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課題

湿熱処理後の反り変形が抑制された多層フィルムの製造方法を提供する。

解決手段

押出機1,2とTダイ3とを備える共押出装置を使用し、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルムを共押出し、第1鏡面体と第2鏡面体との間に、第1アクリル系樹脂層(α1)が第1鏡面体側となるように供給、押圧し、第1鏡面体に抱かせて第3鏡面体へと送り出す際法であり、下記式(1)及び(2)を満たす方法。式(1):(Tα1−15)≦TR1≦(Tα1+10);式(2):(Tα2−25)≦TR2<(Tα2+5)(TR1、TR2は夫々第1鏡面体、第2鏡面体の表面温度;Tα1、Tα2は夫々第1アクリル系樹脂、第2アクリル系樹脂のガラス転移温度

概要

背景

近年、液晶ディスプレイプラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイなどの画像表示装置上に設置され、表示を見ながら指やペン等でタッチすることにより入力を行うことのできるタッチパネルが普及している。

従来、タッチパネルのディスプレイ面板透明導電性基板には、耐熱性、寸法安定性高透明性、高表面硬度、及び高剛性などの要求特性合致することから、ガラス基材とする部材が使用されてきた。一方、ガラスには、耐衝撃性が低く割れ易い、加工性が低い、ハンドリングが難しい、比重が高く重い、及びディスプレイ曲面化やフレキシブル化の要求に応えることが難しいなどの問題がある。そのためガラスに替わる材料として、ハードコート積層フィルムが盛んに研究されている。該ハードコート積層フィルムのフィルム基材としては、高表面硬度、耐擦傷性、及び耐切削加工性の観点から、第1アクリル系樹脂層芳香族ポリカーボネート系樹脂層、第2アクリル系樹脂層が、この順に直接積層された多層フィルムが、しばしば提案されている。しかし、上記多層フィルムには、反り変形、特に湿熱処理後の反り変形を抑制することが難しいという問題があった。そこで反り変形を抑制する技術として、冷却ロール周速度を制御する方法(特許文献1及び2)や冷却ロールを通過した後のフィルムヒーターにより加熱する方法(特許文献3)が提案されている。しかし、これらの技術は十分に満足できるものではない。

概要

湿熱処理後の反り変形が抑制された多層フィルムの製造方法を提供する。押出機1,2とTダイ3とを備える共押出装置を使用し、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルムを共押出し、第1鏡面体と第2鏡面体との間に、第1アクリル系樹脂層(α1)が第1鏡面体側となるように供給、押圧し、第1鏡面体に抱かせて第3鏡面体へと送り出す際法であり、下記式(1)及び(2)を満たす方法。式(1):(Tα1−15)≦TR1≦(Tα1+10);式(2):(Tα2−25)≦TR2<(Tα2+5)(TR1、TR2は夫々第1鏡面体、第2鏡面体の表面温度;Tα1、Tα2は夫々第1アクリル系樹脂、第2アクリル系樹脂のガラス転移温度

目的

本発明の課題は、反り変形、特に湿熱処理後の反り変形が抑制され、透明性、色調、及び外観に優れ、レタデーションの小さい多層フィルムを得る方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多層フィルムの製造方法であって、(A)押出機とTダイとを備える共押出装置を使用し、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルムを、Tダイから連続的に共押出する工程;(B)回転する又は循環する第1鏡面体と、回転する又は循環する第2鏡面体との間に、上記多層フィルムの溶融フィルムを、上記第1アクリル系樹脂層(α1)が、上記第1鏡面体側となるように供給投入し、押圧する工程;及び、(C)上記工程(B)において押圧された多層フィルムを上記第1鏡面体に抱かせて次の回転する又は循環する第3鏡面体へと送り出す工程;を含み、下記式(1)〜(3)を満たす方法。(Tα1−15)≦TR1≦(Tα1+10)・・・(1)(Tα2−25)≦TR2<(Tα2+5)・・・(2)(Tβ−20)≦TR1・・・(3)ここで、TR1は上記第1鏡面体の表面温度、TR2は上記第2鏡面体の表面温度、Tα1は上記第1アクリル系樹脂ガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。

請求項2

更に下記式(4‐1)及び(4‐2)を満たす請求項1に記載の方法。(Tβ−Tα1)≦30・・・(4‐1)(Tβ−Tα2)≦30・・・(4‐2)ここで、Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。

請求項3

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度が100〜140℃である請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物由来する構造単位脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を99〜80モル%の量で、及び脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を1〜20モル%の量で含む請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。

請求項5

上記第1アクリル系樹脂と上記第2アクリル系樹脂が同じアクリル系樹脂であり、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチルメタアクリレートに由来する構造単位を50〜95モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を50〜5モル%の量で含む請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。

請求項6

ハードコート積層フィルムの製造方法であって、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法により多層フィルムを生産する工程;及び、上記工程で得られた多層フィルムの少なくとも片面の上にハードコートを形成する工程;を含む方法。

請求項7

物品の製造方法であって、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法によりフィルムを生産する工程;及び、上記工程で得られたフィルムを使用する工程;を含む方法。

請求項8

第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層され;上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度が100〜140℃であり;下記式(4‐1)及び(4‐2)を満たす多層フィルム。(Tβ−Tα1)≦30・・・(4‐1)(Tβ−Tα2)≦30・・・(4‐2)ここで、TR1は上記第1鏡面体の表面温度、TR2は上記第2鏡面体の表面温度、Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。

請求項9

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を99〜80モル%の量で、及び脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を1〜20モル%の量で含む請求項8に記載の多層フィルム。

請求項10

上記第1アクリル系樹脂と上記第2アクリル系樹脂が同じアクリル系樹脂であり、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を50〜95モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を50〜5モル%の量で含む請求項8又は9に記載の多層フィルム。

請求項11

下記特性(イ)及び(ロ)を満たす請求項8〜10の何れか1項に記載の多層フィルム。(イ)全光線透過率85%以上。(ロ)レタデーションが75nm以下。

請求項12

更に下記特性(ハ)を満たす請求項8〜11の何れか1項に記載の多層フィルム。(ハ)JIS K7209:2009のA法に従い、浸漬時間24時間の条件で測定した吸水率が1質量%以下。

請求項13

請求項8〜12の何れか1項に記載の多層フィルムの少なくとも片面の上にハードコートを有するハードコート積層フィルム。

請求項14

請求項8〜13の何れか1項に記載のフィルムを含む物品。

技術分野

0001

本発明は、多層フィルムの製造方法に関する。更に詳しくは、反り変形の抑制された多層フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、液晶ディスプレイプラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイなどの画像表示装置上に設置され、表示を見ながら指やペン等でタッチすることにより入力を行うことのできるタッチパネルが普及している。

0003

従来、タッチパネルのディスプレイ面板透明導電性基板には、耐熱性、寸法安定性高透明性、高表面硬度、及び高剛性などの要求特性合致することから、ガラス基材とする部材が使用されてきた。一方、ガラスには、耐衝撃性が低く割れ易い、加工性が低い、ハンドリングが難しい、比重が高く重い、及びディスプレイ曲面化やフレキシブル化の要求に応えることが難しいなどの問題がある。そのためガラスに替わる材料として、ハードコート積層フィルムが盛んに研究されている。該ハードコート積層フィルムのフィルム基材としては、高表面硬度、耐擦傷性、及び耐切削加工性の観点から、第1アクリル系樹脂層芳香族ポリカーボネート系樹脂層、第2アクリル系樹脂層が、この順に直接積層された多層フィルムが、しばしば提案されている。しかし、上記多層フィルムには、反り変形、特に湿熱処理後の反り変形を抑制することが難しいという問題があった。そこで反り変形を抑制する技術として、冷却ロール周速度を制御する方法(特許文献1及び2)や冷却ロールを通過した後のフィルムヒーターにより加熱する方法(特許文献3)が提案されている。しかし、これらの技術は十分に満足できるものではない。

先行技術

0004

特開2012−096357号公報
特開2013−193241号公報
特開2012−121271号公報
特開2015−083370号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の課題は、反り変形、特に湿熱処理後の反り変形が抑制され、透明性、色調、及び外観に優れ、レタデーションの小さい多層フィルムを得る方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、鋭意研究した結果、原料樹脂ガラス転移温度成形条件とが特定の関係式を満たすようすることにより、上記課題を達成できることを見出した。

0007

すなわち、本発明は、多層フィルムの製造方法であって、
(A)押出機とTダイとを備える共押出装置を使用し、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルムを、Tダイから連続的に共押出する工程;
(B)回転する又は循環する第1鏡面体と、回転する又は循環する第2鏡面体との間に、上記多層フィルムの溶融フィルムを、上記第1アクリル系樹脂層(α1)が、上記第1鏡面体側となるように供給投入し、押圧する工程;及び、
(C)上記工程(B)において押圧された多層フィルムを上記第1鏡面体に抱かせて次の回転する又は循環する第3鏡面体へと送り出す工程;
を含み、下記式(1)〜(3)を満たす方法である。
(Tα1−15)≦TR1≦(Tα1+10) ・・・(1)
(Tα2−25)≦TR2<(Tα2+5) ・・・(2)
(Tβ−20)≦TR1 ・・・(3)
ここで、TR1は上記第1鏡面体の表面温度、TR2は上記第2鏡面体の表面温度、Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。

0008

第2の発明は、更に下記式(4‐1)及び(4‐2)を満たす第1の発明に記載の方法である。
(Tβ−Tα1)≦30 ・・・(4‐1)
(Tβ−Tα2)≦30 ・・・(4‐2)
ここで、Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。

0009

第3の発明は、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度が100〜140℃である第1の発明又は第2の発明に記載の方法である。

0010

第4の発明は、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物由来する構造単位脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を99〜80モル%の量で、及び脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を1〜20モル%の量で含む第1〜3の発明の何れか1に記載の方法である。

0011

第5の発明は、上記第1アクリル系樹脂と上記第2アクリル系樹脂が同じアクリル系樹脂であり、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチルメタアクリレートに由来する構造単位を50〜95モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を50〜5モル%の量で含む第1〜4の発明の何れか1に記載の方法である。

0012

第6の発明は、ハードコート積層フィルムの製造方法であって、第1〜5の発明の何れか1に記載の方法により多層フィルムを生産する工程;及び、上記工程で得られた多層フィルムの少なくとも片面の上にハードコートを形成する工程;を含む方法である。

0013

第7の発明は、物品の製造方法であって、第1〜6の発明の何れか1項に記載の方法によりフィルムを生産する工程;及び、上記工程で得られたフィルムを使用する工程;を含む方法である。

0014

第8の発明は、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層され;上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度が100〜140℃であり;下記式(4‐1)及び(4‐2)を満たす多層フィルムである。
(Tβ−Tα1)≦30 ・・・(4‐1)
(Tβ−Tα2)≦30 ・・・(4‐2)
ここで、TR1は上記第1鏡面体の表面温度、TR2は上記第2鏡面体の表面温度、Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。

0015

第9の発明は、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を99〜80モル%の量で、及び脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を1〜20モル%の量で含む第8の発明に記載の多層フィルムである。

0016

第10の発明は、上記第1アクリル系樹脂と上記第2アクリル系樹脂が同じアクリル系樹脂であり、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を50〜95モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を50〜5モル%の量で含む第8の発明又は第9の発明に記載の多層フィルムである。

0017

第11の発明は、下記特性(イ)及び(ロ)を満たす第8〜10の発明の何れか1に記載の多層フィルムである。
(イ)全光線透過率85%以上。
(ロ)レタデーションが75nm以下。

0018

第12の発明は、更に下記特性(ハ)を満たす第8〜11の発明の何れか1に記載の多層フィルムである。
(ハ)JIS K7209:2009のA法に従い、浸漬時間24時間の条件で測定した吸水率が1質量%以下。

0019

第13の発明は、第8〜12の発明の何れか1に記載の多層フィルムの少なくとも片面の上にハードコートを有するハードコート積層フィルムである。

0020

第14の発明は、第8〜13の発明の何れか1に記載のフィルムを含む物品である。

発明の効果

0021

本発明の方法により、反り変形、特に湿熱処理後の反り変形が抑制され、透明性、色調、及び外観に優れ、レタデーションの小さい多層フィルムを得ることができる。本発明の方法により得られた多層フィルムをフィルム基材として用いることにより、透明性、色調、外観、表面硬度、耐擦傷性、耐切削加工性、及び耐クラック性に優れ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイなどの画像表示装置の部材(タッチパネル機能を有する画像表示装置及びタッチパネル機能を有しない画像表示装置を含む。)、特にタッチパネル機能を有する画像表示装置のディスプレイ面板として好適なハードコート積層フィルムを得ることができる。

0022

本明細書において「フィルム」の用語は、シートをも含む用語として使用する。「樹脂」の用語は、2以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。更に数値範囲に係る「〜」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10〜90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される全ての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。

0023

1.多層フィルムの製造方法:
本発明の多層フィルムの製造方法は、(A)押出機とTダイとを備える共押出装置を使用し、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルムを、Tダイから連続的に共押出する工程;(B)回転する又は循環する第1鏡面体と、回転する又は循環する第2鏡面体との間に、上記多層フィルムの溶融フィルムを、上記第1アクリル系樹脂層(α1)が、上記第1鏡面体側となるように供給投入し、押圧する工程;及び、(C)上記工程(B)において押圧された多層フィルムを上記第1鏡面体に抱かせて次の回転する又は循環する第3鏡面体へと送り出す工程;を含む。

0024

上記工程(A)で使用する上記共押出装置としては、特に制限されず、任意の共押出装置を使用することができる。上記共押出装置としては、例えば、フィードブロック方式マルチマニホールド方式、及びスタックプレート方式などの共押出装置をあげることができる。

0025

上記工程(A)で使用する上記Tダイとしては、特に制限されず、任意のTダイを使用することができる。上記Tダイとしては、例えば、マニホールドダイフィッシュテールダイ、及びコートハンガーダイなどをあげることができる。

0026

上記Tダイの設定温度は、上記多層フィルムの溶融フィルムを、連続的に共押出する工程を安定的に行う観点から、通常240℃以上、好ましくは250℃以上であってよい。一方、樹脂の劣化を抑制する観点から、上記Tダイの設定温度は、通常320℃以下、好ましくは300℃以下であってよい。

0027

上記工程(A)で使用する上記押出機としては、特に制限されず、任意の押出機を使用することができる。上記押出機としては、例えば、単軸押出機同方向回転二軸押出機、及び異方向回転二軸押出機などをあげることができる。

0028

上記第1アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、及び第2アクリル系樹脂の劣化を抑制するため、押出機内を窒素パージすることは好ましい。

0029

上記第1アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、及び第2アクリル系樹脂を製膜に供する前に乾燥することは好ましい。また乾燥機で乾燥されたこれらの樹脂を、乾燥機から押出機に直接輸送し、投入することも好ましい。乾燥機の設定温度は、乾燥される樹脂のガラス転移温度を案して適宜決定する。乾燥機の設定温度は、該ガラス転移温度をTg(℃)としたとき、通常(Tg−70)〜(Tg−10)℃、好ましくは(Tg−40)〜(Tg−10)℃であってよい。更に押出機に真空ベントを、通常はスクリュウ先端の計量ゾーンに相当する位置に、設けることも好ましい。

0030

本明細書においてガラス転移温度は、JIS K7121−1987に従い、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamondDSC示差走査熱量計を使用し、250℃で3分間保持し、10℃/分で20℃まで冷却し、20℃で3分間保持し、10℃/分で250℃まで昇温するプログラムで測定される最後の昇温過程曲線から算出した中間点ガラス転移温度である。

0031

本発明の方法により製造される多層フィルムは、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層されている。

0032

アクリル系樹脂は表面硬度には優れているが、切削加工性が不十分になり易いのに対し、芳香族ポリカーボネート系樹脂は切削加工性には優れているが、表面硬度が不十分になり易い。そこで上述の層構成にすることにより、両者の弱点を補い合い、表面硬度、及び切削加工性の何れにも優れた多層フィルムを容易に得ることができるようになる。

0033

本発明の方法により製造される多層フィルムの上記(α1)層の層厚みは、特に制限されないが、表面硬度の観点から、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上、更に好ましくは60μm以上、最も好ましくは80μm以上であってよい。

0034

本発明の方法により製造される多層フィルムの上記(α2)層の層厚みは、特に制限されないが、反り変形を抑制する観点から、上記(α1)層と同じ層厚みであることが好ましい。

0035

なおここで「同じ層厚み」とは、物理化学的に厳密な意味で同じ層厚みと解釈されるべきではない。工業的に通常行われる工程・品質管理振れ幅の範囲内において同じ層厚みと解釈されるべきである。工業的に通常行われる工程・品質管理の振れ幅の範囲内において同じ層厚みであれば、多層フィルムの反り変形を十分に抑制することができるからである。Tダイ共押出法による無延伸多層フィルムの場合には、例えば設定層厚みが70μmである場合には、通常−5〜+5μm程度の幅で工程・品質管理されるものであるから、層厚み65μmと同75μmとは同一と解釈されるべきである。

0036

本発明の方法により製造される多層フィルムの上記(β)層の層厚みは、特に制限されないが、切削加工性の観点から、通常20μm以上、好ましくは80μm以上であってよい。

0037

上記多層フィルムの全厚みは、特に制限されず、所望により任意の厚みにすることができる。上記多層フィルムの取扱性の観点からは、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であってよい。上記多層フィルムを高い剛性を必要としない用途に用いる場合には、経済性の観点から、通常250μm以下、好ましくは150μm以下であってよい。上記多層フィルムをディスプレイ面板として用いる場合には、剛性を保持する観点から、通常300μm以上、好ましくは500μm以上、より好ましくは600μm以上であってよい。また装置の薄型化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1200μm以下、より好ましくは1000μm以下であってよい。

0038

上記(α1)層に用いる第1アクリル系樹脂、及び上記(α2)層に用いる第2アクリル系樹脂について説明する。

0039

上記アクリル系樹脂(上記(α1)層に用いる第1アクリル系樹脂、上記(α2)層に用いる第2アクリル系樹脂、又は上記(α1)層と上記(α2)層の両方の層に用いるアクリル系樹脂。以下、同様の意味で用いることがある。)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主として(通常50モル%以上、好ましくは65モル%以上、より好ましくは70モル%以上。)含む共重合体、及びこれらの変性体などをあげることができる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味である。また(共)重合体とは、重合体(単独重合体)又は共重合体の意味である。

0040

上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などをあげることができる。

0041

上記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主として含む共重合体としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、及びN−置換マレイミド・(メタ)アクリル酸メチル共重合体などをあげることができる。

0042

上記変性体としては、例えば、分子内環化反応によりラクトン環構造が導入された重合体;分子内環化反応によりグルタル酸無水物が導入された重合体;及び、イミド化剤(例えば、メチルアミンシクロヘキシルアミン、及びアンモニアなどをあげることができる。)と反応させることによりイミド構造が導入された重合体(以下、ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂ということがある。);などをあげることができる。

0043

上記アクリル系樹脂は、好ましくは、ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体であり、より好ましくはビニルシクロヘキサン・メタクリル酸メチル共重合体である。透明性、色調、外観、及び耐湿性に優れ、レタデーションの小さい多層フィルムを得ることができる。

0044

上記アクリル系樹脂は、更に好ましくは、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位(以下、MA/MMAと略すことがある。)を50〜95モル%、好ましくは65〜90モル%、より好ましくは70〜85モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位(以下、VCHと略すことがある。)を50〜5モル%の量、好ましくは35〜10モル%、より好ましくは30〜15モル%の量で含むビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体である。ここでMA/MMA含量とVCH含量との和は、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上、100モル%以下であってよい。なおここで「重合性モノマー」とは、メチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキサン、及びこれらと共重合可能モノマーを意味する。該共重合可能なモノマーは、通常、炭素炭素二重結合を有する化合物であり、典型的にはエチレン性二重結合を有する化合物である。

0045

上記アクリル系樹脂は、更に好ましくは、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチルメタクリレートに由来する構造単位(以下、MMAと略すことがある。)を50〜95モル%、好ましくは65〜90モル%、より好ましくは70〜85モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位(以下、VCHと略すことがある。)を50〜5モル%の量、好ましくは35〜10モル%、より好ましくは30〜15モル%の量で含むビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体である。ここでMMA含量とVCH含量との和は、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上、100モル%以下であってよい。なおここで「重合性モノマー」とは、メチルメタクリレート、ビニルシクロヘキサン、及びこれらと共重合可能なモノマーを意味する。該共重合可能なモノマーは、通常、炭素・炭素二重結合を有する化合物であり、典型的にはエチレン性二重結合を有する化合物である。

0046

上記ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体中のMA/MMA含量、MMA含量、及びVCH含量などの各構造単位含有量は、1H−NMRや13C−NMRを使用して求めることができる。1H−NMRスペクトルは、例えば、試料15mgをクロロホルム−d1溶媒0.6mLに溶解し、500MHzの核磁気共鳴装置を使用し、以下の条件で測定することができる。図2に測定例を示す。
ケミカルシフト基準 装置による自動設定
測定モードシングルパルス
パルス幅45°(5.0μ秒)
ポイント数32K
測定範囲15ppm(−2.5〜12.5ppm)
繰り返し時間10.0秒
積算回数16回
測定温度25℃
ウインドウ関数exponential(BF:0.16Hz)

0047

13C−NMRスペクトルは、例えば、試料60mgをクロロホルム−d1溶媒0.6mLに溶解し、125MHzの核磁気共鳴装置を使用し、以下の条件で測定することができる。図3に測定例を示す。
ケミカルシフト基準 装置による自動設定
測定モードシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅45°(5.0μ秒)
ポイント数64K
測定範囲250ppm(−25〜225ppm)
繰り返し時間5.5秒
積算回数128回
測定温度25℃
ウインドウ関数exponential(BF:1.00Hz)

0048

ピーク帰属は、「高分子分ハンドブック(2008年9月20日初版第1刷、社団法人日分析化学会高分子分析研究懇談会編、株式会社書店)」や「独立行政人物質・材料研究機構材料情報ステーションNMRデータベース(http://polymer.nims.go.jp/NMR/)」を参考に行い、ピーク面積比から上記(α)アクリル系樹脂中の各構造単位の割合を算出することができる。なお1H−NMRや13C−NMRの測定は、株式会社三井化学分析センターなどの分析機関において行うこともできる。

0049

上記ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。

0050

なお上記ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体は、2以上のアクリル系樹脂を含む樹脂混合物であってもよい。樹脂混合物である場合は、混合物としてのメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位の含有量、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位の含有量が、上述の範囲になるようにすればよい。

0051

上記アクリル系樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。

0052

上記アクリル系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、コアシェルゴムを含ませることができる。上記コアシェルゴムを、上記アクリル系樹脂を100質量部として、通常0〜50質量部、好ましくは3〜30質量部の量で用いることにより、切削加工性や耐衝撃性を高めることができる。

0053

上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、及びメタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴムをあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。

0054

上記アクリル系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、上記アクリル系樹脂や上記コアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂顔料無機フィラー有機フィラー樹脂フィラー滑剤酸化防止剤耐候性安定剤、熱安定剤離型剤帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、上記アクリル系樹脂を100質量部としたとき、通常0.01〜10質量部程度である。

0055

好ましい上記任意成分としては、離型剤をあげることができる。上記離型剤を、上記アクリル系樹脂を100質量部として、通常0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜0.1質量部の量で用いることにより、溶融フィルムが上記第1鏡面体に付着するなどのトラブルを抑制することができる。

0056

上記(α1)層に用いる第1アクリル系樹脂と、上記(α2)層に用いる第2アクリル系樹脂とは、異なるアクリル系樹脂、例えば、種類、組成メルトマスフローレート、及びガラス転移温度などの異なるアクリル系樹脂を用いても良いが、反り変形を抑制する観点から、同じアクリル系樹脂を用いることが好ましい。例えば、同一グレード同一ロットを用いるのは、好ましい実施態様の一つである。

0057

上記(β)層に用いる芳香族ポリカーボネート系樹脂について説明する。

0058

芳香族ポリカーボネート系樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸との重縮合構造単位を主として(全構造単位の総和を100モル%として、通常80モル%以上、好ましくは84モル%以上、より好ましくは86モル%以上、更に好ましくは88モル%以上。)含む重合体であり、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重合法や、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得ることができる。

0059

上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA(2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニルプロパン)、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、及び1,1‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)シクロヘキサンなどをあげることができる。上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。

0060

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、反り変形を抑制する観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下であってよい。一方、耐熱性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であってよい。ガラス転移温度の定義、及び測定方法については上述した。

0061

ガラス転移温度が100〜140℃であるような上記芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸が共重合されたものをあげることができる。該脂肪族ジカルボン酸が共重合された芳香族ポリカーボネート系樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸との重縮合構造単位、及び芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジカルボン酸とのエステル重縮合構造単位を含む物質である。

0062

上記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸セバシン酸ウンデカンジカルボン酸ドデカンジカルボン酸トリデカンジカルボン酸テトラデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、及びエイコサンジカルボン酸などの鎖状の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、及びノルボルナンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などをあげることができる。上記脂肪族ジカルボン酸としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。

0063

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂中の上記脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の含有量は、上記芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸との重縮合構造単位中のもの、及び芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジカルボン酸とのエステル重縮合構造単位中のものの両方を含む。以下、同様。)と上記脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、ガラス転移温度を低くする観点から、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、より好ましくは4モル%以上、更に好ましくは6モル%以上(上記芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量は、通常99モル%以下、好ましくは98モル%以下、より好ましくは96モル%以下、更に好ましくは94モル%以下)であってよい。一方、耐熱性の観点から、通常20モル%以下、好ましくは16モル%以下、より好ましくは14モル%以下、更に好ましくは12モル%以下(上記芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量は、通常80モル%以上、好ましくは84モル%以上、より好ましくは86モル%以上、更に好ましくは88モル%以上)であってよい。

0064

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂中の上記脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の含有量、及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量は、1H−NMRや13C−NMRを使用して求めることができる。1H−NMRスペクトルは、例えば、試料20mgをクロロホルム‐d1溶媒0.6mLに溶解し、500MHzの核磁気共鳴装置を使用し、以下の条件で測定することができる。図4に測定例を示す。
ケミカルシフト基準 装置による自動設定
測定モードシングルパルス
パルス幅45°(6.91μ秒)
ポイント数32K
測定範囲15ppm(−2.5〜12.5ppm)
繰り返し時間7.0秒
積算回数512回
測定温度25℃
ウインドウ関数exponential(BF:0.12Hz)

0065

13C−NMRスペクトルは、例えば、試料60mgをクロロホルム‐d1溶媒0.6mLに溶解し、125MHzの核磁気共鳴装置を使用し、以下の条件で測定することができる。図5に測定例を示す。
ケミカルシフト基準 装置による自動設定
測定モードシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅30°(3.70μ秒)
ポイント数32K
測定範囲250ppm(−25〜225ppm)
繰り返し時間3.0秒
積算回数15000回
測定温度25℃
ウインドウ関数exponential(BF:1.00Hz)

0066

ピークの帰属は、「高分子分析ハンドブック(2008年9月20日初版第1刷、社団法人日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、株式会社朝倉書店)」や「独立行政法人物質・材料研究機構材料情報ステーションのNMRデータベース(http://polymer.nims.go.jp/NMR/)」を参考に行い、ピーク面積比から上記(α)アクリル系樹脂中の各構造単位の割合を算出することができる。なお1H−NMRや13C−NMRの測定は、株式会社三井化学分析センターなどの分析機関において行うこともできる。

0067

なお上記芳香族ポリカーボネート系樹脂は2以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂を含む樹脂混合物であってもよい。樹脂混合物である場合は、混合物としての上記脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の含有量、及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量が、上述の範囲になるようにすればよい。また上記芳香族ポリカーボネート系樹脂は上記脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位、及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位以外の構造単位、例えば、脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位や芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位などを含むことを妨げない。

0068

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。

0069

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、コアシェルゴムを含ませることができる。上記コアシェルゴムを、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂を100質量部として、通常0〜30質量部、好ましくは0〜10質量部の量で用いることにより、切削加工性や耐衝撃性をより高めることができる。

0070

上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、及びメタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴムをあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。

0071

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂や上記コアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂を100質量部としたとき、通常0.01〜10質量部程度である。

0072

本発明の多層フィルムの製造方法は、(B)回転する又は循環する第1鏡面体と、回転する又は循環する第2鏡面体との間に、上記多層フィルムの溶融フィルムを、上記第1アクリル系樹脂層(α1)が、上記第1鏡面体側となるように供給投入し、押圧する工程を含む。

0073

上記第1鏡面体としては、例えば、鏡面ロール鏡面ベルトなどをあげることができる。上記第2鏡面体としては、例えば、鏡面ロールや鏡面ベルトなどをあげることができる。

0074

上記鏡面ロールは、その表面が鏡面加工されたロールであり、金属製、セラミック製、シリコンゴム製などがある。上記鏡面ロールの表面には、腐食や傷付きからの保護を目的としてクロームメッキや鉄‐リン合金メッキPVD法やCVD法による硬質カーボン処理などを施すことができる。

0075

上記鏡面ベルトは、その表面が鏡面加工された、通常は金属製のシームレスベルトであり、例えば、一対のベルトローラー相互間に掛け巡らされて、循環するようにされている。上記鏡面ベルトの表面には、腐食や傷付きからの保護を目的としてクロームメッキや鉄-リン合金メッキ、PVD法やCVD法による硬質カーボン処理などを施すことができる。

0076

上記鏡面加工は、限定されず、任意の方法で行うことができる。上記鏡面加工は、例えば、微細砥粒を用いて研磨することにより、上記鏡面体の表面の算術平均粗さ(Ra)を好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、十点平均粗さ(Rz)を好ましくは500nm以下、より好ましくは250nm以下にする方法をあげることができる。

0077

理論に拘束される意図はないが、上記多層フィルムの溶融フィルムは、上記第1鏡面体と上記第2鏡面体とで押圧されることにより、上記第1鏡面体及び上記第2鏡面体の高度に平滑な面状態がフィルムに転写され、ダイスジ等の不良箇所が修正されると考察できる。

0078

上記第1鏡面体、及び上記第2鏡面体の表面温度は、下記式(1)〜(3)を満たすように行う。
(Tα1−15)≦TR1≦(Tα1+10) ・・・(1)
(Tα2−25)≦TR2<(Tα2+5) ・・・(2)
(Tβ−20)≦TR1 ・・・(3)
ここで、TR1は上記第1鏡面体の表面温度、TR2は上記第2鏡面体の表面温度、Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。ガラス転移温度の定義、及び測定方法については上述した。

0079

上記第1鏡面体の表面温度は、上記(α1)層に上記第1鏡面体との剥離に伴う外観不良(剥離痕)が現れないようにする観点から、通常(Tα1+10)℃以下、好ましくは(Tα1+7)℃以下、更に好ましくは(Tα1+5)℃以下である。一方、Tダイ内せん断エアギャップにおける伸張変形により生じた応力を十分に緩和し、反り変形を抑制する観点から、通常(Tα1−15)℃以上、好ましくは(Tα1−10)℃以上、より好ましくは(Tα1−5)℃以上である。またTダイ内のせん断やエアギャップにおける伸張変形により生じた応力を十分に緩和し、反り変形を抑制する観点から、通常(Tβ−20)℃以上、好ましくは(Tβ−15)℃以上、より好ましくは(Tβ−10)℃以上である。

0080

上記第2鏡面体の表面温度は、上記(α2)層に上記第2鏡面体との剥離に伴う外観不良(剥離痕)が現れないようにする観点、及び上記工程(C)を良好に行うことができるようにする観点から、通常(Tα2+5)℃以下、好ましくは(Tα2)℃以下である。一方、Tダイ内のせん断やエアギャップにおける伸張変形により生じた応力を十分に緩和し、反り変形を抑制する観点から、通常(Tα2−25)℃以上、好ましくは(Tα2−15)℃以上、より好ましくは(Tα2−10)℃以上である。

0081

また多層フィルムの反り変形を抑制する観点、及び外観不良(剥離痕)が現れないようにする観点から、下記式(4‐1)及び/又は下記式(4‐2)を満たすことが好ましい。温度の単位は何れも℃である。
(Tβ−Tα1)≦30 ・・・(4‐1)
(Tβ−Tα2)≦30 ・・・(4‐2)

0082

上記(Tβ−Tα1)の値は、反り変形を抑制する観点、及び外観不良(剥離痕)が現れないようにする観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下であってよい。同様に、上記(Tβ−Tα2)の値は、反り変形を抑制する観点、及び外観不良(剥離痕)が現れないようにする観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下であってよい。

0083

更に下記式(5)を満たすことが好ましい。これは上記工程(B)において押圧された多層フィルムを上記第1鏡面体に抱かせて次の回転する又は循環する第3鏡面体へと送り出すためである。
TR2<TR1 ・・・(5)

0084

上記工程(B)において押圧された多層フィルムは、上記工程(C)において、上記第1鏡面体に抱かせて次の回転する又は循環する第3鏡面体へと送り出す。

0085

上記第3鏡面体の表面温度は、特に制限されないが、反り変形を抑制する観点から、下記式(6)を満たすことが好ましい。
(Tβ−20)≦TR3 ・・・(6)
ここで、TR3は上記第3鏡面体の表面温度である。温度の単位は何れも℃である。

0086

上記第3鏡面体の表面温度は、反り変形を抑制する観点から、好ましくは(Tβ−20)℃以上、より好ましくは(Tβ−15)℃以上、更に好ましくは(Tβ−10)℃以上であってよい。一方、上記(α2)層に上記第3鏡面体との剥離に伴う外観不良(剥離痕)が現れないようにする観点から、好ましくは(Tα2+5)℃以下、より好ましくは(Tα2)℃以下であってよい。

0087

本発明の好ましい製造方法の一例を、図1を用いて更に説明する。図1は本発明の製造方法に使用する装置の一例を示す概念図である。第1アクリル系樹脂及び第2アクリル系樹脂として用いる(上記(α1)層と上記(α2)層の両方の層に用いる)アクリル系樹脂は、好ましくは製膜に供する前に十分に乾燥した後、乾燥機から両外層用押出機1に直接輸送、投入される。芳香族ポリカーボネート系樹脂は、好ましくは製膜に供する前に十分に乾燥した後、乾燥機から中間層用押出機2に直接輸送、投入される。投入されたアクリル系樹脂は、両外層用押出機1により両外層(上記(α1)層、及び上記(α2)層)として、投入された芳香族ポリカーボネート系樹脂は中間層用押出機2により中間層(上記(β)層)として、マルチマニホールド方式の2種3層共押出Tダイ3から連続的に共押出される。

0088

共押出Tダイ3は、通常240℃以上、好ましくは250℃以上、かつ通常320℃以下、好ましくは300℃以下に設定されている。両外層用押出機1、及び中間層用押出機2は何れもスクリュウ先端の計量ゾーンにおいて真空ベントされている。また窒素パージされている。

0089

共押出Tダイ3から連続的に共押出された第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルム4は、回転する第1鏡面ロール5と回転する第2鏡面ロール6との間に、上記層(α1)が、第1鏡面ロール5側となるように供給投入され、押圧される。これにより溶融フィルム4には、第1鏡面ロール5及び第2鏡面ロールの高度に平滑な面状態が転写され、ダイスジ等の不良箇所が修正されると考察できる。

0090

第1鏡面ロール5と第2鏡面ロール6は、通常、高度に平行に、かつ水平に配置される。共押出Tダイ3から押出された溶融フィルム4は、通常、略重力方向に搬送され、第1鏡面ロール5と第2鏡面ロール6に、通常、略同時に接する。即ち、第1鏡面ロール5と第2鏡面ロール6の間隙を含む鉛直面と溶融フィルム4となす角は、通常2度未満、好ましくは1度以下、より好ましくは0.5度以下、更に好ましくは0.1度以下、最も好ましくは0度であってよい。

0091

第1鏡面ロール5及び第2鏡面ロール6としては上述したものを使用することができる。

0092

第1鏡面ロール5の表面温度は、通常(Tα+10)℃以下、好ましくは(Tα+7)℃以下、更に好ましくは(Tα+5)℃以下に設定する。一方、好ましくは(Tβ−20)℃以上、より好ましくは(Tβ−15)℃以上、更に好ましくは(Tβ−10)℃以上に設定する。また通常(Tα−15)℃以上、好ましくは(Tα−10)℃以上、より好ましくは(Tα−5)℃以上に設定する。

0093

第2鏡面ロール6の表面温度は、通常(Tα+5)℃以下、好ましくは(Tα)℃以下に設定する。一方、通常(Tα−25)℃以上、好ましくは(Tα−15)℃以上、より好ましくは(Tα−10)℃以上に設定する。また好ましくは第1鏡面ロール5の表面温度よりも低く設定する。

0094

ここで、Tαは第1アクリル系樹脂及び第2アクリル系樹脂として用いるアクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。ガラス転移温度の定義、及び測定方法については上述した。

0095

第1鏡面ロール5と第2鏡面ロール6により押圧された溶融フィルム4は、第1鏡面ロール5に抱かれて、その後第1鏡面ロールからリリースされ、リリースされた多層フィルム7は次の回転する第3鏡面ロール8へと送り出される。

0096

第3鏡面ロールの表面温度は、好ましくは(Tβ−20)℃以上、より好ましくは(Tβ−15)℃以上、更に好ましくは(Tβ−10)℃以上に設定する。一方、好ましくは(Tα+5)℃以下、より好ましくは(Tα)℃以下に設定する。

0097

2.多層フィルム:
本発明の多層フィルムは、第1アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第2アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層され;上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度(Tβ)が100〜140℃であり、下記式(4‐1)、及び(4‐2)を満たす多層フィルムである。
(Tβ−Tα1)≦30 ・・・(4‐1)
(Tβ−Tα2)≦30 ・・・(4‐2)
Tα1は上記第1アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tα2は上記第2アクリル系樹脂のガラス転移温度、Tβは上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度である。温度の単位は何れも℃である。ガラス転移温度の定義、及び測定方法については上述した。

0098

上記(α1)層、上記(β)層、及び上記(α2)層の各層の厚み、並びに上記多層フィルムの全厚みについては、本発明の多層フィルムの製造方法の説明において上述した。

0099

上記(α1)層に用いる第1アクリル系樹脂、及び上記(α2)層に用いる第2アクリル系樹脂については、本発明の多層フィルムの製造方法の説明において上述した。これらの中で、ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体が好ましく、ビニルシクロヘキサン・メタクリル酸メチル共重合体がより好ましい。この場合、重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を50〜95モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を50〜5モル%の量で含むアクリル系樹脂が更に好ましい。重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチルメタクリレートに由来する構造単位を50〜95モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を50〜5モル%の量で含むアクリル系樹脂が最も好ましい。

0100

本発明の多層フィルムは、反り変形を抑制する観点から、上記第1アクリル系樹脂と上記第2アクリル系樹脂が同じアクリル系樹脂である(上記(α1)層と上記(α2)層の両方の層に、同じアクリル系樹脂を用いる)ことが好ましい。

0101

上記(β)層に用いる芳香族ポリカーボネート系樹脂については、本発明の多層フィルムの製造方法の説明において上述した。

0102

上記芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、反り変形を抑制する観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下であってよい。一方、耐熱性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であってよい。ガラス転移温度の定義、及び測定方法については上述した。

0103

ガラス転移温度が100〜140℃であるような上記芳香族ポリカーボネート系樹脂については、本発明の多層フィルムの製造方法の説明において上述した。これらの中で、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を99〜80モル%、脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を1〜20モル%の量で含む芳香族ポリカーボネート系樹脂が好ましい。

0104

上記(Tβ−Tα1)の値は、反り変形を抑制する観点、及び外観を良好にする観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下であってよい。

0105

同様に、上記(Tβ−Tα2)の値は、反り変形を抑制する観点、及び外観を良好にする観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下であってよい。

0106

本発明の多層フィルムは、任意の製造方法により得ることができる。本発明の多層フィルムは、好ましくは、本発明の多層フィルムの製造方法により得ることができる。

0107

本発明の多層フィルムは、全光線透過率(JIS K7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上であってよい。本発明の多層フィルムは、全光線透過率が85%以上であることにより、画像表示装置部材として好適に用いることができる。全光線透過率は高いほど好ましい。

0108

本発明の多層フィルムは、レタデーション(王子計測機器株式会社の平行ニコル回転法による位相差測定装置「KOBRA−WR(商品名)」を用いて測定。)が、通常75nm以下、好ましくは50nm、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下、更により好ましくは20nm以下、最も好ましくは15nm以下、であってよい。本発明の多層フィルムは、レタデーションが75nm以下であることにより、画像表示装置部材として好適に用いることができる。レタデーションは低いほど好ましい。

0109

本発明の多層フィルムは、吸水率(下記実施例の試験(ハ)に従い測定。)が、通常1.5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下であってよい。本発明の多層フィルムは、吸水率が通常1.5質量%以下、好ましくは1質量%以下であることにより、画像表示装置部材として好適に用いることができる。吸水率は低いほど好ましい。

0110

本発明の多層フィルムは、黄色度指数(JIS K 7105:1981に従い、株式会社島津製作所の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定。)が、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下であってよい。本発明の多層フィルムは、黄色度指数が3以下であることにより、画像表示装置部材として好適に用いることができる。黄色度指数は低いほど好ましい。

0111

3.ハードコート積層フィルム:
本発明のハードコート積層フィルムは、本発明の多層フィルムの少なくとも片面の上に、好ましくは反り変形を抑制する観点から両方の面の上に、ハードコートを有するハードコート積層フィルムである。

0112

本発明のハードコート積層フィルムの有するハードコートは特に限定されない。好ましいハードコートとしては、例えば、特許第5870222号、特許第5963376号、特願2016−006936、及び特願2016−029588などに記載された技術を用いて形成されるハードコートをあげることができる。

0113

4.物品:
本発明の物品は、本発明の多層フィルムやハードコート積層フィルムを含む物品である。上記物品としては、特に制限されないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイなどの画像表示装置(タッチパネル機能を有する画像表示装置及びタッチパネル機能を有しない画像表示装置を含む。)並びにこれらのディスプレイ面板、透明導電性基板、及び筐体などの部材;テレビパソコンタブレット型情報機器スマートフォン、及びこれらの筐体やディスプレイ面板;冷蔵庫洗濯機食器棚衣装棚、及びこれらを構成するパネル建築物の窓や扉など;車両、車両の窓、風防ルーフウインドウ、及びインストルメントパネルなど;電子看板、及びこれらの保護板;及びショーウインドウなどをあげることができる。

0114

本発明の物品を生産するに際し、得られる物品に高い意匠性を付与するため、本発明の多層フィルムやハードコート積層フィルムの正面(物品が実使用に供される際に、通常視認される側となる面。以下、同じ。)とは反対側の面の上に化粧シートを積層してもよい。このような実施態様は、本発明の多層フィルムやハードコート積層フィルムを、冷蔵庫、洗濯機、食器棚、及び衣装棚などの物品の、本体正面の開口を開閉する扉体の正面を構成するパネルや、本体平面の開口を開閉する蓋体の平面を構成するパネルとして用いる場合に、特に有効である。上記化粧シートとしては、制限されず、任意の化粧シートを用いることができる。上記化粧シートとしては、例えば、任意の着色樹脂シートを用いることができる。

0115

上記着色樹脂シートとしては、例えば、芳香族ポリエステル脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリエチレンポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂セロファントリアセチルセルロースジアセチルセルロース、及びアセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合樹脂ABS樹脂)、スチレン・エチレン・プロピレンスチレン共重合体、スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、及びスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂ポリ塩化ビニル系樹脂ポリ塩化ビニリデン系樹脂ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコールエチレンビニルアルコールポリエーテルエーテルケトンナイロンポリアミドポリイミドポリウレタンポリエーテルイミドポリスフォンポリエーテルスルフォン;などの着色樹脂シートをあげることができる。これらのシートは、無延伸シート一軸延伸シート二軸延伸シート包含する。またこれらの1種以上を2層以上積層した積層シートを包含する。

0116

上記着色樹脂シートの厚みは、特に制限されないが、通常20μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上であってよい。また物品の薄肉化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは400μm以下であってよい。

0117

上記着色樹脂シートの正面側の面の上には、所望により、意匠感を高めるため、印刷層を設けてもよい。上記印刷層は、高い意匠性を付与するために設けるものであり、任意の模様を任意のインキと任意の印刷機を使用して印刷することにより形成することができる。

0118

印刷は、直接又はアンカーコートを介して、本発明の多層フィルムやハードコート積層フィルムの正面とは反対側の面の上に、又は/及び上記着色樹脂シートの正面側の面の上に、全面的に又は部分的に、施すことができる。模様としては、ヘアライン等の金属調模様木目模様大理石等の岩石の表面を模した石目模様布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、寄木模様、及びパッチワークなどをあげることができる。印刷インキとしては、バインダーに顔料、溶剤、安定剤、可塑剤触媒、及び硬化剤等を適宜混合したものを使用することができる。上記バインダーとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂塩化ビニル酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルアクリル系共重合体樹脂塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂ブチラール系樹脂ポリスチレン系樹脂ニトロセルロース系樹脂、及び酢酸セルロース系樹脂などの樹脂、及びこれらの樹脂組成物を使用することができる。また金属調意匠を施すため、アルミニウム、錫、チタンインジウム及びこれらの酸化物などを、直接又はアンカーコートを介して、本発明の多層フィルムやハードコート積層フィルムの正面とは反対側の面の上に、又は/及び上記着色樹脂シートの正面側の面の上に、全面的に又は部分的に、公知の方法により蒸着してもよい。

0119

本発明の多層フィルムやハードコート積層フィルムと上記化粧シートとの積層は、特に制限されず、任意の方法で行うことができる。上記方法としては、例えば、公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法;及び公知の粘着剤からなる層を形成した後、両者を重ね合せ押圧する方法;などをあげることができる。

0120

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0121

測定方法
(イ)全光線透過率:
JIS K 7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定した。

0122

(ロ)レタデーション:
王子計測機器株式会社の平行ニコル回転法による位相差測定装置「KOBRA−WR(商品名)」を用いて測定した。

0123

(ハ)吸水率(吸水した水の質量百分率):
JIS K7209:2009のA法に従い、多層フィルムから採取した正方形マシン方向50mm×横方向50mm)の試験片を用い、浸漬時間24時間の条件で測定した。

0124

(ニ)反り変形:
フィルムの横方向の中央部、左端部、右端部の3箇所について、フィルムのマシン方向に10m毎に5箇所の計15箇所から、マシン方向15cm×横方向7cmのサンプルを採取し、温度85℃、相対湿度85%で16時処理した後、サンプルを凸反りとなっている面を下向きにして水平面に置いた際の4隅の反り変形による浮き上がり高さを測定した。結果の表には、全15サンプル各4カ所のうち最も悪い(反り変形による浮き上がり高さが最も大きい)ものを記載した。反り変形による浮き上がりの高さは、好ましくは8mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下であってよい。反り変形は小さい程好ましい。

0125

(ホ)黄色度指数;
JIS K 7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定した。

0126

(へ)表面外観
フィルム表面(両方の面)を、蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:表面にうねりや傷がない。間近に光を透かし見ても、感がない。
○:間近に見ると、表面にうねりや傷を僅かに認める。間近に光を透かし見ると、僅かな曇感がある。
△:表面にうねりや傷を認めることができる。また曇感がある。
×:表面にうねりや傷を多数認めることができる。また明らかな曇感がある。

0127

使用した原材料
(α)アクリル系樹脂:
(α‐1)重合性モノマーに由来する構造単位の総和を100モル%として、メチルメタクリレートに由来する構造単位を76.8モル%の量で、及びビニルシクロヘキサンに由来する構造単位を23.2モル%の量で含むアクリル系樹脂。なお各構造単位の含有量は1H−NMRを使用して測定した。ガラス転移温度117℃。
(α‐2)エボニック社のポリ(メタ)アクリルイミド「PLEXIMID TT50(商品名)」。ガラス転移温度150℃。
(α‐3)エボニック社のポリ(メタ)アクリルイミド「PLEXIMID TT70(商品名)」。ガラス転移温度175℃。

0128

(β)芳香族ポリカーボネート系樹脂:
(β‐1)芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位の和を100モル%として、芳香族ジヒドロキシ化合物(ビスフェノールA)に由来する構造単位を91.8モル%、脂肪族ジカルボン酸(セバシン酸)に由来する構造単位を8.2モル%の量で含む芳香族ポリカーボネート系樹脂。なお各構造単位の含有量は1H−NMRを使用して測定した。ガラス転移温度127℃。
(β‐2)住化スタイロンポリカーボネート株式会社の芳香族ポリカーボネートカリバー301−4(商品名)」。ガラス転移温度151℃。

0129

例1
(A)図1に概念図を示す構成の共押出装置を使用した。両外層用押出機1により上記(α-1)を両外層((α1)層及び(α2)層)として、中間層用押出機2により上記(β-1)を中間層として、(α1)層;(β)層;(α2)層;が、この順に直接積層された多層フィルムの溶融フィルム4を、マルチマニホールド方式の2種3層共押出Tダイ3から連続的に共押出した。
(B)回転する第1鏡面ロール5と回転する第2鏡面ロール6との間に、溶融フィルム4を、(α1)層が、第1鏡面ロール5側となるように供給投入し、押圧した。
(C)押圧された多層フィルムは第1鏡面ロール5に抱かせて、次の回転する第3鏡面ロール8へと送り出し、全厚み250μm、(α1)層の層厚み60μm、(β)層の層厚み130μm、(α2)層の層厚み60μmの多層フィルムを得た。このとき共押出Tダイの温度は270℃、第1鏡面ロールの表面温度は120℃、第2鏡面ロールの表面温度は115℃、及び第3鏡面ロールの表面温度は120℃に設定した。また引取速度6.5m/分であった。
上記試験(イ)〜(へ)を行った。結果を表1に示す。

0130

例2〜6
第1鏡面ロール、第2鏡面ロール、及び第3鏡面ロールの表面温度を表1に示すように変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。

0131

例7
上記(α‐1)の替わりに上記(α‐2)を、上記(β‐1)の替わりに上記(β‐2)を用い、第1鏡面ロールの表面温度は140℃、第2鏡面ロールの表面温度は135℃、及び第3鏡面ロールの表面温度は140℃に設定したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。

0132

例8
上記(α‐1)の替わりに上記(α‐2)を、上記(β‐1)の替わりに上記(β‐2)を用い、第1鏡面ロールの表面温度は130℃、第2鏡面ロールの表面温度は120℃、及び第3鏡面ロールの表面温度は130℃に設定したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。

0133

例9
上記(α‐1)の替わりに上記(α‐3)を、上記(β‐1)の替わりに上記(β‐2)を用い、第1鏡面ロールの表面温度は160℃、第2鏡面ロールの表面温度は140℃、及び第3鏡面ロールの表面温度は160℃に設定したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。

0134

例10
上記(β‐1)の替わりに上記(β‐2)を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。

0135

実施例

0136

本発明の方法により、湿熱処理後の反り変形が抑制され、透明性、色調、及び外観に優れ、レタデーションの小さい多層フィルムを得ることができた。

図面の簡単な説明

0137

本発明の製造方法に使用する装置の一例を示す概念図である。
実施例で用いたアクリル系樹脂(α‐1)の1H−NMRスペクトルである。
実施例で用いたアクリル系樹脂(α‐1)の13C−NMRスペクトルである。
実施例で用いた芳香族ポリカーボネート系樹脂(β‐1)の1H−NMRスペクトルである。
実施例で用いた芳香族ポリカーボネート系樹脂(β‐1)の13C−NMRスペクトルである。

0138

1:両外層用押出機
2:中間層用押出機
3:マルチマニホールド形式の2種3層共押出Tダイ
4:Tダイから共押出された多層フィルムの溶融フィルム
5:第1鏡面ロール
6:第2鏡面ロール
7:第1鏡面ロールから第3鏡面体へと送り出される多層フィルム
8:第3鏡面ロール

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