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課題
解決手段
概要
背景
電力変換装置は、電気鉄道車両等の車両を駆動する電動機を制御するためのもので、車両の床下等に設置されている。また、電動機は各車軸にギヤを介して接続され、車軸は1つの台車あたり2台設置され、台車は1車両あたり2台設置されていることから、1車両あたり合計4台の電動機を駆動させる必要がある。
従来の電力変換装置においては、1車両あたり合計4台の電動機(M)を1つのコントローラ(C)で制御する1C4M方式の構成や、1台車あたり2台の電動機を1つのコントローラで制御する1C2M方式の構成などがある。図2は、1C4M方式、1C2M方式および1C1M方式の各構成を模式的に示す図である。1C4M方式の構成は、図2の(a)に示すように、電力変換装置(コントローラ)を車両中央の床下に一体箱として設置されるのが一般的である。また、1C2M方式の構成は、特許文献1、特許文献2および図2の(b)に示すように、電力変換装置(コントローラ)を、台車に隣接させるようにして、1車両の中で2つに分けて設置する構成が知られている。これにより、電動機と電力変換装置との間の配線を短縮することが可能となり、その結果、電磁ノイズを抑制する効果を奏する。更に、特許文献3および図2の(c)に示すように、電動機と電力変換装置との間の距離を更に短縮し一体にすることで、各電動機を個別に制御することが可能な1C1M方式の構成も知られている。
概要
電力変換装置による風温上昇の影響を受けることなく、電動機を新鮮な周囲環境温度に近い風で冷却することを可能とし、電動機と電力変換装置の距離を短縮させることで小型化と電磁ノイズの低減を両立させる。車両を駆動する電動機に電力を供給する電力変換装置を冷却する冷却装置を、車輪に直結された車軸に接続された送風手段と、送風手段と電力変換装置とをつなぐダクトとから構成し、ダクトは車軸の回転力によって送風手段が発生する冷却風を電力変換装置に誘導することを特徴とする。
目的
効果
実績
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請求項1
車両を駆動する電動機に電力を供給する電力変換装置を冷却する冷却装置であって、車輪に直結された車軸に接続された送風手段と、前記送風手段と前記電力変換装置とをつなぐダクトとを備え、前記ダクトは、前記車軸の回転力によって前記送風手段が発生する冷却風を前記電力変換装置に誘導することを特徴とする冷却装置。
請求項2
請求項3
請求項4
請求項1に記載の冷却装置であって、前記ダクトは、フレキシブルダクトであることを特徴とする冷却装置。
請求項5
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却装置と、前記車輪と、前記車輪に直結された車軸と、前記車軸を回転させる電動機とを備える台車。
請求項6
請求項5に記載の台車であって、前記電力変換装置1台に対して、当該台車当たり前記電動機を1台備えることを特徴とする台車。
請求項7
請求項5または6に記載の台車と、自らの床下に設置した前記電力変換装置とを有する鉄道車両。
請求項8
請求項9
技術分野
背景技術
0002
電力変換装置は、電気鉄道車両等の車両を駆動する電動機を制御するためのもので、車両の床下等に設置されている。また、電動機は各車軸にギヤを介して接続され、車軸は1つの台車あたり2台設置され、台車は1車両あたり2台設置されていることから、1車両あたり合計4台の電動機を駆動させる必要がある。
0003
従来の電力変換装置においては、1車両あたり合計4台の電動機(M)を1つのコントローラ(C)で制御する1C4M方式の構成や、1台車あたり2台の電動機を1つのコントローラで制御する1C2M方式の構成などがある。図2は、1C4M方式、1C2M方式および1C1M方式の各構成を模式的に示す図である。1C4M方式の構成は、図2の(a)に示すように、電力変換装置(コントローラ)を車両中央の床下に一体箱として設置されるのが一般的である。また、1C2M方式の構成は、特許文献1、特許文献2および図2の(b)に示すように、電力変換装置(コントローラ)を、台車に隣接させるようにして、1車両の中で2つに分けて設置する構成が知られている。これにより、電動機と電力変換装置との間の配線を短縮することが可能となり、その結果、電磁ノイズを抑制する効果を奏する。更に、特許文献3および図2の(c)に示すように、電動機と電力変換装置との間の距離を更に短縮し一体にすることで、各電動機を個別に制御することが可能な1C1M方式の構成も知られている。
先行技術
0004
特開2012−17103号公報
特開2007−336779号公報
特開2008−179285号公報
発明が解決しようとする課題
0006
上述の1C1Mおよび1C2M方式の構成により、従来の1C4M方式の構成に比べると、駆動系を1つに纏めることで車両中央に空きスペースができる。そのため、その空きスペースに従来搭載していなかった他の部品(例えば、電池やセンサなど)を搭載することで、省エネやサービスを向上させることが可能となる。また、車両中央床下の電気部品が無くなることで、車両を2階建てにして乗客輸送量の向上も見込める。
0007
ところが、台車近傍の床下スペースは非常に限られ、台車フレーム、電動機およびギヤなどに近接して電力変換装置を設置することで、1C4M方式では格別問題の無かった課題が生じる。それは、電力変換装置の冷却用の走行風を誘導することが困難となる課題である。この冷却風を誘導困難とする課題を解決するために、特許文献1には、電動機の回転力を用いて電動機自身を冷却する風を、電力変換装置にも誘導する構造が示されている。特許文献3には、電動機に電力変換装置を設置させ、電動機と電力変換装置の両方を同時に冷却するフィンを設ける構造が示されている。
0008
しかしながら、電動機を構成するステータ、コイルおよびロータが許容できる温度レベル(約200℃〜300℃)は、電力変換装置が許容できる温度レベル(約120℃〜200℃)よりも高いため、電力変換装置を効率的に冷却するためには、電動機よりも上流(風上)側に電力変換装置を設置しなければならない。そのため、ダクト設計に制約が生じ、電力変換装置によって冷却風そのものの温度が高くなることで、電動機の冷却や小型化が困難になるという課題が生じる。また、電動機と電力変換装置ではそれぞれの保守時期が異なるため、双方をダクトで繋げてしまうと保守性が悪化してしまうという課題も生じる。
課題を解決するための手段
0009
前記課題を解決するために、本発明は、車両を駆動する電動機に電力を供給する電力変換装置を冷却する冷却装置を、車輪に直結された車軸に接続された送風手段と、送風手段と電力変換装置とをつなぐダクトとから構成し、ダクトは車軸の回転力によって送風手段が発生する冷却風を電力変換装置に誘導することを特徴とする。
発明の効果
0010
本発明によれば、電動機による熱のあおり(風温上昇の影響)を受けることなく、電力変換装置を新鮮な周囲環境温度に近い風で冷却することが可能となり、電力変換装置用の冷却器の小型化が実現できる。更に、冷却系を電動機と分けることで、電動機やギヤで用いる潤滑油の飛散やブレーキ磨耗粉などによる粉塵の影響を抑えることも可能となる。
図面の簡単な説明
0011
図1は、本発明の実施例1に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
図2は、1C4M、1C2Mおよび1C1Mの各構成を模式的に示す図である。
図3は、本発明の実施例2に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
図4は、本発明の実施例3に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
図5は、本発明の実施例1〜3で用いる電力変換装置の斜視図である。
図6は、本発明の実施例4に係る1C2Mの構成を示す図である。
図7は、本発明の実施例4で用いる電力変換装置の斜視図である。
図8は、本発明の実施例5に係る1C2Mの構成を示す図である。
図9は、本発明の実施例5で用いる電力変換装置の斜視図である。
図10は、本発明の実施例6に係る1C2Mの構成を示す図である。
図11は、本発明の実施例6で用いる電力変換装置の斜視図である。
図12は、本発明の実施例7に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
図13は、本発明に係る冷却装置に用いる送風手段の例を示す図である。
0012
本発明の実施形態として実施例1〜7を、以下順に図面を用いて説明する。
0013
図1は、本発明の実施例1に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
本発明に係る電力変換装置100は、鉄道車両の床下等に設置され、車両を駆動する電動機200に供給する電力の周波数を変えることにより、電動機200の回転速度の制御を行う。電力変換装置100と電動機200とは近接しているため、電磁ノイズを小さくできる。更に、電力変換装置100と電動機200の両方を電磁シールド(図示せず)で覆うことで、周辺の信号線へのノイズの影響を無視できるくらいまで小さくできる。また、台車10が走行によって振動する際、車体1と電力変換装置100や電動機200との接触を防ぐために、電力変換装置100や電動機200は小型低床化している。
ここで、電力変換装置100としては、現行、電力変換素子としてIGBTを用いて構成されるものが主流であるところ、より電力損失を低減し効率を向上させることを可能にするSiCを電力変換素子として用いて電力変換装置100を構成することも可能である。この場合には、電力変換装置の小型化が図れ、併せて、以下で説明する冷却装置も小型化が図れることになる。
0014
車輪12に直結された車軸11が回転することで、車軸11に接続された送風手段20(回転する遠心ファンなどとスリップリングなどを介して回転しないファンケーシング)は冷却風を発生させる。この冷却風は、ダクト30を介して電力変換装置100に誘導される。すなわち、図2の(c)に示すように、台車10毎に搭載した電動機200対応に設置した電力変換装置100に対して、ダクト30が設けられる構成となる(この構成は、以下の実施例2および3においても同様である)。上記の冷却機構により、電力変換装置100は小型化できる。また、ブレーキ磨耗粉や小石などの粉塵に対しては、送風手段20にフィルタを設けることにより、電力変換装置用の冷却装置の目詰まりを防止している。
0015
ここで、送風手段20に用いる遠心ファンの具体例について説明する。図13に、代表的な例として、シロッコ型遠心ファン(上図)およびターボ型遠心ファン(下図)を示す。
シロッコ型遠心ファンは、渦巻き状のファンケースの中にドラム型の多翼シロッコファンを備えたもので、このドラム型の多翼シロッコファンが回転することで取り込んだ冷却空気を遠心力で排気する。そして、排気された冷却風が、ダクト30を介して機器へ送り込まれることになる。シロッコ型遠心ファンは、軸流ファンに比べ騒音が低く風圧が高いことが特徴である。
ターボ型遠心ファンは、同じく渦巻き状のファンケースの中にターボファンを備えたもので、このターボファンが回転することで取り込んだ冷却空気を遠心力で排気する。そして、排気された冷却風が、ダクト30を介して機器へ送り込まれることになる。ターボ型遠心ファンでは、比較的消費電力を低く設計できることが特徴である。
0016
図3は、本発明の実施例2に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
実施例1との違いは、図3に示すように、開口部60を、ダクト30と電力変換装置100との接合部分に接する位置に列車の走行方向に向けて設けている点である。この開口部60を設けることで、電力変換装置100へ誘導される冷却風の量は、ダクト30からの冷却風の量と開口部60から入る風の量との和となり、これにより冷却性能を向上させることが可能となる。更に、列車の進行方向が電力変換装置100からダクト30に流れ込む方向に走行風が入ることになる場合は、ダクト内の圧力損失が大きいため、開口部60から風を逃がすことで電力変換装置100への走行風の入気量を確保できる効果もある。このように、走行方向Aにおいても走行方向Bにおいても、冷却性能を維持できることに特徴がある。また、ブレーキ磨耗粉や小石などの粉塵に対処するために、開口部をフィルタ付きとしてもよい。
0017
図4は、本発明の実施例3に係る台車搭載1C1Mの構成を示す図である。
実施例2との違いは、連結ダクト40を追加している点である。下流(風下)側の電力変換装置の冷却設計が重要となるところ、2つの電力変換装置100間の入気と排気を接続することで、周辺部材による走行風の変動を無くすことができ、送風手段20とダクト30を介して確実に冷却風を確保できる利点がある。
0018
図5は、実施例1〜3で用いる電力変換装置100の斜視図である。架線からの電流は、コンデンサモジュール140で平滑化され、金属積層板121を介してパワーモジュール110に入る。パワーモジュール110で直流電力が交流電力に変換され、最終的に交流側金属板122を介して電動機200に交流電流が供給される。この際、発生した熱は、冷却器130に風が当たることで冷却される。冷却器130は、伝熱面積を拡大させるために細長いフィンで構成されることが多く、この構成のために小石などによって破損する恐れがある。そこで、冷却器カバー131を設けてフィン等の破損を防止している。
0019
図6は、本発明の実施例4に係る1C2Mの構成を示す図である。
実施例4では、電力変換装置100は、台車10の上でなく車体1に吊り下げられた状態で固定設置されている。それ故に、車体1の振動によりダクト30が破損することを防止する目的で、例えば蛇腹状の形状を有するフレキシブルダクト50を接続している。実施例4は、先の実施例1〜3の1C1M構成とは異なり、1C2M構成を採用している。すなわち、図2の(b)に示すように、台車10対応に設置した電力変換装置100に対してダクト30(フレキシブルダクトを含めた総称とする)を設ける構成となる(この構成は、以下の実施例5および6においても同様である)。これにより、電力変換装置100を小型化する制約を緩和できる。また、2台の電動機200に対して1台の電力変換装置100から電流を供給するため、電力変換装置100の部品点数を減らすこともできる。
更に、台車10、車軸11および電動機200等の保守のタイミングと、電力変換装置100の保守のタイミングとを別々にできるため、保守性が向上する利点もある。
0020
図7は、実施例4で用いる電力変換装置100の斜視図である。2台の電動機200に必要な電流を供給するだけでなく、1C1M構成に比べると電力変換装置100内にスペース的に余裕があるため、例えば昇圧回路など別の機能を加えることもできる。図7では、架線からの電流を直流側金属板123で受け、パワーモジュール110の一部を昇圧回路用(図示せず)に使用する例を示している。これにより、電力変換装置内の電流を小さくでき配線を補足することができる。
0021
図8は、本発明の実施例5に係る1C2Mの構成を示す図である。
実施例5では、電力変換装置100とブレーキ制御装置300とを一体箱310の中に収納したものである。これにより、台車近傍で必要な部材とそれに対する冷却風を共有化することで、小型で低コスト化できる。
0022
図9は、実施例5で用いる電力変換装置100の斜視図である。図5に示す電力変換装置100と同様の構成部材を用い、冷却器130に入気した風がコンデンサモジュール140の中も通ることで、コンデンサセルも同時に冷却する構造となっている。
0023
図10は、本発明の実施例6に係る1C2Mの構成を示す図である。
実施例6の構成は、図11に示す電力変換装置100のように、コンデンサモジュール140によって冷却風が妨害されないように、電力変換装置100の冷却器130のみに冷却風が入気されるように配置等に工夫が施されている。また、ダクト30に開口部60を設けることで、電力変換装置100から排気される風の逃げ道を確保し圧力損失を低減できるため、電力変換装置100への入気風量を確保できる。
0024
図12は、本発明の実施例7に係る1C1Mの構成を示す図である。
実施例7では、電力変換装置100に対する送風手段20およびダクト30による冷却は実施例1と同様であるところ、モータ車の1車両あたりのモータの数を4台から2台に低減させ、モータが未設置の車両にモータを2台設置して、1C1Mとした点に特徴がある。このようにモータの搭載を平準化することで、全車両において同じ台車が使えることとなり、部材を標準化できるという効果がある。台車あたりでは電動機200は1台のみであっても、従来と同じトルクを確保できることとなり、電磁ノイズを低減させるために電動機200と電力変換装置100との距離を短くしつつ、スペース効率が高い電力変換装置100の台車搭載が実現できる。
実施例
0025
以上、各実施例で説明したように、本発明によれば、電力変換装置による風温上昇の影響を受けることなく、電動機を新鮮な周囲環境温度に近い風で冷却することが可能となり、併せて、電動機と電力変換装置との距離を短縮させることで小型化と電磁ノイズ低減を両立させることができるものである。
また、実施例1〜7において、惰行走行時の効率等を考慮して、車軸11は回転しているが送風手段20を動作させない(ファンを回転させない)機能を設けてもよい。
0026
1…車体、10…台車、11…車軸、12…車輪、13…ギヤ、
20…送風手段、30…ダクト、40…連結ダクト、50…フレキシブルダクト、
100…電力変換装置、110…パワーモジュール、121…金属積層板、
122…交流側金属板、123…直流側金属板、130…冷却器、131…冷却器カバー、
140…コンデンサモジュール、200…電動機、300…ブレーキ制御装置、
310…一体箱