の電気抵抗をRB=RC=R、巻き数をNB=NCとしている。この制約条件では、各相の巻き数比が等しいならば各相における見掛け上のインダクタンス比が同一となる。

0039

インダクタの中央脚の断面積が変化しても式(21)〜(23)から得られた値を用いれば、インダクタ電流のリプルは変わらない。しかし、インダクタの各磁脚の磁束は式(24)で示すように構造に依存して変化するため、インダクタの鉄損も構造に依存して変化する。三相インダクタは磁性体生体材料飽和しない限り,構造や材料を任意に組み合わせることができる。なお,磁性体材料は飽和磁束密度が低い程,鉄損が低減する傾向がある。インダクタの励磁に対して適切な磁性体材料を用いると鉄損を低減することができる。

0040

三相PWMインバータ励磁下の三相インダクタ損失の算出方法について説明する。

0041

三相インダクタ全損失はコイル内のジュール損失による銅損とコアに誘導される鉄損の合計値で示される。さらに、鉄損はインバータ出力電流基本波成分に起因する低周波鉄損と、半導体スイッチングによる電流リプル成分に起因する高周波鉄損分類される。低周波鉄損を考える場合は磁性体メーカーが提供しているデータシートより損失が計算できる。高周波鉄損を考える場合、励磁電圧矩形波成分主体であり、励磁磁界中にバイアス成分を含んでいることから、ロスマップ法により鉄損を算定する。なお、銅損の計算方法と低周波鉄損の計算方法は、ともに一般に広く知られている常用の方法であるためここでは説明を省略した。

0042

単相インバータや降圧チョッパの場合、磁束密度の波形は図14に示すような三角波になる。拡張スタイメッツ方程式(iGSE)によると、図14の三角波の区間a〜cにおける瞬時鉄損QHF(abc)は、式(25)に示すように各セグメントにおける鉄損の和として考えることができる。

0043

ロスマップ法では、この概念を用いて各dB/dtの区間の磁束密度リプルΔB、磁界バイアスHo、およびその区間の等価周波数feqより瞬時鉄損QHF(ΔB,Ho,feq)をロスマップデータより算出することができる。ロスマップデータは大きさの等しいdB/dtセグメント2つ分の鉄損であるので、図14の三角波の区間a〜cにおける瞬時鉄損QHF(abc)は式(26)を用いて算出することができる。

0044

これに対して三相PWMインバータでは、励磁波形他相の影響を受けるため、磁束密度波形の磁束密度Bが増加中または減少中であってもそのdB/dtは複数回変化する。例えば図15に示すように、cからfまでの区間では、磁束密度の減少中にdB/dtが2回変わる。

0045

そこで、このような区間では式(27)に示すように、各dB/dtの期間tと磁束密度変化リプルΔBから導出した等価周波数feqと、減少(増加)区間全体の磁束密度変化量ΔBとを用いて瞬時鉄損を算出する。

0046

その他の区間では従前と同様であり、区間a〜gにおける瞬時鉄損は式(28)で与えられる。

0047

なお、下式(29)に示す正弦波電流出力一周期間中の瞬時鉄損QHF(J/m3)の和にインダクタの磁心体積Ve(m3)の乗算出力電流一周期TLF(sec)の除算した値を高周波鉄損PHF(W)とする。

0048

次に、三相PWMインバータ励磁下の三相インダクタの構造の変更による鉄損の変化について説明する。

0049

図6の三相PWMインバータの回路定数を表4に示す。なお,三相インダクタのインダクタンス値は1.65mHとしている。図3に示した三相インダクタの中央脚Aの幅w2を種々変えて中央脚Aの横断面積SAを0.1〜2.0cm2の範囲で各種の値に調整する。この場合に、両側の脚B,Cの横断面積SB,SCは2.0cm2で一定とする。ちなみに、図5に示した従来の内鉄形の三相インダクタ40Bでは、A脚、B脚、C脚の横断面積は全て等しい(SA=SB=SC=2.0cm2)。

0050

三相インダクタの鉄損はインダクタに励磁される電圧波形シミュレーションから求め、下式(30)と(31)とで得られる磁束密度と磁界強度の値から上記ロスマップ法を用いて算出する。ただし、インダクタンスの非線形性漏れ磁束コア中の磁束密度不均一性による磁気抵抗の変化、巻線抵抗によるインダクタ電圧の降下の影響などは無視するものとする。ロスマップ法で用いるロスマップデータには三相インダクタと同材料の純鉄粉(東邦亜鉛株式会社のSK材)と(東邦亜鉛株式会社のHK材)を用いた。

0051

図9に出力電流正弦波一周期分の各種インダクタ損失を示す。図中の黒丸(●)は鉄粉両脚B,Cの鉄損、クロス(×)は鉄粉中央脚Aの鉄損、黒四角はコア全体の合計鉄損、ひし形(◇)は銅損、黒三角(▲)はインダクタ損失をそれぞれ示す。図から明らかなように、横断面積SAを小さくしていくと銅損が徐々に増加する傾向となった。横断面積SAの減少は、上式(26)で示されるように所望のインダクタンス値を得るために必要な巻き数が増えることから巻き線抵抗の増加にともない銅損が増加する。高周波鉄損については横断面積SA=2 cm2の場合には3.30 Wであるが、SA=1 cm2の場合には3.15 Wの最小値を示した。SA=1 cm2の場合、SA=2cm2の場合と比較して高周波鉄損が約4.5%減少する結果となった。なお、インダクタ全体でみるとSA=1.4 cm2において損失が最小となり、損失は6.06 Wである。

0052

図10の(a)に横断面積がSA=1 cm2のときの磁束密度波形A1,B1,C1を、図10の(b)にSA=2cm2のときの磁束密度波形A2,B2,C2をそれぞれ示す。横断面積SAの増加は中央脚Aの磁束密度リプルが減少し、両脚B,Cの磁束密度リプルが増加に寄与する。一般に鉄損は磁束密度リプルΔBの二乗に比例していくことから、鉄損も図9の結果から明らかなように横断面積SAの増加にともない、中央脚Aの鉄損は減少し、両脚B,Cの鉄損は増加する。とくに両脚B,Cは中央脚Aに比べて体積が大きいので、横断面積SAの減少は三相インダクタ全体としての鉄損削減効果に大きく寄与する。また、横断面積SAの減少は中央脚Aの磁束密度波形の基本波振幅が増加し、両脚B,Cの振幅が減少する。

0053

図9の領域Aにおいて、両脚B,Cの振幅の基本波振幅を中央脚Aよりも20%以上低減できるため、中央脚Aには飽和磁束密度の高い材料を用い、両脚B,Cには中央脚Aよりも飽和磁束密度の低い材料を用いることが可能になる。

0054

次に、異種材料を組み合わせた三相インダクタの損失について説明する。

0055

Fe-Si-Al系合金(例えばFe-9.5%Si-5.5%Al合金)は、飽和磁束密度が純鉄粉(純度97%以上)より約20%低いが、鉄損は鉄粉材料と比べて大幅に低い特性を有している。そこで、図9の領域Aにおいて中央脚Aには飽和磁束密度の高い鉄粉材料を用い、両脚B,CにはFe-Si-Al合金を用いた三相インダクタの鉄損について検討してみる。Fe-Si-Al合金コア(HK材)および鉄粉コア(SK材)における矩形波励磁かつバイアス磁界印加時の鉄損特性を示したロスマップを図11に示す。磁界バイアスHo=2000A/mにおいて、Fe-Si-Al合金の鉄損は純鉄粉よりも約70%小さい。なお、Fe-Si-Al合金のバイアス励磁下における透磁率は純鉄粉材料とほぼ等しいことから、両脚B,Cの磁性体材料を純鉄粉からFe-Si-Al合金に変えても構造および回路パラメータに影響が及ばず、純粋に高周波鉄損の材料依存性を評価することができる。

0056

図9の領域Aの条件において、両脚B,Cの磁性体材料にFe-Si-Al合金を用いたときの各種インダクタ損失の計算結果を図12に示す。図中の黒丸(●)は鉄粉両脚B,Cの鉄損、クロス(×)は鉄粉中央脚Aの鉄損、黒四角は鉄粉コア全体の合計鉄損、黒ひし形(◆)は銅損、白三角(△)はFe-Si-Al合金の両脚B,Cの鉄損、白四角(□)は複合磁性体コア全体の鉄損、白ひし形(◇)は複合磁性体コアのインダクタ損失、黒三角(▲)は鉄粉コアのインダクタ損失をそれぞれ示す。図から明らかなように、とくに横断面積SA=1.7 cm2の場合には、本発明の三相インダクタは両脚B,Cの鉄損を低減できることから鉄粉材料のみのインダクタ全体の損失と比べて1.68Wほど低減できていることが判明した。

0057

図10(a)の波形図から明らかなように、中央脚Aの横断面積SAが大きくなるに従って中央脚Aの磁束密度リプルは減少するが、両側の脚B,Cの磁束密度リプルは増加する。鉄損は磁束密度リプルΔBの二乗に比例することから、鉄損においても同様に中央脚の横断面積SAを大きくするにつれて中央脚Aの鉄損は減少していき、逆に両脚B,Cの鉄損は増加していく。

0058

また、図5の従来構造(SA=2.0cm2)の三相インダクタ40Bでは、各相における磁束密度波形の基本波振幅が等しいが、中央脚の横断面積SAを小さくしていくと、中央脚Aの磁束密度波形の基本波振幅が増加する。とくに純鉄粉コアの飽和磁束密度は1.2テスラ程度であるため、中央脚の横断面積SAを小さくしていくとインダクタが飽和する。中央脚の横断面積SAの最小値は、インダクタの飽和磁束密度の値によって制限を受けるため、無制限に小さくすることはできない。

0059

三相インダクタのインダクタンスの設定方法および調整方法についてさらに説明する。

0060

三相インダクタに励磁される磁束密度Bnは下式(32)に示すようにインダクタ電圧VLN,巻き数N,横断面積Snによって定義される。

0061

三相インダクタの各巻線の巻き数を等しくすると、見掛けのインダクタンス値は同一になり、インダクタンスに印加されるインダクタ電圧は変化しない。

0062

三相インダクタにおおいて、中央脚の横断面積SAを小さくすると中央脚の磁気抵抗RAが増加することから、式(33)に示すように同一のインダクタンス値を得るために巻き数を多く巻く必要がある。

0063

各磁脚に励磁される磁束密度については、図16に示すように、中央脚Aの磁束密度が増加し、逆に両側の脚B,Cの磁束密度は減少する。よって、中央脚Aの磁束密度の最大値と両側の脚B,Cの磁束密度の最大値との間に差分をもたせることができる。なお、図中にて波形A4は本発明構造インダクタ(実施例)の中央脚の磁束密度波形、波形A5は従来構造インダクタ(比較例)の中央脚の磁束密度波形、波形B4は本発明構造インダクタ(実施例)の両脚の一方の磁束密度波形、波形B5は従来構造インダクタ(比較例)の両脚の一方の磁束密度波形、波形C4は本発明構造インダクタ(実施例)の両脚の他方の磁束密度波形、波形C5は従来構造インダクタ(比較例)の両脚の他方の磁束密度波形をそれぞれ示す。

0064

単一の磁性体材料で作る従来構造の三相インダクタでも単位体積当たりの磁心損失は磁束密度の低減効果と相まってインダクタ全体の磁心損失を低減することができる。三相インダクタにおいては中央脚Aを小さくすることでインダクタの総合損失を低減することができるようになる。また,励磁条件に応じて異種材料を組み合わせることで,さらなる損失低減ができるようになる。

0065

インダクタの励磁に対して適切な磁性体材料を選定する方法について言及する。

0066

図6の三相PWMインバータの回路定数を表3に示す。ここで,表3の各値は実際のUPSに用いる三相インバータ動作を想定とするパラメータとしている。

0067

なお,三相インダクタのインダクタンス値は2.52mHとしている。図3に示した三相インダクタは中央脚Aの幅w2を変えて中央脚Aの横断面積SAを1.4 cm2および2.0cm2の値とした2種類を用意する。この場合に、両側の脚B,Cの横断面積SB,SCは2.0cm2で一定とする。ちなみに、図5に示した従来の内鉄形の三相インダクタ40Bでは、A脚、B脚、C脚の横断面積は全て等しい(SA=SB=SC=2.0cm2)。2種類の三相インダクタの各磁脚における磁束密度波形を図16にしめす。なお、図中にて波形A4は横断面積SAが1.4cm2とする三相インダクタの中央脚Aの磁束密度波形、波形A5は横断面積SAが2cm2とする三相インダクタの中央脚の磁束密度波形、波形B4は横断面積SAが1.4cm2とする三相インダクタの両脚の一方の磁束密度波形、波形B5は断面積SAが2cm2とする三相インダクタの両脚の一方の磁束密度波形、波形C4は横断面積SAが1.4cm2とする三相インダクタの両脚の他方の磁束密度波形、波形C5は断面積SAが2cm2とする三相インダクタの両脚の他方の磁束密度波形をそれぞれ示す。中央脚Aの横断面積SAが両側の脚B,Cの横断面積SB,SCと比べて小さい場合において各磁脚に励磁される磁束密度については、図16に示すように、中央脚Aの磁束密度が増加し、逆に両側の脚B,Cの磁束密度は減少する。

0068

三相インダクタは中央脚Aの幅が変化することによって各磁脚に励磁される磁束密度が上記のように変化する原理について説明する。三相インダクタに励磁される磁束密度Bnは上式(32)に示すようにインダクタ電圧VLN,巻き数N,横断面積Snによって定義される。

0069

三相インダクタの各巻線の巻き数を等しくすると、見掛けのインダクタンス値は同一になり、インダクタに印加されるインダクタ電圧は変化しない。

0070

三相インダクタにおいて、中央脚の横断面積SAを小さくすると中央脚の磁気抵抗RAが増加することから、上式(33)に示すように同一のインダクタンス値を得るために巻き数を多く巻く必要がある。

0071

中央脚の横断面積SAを小さくすると巻き数が増えることから,中央脚Aの磁束密度が増加し、逆に両側の脚B,Cの磁束密度は減少している。中心脚の磁束密度の最大値と外脚の磁束密度の最大値に差を持たせることができるので,複数の磁性体材料の組み合わせた三相インダクタの設計が可能になる。なお,中央脚Aの幅w2は組み合わせたい磁性体材料の飽和磁束密度の比よって決まる。たとえば、実施例1で示している鉄粉材料とFe-Si-Al系合金材料を用い、磁性体の磁気飽和を考慮した三相インダクタを作成する場合は,両材料の最大飽和磁束密度の差は約30%なので,中心脚の磁束密度と両脚の磁束密度の差が30%となるように中心脚の断面積w2を調整する。

0072

三相インダクタは磁脚の一部に低損失材料が使用可能になり,単一の磁性体材料で作る従来の三相インダクタよりも鉄損を削減できる。

0073

図17に従来構造の三相インダクタ(比較例1;三脚とも純鉄粉コア)における各種損失の理論値を示す。図中の特性線P1は低周波鉄損、特性線Q1は高周波鉄損、特性線R1は銅損、特性線S1は全インダクタ損失をそれぞれ示す。

0074

図18に本発明構造の三相インダクタ(実施例2;純鉄粉の中央脚とFe-Si-Al系合金の両脚とを組合せた複合磁性体コア)における各種損失の理論値を示す。図中の特性線P2は低周波鉄損、特性線Q2は高周波鉄損、特性線R2は銅損、特性線S2は全インダクタ損失をそれぞれ示す。

0075

図19にインダクタ損失全体での理論値について実施例2と比較例1とで比べた結果を示す。ただし、1p.uを定格運転(835W)とする。図中の特性線Tは比較例1の全インダクタ損失、特性線Uは実施例1の全インダクタ損失を示す。

0076

作製した本発明構造の三相インダクタと従来構造の三相インダクタとについて効率をそれぞれ測定し、それらを比較検討した。効率は、直流入力側消費電力値と2電力系法によって計測した三相負荷の消費電力値とを用いて、下式(34)により導出した。測定機器として高精度パワーメータ(NEWTONS4th社のPPA5530)を用いた。

0077

図20は、実施例または比較例の三相インダクタを組み込んだ三相インバータの電力変換器の損失をそれぞれ調べるために、実施例と比較例の電力変換効率の実測値と理論値を対比して示した特性プロット線図である。図中の特性線Kは従来構造の三相インダクタ(比較例)の実測値、特性線Lは本発明構造の三相インダクタ(実施例)の実測値、特性線Mは本発明構造の三相インダクタ(実施例)の理論値、特性線Nは従来構造の三相インダクタ(比較例)の理論値をそれぞれ示す。これらの結果から明らかなように、本発明構造の三相インダクタを用いると、最大負荷では従来構造の三相インダクタを用いた場合に比べて効率が約0.7%向上し、最低負荷では効率が約1%向上した。

0078

次に、三相インバータの各損失について分析を行った。三相インダクタのインダクタ全損失はインダクタ電圧および電流を一次巻線から検出することによって測定し、半導体デバイス損失は式(35)に示すようにインバータの全損失からインダクタ全損失の差分を求めることにより導き出した。

0079

図21に各種三相インダクタの損失の分析結果を示す。図中の棒グラフは下から順にスイッチングデバイス損失、銅損、鉄損、インダクタ損失を順次積算して全損失を表したものである。また、図中の記号aは実施例の理論値の結果、記号bは実施例の実測値の結果、記号cは比較例の理論値の結果、記号dは比較例の実測値の結果をそれぞれ示す。

0080

これらの分析結果から明らかなようにインダクタ全損失については理論値と実測値とがよく一致している。本発明構造の三相インダクタを用いたインバータの効率向上効果最大負荷時においてはインダクタ全損失で銅損が支配的になるために大きい。その結果、低負荷の効率向上率は最大負荷時の効率向上率よりも0.3%ほど高くなった。

0081

次に、実施形態の三相インダクタを構成する構成材料についてそれぞれ説明する。

0082

[第1の磁粉
三相インダクタの両脚および端部コアに含ませる第1の磁粉材料として、3〜8質量%Si含有のFe−Si系合金粉、Fe−Si−Cr−BまたはFe−Si−Cr−PのようなFe基アモルファス、Co−Fe−Si−BのようなCo基アモルファス、ハイフラックス(50%Fe-50%Ni)、Fe-Si-Al系合金、パーマロイ、およびフェライトのいずれかを用いることができる(表1)。

0083

[第2の磁粉]
三相インダクタの中央脚に含ませる第2の磁粉材料として、純度97%以上の純鉄粉、3〜8質量%Si含有のFe−Si系合金粉、Fe−Si−Cr−BまたはFe−Si−Cr−PのようなFe基アモルファス、Co−Fe−Si−BのようなCo基アモルファス、ハイフラックス(50%Fe-50%Ni)、およびFe-Si-Al系合金のいずれかを用いることができる(表1)。第2の磁粉材料は、第1の磁粉材料に比べて飽和磁化特性がより高い材料である必要があるため、上記第1の磁粉材料との組合せが重要である。

0084

成形助剤
磁心を成形するために使用される成形助剤として、無機系の非磁性バインダおよび有機系の樹脂バインダのいずれか一方または両方を組み合わせて用いることができる。無機系の非磁性バインダには、シリコーン樹脂および水ガラスのいずれかを用いることができる。また、有機系の樹脂バインダには、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、メチルセルロース水溶性アクリルパラフィングリセリン、およびポリエチレングリコールのいずれかを用いることができる(表2)。

0085

[導線]
導線は、三相インダクタの三脚にそれぞれ巻きつけられ、コイルを形成するものである。導線は、絶縁性被膜で覆われた純Cu線(0.9mm径)であり、JIS規格番号C3202の被膜の厚みが厚いもの(1種:0.025mm)および薄いもの(2種:0.017mm)を用いることができる。

0086

[製造方法]
三相インダクタの製造方法を以下に説明する。

0087

(第1の実施形態)
まず図1を参照して第1の実施形態の製造方法を説明する。

0088

両脚および端部コアを作製するための第1の磁粉を準備する(工程S1)。第1の磁粉として、表1中に示す各種の材料を用いることができる。

0089

第1の磁粉に成形助剤を添加し、撹拌混合する(工程S2)。成形助剤として、表2中に示す各種の材料を用いることができる。

0090

字型金型を準備し、混合粉を金型のキャビティに供給し、室温下でプレス成形する(工程S3)。本実施形態ではプレス成形を冷間で行うが、これ以外の方法として予熱を施す温間または熱間でプレス成形することも可能である。

0091

金型からプレス成形品を取り出し、熱処理炉内装入し、100〜1000℃×2〜5hrの条件で熱処理する(工程S4)。これにより成形助剤の一部または全部が溶融し、磁粉粒子相互間隙溶融物が浸入し、磁粉粒子間の結合力強化される。

0092

コ字型の磁心21,22を炉内から取り出し、これらより少し大きい相似形状の2つの絶縁ケース4内にそれぞれ収容する(工程S5)。絶縁ケースの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネード樹脂のような樹脂を用いることができる。これにより2組の両脚/端部コアアッセンブリ27,28が得られる。なお、絶縁ケースに収容するとともに、または絶縁ケースに収容する代わりに、エポキシ樹脂ウレタン樹脂のような絶縁性樹脂を含有する塗料コア表面に塗布する絶縁処理を施すこともできる。

0093

中央脚を作製するための第2の磁粉を準備する(工程S6)。第2の磁粉として、表1中に示す各種の材料を用いることができる。

0094

第2の磁粉に成形助剤を添加し、撹拌混合する(工程S7)。成形助剤として、上記と同様に表2の各種材料を用いることができる。

0095

I字型の金型を準備し、混合粉を金型のキャビティに供給し、室温下でプレス成形する(工程S8)。プレス成形は、本実施形態では冷間で行うが、これ以外の方法として予熱を施す温間または熱間で行うことも可能である。

0096

金型からプレス成形品を取り出し、熱処理炉内に装入し、100〜1000℃×2〜5hrの条件で熱処理する(工程S9)。ちなみに、鉄およびアモルファスは100〜500℃、それ以外の磁性材料は500〜1000℃の条件でそれぞれ熱処理することが好ましい。

0097

I字型の磁心31を炉内から取り出し、これより少し大きい相似形状の絶縁ケース5内に収容する(工程S10)。これにより中央脚アッセンブリ25が得られる。この中央脚アッセンブリ25の一方端部を両脚/端部コアアッセンブリ27の端部コア21の長手中央接着剤接着する。なお、本実施形態では中央脚アッセンブリ25の取り付けを接着剤により接着するが、ケース5をケース4に嵌め込む嵌め合い構造として取り付けを行うようにしてもよい。

0098

ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリカーボネートのような絶縁性樹脂でつくられたボビン6に所定量の絶縁被覆導線7を巻きつけ、全部で3個のコイルボビン8を得る(工程S11)。

0099

3個のコイルボビン8のうちの1個の中空部には中央脚アッセンブリ25を挿入し、残り2個のコイルボビン8の中空部には両脚/端部コアアッセンブリ27の両脚をそれぞれ挿入する(工程S12)。

0100

さらに、他方の両脚/端部コアアッセンブリ28の両脚をそれぞれコイルボビン8の中空部に挿入し、図示のように磁心を組み立てる(工程S13)。この組み立ては、接着剤を用いる接着によるのが一般的であるが、ケース5をケース4に嵌め込む嵌め合い構造として組み立てるようにしてもよい。これにより図示のようにインダクタアッセンブリ38が形成される。

0101

インダクタアッセンブリ38の外周にポリエステルテープ9を巻きつけて各部材が脱離しないようにインダクタアッセンブリ38をしっかりと固定保持する(工程S14)。

0102

(第2の実施形態)
次に図2を参照して第2の実施形態の製造方法を説明する。

0103

工程K1〜K4は、上記第1の実施形態と同様である。

0104

熱処理後、室温または室温近傍まで温度降下したコ字型磁心の表面に絶縁性塗料を塗布する(工程K5)。

0105

工程K6〜K9は、上記第1の実施形態と同様である。

0106

熱処理後、室温または室温近傍まで温度降下したI字型磁心の表面に絶縁性塗料を塗布する(工程K10)。

0107

磁心に導線を巻きつける(工程K11)。

0108

中央脚アッセンブリ26を両脚/端部コアアッセンブリ29に取り付ける(工程K12)。この取付けは、接着剤を用いる接着によるのが一般的である。これにより図示のようにインダクタアッセンブリ39が形成される。

0109

インダクタアッセンブリ39の外周にポリエステルテープ9を巻きつけて各部材が脱離しないようにインダクタアッセンブリ39をしっかりと固定保持する(工程K13)。

0110

以下に実施例を比較例と対比して説明する。

0111

(実施例1)
第1の磁粉にFe-Si-Al系合金(東邦亜鉛株式会社のHK材)を用い、成形助剤にシリコーンまたは水ガラスのうちから1種、およびPVAまたはPVBまたはメチルセルロースのうちから1種を選択し、2種類の成形助剤を第1の磁粉に混合し、混合粉をプレス成形し、プレス成形品を800℃×120分の条件で熱処理し、コ字型に一体成形した両脚/端部コアを2つ作製した(表5)。

0112

また、第2の磁粉に純鉄粉(東邦亜鉛株式会社のSK材)を用い、成形助剤にシリコーンまたは水ガラスのうちから1種、およびPVAまたはPVBまたは水溶性アクリルのうちから1種を選択し、2種類の成形助剤を第2の磁粉に混合し、混合粉をプレス成形し、プレス成形品を200℃×120分の条件で熱処理し、I字型の中央脚コアを1つ作製した(表5)。

0113

次いで、作製した2つの両脚/端部コアと1つの中央脚コアを上記第1の実施形態の製造方法を用いて実施例1の三相インダクタ(ボビン型)を作製した。作製した三相インダクタのコアのサイズは、長さL1を6.3mm、両脚と端部コアの幅W1をそれぞれ1.0mm、中央脚の幅W2を0.7mmとした。

0114

(比較例1)
第1の磁粉に純鉄粉(東邦亜鉛株式会社のSK材)を用い、成形助剤にシリコーンまたは水ガラスのうちから1種、およびPVAまたはPVBまたは水溶性アクリルのうちから1種を選択し、2種類の成形助剤を第1の磁粉に混合し、混合粉をプレス成形し、プレス成形品を200℃×120分の条件で熱処理し、コ字型に一体成形した両脚/端部コアを2つ作製した(表5)。

0115

また、第2の磁粉に純鉄粉(東邦亜鉛株式会社のSK材)を用い、成形助剤にシリコーンまたは水ガラスのうちから1種、およびPVAまたはPVBまたは水溶性アクリルのうちから1種を選択し、2種類の成形助剤を第2の磁粉に混合し、混合粉をプレス成形し、プレス成形品を200℃×120分の条件で熱処理し、I字型の中央脚コアを1つ作製した(表5)。

0116

次いで、作製した2つの両脚/端部コアと1つの中央脚コアを上記第1の実施形態の製造方法を用いて比較例1の三相インダクタ(ボビン型)を作製した。作製した三相インダクタのコアのサイズは、長さL1を6.3mm、両脚と端部コアの幅W1をそれぞれ1.0mm、中央脚の幅W2を1.0mmとした。

0117

(実施例2)
第1の磁粉にFe−Si−Cr−Pアモルファスを用い、成形助剤にシリコーンまたは水ガラスのうちから1種、およびPVAまたはPVBまたはメチルセルロースのうちから1種を選択し、2種類の成形助剤を第1の磁粉に混合し、混合粉をプレス成形し、プレス成形品を400〜500℃×120分の条件で熱処理し、コ字型に一体成形した両脚/端部コアを2つ作製した(表5)。

0118

また、第2の磁粉に純鉄粉(東邦亜鉛株式会社のSK材)を用い、成形助剤にシリコーンまたは水ガラスのうちから1種、およびPVAまたはPVBまたは水溶性アクリルのうちから1種を選択し、2種類の成形助剤を第2の磁粉に混合し、混合粉をプレス成形し、プレス成形品を200℃×120分の条件で熱処理し、I字型の中央脚コアを1つ作製した(表5)。

0119

次いで、作製した2つの両脚/端部コアと1つの中央脚コアを上記第1の実施形態の製造方法を用いて実施例2の三相インダクタ(ボビン型)を作製した。作製した三相インダクタのコアのサイズは、長さL1を6.3mm、両脚と端部コアの幅W1をそれぞれ1.0mm、中央脚の幅W2を0.7mmとした。

0120

上記のようにして作製した実施例1,2および比較例1の各三相インダクタ40A,40Bを図6の三相PWMインバータ回路に組み込み、通電時の電力変換効率をそれぞれ測定し、評価した。なお、三相PWMインバータの回路定数を表3と表4にそれぞれ示した。

0121

評価試験結果を表6、表7、表8、表9、表10にそれぞれ示した。これらの結果によれば、実施例1,2ともに比較例1に比べて損失が少なく、電力変換効率特性に優れていることが確認された。

0122

0123

0124

0125

0126

0127

実施例

0128

0129

本発明の三相インダクタは、無停電電源装置(UPS)等の三相PWMインバータ回路に利用することができる。

0130

4,5…絶縁ケース、6…ボビン、7…巻線(コイル)、8…コイルボビン、9…固定保護テープ
10…磁心(コア)、11,12…端部コア(横脚)、21,22…両脚/端部コア(コ字型磁心セグメント)、27,28,29…両脚/端部コアアッセンブリ、31…中央脚(I字型磁心セグメント)、32,33…両脚、39…中央脚アッセンブリ、
40A,40B…三相インダクタ、41A,41B…中央脚用カバーケース、42,43…両脚用カバーケース、44,45…導線取出しスリット付プレート、46,47…端部コア用カバーケース。

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