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技術 高純度酸化スカンジウムの製造方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 檜垣達也小林宙
出願日 2016年9月5日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2016-172697
公開日 2018年3月15日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2018-040020
状態 特許登録済
技術分野 金属の製造または精製
主要キーワード 次亜塩素ソーダ 硫酸スカンジウム 焼成処理前 再沈殿物 実収率 溶媒抽出処理 使用コスト スカンジウム化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月15日)のものです。
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図面 (2)

課題

スカンジウムを含有する溶液から、効率よく高純度酸化スカンジウムを得る方法を提供する。

解決手段

本発明に係る高純度酸化スカンジウムの製造方法は、スカンジウムを含有する溶液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を400℃以上600℃以下の温度で焼成する第1焼成工程S12と、焼成により得られたスカンジウム化合物硫酸を添加して溶解液を得る溶解工程S13と、溶解液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を生成させる再沈殿工程S14と、得られたシュウ酸スカンジウムの再沈殿物を焼成して酸化スカンジウムを得る第2焼成工程S15と、有する。

概要

背景

近年、アルミニウムとの高性能合金燃料電池の材料として注目されているスカンジウムは、チタン精製残渣ニッケル酸化鉱石硫酸浸出することで得られた浸出液から精製することが主流となっており、副産物としての回収が進められている。

このような従来のスカンジウムの回収においては、主として、不純物を分離する浄液処理を通して高純度品生産を行っている。すなわち、スカンジウムは、上述したような主要工程における溶液(例えば浸出液等)に低濃度で存在するものであるため、イオン交換法溶媒抽出法等の方法を多段階に実施することで徐々に濃縮させていき、溶液中の濃度を高めていくことが必要となる。これらの方法を用いて、合金に必要な品位、例えば99.9%(3N品)以上のグレードまで高純度化していくのであるが、かなりの手間がかかり、精製に要するコストが高止まりとなる一因となっている。

例えば、特許文献1には、低品位の酸化スカンジウム硝酸加熱溶解し、この硝酸溶液陰イオン交換樹脂に接触させて液中溶存する不純物を吸着させ、さらに溶液に塩酸を添加し、陰イオン交換樹脂に接触させて他の不純物を樹脂に吸着させることでスカンジウムと不純物を分離する方法が開示されている。この方法では、さらにシュウ酸又はフッ酸を添加し、得られた沈殿物焼成することによって、高純度の酸化スカンジウムを得ることが示されている。

しかしながら、この特許文献1の方法では、スカンジウムと同量、あるいはスカンジウムよりもはるかに大量に共存する不純物を分離することから、不純物の分離に要する手間とコストがかさみ、また不純物を完全に分離しきれないという問題がある。

不純物を分離する方法として、一度精製したものを再度溶解して析出させることで精製する方法が知られており、工業的にも広く用いられている。しかしながら、酸化スカンジウムに対してこのような方法を用いようとしても、酸化スカンジウムは酸等の水溶液に対して難溶性であり、溶解するには高濃度の酸を用いる必要がある。

さらに、酸化スカンジウムを溶解できたとしても、酸濃度が高いことから、スカンジウム濃度が1g/L〜3g/L程度の溶液しか得ることができない。また、再度シュウ酸化しようとしても、酸濃度が高いために、80%程度の実収率を得るのに12当量程度のシュウ酸を添加することが必要となり、薬剤コストが高くなるという問題が生じる。

このように、従来の方法では、高純度の酸化スカンジウムを得る場合に、多くの手間がかかるとともにコストがかさみ、さらには高濃度の酸を取扱うことから安全性の問題が生じるという課題があった。

概要

スカンジウムを含有する溶液から、効率よく高純度の酸化スカンジウムを得る方法を提供する。本発明に係る高純度酸化スカンジウムの製造方法は、スカンジウムを含有する溶液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を400℃以上600℃以下の温度で焼成する第1焼成工程S12と、焼成により得られたスカンジウム化合物硫酸を添加して溶解液を得る溶解工程S13と、溶解液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を生成させる再沈殿工程S14と、得られたシュウ酸スカンジウムの再沈殿物を焼成して酸化スカンジウムを得る第2焼成工程S15と、有する。

目的

本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、スカンジウムを含有する溶液から、効率よく高純度の酸化スカンジウムを得る方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

スカンジウムを含有する溶液シュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を400℃以上600℃以下の温度で焼成する第1焼成工程と、焼成により得られたスカンジウム化合物硫酸を添加して溶解液を得る溶解工程と、前記溶解液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を生成させる再沈殿工程と、得られた前記シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を焼成して酸化スカンジウムを得る第2焼成工程と、有する高純度酸化スカンジウムの製造方法。

請求項2

前記再沈殿工程では、前記溶解液の温度を40℃以上100℃未満に調整してシュウ酸化処理を施す請求項1に記載の高純度酸化スカンジウムの製造方法。

請求項3

前記第2焼成工程では、焼成温度を900℃以上として焼成する請求項1又は2に記載の高純度酸化スカンジウムの製造方法。

請求項4

前記スカンジウムを含有する溶液は、スカンジウムを含有する溶液に対してイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施して得られたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高純度酸化スカンジウムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、酸化スカンジウムの製造方法に関するものであり、より詳しくは、不純物の品位を低減させた高純度な酸化スカンジウムの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、アルミニウムとの高性能合金燃料電池の材料として注目されているスカンジウムは、チタン精製残渣ニッケル酸化鉱石硫酸浸出することで得られた浸出液から精製することが主流となっており、副産物としての回収が進められている。

0003

このような従来のスカンジウムの回収においては、主として、不純物を分離する浄液処理を通して高純度品生産を行っている。すなわち、スカンジウムは、上述したような主要工程における溶液(例えば浸出液等)に低濃度で存在するものであるため、イオン交換法溶媒抽出法等の方法を多段階に実施することで徐々に濃縮させていき、溶液中の濃度を高めていくことが必要となる。これらの方法を用いて、合金に必要な品位、例えば99.9%(3N品)以上のグレードまで高純度化していくのであるが、かなりの手間がかかり、精製に要するコストが高止まりとなる一因となっている。

0004

例えば、特許文献1には、低品位の酸化スカンジウムを硝酸加熱溶解し、この硝酸溶液陰イオン交換樹脂に接触させて液中溶存する不純物を吸着させ、さらに溶液に塩酸を添加し、陰イオン交換樹脂に接触させて他の不純物を樹脂に吸着させることでスカンジウムと不純物を分離する方法が開示されている。この方法では、さらにシュウ酸又はフッ酸を添加し、得られた沈殿物焼成することによって、高純度の酸化スカンジウムを得ることが示されている。

0005

しかしながら、この特許文献1の方法では、スカンジウムと同量、あるいはスカンジウムよりもはるかに大量に共存する不純物を分離することから、不純物の分離に要する手間とコストがかさみ、また不純物を完全に分離しきれないという問題がある。

0006

不純物を分離する方法として、一度精製したものを再度溶解して析出させることで精製する方法が知られており、工業的にも広く用いられている。しかしながら、酸化スカンジウムに対してこのような方法を用いようとしても、酸化スカンジウムは酸等の水溶液に対して難溶性であり、溶解するには高濃度の酸を用いる必要がある。

0007

さらに、酸化スカンジウムを溶解できたとしても、酸濃度が高いことから、スカンジウム濃度が1g/L〜3g/L程度の溶液しか得ることができない。また、再度シュウ酸化しようとしても、酸濃度が高いために、80%程度の実収率を得るのに12当量程度のシュウ酸を添加することが必要となり、薬剤コストが高くなるという問題が生じる。

0008

このように、従来の方法では、高純度の酸化スカンジウムを得る場合に、多くの手間がかかるとともにコストがかさみ、さらには高濃度の酸を取扱うことから安全性の問題が生じるという課題があった。

先行技術

0009

特開平8−232026号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、スカンジウムを含有する溶液から、効率よく高純度の酸化スカンジウムを得る方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、シュウ酸スカンジウムの結晶に対して特定の温度条件で焼成することで、酸等の水溶液に対して易溶性を示すスカンジウム化合物を得ることができることが分かり、そして、その易溶性のスカンジウム化合物を利用して再溶解液を調製し、再溶解液から生成させたシュウ酸スカンジウムに対して焼成して酸化スカンジウムを製造することで、効率よく高純度の酸化スカンジウムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

0012

(1)本発明の第1の発明は、スカンジウムを含有する溶液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を400℃以上600℃以下の温度で焼成する第1焼成工程と、焼成により得られたスカンジウム化合物に硫酸を添加して溶解液を得る溶解工程と、前記溶解液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を生成させる再沈殿工程と、得られた前記シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を焼成して酸化スカンジウムを得る第2焼成工程と、有する、高純度酸化スカンジウムの製造方法である。

0013

(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記再沈殿工程では、前記溶解液の温度を40℃以上100℃未満に調整してシュウ酸化処理を施す、高純度酸化スカンジウムの製造方法である。

0014

(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第2焼成工程では、焼成温度を900℃以上として焼成する、高純度酸化スカンジウムの製造方法である。

0015

(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記スカンジウムを含有する溶液は、スカンジウムを含有する溶液に対してイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施して得られたものである、高純度酸化スカンジウムの製造方法である。

発明の効果

0016

本発明によれば、スカンジウムを含有する溶液から、効率よく高純度の酸化スカンジウムを得ることができる。

図面の簡単な説明

0017

酸化スカンジウムの製造方法の流れの一例を示す工程図である。

0018

以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。

0019

≪1.概要
本実施の形態に係る酸化スカンジウムの製造方法は、スカンジウムを含有する溶液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶から酸化スカンジウムを得る方法である。そして、この製造方法では、スカンジウムを含有する溶液からシュウ酸処理により得られるシュウ酸スカンジウムを、2段階で焼成することで、不純物の少ない高純度な酸化スカンジウムを得ることを特徴とするものである。

0020

具体的に、本実施の形態に係る酸化スカンジウムの製造方法は、スカンジウムを含有する溶液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を所定の温度で焼成する第1焼成工程と、焼成により得られたスカンジウム化合物に硫酸を添加して溶解液を得る溶解工程と、溶解液にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を生成させる再沈殿工程と、得られたシュウ酸スカンジウムの再沈殿物を焼成して酸化スカンジウムを得る第2焼成工程と、有する。

0021

このような方法では、第1焼成工程において、シュウ酸スカンジウムの結晶に対して特定の温度条件で焼成することで、酸等の水溶液に対して易溶性を示すスカンジウム化合物を得ることができる。そして、そのようにして得られた易溶性のスカンジウム化合物を利用し、具体的には、硫酸に溶解させて溶解液(再溶解液)を得て、その再溶解液からシュウ酸スカンジウムの再沈殿物を生成させ、その再沈殿物に対して所定の温度条件で焼成処理を施すことで、効率的に不純物を分離除去した高純度な酸化スカンジウムを得ることができる。

0022

ここで、原料となる、スカンジウムを含有する溶液(以下、「スカンジウム含有溶液」ともいう)としては、ニッケル酸化鉱石に対する高圧酸浸出(HPAL)処理により得られた浸出液を硫化処理してニッケルを分離した後の硫化後液に対し、イオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理によって不純物を分離して、スカンジウムを濃縮させた溶液(硫酸酸性溶液)を用いることができる。

0023

ニッケル酸化鉱石のHPALプロセスを経て得られた硫化後液等のスカンジウム含有溶液に対するイオン交換処理としては、特に限定されない。例えば、キレート樹脂として、イミノジ酢酸官能基とする樹脂を用いた処理が挙げられる。具体的な処理工程として、例えば硫化後液を処理対象とする場合には、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる吸着工程と、そのキレート樹脂に硫酸を接触させてキレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程と、アルミニウム除去工程を経たキレート樹脂に硫酸を接触させてスカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程と、スカンジウム溶離工程を経たキレート樹脂に硫酸を接触させて吸着工程にてキレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程と、を有するものを例示できる。

0024

また、溶媒抽出処理についても特に限定されず、上述したようなイオン交換処理を経て得られたスカンジウム溶離液に対して、アミン系抽出剤リン酸系抽出剤等を使用した溶媒抽出処理を行うことができる。例えば、スカンジウム溶離液と抽出剤とを混合して、不純物を抽出した抽出後有機溶媒とスカンジウムを含む抽残液とに分離する抽出工程と、抽出後有機溶媒に塩酸溶液又は硫酸溶液を混合して抽出後有機溶媒に微量含まれるスカンジウムを分離するスクラビング工程と、洗浄後有機溶媒に逆抽出始液を混合して洗浄後有機溶媒から不純物を逆抽出し、逆抽出液を得る逆抽出工程と、を有するものを例示できる。

0025

このように、イオン交換処理や溶媒抽出処理を施して得られたスカンジウム含有溶液では、不純物成分が低減されてスカンジウムが溶液中で濃縮されていることから、そのスカンジウム含有溶液を原料として得られる酸化スカンジウムは、スカンジウム品位がより一層に高いものとなる。

0026

≪2.酸化スカンジウムの製造方法の各工程について≫
図1は、酸化スカンジウムの製造方法の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、この製造方法は、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸化処理を施すシュウ酸化工程S11と、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶に対して所定の温度で焼成する第1焼成工程S12と、焼成物であるスカンジウム化合物を硫酸に溶解させて溶解液を得る溶解工程S13と、溶解液に対してシュウ酸化処理を施してシュウ酸スカンジウムの結晶の再沈殿物を得る再沈殿工程S14と、シュウ酸スカンジウムの再沈殿物を焼成して酸化スカンジウムを得る第2焼成工程と、を有する。

0027

[シュウ酸化工程]
シュウ酸化工程S11は、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸化処理を施す工程である。具体的に、シュウ酸化工程S11では、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸を用いてスカンジウムをシュウ酸塩(シュウ酸スカンジウム)とする反応を生じさせる。

0028

このようにスカンジウムをシュウ酸塩とすることによって、濾過性等のハンドリング性を向上させることができ、スカンジウムを効率的に回収することができる。また、このシュウ酸化処理により、溶液中の不純物と分離することができる。

0029

スカンジウム含有溶液としては、特に限定されないが、好ましくはスカンジウム濃度が5g/L〜10g/Lとなるように、より好ましくは5g/L程度の濃度となるように調整し、硫酸等の酸を用いてpHを0程度に調整したものを用いる。

0030

シュウ酸化処理の方法としては、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸を添加して、スカンジウム含有溶液中のスカンジウムに基づいてシュウ酸スカンジウムの固体結晶を析出生成させる方法を用いることができる。このとき、使用するシュウ酸としては、固体であっても溶液であってもよい。なお、このシュウ酸化処理の方法において、スカンジウム含有溶液中に不純物成分として2価鉄イオンが含まれる場合には、シュウ酸鉄(II)の沈殿生成を防止するために、シュウ酸化処理に先立ち酸化剤を添加して酸化還元電位(ORP,参照電極:銀/塩化銀)を500mV〜600mV程度の範囲に制御して酸化処理を施すことが好ましい。

0031

あるいは、シュウ酸化処理の方法として、スカンジウム含有溶液を、反応容器に満たしたシュウ酸溶液の中に徐々に添加して、シュウ酸スカンジウムの固体結晶を析出生成させる方法を用いることができる。このとき、シュウ酸化処理に先立ち、スカンジウム含有溶液のpHを−0.5以上1以下の範囲に調整することが好ましい。このようなシュウ酸化処理方法によれば、シュウ酸鉄(II)等の沈殿生成を防止することができ、また高価な酸化剤等を用いることなく、より高純度のスカンジウムを回収することができる。

0032

シュウ酸化処理に際しては、処理対象であるスカンジウム含有溶液の温度を、10℃以上30℃以下の範囲に調整することが好ましく、15℃以上25℃以下の範囲に調整することがより好ましい。

0033

また、処理に用いるシュウ酸としては、スカンジウム含有溶液中のスカンジウムをシュウ酸塩として析出させるのに必要な当量の1.05倍〜1.2倍の範囲の量を使用することが好ましい。使用量が必要な当量の1.05倍未満であると、スカンジウムを有効に全量回収できなくなる可能性がある。一方で、使用量が必要な当量の1.2倍を超えると、シュウ酸スカンジウムの溶解度が増加することでスカンジウムが再溶解して回収率が低下し、また過剰なシュウ酸を分解するために次亜塩素ソーダのような酸化剤の使用量が増加するため好ましくない。

0034

このようなシュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの結晶は、濾過洗浄処理を行うことによって回収することができる。

0035

[第1焼成工程]
第1焼成工程S12は、シュウ酸化工程S11で得られたシュウ酸スカンジウムの結晶に対して所定の温度で焼成する工程である。このような所定の温度での焼成処理により、焼成物であるスカンジウム化合物を得ることができる。

0036

そして、本実施の形態では、この第1焼成工程S12において、焼成温度を400℃以上600℃以下の範囲として焼成を行うことを特徴としている。これにより、酸等の水溶液に対して易溶性を示すスカンジウム化合物を焼成物として得ることができる。

0037

本発明者は、シュウ酸スカンジウムの結晶に対して、従来よりも低温領域である400℃以上600℃以下の範囲の条件で焼成処理を施すことによって、酸等の水溶液に対して易溶性のスカンジウム化合物が得られることを見出した。なお、従来、シュウ酸スカンジウムを焼成して酸化スカンジウムを得るためには、焼成温度を900℃以上、好ましくは1100℃程度とすることが必要であった。

0038

しかも、このようにして得られる易溶性のスカンジウム化合物は、焼成処理前のシュウ酸スカンジウムの結晶の重量に対する減量率が、53%以上65%以下、好ましくは55%以上65%以下、より好ましくは55%以上60%以下の範囲となる。なお、減量率とは、焼成による重量の減少割合をいい、焼成前後の重量際に基づいて下記式[1]で表すことができる。
減量率(%)=(1−焼成後物量/焼成前物量)×100 ・・・[1]

0039

ここで、シュウ酸スカンジウム(Sc2C6O12;分子量353.92)を焼成することで酸化スカンジウム(Sc2O3;分子量137.92)を得る場合、焼成前後の減量率としては、理論的には(1−137.92/353.92)×100=61%になる。しかしながら、本発明者は、400℃以上600℃以下の範囲の条件で焼成処理を施すことで得られる易溶性のスカンジウム化合物においては、減量率が55%以上65%以下の範囲で幅があるものとなることから、難溶性のシュウ酸スカンジウムを加熱して難溶性の酸化スカンジウムに分解される際に、易溶性の形態を呈する領域があることを見出した。

0040

つまり、この易溶性を示すスカンジウム化合物は、原料であるシュウ酸スカンジウムの結晶が、焼成により完全に分解してその全量が酸化スカンジウムになったものではなく、部分的にシュウ酸スカンジウムが残留したり、あるいは分解で生成したCO2やCO等が残留した状態にある化合物であると考えられる。実際に、400℃以上600℃以下の範囲の温度条件で焼成して得られる易溶性のスカンジウム化合物は、従来の高温で焼成して得られる酸化スカンジウムに比べて、炭素(C)が多く含まれている。

0041

また、この易溶性を示すスカンジウム化合物は、X線回折分析を行っても、とりわけより易溶性を示す下限の温度側では、特有回折ピークを示さず、その化合物の形態を特定することが困難である。そのため、易溶性の領域にある化合物を、単に『スカンジウム化合物』と総称する。具体的に、400℃以上600℃以下の範囲の温度条件で焼成して得られる易溶性のスカンジウム化合物では、シュウ酸スカンジウムのピークも観察されず、酸化スカンジウムのピークに相当するピーク強度も11000カウント以下となる。このことから、400℃以上600℃以下の温度で焼成して得られるスカンジウム化合物では、結晶化度が低くなり、易溶性の性質を有するものになると考えられる。

0042

さらに、この易溶性を示すスカンジウム化合物は、BET比表面積が70m2/g以上の微細なものであるという性質を有する。特に、焼成温度を400℃として得られたスカンジウム化合物では、250m2/g以上となる。このように、400℃以上600℃以下の温度条件で焼成して得られたスカンジウム化合物では、比表面積が大きくなり、その結果として、酸溶液に対する溶解に際しての酸溶液との接触面積が多くなり、易溶性を示すようになると考えられる。スカンジウム化合物の比表面積としては、100m2/g以上であることがより好ましく、200m2/g以上であることがさらに好ましく、250m2/g以上であることが特に好ましい。

0043

そして、このように易溶性のスカンジウム化合物を生じさせるための条件が、400℃以上600℃以下の範囲の温度条件で焼成することであり、より好ましくは、400℃以上500℃以下の範囲の温度条件で焼成することである。また、換言すると、このような易溶性のスカンジウム化合物は、焼成による減量率が53%以上65%以下、好ましくは55%以上65%以下、より好ましくは55%以上60%以下の範囲となるような条件で焼成することによって得られる。

0044

具体的に、第1焼成工程S12における焼成処理では、シュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を水で洗浄し、乾燥させた後に、所定の炉を用いて焼成する。炉としては、特に限定されないが、管状炉等が挙げられ、また工業的には、ロータリーキルン等の連続炉を用いることで乾燥と焼成とを同じ装置で連続して行うことができるため好ましい。

0045

また、400℃以上600℃以下の焼成温度で焼成するときの保持時間としては、特に限定されないが、0.5時間以上12時間以下であることが好ましく、1時間以上12時間以下であることがより好ましく、1時間以上6時間以下であることが特に好ましい。保持時間が0.5時間未満であると、十分に焼成が進行せず、難溶性のシュウ酸スカンジウムの多くが残存してしまう可能性がある。一方で、保持時間が12時間を超えると、得られるスカンジウム化合物の易溶性の性質が、ほとんど変わらないか、むしろ徐々に低下することがあり、また熱エネルギーが増大するため処理コストが高くなる。

0046

[溶解工程]
溶解工程S13は、第1焼成工程S12での焼成処理により得られた焼成物であるスカンジウム化合物を、硫酸に全溶解させて溶解液を得る工程である。

0047

上述したように、第1焼成工程S12において焼成温度を400℃以上600以下の範囲として焼成を行うことで、酸等の水溶液に対して易溶性を示すスカンジウム化合物を得ることができる。したがって、溶解工程S13では、このようにして得られた易溶性のスカンジウム化合物を硫酸溶液に溶解させることで、スカンジウムを液中に溶出させた、いわゆる再溶解液であって、スカンジウムが濃縮された溶液を得ることができる。

0048

このように、本実施の形態に係る酸化スカンジウムの製造方法では、得られたスカンジウム化合物の易溶性の性質を利用して再溶解液を調製し、この再溶解液に基づいて後工程において再度シュウ酸スカンジウムの結晶を得て、その結晶を焼成して酸化スカンジウムとすることで、不純物元素を効率的に分離除去することができる。これにより、不純物品位が低減された高純度の酸化スカンジウムを製造することができる。

0049

溶解工程S13における溶解処理としては、特に限定されず、スカンジウム化合物に対して純水を加え、さらにそこに硫酸溶液を添加していき、撹拌することによって行うことができる。また、溶解処理における温度条件としても、40℃以上80℃以下程度の範囲に調整して行うことができる。

0050

また、溶解に用いる硫酸溶液としては、そのpH条件は特に限定されず、例えばpH0〜2程度に調整したものを用いればよい。硫酸溶液に溶解させるスカンジウム化合物は、上述したように酸等の水溶液に対して易溶性を示すものであることから、pH0〜2程度の条件でも容易に溶解させることが可能となり、高濃度化する等に必要な薬剤コストを有効に抑えることができる。

0051

なお、溶解工程S13で得られる再溶解液としては、例えば、スカンジウム濃度を50g/L程度にまで高めて任意の値に調整することができ、これにより、液量の削減や、延いては設備容量の減少を図ることができる。

0052

[再沈殿工程]
再沈殿工程S14は、溶解工程S13においてスカンジウム化合物を再溶解して得られた溶解液(再溶解液)を用い、再度、シュウ酸化処理を施すことによって、シュウ酸スカンジウムの結晶の再沈殿物を得る工程である。

0053

すなわち、再沈殿工程S14では、再溶解液を原料として2回目のシュウ酸化を行う。このように、易溶性のスカンジウム化合物を再溶解し、その再溶解液からシュウ酸スカンジウムの結晶を再度生成させる方法によれば、その2回目のシュウ酸化により得られるシュウ酸スカンジウムの結晶に共存する不純物量を著しく低減させることができる。

0054

再沈殿工程S14におけるシュウ酸化処理の方法としては、シュウ酸化工程S11にて行った処理と同様にして行うことができる。例えば、再溶解液のスカンジウム濃度が5g/L〜10g/Lとなるように、より好ましくは5g/L程度の濃度となるように調整し、さらに硫酸等の酸を用いてpHを0程度に調整したものを用いてシュウ酸化処理する。

0055

また、この2回目のシュウ酸化処理では、シュウ酸化処理において添加するシュウ酸の量を、スカンジウムに対して3.0当量以内に抑えても高い実収率でスカンジウムをシュウ酸スカンジウムとすることができ、シュウ酸の使用コストを低減することができる。

0056

ここで、シュウ酸化処理においては、反応時における溶液(再溶解液)の液温を40℃以上とすることで、常温(25℃)で反応を生じさせた場合と比べて、得られるシュウ酸スカンジウムの粒子を粗大化させることができ、次の焼成工程(第2焼成工程)で焼成炉装入する際の取り扱いが容易となる。ただし、単に粗大化しただけでは、不純物が粒子の隙間に巻き込まれて品位が低下する懸念がある。

0057

しかしながら、上述したように本実施の形態においては、易溶性のスカンジウム化合物を再溶解し、その再溶解液からシュウ酸スカンジウムの結晶を再度生成させていることから、2回目のシュウ酸スカンジウムの結晶に共存する不純物を著しく低減させることができるため、有効に粒子を粗大化させることができる。このことから、ハンドリング性も効果的に高めることができる。

0058

なお、100℃以上の液温条件としても、粗大化への影響は少なく、エネルギーも余計にかかるため、シュウ酸化処理における温度条件としては、40℃以上100℃未満の範囲とすることが好ましく、40℃以上60℃以下の範囲とすることがより好ましい。

0059

[第2焼成工程]
第2焼成工程S15は、再沈殿工程S14で得られたシュウ酸スカンジウムの再沈殿物を所定の温度で焼成する工程である。すなわち、第2焼成工程S15では、再溶解液から得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を焼成する2回目の焼成処理を行い、この焼成処理により酸化スカンジウムを得る。

0060

第2焼成工程S15における焼成処理では、焼成温度の条件を900℃以上とすることが好ましく、1000℃以上とすることがより好ましく、1100℃程度とすることが特に好ましい。このように、第2焼成工程S15では、シュウ酸スカンジウムの結晶に対して900℃以上の高温の条件で焼成を行うことで、明確に酸化スカンジウムの形態を有する化合物を焼成物として生じさせる。また、このように高温条件で焼成することで、シュウ酸に由来する炭素(C)が残留することを防ぐことができる。

0061

そして、このように、易溶性のスカンジウム化合物を再溶解し、その再溶解液から再度シュウ酸スカンジウムの結晶を生成させ、そのシュウ酸スカンジウムの結晶を焼成していることから、不純物品位を低減させた高純度な酸化スカンジウムを得ることができる。

0062

第2焼成工程S15における焼成処理の方法としては、第1焼成工程S12における処理と同様に、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を水で洗浄し、乾燥させた後に、管状炉や連続炉等を用いて焼成する。

0063

また、900℃以上の高温の焼成温度で焼成するときの保持時間としては、特に限定されないが、0.5時間以上12時間以下であることが好ましく、1時間以上12時間以下であることがより好ましく、1時間以上6時間以下であることが特に好ましい。保持時間が0.5時間未満であると、十分に焼成が進行せず、酸化スカンジウムの形態の焼成物が有効に得られない可能性がある。一方で、保持時間が12時間を超えると、熱エネルギーが増大するため処理コストが高くなる。

0064

以下、本発明の実施例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。

0065

[実施例1]
<スカンジウム含有溶液の生成>
(ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス)
オートクレーブを用いてニッケル酸化鉱石を硫酸で浸出し、得られた浸出液に消石灰を添加して中和した。次いで、得られた中和後液硫化剤を添加して硫化反応を生じさせ、ニッケルやコバルト等を硫化物として分離し、スカンジウムを含有する硫化後液を得た。

0066

(イオン交換処理、中和処理
次に、得られた硫化後液に対してキレート樹脂を用いたイオン交換処理に付し、溶液中の不純物を分離するとともに、キレート樹脂から溶離したスカンジウムを含む溶離液(スカンジウム溶離液)を得た。その後、スカンジウム溶離液に対して中和剤を添加して、水酸化スカンジウムの沈殿物を生成させた。

0067

(溶媒抽出処理)
次に、水酸化スカンジウムの沈殿物に硫酸を添加して再度溶解して溶解液(スカンジウム溶解液)とし、このスカンジウム溶解液に対してアミン系抽出剤を用いた溶媒抽出処理に付し、抽残液として硫酸スカンジウム溶液(スカンジウム含有溶液)を得た。

0068

<シュウ酸化工程>
得られた硫酸スカンジウム溶液を、スカンジウム濃度が5g/L程度となるまで水を加えて希釈し、硫酸でpHが0になるように調整した。そして、この調整後の溶液をシュウ酸化始液とし、合計65リットルを準備した。

0069

次に、始液中のスカンジウムに対して2.7当量のシュウ酸を反応させるため、シュウ酸を100g/Lの濃度で溶解した溶液を合計27リットル準備した。そして、そのシュウ酸溶液を反応容器に収容し、そのシュウ酸溶液の中に始液を270ml/minの流量で添加した。始液を全量添加した後、1時間かけて撹拌した。なお、反応温度を25℃とし、滞留時間を5時間、添加時間を4時間とする条件とした。下記表1に、シュウ酸化(1回目のシュウ酸化)の処理条件をまとめて示す。

0070

0071

撹拌終了後、全量濾過を行ってシュウ酸スカンジウムの結晶を分離し、分離した結晶50gに対して純水1リットルを使用するレパルプ洗浄を3回繰り返した。

0072

<第1焼成工程>
次に、シュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの結晶の一部を分取し、これを炉に入れて1100℃の温度で2時間かけて焼成し、得られた焼成物を分析した。なお、下記表5に、焼成温度1100℃として得られた焼成物の分析結果を示す(表5中の「1回目の焼成処理後の酸化スカンジウム」)。

0073

一方、残りのシュウ酸スカンジウム結晶から60gを分取し、これを炉に入れて400℃の温度で2時間かけて焼成し、約25gの焼成物を得た。そして、その焼成物の一部を分析した。下記表2に、焼成温度400℃での焼成条件をまとめて示す。なお、下記表5に、焼成温度400℃として得られた焼成物(中間品)の分析結果を示す(表5中の「1回目の焼成処理後のスカンジウム化合物」)。

0074

0075

<再溶解工程>
次に、焼成温度400℃で焼成して得られた焼成物の残りのから16gを採取し、それに純水を加えて混合しながら60℃に加熱し、さらに硫酸を添加してpHを0に調整した。この操作により、16gのシュウ酸スカンジウムの結晶の95%以上が溶解したスカンジウム溶解液を得た。下記表3に、溶解処理の条件をまとめて示す。

0076

0077

なお、得られたスカンジウム溶解液をスカンジウム濃度が5g/Lになるように希釈し、硫酸を添加してpHを0に調整した液を再溶解液とし、試験条件毎に1.72リットル準備した。

0078

<再沈殿工程>
次に、再溶解液中のスカンジウムに対して2.7当量のシュウ酸を反応させるため、シュウ酸を100g/Lの濃度で溶解した溶液を試験条件毎に0.71リットル準備した。そして、そのシュウ酸溶液を反応容器に収容し、そのシュウ酸溶液の中に再溶解液を添加した。再溶解液を全量添加した後、1時間撹拌状態を保持した。なお、反応温度を25℃とし、滞留時間を2時間、添加時間を1時間とする条件とした。下記表4に、シュウ酸化(2回目のシュウ酸化)の処理条件をまとめて示す。

0079

0080

撹拌終了後、全量濾過を行ってシュウ酸スカンジウムの結晶を分離し、分離した結晶50gに対して純水1リットルを使用するレパルプ洗浄を3回繰り返した。

0081

<第2焼成工程>
次に、洗浄後のシュウ酸スカンジウムの結晶を炉に入れて2回目の焼成を、焼成温度1100℃で2時間かけて行い、酸化スカンジウムを生成させた。そして、炉から取り出した酸化スカンジウムを分析した。

0082

酸化スカンジウムの分析は、以下のようにして行った。すなわち、スカンジウム(Sc)については、他の69成分の不純物をICP及びICP質量分析(ICP−MS)装置を用いて分析し、これらの不純物量を差し引いた残りがスカンジウムとみなして評価した。また、炭素(C)は、LECO社製の高周波誘導加熱非分散赤外線吸収法を組み合わせた分析装置を用いて測定した。なお、1回目の焼成処理(1100℃)後の酸化スカンジウムの分析、1回目の焼成処理(400℃)どのスカンジウム化合物の分析も、同様にして行った。

0083

下記表5に、得られた酸化スカンジウムの分析結果を示す(表5中の「2回目の焼成処理後の酸化スカンジウム」)。

0084

0085

表5に示されるように、シュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムを400℃で焼成し、得られたスカンジウム化合物を硫酸に再溶解して、その再溶解液から再度シュウ酸スカンジウムの結晶を生成させ、そのシュウ酸スカンジウムを1100℃で焼成して得られた酸化スカンジウムでは、1回目の焼成処理(1100℃)後の酸化スカンジウムに比べて、不純物品位が低減されて、高純度なものとなった。

0086

[実施例2]
実施例1と同様の条件で1回目のシュウ酸化を行い、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を170g〜250g分取し、それぞれを焼成温度400℃で7時間かけて焼成し、焼成前後の重量を測定して減量率を測定した。その結果、それぞれ、減量率が53%〜63%の焼成物(スカンジウム化合物)を得た。

0087

次に、得られた焼成物を、それぞれ水と混合しながら60℃に加熱し、硫酸を添加してpHを1〜1.6に調整した。スラリー濃度を約5%〜8%に調整すると焼成物は全量溶解し、スカンジウム濃度が26g/L〜45g/Lである高いスカンジウム濃度の硫酸溶液を作製することができた。

0088

下記表6に、シュウ酸スカンジウムに対する焼成による減量率と、その焼成物を溶解させたときの結果をまとめて示す。

0089

0090

[比較例1]
実施例1と同様にして、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスから得られた硫化後液から、イオン交換処理、中和処理、及び溶媒抽出処理を行って、硫酸スカンジウム溶液(スカンジウム含有溶液)を得た。

0091

また、その硫酸スカンジウム溶液を用いて、シュウ酸化処理(1回目のシュウ酸化)を行い、シュウ酸スカンジウムの結晶を得た。具体的に、シュウ酸化処理は、シュウ酸溶液を反応容器に収容し、そのシュウ酸溶液の中に始液を130ml/minの流量で添加し、始液を全量添加した後、1時間かけて撹拌した。なお、反応温度を25℃とし、滞留時間を1時間、添加時間を10時間とする条件とした。下記表7に、シュウ酸化(1回目のシュウ酸化)の処理条件をまとめて示す。

0092

0093

次に、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶の一部を炉に入れて1100℃の温度で2時間かけて焼成し、得られた焼成物を分析した。なお、下記表9中に、焼成温度1100℃として得られた焼成物の分析結果を示す(表9中の「1回目の焼成処理後の酸化スカンジウム」)。

0094

一方、得られた残りのシュウ酸スカンジウムのうちの22gを分取し、混合しながら濃度64重量%の硫酸溶液を539ml添加した。さらに、純水1452mlを追加して添加し、混合を続けるとpHは−(マイナス)0.5程度となった。このようにして得られたシュウ酸スカンジウムの溶解液を分析して、スカンジウムの浸出率を求めると95%以上となった。しかしながら、この溶解液のスカンジウム濃度は2.3g/Lまでしか上がらなかった。下記表8に、溶解処理の条件と溶解液の分析結果をまとめて示す。

0095

0096

次に、シュウ酸スカンジウムの溶解液を用いて再度(2回目)のシュウ酸化処理を行うため、その溶解液1リットルに対してシュウ酸を12当量となる126gを添加し混合した。混合後、濾過してシュウ酸スカンジウムの結晶を分離し、分析した。その結果、スカンジウムの回収率は80%となった。

0097

次に、再度(2回目)のシュウ酸化処理から得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を炉に入れ1100℃の温度で焼成し、得られた焼成物を分析した。下記表9中に、焼成温度1100℃として得られた焼成物の分析結果を示す(表9中の「2回目の焼成処理後の酸化スカンジウム」)。

0098

0099

1回目のシュウ酸スカンジウムに対する焼成処理(1100℃焼成)により得られた酸化スカンジウムよりも、得られたシュウ酸スカンジウムを焼成せず再度溶解させ、再びシュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムに対する焼成処理(1100℃)により得られた酸化スカンジウムの方が、不純物が除去され、品位が99.94%の高純度スカンジウムを精製することができた。

実施例

0100

しかしながら、シュウ酸スカンジウムの再溶解液のスカンジウム濃度は2.3g/L程度と低い濃度となってしまい、また再度のシュウ酸化処理に要したシュウ酸も12当量と非常に多量となり、実施例に比べて処理効率が低下した。

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