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技術 陽電子消滅特性測定装置

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所東洋精鋼株式会社
発明者 山脇正人小林慶規服部兼久上杉直也
出願日 2016年9月6日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2016-173997
公開日 2018年3月15日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2018-040645
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析
主要キーワード 消滅特性 消滅時刻 位置決め部分 陽電子寿命 ストレージオシロスコープ 記載置板 検出器毎 調節ステップ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

陽電子線源の破損を抑制する技術を提供する。

解決手段

陽電子消滅特性測定装置は、装置内に固定される陽電子線源424と、陽電子線源424に対向する位置に被測定体Sを保持する保持手段70と、陽電子線源424に対して保持手段70に保持される被測定体Sとは反対側に配置されており、陽電子線源424で生成された陽電子のうち被測定体Sに入射されなかった陽電子を検出する陽電子検出手段40と、陽電子線源424で生成された陽電子が消滅するときに発生する放射線を検出する放射線検出手段14と、陽電子検出手段40の検出結果と、放射線検出手段14の検出結果に基づいて、被測定体内における陽電子の消滅特性を算出する消滅特性算出手段50を備えている。保持手段70は、陽電子線源424から離間する位置で被測定体Sを保持する。

概要

背景

22Naや68Geなどの陽電子線源陽電子放出核種)から放出される陽電子物質照射されると、照射された陽電子は物質内を飛行した後に物質内の電子と結合して対消滅する。物質内に空孔欠陥)が存在すると、その空孔に陽電子は捕捉される。このため、物質内に空孔が存在しない場合と比較して陽電子が消滅するまでの時間が長くなる。また、物質内に空孔が存在する場合、陽電子が消滅する際に放出する放射線γ線)のエネルギースペクトル分布が、物質内に空孔が存在しない場合の当該放射線のエネルギースペクトルの分布と比較して相違する。このため、物質内に照射された陽電子が消滅するまでの時間や、物質内に照射された陽電子が消滅する際の放射線のエネルギースペクトル分布がわかれば、空孔(欠陥)に関連した物質の材料特性推定することができる。そこで、陽電子の消滅特性を測定することで、ショットピーニング加工の評価や、原子炉に用いられている部材の疲労状態観測について研究が行われている。

特許文献1には、陽電子線源と、陽電子線源で生成された陽電子が消滅するときに発生する放射線を検出する第1放射線検出手段と、陽電子線源で生成された陽電子のうち被測定体入射されなかった陽電子を検出する陽電子検出手段と、を備える陽電子消滅特性測定装置が開示されている。陽電子線源は、被測定体の表面に密着するように配置される。この装置では、被測定体に入射されなかった陽電子が消滅するときに発生する放射線をノイズとして除去することにより、被測定体内における陽電子の消滅特性を精度よく測定することができる。

概要

陽電子線源の破損を抑制する技術を提供する。陽電子消滅特性測定装置は、装置内に固定される陽電子線源424と、陽電子線源424に対向する位置に被測定体Sを保持する保持手段70と、陽電子線源424に対して保持手段70に保持される被測定体Sとは反対側に配置されており、陽電子線源424で生成された陽電子のうち被測定体Sに入射されなかった陽電子を検出する陽電子検出手段40と、陽電子線源424で生成された陽電子が消滅するときに発生する放射線を検出する放射線検出手段14と、陽電子検出手段40の検出結果と、放射線検出手段14の検出結果に基づいて、被測定体内における陽電子の消滅特性を算出する消滅特性算出手段50を備えている。保持手段70は、陽電子線源424から離間する位置で被測定体Sを保持する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被測定体入射されて被測定体内で消滅する陽電子消滅特性を測定する装置であり、装置内に固定される陽電子線源と、前記陽電子線源に対向する位置に被測定体を保持する保持手段と、前記陽電子線源に対して前記保持手段に保持される前記被測定体とは反対側に配置されており、前記陽電子線源で生成された陽電子のうち前記被測定体に入射されなかった陽電子を検出する陽電子検出手段と、前記陽電子線源で生成された陽電子が消滅するときに発生する放射線を検出する第1放射線検出手段と、前記陽電子検出手段の検出結果と、前記第1放射線検出手段の検出結果に基づいて、前記被測定体内における陽電子の消滅特性を算出する消滅特性算出手段と、を備えており、前記保持手段は、前記陽電子線源から離間する位置で前記被測定体を保持する、装置。

請求項2

前記保持手段は、前記被測定体が載置される載置板を備えており、前記載置板には貫通孔が形成されており、前記被測定体を載置した前記載置板を予め定められた設定位置に配置すると、前記被測定体が前記貫通孔を介して前記陽電子線源と対向する、請求項1に記載の装置。

請求項3

前記陽電子線源と、前記保持手段と、前記陽電子検出手段とを収容すると共に、その内部に外部からアクセス可能とする開口を有する遮光容器と、前記開口に設けられ、前記開口を閉鎖する閉状態と前記開口を開放する開状態とに切替え可能である開閉扉と、前記開閉扉が前記閉状態と前記開状態のいずれであるかを検知する第1センサと、前記第1センサに接続された制御装置と、をさらに備えており、前記制御装置は、前記第1センサの検知結果が前記閉状態である場合に、陽電子の消滅特性を測定可能とする、請求項1または2に記載の装置。

請求項4

前記制御装置に接続されており、前記開閉扉が前記閉状態のときに、前記開閉扉を前記閉状態から前記開状態に切替え不能なロック状態と、前記開閉扉を前記閉状態から前記開状態に切替え可能な非ロック状態とに切替え可能であるロック機構と、前記制御装置に接続されており、前記ロック機構が前記ロック状態と前記非ロック状態のいずれであるかを検知する第2センサと、をさらに備えており、前記制御装置は、さらに前記第2センサの検知結果が前記ロック状態である場合に、陽電子の消滅特性を測定可能とする、請求項3に記載の装置。

請求項5

前記陽電子線源で陽電子が生成されるときに発生する放射線を検出する第2放射線検出手段をさらに備えており、前記消滅特性算出手段は、前記第2放射線検出手段により放射線を検出した時刻と、前記第1放射線検出手段により放射線を検出した時刻との時間差から得られる陽電子の寿命から消滅特性を算出し、前記第2放射線検出手段により検出された放射線のうち、前記陽電子検出手段で検出された陽電子が生成したときに発生したと推定される放射線を除いて、前記被測定体内における陽電子の消滅特性を算出する、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。

請求項6

前記陽電子線源と前記第1放射線検出手段の間の距離と、前記陽電子線源と前記第2放射線検出手段の間の距離が等しい、請求項5に記載の装置。

請求項7

前記第1放射線検出手段は、陽電子が消滅するときに発生するγ線エネルギーを測定し、前記消滅特性算出手段は、前記第1放射線検出手段により検出された検出結果から得られるγ線のエネルギースペクトル分布から、前記被測定体内における陽電子の消滅特性を算出する、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。

請求項8

前記陽電子検出手段は、陽電子の入射によってシンチレーション光を放出するシンチレータと、前記シンチレータから放出されたシンチレーション光を検知する光センサと、を備えており、前記シンチレータと前記光センサとが、シンチレーション光を伝送可能なライトガイドにより接続されている、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。

請求項9

被測定体に入射されて被測定体内で消滅する陽電子の消滅特性を測定する装置において、陽電子が生成及び消滅するときに発生する放射線を検出する検出器検出値補正する方法であって、前記検出器の検出結果から得られる放射線のエネルギースペクトルに基づく電圧信号のうち、ヒストグラムにして観測する電圧値の範囲を決定する決定ステップと、前記決定された電圧値の範囲について得られた前記ヒストグラムにおいて、2つの極大値と、前記2つの極大値の間の範囲の極小値が現れるか否かを判定する判定ステップと、前記ヒストグラムにおいて、2つの極大値と、前記2つの極大値の間の範囲の極小値が現れるまで、前記決定ステップと前記判定ステップを繰返して電圧値の範囲を調節する調節ステップと、前記調節ステップで得られた電圧値の範囲において得られた前記ヒストグラムにおける前記極小値に基づいて、陽電子が消滅するときに発生する放射線であると判断するエネルギー範囲の下限値を補正する第1補正ステップと、を備える方法。

請求項10

前記2つの極大値のうち高電圧側に現れる極大値と、陽電子が消滅するときに発生する放射線のエネルギー値とに基づいて、陽電子が生成されるときに発生する放射線であると判断するエネルギー範囲の下限値を補正する第2補正ステップ、をさらに備える、請求項9に記載の方法。

請求項11

請求項9または10に記載の方法をコンピュータに実行させる、プログラム

技術分野

0001

本明細書は、被測定体入射されて被測定体内で消滅する陽電子消滅特性を測定するための技術に関する。

背景技術

0002

22Naや68Geなどの陽電子線源陽電子放出核種)から放出される陽電子が物質照射されると、照射された陽電子は物質内を飛行した後に物質内の電子と結合して対消滅する。物質内に空孔欠陥)が存在すると、その空孔に陽電子は捕捉される。このため、物質内に空孔が存在しない場合と比較して陽電子が消滅するまでの時間が長くなる。また、物質内に空孔が存在する場合、陽電子が消滅する際に放出する放射線γ線)のエネルギースペクトル分布が、物質内に空孔が存在しない場合の当該放射線のエネルギースペクトルの分布と比較して相違する。このため、物質内に照射された陽電子が消滅するまでの時間や、物質内に照射された陽電子が消滅する際の放射線のエネルギースペクトル分布がわかれば、空孔(欠陥)に関連した物質の材料特性推定することができる。そこで、陽電子の消滅特性を測定することで、ショットピーニング加工の評価や、原子炉に用いられている部材の疲労状態観測について研究が行われている。

0003

特許文献1には、陽電子線源と、陽電子線源で生成された陽電子が消滅するときに発生する放射線を検出する第1放射線検出手段と、陽電子線源で生成された陽電子のうち被測定体に入射されなかった陽電子を検出する陽電子検出手段と、を備える陽電子消滅特性測定装置が開示されている。陽電子線源は、被測定体の表面に密着するように配置される。この装置では、被測定体に入射されなかった陽電子が消滅するときに発生する放射線をノイズとして除去することにより、被測定体内における陽電子の消滅特性を精度よく測定することができる。

先行技術

0004

特開2012−127942号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1の技術では、陽電子線源を被測定体に密着させた状態で測定を行っている。このため、陽電子線源が被測定体と接触することによって、陽電子線源が破損する場合がある。また、被測定体をピンセット等の鋭利な形状の器具で扱う必要がある場合、陽電子線源に被測定体を密着させる際に陽電子線源が当該器具と接触して破損する場合がある。本明細書は、被測定体を装置に設置する際に、陽電子線源に破損が生じることを抑制する技術を開示する。

課題を解決するための手段

0006

本明細書が開示する装置は、被測定体に入射されて被測定体内で消滅する陽電子の消滅特性を測定する。装置は、装置内に固定される陽電子線源と、前記陽電子線源に対向する位置に被測定体を保持する保持手段と、前記陽電子線源に対して前記保持手段に保持される前記被測定体とは反対側に配置されており、前記陽電子線源で生成された陽電子のうち前記被測定体に入射されなかった陽電子を検出する陽電子検出手段と、前記陽電子線源で生成された陽電子が消滅するときに発生する放射線を検出する第1放射線検出手段と、前記陽電子検出手段の検出結果と、前記第1放射線検出手段の検出結果に基づいて、前記被測定体内における陽電子の消滅特性を算出する消滅特性算出手段と、を備えている。前記保持手段は、前記陽電子線源から離間する位置で前記被測定体を保持する。

0007

上記の装置では、被測定体を保持する保持手段が、陽電子線源から離間する位置で被測定体を保持する。すなわち、被測定体に対して非接触の状態で陽電子線源が保持される。このため、被測定体を装置に設置する際に、被測定体が陽電子線源に接触することを抑制することができる。したがって、陽電子線源が破損することを抑制することができる。

0008

本明細書に開示する装置では、前記保持手段は、前記被測定体が載置される載置板を備えていてもよい。前記載置板には貫通孔が形成されていてもよく、前記被測定体を載置した前記載置板を予め定められた設定位置に配置すると、前記被測定体が前記貫通孔を介して前記陽電子線源と対向してもよい。このような構成によると、被測定体を装置(陽電子線源)に対して簡易に設置することができる。

0009

本明細書に開示する装置は、前記陽電子線源と、前記保持手段と、前記陽電子検出手段とを収容すると共に、その内部に外部からアクセス可能とする開口を有する遮光容器と、前記開口に設けられ、前記開口を閉鎖する閉状態と前記開口を開放する開状態とに切替え可能である開閉扉と、前記開閉扉が前記閉状態と前記開状態のいずれであるかを検知する第1センサと、前記第1センサに接続された制御装置と、をさらに備えていてもよい。前記制御装置は、前記第1センサの検知結果が前記閉状態である場合に、陽電子の消滅特性を測定可能としてもよい。陽電子検出手段は、室内灯などの強い光が入射する状況で高電圧印加される(測定が行われる)と破損する虞がある。このため、開閉扉が開状態のとき、すなわち、遮光容器内に光が入射する状態のときに測定が行われることを防止でき、陽電子検出手段の破損を防止することができる。

0010

本明細書に開示する装置は、前記制御装置に接続されており、前記開閉扉が前記閉状態のときに、前記開閉扉を前記閉状態から前記開状態に切替え不能なロック状態と、前記開閉扉を前記閉状態から前記開状態に切替え可能な非ロック状態とに切替え可能であるロック機構と、前記制御装置に接続されており、前記ロック機構が前記ロック状態と前記非ロック状態のいずれであるかを検知する第2センサと、をさらに備えていてもよい。前記制御装置は、さらに前記第2センサの検知結果が前記ロック状態である場合に、陽電子の消滅特性を測定可能としてもよい。このような構成によると、開閉扉が閉状態であり、かつ、ロック機構がロック状態である場合に測定が可能となる。すなわち、測定可能か否かの判定が2つのセンサの出力結果(第1センサの検出結果と第2センサの検出結果)に基づいて行われる。したがって、遮光容器内に光が入射する状態のときに測定が行われることをより防止することができる。

0011

本明細書に開示する装置では、前記陽電子線源で陽電子が生成されるときに発生する放射線を検出する第2放射線検出手段をさらに備えていてもよい。前記消滅特性算出手段は、前記第2放射線検出手段により放射線を検出した時刻と、前記第1放射線検出手段により放射線を検出した時刻との時間差から得られる陽電子の寿命から消滅特性を算出してもよい。前記第2放射線検出手段により検出された放射線のうち、前記陽電子検出手段で検出された陽電子が生成したときに発生したと推定される放射線を除いて、前記被測定体内における陽電子の消滅特性を算出してもよい。例えば、消滅特性算出手段は、第1放射線検出手段で放射線を検出した時刻と陽電子検出手段で陽電子を検出した時刻の時間差が所定の第1時間差内となるときは、その第1放射線検出手段で検出された放射線を除去して、被測定体内における陽電子の消滅特性を算出してもよい。あるいは、消滅特性算出手段は、第2放射線検出手段で放射線を検出した時刻と陽電子検出手段で陽電子を検出した時刻の時間差が所定の第2時間差内となるときは、その第2放射線検出手段で検出された放射線を除去して、被測定体内における陽電子の消滅特性を算出してもよい。

0012

本明細書に開示する装置では、前記陽電子線源と前記第1放射線検出手段の間の距離と、前記陽電子線源と前記第2放射線検出手段の間の距離が等しくてもよい。このような構成によると、第1放射線検出手段と第2放射線検出手段による測定の計数率のばらつきを抑制することができる。

0013

本明細書に開示する装置では、前記第1放射線検出手段は、陽電子が消滅するときに発生するγ線のエネルギーを測定し、前記消滅特性算出手段は、前記第1放射線検出手段により検出された検出結果から得られるγ線のエネルギースペクトルの分布から、前記被測定体内における陽電子の消滅特性を算出してもよい。例えば、消滅特性算出手段は、第1放射線検出手段で放射線を検出した時刻と陽電子検出手段で陽電子を検出した時刻の時間差が所定の第3時間差内となるときは、その第1放射線検出手段で検出された放射線を除去し、被測定体内における陽電子の消滅特性を算出してもよい。

0014

本明細書に開示する装置では、前記陽電子検出手段は、陽電子の入射によってシンチレーション光を放出するシンチレータと、前記シンチレータから放出されたシンチレーション光を検知する光センサと、を備えていてもよい。前記シンチレータと前記光センサとが、シンチレーション光を伝送可能なライトガイドにより接続されていてもよい。このような構成によると、シンチレータへの陽電子の入射を精度良く検出することができる。その結果、被測定体に入射されなかった陽電子を精度良く検出することができる。また、シンチレータと光センサとはライトガイドによって接続されるため、シンチレーション光を検知するための光センサの受光面をシンチレータの近傍に設置する必要がない。このため、シンチレータ近傍のスペースを有効に活用することができる。

0015

また、本明細書は、被測定体に入射されて被測定体内で消滅する陽電子の消滅特性を測定する装置において、陽電子が生成及び消滅するときに発生する放射線を検出する検出器検出値補正する方法を開示する。本明細書に開示する方法は、前記検出器の検出結果から得られる放射線のエネルギースペクトルに基づく電圧信号のうち、ヒストグラムにして観測する電圧値の範囲を決定する決定ステップと、前記決定された電圧値の範囲について得られた前記ヒストグラムにおいて、2つの極大値と、前記2つの極大値の間の範囲の極小値が現れるか否かを判定する判定ステップと、前記ヒストグラムにおいて、2つの極大値と、前記2つの極大値の間の範囲の極小値が現れるまで、前記決定ステップと前記判定ステップを繰返して電圧値の範囲を調節する調節ステップと、前記調節ステップで得られた電圧値の範囲において得られた前記ヒストグラムにおける前記極小値に基づいて、陽電子が消滅するときに発生する放射線であると判断するエネルギー範囲の下限値を補正する第1補正ステップと、を備える。この方法によると、ヒストグラムにして観測する電圧値の範囲が適正に調整され、その調整された電圧値の範囲において得られたヒストグラムの極小値に基づいてエネルギー範囲の下限値が補正される。このため、陽電子が消滅するときに発生する放射線を適正に検出することができる。

0016

上記の方法は、前記2つの極大値のうち高電圧側に現れる極大値と、陽電子が消滅するときに発生する放射線のエネルギー値とに基づいて、陽電子が生成されるときに発生する放射線であると判断するエネルギー範囲の下限値を補正する第2補正ステップ、をさらに備えていてもよい。このような構成によると、陽電子が生成されるときに発生する放射線を適正に検出することができる。

0017

また、本明細書は、上記方法をコンピュータに実行させる、プログラムを開示する。

図面の簡単な説明

0018

第1実施形態の陽電子消滅特性測定装置を模式的に示す斜視図。
第1実施形態の陽電子消滅特性測定装置の構成を模式的に示す図。
陽電子検出ユニットの分解斜視図。
遮光容器の構成を示す図(閉状態かつロック状態を示す)。
サンプルホルダの構成を示す斜視図。
サンプルホルダを遮光容器内に設置した状態を示す図。
サンプルホルダの別の構成を示す斜視図。
演算装置の構成を示すブロック図。
陽電子検出器の検出結果に基づいてノイズを除去する処理を説明するための図。
陽電子検出器の検出結果に基づいてノイズを除去する処理を説明するための図。
第2実施形態の陽電子消滅特性測定装置の構成を模式的に示す図。
第2実施形態の演算装置の構成を示すブロック図。
第2実施形態の陽電子検出器の検出結果に基づいてノイズを除去する処理を説明するための図。
第1実施形態の陽電子消滅特性測定装置において、放射線検出器の検出値を補正する処理のフローチャートを示す図。
放射線検出器の検出結果に基づくヒストグラムの一例を示す図。
放射線検出器の検出結果に基づくヒストグラムの他の一例を示す図。
放射線検出器の検出結果に基づくヒストグラムの他の一例を示す図。

実施例

0019

(第1実施形態)
本実施形態に係る陽電子消滅特性測定装置10(以下、単に装置10ともいう。)は、陽電子が生成されるときに発生するγ線(1.27MeV)と、陽電子が消滅するときに発生するγ線(511keV)を検出し、その時間差から被測定体内の陽電子の寿命を測定する装置である。図1〜3に示されるように、装置10は、第1γ線検出器12と、第2γ線検出器14と、陽電子検出器40と、遮光容器60と、演算装置50を有している。図2において、空間Aは遮光容器60の内部空間であり、空間Bは装置10の内部空間である。

0020

第1γ線検出器12は、陽電子が生成されるときに発生するγ線(1.27MeV)を検出する。第1γ線検出器12は、例えば、γ線の入射によりシンチレーション光を放出するシンチレータと、そのシンチレーション光を電気信号に変換する光電子増倍管とで構成してもよい。第1γ線検出器12は、演算装置50に接続されている。第1γ線検出器12は、陽電子が生成されるときに発生するγ線(1.27MeV)を検出すると、演算装置50にパルス状の電気信号を出力する。第1γ線検出器12は、装置10内に収容されている。なお、第1γ線検出器12が「第1γ線検出手段」の一例である。

0021

第2γ線検出器14は、陽電子が消滅するときに発生するγ線(511keV)を検出する。第2γ線検出器14も、第1γ線検出器12と同様に構成してもよい。第2γ線検出器14は、演算装置50に接続されている。第2γ線検出器14は、陽電子が消滅するときに発生するγ線(511keV)を検出すると、演算装置50にパルス状の電気信号を出力する。第1γ線検出器12と第2γ線検出器14は、被測定体Sの測定面に対して対向する位置に配置される。第2γ線検出器14は、装置10内に収容されている。なお、第2γ線検出器14が「第2γ線検出手段」の一例である。

0022

陽電子検出器40は、図3に示されるように、光電子増倍管41と、陽電子検出ユニット42を備えている。陽電子検出ユニット42は、陽電子検出用のシンチレータ422と、ライトガイド44を備えている。陽電子検出ユニット42と光電子増倍管41は、ライトガイド44により接続されている。ライトガイド44は、光電子増倍管41の受光面とシンチレータ422に接続されている。なお、陽電子検出器40が「陽電子検出手段」の一例である。

0023

シンチレータ422は、陽電子が入射することによりシンチレーション光を放出する。ライトガイド44は、シンチレータ422から放出されるシンチレーション光を光電子増倍管41の受光面に伝送する。ライトガイド44は、例えば、反射材被膜された透過率の大きな材料によって構成される。光電子増倍管41は、伝送されたシンチレーション光を電気信号に変換する。光電子増倍管41からの電気信号は演算装置50に入力される。

0024

陽電子線源424は、2つの薄膜遮光カバー423の間に配置される。すなわち、陽電子線源424は、薄膜遮光カバー423に挟まれている。薄膜遮光カバー423に挟まれた陽電子線源424は、シンチレータ422に対向する位置に配置される。薄膜遮光カバー423は、シンチレータ422に外部の光が侵入することを遮断する。陽電子線源424から放出される陽電子は、陽電子線源424の上下に配置される薄膜遮光カバー423のいずれかに入射する。上側に配置される薄膜遮光カバー423に陽電子が入射すると、その陽電子は薄膜遮光カバー423を通過して被測定体Sに入射される。一方、下側の薄膜遮光カバー423を通過してシンチレータ422に陽電子が入射すると、シンチレータ422からシンチレーション光が放出されると共に、シンチレータ422の内部又はシンチレータ422の外部(すなわち、被測定体S以外)で陽電子が消滅する。シンチレータ422からのシンチレーション光は、ライトガイド44を介して光電子増倍管41に入射する。これにより、光電子増倍管41から演算装置50に電気信号が出力されることとなる。なお、陽電子線源424は、薄膜遮光カバー423とシンチレータ422に挟まれるように配置してもよい。すなわち、陽電子線源424をシンチレータ422の上面に直接配置してもよい。

0025

ここで、陽電子線源424には、22Naや68Geなどの陽電子線源(陽電子放出核種)を用いることができる。また、陽電子線源424は、1つの陽電子が発生してから消滅するまでの間に、他の陽電子が発生しないような弱い陽電子線源とされる。これによって、複数の陽電子が同時に存在し、陽電子の発生時刻消滅時刻が特定できないといった事態の発生を防止することができる。

0026

遮光容器60は、図4に示すように、陽電子線源424、被測定体S及び陽電子検出器40(シンチレータ422)を収容する。遮光容器60は、開口60a(図1参照)を有しており、開口60aには開閉扉62が設けられている。開閉扉62は、開口60aを閉鎖する閉状態と、開口60aを開放する開状態とに切替え可能である。開閉扉62が開状態となることで、遮光容器60の内部に外部からアクセス可能となっている。また、開閉扉62が閉状態となることで、遮光容器60内に外部から光が侵入することが防止される。開閉扉62の開状態と閉状態の切替え機構は、特に限定されるものではなく、ユーザの手動により切替えられるように構成されてもよいし、制御装置がアクチュエータを駆動することにより自動で切替えられるように構成されてもよい。また、開閉扉62が閉状態となると、以下に説明するロック機構68によって、開閉扉62はロック状態と非ロック状態とに切替えられる。

0027

ロック機構68は、開閉扉62が遮光容器60の開口60aを閉じる位置において、開閉扉62を移動不能(開閉不能)にするロック状態(すなわち、開閉扉62を閉状態でロックする状態)と、開閉扉62を移動可能(開閉可能)にする非ロック状態(すなわち、開閉扉62を閉状態でロックしない状態)とに切替えるように構成されている。ロック機構68は、制御装置(不図示)に通信可能に接続されており、制御装置からの入力信号に基づいて、開閉扉62のロック状態と非ロック状態とを切替える。すなわち、ロック機構68は、ロックバーと、ロックバーを進退動させるアクチュエータによって構成される。ロックバーが開閉扉62の裏面側に突出した状態となると、ロックバーの先端が開閉蓋62の裏面に当接する状態(図4に示す状態)となり、開閉扉62がロック状態となる。一方、ロックバーが開閉扉62の裏面から退避した状態となると、ロックバーの先端が開閉蓋62に当接することはなく、開閉扉62が非ロック状態となる。ロック機構68としては、上述した機構以外にも公知の種々の機構を用いることができ、例えば、サーボモータを利用した機械的なロック機構を用いることができる。なお、ロック機構を制御する制御装置の機能を演算装置50に備えてもよい。

0028

装置10は、また、第1センサ64と第2センサ66を備えている。第1センサ64は、開閉扉62の下部に取付けられている。第1センサ64は、開閉扉62が開状態であるか閉状態であるかを検知する。第1センサ64は、制御装置に通信可能に接続されており、検知結果を制御装置へ出力する。第1センサ64は、例えば、近接センサである。第1センサ64は、開閉扉62が遮光容器60の上面60bに近接することによって、開閉扉62が閉状態であることを検知する。

0029

第2センサ66は、遮光容器60に取付けられている。第2センサ66は、ロック機構68がロック状態であるか非ロック状態であるかを検知する。第2センサ66は、制御装置に通信可能に接続されており、検知結果を制御装置へ出力する。第2センサ66は、例えば、近接センサである。ロック機構68のロックバーが図4に示す状態となると、ロックバーが第2センサ66に近接し、第2センサ66はロック機構68がロック状態であることを検知する。なお、図4においては、シンチレータ422より下側に位置する構成(第1γ線検出器12等)は省略している。

0030

遮光容器60内には、被測定体Sを保持するためのサンプルホルダ70が設置される。図5に示すように、サンプルホルダ70は、貫通孔70bが形成された載置板70aと、嵌合部70cを有している。載置板70aには、被測定体Sが載置される。具体的には、被測定体Sが貫通孔70bの上部に位置するように、被測定体Sが載置板70aに載置される。載置板70aの厚みは、陽電子線源424の高さより高い。サンプルホルダ70は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)によって構成されている。なお、載置板70aと被測定体Sとの間に薄膜遮光カバーを介してもよい。

0031

貫通孔70bは、載置板70aの略中央部に形成されている。貫通孔70bは、載置板70aの表面から裏面まで貫通している。貫通孔70bの形状は特に限定されないが、本実施形態では平面視において円形状である。平面視において、貫通孔70bは、陽電子線源424(薄膜遮光カバー423)を内包できる大きさとなっている。上述したように、陽電子線源424の高さが載置板70aの厚みより小さいので、陽電子線源424は貫通孔70b内の空間に収容可能となっている。

0032

嵌合部70cは、サンプルホルダ70を設定位置に設置するための基準となる部分(位置決め部分)である。例えば、図6に示すように、サンプルホルダ70を予め定められた設定位置に配置する(嵌合部70cを遮光容器60内の嵌合壁60cに嵌合させる)と、被測定体Sが貫通孔70bを介して陽電子線源424と対向し、被測定体Sと陽電子線源424との間には、一定の間隔sp(図4参照)が設けられる。間隔spは、例えば、0.5mmである。なお、図6では、図の見易さのため、遮光容器60の壁の一部や開閉扉62等を省略している。

0033

なお、サンプルホルダ70の形状は、上記に限られず、図7に示すように、箱型であってもよい。このような構成とすると、被測定体が粒子状や液状である場合でも、その陽電子消滅特性を測定することができる。なお、サンプルホルダ70が「保持手段」の一例である。

0034

演算装置50は、CPU、ROM、RAMを備えたコンピュータやプロセッサと、デジタルストレージオシロスコープ(DSO)やNIMモジュール等の専用回路によって構成することができる。演算装置50は、第1γ線検出器12と第2γ線検出器14に接続される第1信号処理部20と、陽電子検出器40に接続される第2信号処理部30を備えている。第2信号処理部30は、陽電子検出器40(詳細には光電子増倍管41)から出力される電気信号を処理し、陽電子検出器40に陽電子が入射した時刻を特定する。第2信号処理部30で特定された時刻は、第1信号処理部20に入力される。演算装置50は、また、放射線検出器の検出値の補正処理(後述)を実行する。なお、第1信号処理部20及び第2信号処理部30が「消滅特性算出手段」の一例である。

0035

第1信号処理部20は、図8に示すように、陽電子発生時刻特定部21と、陽電子消滅時刻特定部22と、時刻差算出部23と、ノイズ情報除外部24と、陽電子寿命算出部25を備えている。陽電子発生時刻特定部21は、第1γ線検出器12からの信号に基づいて、陽電子線源424で陽電子が発生した時刻を特定する。陽電子消滅時刻特定部22は、第2γ線検出器14からの信号に基づいて、陽電子が消滅した時刻を特定する。時刻差算出部23は、陽電子発生時刻特定部21で特定された時刻と、陽電子消滅時刻特定部22で特定された時刻の時刻差から、陽電子が生存していた時間を算出する。陽電子発生時刻特定部21と陽電子消滅時刻特定部22と時刻差算出部23とは、従来公知の陽電子消滅特性測定装置の対応部分と同様に構成することができる。

0036

ノイズ情報除外部24は、第2信号処理部30で特定された時刻(すなわち、シンチレータ422に陽電子が入射した時刻)から、時刻差算出部23で算出された時刻差のうち、被測定体Sに入射されなかった陽電子に係るものを除外する。すなわち、図10に示すように、陽電子線源424から放出される陽電子が被測定体S(サンプル)に入射すると、その陽電子は被測定体内で消滅し、γ線(511keV)が発生する。一方、陽電子線源424から放出される陽電子がシンチレータ422に入射すると、シンチレーション光を発生すると共に、被測定体S以外で消滅して、γ線(511keV)が発生する。したがって、陽電子が発生したときのγ線(1.27MeV)が検出され、次に、シンチレーション光が検出され、その後、陽電子が消滅したときのγ線(511keV)が検出された場合は、陽電子線源424から放出される陽電子がシンチレータ422に入射したと特定することができる。一方、陽電子が発生したときのγ線(1.27MeV)が検出され、次に、シンチレーション光が検出されずに、陽電子が消滅したときのγ線(511keV)が検出された場合は、陽電子線源424から放出される陽電子が被測定体S(サンプル)に入射したと特定することができる。例えば、図9(a)に示すように、陽電子発生時刻t1と陽電子消滅時刻t2の間に、陽電子検出器40で陽電子が検出されていないとき(すなわち、シンチレーション光が検出されていないとき)は、陽電子発生時刻t1と陽電子消滅時刻t2は有効なデータとする。そして、その時刻差(t2−t1)は、被測定体Sにおける陽電子の寿命を算出するために用いられる。一方、図9(b)に示すように、陽電子発生時刻t3と陽電子消滅時刻t5の間の時刻t4に、陽電子検出器40で陽電子が検出されているとき(すなわち、シンチレーション光が検出されているとき)は、陽電子発生時刻t3と陽電子消滅時刻t5は無効なデータとして、被測定体Sにおける陽電子の寿命を算出するためのデータから除外する。なお、陽電子発生(時刻t3)と陽電子検出(時刻t4)と陽電子消滅(時刻t5)は、極めて短い期間の間に発生する。このため、陽電子発生時刻t3と陽電子検出時刻t4との時間差が所定の第1時間差内となるときは、陽電子発生時刻t3とその後に検出される陽電子消滅時刻t5は無効なデータとして除外してもよい。あるいは、陽電子検出時刻t4と陽電子消滅時刻t5との時間差が所定の第2時間差内となるときは、陽電子発生時刻t3と陽電子消滅時刻t5は無効なデータとして除外してもよい。

0037

陽電子寿命算出部25は、ノイズ情報除外部24でノイズが除外され、被測定体Sに入射された陽電子の生存時間から、被測定体Sにおける陽電子の寿命を算出する。陽電子寿命算出部25は、従来の陽電子消滅特性測定装置の対応部分と同様に構成することができる。

0038

次に、上述した陽電子消滅特性測定装置10を用いて、被測定体Sの陽電子寿命を測定する手順について説明する。装置10には、陽電子線源424及び陽電子検出器40が予めセットされている。まず、開閉扉62を開いて遮光容器60を開状態とし、被測定体Sを載置したサンプルホルダ70を遮光容器60内の予め定められた設定位置に設置する。具体的には、サンプルホルダ70の載置板70aの貫通孔70bの上部に被測定体Sを載置し、サンプルホルダ70を設定位置に設置する。この状態では、陽電子線源424と被測定体Sが離間した状態で貫通孔70bを介して対向している。また、これにより、陽電子線源424は、被測定体Sと陽電子検出器40(詳細には、シンチレータ422)とにより挟まれた状態となる。

0039

次いで、第1γ線検出器12と第2γ線検出器14を被測定体Sに対向する位置にセットする。このとき、陽電子線源424と第1γ線検出器12の間の距離と、陽電子線源424と第2γ線検出器14の間の距離は等しくされる。陽電子線源424とγ線検出器12、14の間の距離の調整はどのような方法で行ってもよい。例えば、スペーサ等を設け、その位置を調節することにより行うことができる。あるいは、本実施例では、陽電子線源424の位置が一定となるため、その位置に応じて第1γ線検出器12と第2γ線検出器14の位置が予め調整されていてもよい。

0040

次いで、遮光容器60に取付けられた開閉扉62を閉状態とし、開閉扉62をロック機構68によりロック状態とする。開閉扉62が閉状態、かつ、ロック機構68がロック状態であることが第1センサ64と第2センサ66で検知されると、演算装置50を作動させて、陽電子寿命の測定を開始する。

0041

陽電子線源424で陽電子が生成されると、そのときに発生するγ線(1.27MeV)が、第1γ線検出器12で検出される。第1信号処理部20は、第1γ線検出器12からの信号に基づいて、陽電子が生成した時刻を特定する。陽電子線源424で生成された陽電子は、被測定体Sか、シンチレータ422に入射する。被測定体Sに入射した陽電子は、適当な時間を経た後に電子と結合して消滅し、γ線(511keV)を発生させる。このγ線(511keV)は、第2γ線検出器14によって検出される。第1信号処理部20は、第2γ線検出器14からの信号に基づいて陽電子が消滅した時刻を特定し、その時間差から陽電子の生存時間を算出する。

0042

一方、シンチレータ422に入射した陽電子は、シンチレーション光を発生させ、その後、被測定体S以外で消滅し、γ線(511keV)を発生させる。シンチレーション光は、ライトガイド44によって光電子増倍管41へ伝送され、光電子増倍管41によって電気信号へ変換される。第2信号処理部30は、光電子増倍管41からの電気信号に基づいて、陽電子がシンチレータ422に入射した時刻を特定する。また、被測定体S以外で陽電子が消滅したときに発生するγ線(511keV)は、第2γ線検出器14によって検出される。このため、被測定体Sに入射されなかった場合も、第1信号処理部20で時刻が算出されることとなる。ただし、第2信号処理部30で算出された時刻と、陽電子の発生時刻の関係から、被測定体Sに入射されなかった陽電子に関するデータは除外される。このため、第1信号処理部20は、被測定体Sから入射された陽電子から得られたデータのみに基づいて、陽電子の寿命を算出する。

0043

上述した説明から明らかなように、本実施形態の陽電子消滅特性測定装置10では、被測定体Sに入射されなかった陽電子を陽電子検出器40で検出し、被測定体Sに入射されなかった陽電子が発生させる放射線をノイズとして除去する。このため、陽電子線源424を被測定体Sで挟み込むような状態としなくても、被測定体Sの陽電子消滅特性を精度良く算出することができる。また、陽電子線源424と被測定体Sの間には陽電子検出用のシンチレータ422が配置されないため、被測定体Sに照射される陽電子が減少することを防止することができる。

0044

また、本実施形態の陽電子消滅特性測定装置10では、サンプルホルダ70が、被測定体Sと陽電子線源424を離間させた(間隔を空けた)状態で設定位置に設置される。すなわち、被測定体Sを装置にセットする際に、被測定体Sが陽電子線源424に接触することがない。また、被測定体Sをサンプルホルダ70内に載置した後は、サンプルホルダ70を遮光容器60内に設置するだけでよく、鋭利な器具を用いることなく被測定体Sを装置にセットすることができる。したがって、陽電子線源424に対する接触を抑制することができ、陽電子線源424の破損を抑制することができる。

0045

なお、上述した実施形態では、陽電子が生成されるときに発生するγ線(1.27MeV)と、陽電子が消滅するときに発生するγ線(511keV)を、異なるγ線検出器で検出する構成であったが、このような構成に限られない。例えば、両方のγ線(1.27MeV、511keV)を1つのγ線検出器で検出し、これらを処理することによって、陽電子の生成時刻、消滅時刻及びその時刻差を求めるようにしてもよい。

0046

(第2実施形態)
第2実施形態に係る陽電子消滅特性測定装置は、陽電子が消滅する際に発生するγ線のエネルギーを検出し、その検出されたγ線のエネルギースペクトルの分布から、被測定体のドップラーブロードニングを算出する装置である。図11に示すように、陽電子消滅特性測定装置は、γ線検出器18と、陽電子検出器40と、演算装置90を有している。陽電子検出器40と演算装置90を構成する第2信号処理部30は、第1実施形態の対応する部分と同一の構成とされている。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。

0047

γ線検出器18は、陽電子が消滅する際に発生するγ線(511keV)のエネルギーを検出する。γ線検出器18には、GeSSD等を用いることができる。γ線検出器18は、陽電子検出器40がγ線検出器18と被測定体Sとで挟まれるように、被測定体Sに対向した位置に配置される。γ線検出器18で検出されたエネルギーは、第3信号処理部80に入力される。

0048

第3信号処理部80は、図12に示すように、陽電子消滅時刻特定部82と、ノイズ情報除外部84と、スペクトル特性算出部86を備えている。陽電子消滅時刻特定部82は、γ線検出器18からの信号に基づいて、陽電子が消滅した時刻を特定する。ノイズ情報除外部84は、第2信号処理部30で特定された時刻(すなわち、シンチレータ422に陽電子が入射した時刻)と、陽電子消滅時刻特定部82で特定された消滅時刻から、検出されたγ線が、被測定体Sで消滅することにより発生したものか、被測定体S以外で消滅することにより発生したものかを判定する。そして、被測定体S以外で消滅したと判定すると、そのデータをスペクトル特性の算出のためのデータから除外する。具体的には、陽電子検出器40で陽電子が検出された時刻の直後に生じた陽電子の消滅を、被測定体S以外での陽電子の消滅として、データから除外する。例えば、図13に示すように、時刻t1で陽電子が検出され、時刻t2、t3で陽電子の消滅が検出されたとする。この場合、時刻t2での陽電子の消滅は被測定体S以外での陽電子の消滅であると判定し、時刻t3での陽電子の消滅は被測定体Sでの陽電子の消滅であると判定する。そして、被測定体S以外での陽電子の消滅に係るデータを、スペクトル特性の算出のためのデータから除外する。スペクトル特性算出部86は、ノイズ情報除外部84でノイズが除去されたデータに基づいて、γ線のエネルギースペクトル分布を算出し、そのエネルギースペクトル分布に基づいてSパラメータを算出する。

0049

なお、図13に示す陽電子検出(時刻t1)と陽電子消滅(時刻t2)は、極めて短い期間の間に発生する。このため、ノイズ情報除外部84は、陽電子検出時刻t1と陽電子消滅時刻t2との時間差が所定の第3時間差内となるときに、陽電子消滅時刻t2におけるγ線のデータは無効なデータとして除外してもよい。

0050

(陽電子消滅特性測定装置に用いられるγ線検出器のキャリブレーション方法
次に、第1実施形態に係る陽電子消滅特性測定装置10において、演算装置50により、第1γ線検出器12及び第2γ線検出器14による放射線の検出値を補正する方法について説明する。放射線検出器(γ線検出器)は、その検出値に個体差が存在する。このため、その個体差を除去する補正を行い、正確な検出値を得ることが必要である。上述した陽電子消滅特性測定装置10において、第1γ線検出器12及び第2γ線検出器14それぞれに対して、以下に説明する方法を実施するが、説明の重複を避けるため、両者を併せて単にγ線検出器と称して説明する。

0051

図14に示すように、まず、演算装置50は、γ線検出器の検出結果から得られるγ線のエネルギースペクトルに基づく電圧信号のヒストグラムを取得する(S10、決定ステップ)。決定ステップでは、予め演算装置50に所定の電圧値の範囲を入力しておき、その入力された電圧値の範囲が観測する電圧値の範囲として用いられる。なお、操作者により、ヒストグラムとして観測する電圧値の範囲が決定されてもよい。この場合、演算装置50は、操作者により決定された電圧値の範囲におけるヒストグラムを取得する。

0052

次に、演算装置50は、上記の電圧値の範囲について得られたヒストグラムにおいて、2つの極大値と、その間の範囲に位置する極小値が現れるか否かを判定する(S12、判定ステップ)。図15に示すように、γ線のエネルギースペクトルに基づく電圧信号のヒストグラムにおいては、高電位側の極大値Vmax1がストップ信号(すなわち、陽電子が消滅するときに発生するγ線(511keV))のピークであることが知られている。また、2つの極大値の間の範囲に位置する極小値Vminをストップ信号の下限値として設定することで、陽電子が消滅する際のγ線を精度良く検出できることが知られている。

0053

演算装置50は、上記の極大値及び極小値が現れたと判定すると(S12:YES)、続く第1補正ステップ(S14)及び第2補正ステップ(S16)を実行する。一方、上記の極大値及び極小値が現れていないと判定すると(S12:NO)、演算装置50は、観測する電圧値の範囲を調整する(S11、調整ステップ)。すなわち、調整ステップでは、ステップS10の処理に戻り、2つの極大値と、その間の範囲に位置する極小値が現れるまで(図15に示す適切なヒストグラムが得られるまで)決定ステップと判定ステップを繰り返す。具体的には、取得したヒストグラムにおいて、図16に示すように、極大値と極小値が分離できずに1つのピークになってしまう場合(すなわち、電圧値の範囲が広すぎる場合)、演算装置50は、観測する電圧値の範囲を狭くする調節を実行する。また、図17に示すように、高電位側の範囲外の信号(オーバーフロー)の割合が多く、極大値と極小値の境界不明瞭である場合(すなわち、電圧値の範囲が狭すぎる場合)、演算装置50は、観測する電圧値の範囲を広くする調節を実行する。

0054

第1補正ステップ(S14)では、演算装置50は、ストップ信号(陽電子が消滅するときに発生するγ線(511keV))であると判断するエネルギー範囲の下限値を補正する。具体的には、得られたヒストグラムにおける極小値Vminの値をエネルギー値に変換し、この値をストップ信号の下限値(ストップ信号であると判断するエネルギー値の閾値)とする補正を実行する。

0055

第2補正ステップ(S16)では、演算装置50は、スタート信号(すなわち、陽電子が生成されるときに発生するγ線(1.27MeV))であると判断するエネルギー範囲の下限値を補正する。すなわち、得られたヒストグラムにおいて高電位側に現れる極大値Vmax1(ストップ信号のピーク)と、陽電子が消滅するときに発生するγ線のエネルギー値(511keV)とに基づいて、補正を実行する。具体的には、まず、極大値Vmax1と陽電子が消滅するときに発生するγ線のエネルギー値(511keV)との関係を求める。例えば、図15に示すように、極大値Vmax1が163mVである場合、電圧値とエネルギー値の関係は、511keVから163mVを除することにより、3.13(keV/mV)となる。この値をスタート信号(陽電子が生成されるときに発生するγ線)のエネルギー範囲の下限としたい電圧値(例えば、図15中のVr)に乗じることによって、電圧値をエネルギー値に変換してエネルギー範囲の下限値(スタート信号であると判断するエネルギー値の閾値)を設定する。演算装置50は、第1補正ステップ(S14)及び第2補正ステップ(S16)の処理を行うと、処理を終了する。

0056

従来では、γ線検出器の検出値の補正は、ユーザの経験やにより行われていた。このため、補正後のγ線検出器においても、γ線検出器毎の検出値に差が生じる場合があった。したがって、陽電子消滅特性の測定を精度良く行うことが困難であった。上記の方法によると、適切なヒストグラムが得られるまで、観測する電圧値の範囲を調節する。そして、得られたヒストグラムの特徴的なピーク等(極大値Vmax1、極小値Vmin)に基づいてスタート信号及びストップ信号として検出するエネルギー値の下限を補正する。検出値の補正を行う際の基準となる値をヒストグラムの特徴的なピーク値とすることで、γ線検出器の個体差から生じる検出値のずれを好適に補正することができる。すなわち、上記の方法によって補正された検出器を用いることで、陽電子消滅特性の測定を精度良く行うことができる。

0057

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

0058

10:陽電子消滅特性測定装置
12:第1γ線検出器
14:第2γ線検出器
40:陽電子検出器
41:光電子増倍管
42:陽電子検出ユニット
44:ライトガイド
50:演算装置
60:遮光容器
60a:開口
62:開閉扉
64:第1センサ
66:第2センサ
68:ロック機構
70:サンプルホルダ
70a:載置板
70b:貫通孔
422:シンチレータ
423:薄膜遮光カバー
424:陽電子線源

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