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技術 害敵水生々物殺滅用の多孔ノズル

出願人 株式会社晃和工業アクアインパルス株式会社国立大学法人東北大学
発明者 木島明博小濱泰昭池田実栗田喜久千葉郁雄菅野哲也
出願日 2017年8月24日 (1年3ヶ月経過) 出願番号 2017-161355
公開日 2018年3月15日 (9ヶ月経過) 公開番号 2018-038393
状態 特許登録済
技術分野 養殖
主要キーワード 墨部分 損傷付与 剣先状 下落率 非圧縮流体 上昇流れ 拡大管 揚水配管
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (19)

課題

給水中に害敵水生々物を物理的に殺滅することにより、前処理水槽薬剤中和剤などが不要となり、取水した水をそのまま飼育水槽に給水することができる害敵水生々物殺滅用多孔ノズルを提供する。

解決手段

入口開口から部3に向かって縮径した入口側開口部2と、その出口側端部4bが出口開口となっている喉部3とで構成されたノズル孔1が3個以上隣接して設けられた害敵水生々物殺滅用多孔ノズルAであって、 隣接するノズル孔1の入口側開口部2が互いに干渉する距離に設けられて、入口側開口部2の干渉部分6の隔壁5がU形に切除されており、隣接する前記U字形切除部分5bの間の切残し部分5aが剣先状に形成されていることを特徴とする。

概要

背景

近年、グローバル化による発展途上国の所得伸長と世界的な健康志向ブームによる食生活の変化に伴い、海洋水産物需要が大きく伸びている。これを受けて、海に接する海洋諸国は様々な条約類を適用して海洋水産物の囲い込み画策しており、更には公海での遠洋漁業による乱獲のために回遊魚の供給は減少する一方である。そこで、我が国のみならず、各国でも様々な海洋水産物の人口種苗生産や種々の養殖奨励されている。

このような養殖対象には様々なものがあり、例えば、ウナギのように養殖対象の稚魚産卵海域採取しこれを成魚まで養殖するものや、マグロ真鯛のように交配させて生まれた孵化仔魚を成魚まで育て上げる完全養殖、更には交配させて生まれた海洋性無脊椎動物(例えば、ナマコウニ貝類カキアワビホタテ))の幼生(ラーバとも言う)を放流可能な大きさまで育て、自然の生産力活用する人工種苗生産放流(栽培漁業)などがある。
の場合、受精卵から孵化した仔魚は貝類等よりかなり大きくて害敵水生々物の食害を受けることはないが、前述のように、貝類などの幼生(ラーバ)は、例えば、全長100μm以下の害敵水生々物の食害を受けてしまう。勿論、上記のような海洋性に限らず、汽水又は淡水性無脊椎動物も養殖対象となる。

養殖方式にも様々な方式があり、例えば、海面に生簀を浮かべてそれに網を張り、その中に稚魚を入れて養殖する「海面生簀養殖」と、上に水槽を設置し、魚介類を水槽で飼育する「陸上養殖」とがある。

陸上養殖(魚の養殖の場合)では、飼育水槽から養殖水を抜き出し、養殖水に混入している残餌、飼育対象の有機排泄物であるアンモニアなどを様々な設備で分離または分解処理して循環させ養殖水を再利用する「閉鎖循環方式(特許文献1)」と、海水取水ポンプ揚水し、養殖対象の害敵となる水生々物を処理水槽で予め薬剤処理し、処理水を飼育水槽に供給し、その給水分を飼育水槽から海(河川)に排水する「かけ流し方式(図16、17)」とがある。養殖方法は、コストや労働環境、養殖対象を考慮して最適の方式が取られる。

「かけ流し方式(図16、17)」の場合、揚水ポンプP1を作動させ、海(河川)からの揚水Rを一次フィルタ41で粗濾過し、二次フィルタ21で細かい夾雑物を濾過して飼育水槽10に給水している。この濾過水R中にはラーバを捕食して全滅させることもある、或いは、ラーバが稚体に変態した稚体飼育の時点で養殖者投与したを食い尽くすことで「餌競合問題」など、様々な害を引き起こすこともある害敵水生々物9「例えば、コペポーダ(一般的で年中発生する浮遊性動物プランクトン、特に、カイアシ類甲殻水生動物)」が含まれているので、汲み上げた海水Rは飼育水槽10に給水する前にこれらを出来るだけ殺滅することが必要とされている。
(なお、養殖対象が害敵水生々物9に対する耐性を備える稚体まで成長すれば、コペポーダのような害敵水生々物9の捕食による食害は受けなくなるが、前述の「餌競合問題」は残る。)

処が、海水R中に存在する害敵水生々物9は、成体だけでなく、シスト:約10μm以上)で存在する。これが飼育水槽10内に混入すると飼育水槽10内で孵化し、短時間で増殖し、上記の問題を引き起こす。しかも、シストに対しては、紫外線殺菌装置、オゾンなどでは効果がない。唯一高性能フィルタで濾過する方法があるが、目が細か過ぎて短時間で目詰まりし、実用化が困難である。

そのために図17に示すように、飼育水槽10と同程度の大きさの前処理用水槽15を別途用意して大量の殺薬剤投入し、害敵水生々物を予めかなりの確率で殺滅し、然る後、中和剤を投入して殺薬剤を十分に中和し、最後に移送ポンプP2により前処理用水槽15から処理した海水Rを吸引し、移送配管35を介して飼育水槽10に給水するという手順を取っている。
在来の「かけ流し方式」はこのような設備構成であるので、従来の「閉鎖循環方式」に比べて設備コストは大幅に低く抑えることができるものの、なお、海洋性無脊椎動物の養殖には大型の前処理水槽15、大量の殺薬剤と中和剤、害敵水生々物の常時確認と管理が必要であり、その分、最も手間と時間及びコストがかかる方式であった。
また、薬剤の残留が懸念されることから、化学薬品を使用しない処理方法が望まれている。

なお、用途は異なるが上記害敵水生々物殺滅用の装置として、特許文献2に示すようなスリット孔を利用した装置が提案されているが、スリット孔を海水が通過する際にスリット板の前面で渦が発生して圧力損失が過大となり、しかも過大な圧力損失にも拘わらず、スリット孔を通り抜ける害敵水生々物が多く、高い効率でこれらを殺滅することができなかった。加えて、スリット孔の間隔を狭くするとスリット孔の間の細い部分の強度が低下するため、スリット孔の間隔を縮めることができず、装置形状も大きくなってしまうという問題があった。この点は従来のベンチュリ管を用いる場合でも同様である。

概要

給水中に害敵水生々物を物理的に殺滅することにより、前処理水槽、薬剤、中和剤などが不要となり、取水した水をそのまま飼育水槽に給水することができる害敵水生々物殺滅用多孔ノズルを提供する。入口開口から部3に向かって縮径した入口側開口部2と、その出口側端部4bが出口開口となっている喉部3とで構成されたノズル孔1が3個以上隣接して設けられた害敵水生々物殺滅用多孔ノズルAであって、 隣接するノズル孔1の入口側開口部2が互いに干渉する距離に設けられて、入口側開口部2の干渉部分6の隔壁5がU形に切除されており、隣接する前記U字形切除部分5bの間の切残し部分5aが剣先状に形成されていることを特徴とする。

目的

また、薬剤の残留が懸念されることから、化学薬品を使用しない処理方法が望まれている

効果

実績

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請求項1

入口開口から部に向かって縮径した入口側開口部と、その出口側端部が出口開口となっている喉部とで構成されたノズル孔が3個以上隣接して設けられた害敵水生々物殺滅用多孔ノズルであって、隣接するノズル孔の入口側開口部が互いに干渉する距離に設けられて、入口側開口部の干渉部分隔壁がU形に切除されており、隣接する前記U字形切除部分の間の切残し部分が剣先状に形成されていることを特徴とする害敵水生々物殺滅用多孔ノズル。

請求項2

請求項1に記載の害敵水生々物殺滅用多孔ノズルにおいて、喉部3の内径が0.5mm〜3mmに形成されていることを特徴とする害敵水生々物殺滅用多孔ノズル。

技術分野

0001

本発明は、「かけ流し方式」の養殖設備と同設備で使用される器具に関し、貝類ナマコなど、無脊椎動物人工種苗養殖種)をラーバ(生まれたての幼生)から食用可能な大きさまでに育成させる過程、特に害敵水生々物の食害を受けやすいラーバに対する害敵水生々物を高効率で殺滅する多孔ノズルに係る。

背景技術

0002

近年、グローバル化による発展途上国の所得伸長と世界的な健康志向ブームによる食生活の変化に伴い、海洋水産物需要が大きく伸びている。これを受けて、海に接する海洋諸国は様々な条約類を適用して海洋水産物の囲い込み画策しており、更には公海での遠洋漁業による乱獲のために回遊魚の供給は減少する一方である。そこで、我が国のみならず、各国でも様々な海洋水産物の人口種苗生産や種々の養殖が奨励されている。

0003

このような養殖対象には様々なものがあり、例えば、ウナギのように養殖対象の稚魚産卵海域採取しこれを成魚まで養殖するものや、マグロ真鯛のように交配させて生まれた孵化仔魚を成魚まで育て上げる完全養殖、更には交配させて生まれた海洋性無脊椎動物(例えば、ナマコ、ウニ、貝類(カキアワビホタテ))の幼生(ラーバとも言う)を放流可能な大きさまで育て、自然の生産力活用する人工種苗生産放流(栽培漁業)などがある。
の場合、受精卵から孵化した仔魚は貝類等よりかなり大きくて害敵水生々物の食害を受けることはないが、前述のように、貝類などの幼生(ラーバ)は、例えば、全長100μm以下の害敵水生々物の食害を受けてしまう。勿論、上記のような海洋性に限らず、汽水又は淡水性無脊椎動物も養殖対象となる。

0004

養殖方式にも様々な方式があり、例えば、海面に生簀を浮かべてそれに網を張り、その中に稚魚を入れて養殖する「海面生簀養殖」と、上に水槽を設置し、魚介類を水槽で飼育する「陸上養殖」とがある。

0005

陸上養殖(魚の養殖の場合)では、飼育水槽から養殖水を抜き出し、養殖水に混入している残餌、飼育対象の有機排泄物であるアンモニアなどを様々な設備で分離または分解処理して循環させ養殖水を再利用する「閉鎖循環方式(特許文献1)」と、海水取水ポンプ揚水し、養殖対象の害敵となる水生々物を処理水槽で予め薬剤処理し、処理水を飼育水槽に供給し、その給水分を飼育水槽から海(河川)に排水する「かけ流し方式(図16、17)」とがある。養殖方法は、コストや労働環境、養殖対象を考慮して最適の方式が取られる。

0006

「かけ流し方式(図16、17)」の場合、揚水ポンプP1を作動させ、海(河川)からの揚水Rを一次フィルタ41で粗濾過し、二次フィルタ21で細かい夾雑物を濾過して飼育水槽10に給水している。この濾過水R中にはラーバを捕食して全滅させることもある、或いは、ラーバが稚体に変態した稚体飼育の時点で養殖者投与したを食い尽くすことで「餌競合問題」など、様々な害を引き起こすこともある害敵水生々物9「例えば、コペポーダ(一般的で年中発生する浮遊性動物プランクトン、特に、カイアシ類甲殻水生動物)」が含まれているので、汲み上げた海水Rは飼育水槽10に給水する前にこれらを出来るだけ殺滅することが必要とされている。
(なお、養殖対象が害敵水生々物9に対する耐性を備える稚体まで成長すれば、コペポーダのような害敵水生々物9の捕食による食害は受けなくなるが、前述の「餌競合問題」は残る。)

0007

処が、海水R中に存在する害敵水生々物9は、成体だけでなく、シスト:約10μm以上)で存在する。これが飼育水槽10内に混入すると飼育水槽10内で孵化し、短時間で増殖し、上記の問題を引き起こす。しかも、シストに対しては、紫外線殺菌装置、オゾンなどでは効果がない。唯一高性能フィルタで濾過する方法があるが、目が細か過ぎて短時間で目詰まりし、実用化が困難である。

0008

そのために図17に示すように、飼育水槽10と同程度の大きさの前処理用水槽15を別途用意して大量の殺薬剤投入し、害敵水生々物を予めかなりの確率で殺滅し、然る後、中和剤を投入して殺薬剤を十分に中和し、最後に移送ポンプP2により前処理用水槽15から処理した海水Rを吸引し、移送配管35を介して飼育水槽10に給水するという手順を取っている。
在来の「かけ流し方式」はこのような設備構成であるので、従来の「閉鎖循環方式」に比べて設備コストは大幅に低く抑えることができるものの、なお、海洋性無脊椎動物の養殖には大型の前処理水槽15、大量の殺薬剤と中和剤、害敵水生々物の常時確認と管理が必要であり、その分、最も手間と時間及びコストがかかる方式であった。
また、薬剤の残留が懸念されることから、化学薬品を使用しない処理方法が望まれている。

0009

なお、用途は異なるが上記害敵水生々物殺滅用の装置として、特許文献2に示すようなスリット孔を利用した装置が提案されているが、スリット孔を海水が通過する際にスリット板の前面で渦が発生して圧力損失が過大となり、しかも過大な圧力損失にも拘わらず、スリット孔を通り抜ける害敵水生々物が多く、高い効率でこれらを殺滅することができなかった。加えて、スリット孔の間隔を狭くするとスリット孔の間の細い部分の強度が低下するため、スリット孔の間隔を縮めることができず、装置形状も大きくなってしまうという問題があった。この点は従来のベンチュリ管を用いる場合でも同様である。

先行技術

0010

特開2011−130685号公報
特開2007−843号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、貝類、ナマコなどの海洋性・水棲(海水又は河川水、汽水など)無脊椎動物等の養殖対象種に対する従来の「かけ流し方式」の問題点を解決するためになされたもので、ノズル孔通過時の圧損が最小で大量の給水を短時間に処理できるにも拘わらず、高い確率で給水中の害敵水生々物を物理的に殺滅或いは傷害を与えることができ(従って、大型の前処理水槽、大量の薬剤と中和剤などが不要となる)、取水した水(海水又は河川水、汽水など)をそのまま飼育水槽に給水することを可能にした、画期的な害敵水生々物殺滅用多孔ノズルの実現をその課題とするものである。

課題を解決するための手段

0012

請求項1に記載の発明は、「害敵水生々物殺滅用多孔ノズルA」に関し(図5)、
入口開口から部3に向かって縮径した入口側開口部2と、その出口側端部4bが出口開口となっている喉部3とで構成されたノズル孔1が3個以上隣接して設けられた害敵水生々物殺滅用多孔ノズルAであって、
隣接するノズル孔1の入口側開口部2が互いに干渉する距離に設けられて、入口側開口部2の干渉部分6の隔壁5がU形に切除されており、隣接する前記U字形切除部分5bの間の切残し部分5aが剣先状に形成されていることを特徴とする。

0013

請求項1にかかる発明では、水Rがノズル孔1を通流することで、水R中の害敵水生々物9が高効率で物理的に殺滅され、害敵水生々物9の量が大幅に減少した水Rを飼育水槽10に供給できる。
そして多孔ノズルAには、ノズル孔1が3個以上隣接して設けられているので、ノズル孔1夫々の喉部3の口径は、喉部3の内径が大きくノズル孔を1個だけ設ける従来の場合に比べて個数分の1だけ細くすることが出来、その結果、細いノズル孔1(即ち、喉部3)によって微細な害敵水生々物9を効果的に殺滅することが出来る。換言すれば、従来の喉部の内径が大きなノズル孔では、微細な害敵水生々物9は素通りし易く、殺滅効果を上げにくい。しかも、請求項1及び2にかかる発明では、微細な害敵水生々物9に合わせてノズル孔1の孔径、特に、喉部3の内径を自由に選定できるし、処理流量に合わせて1つの多孔ノズルAに穿設するノズル孔1や、流路に設置される多孔ノズルAの数を変化させることで対応することができる。
なお、上記ノズル形状のものは、ノズル孔1の通過時の圧損の減少が少なく、大量の水をスムーズに通すことが出来るので、大型の養殖設備から実験室レベル規模まで対応することが出来る。

0014

また、隣接するノズル孔1の入口側開口部2が互いに干渉する距離に設けられているので、ノズル孔1を密集して穿設することができ、多孔ノズルAの直径を細くできる。換言すれば、ノズル孔1の離間距離を最小にすることができ、装置形状を大幅に小さくすることができる。干渉範囲は、図11〜13の薄墨部分で示すように、入口開口縁を描く円2aが、互いに重なり合う部分(換言すれば、円2aが交わる点)で囲まれる範囲である。
また、隣接するノズル孔1の隔壁5の干渉部分6がU形に切除され、隣接する前記U字形切除部分5bの間の切残し部分5aが剣先状に形成されているので、剣先状の切残し部分5aによって流入側の水Rが各ノズル孔1の入口側開口部2に向かって切り分けられてガイドされ、この部分で渦Uを生じることなく入口側開口部2にスムーズに流れ込む。
換言すれば、図18(a)(b)に示すように、隣接するノズル孔100の入口側開口部200が互いに干渉しない位置まで離すと、隣接する入口側開口部200の間に入口側の面200bに平面部200hが形成され、この部分に渦U(乱流)が形成され、入口側開口部2への水Rの流入を阻害流入速度を殺滅する。即ち、圧損を高める。その結果、出口側開口部400から流出する排水流400aの流速が大幅に落ちて排水流400a中のナノバブル8の生成量も少なくなり、害敵水生々物の殺滅率が大幅に低下する。

0015

請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の害敵水生々物殺滅用多孔ノズルAにおいて、喉部3の内径が3mm以下(0.5〜3mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい)に形成されていることを特徴とする。

0016

殺滅対象で最も頑強な2枚貝の幼生のような害敵水生々物9の大きさは、100〜200μm程度であり、喉部3の内径を3mm以下とすることで、これらが出口側開口部4内から外側の水R中に伸びた細長高速排水流4a内に捕捉され、この高速排水流4a内で発生するナノバブル8の爆縮による衝撃により高い確率で致死及び致死に至る障害を与えることが出来る(図14、15)。なお、喉部3の内径は細くなる程、上記致死率障害率が高くなる。
本発明の多孔ノズルAは、大量の給水を必要とする養殖設備Zから図示していない実験室レベルの養殖設備まで適用可能であり、害敵水生々物9の大きさとの関係で、喉部3の内径を3mm以下とした。実用的な範囲は(0.5〜3mmで、より好ましくは1〜3mmである。

発明の効果

0017

以上から明らかなように、本発明の多孔ノズルを使用することにより、従来必要とされていた大型の前処理水槽や大量の薬剤、中和剤などが不要となり、取水した水(海水又は河川水など)をそのまま飼育水槽に給水して貝類を含む無脊椎動物を飼育することが可能となった。

図面の簡単な説明

0018

(a)は本発明ノズルを組込んだ第1実施例(多槽給水)の配管系統図、(b)は複数の配管組込型殺滅部材を直列接続した場合、(c)は同左並列接続した場合である。
本発明ノズルを組込んだ第2実施例(循環給水)の配管系統図である。
本発明ノズルを組込んだ第3実施例(後付型殺滅装置)の配管系統図である。
多孔ノズル(参考例)の拡大縦断面図である。
本発明で使用する多孔ノズルの拡大縦断面図である。
(a)図4の配管組込型殺滅部材の要部縦断面図、(b)入口側から見た図である。
本発明で使用する4孔の多孔ノズルの入口側からの斜視図である。
図7の背面側からの斜視図である。
図7の正面図である。
本発明で使用する19孔の多孔ノズルの入口側からの斜視図である。
ノズル孔が3個の場合の要部正面図である。
ノズル孔が4個の場合の要部正面図である。
ノズル孔が5個の場合の要部正面図である。
害敵水生々物にナノバブルが付着した状態の概念図である。
ナノバブルが爆縮して害敵水生々物に傷を与える状態の概念図である。
従来の掛け流し養殖設備の概略図である。
従来の掛け流し養殖設備で、前処理水槽を用いた場合の概略図である。
(a)流速が上がらなかった従来の多孔ノズルの部分断面図、(b)同正面図である。

実施例

0019

以下、本発明の実施例を、図を参照しながら詳述する。掛け流し方式の養殖場では、通常、多数の飼育水槽10を並設し、各飼育水槽10に常時一定量の新鮮な海水Rを供給し、汚れた養殖水Rを等量だけ排水して一定の水質を保ちつつ養殖している。飼育水槽10で飼育されている養殖種は、種類、発育段階、飼育条件の違い、病害感染防止など様々な観点から飼育水槽10毎或いは群毎に分けて養殖している。そして、飼育水槽10毎に少しずつ水質が異なっているので、外部からの給水時には各飼育水槽10の養殖海水Rが混入してコンタミネーションが発生しないように万全の注意を払って行われている。

0020

図1〜3は多数の飼育水槽10が並設された掛け流し方式の養殖場のフロー例で、図1、2は最初から本発明の配管組込型殺滅部材Kが組み込まれた「かけ流し式」の養殖設備Zで、図2は、特に、メイン配管である給水配管22の海水Rの一部を戻して揚水Rに混ぜ、再度、配管組込型殺滅部材Kを通す循環方式取り入れた養殖設備Zである。
図3既設の「かけ流し式」の養殖設備Zに後付けで独立した後付型殺滅装置Bを設置する場合である。図1又は2の設備に図3の後付型殺滅装置Bを更に設置することも可能である。
「かけ流し式」では、海水、河川水或いは汽水など養殖種によって最適の水Rが使用されるが、河川水或いは汽水も同様であるので、ここでは海水Rをその代表例として説明する。

0021

図1(a)において養殖設備Zは、流入渠30、揚水ポンプP1、揚水配管20、一次フィルタ41としての砂濾過器、給水配管22、給水配管22の分岐配管22a、水槽用開閉弁52、1乃至複数の多孔ノズルAを内蔵した配管組込型殺滅部材K、給水用上開閉バルブ42a、給水用下開閉バルブ42b、短絡配管23、循環用開閉バルブ32、二次フィルタ21、1乃至複数の飼育水槽10、及び排水部12とで構成されている。
配管組込型殺滅部材Kは1基でも良いし、同図(b)に示すように、複数の配管組込型殺滅部材K1〜Knを直列に接続してもよいし、同図(c)に示すように、並列に接続してもよい。以下、配管組込型殺滅部材Kが1基を代表例として説明し、複数を用いたこれらについては後述する。

0022

海水Rには大小さまざまなごみや、クラゲ小魚のような水生々物、海藻類などの夾雑物が混じっていることもあり、そのまま養殖設備Zに取り込めない。流入渠30は、海(川)に面して設置されており、このような夾雑物を沈殿或いは浮上させて除去し、海水Rだけを揚水ポンプP1に供給する設備である。この段階の海水Rには大小様々な且つ多様な害敵水生々物9が含まれている。

0023

揚水ポンプP1は流入渠30に隣接して設置されており、揚水ポンプP1から揚水配管20が引き出され、一次フィルタ41としての砂濾過器に至る。一次フィルタ41としての砂濾過器は周知のように底に支持層が設けられ、その上に各種濾過材堆積した濾過層が設けられている。ここでは、揚水Rに含まれている細かい夾雑物を濾過することが出来るが、害敵水生々物9やシストの濾過まではできない。一次フィルタ41の底からは給水配管22が引き出されている。

0024

一次フィルタ41の底から引き出された給水配管22は、飼育水槽10に沿って配管されており、給水配管22の分岐配管22aが各飼育水槽10に配管されている。分岐配管22aには水槽用開閉弁52が設置され、その下流に二次フィルタ21が設けられている。

0025

二次フィルタ21は微細なゴミや後述する配管組込型殺滅部材Kにて物理的に破壊された害敵水生々物9の破片や生き残った害敵水生々物9の一部、ある程度大きなシストなどを濾過し、飼育水槽10へのこれらの流入を防止している。一般的にはガラス繊維濾紙、ガラス繊維にセルローズなどを混合した濾紙、ポリプロピレンのような樹脂製フィルターバッグなどが用いられる。

0026

給水配管22には、一次フィルタ41に近い上流側から給水用上開閉バルブ42a、給水ポンプP4、多孔ノズルAを内蔵した配管組込型殺滅部材K及び給水用下開閉バルブ42bが設置されている。配管組込型殺滅部材Kが設置されている部分は縦に配管され、下から上に海水Rが流れるようになっている。
そして給水配管22の給水用上開閉バルブ42aの入口側の入口側接続点Q1と給水用下開閉バルブ42bの出口側の出口側接続点Q2との間に短絡配管23が接続されており、短絡配管23に循環用開閉バルブ32が設置されている。

0027

飼育水槽10は、上面開口の船形樽形箱形のものなどさまざまなものがあり、材質FRPを始め各種の素材が使用されている。本発明に使用される飼育水槽10は、主として交配させて生まれた海洋性無脊椎動物(例えば、ナマコ、ウニ、貝類(カキ、アワビ、ホタテ))のラーバを放流可能な大きさまで育てるためのものである。飼育水槽10には、給水配管22の分岐配管22aと排水部12が設置されている。

0028

配管組込型殺滅部材Kは、主装置として多孔ノズルA(図5が本発明の多孔ノズルで、図4は参考例である。)が用いられ、流量に応じて1乃至複数の多孔ノズルAがフランジ板7に装着される(図6)。フランジ板7の1例を示すと、図6(b)に示すように中心に1個の装着孔7aが形成され、その周囲に6個の装着孔7aが形成されている。装着孔7aの数はこれに限られず1或いは2以上となる。装着孔7aの数が3個以上の場合、隣接する装着孔7aの中心間距離は等距離に穿設されている。例えば、装着孔7aの数が3個の場合は正三角形頂点に設けられ、4個の場合は正方形の頂点或いは1辺を共有する2個の正三角形の頂点に設けられ、7個の場合はフランジ板7の中心に1個、その周囲に均等に6個が設けられる(六方最密構造)。
フランジ板7は給水配管22の途中(縦方向に立設されている部分)に設置され、周囲の通孔で給水配管22のフランジボルト止めにて共締めされる。

0029

多孔ノズルAの使用個数は海水Rの流量によって決まるが、不使用の装着孔7aは閉塞蓋7cにより閉塞される。閉塞蓋7cの挿入端円錐状に形成され、フランジ板7から突出するように装着される。
フランジ板7は上記のように給水配管22の縦向き上昇流れの途中部分に取り付けられ、多孔ノズルAは入口開口を下にしてフランジ板7に取り付けられる。多孔ノズルAの螺着基部にはOリング7bが装着され、漏水を防止している。

0030

多孔ノズルAは、図4(参考例)と図5(本発明)があるが、図5図4の出口開口部4を切除した形状で、基本的な性能は変わらないので、以下、図4(参考例)を以って説明する。
多孔ノズルAは、円柱状の部材で、図6(a)に示すように入口側外周にはフランジ板7の装着孔7aに螺着するための雄螺子刻設されている。従って装着方法はこれに限られないが、図の場合は、ねじによる螺着である。
多孔ノズルAの材質は円柱状の耐蝕性に優れたステンレス又は樹脂部材で、その入口側の面(正面)1aは凹半円球状に形成されており、この凹半円球状の面1aに横断面円形のノズル孔1が正面から背面に向かって3本以上貫通するように穿設されている。ノズル孔1の縦断面形状は基本的に同じ形状に形成されている。

0031

ノズル孔1の内面形状(縦断面形状)の参考例は、図4に示すように入口側開口部2、喉部3及び出口側開口部4とで構成されている。
入口側開口部2は入口開口からノズル孔1の中央の喉部3に向けて、ノズル孔1の中心軸に直交する断面積(入口側水通路面積)が漸減するように縮径されている。
喉部3は最小の断面積の短い円筒孔(或いは入口側開口部2の出口と出口側開口部4の入口とを結ぶ最小の断面積の丸孔)である。
出口側開口部4は喉部3から出口開口に向けてノズル孔1の中心軸に直交する断面積(出口側水通路面積)が漸増するように設けられている。即ち、入口開口から喉部3までが入口側開口部2であり、喉部3から出口開口までが出口側開口部4である。

0032

入口側開口部2の開口角度は出口側開口部4の開口角度より大きく形成されている。
入口側開口部2の開口角度は収縮ノズル損失を最小にするため、例えば22°±3°(半頂角αは11°±1.5°)である。
そして出口側開口部4の開口角度は拡大管損失を最小にするため、例えば7.4°±2°(半頂角βは3.7°±1°)であり、より好ましくは7.4°±1°(半頂角βは3.7°±0.5°)である。

0033

そして、凹半円球状の面1aと入口側開口部2の内周面とを繋ぐ入口側開口部2の入口部分2cは、そのままでは曲面の曲がり具合や曲がり方向が異なるため、その接続ラインで渦発生原因となる角が生じるので、この部分で渦Uが発生させないようにして入口開口への海水Rの流入を円滑に行わせるため、非干渉部分(入口開口縁を描く円2aが、重ならない部分)における両曲面の接合部分2cをなだらかな凸曲面に形成している(図6(a))。即ち、当該接合部分2cにおいて、ノズル孔1の中心軸に平行な断面がノズル孔1の内側に向かって凸円弧状に形成されている。そして、入口部分2cを越えて喉部3側に向かう内面部分は直線状に形成されている。同様に出口側開口部4の内面部分も出口開口まで直線状に形成されている。

0034

入口側開口部2と喉部3の接続部分、及び喉部3と出口側開口部4の接続部分もなだらかな角のない曲面で接続され、ノズル孔1の内面全体は凹半円球状の面1aから出口側開口部4の出口開口に至るまで角のないなだらかな曲面で構成されている。
そして、喉部3の内径は、殺滅対象である最強の水生々物(例えば、前後が貝殻で覆われた二枚貝の幼生)に合わせて決定され、通常は3mm以下とされる。喉部3の内径は、上記のように細い程、致死率や障害率が高くなるので、細い程好ましい。
喉部3の内径は殺滅対象の大きさや頑強さ、必要とされる給水量、差圧によって左右され、その下限は一概に決定できないが、現実的には0.5mmが選択される。通常、致死率や障害率及び圧損を考慮して1mm〜3mmが好ましく、更には2mm±0.5mmがより好ましい。

0035

次に、多孔ノズルAにおけるノズル孔1の配置と孔数に付いて説明する。多孔ノズルAは上記のように海水Rの流量に応じてフランジ板7に穿設された装着孔7aに1〜N個(通常は複数個)装着されることになるので、外径及び長さはあまり大きなものでない。
ノズル孔1の配置例を示すと、3以上のノズル孔1がその円形の正面1aから背面に向かって貫通するように穿設されている。ノズル孔1は同じ形状に形成されている。ノズル孔1が3個以上の場合は、多孔ノズルAの正面1aにおいて、その中心部分に設けられた正三角形の頂点にノズル孔1の中心が設けられる(図11)。
4個の場合は、図12のように正方形の頂点、或いは図7〜9に示すような正面1aの中心に1個のノズル孔1を形成し、その周囲に3個のノズル孔1を120°間隔で形成する。5個の場合は、図13のように5角形の頂点に形成する。いずれの場合も隣接するノズル孔1の中心間距離は等しい。
図10は19個のノズル孔1を形成した例で、中心の1個のノズル孔1の周囲に同心円で2重にノズル孔1を形成した例(六方最密構造)で、内側のノズル孔1は6個、外側のノズル孔1は12個である。図9の場合を含め、正面1aの中心に穿設されたノズル孔1を中心とした、隣接するノズル孔1の中心間距離は等しい。換言すれば、3孔、7孔又は19孔の場合、正三角形の集合体の頂点にノズル孔1が穿設される。

0036

ノズル孔1の配置間隔は、隣接するノズル孔1の入口側開口部2が互いに干渉する距離に位置するように設けられる。これにより入口側開口部2の干渉部分6の隔壁5がU形でその稜線がU形のナイフエッジに切除され、隣接する前記U字形切除部分5bの間の切残し部分5aが剣先状に形成される。このように隣接するノズル孔1の入口側開口部2が互いに干渉する距離内に位置するように設けると、凹半球状の面1aは、外周部分を除き、ノズル孔1の入口開口とU形に切除された隔壁5のナイフエッジ状前縁と剣先状の切残し部分5aとで占められる。そして凹半球状の面1aの外周部分も断面円弧状の入口部分2cになだらかに入口側開口部2の内周面に連続的に繋がっている。

0037

次に、ノズル孔1を通過する海水Rの挙動に付いて説明する。給水ポンプP4により一次フィルタ41から吸引した海水Rは、多孔ノズルAの入口開口に至る。多孔ノズルAの入口開口に至った海水Rは複数のノズル孔1に分流して流れ込むが、圧力損失を最小にするにはこの時点で渦Uを発生させないことが重要である。

0038

多孔ノズルAの正面1aは上記のように凹半球状に形成されており、その大半が前述のように入口側開口部2と、ナイフエッジ状に形成されたU字形切除部分5bと、U字形切除部分5bの端部に形成された剣先状の切残し部分5aとで構成されるので、この部分に接した海水Rは剣先状の切残し部分5aに沿って、更にはU字形切除部分5bの壁面に沿って分流し、その周囲の入口側開口部2に渦Uを起こすことなく層流状で入口側開口部2にスムーズに流れ込む。
正面1aのそれ以外の部分である周囲部分もなだらかな曲面で入口部分2cに接続されているので、やはり海水Rが渦を起こすことなく層流状で最も近いノズル孔1に流れ込む。
これにより入口側では入口側圧力に応じた流れで殆ど圧力損失なくノズル孔1に流れ込む。そして、ノズル孔1の入口側開口部2は喉部3に向かって次第に細くなっているので、断面積の減少に伴い流速を上げる。入口側開口部2では上記のような半頂角αを採用しているので、収縮ノズル損失は最小に抑制される。

0039

流速は喉部3で最速となり、出口側開口部4に入ると断面積の漸増と共に流速が落ちるが、同時に急速に減圧が生じ、海水R中の溶存ガス開放されて出口側開口部4を流れる高速排水流(整流コア層とも言う)4a中に無数のナノバブル8を発生させる。出口側開口部4の流速が速い場合、高速排水流4aは出口側開口部4を出た後でも上方に向かって長く尾を引いた状態で水中を流れる。そして、高速排水流4aの外側に渦Uが形成される混合域が形成される。
この出口側開口部4も上記のような半頂角βを採用しているので、拡大管損失は最小に抑制される。それ故、入口側の水圧を同じにした場合、出口の流速が大幅に落ちる従来のスリット孔(ベンチュリ管も同様)に比べて本発明のノズル孔1から出る高速排水流4aの流速の低下率が大幅に小さく、高速排水流4a中に発生したナノバブル8の量が従来例に比べて格段に多い(2倍程度)。即ち、本発明ノズル孔1を通過した海水Rでは、非圧縮流体であるが故に圧力損失を低く抑えつつナノバブル8(キャビテーション)を有効に発生させることができる。

0040

高速排水流4a中では、無数のナノバブル8(約50μm以下の超微細気泡:50μm以下の気泡気液界面イオンの力により収縮し、これにより気液界面のイオン濃度が高められ、内部の圧力と温度が上昇し爆縮する。無数のナノバブル8が連続的に爆縮すると、激しい乱流と高熱を周囲にもたらすと共に爆縮したナノバブル8の一方向に高圧衝撃波を発生する)が連続的に爆縮し、周囲に高圧で一方向の衝撃波を放出する。
この一方向の高圧の衝撃波は、周囲に浮遊している又はナノバブル8が付着した水生々物9を直撃し、例えば、ブラインシュリンプのような節足水生動物は破壊され、二枚貝のような幼生でも貝殻の一部を破壊して死滅に至るダメージを与える(図14、15参照)。なお、コペポーダを始めとする害敵水生々物9は一か所でも物理的ダメージを与えられると繁殖能力喪失し、時間の経過と共に減数の一途を辿る。

0041

図5は請求項1に記載のノズル孔1で、出口側開口部4を設けない場合であるが、喉部3の出口から出た高速排水流4a中に上記同様大量のナノバブル8が発生する。

0042

次に、図1の配管系を説明する。一般的に養殖場では、複数種類の養殖種を育てているため、飼育水槽10は、前述のように多数が並設されており、分岐配管22aで給水配管22からの給水を受ける。
上記のように流入渠30は海に面して設置され、夾雑物を或る程度排した海水Rを常時取り込んでおり、取水管又は取水口を通して隣接して設置されている揚水ポンプP1に海水Rを送り込む

0043

揚水ポンプP1は揚水配管20を通して送り込まれた海水Rを一次フィルタ41としての砂濾過器に供給する。一次フィルタ41では内部の濾過層を通過する内に海水R中の微細な夾雑物が除去され、正常な海水Rが給水配管22に送られる。

0044

給水配管22には給水用上開閉バルブ42a及び給水用下開閉バルブ42bが設置されているので、給水時には開放される。同時に給水時には短絡配管23が閉じられている必要があるので、循環用開閉バルブ32は閉じられている。飼育水槽10には通常状態では常時一定の新鮮な海水Rが供給されているので、水槽用開閉弁52は通常は開放されている。
給水ポンプP4を作動させると一次フィルタ41から濾過された海水Rが引き込まれ、配管組込型殺滅部材Kの多孔ノズルAを通過し、ここで海水R中の害敵水生々物9の大半(80〜90%或いはそれ以上)が物理的に破壊或いは損傷を受ける。
そして、分岐配管22aに至り、二次フィルタ21で最終的に濾過され、各飼育水槽10に給水される。従って、損傷を免れ、二次フィルタ21の濾過も免れた害敵水生々物9やそのシストは僅かながら存在し、給水と共に飼育水槽10に入り込む。配管組込型殺滅部材Kに内蔵されている多孔ノズルAによる害敵水生々物9の殺滅・損傷付与メカニズムは上記の通りである。
飼育水槽10では、給水量と同量飼育海水Rが排水部12を通して排水され、水質と水位が一定に保たれる。

0045

養殖の初期段階では、飼育水槽10には養殖用の海水Rが満たされており、母貝が産卵し、これが孵化して無数のラーバが水面近傍に漂っている。この無数のラーバは投与された餌を摂取し、且つ排泄して成長する。養殖海水R中には害敵水生々物9やシストも存在し、養殖海水R中に生存していた害敵水生々物9やシストが孵化した害敵水生々物9は同様に投与された餌及びラーバを摂取し繁殖するが、上記のように量的に僅かであるためこの時点ではラーバの育成に影響を与えるほどではない。このようにして可食可能な大きさまで育て上げることになる。
なお、各飼育水槽10には大半の害敵水生々物9を破壊した害敵水生々物9の少ない新鮮な海水Rを常時供給しているため、飼育途中で害敵水生々物9が大量繁殖して被害を出すということは殆どないが、次に述べる図2のようなケースがある。また、このような事態になった場合には図3の後付型殺滅装置Bを並設することで対応することも可能である。後付型殺滅装置Bについては、図3で説明する。
なお、図1の場合で、例えば、給水ポンプP4が故障し、緊急に海水Rを供給しなければならない場合、給水用上開閉バルブ42a及び給水用下開閉バルブ42bを閉じ、短絡配管23の循環用開閉バルブ32を開き、濾過されただけの海水Rを飼育水槽10に給水することになる。この点は次の図2の場合も同じである。

0046

次に、図2の場合に付いて説明するが、図1と同じものは同一番号を付し、図1の説明を援用する。図1では給水配管22を通じて各飼育水槽10に新鮮な海水Rを供給していたが、配管組込型殺滅部材K以降の給水配管22中に殺滅処理をした海水R中に残っていたシストが付着し、これが時間と共に孵化して給水中に混入し、二次フィルタ21を通過したものが各飼育水槽10にそのまま流入して被害を発生させることがある。図2の養殖設備Zでは給水配管22の端部Q4と給水用上開閉バルブ42aの入口側で給水配管22との合流点Q3とを結ぶ戻り配管60を設けた点に特徴がある。

0047

一次フィルタ41から吸引された濾過海水Rは、図1と同様、殺滅処理を受けた後、分岐配管22aを通って常時、定量の処理海水Rが飼育水槽10に供給される。残余の処理海水Rは端部Q4から戻り配管60を通って合流点Q3に回流し、一次フィルタ41から吸引された濾過海水Rに混じる。
残余の処理海水R中の害敵水生々物9は既に少なくとも1回の殺滅処理を受けているので、仮に回流中にシストが孵化してとしても害敵水生々物9の量は濾過海水Rより遥かに少ない。そして、配管組込型殺滅部材K以降の給水配管22中のシストの数はその分だけ減少する。
この混合海水Rを殺滅処理すると、殺滅処理された処理海水R中の害敵水生々物9の量は前述の割合(80〜90%或いはそれ以上)で大幅に減少する。同時に配管組込型殺滅部材K以降の給水配管22中に付着したシストの量も孵化した分だけ減少する。
このような循環を繰り返すことで、配管組込型殺滅部材K以降の給水配管22の浄化が行われ、当該部分に付着したシストによる想定外の被害をなくすことができる。
なお、図1と同様図2の場合も図3の後付型殺滅装置Bを設置することも可能である。

0048

次に図3に示す後付型殺滅装置Bを説明する。ここでも図1と同じものは同一番号を付し、図1の説明を援用する。この場合は給水配管22に配管組込型殺滅部材Kを装備せず、二次フィルタ21で濾過した後、分岐配管22aを介して、直接、濾過海水Rを飼育水槽10に供給する。従って、害敵水生々物9及びシストが処理されることなく、飼育水槽10に入り込む。

0049

後付型殺滅装置Bは、飼育水槽10から飼育海水Rを吸引する循環ポンプP3と、前記循環ポンプP3が設置され、前記循環ポンプP3にて飼育水槽10の飼育海水Rを循環させる循環配管40と、前記揚水ポンプP1の出口側にて循環配管40の縦向き部分に設置された配管組込型殺滅部材Kとで構成されている。更に、循環ポンプP3の入口側に循環配管40の給水側に並んで必要に応じて可撓性配管40aが設置されている。循環配管40の吸水側には循環用開閉バルブ42cが設置されており、可撓性配管40aには配管開閉バルブ42dが設置されている。

0050

後付型殺滅装置Bは上記構成部材フレーム(図示せず)に組み込まれており、飼育水槽10に個別に設置することができる。
後付型殺滅装置Bを飼育水槽10に設置すると、循環配管40の出口と入口とを飼育海水Rに挿入し、且つ、循環配管40内に飼育海水Rを満たしてから循環ポンプP3を作動させる。これにより飼育海水Rは循環配管40の入口から吸引され、配管組込型殺滅部材Kを通って殺滅処理され、出口から放出される。これを繰り返すことにより、飼育水槽10の飼育海水R内の害敵水生々物9を順次殺滅処理することができる。
また、広い飼育水槽10の飼育海水R内には害敵水生々物9が固まっている部分がある。そのような場合には、循環用開閉バルブ42cを閉じ、配管開閉バルブ42dを開き、柔軟な可撓性ホースで構成された可撓性配管40aを害敵水生々物9が固まっている部分まで移動させて挿入し、当該部分の害敵水生々物9ごと飼育海水Rを吸引し、配管組込型殺滅部材Kに送り込む。このように可撓性配管40aを用いて飼育水槽10内で害敵水生々物9が特に固まって繁殖している部分の水Rを選択的に吸引して殺滅処理することができる。

0051

図1、2の養殖設備Zでは図3と違って飼育水槽10から飼育海水Rを吸引することはなく、新鮮な処理海水Rのみを一方的に給水するので、給水に関して特別な配慮を必要としないが、図3の後付型殺滅装置Bでは、は飼育水槽10から飼育海水Rを吸引することになるが、飼育初期段階ではラーバが飼育海水Rの表面に浮遊しているので、これを吸引しないようにする必要がある。
時間の経過と共に飼育水槽10内のラーバは成長して稚体になるが、この段階になると飼育水槽10の内壁或いは飼育水槽10に吊るされた養殖の内面、又は、餌となる藻類に付着して固定する。この段階では、飼育海水Rを吸引しても後付型殺滅装置Bに吸引されることはない。従って、飼育初期では図1,2の養殖設備Zで飼育を行い、稚体段階になった時に図3の後付型殺滅装置Bにより、飼育水槽10内の害敵水生々物9の殺滅処理を付加するようにしてもよい。

0052

なお、ポンプ類の作動・停止や、バルブ類開閉操作は図示しない制御部からの指令により最適のタイミングで作動させるように制御することも可能である。

0053

上記では、配管組込型殺滅部材Kが1基の場合で説明したが、複数使用してこれらを直列配列或いは並列することも可能である。
直列配列の場合は、図1(b)に示すように、給水配管22にn個の配管組込型殺滅部材K1〜Kn(nは2以上の整数。以下同じ)を所定間隔で配列する。図では、配管組込型殺滅部材K1〜Kn毎に給水ポンプP41〜P4nを設けた例を示す。n台の給水ポンプP41〜P4nに代えて大型の給水ポンプP4を用いることも可能である。図のような給水ポンプP41〜P4nの個別配置はポンプの小型化が可能である。

0054

直列配列の場合、第1段の配管組込型殺滅部材K1で70%以上とかなりの害敵水生々物が破壊或いは損傷を受け、続く、第2段の配管組込型殺滅部材K2で、第1段を無傷すり抜けた害敵水生々物の一部が同程度の確率で破壊或いは損傷される。これをn回続けることで、この配管組込型殺滅部材K1〜Knで破壊或いは損傷できない僅かな害敵水生々物だけとなる。換言すれば、直列配置で非常に高い殺滅率を達成できる。なお、害敵水生々物9は、損傷を受けただけで繁殖能力を失うので、殺滅率の算出には死滅個体だけでなく損傷個体も殺滅側にカウントされる。

0055

並列配列の場合は、図1(c)に示すように、給水配管22をn本に分岐し、それぞれにn個の配管組込型殺滅部材K1〜Kn(nは2以上の整数。以下、同じ)を設置する。分岐された給水配管221〜22nの入口側に給水用上開閉バルブ42a1〜42anがそれぞれ設置されている。配管組込型殺滅部材K1〜Knの出口から出た配管は出口側で1本に集約され、この部分に給水用下開閉バルブ42bが設置されている。

0056

並列配列の場合は、殺滅率の向上は図れないが、飼育時の流量調整に対応することが出来る。例えば、X個の槽の水槽10に対して1000トンの給水量が要求されていた処、m個の水槽10が休止となり、X−m個の水槽10に給水するようになった場合、分岐したnライン221〜22nの内、対応する台数の給水用上開閉バルブ42a1〜42anを閉めて給水量を制限することになる。また、並列の場合、いずれかの列に故障が発生しとしても、予備のラインを設けておけば、これに対処できる。
なお、上記場合は、直列の場合と並列の場合とを別個に示したが、勿論、これに限られず、並列の各ライン221〜22nに複数の配管組込型殺滅部材K1〜Knを直列設置し、各ライン221〜22nの殺滅率を高めるようにしてもよい。

0057

また、上記直列、又は並列配列は図1の配管系のみならず、図2及び図3の場合でも適用可能である。そして、図1(b)(c)では、配管組込型殺滅部材K1〜Kn毎に給水ポンプP41〜P4nを設けた例を示すが、n台の個別給水ポンプP41〜P4nに代えて大型の給水ポンプP4を用いることも可能である。図のような給水ポンプP41〜P4nの個別配置はポンプの小型化が可能である。
また、給水ポンプP41〜P4nとこれペアとなる配管組込型殺滅部材K1〜Knを1つの配管に組込み、フランジ板7で繋げることが出来るようにしておけば、このユニット配管H1〜Hnを給水配管22の途中で脱着することで、ユニット配管H1〜Hnの個数を現場の状況に合わせて変更することでこれに対応することが出来る。なお、ユニット配管He〜Hhを給水配管22から取り除くと、単なるフランジ付配管がこの部分に代替用としてフランジ接続されることになる。

0058

(実施例)ノズル孔の喉部の内径に付いての試験結果を以下に示す。多孔ノズルAの直径は50mmとした。多孔ノズルAに設けられるノズル孔数は、下記に示す差圧が得られる数とした。
試験条件:入口側を下にして1個の多孔ノズルを給水配管に設置し、下から上に向けて給水ポンプにて揚水するようにした。ノズル孔の入口側圧力は0.50MP及び0.25MPとし、出口側圧力は0.05MPとした。
従って、差圧は0.45MP「下表の(a)」、及び0.20MP「下表の(b)」である。また、用意した多孔ノズルの喉部の内径、及びこれらの殺滅率は以下の通りである。
なお、殺滅率は、試験前(コントロール)の海水からサンプリングした海水中の個体数を基準とし、試験後の海水からサンプリングした海水中の損傷個体と非損傷個体(健全個体)をカウントして算出した。従って、試験後のサンプル中には跡形もなく破壊されてカウントできない個体も相当数ある。
内径 殺滅率%(a) 殺滅率%(b)
3.0mm: 60 30
2.5mm: 70 68
2.2mm: 80 68
2.0mm: 88 63
1.8mm: 90 67
1.5mm: 90 69
1.0mm: 70 58(注
0.5mm: 60 56(注
注)内径が1.0mm(0.5mm)では、殺滅率が70%(60%)、及び58%(56%)となっているが、かなりの量が跡形もなく粉砕されてしまい可視(カウント)できず、殺傷された個体数に比べて生存個体数が相対的に多くカウントされたためである。従って、内径1mm(0.5mm)の場合は100%に近い殺滅率に達していると推測される。ただ、内径が1mmの場合でも細すぎてノズル孔数を増やしても流量を増やすことが出来ない。(換言すれば、ノズル孔1の形状から過剰に近接させることが出来ず、ノズル孔数に制限がある。)0.5mmより細い内径は圧損が大きすぎて実用的でない。
上記表の(a)に対してその約半分である(b)まで差圧を落とすと当然殺滅率も低下するが(内径3mmの場合は大幅低下するが、2.5mm以下の場合は下落率は10%程度である。)、70%程度を目安とすれば、上記のように内径は1mm〜3mm(より好ましくは2mm±0.5mmである)となる。なお、適用される給水ポンプの性能にもよるが、想定される入口側圧力は0.5MPである。

0059

A:(害敵水生々物殺滅用)多孔ノズル、B:後付型殺滅装置、H1〜Hn:ユニット配管、K・K1〜Kn:配管組込型殺滅部材、P1:揚水ポンプ、P2:移送ポンプ、P3:循環ポンプ、P4・P41〜P4n:給水ポンプ、Q1:入口側接続点、Q2:出口側接続点、Q3:合流点、Q4:給水配管の端部、R:水(混合水、処理水、飼育海水、揚水、海水、河川水、汽水、給水、養殖水、濾過水、飼育海水)、S:殺薬剤、U:渦、α・β:半頂角、Z:養殖設備、
1:ノズル孔、1a:凹半円球状の面(正面)、2:入口側開口部、2a;入口開口縁の円、2c:入口部分(接合部分)、3:喉部、4:出口側開口部、4a:高速排水流、4b:出口側端部、5:隔壁、5a:切残し部分、5b:U字形切除部分、6:干渉部分、7:フランジ板、7a:装着孔、7b:Oリング、7c:閉塞蓋、8:ナノバブル、9:害敵水生々物(コペポーダ)、10:飼育水槽、12:排水部、15:前処理水槽、20:揚水配管、21:二次フィルタ(高性能フィルタ)、22:配管(給水配管)、22a:分岐配管、221〜22n:分岐された給水配管(ライン)、23:短絡配管、30:流入渠、32:循環用開閉バルブ、35:移送配管、40:配管(循環配管)、40a:可撓性配管、41:一次フィルタ、42a:給水用上開閉バルブ、42a1〜42an:分岐給水配管の給水用上開閉バルブ、42b:給水用下開閉バルブ、42c:循環用開閉バルブ、42d:配管開閉バルブ、52:水槽用開閉弁、60:戻り配管、100:ノズル孔、200:入口側開口部、200b:入口側の面、200h:平面部、400:出口側開口部、400a:排水流。

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