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図面 (17)

課題

これまでのパーソナルモビリティは、ホイールベース長を調整できるなど前進については工夫が施されてきたが、後進についてはほとんど考慮されていなかった。

解決手段

前輪および後輪の少なくともいずれかを駆動する駆動部と、基準位置より一方側の第1範囲と、基準位置より一方側とは反対の他方側の第2範囲とで変位可能な操作部材と、ユーザが操作部材を第1範囲で基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、前輪と後輪のホイールベース長が長くなるように調整する調整機構と、ユーザが第1範囲で操作部材を操作する場合に、ホイールベース長が長くなるほど大きくなるように対応付けられた前進目標速度に基づいて前進するように駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、ユーザが操作部材を第2範囲で操作する場合に、後進するように駆動部を制御する走行装置を提供する。

概要

背景

近年、パーソナルモビリティ脚光を浴びている。パーソナルモビリティは、小回りを優先させて小型に製造されることが多く、そのために高速走行時の安定性には欠けるという課題があった。パーソナルモビリティに限らず、高速走行時の安定性を高める観点から、ホイールベース長を調整できる車輌が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。

概要

これまでのパーソナルモビリティは、ホイールベース長を調整できるなど前進については工夫が施されてきたが、後進についてはほとんど考慮されていなかった。前輪および後輪の少なくともいずれかを駆動する駆動部と、基準位置より一方側の第1範囲と、基準位置より一方側とは反対の他方側の第2範囲とで変位可能な操作部材と、ユーザが操作部材を第1範囲で基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、前輪と後輪のホイールベース長が長くなるように調整する調整機構と、ユーザが第1範囲で操作部材を操作する場合に、ホイールベース長が長くなるほど大きくなるように対応付けられた前進目標速度に基づいて前進するように駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、ユーザが操作部材を第2範囲で操作する場合に、後進するように駆動部を制御する走行装置を提供する。

目的

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、直感的なユーザインタフェースで前進させることも後進させることもでき、低速走行時の小回りの良さと高速走行時の安定性を両立する走行装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

走行方向に対して少なくとも前輪後輪を有し、ユーザが搭乗して走行する走行装置であって、前記前輪および前記後輪の少なくともいずれかを駆動する駆動部と、基準位置より一方側の第1範囲と、前記基準位置より前記一方側とは反対の他方側の第2範囲とで変位可能な操作部材と、前記ユーザが前記操作部材を前記第1範囲で前記基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、前記前輪と前記後輪のホイールベース長が長くなるように調整する調整機構と、前記ユーザが前記第1範囲で前記操作部材を操作する場合に、前記ホイールベース長が長くなるほど大きくなるように対応付けられた前進目標速度に基づいて前進するように前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ユーザが前記操作部材を前記第2範囲で操作する場合に、後進するように前記駆動部を制御する走行装置。

請求項2

前記調整機構は、前記ユーザが前記操作部材を前記第2範囲で前記基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、前記前輪と前記後輪のホイールベース長が短くなるように調整し、前記制御部は、前記ユーザが前記第2範囲で前記操作部材を操作する場合には、前記ホイールベース長が短くなるほど大きくなるように対応付けられた目標速度に基づいて後進するように前記駆動部を制御する請求項1に記載の走行装置。

請求項3

前記調整機構は、前記ユーザが前記操作部材を前記第2範囲で前記基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、前記前輪と前記後輪のホイールベース長が短くなるように調整し、前記制御部は、前記ユーザが前記第2範囲で前記操作部材を操作する場合には、前記ホイールベース長に関わらず予め定められた速度で後進するように前記駆動部を制御する請求項1に記載の走行装置。

請求項4

前記ユーザが前記操作部材を前記第1範囲または前記第2範囲で変位させる操作をしない場合に、前記ホイールベース長を前記基準位置に対応する基準長復帰させる復帰機構を備える請求項2または3に記載の走行装置。

請求項5

非使用時において前記ホイールベース長を前記基準長よりも短い長さに保つための繋止機構を備える請求項4に記載の走行装置。

請求項6

前記調整機構は、前記ユーザが前記操作部材を前記第2範囲で変位させる場合には、前記基準位置に対応するホイールベース長を維持し、前記制御部は、前記ユーザが前記第2範囲で前記操作部材を操作する場合には、前記操作部材が前記基準位置から大きく操作されるほど大きくなるように対応付けられた目標速度に基づいて後進するように前記駆動部を制御する請求項1に記載の走行装置。

請求項7

前記調整機構は、前記ユーザが前記操作部材を前記第2範囲で変位させる場合には、前記基準位置に対応するホイールベース長を維持し、前記制御部は、前記ユーザが前記第2範囲で前記操作部材を操作する場合には、予め定められた速度で後進するように前記駆動部を制御する請求項1に記載の走行装置。

請求項8

前記調整機構は、前記操作部材を操作する前記ユーザの操作力により、前記前輪を支持する前輪支持部材と前記後輪を支持する後輪支持部材の相対位置を変化させて、前記ホイールベース長を調整する請求項1から7のいずれか1項に記載の走行装置。

請求項9

前記ユーザが前記操作部材を前記基準位置から前記第2範囲へ変位させる操作に、前記ユーザの操作感として抵抗感を生じさせる抵抗機構を備える請求項1から8のいずれか1項に記載の走行装置。

請求項10

前記制御部は、前記操作部材が前記第1範囲から前記第2範囲に変位された場合に、前記前輪および前記後輪の少なくともいずれかが停止した後に、後進するように前記駆動部を駆動する請求項1から9のいずれか1項に記載の走行装置。

技術分野

0001

本発明は、ユーザが搭乗して走行する走行装置に関する。

背景技術

0002

近年、パーソナルモビリティ脚光を浴びている。パーソナルモビリティは、小回りを優先させて小型に製造されることが多く、そのために高速走行時の安定性には欠けるという課題があった。パーソナルモビリティに限らず、高速走行時の安定性を高める観点から、ホイールベース長を調整できる車輌が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。

先行技術

0003

特開平1−106717号公報
特開2005−231415号公報

発明が解決しようとする課題

0004

これまでのパーソナルモビリティは、ホイールベース長を調整できるなど前進については工夫が施されてきたが、後進についてはほとんど考慮されていなかった。考慮されていたとしても、後進の操作系は前進の操作系と独立したものが設けられており、ユーザが運転操作直感的に体得できるものではなかった。

0005

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、直感的なユーザインタフェースで前進させることも後進させることもでき、低速走行時の小回りの良さと高速走行時の安定性を両立する走行装置を提供するものである。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一態様における走行装置は、走行方向に対して少なくとも前輪後輪を有し、ユーザが搭乗して走行する走行装置であって、前輪および後輪の少なくともいずれかを駆動する駆動部と、基準位置より一方側の第1範囲と、基準位置より一方側とは反対の他方側の第2範囲とで変位可能な操作部材と、ユーザが操作部材を第1範囲で基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、前輪と後輪のホイールベース長が長くなるように調整する調整機構と、ユーザが第1範囲で操作部材を操作する場合に、ホイールベース長が長くなるほど大きくなるように対応付けられた前進目標速度に基づいて前進するように駆動部を制御する制御部とを備え、制御部は、ユーザが操作部材を第2範囲で操作する場合に、後進するように駆動部を制御する。

0007

このような構成により、操作部材を基準位置より一方向へ操作すればその操作量に応じて速度が増すように前進し、同じ操作部材を基準位置より反対方向へ操作すれば後進するという、直感的なユーザインタフェースを実現することができる。また、少なくとも前進操作は直接的にホイールベース長の調整と直結しており、低速時の小回りの良さと高速時の安定性を簡易な運転操作により実現できる。

発明の効果

0008

本発明により、直感的なユーザインタフェースで前進させることも後進させることもでき、低速走行時の小回りの良さと高速走行時の安定性を両立する走行装置を提供できる。

図面の簡単な説明

0009

第1の実施例に係る走行装置の低速走行時における側面概観図である。
走行装置の上面概観図である。
走行装置の高速走行時における側面概観図である。
走行装置の基準状態を説明する図である。
走行装置の状態と制御の変化を説明する図である。
走行装置の制御ブロック図である。
回転角と目標速度の関係を示すグラフである。
他の例の回転角と目標速度の関係を示すグラフである。
更に他の例の回転角と目標速度の関係を示すテーブルである。
走行中の処理を示すフロー図である。
走行装置の第1のオプションについて説明する図である。
走行装置の第2のオプションについて説明する図である。
第2の実施例に係る走行装置の基準状態を説明する図である。
走行装置の状態と制御の変化を説明する図である。
回転角および傾倒角と目標速度の関係を示すグラフである。
他の例の回転角および傾倒角と目標速度の関係を示すグラフである。

実施例

0010

以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。

0011

第1の実施例について説明する。図1は、第1の実施例に係る走行装置100の低速走行時における側面概観図であり、図2は、図1の状態における走行装置100を上方から観察した上面概観図である。なお、図2では、図1において点線で示すユーザ900を省いている。

0012

走行装置100は、パーソナルモビリティの一種であり、ユーザが立って搭乗することを想定した電動式移動用車輌である。走行装置100は、走行方向に対して1つの前輪101と2つの後輪102(右側後輪102a、左側後輪102b)を備える。前輪101は、ユーザ900がハンドル115を操作することで向きが変わり、操舵輪として機能する。右側後輪102aと左側後輪102bは、車軸103で連結されており、不図示のモータ減速機構によって駆動されて、駆動輪として機能する。走行装置100は、3つの車輪によって3点で接地しており、ユーザ900が搭乗していない駐機状態でも自立する、静的安定車輌である。

0013

前輪101は、前輪支持部材110により回転可能に支持されている。前輪支持部材110は、前側支柱111とフォーク112を含む。フォーク112は、前側支柱111の一端側に固定されており、前輪101を両側方から挟んで回転自在に軸支している。前側支柱111の他端側には、ハンドル115が前輪101の回転軸方向に延伸するように固定されている。ユーザ900がハンドル115を旋回操作すると、前側支柱111は、その操作力を伝達して前輪101の向きを変える。

0014

後輪102は、後輪支持部材120により回転可能に支持されている。後輪支持部材120は、後側支柱121と本体部122を含む。本体部122は、後側支柱121の一端側を固定支持すると共に、車軸103を介して右側後輪102aと左側後輪102bを回転自在に軸支している。本体部122は、上述のモータと減速機構、モータに給電するバッテリ等を収容する筐体の機能も担う。本体部122の上面にはユーザ900が足を置くためのステップ141が設けられている。

0015

前輪支持部材110と後輪支持部材120とは、旋回継手131とヒンジ継手132を介して連結されている。旋回継手131は、前輪支持部材110を構成する前側支柱111のうち、ハンドル115が固定された他端寄りの位置に固定されている。さらに、旋回継手131は、ヒンジ継手132に枢設されており、前側支柱111の伸延方向と平行な旋回軸TA周りに、ヒンジ継手132と相対的に回動する。ヒンジ継手132は、後輪支持部材120を構成する後側支柱121のうち、本体部122に支持された一端とは反対側の他端と枢設されており、車軸103の伸延方向と平行なヒンジ軸HA周りに、後側支柱121と相対的に回動する。

0016

このような構造により、ユーザ900は、ハンドル115を旋回させると、後輪支持部材120に対して旋回軸TA周りに前輪支持部材110が旋回して前輪101の向きを変えられる。また、ユーザ900は、ハンドル115を走行方向に対して前方へ傾けると、その動作が伝達することにより、前輪支持部材110と後輪支持部材120とがヒンジ軸HA周りに相対的に回転して、前側支柱111と後側支柱121の成す角を小さくできる。前側支柱111と後側支柱121の成す角が小さくなると、前輪101と後輪102のホイールベース(WB)の間隔であるWB長は短くなる。逆に、ユーザ900は、ハンドル115を走行方向に対して後方へ傾けると、前輪支持部材110と後輪支持部材120とがヒンジ軸HA周りに相対的に回転して、前側支柱111と後側支柱121の成す角を大きくできる。前側支柱111と後側支柱121の成す角が大きくなると、WB長は長くなる。すなわち、ユーザ900は、自身の動作を回転力として作用させることにより、WB長を短くしたり長くしたりできる。

0017

ヒンジ継手132の近傍には、付勢バネ133が取り付けられている。付勢バネ133は、例えば、トーションバネである。付勢バネ133の付勢力は、ヒンジ軸HA周りに作用し、ユーザ900がハンドル115に触れない場合に前側支柱111と後側支柱121の成す角が後述する基準回転角になるように変化させる。一方で、ユーザ900がハンドル115を走行方向に対して容易に傾けられる程度に設定されている。したがって、ユーザ900は、ハンドル115への加重およびステップ141への加重の少なくともいずれかを変化させることにより、前側支柱111と後側支柱121の成す角を調整でき、ひいてはWB長を調整できる。すなわち、このようなヒンジ継手132を介して前側支柱111と後側支柱121を接続する機構は、ユーザ900がWB長を調整する調整機構として機能する。

0018

ヒンジ継手132の近傍には、回転角センサ134が取り付けられている。回転角センサ134は、ヒンジ軸HA周りに前側支柱111と後側支柱121の成す角を出力する。すなわち、回転角センサ134は、前輪支持部材110と後輪支持部材120の相対位置を計測する計測部として機能する。回転角センサ134は、例えば、ロータリエンコーダである。回転角センサ134の出力は、後述する制御部へ送信される。

0019

走行装置100は、前進する走行時において、WB長が短ければ低速で走行し、WB長が長ければ高速で走行する。図1は、WB長が短い低速走行時の様子を示している。図3は、図1と同様の走行装置100の側面概観図であるが、WB長が長い高速走行時の様子を示している。

0020

図示するように、前側支柱111と後側支柱121の成す角を、相対的に開く方向を正として、回転角θとする。走行装置100のWB長は、回転角θと一対一に対応し、WB長=f(θ)の関数により換算できる。したがって、回転角θを変化させることによりWB長を調整できる。本実施例における走行装置100は、ユーザ900が回転角θを変化させることにより前進または後進し、さらに、その回転角θに対応付けられた目標速度に追従するように加減速する。

0021

図4は、走行装置100の基準状態を説明する図である。走行装置100の基準状態は、回転角θが基準回転角θRPとなる状態である。回転角θが取り得る最小値(最小角)をθMIN、最大値(最大角)をθMAXとすると、θRPは、θMIN<θRP<θMAXを満たすように設定される。例えばθMIN=20度でありθMAX=70度である。基準回転角θRPに対応するWB長は基準ホイールベース長WBRPである。

0022

上述のように、ハンドル115は、調整機構を動作させてWB長を変化させるための操作部材として機能する。基準ホイールベース長WBRPとなるとき(すなわち、基準回転角θRPとなるとき)のハンドル115の位置を基準位置とすると、ユーザ900は、ハンドル115を基準位置から前方にも後方にも傾けられる。ユーザ900がハンドル115を基準位置から後方(すなわち、ユーザ900が搭乗する側)へ傾けると、回転角θは大きくなり、WB長は長くなる。基準位置から後方側の操作範囲を第1範囲と定める。ユーザ900は、第1範囲でハンドル115を操作すると、回転角をθRPからθMAXまで変化させることができる。ユーザ900がハンドル115を基準位置から前方へ傾けると、回転角θは小さくなり、WB長は短くなる。基準位置から前方側の操作範囲を第2範囲と定める。ユーザ900は、第2範囲でハンドル115を操作すると、回転角をθRPからθMAXまで変化させることができる。

0023

なお、上述の付勢バネ133の付勢力は、第1範囲でハンドル115が操作されている場合には、WB長を縮めるように作用し、第2範囲でハンドル115が操作されている場合には、WB長を伸ばすように作用する。すなわち、付勢バネ133は、基準状態が中立点となるように設置されている。

0024

図5は、走行装置100の状態と制御の変化を説明する図である。中央の走行装置100は基準状態を表し、左側の走行装置100はWB長が最短となるWBMINの状態を表し、右側の走行装置100はWB長が最長となるWBMAXの状態を表している。

0025

本実施例における走行装置100は、ユーザ900がハンドル115を基準位置より後倒させて第1範囲で操作する場合は前進し、ユーザ900がハンドル115を基準位置より前倒させて第2範囲で操作する場合は後進する。そして、基準状態である場合に停止する。すなわち、後述する制御部は、回転角センサ134の出力を参照して、回転角θがθRPからθMAXの範囲にある場合は前進制御を行い、回転角θがθMINからθRPの範囲にある場合は後進制御を行い、回転角θがθRPである場合には、走行装置100を停止させる制御を行う。制御部が実行する具体的な前進制御、後進制御および停止制御については後述する。

0026

なお、基準回転角θRPは、最小角θMINから最大角θRPの範囲を二分する角度よりも、最小角θMIN寄りに設定することが好ましい。すなわち、ハンドル115を第1範囲で操作できる操作量を、第2範囲で操作できる操作量よりも大きくすると良い。第1範囲で操作できる操作量を大きくすることで、WB長に対する前進制御の幅を拡充することができる。

0027

図6は、走行装置100の制御ブロック図である。制御部200は、例えばCPUであり、本体部122に収容されている。駆動輪ユニット210は、駆動輪である後輪102を駆動するための駆動回路やモータを含み、本体部122に収容されている。制御部200は、駆動輪ユニット210へ駆動信号を送ることにより、後輪102の回転制御を実行する。制御部200が駆動輪ユニット210へモータを正転させる駆動信号を送信すれば、走行装置100は前進し、逆転させる駆動信号を送信すれば、走行装置100は後進する。

0028

車速センサ220は、後輪102または車軸103の回転量を監視して、走行装置100の速度を検出する。車速センサ220は、制御部200の要求に応じて、検出結果を速度信号として制御部200へ送信する。回転角センサ134は、上述のように、回転角θを検出する。回転角センサ134は、制御部200の要求に応じて、検出結果を回転角信号として制御部200へ送信する。

0029

荷重センサ240は、ステップ141へ加えられる荷重を検出する、例えば圧電フィルムであり、ステップ141に埋め込まれている。荷重センサ240は、制御部200の要求に応じて、検出結果を荷重信号として制御部200へ送信する。

0030

メモリ250は、不揮発性記憶媒体であり、例えばソリッドステートドライブが用いられる。メモリ250は、走行装置100を制御するための制御プログラムの他にも、制御に用いられる様々なパラメータ値、関数、ルックアップテーブル等を記憶している。メモリ250は、回転角θを目標速度に変換する変換テーブル251を記憶している。

0031

図7は、回転角θを目標速度に変換する変換テーブル251の一例としての、回転角θと目標速度の関係を示すグラフである。横軸は、回転角θ(度)であり、縦軸は、目標速度(km/h)である。図示するように、目標速度は回転角θの関数として表されている。なお、目標速度は、前進する場合も後進する場合も、単位時間あたりの移動距離として、正の値で表す。

0032

上述のように、制御部200は、回転角θがθMINからθRPの範囲にある場合は後進制御を行う。この範囲における目標速度は、回転角θがθMIN(度)のときにVBM(km/h)であり、θRP(度)のときに0(km/h)となる一次関数で表される。例えば、ユーザ900がハンドル115を基準位置から徐々に前倒させると、走行装置100は、目標速度に追従するように後ろ向きに進む速度を上げる。

0033

制御部200は、回転角θがθRPからθMAXの範囲にある場合は前進制御を行う。この範囲における目標速度は、回転角θがθRP(度)のときに0(km/h)であり、θMAX(度)のときにVFM(km/h)となる一次関数で表される。例えば、ユーザ900がハンドル115を基準位置から徐々に後倒させると、走行装置100は、目標速度に追従するように前向きに進む速度を上げる。

0034

なお、図示するように、前進する場合の最高速度はVFM(km/h)であり、後進するときの最高速度はVBM(km/h)である。移動の効率や搭乗時の姿勢の安定性を考慮すると、図示するように、VFM>VBMであることが好ましい。

0035

このように回転角θと目標速度が関数で対応付けられる場合は、変換テーブル251を関数形式記述することができる。関数形式で記述された変換テーブル251は、メモリ250に記憶され、適宜参照される。

0036

以上のように回転角θと目標速度を対応付けると、走行方向に沿って傾けられるハンドル115の操作と走行装置100の走行が良好に相応し、運転操作として直感的なユーザインタフェースを実現することができる。ユーザ900がハンドル115を手前に倒せば倒すほど走行装置100は前進しながら加速し、逆にユーザ900がハンドル115を基準位置に戻せば走行装置100は徐々に減速して停止する。ユーザ900がハンドル115をさらに奥に倒せば、走行装置100は今度は後ろ向きに進み出し、より奥に倒せばその速度が増す。ユーザ900がハンドル115を戻せば走行装置100は減速する。このように、ユーザ900は、走行方向に沿って操作部材を操作する簡潔一貫した操作手順により、前進も、後進も、加速も、減速も、停止も連続的に指示することができる。

0037

図8は、他の例の回転角θと目標速度の関係を示すグラフである。図7と同様に横軸は、回転角θ(度)であり、縦軸は、目標速度(km/h)である。図8の例は、後進時に一定速度にする点において図7の例と異なる。

0038

具体的には、後進制御を行うθMINからθRPの範囲において、目標速度をVBM(km/h)の一定値に設定する。このように設定すると、ユーザ900がハンドル115を基準位置から徐々に前倒させても、走行装置100は、目標速度のVBMの到達した後はその速度を維持して後進する。

0039

ユーザ900が走行装置100を後進させるときには、後方を振り返ったりすることによりバランスを取りにくいことが多く、ハンドル115を不用意に前後させることもあり得る。しかし、このように後進時の速度を一定に保てば、ユーザ900は、意図せず後進速度増減させてしまうことがなく、バランスも取りやすい。

0040

図9は、回転角θを目標速度に変換する変換テーブル251の他の一例としての、回転角θと目標速度の関係を示すテーブルである。図9の例では、連続的に変化する回転角θを複数のグループ区分して、それぞれにひとつの目標速度を対応付ける。なお、目標速度は、前進する場合も後進する場合も、単位時間あたりの移動距離として、正の値で表す。

0041

本例においては、θMINからθMAXの範囲は6つのグループに区分されている。制御部200は、回転角θが、θMIN以上θ1未満のグループ、θ1以上θ2未満のグループのいずれかに含まれる場合に後進制御を行い、θRPを含むθ2以上θ3未満のグループに含まれる場合に停止制御を行い、θ3以上θ4未満のグループ、θ4以上θ5未満のグループ、θ5以上θMAX以下のグループのいずれかに含まれる場合に前進制御を行う。

0042

図示するように、回転角θが、θMIN以上θ1未満である場合に後進する目標速度として4.0(km/h)を対応付け、θ1以上θ2未満である場合に後進する目標速度として2.0(km/h)を対応付けている。また、θRPを含むθ2以上θ3未満である場合に目標速度として0(km/h)を対応付けている。また、θ3以上θ4未満である場合に前進する目標速度として5.0(km/h)を対応付け、θ4以上θ5未満である場合に前進する目標速度として10.0(km/h)を対応付け、θ5以上θMAX以下である場合に前進する目標速度として15.0(km/h)を対応付けている。

0043

このように回転角θと目標速度が区分されたグループごとに対応付けられる場合は、変換テーブル251をルックアップテーブル形式で記述することができる。ルックアップテーブル形式で記述された変換テーブル251は、メモリ250に記憶され、適宜参照される。このように目標速度を、ある程度幅を持たせた回転角θの区分に対応付けると、例えばユーザ900の体の揺れに影響されて小刻みに目標速度が変わるようなことがなくなり、滑らかな速度変化を期待できる。もちろん、範囲の境界ヒステリシスを持たせても良く、加速時と減速時で範囲の境界を異ならせれば、より滑らかな速度変化を期待できる。

0044

回転角θと目標速度の対応付けは、図7から図9の例に限らず、さまざまな対応付けが可能である。例えば、回転角θの変化量に対する目標速度の変化量を、低速領域においては小さく設定し、高速領域においては大きく設定するといったアレンジも可能である。また、本実施例では、回転角θがWB長と一対一に対応することから、媒介変数である回転角θを目標速度と対応付ける変換テーブル251を採用しているが、本来の趣旨通りに、WB長を目標速度と対応付ける変換テーブルを採用しても良い。この場合は、回転角センサ134から取得される回転角θを上述の関数を用いてWB長に換算してから、変換テーブルを参照すれば良い。

0045

以上説明したように、本実施例における走行装置100は、回転角θに対して目標速度が対応付けられており、ユーザ900の操作により回転角θが変化すると、それに応じた目標速度に到達するように加減速する。別言すれば、回転角θを媒介変数としてWB長と目標速度が対応付けられており、ユーザ900がWB長を調整すると、目標速度がそのWB長に応じて変化する構成となっている。

0046

ハンドル115が第1範囲で操作される前進走行においては、回転角θが小さくなるとWB長が短くなるので、小回りが利く。すなわち、狭い場所でも動き回ることができる。逆に回転角θが大きくなるとWB長が長くなるので、走行安定性、特に直進性が向上する。すなわち、高速で走行しても路面上の段差等による揺動を受けにくい。また、速度とWB長が連動して変化するので、低速なのにWB長が長いような状態になることが無く、その速度で必要最低限な投影面積で移動ができる。すなわち、走行装置100が移動するために必要な路面上の面積が小さく、余分なスペースを必要としない。ハンドル115が第2範囲で操作される後進走行においては、回転角θが小さくWB長が短い状態であるので、狭い場所でも切り返し操作などを行いやすい。

0047

次に、本実施例における、走行処理について説明する。図10は、走行中の処理を示すフロー図である。フローは、電源スイッチがオンにされ、荷重センサ240から荷重ありの信号を受け取った時点、すなわちユーザ900が搭乗した時点から開始する。

0048

制御部200は、ステップS101で、回転角センサ134から回転角信号を取得して現在の回転角θを算出する。そして、ステップS102で、算出した回転角θを、メモリ250から読み出した変換テーブル251に当てはめ、前進か後進かの走行方向と目標速度を設定する。

0049

制御部200は、走行方向と目標速度を設定したら、ステップS103へ進み、駆動輪ユニット210へ対して加減速の駆動信号を送信する。具体的には、まず車速センサ220から速度信号を受け取り、現在の走行方向と速度を確認する。そして、走行方向が同じ方向の場合には、目標速度が現在の速度より大きければ、加速する駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信し、目標速度が現在の速度より小さければ減速する駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信する。

0050

ハンドル115が第1範囲から第2範囲、あるいは第2範囲から第1範囲に変位されて走行方向が反転する場合には、制御部200は、一旦駆動信号の送信を停止し、車速センサ220から速度0の速度信号を受け取った後に、反転する走行方向に加速する駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信する。つまり、前輪および後輪の少なくともいずれかが停止した後に走行方向を反転させることにより、駆動系に負荷を与えることなく円滑に走行方向を反転させる。

0051

制御部200は、加減速中も回転角θが変化したか、つまり、ユーザ900がハンドル115を前後に傾けたかを監視する(ステップS104)。回転角θが変化したと判断したら、再度ステップS101からやり直す。変化していないと判断したらステップS105へ進む。なお、図9のような変換テーブルを採用している場合は、回転角θがひとつの範囲に留まる間は、変化していないと判断する。

0052

制御部200は、ステップS105で、車速センサ220から速度信号を受け取り、目標速度に到達したか否かを判断する。目標速度に到達していないと判断したら、ステップS103へ戻り、加減速を継続する。目標速度に到達したと判断したら、ステップS106へ進む。ステップS106では、目標速度が0であったか否かを確認する。目標速度が0であったなら、ステップS106の時点では走行装置100は停止していることになる。そうでなければ、目標速度により走行中であるので、制御部200は、その速度で走行を維持するように駆動信号を駆動輪ユニット210へ送信する(ステップS107)。

0053

制御部200は、ステップS107で定速走行している間も、回転角θが変化したか、つまり、ユーザ900がハンドル115を前後に傾けたかを監視する(ステップS108)。回転角θが変化したと判断したら、ステップS101へ戻る。変化していないと判断したら定速走行を続けるべく、ステップS107へ戻る。

0054

ステップS106で目標速度が0であったと確認したら、ステップS109へ進み、ユーザ900が降機したかを荷重センサ240から受信する荷重信号から判断する。ユーザ900が降機していない、つまり荷重があると判断したら、走行制御を継続すべくステップS101へ戻る。降機したと判断したら、一連の処理を終了する。

0055

次に、走行装置100に装備し得るいくつかのオプションについて説明する。図11は、走行装置100の第1のオプションについて説明する図である。走行装置100は、第1のオプションとして、非使用時においてWB長を基準ホイールベース長WBRPよりも短い長さに保つための繋止機構を備える。

0056

繋止機構は、繋止バー171と2つの突起172、173を含む。繋止バー171は、基端側に設けられ前側支柱111に回転自在に軸支される軸支部171aと、先端側に設けられ突起172、173に繋止されるフック171bを有する。

0057

突起172は前側支柱111に設けられている。走行装置100の使用時において繋止バー171が邪魔にならないように、フック171bを突起172に繋止して、繋止バー171を前側支柱111に固定する。突起173は後側支柱121に設けられている。走行装置100の非使用時において前側支柱111と後側支柱121が相対的に回転しないように、フック171bを突起173に繋止して、繋止バー171を前側支柱111と後側支柱121の間に懸架する。このような繋止機構により、走行装置100は、非使用時においてコンパクトに畳むことができ、持ち運びに便利である。

0058

図12は、走行装置100の第2のオプションについて説明する図である。走行装置100は、第2のオプションとして、ユーザ900がハンドル115を基準位置から第2範囲へ変位させる操作および基準位置から第1範囲へ変位させる操作に、ユーザ900の操作感として抵抗感を生じさせる抵抗機構を備える。抵抗機構は、ヒンジ軸HAの周辺に設けられる。

0059

図12(a)は、走行装置100のヒンジ軸HAの周辺を拡大した図であり、ハンドル115が第1範囲で操作されていときの抵抗機構の様子を示す。抵抗機構は、ヒンジ継手132に設けられた凹部132a、押圧球181、押圧バネ182、後側支柱121に設けられたガイド121aを含む。ガイド121aは、押圧球181と押圧バネ182が作用方向に沿って摺動するように案内する案内部材であるが、押圧球181と押圧バネ182の様子がわかるように、図では一部のみを示している。

0060

前側支柱111と後側支柱121とがヒンジ軸HA周りに相対的に回転する場合、ヒンジ継手132は、旋回継手131と共に前側支柱111と一体的に回転し、押圧球181および押圧バネ182は、後側支柱121と一体的に回転する。したがって、ハンドル115が第1範囲で操作されていときには、押圧球181は、押圧バネ182の作用によりヒンジ継手132の縁部側面に押しつけられ、旋回継手131が回転すると縁部側面上を相対的に摺動する。

0061

ハンドル115が第2範囲で操作されていときも、第1範囲で操作されているときと同様に、押圧球181は、押圧バネ182の作用によりヒンジ継手132の縁部側面に押しつけられ、旋回継手131が回転すると縁部側面上を相対的に摺動する。

0062

図12(b)も、図12(a)と同様に、走行装置100のヒンジ軸HAの周辺を拡大した図であり、ハンドル115が基準位置にあるときの抵抗機構の様子を示す。図示するように、ハンドル115が基準位置にあるとき、すなわち走行装置100が基準状態にあるときには、押圧球181が押圧バネ182に押されてヒンジ継手132の凹部132aに落ち込む。

0063

このような抵抗機構は、ハンドル115が操作されて押圧球181が凹部132aから縁部側面に乗り上げるときに押圧バネ182を圧縮するので、そのハンドル操作に対して抵抗を生じさせる。すなわち、走行装置100を基準状態に留める力が作用し、ハンドル115を基準位置から第2範囲へ変位させる操作および基準位置から第1範囲へ変位させる操作に対し、押圧バネ182を圧縮するだけの付加的な操作力を必要とする。換言すると、当該操作に対して、ユーザ900の操作感に抵抗感を生じさせる。

0064

このような作用により、ハンドル115が基準位置を跨いで不用意に操作されることが少なくなり、ユーザの意図に反して走行方向が逆転することを防ぐことが期待できる。なお、上記の抵抗機構は、ハンドル115を基準位置から第2範囲へ変位させる操作および基準位置から第1範囲へ変位させる操作に対して抵抗を与えたが、いずれかのみに抵抗を与える機構であっても良い。この場合、ユーザが意図せず走行装置100が後進することを防ぐべく、ハンドル115を基準位置から第2範囲へ変位させる操作に対して抵抗を与えることが好ましい。一方の操作に対して抵抗を与えないのであれば、対応する凹部132aの段差をなだらかにすれば良い。

0065

次に第2の実施例について説明する。図13は、第2の実施例に係る走行装置600の基準状態を説明する図である。走行装置600は、主に、第2範囲においてハンドル115が前側支柱111に対して傾倒する点で走行装置100と相違する。したがって、走行装置100と同様の機能を担う要素については、第1実施例における符番と同じ符番を付して、その説明を省略する。また、走行装置600の制御ブロックの構成や処理フローも、走行装置100のそれらとほぼ同様である。したがって、以下の説明においては、走行装置100との相違点について説明する。

0066

走行装置600は、ユーザ900がハンドル115を基準位置から前方(第2範囲)へ傾ける場合に、ハンドル115をヒンジ軸HAと平行な傾倒軸SA周りに傾倒させる傾倒機構630を備える。ハンドル115は、ハンドル支柱611の一端に固定されており、ハンドル支柱611の他端は、傾倒機構630に軸支されている。ユーザ900がハンドル115を基準位置から後方(第1範囲)へ傾ける場合には、傾倒機構630が備える不図示のロックが作用してハンドル支柱611と前側支柱111が一体化され、ハンドル支柱611は、前側支柱111と一体的にヒンジ軸HA周りに回転する。

0067

走行装置600においては、基準回転角θRPが最小角θMINであり、基準ホイールベース長WBRPが最短となるWBMINである。WB長は、ハンドル115の第1範囲の操作に対して調整される。調整機構は、第2範囲でハンドル115が操作されているときには、基準状態に対応するWBRP(=WBMIN)を維持する。

0068

第1範囲にあるハンドル115を徐々に前方に倒していくと、基準位置に到達するまでは、走行装置100と同様に、回転角θが徐々に小さくなってWB長が縮まる。そして、基準位置に到達すると、前側支柱111はヒンジ軸HA周りにそれ以上回転できなくなってハンドル支柱611と前側支柱111のロックが外れる。基準位置を超えると、WB長はWBMINのまま留まり、ハンドル支柱611が前側支柱111に対して傾倒軸SA周りに傾倒する。ハンドル支柱611の傾倒軸SA周りの傾倒角は、傾倒軸SA近傍に設置された傾倒角センサ634によって検出される。傾倒角センサ634は、例えば、ロータリエンコーダである。傾倒角センサ634の出力は、制御部200へ送信される。

0069

なお、傾倒機構630は、ハンドル支柱611を基準位置に戻すように付勢する付勢バネを備えている。したがって、ユーザ900は、ハンドル115を基準位置から第2範囲へ変位させる場合には、付勢バネの付勢力に抗して操作することになる。このような付勢バネの作用により、ユーザの意図に反して走行装置600が後進することを防ぐことが期待できる。

0070

図14は、走行装置600の状態と制御の変化を説明する図である。図5と同様の説明図であるが、走行装置600は、基準状態でWB長が最短となるので、基準状態からハンドルを前倒させても、回転角θはθRPのままであり、WB長はWBRPのままである。

0071

本実施例における走行装置600は、走行装置100と同様に、ユーザ900がハンドル115を基準位置より後倒させて第1範囲で操作する場合は前進し、ユーザ900がハンドル115を基準位置より前倒させて第2範囲で操作する場合は後進する。そして、基準状態である場合に停止する。ただし、走行装置600では、前進制御においては、回転角センサ134の出力を参照して回転角θに応じて前進する目標速度を決定し、後進制御においては、傾倒角センサ634の出力を参照して傾倒角γに応じて後進する目標速度を決定する。回転角θがθRPであって、傾倒角γが0(=ハンドル支柱611と前側支柱111が一体化されたときの角度)である場合には、走行装置100を停止させる制御を行う。制御部200が実行する具体的な前進制御、後進制御および停止制御については後述する。

0072

図15は、回転角θおよび傾倒角γと目標速度の関係を示すグラフである。図15(a)は、前進制御に用いる、回転角θと目標速度の関係を示すグラフであり、図15(b)は、後進制御に用いる、傾倒角γと目標速度の関係を示すグラフである。横軸は、回転角θ(度)または傾倒角γ(度)であり、縦軸は、目標速度(km/h)である。なお、目標速度は、前進する場合も後進する場合も、単位時間あたりの移動距離として、正の値で表す。

0073

制御部200は、回転角θがθRPからθMAXの範囲にある場合は前進制御を行う。この範囲における目標速度は、回転角θがθRP(度)のときに0(km/h)であり、θMAX(度)のときにVFM(km/h)となる一次関数で表される。例えば、ユーザ900がハンドル115を基準位置から徐々に後倒させると、走行装置600は、目標速度に追従するように前向きに進む速度を上げる。なお、前進制御時における傾倒角センサ634の出力は、γ=0である。

0074

制御部200は、傾倒角γが0からγMAXの範囲にある場合は後進制御を行う。この範囲における目標速度は、傾倒角γがγMAX(度)のときにVBM(km/h)であり、傾倒角γが0(度)のときに0(km/h)となる一次関数で表される。例えば、ユーザ900がハンドル115を基準位置から徐々に前倒させると、走行装置600は、目標速度に追従するように後ろ向きに進む速度を上げる。なお、後進制御時における回転角センサ134の出力は、θ=θRPである。

0075

以上のように回転角θおよび傾倒角γと目標速度を対応付けると、走行方向に沿って傾けられるハンドル115の操作と走行装置600の走行が良好に相応し、運転操作として直感的なユーザインタフェースを実現することができる。ユーザ900がハンドル115を手前に倒せば倒すほど走行装置600は前進しながら加速し、逆にユーザ900がハンドル115を基準位置に戻せば走行装置600は徐々に減速して停止する。ユーザ900がハンドル115をさらに奥に倒せば、走行装置600は今度は後ろ向きに進み出し、より奥に倒せばその速度が増す。ユーザ900がハンドル115を戻せば走行装置600は減速する。このように、ユーザ900は、走行方向に沿って操作部材を操作する簡潔で一貫した操作手順により、前進も、後進も、加速も、減速も、停止も連続的に指示することができる。

0076

図16は、他の例の回転角θおよび傾倒角γと目標速度の関係を示すグラフである。図15と同様に横軸は、回転角θ(度)または傾倒角γ(度)であり、縦軸は、目標速度(km/h)である。図16の例は、後進時に一定速度にする点において図7の例と異なる。

0077

具体的には、傾倒角γが0からγMAXの範囲において、目標速度をVBM(km/h)の一定値に設定する。このように設定すると、ユーザ900がハンドル115を基準位置から徐々に前倒させても、走行装置600は、目標速度のVBMの到達した後はその速度を維持して後進する。

0078

ユーザ900が走行装置600を後進させるときには、後方を振り返ったりすることによりバランスを取りにくいことが多く、ハンドル115を不用意に前後させることもあり得る。しかし、このように後進時の速度を一定に保てば、ユーザ900は、意図せず後進速度を増減させてしまうことがなく、バランスも取りやすい。

0079

走行装置600の走行処理は、図10を用いて説明した走行装置100の走行処理と概ね同様である。走行装置100の走行処理において回転角θに関する処理を、回転角θと傾倒角γに関する処理に置き換えれば良い。すなわち、制御部200は、回転角センサ134の出力を参照すると共に傾倒角センサ634の出力も参照し、ユーザ900がハンドル115を第1範囲で操作しているか第2範囲で操作しているかを判断して、それに応じた走行制御を実施すれば良い。

0080

また、図12を用いて説明したオプションは、走行装置600にも適用できる。ハンドル115を基準位置から第2範囲に変位させるときにユーザ900に抵抗感を生じさせるためには、抵抗機構を傾倒軸SAの周辺に設けると良い。また、抵抗機構は、押圧球を用いた機構に限らず、様々な機構を採用し得る。他の機構としては、例えば、板バネを利用したものが知られている。

0081

以上本実施形態を各実施例により説明したが、前輪、後輪は、車輪でなくても良く、球状輪、クローラなどの接地要素であっても構わない。また、駆動輪を駆動する動力源はモータに限らず、ガソリンエンジンなどであっても構わない。また、調整機構は、操作部材を操作するユーザの操作力を利用してホイールベース長を調整する機械的な機構に限らず、アクチュエータにより調整される機構であっても良い。なお、ユーザが操作する操作部材は、基準位置を有し、当該基準位置より一方側の第1範囲と、当該基準位置より他方側の第2範囲とで変位可能なものであれば、ハンドルでなくても良い。例えば、操舵のためのハンドルとは別に、レバーやスライドスイッチなどを設けても良い。この場合、ユーザが、操作部材を第1範囲で基準位置から遠ざかる方向へ変位させると、調整機構がホイールベース長を長くすると共に走行装置が前進し、第2範囲で変位させると走行装置が後進すれば、運転操作として直感的なユーザインタフェースを実現することができる。特に、操作部材の操作方向が走行方向に沿っていれば、より直感的な操作感が期待できる。

0082

100走行装置、101前輪、102後輪、103車軸、110前輪支持部材、111前側支柱、112フォーク、115ハンドル、120後輪支持部材、121後側支柱、122 本体部、131旋回継手、132ヒンジ継手、133付勢バネ、134回転角センサ、141 ステップ、171繋止バー、172、173突起、181押圧球、182押圧バネ、200 制御部、210駆動輪ユニット、220車速センサ、240荷重センサ、250メモリ、251 変換テーブル、600 走行装置、611ハンドル支柱、630傾倒機構、634傾倒角センサ、900 ユーザ

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