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技術 刺激応答性ポリマー

出願人 日立化成株式会社
発明者 丸山優史渋谷啓介平井千鶴島崎譲
出願日 2016年9月9日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-176646
公開日 2018年3月15日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2018-039949
状態 特許登録済
技術分野 ポリアミド 微生物、その培養処理 エポキシ樹脂 微生物・酵素関連装置
主要キーワード 弱還元剤 求電子付加反応 フェニルボロン酸基 刺激応答性ポリマー ジチオエーテル エポキシ基由来 温度可変 シグマトロピー転位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月15日)のものです。
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図面 (3)

課題

本発明は、非侵襲的細胞剥離可能な培養容器の簡便な手法による製造を可能にする刺激応答性ポリマーを提供することを目的とする。

解決手段

本発明は、温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとを構成単位として有する刺激応答性ポリマーであって、温度応答性を示す部位Xがエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含む、前記刺激応答性ポリマー、ならびに該刺激応答性ポリマーを用いた培養容器、培養方法および細胞剥離方法に関する。

概要

背景

細胞培養において、細胞細胞培養容器から剥離する工程では、多くの場合にタンパク分解酵素剥離液として用いる。しかし、タンパク分解酵素は細胞表面の膜タンパク細胞間接着タンパクを分解することから、細胞に損傷が与えられる。

そこで、細胞を細胞培養容器から非侵襲的に剥離する技術として、刺激応答性ポリマーを表面に備える培養容器が開発されている。非侵襲的な刺激としては、若干の温度変化、若干のpH変化、若干の塩濃度変化、糖・ペプチド弱還元剤のような生体適合性物質の若干量の添加、光照射等があるが、特に温度変化に関して研究が進んでおり、温度応答性ポリマーを用いた温度応答性培養容器が知られている(特許文献1−4、非特許文献1)。このような温度応答性培養容器では、温度を培養温度から低下することで細胞を剥離可能である。

しかし、従来の温度応答性培養容器は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)誘導体等の温度応答性ポリマーを高密度で表面に固定化する必要があるため、放射線重合のような生産性の低い手法でしか製造できなかった。

そこで、浸漬やコーティングのような簡便な手法での温度応答性培養容器の製造を可能にする、低い表面密度でも十分に細胞剥離に作用することができる温度応答性ポリマーが望まれている。また、温度変化および温度変化以外の非侵襲的な刺激の複合刺激に応答性の刺激応答性ポリマーは、細胞剥離性を向上させることができる。

概要

本発明は、非侵襲的に細胞剥離可能な培養容器の簡便な手法による製造を可能にする刺激応答性ポリマーを提供することを目的とする。本発明は、温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとを構成単位として有する刺激応答性ポリマーであって、温度応答性を示す部位Xがエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含む、前記刺激応答性ポリマー、ならびに該刺激応答性ポリマーを用いた培養容器、培養方法および細胞剥離方法に関する。なし

目的

そこで、浸漬やコーティングのような簡便な手法での温度応答性培養容器の製造を可能にする、低い表面密度でも十分に細胞剥離に作用することができる温度応答性ポリマーが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとを構成単位として有する刺激応答性ポリマーであって、温度応答性を示す部位Xがエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含む、前記刺激応答性ポリマー。

請求項2

温度応答性を示す部位Xがエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を2つ以上有する、請求項1に記載の刺激応答性ポリマー。

請求項3

温度応答性を示す部位Xが、ポリエチレングリコール部分構造、ポリプロピレングリコール部分構造、ポリブチレングリコール部分構造およびポリペンチレングリコール部分構造から選ばれる少なくとも1つを有する、請求項2に記載の刺激応答性ポリマー。

請求項4

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが、水中でのpKaが3以上11以下の官能基を含む、請求項1に記載の刺激応答性ポリマー。

請求項5

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが、カルボン酸基アミン基イミン基チオエーテル基ボロン酸基リン酸基含窒素芳香族基およびフェノール性水酸基から選ばれる少なくとも1つを有する、請求項4に記載の刺激応答性ポリマー。

請求項6

物性を調節する部位X’またはY’をさらに有する、請求項1に記載の刺激応答性ポリマー。

請求項7

水溶液中で下限臨界溶解温度を示し得る、請求項1に記載の刺激応答性ポリマー。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の刺激応答性ポリマーを表面に備える培養容器

請求項9

請求項8に記載の培養容器に細胞の懸濁液を接触させることで前記細胞を接着培養する培養方法

請求項10

請求項8に記載の培養容器に細胞が接着している状態に対して、培地の温度、pH、塩濃度化学ポテンシャル酸化還元電位または細胞が暴露される光強度を変化させるプロセスを含む細胞剥離方法

技術分野

0001

本発明は、刺激応答性ポリマーならびにそれを用いた細胞培養容器細胞培養方法および細胞剥離方法に関する。

背景技術

0002

細胞培養において、細胞を細胞培養容器から剥離する工程では、多くの場合にタンパク分解酵素剥離液として用いる。しかし、タンパク分解酵素は細胞表面の膜タンパク細胞間接着タンパクを分解することから、細胞に損傷が与えられる。

0003

そこで、細胞を細胞培養容器から非侵襲的に剥離する技術として、刺激応答性ポリマーを表面に備える培養容器が開発されている。非侵襲的な刺激としては、若干の温度変化、若干のpH変化、若干の塩濃度変化、糖・ペプチド弱還元剤のような生体適合性物質の若干量の添加、光照射等があるが、特に温度変化に関して研究が進んでおり、温度応答性ポリマーを用いた温度応答性培養容器が知られている(特許文献1−4、非特許文献1)。このような温度応答性培養容器では、温度を培養温度から低下することで細胞を剥離可能である。

0004

しかし、従来の温度応答性培養容器は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)誘導体等の温度応答性ポリマーを高密度で表面に固定化する必要があるため、放射線重合のような生産性の低い手法でしか製造できなかった。

0005

そこで、浸漬やコーティングのような簡便な手法での温度応答性培養容器の製造を可能にする、低い表面密度でも十分に細胞剥離に作用することができる温度応答性ポリマーが望まれている。また、温度変化および温度変化以外の非侵襲的な刺激の複合刺激に応答性の刺激応答性ポリマーは、細胞剥離性を向上させることができる。

0006

特開2008−220320
特開2008−263863
特開2010−63439
特開2012−165730

先行技術

0007

Polymers 2012,4,1478−1498

発明が解決しようとする課題

0008

前記の通り、従来の温度応答性培養容器では、温度応答性ポリマーが低い表面密度において細胞剥離に十分に作用することができないため、高密度で培養容器に導入しなければならず、温度応答性ポリマーを簡便な手法で培養容器へ導入することは難しかった。また、温度変化および温度変化以外の刺激に応答性の刺激応答性ポリマーは、非侵襲的な細胞剥離を可能にし、細胞剥離性を向上させることができる。よって、本発明は、非侵襲的に細胞剥離可能な培養容器の簡便な手法による製造を可能にする刺激応答性ポリマーを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するために、本発明の刺激応答性ポリマーは、温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとを構成単位として有し、温度応答性を示す部位Xがエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含むことを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、刺激応答性ポリマーを用いて、非侵襲的に細胞剥離可能な培養容器を簡便な手法により製造できる。

0011

前記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、実施例における下限臨界溶解温度を示すポリマー2−2の温度応答性を示す。
図2は、実施例におけるポリマー2−2の分子量分布を示す。
図3は、実施例における細胞を剥離した際の経過を写真により示す。

0013

以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。

0014

本発明の刺激応答性ポリマーは、温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとを構成単位として有する。本発明の刺激応答性ポリマーを表面に備える細胞培養容器は、温度変化および温度変化以外の刺激によって表面状態が変化することで培養された細胞の表面に対する接着性が変化し、細胞の剥離を促すことができる。特に、刺激応答性ポリマーが、培養温度において疎水性で、刺激によって親水性に変化する場合には、一般に、細胞は疎水性表面接着しやすい傾向があるため、細胞の剥離に有利である。本発明の刺激応答性ポリマーは、温度および温度以外の刺激の両方に応答性であり、低い表面密度でも細胞剥離に十分に作用できるため、簡便な手法で培養容器に導入でき、また、優れた細胞剥離性を有する。

0015

温度応答性を示す部位Xは、温度変化に応じてポリマーの溶解性(親水性または疎水性)等の性質または構造を変化し得る部位である。例えば、部位Xが、温度変化に応じてポリマーの溶解性を変化させる場合、ポリマーは、下限臨界溶解温度および/または上限臨界溶解温度を示し得る。下限臨界溶解温度を示す場合には、ポリマーは、臨界温度以下で可溶であり、臨界温度超で不溶であり、また、上限臨界溶解温度を示す場合には、ポリマーは、臨界温度以上で可溶であり、臨界温度未満で不溶である。ここで、細胞の剥離に本質的に必要となる現象は、細胞が感じる表面状態の変化であるため、部位Xは、下限臨界溶解温度および/または上限臨界溶解温度を示してもよいし、示さなくてもよい。ポリマーにおける下限臨界溶解温度や上限臨界溶解温度はバルクの性質であって、培養容器表面に固定化された材料の分子の状態(構造、運動性、物性等の変化)とは必ずしも相関しないためである。また、培地は多種の有機物や塩を含むため、水中で下限臨界溶解温度や上限臨界溶解温度を示さない化合物が必ずしも培地中で下限臨界溶解温度や上限臨界溶解温度を示さないとは限らない。ただし、一般に、水溶液中で下限臨界溶解温度や上限臨界溶解温度を示すことは、ポリマーの溶解性が温度応答性であることの参考にすることはできる。一実施形態において、本発明の刺激応答性ポリマーは、水溶液中で下限臨界溶解温度および/または上限臨界溶解温度を示し得、好ましくは、水溶液中で下限臨界溶解温度を示し得る。また、部位Xが温度変化に応じて異性化する場合、温度変化に応じてポリマーの構造が変化する。

0016

温度応答性を示す部位Xが応答性を示す温度変化は、細胞に悪影響を与えない範囲内であれば特に制限はないが、例えば、培養温度(例えば、37℃)から室温(例えば、25℃)、20℃または低温(例えば4℃)への降温である。

0017

温度応答性を示す部位Xは、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有する。部位Xは、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造を主鎖または側鎖のいずれに有していてもよい。部位Xは、好ましくは、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造を2つ以上有する。この場合、各エーテル部分構造またはスルフィド部分構造は、連続して存在していてもよいし、離れて存在していてもよい。部位Xが、2つ以上のエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を連続して有する場合、この部分構造は、式:−O−(CnH2n)−O−または−S−(CnH2n)−S−(式中、nは、例えば、1〜20であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは、1〜5である)で表すことができる。

0018

温度応答性を示す部位Xは、好ましくは、アルキレングリコール単位:−O−R1O−(式中、R1Oは、R1が直鎖または分枝アルキレンであるオキシアルキレン基である)を有する。前記式中、R1は、好ましくは、直鎖または分枝のC1〜C20アルキレンであり、より好ましくは、直鎖または分枝のC1〜C10アルキレンであり、特に好ましくは、直鎖または分枝のC1〜C5アルキレンである。各アルキレングリコール単位は、アルキレン部分が直鎖または分岐のいずれであってもよい。よって、例えば、プロピレングリコール単位は、1,2−プロピレングリコール単位(−O−CH(CH3)CH2O−)および1,3−プロピレングリコール単位(−O−CH2CH2CH2O−)を含み、ブチレングリコール単位は、1,2−ブチレングリコール単位(−O−C(CH2CH3)CH2O−)、1,3−ブチレングリコール単位(−O−CH(CH3)CH2CH2O−)および1,4−ブチレングリコール単位(−O−CH2CH2CH2CH2O−)を含む。部位Xは、特に好ましくは、エチレングリコール単位(−O−CH2CH2O−)、プロピレングリコール単位、ブチレングリコール単位およびペンチレングリコール単位から選ばれる少なくとも1つを有する。

0019

温度応答性を示す部位Xは、好ましくは、2つ以上のオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコール部分構造:−O−(R1O)n−(式中、R1は前記の通りであり、nは、好ましくは、1〜1000である)を有する。部位Xは、より好ましくは、ポリエチレングリコール部分構造、ポリプロピレングリコール部分構造、ポリブチレングリコール部分構造およびポリペンチレングリコール部分構造から選ばれる少なくとも1つを有する。

0020

好ましい実施形態において、温度応答性を示す部位Xは、式:−O−(CnH2n)−O−または−S−(CnH2n)−S−(式中、nは、例えば、1〜20であり、好ましくは、2〜10であり、より好ましくは、2〜5である)で表される部分構造を有するか、または、ポリエチレングリコール部分構造、ポリプロピレングリコール部分構造、ポリブチレングリコール部分構造およびポリペンチレングリコール部分構造から選ばれる少なくとも1つのポリアルキレングリコール部分構造を有するものである。

0021

具体的には、温度応答性を示す部位Xは、例えば、アルキレングリコール、アルキレンジチオエーテルポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリヘキシレングリコール等のポリアルキレングリコール類ポリフェニレングリコールメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースアルキルセルロース類、ポリビニルアルコールメチルエーテルおよびポリビニルアルコールエーテル類を部分構造として有し、好ましくは、アルキレングリコール部分構造、アルキレンジチオエーテル部分構造、ポリエチレングリコール部分構造、ポリプロピレングリコール部分構造、ポリブチレングリコール部分構造およびポリペンチレングリコール部分構造である。部位Xは、これらの部分構造の組み合わせを有していてもよい。

0022

温度応答性を示す部位Xとして、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。エーテル部分構造またはスルフィド部分構造を側鎖に導入することができるポリマーとしては、例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−ジイソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−ジメチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸プロピル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリル酸、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸プロピル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリアクリル酸、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ乳酸、N−アシル化−ε−ポリリジン、N−アルキル化−ε−ポリリジン、γ−ポリグルタミン酸アミド誘導体およびδ−ポリアスパラギン酸アミド誘導体等を用いることができる。

0023

一実施形態において、温度応答性を示す部位Xは、両末端原料由来の基を有する。原料由来の基は、重合可能な基であれば特に限定されずに、例えば、エポキシ基由来の基、カルボン酸基由来の基およびアミン基由来の基等である。すなわち、部位Xは、好ましくは、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造と、両末端の原料由来の基とを有する。一実施形態において、部位Xは、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造と、両末端の原料由来の基とからなる。

0024

好ましい実施形態において、温度応答性を示す部位Xは、下記式:
式:L−O−(R1O)n−L’ (I)
(式中、R1は直鎖または分枝のアルキレン基であり、LおよびL’は原料由来の基であり、nは1〜1000である)、
式:L−O−(CnH2n)−O−L’ (II)
(nは、例えば、1〜20であり、好ましくは、2〜10であり、より好ましくは、2〜5である)、または
式:L−S−(CnH2n)−S−L’ (III)
(nは、例えば、1〜20であり、好ましくは、2〜10であり、より好ましくは、2〜5である)
で表される。前記式(I)において、R1は、好ましくは、直鎖または分枝のC1〜C20アルキレンであり、より好ましくは、直鎖または分枝のC1〜C10アルキレンであり、特に好ましくは、直鎖または分枝のC1〜C5アルキレンである。前記式(I)〜(III)において、LおよびL’は、例えば、エポキシ基由来の基、カルボン酸基由来の基およびアミン基由来の基であり、具体的には、例えば、−CH(OH)CH2−、−CO−または−(CH2)NH−である。

0025

あるいは、部位Xは、リジングルタミン酸等のアミノ酸由来部分にエーテル部分構造またはスルフィド部分構造が置換したものであってもよい。また、原料として二重結合を有するモノマーを用いた場合に形成される、側鎖にエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有するアルキレン部分であってもよい。

0026

温度応答性を示す部位Xは、特に好ましくは、下記のものから選ばれる少なくとも1つである。



(式中、aは1〜1000であり、bは1〜500であり、cは1〜400であり、dは1〜500であり、eは1〜500であり、gは1〜500である。)

0027

温度応答性を示す部位Xは、低分子またはポリマーのいずれでもよいが、細胞が表面状態の変化を感じるためには一定以上の分子量を有することが望ましいため、オリゴマーまたはポリマーが好ましい。部位Xがオリゴマーまたはポリマーである場合、部位Xの数平均分子量は、例えば、約300〜10000である。

0028

温度応答性を示す部位Xは、温度以外の刺激に対しても応答性であり得る。部位Xが温度以外の刺激に対しても応答性であると、細胞に損傷を与えることなく細胞の剥離を促進することができ、また、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yの効果を増強することができる。温度以外の刺激としては、例えば、細胞に対して非侵襲的な外的環境の変化を用いることができ、特に限定されずに、例えば、pH変化、塩濃度変化、組成変化、糖・ペプチド・弱還元剤のような生体適合性物質の添加および光照射等が挙げられる。部位Xは、好ましくは、温度変化に加えて、pHおよび/または塩濃度の変化に対して応答性である。これらの刺激は、細胞に悪影響を与えない程度に弱い刺激であることが好ましく、例えば、部位XがpH変化に応答性である場合、pH変化は、例えば、pH7.4からpH6.5、pH7.4からpH7.0またはpH7.4からpH8.0への若干の変化であり、また、部位Xが塩濃度または組成の変化に応答性である場合、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地DMEM)や幹細胞無血清培地(TeSR−E8)からPBS緩衝液またはHEPES緩衝液への変化である。

0029

温度応答性を示す部位Xは、温度変化以外の刺激に対しても応答性を示す構造を含むことにより、または、部位Xに含まれるエーテル部分構造またはスルフィド部分構造が温度変化以外の刺激に対しても応答性を示すことにより、温度応答性に加えて、これらの刺激にも応答性を示すことができる。例えば、部位Xに含まれるエーテル部分構造またはスルフィド部分構造は、pHおよび/または塩濃度の変化に応答性であり得る。また、部位Xは、エーテル部分構造またはスルフィド部分構造に加えて、塩やプロトン等と相互作用し得る配位性部位を含むことで、pHおよび/または塩濃度の変化に応答性を示すことができる。配位性部位は、特に限定されずに、例えば、別のエーテル、別のチオエーテル、カルボン酸基、含窒素芳香族基、アミン基、カルボン酸基およびリン酸基等であるが、細胞の培養容器への非特異的な吸着を防ぐ観点からは、ポリエーテルのような構造が好ましい。

0030

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、特に限定されずに、例えば、pH変化、塩濃度変化、組成変化、糖・ペプチド・弱還元剤のような生体適合性物質の添加および光照射等の細胞に対して非侵襲的な刺激に対して応答性を示す。部位Yは、これらの刺激によってポリマーの溶解性等の性質を変化させることで、細胞の接着または剥離に、特に細胞の剥離に作用することができる。これらの刺激は、細胞に悪影響を与えない程度に弱い刺激であることが好ましく、例えば、部位YがpH変化に応答性である場合、pH変化は、通常、pH7.4からpH6.5、pH7.4からpH7.0またはpH7.4からpH8.0への若干の変化であり、また、部位Yが塩濃度または組成の変化に応答性である場合、例えば、DMEMやTeSR−E8からPBS緩衝液またはHEPES緩衝液への変化である。部位Yは、好ましくは、pH、塩濃度および/または糖添加応答性であり、より好ましくは、pHおよび/または塩濃度応答性であり、特にpH応答性である。

0031

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、用いる刺激に応じて適した構造が異なるが、部位Yは、水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含む。これは、刺激がpH変化および/または塩濃度変化の場合に好ましい。部位Yの官能基の水中でのpKaが前記範囲内であると、水のpKaである15.7以下かつ水中におけるオキソニウムイオンのpKaである−1.7以上の範囲内となり、さらに、細胞培養が可能なpH7付近での応答性を実現することができる。部位Yは、水中でのpKaが3以上11以下の官能基を含むことがより好ましい。ここで、本発明では、所定のpKaの官能基には、その共役酸または共役塩基のpKaがその範囲内となる官能基も含む。なお、一つの分子内に同一の官能基が複数存在する場合にはそれぞれのpKaが異なり得る。単独で存在する場合の水中でのpKaが上記範囲内に入らなくとも、複数で存在する場合に水中でのpKaが上記範囲内に入っていればよい。

0032

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが有する官能基としては、例えば、カルボン酸基(脂肪族カルボン酸芳香族カルボン酸)、アミン基(脂肪族級アミン基、脂肪族2級アミン基、脂肪族3級アミン基、芳香族1級アミン基、芳香族2級アミン基、芳香族3級アミン基)、イミン基チオエーテル基ボロン酸基(脂肪族ボロン酸基、芳香族ボロン酸基)、リン酸基(脂肪族リン酸基、芳香族リン酸基)、含窒素芳香族基(ピロール基イミダゾリル基ピリジル基ピリミジル基オキサゾリル基チアゾリル基およびトリアゾリル基等)およびフェノール性水酸基等が挙げられるが、それらに限定されない。部位Yが有する官能基は、好ましくは、カルボン酸基、アミン基、チオエーテル基、ボロン酸基および含窒素芳香族基(特に、イミダゾール基)である。これらの基は、通常、水中でのpKaが3以上11以下である。部位Yが有する官能基は、前記のものの組み合わせであってもよい。部位Yが有する官能基の好ましい組み合わせは、アミン基およびカルボン酸基の組み合わせ、アミン基およびチオエーテル基の組み合わせ、アミン基、チオエーテル基およびカルボン酸基の組み合わせ、ならびにアミン基および含窒素芳香族基(特に、イミダゾール基)の組み合わせである。

0033

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、前記の官能基を少なくとも1つ有していればよいが、好ましくは、部位Yは、前記の官能基を2つ以上有し、より好ましくは、前記の官能基を2つまたは3つ有する。

0034

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、好ましくは、アルキレンジアミン部分構造またはアルキルアミノチオエーテル部分構造を有し、これらは、カルボン酸基またはアミン基をさらに有していてもよく、アミノ酸(例えば、リジン、システイン、グルタミン酸等)由来部分であってもよい。

0035

一実施形態において、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、好ましくは、両末端に原料由来の基を有する。原料由来の基は、重合可能な基であれば特に限定されずに、例えば、アミン基由来の基、チオール基由来の基およびカルボン酸基由来の基等である。部位Yにおいて、原料由来の基が、水中でのpKaが2以上12以下の官能基となり得る。

0036

好ましい実施形態において、部位Yは、式:−R2−(CnH2n)−R3−(式中、R2およびR3は、それぞれNHまたはSであり、nは、例えば、1〜20であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは、1〜5である)で表されるものであり、アルキレン部分は、カルボン酸基またはアミン基で置換されていてもよい。また、部位Yは、式:−NH−(CnH2n)−CO−(式中、nは、例えば、1〜20であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは、1〜5である)で表されるものであってもよく、アルキレン部分は、カルボン酸基またはアミン基で置換されていてもよい。また、部位Yは、リジン、システイン、グルタミン酸等のアミノ酸由来部分であってもよい。また、部位Yは、式:−CH2CHR4−(式中、R4は、カルボン酸基、アミン基、ボロン酸基および含窒素芳香族基から選択され、好ましくは、ボロン酸基であり、特に好ましくは、フェニルボロン酸基である)で表されるものであってもよい。

0037

部位Yは、刺激が塩濃度変化である場合には、例えば、エーテル、チオエーテル、カルボニル基、含窒素芳香族基、アミン基、カルボン酸基およびリン酸基から選ばれる配位性部位を含む。また、刺激が糖添加である場合には、部位Yは、好ましくは、ボロン酸基等のような糖と反応し得る部位を含む。刺激が還元剤の添加である場合には、部位Yは、好ましくは、ジスルフィド等のような被還元性の部位を含む。刺激が光照射である場合には、部位Yは、好ましくは、アゾベンゼンスピロピランジアリールエテンおよびo−ニトロベンジル基等のような光応答性の部位を含む。なお、例えば、ジスルフィドのような還元により切断される官能基や、o−ニトロベンジル基のような光により切断される官能基を用いる場合は、結合の切断によって生じる成分が培地中に溶け出して細胞に与える影響に留意する必要がある。

0038

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、特に好ましくは、下記のものから選ばれる少なくとも1つである。

0039

温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yは、低分子またはポリマーのいずれであってもよいが、好ましくは低分子である。

0040

刺激応答性ポリマーにおける温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとのモル比は、例えば、10:1〜1:10であり、好ましくは5:1〜1:5であり、より好ましくは3:1〜1:3である。

0041

本発明の刺激応答性ポリマーは、温度応答性を示す部位Xおよび温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yに加えて、物性を調節する部位X’またはY’を有していてもよい。物性を調節する部位X’またはY’を有することで、ポリマーを望ましい物性に調節することができ、例えば、温度または温度以外の刺激に対する応答性を増大すること、溶解性を変化させること、電荷密度を変化させること、別の応答性を付与すること、細胞接着性を調節すること、薬物徐放性を付与すること、等が可能となる。ここで、温度または温度以外の刺激に対する応答性を増大することとは、応答性の程度を増大することや、応答可能な温度または温度以外の刺激の範囲を広くすることをいう。

0042

物性を調節する部位X’またはY’は、特に限定されずに、刺激応答性ポリマーの物性を変化させることができる物性調節部位を含むものであればよい。本発明において、部位X’は部位Xと類似する構造を有し、部位Y’は、部位Yと類似する構造を有するものである。また、部位X’は、部位Xとして用いることができるものであってもよいが、1つのポリマーにおいて、部位X’は部位Xとは異なるものである。また、同様に、部位Y’は、部位Yとして用いることができるものであってもよいが、1つのポリマーにおいて、部位Y’は部位Yとは異なるものである。

0043

具体的には、例えば、部位X’またはY’がカルボン酸基、ボロン酸基、リン酸基、スルホン酸、アミン基、イミン基、イミダゾリル基、ピリジル基、グアニジル基、4級アンモニウム基、等を有する場合、例えば、リジン等のアミノ酸由来部分を有する場合、刺激応答性ポリマーのpH変化に対する応答性を変化させることができる。部位X’またはY’がアゾベンゼン、スピロピラン、ジアリールエテンおよびo−ニトロベンジル基等の光応答性部分を含む場合、刺激応答性ポリマーの光応答性を増大することができる。部位X’またはY’がゼラチンコラーゲン、ポリリジン、RDGペプチド、ラミニンフィブロネクチンビトロネクチンキチンキトサンインテグリンカドヘリンアルブミングロブリンヘパリン、へパラ硫酸デキストラン硫酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、エラスチン等の接着性部分を含む場合、刺激応答性ポリマーの細胞接着性を調節することができる。部位X’またはY’がエステル結合のような加水分解可能な結合を介して生理活性物質が導入された構造を含む場合、薬物徐放性を付与することができる。

0044

部位X’は部位Xと類似する構造を有する。部位X’は、好ましくは、両末端に原料由来の基を有する。原料由来の基は、前記の部位Xの原料と同様である。

0045

部位Y’は部位Yと類似する構造を有する。部位Y’は、好ましくは、両末端に原料由来の基を有する。原料由来の基は、前記の部位Yの原料と同様である。

0046

物性を調節する部位X’またはY’は、特に好ましくは、下記のものから選ばれる少なくとも1つである。

0047

刺激応答性ポリマーにおける温度応答性を示す部位Xと、物性を調節する部位X’とのモル比は、例えば、100:1〜1:10であり、好ましくは20:1〜1:5であり、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yと、物性を調節する部位Y’とのモル比は、例えば、100:1〜1:10であり、好ましくは20:1〜1:5である。

0048

本発明の刺激応答性ポリマーは、好ましくは、水溶性である。刺激応答性ポリマーの数平均分子量は、好ましくは500〜500000であり、より好ましくは500〜200000であり、特に好ましくは500〜100000である。好ましい刺激応答性ポリマーは、実施例のポリマー1−1〜1−4、2−1〜2−7、3−1〜3−4、4−1〜4−4および5−1〜5−4のポリマーである。

0049

本発明の刺激応答性ポリマーは、例えば、温度応答性を示す部位Xの原料と、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yの原料と、場合によって物性を調節する部位X’またはY’の原料とを共重合することで製造できる。各部位の原料としては、モノマーまたはマクロモノマーを用いることができる。これらの原料に加えて、別のモノマーまたはマクロモノマーを共存させた状態で共重合してもよい。重合形式としては、例えば、ラジカル重合カチオン重合アニオン重合配位重合重縮合重付加付加縮合開環重合およびメタセシス重合等を用いることができ、所望の構造に応じて適宜選択できる。重合形式は、好ましくは、ラジカル重合、重縮合、重付加、付加縮合および開環重合である。原料中の官能基は必要に応じて保護したものを用いてもよく、この場合、重合後に脱保護を実施した後に精製することが好ましい。

0050

一実施形態において、重縮合または開環重合により刺激応答性ポリマーを製造する場合、部位Xおよび部位Yの原料としては、重縮合または開環重合可能な基を両末端に有するものを用いることができる。例えば、重縮合の場合、部位Xおよび部位Yの原料として、両末端にカルボン酸基および/またはアミン基を有するものを用いることができ、具体的には、部位Xおよび部位Yの原料として、一方の末端にカルボン酸基を有し、他方の末端にアミン基を有するものを用いることができ、また、部位Xの原料として両末端にカルボン酸基を有するものを用い、部位Yの原料として両末端にアミン基を有するものを用いることもできる。部位X’および部位Y’の原料は、それぞれ部位Xおよび部位Yと同様の末端基を有することが好ましい。また、開環重合の場合、例えば、部位Xの原料として、エポキシ基を両末端に有するものを用いることができ、部位Yの原料として、求核性基(例えば、アミン基またはチオール基)を両末端に有するものを用いることができる。重合条件は、用いる原料および重合方法によって適宜選択できる。

0051

一実施形態において、ラジカル付加重合により刺激応答性ポリマーを製造する場合、部位Xおよび部位Yの原料は、ラジカル付加重合可能な基を有しているものであればよく、例えば、二重結合を有する原料が用いられる。この場合、好ましくは、部位Xの原料は、側鎖にエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、また、部位Yの原料は、側鎖に官能基を有する。この重合方法では、部位Xおよび部位Yが順不同で結合したポリマーが得られる。重合条件は、用いる原料および重合方法によって適宜選択できる。

0052

あるいは、本発明の刺激応答性ポリマーは、ポリマーを原料として用い、該ポリマーの側鎖に、部位Xまたは部位Yを導入して、側鎖の全てまたは一部に部位Xまたは部位Yを導入することで製造することもできる。例えば、温度応答性を示す部位Xを構成単位として有するポリマーと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yの原料とを反応させて、部位Xを構成単位として有するポリマーの側鎖に部位Yを導入してもよいし、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yを構成単位として有するポリマーと、温度応答性を示す部位Xの原料とを反応させて、部位Yを構成単位として有するポリマーの側鎖に部位Xを導入してもよい。一実施形態において、例えば、部位Yを構成単位として有するポリマーとしてポリリジンまたはポリグルタミン酸を用い、これらの側鎖に温度応答性を示す部位Xを導入することができる。この場合、部位Yは、それぞれ、ポリリジンまたはポリグルタミン酸の構成単位であるリジンまたはグルタミン酸となる。

0053

刺激応答性ポリマーの温度変化や温度変化以外の刺激に対する応答性は、一般に、該当する応答性を示す部位の導入量やポリマーの分子量に影響を受けるため、例えば、モノマー濃度モノマー比溶媒反応温度および雰囲気等の重合条件を制御することによって、応答性の範囲を制御することができる。

0054

複数の反応部位を有する原料を用いる場合には、得られるポリマーは必ずしも直鎖状ではなく、枝分かれ状ネットワーク状になるが、機能に影響を与えない範囲内でそれらでも構わない。また、ポリマーのタクティシティや重合の位置選択性末端官能基は、機能に影響を与えない範囲内で複数の構造の混合物であって構わず、ポリマー内の結合様式末端構造は不問である。

0055

本発明は、前記の製造方法で製造された刺激応答性ポリマーも含む。よって、本発明は、部位Xの原料と、部位Yの原料と、場合によって物性を調節する部位X’またはY’の原料とを共重合することで得られる刺激応答性ポリマーも含む。

0056

本発明の刺激応答性ポリマーは、構成単位および構造に応じて、下記の式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)または式(2−1)で表される。

0057

式(1−1)の刺激応答性ポリマー



(式中、Xは温度応答性を示す部位であり、Yは温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位であり、Xはエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、Yは水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含み、nは、好ましくは、2〜1000である)。

0058

式(1−1)の刺激応答性ポリマーは、温度応答性を示す部位Xおよび温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yを構成単位として有する。部位Xおよび部位Yならびにそれらの好ましいものについては前記の通りである。式(1−1)の刺激応答性ポリマーは、部位Xと部位Yとが交互に結合した構造を有する。各原料の適切な組み合わせと適切な分子量を選ぶことで、目的の細胞剥離性を得ることができる。式(1−1)の刺激応答性ポリマーは、温度応答性を示す部位Xおよび温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yを有することにより、細胞に損傷を与えない弱い刺激により細胞を剥離することを可能にし、低密度でも十分に細胞剥離に作用できる。

0059

式(1−1)の刺激応答性ポリマーは、例えば、両末端にエポキシ基またはカルボン酸基を有する部位Xの原料と、両末端に求核性基を有する部位Yの原料とを重縮合または開環重合することにより製造できる。

0060

式(1−2)の刺激応答性ポリマー



(式中、Xは温度応答性を示す部位であり、Yは温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位であり、Y’は物性を調節する部位であり、Xはエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、Yは水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含み、Y’は物性調節部位を含み、Yと同一ではなく、nは、好ましくは、1〜1000であり、n’は、好ましくは、1〜500である)。

0061

式(1−2)のポリマーは、温度応答性を示す部位X、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yおよび物性を調節する部位Y’を構成単位として有する。部位X、部位Yおよび部位Y’ならびにそれらの好ましいものについては前記の通りである。

0062

式(1−2)のポリマーは、温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが交互に結合した構造のうち、部位Yの一部が、物性を調節する部位Y’によって置換された構造を有する。物性を調節する部位Y’を有することで、部位Xおよび部位Yのみを構成単位として有する式(1−1)のポリマーでは得ることが難しい物性を得ることができる。

0063

式(1−2)の刺激応答性ポリマーは、例えば、両末端にエポキシ基またはカルボン酸基を有する部位Xの原料と、両末端に求核性基を有する部位Yおよび部位Y’の原料とを重縮合または開環重合することにより製造できる。

0064

式(1−3)の刺激応答性ポリマー



(式中、Xは温度応答性を示す部位であり、Yは温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位であり、X’は物性を調節する部位であり、Xはエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、Yは水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含み、X’は物性調節部位を含み、Xと同一ではなく、nは、好ましくは、1〜1000であり、n’は、好ましくは、1〜500である。)

0065

式(1−3)のポリマーは、温度応答性を示す部位X、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yおよび物性を調節する部位X’を構成単位として有する。部位X、部位X’および部位Yならびにそれらの好ましいものについては前記の通りである。

0066

式(1−3)のポリマーは、温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yが交互に結合した構造のうち、温度応答性を示す部位Xの一部が、物性を調節する部位X’によって置換された構造を示す。物性を調節する部位X’を有することで、部位Xおよび部位Yのみを構成単位として有する式(1−1)のポリマーでは得ることが難しい物性を得ることができる。

0067

式(1−3)の刺激応答性ポリマーは、例えば、両末端にエポキシ基またはカルボン酸基を有する部位Xおよび部位X’の原料と、両末端に求核性基を有する部位Yの原料とを重縮合または開環重合することにより製造できる。

0068

式(2−1)の刺激応答性ポリマー



(式中、Xは温度応答性を示す部位であり、Yは温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位であり、Xはエーテル部分構造またはスルフィド部分構造を有し、Yは水中でのpKaが2以上12以下の官能基を含み、nは、好ましくは、1〜1000であり、n’は、好ましくは、1〜500である)

0069

式(2−1)のポリマーは、温度応答性を示す部位Xおよび温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yを構成単位として有する。式(2−1)のポリマーは、式(1−1)のポリマーとは異なり、部位Xおよび部位Yが順不同で結合した構造を有し、例えば、ランダム共重合体およびブロック共重合体等の構造を有する。温度応答性を示す部位Xと、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yとの結合順が重要とならない場合には、このような構造を用いることもできる。

0070

式(2−1)のポリマーは、例えば、部位Xおよび部位Yの各原料を用いて、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、重縮合、重付加、付加縮合、開環重合およびメタセシス重合等により製造できる。あるいは、式(2−1)のポリマーは、部位Xを構成単位として有するポリマーの側鎖に部位Yを、または、部位Yを構成単位として有するポリマーの側鎖に部位Xを導入することによっても製造できる。

0071

本発明は、前記の刺激応答性ポリマーを表面に備える培養容器も含む。本発明では、刺激応答性ポリマーが低密度でも十分に機能するため、該ポリマーを簡便な方法で培養容器に導入でき、また、刺激応答性ポリマーが温度以外の刺激に対しても応答性であるため、優れた細胞剥離性を有する。

0072

刺激応答性ポリマーの培養容器表面への固定化は、特に限定されずに、例えば、共有結合電荷相互作用および物理吸着等で実施することができる。生産性や耐久性を考慮すると、簡便に実施可能な、刺激応答性ポリマーの官能基と培養容器表面の官能基との共有結合形成により、刺激応答性ポリマーを培養容器表面に固定化することが好ましい。

0073

刺激応答性ポリマーの培養容器表面への固定化に用いる共有結合形成方法としては、特に限定されずに、例えば、アミド形成、エポキシ開環、イミン形成、マイケル型付加、エン反応、チオエン反応、ディールスアルダー反応ヒュスゲン反応ネイティブケミカルリゲーション求核付加反応求電子付加反応およびシグマトロピー転位等が挙げられるが、生産性を考慮すると、共有結合形成方法としては、一般的な培養容器基材に存在する官能基を利用可能な反応が好ましい。一般に、培養容器基材はポリスチレン等の樹脂であり、表面の親水化処理として酸化カチオン性ポリマーの導入が実施されることがあり、カルボン酸基やアミン基を表面官能基として有する製品入手容易である。以上より、刺激応答性ポリマーの培養容器表面への固定化に用いる共有結合形成方法としては、アミド形成、エポキシ開環、イミン形成およびマイケル型付加等が好ましい。

0074

本発明は、前記の刺激応答性ポリマーを表面に備える培養容器を用いた細胞の培養方法も含む。

0075

本発明の培養方法では、前記培養容器に細胞の懸濁液を接触させることで前記細胞を接着培養する。細胞の懸濁液を接触させる前に、培養容器に細胞接着を促進する成分をコーティングや固定化してもよい。細胞接着を促進する成分は、例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリ−L−リジン、RDGペプチド、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、インテグリン、カドヘリン、膜タンパクに特異的な抗体、またはそれらの部分構造を含む分子もしくはそれらを含む分子等であるが、それらに限定されない。

0076

細胞培養容器の表面における刺激応答性ポリマーや細胞接着を促進する成分の表面密度は、細胞培養性や細胞剥離性に影響がある。例えば、刺激応答性ポリマーの表面密度が高過ぎる場合には、細胞接着を促進する成分が少ないために細胞を培養できず、刺激応答性ポリマーの表面密度が低すぎる場合には、細胞を剥離できないことが考えられる。ただし、これらは培養する細胞にも依存するため、実施する際には、対象の細胞に合わせた材料と表面密度を選択する必要がある。

0077

培養する細胞は、接着性の細胞が好ましく、例えば、線維芽細胞間葉系幹細胞ES細胞iPS細胞および脱分化細胞等であるが、それらに限定されない。なお、培養する細胞によって、上記の細胞接着を促進する成分は適切に選択する必要がある。

0078

本発明の刺激応答性ポリマーを表面に備える培養容器で細胞を接着培養した後に、培養容器表面に適切な刺激を与えることで、細胞を剥離することができる。適切な刺激とは、細胞に対して非侵襲的な外的環境の変化のことであり、例えば、培地の温度、pH、塩濃度、化学ポテンシャル酸化還元電位または細胞が暴露される光強度の変化等である。よって、本発明は、培養容器に細胞が接着している状態に対して、培地の温度、pH、塩濃度、化学ポテンシャル、酸化還元電位または細胞が暴露される光強度を変化させるプロセスを含む細胞剥離方法も含む。温度や液性因子(pH、物質添加等)を刺激として用いる場合には、それらを含む剥離液を添加することで、簡便に細胞を剥離することができる。剥離液を添加する前に、培地を取り除いても取り除かなくてもよい。培養条件は、培養する細胞によって適正な条件が異なるが、一般的な培養条件を用いることができる。本発明の細胞剥離方法は、細胞に損傷を与えることなく細胞を剥離することができるため、優れた細胞生存率が達成される。

0079

細胞剥離方法における温度変化は、培養可能な温度範囲内での温度変化であればよく、例えば、37℃から4℃、37℃から20℃、37℃から25℃への温度変化等であるが、これらに限定されない。細胞剥離方法におけるpH変化は、短期的には細胞に悪影響を与えない範囲内でのpH変化であればよく、例えば、pH7.4からpH6.5、pH7.4からpH7.0、pH7.4からpH8.0へのpH変化等であるが、これらに限定されない。細胞剥離方法における塩濃度変化は、短期的には細胞に悪影響を与えない範囲内での塩濃度変化のことである。この塩濃度は、溶液全体の塩濃度でもよいし、特定の物質の塩濃度でもよく、例えば、培地からPBS緩衝液への変化、培地からHEPES緩衝液への変化、培地から別の培地への変化等であるが、これらに限定されない。ただし、これらの際に細胞への損傷を防ぐ観点から、浸透圧は大きく変えないことが望ましい。

0080

以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。

0081

本発明の刺激応答性ポリマーを調製した。以下のポリマー調製において記載したモル当量仕込み時のモル当量であり、また、部位Xに対応する原料に対する各原料のモル当量である。また、原料中の官能基は必要に応じて保護したものを用い、この場合、重合後に脱保護を実施した後に精製した。

0082

<ポリマー1−1〜1−4の調製>
部位Xに対応する両末端にエポキシ基を有する原料と、部位Yに対応する2つ以上の求核部位を有する原料を重合に用いて式(1−1)で表されるポリマー1−1〜1−4を調製した。

0083

ポリマー1−1は、PEG2000−ジグリシジルエーテルと1,4−ブタンジアミン(1.2モル当量)の水−エタノール(1:1)溶液を60℃で2時間加熱することで重合させた。得られたポリマーを再沈または透析(MWCO1000)により精製し、凍結乾燥によって粉末化してポリマー1−1を得た。ポリマー1−1の数平均分子量は約40000であった。

0084

ポリマー1−2は、PPG640−ジグリシジルエーテルおよびエチレンジアミン(1.2モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー1−2の数平均分子量は約30000であった。ポリマー1−2はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で下限溶解臨界温度を示すことが確認された。

0085

ポリマー1−3は、PBG400−ジグリシジルエーテルおよびエチレンジアミン(1.4モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー1−3の数平均分子量は約20000であった。

0086

ポリマー1−4は、rand−PEG/PPG1000−ジグリシジルエーテルおよびリジン(1.4モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー1−4の数平均分子量は約10000であった。

0087

表1にポリマー1−1〜1−4の構造を示す。



(式中、aは1〜1000であり、bは1〜500であり、cは1〜400であり、dは1〜500であり、eは1〜500である。)

0088

<ポリマー2−1〜2−7の調製>
部位Xに対応する両末端にエポキシ基を有する原料と、部位Yまたは部位Y’に対応する2つ以上の求核部位を有する原料を重合に用いて式(1−2)で表されるポリマー2−1〜2−7を調製した。

0089

ポリマー2−1は、PEG2000−ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジアミン(0.8モル当量)およびシステイン(0.8モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−1の数平均分子量は約40000であった。

0090

ポリマー2−2は、PPG640−ジグリシジルエーテル、エチレンジアミン(1.2モル当量)およびリジン(0.4モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−2はDMEM中で下限溶解臨界温度を示すことが確認された。図1に、ポリマー2−2の水溶液中での温度応答性を温度可変光透過度測定により測定した結果を示す。図1より、ポリマー2−2は水溶液中で下限臨界溶解温度を示すことが確認された。ポリマー2−2の数平均分子量は約30000であった。図2にポリマー2−2の分子量分布を示す。

0091

ポリマー2−3は、PPG640−ジグリシジルエーテル、エチレンジアミン(1.25モル当量)および4,4’−ジアミノアゾベンゼン(0.25モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−3の数平均分子量は約20000であった。ポリマー2−3はDMEM中で下限溶解臨界温度を示すことが確認された。

0092

ポリマー2−4は、rand−PEG/PPG1000−ジグリシジルエーテル、エチレンジアミン(1.2モル当量)およびリジン(0.4モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−4の数平均分子量は約40000であった。

0093

ポリマー2−5は、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、システイン(1.5モル当量)およびω,ω’−ジチオール−PNIPAM(0.3モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−5の数平均分子量は約50000であった。ポリマー2−5はDMEM中で下限溶解臨界温度を示すことが確認された。

0094

ポリマー2−6は、PEG2000−ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジアミン(1.6モル当量)およびε−ポリリジン(0.16モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−6の数平均分子量は約100000であった。

0095

ポリマー2−7は、PPG640−ジグリシジルエーテル、エチレンジアミン(1.6モル当量)およびゼラチン(0.16モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー2−7の数平均分子量は約100000であった。ポリマー2−7はDMEM中で下限溶解臨界温度を示すことが確認された。

0096

表2にポリマー2−1〜2−7の構造を示す。表2中、[Y]:[Y’]は合成時の仕込みモル比を示す。



(式中、aは1〜1000であり、bは1〜500であり、cは1〜400であり、dは1〜500であり、eは1〜500である。)

0097

<ポリマー3−1〜3−4の調製>
部位Xまたは部位X’に対応する両末端にエポキシ基を有する原料と、部位Yに対応する2つ以上の求核部位を有する原料を重合に用いて式(1−3)で表されるポリマー3−1〜3−4を調製した。

0098

ポリマー3−1は、PEG2000−ジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル(0.5モル当量)およびシステイン(1.5モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー3−1の数平均分子量は約40000であった。

0099

ポリマー3−2は、PEG2000−ジグリシジルエーテル、オクタフルオロデカンビスオキシド(0.05モル当量)および1,4−ブタンジアミン(1.5モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー3−2の数平均分子量は約40000であった。

0100

ポリマー3−3は、PEG2000−ジグリシジルエーテル、PBG1000−ジグリシジルエーテル(2モル当量)およびエチレンジアミン(4.8モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー3−3の数平均分子量は約40000であった。

0101

ポリマー3−4は、PPG640−ジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル(0.33モル当量)およびエチレンジアミン(2モル当量)から、ポリマー1−1と同様にして調製した。ポリマー3−4の数平均分子量は約30000であった。

0102

表3にポリマー3−1〜3−4の構造を示す。表3中、[X]:[X’]は合成時の仕込みモル比を示す。



(式中、aは1〜1000であり、bは1〜500であり、cは1〜400である。)

0103

<ポリマー4−1〜4−4の調製>
部位Xまたは場合によってX’に対応する両末端にカルボン酸を有する原料と、部位Yまたは場合によってY’に対応する両末端にアミンを有する原料を用いて、脱水縮合反応による重合によって、前記の式(1−1)、式(1−2)または式(1−3)で表されるポリマーを調製した。

0104

ω,ω’−ジカルボキシルPEG1000およびスペルミジン(1.5モル当量)を水−エタノール(1:1)溶媒中で1.2当量の縮合剤DMT−MMと撹拌することで重合を実施しポリマーを得た。得られたポリマーを再沈または透析(MWCO1000)により精製し、凍結乾燥によって粉末化してポリマー4−1を得た。ポリマー4−1の数平均分子量は約20000であった。

0105

ポリマー4−2は、3,5−ジチアオクタン−1,8−ジカルボン酸、スペルミジン(1.5モル当量)および1,4−ブタンジアミン(0.3モル当量)から、ポリマー4−1と同様にして調製した。ポリマー4−2の数平均分子量は約5000であった。

0106

ポリマー4−3は、ω,ω’−ジカルボキシルPEG1000、ω,ω’−ジカルボキシルPPG640(2モル当量)およびカルボキシル基が保護されたリジン(4.8モル当量)から、ポリマー4−1と同様にして調製した。ポリマー4−3の数平均分子量は約10000であった。

0107

ポリマー4−4は、ω,ω’−ジアミノPPG640およびアミノ基が保護されたグルタミン酸(1.5モル当量)から、ポリマー4−1と同様にして調製した。ポリマー4−4の数平均分子量は約10000であった。

0108

表4にポリマー4−1〜4−4の構造を示す。表4中、[X]:[X’]および[Y]:[Y’]は合成時の仕込みモル比を示す。

0109

<ポリマー5−1〜5−4の調製>
脱水縮合反応またはラジカル付加反応を重合に用い、式(2−1)で表されるポリマーを調製した。

0110

ブトキシエトキシ酢酸とε−ポリリジンを水中で1.2当量のDMT−MMと撹拌することで、ε−ポリリジンの側鎖にブトキシエトキシ酢酸アミド部分を導入した。得られたポリマーを再沈または透析により精製し、凍結乾燥によって粉末化してポリマー5−1を得た。ポリマー5−1の数平均分子量は約6000であった。

0111

N,N−ビス(エトキシエチル)アミンとポリ−γ−グルタミン酸を水中で1.2当量のDMT−MMと撹拌することで、ポリ−γ−グルタミン酸の側鎖にN,N−ビス(エトキシエチル)アミド部分を導入した。得られたポリマーを再沈または透析により精製し、凍結乾燥によって粉末化してポリマー5−2を得た。ポリマー5−2の数平均分子量は約10000であった。

0112

末端にそれぞれカルボン酸基とアミン基を有するPPG640誘導体およびヒスチジンを水−エタノール(1:1)溶媒中で1.2当量のDMT−MMと撹拌することで重合を実施した。得られたポリマーを再沈または透析により精製し、凍結乾燥によって粉末化してポリマー5−3を得た。ポリマー5−3の数平均分子量は約20000であった。

0113

炭素炭素二重結合を有する2種類のモノマー、ビニルジエチレングリコール)エーテルおよびスチレンボロン酸AIBN(0.01当量)の混合物をアセトン中で60℃に加熱することで重合を実施した。得られたポリマーを再沈または透析(MWCO1000)により精製し、凍結乾燥によって粉末化してポリマー5−4を得た。ポリマー5−4の数平均分子量は約5000であった。

0114

表5にポリマー5−1〜5−4の構造を示す。表5中、[X]:[Y]は合成時の仕込みモル比を示している。

0115

<培養容器の作製>
実施例1〜7の培養容器
前記で得られたポリマーの代表例について、ポリマーを培養容器表面に導入して、該ポリマーを表面に備える培養容器を作製した。

0116

表面官能基としてカルボン酸基を有するポリスチレン製ウェルディッシュに、1重量%のEDC・HCl溶液(pH5.8)を40℃で2時間作用させた。その後、6ウェルディッシュをpH5.8緩衝溶液洗浄し、0.1重量%の1級または2級アミン基を有するポリマー(ポリマー1−1、2−2、3−3、4−4)の溶液(pH5.8)を40℃で12時間作用させた。その後、6ウェルディッシュをpH7.4のPBSで洗浄した後に純水で洗浄し、乾燥し、紫外線滅菌して実施例1〜4の培養容器をそれぞれ作製した。

0117

また、表面官能基としてアミン基を有するポリスチレン製6ウェルディッシュに、カルボン酸基を有するポリマー(ポリマー1−4、2−4、5−2)を0.1重量%とDMT−MMを1重量%含むpH5.8緩衝溶液を40℃で2時間作用させた。その後、6ウェルディッシュをpH7.4のPBSで洗浄した後に純水で洗浄し、乾燥し、紫外線滅菌して実施例5〜7の培養容器を作製した。

0118

比較例1〜9の培養容器
比較例1〜5の培養容器は、温度応答性を示す部位Xを含まないポリマーとして、ε−ポリリジン、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリビニルアミンアミン末端ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)またはゼラチン(それぞれポリマー6−1、6−2、6−3、6−4または6−5とする)を実施例1〜4の培養容器と同様にして培養容器表面へ導入して作製した。

0119

比較例6および7の培養容器は、温度変化以外の刺激に対して応答性を示す部位Yを含まない化合物として、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール(それぞれポリマー6−6または6−7とする)を、前記の実施例の培養容器と同様にして培養容器表面へ導入して作製した。

0120

表6にポリマー6−1〜6−7の化合物名または構造を示す。

0121

比較例8の培養容器として、表面にポリマー修飾がされていない、表面官能基としてカルボン酸基を有する無処理の培養容器(実施例1〜4および比較例1〜5で用いた培養容器)を用いた。また、比較例9の培養容器として、表面にポリマー修飾がされていない、表面官能基としてアミン基を有する無処理の培養容器(実施例5〜7で用いた培養容器)を用いた。

0122

<培養・剥離試験
実施例1〜7の培養容器および比較例1〜9の培養容器を用いて細胞の培養および剥離試験を実施した。

0123

細胞の培養および剥離試験は以下のようにして行った:
一般的なプロトコルにて培養容器表面をラミニンコートし、iPS細胞を培養容器に播種し、CO2インキュベータ中で7日間培養した。培地等は一般的なフィーダーレス用の条件に従った。その後、培養容器をCO2インキュベータから取り出し、培地を所定の剥離液と交換し、室温で静置した。一定時間の後に、培養容器内を軽くピペッティングすることで撹拌したところ、細胞が剥離した。剥離しなかった細胞は酵素処理にて完全に剥離し計数し、刺激応答にて剥離した細胞数と足し合わせることで全細胞数とし、剥離率(全細胞数に対する刺激応答にて剥離した細胞数の比率)の計算に用いた。結果を表7に示す。また、図3に、実施例の培養容器の1つについて、細胞剥離試験の経過を写真で示す(培養時→剥離液(PBS)添加5分後→ピペッティング後)。なお、培養容器1〜7にて培養したiPS細胞の未分化状態をALP染色にて確認したところ、コロニー全てが青色に染色され、目視未分化率は少なくとも90%以上であることが確認された。

0124

表7より、実施例1〜7の培養容器では、いずれも剥離された細胞の生存率は85%以上であった。一方、比較例1〜9の培養容器では、いずれも剥離された細胞の生存率は非常に低かった。本発明のポリマーを用いた培養容器では、剥離された細胞の生存率が顕著に向上し、本発明のポリマーが細胞培養方法および細胞剥離方法において非常に有用であることがわかった。

0125

細胞毒性評価>
ポリマー2−2の細胞毒性を評価するため、一般的なプロトコルにてiPS細胞を培養する際に培地にポリマーを添加する検討を実施した(実施例8)。培養容器表面からポリマーが全てリーチングすると、培地中のポリマー濃度は最大でも1μg/well程度であると考えられる。そこで本評価では、ポリマー2−2を推定最大値の2倍である2μg/wellの濃度で培地に添加した状態で培養を実施した。その結果、ポリマーを含まない通常の培地では、6日目に増殖率68倍、生存率91%であったのに対し、ポリマーを2μg/wellで添加した培地では、6日目に増殖率63倍、生存率95%であり、通常の培地と同等の結果であった。このことから、培養容器に固定化する用途において本発明のポリマーに由来する細胞毒性はないことがわかった。

0126

ポリマー固定化条件およびラミニン処理条件の検討>
ポリマー2−2において、ポリマー固定化とラミニン処理条件のロバスト性に関して検討した(実施例9)。

実施例

0127

EDC・HCl活性化後の6ウェルディッシュに加えるポリマーの濃度を0.1〜0.01重量%の範囲で、ラミニン添加条件通常濃度〜通常濃度の1/10の範囲で変更し、iPS細胞を用いて実施例2と同様の検討を実施した。その結果、検討した範囲内では、細胞の増殖率、刺激応答による細胞の剥離率、生存率、はほぼ同等であり、ロバスト性が確認された。

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