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技術 エンジン始動装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 藤田達也村田光広
出願日 2016年8月30日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-168545
公開日 2018年3月8日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2018-035725
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の始動装置 車両用機関または特定用途機関の制御
主要キーワード ギア音 容積拡張 低回転型 駆動開始時期 ギア駆動 押出し式 ベルト駆動式 共振域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

適正なるエンジン始動を実現することができるエンジン始動装置を提供する。

解決手段

本制御システムは、走行駆動源としてのエンジン10と、通電に伴いピニオンギア51をエンジン10のリングギア17に噛み合わせるとともに回転軸を回転させるギア駆動式のスタータ50とを備える。ECU30は、通電に伴うスタータ50の駆動開始後において、通電終了によりスタータ50の駆動を停止させる通電制御部と、通電制御部によるスタータ50への通電終了後に初爆が生じるようにエンジン10の燃焼制御を開始する燃焼制御部と、を備える。

概要

背景

エンジン始動方法として、ギア駆動式のスタータとISG(Integrated Starter Generator)等の回転電機を併用した方法が提案されている。この始動方法は、大きなトルクが必要となるエンジン回転初期の段階ではスタータを駆動させ、その後ISGを駆動させるという方法であり、これによりISGのみでエンジンを始動させる場合に比べて、ISGの小型化や低コスト化が図られている。

このようなスタータとISGを併用した始動方法として、特許文献1に記載のエンジン始動装置がある。特許文献1に記載の始動装置では、エンジンの初爆まではスタータ(始動モータ)でクランキングを行い、その後、エンジンの完爆まではISG(電動モータ)によりクランキングを行っている。こうすることで、消費電力を抑制しつつ、エンジンの始動性の向上を図っている。

概要

適正なるエンジン始動を実現することができるエンジン始動装置を提供する。本制御システムは、走行駆動源としてのエンジン10と、通電に伴いピニオンギア51をエンジン10のリングギア17に噛み合わせるとともに回転軸を回転させるギア駆動式のスタータ50とを備える。ECU30は、通電に伴うスタータ50の駆動開始後において、通電終了によりスタータ50の駆動を停止させる通電制御部と、通電制御部によるスタータ50への通電終了後に初爆が生じるようにエンジン10の燃焼制御を開始する燃焼制御部と、を備える。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、適正なるエンジン始動を実現することができるエンジン始動装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

通電に伴いピニオンギア(51)をエンジン(10)のリングギア(17)に噛み合わせるとともに回転軸を回転させるギア駆動式のスタータ(50)を備える車両に適用され、前記通電に伴う前記スタータの駆動開始後において、通電終了により前記スタータの駆動を停止させる通電制御部と、前記通電制御部による前記スタータへの通電終了後に初爆が生じるように前記エンジンの燃焼制御を開始する燃焼制御部と、を備えるエンジン始動装置(30)。

請求項2

前記スタータによるクランキング回転の付与時に、前記エンジンで初爆が生じる圧縮上死点を決定する決定部を備え、前記通電制御部は、前記初爆が生じる圧縮上死点が決定された場合に、その圧縮上死点に達する前に前記スタータの通電を終了させる請求項1に記載のエンジン始動装置。

請求項3

前記通電制御部は、前記初爆が生じる圧縮上死点が決定された場合に、その圧縮上死点の1つ前の圧縮上死点又はその付近で、前記スタータの通電を終了させる請求項2に記載のエンジン始動装置。

請求項4

前記決定部は、前記エンジンの気筒(11)内への充填空気量が所定量以上になっていることに基づいて、前記エンジンで初爆が生じる圧縮上死点を決定するものであり、前記燃焼制御部は、前記初爆が生じる圧縮上死点が決定された場合に、その圧縮上死点の前に燃料噴射弁(12)による燃料噴射を含む前記燃焼制御を開始させる請求項2又は3に記載のエンジン始動装置。

請求項5

前記燃料噴射弁は、前記エンジンの気筒内に燃料直接噴射するものであり、前記燃焼制御部は、前記スタータの通電終了後に前記燃料噴射弁による燃料噴射を開始させる請求項4に記載のエンジン始動装置。

請求項6

前記通電制御部は、前記決定部により決定された初爆が生じる圧縮上死点の1つ前の圧縮上死点の直前に前記スタータの通電を終了させる請求項2乃至5のいずれか1項に記載のエンジン始動装置。

請求項7

前記スタータによるクランキング回転の付与時において、前記エンジンの吸入空気量を増加させる制御を実施する空気量制御部を備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエンジン始動装置。

技術分野

0001

本発明は、エンジン始動装置に関するものである。

背景技術

0002

エンジン始動方法として、ギア駆動式のスタータとISG(Integrated Starter Generator)等の回転電機を併用した方法が提案されている。この始動方法は、大きなトルクが必要となるエンジン回転初期の段階ではスタータを駆動させ、その後ISGを駆動させるという方法であり、これによりISGのみでエンジンを始動させる場合に比べて、ISGの小型化や低コスト化が図られている。

0003

このようなスタータとISGを併用した始動方法として、特許文献1に記載のエンジン始動装置がある。特許文献1に記載の始動装置では、エンジンの初爆まではスタータ(始動モータ)でクランキングを行い、その後、エンジンの完爆まではISG(電動モータ)によりクランキングを行っている。こうすることで、消費電力を抑制しつつ、エンジンの始動性の向上を図っている。

先行技術

0004

特許第4421567号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、スタータが駆動中に初爆が生じると、エンジンの急激な回転上昇に伴って、スタータ側のピニオンギアとエンジン側のリングギアとの噛み合いにより大きな音(ギア音)が発生する。具体的には、初爆によって、リングギアの回転速度がピニオンギアの回転速度よりも一時的に大きくなり、ピニオンギアがリングギアに衝突されることで大きなギア音が生じることとなる。今回本発明者らは、この初爆に伴って発生するギア音に着目した。

0006

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、適正なるエンジン始動を実現することができるエンジン始動装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

第1の発明のエンジン始動装置(30)では、通電に伴いピニオンギア(51)をエンジン(10)のリングギア(17)に噛み合わせるとともに回転軸を回転させるギア駆動式のスタータ(50)を備える車両に適用され、前記通電に伴う前記スタータの駆動開始後において、通電終了により前記スタータの駆動を停止させる通電制御部と、前記通電制御部による前記スタータへの通電終了後に初爆が生じるように前記エンジンの燃焼制御を開始する燃焼制御部と、を備えることを特徴とする。

0008

エンジン始動時には、スタータへの通電に伴い、ピニオンギアの噛み合いとスタータ回転軸の回転とが行われる。また、スタータへの通電の終了に伴いピニオンギアの噛み合いが解除されるとともにスタータ回転軸の回転が停止される。ここで、エンジンでは、例えば、圧縮上死点直前圧縮反力が生じることに伴いピニオンギアとリングギア間のギア面圧が高まることで、ギア音が発生する。また、圧縮上死点の直後では圧縮反力の解消に伴いリングギアの回転速度がピニオンギアの回転速度を上回ることで、ギア同士の衝突音や引っ掻き音等が発生する。このようなギア音は、特に初爆が生じた場合に大きくなる傾向にあると考えられる。

0009

この点、上記構成では、通電に伴うスタータの駆動開始後において、通電終了によりスタータの駆動を停止させるとともに、スタータへの通電終了後に初爆が生じるようにエンジンの燃焼制御を開始するため、エンジン始動時においてスタータの駆動と燃焼制御とが同時に実施されなくなる。この場合、初爆の前にスタータへの通電が終了されることで、初爆の前にピニオンギアの噛み合いの解除が可能となる。すなわち、初爆発生時におけるギア同士の衝突の前に、ピニオンギアがリングギアから離脱することが可能となる。また、初爆前における圧縮反力が生じる領域でのギア音の発生も抑制しうる。これにより、初爆に伴うギア音の発生を抑制することができ、適正なるエンジン始動を実現することができる。

0010

第2の発明では、前記スタータによるクランキング回転の付与時に、前記エンジンで初爆が生じる圧縮上死点を決定する決定部を備え、前記通電制御部は、前記初爆が生じる圧縮上死点が決定された場合に、その圧縮上死点に達する前に前記スタータの通電を終了させることを特徴とする。

0011

上記構成によれば、特定の圧縮上死点で初爆が生じるとの判定の下でスタータ通電が終了されるため、スタータ通電を終了しても、初爆の発生に必要なエンジン回転速度を維持しつつ、適正に初爆を生じさせることができる。その結果、エンジン始動性を確保することができる。

0012

第3の発明では、前記通電制御部は、前記初爆が生じる圧縮上死点が決定された場合に、その圧縮上死点の1つ前の圧縮上死点又はその付近で、前記スタータの通電を終了させることを特徴とする。

0013

ここで、ピニオンギアのリングギアからの離脱は、ピニオンギアとリングギア間のギア面圧が小さくなる領域で生じやすい。この点、初爆が生じる圧縮上死点の1つ前の圧縮上死点又はその付近で、スタータの通電を終了させるようにしたため、初爆が生じる圧縮上死点の直前、すなわち圧縮反力が大きくなる前にスタータの通電がオフされる。つまり、ピニオンギアとリングギア間のギア面圧が小さい状況下でスタータの通電がオフされるため、ピニオンギアの離脱が可能となる。これにより、ギア音の発生を抑制することができる。

0014

第4の発明では、前記決定部は、前記エンジンの気筒(11)内への充填空気量が所定量以上になっていることに基づいて、前記エンジンで初爆が生じる圧縮上死点を決定するものであり、前記燃焼制御部は、前記初爆が生じる圧縮上死点が決定された場合に、その圧縮上死点の前に燃料噴射弁(12)による燃料噴射を含む前記燃焼制御を開始させることを特徴とする。

0015

初爆を生じさせる前提条件として、筒内への充填空気量を十分量で確保する必要があり、その充填空気量が確保された状態下で、燃料噴射を含む燃焼制御を開始することにより、意図する圧縮上死点で初爆を生じさせることが可能となる。これにより、意図する圧縮上死点、すなわち初爆が生じる圧縮上死点に合わせて、その圧縮上死点に達する前に適正にスタータの通電を終了させることができる。

0016

第5の発明では、前記燃料噴射弁は、前記エンジンの気筒内に燃料直接噴射するものであり、前記燃焼制御部は、前記スタータの通電終了後に前記燃料噴射弁による燃料噴射を開始させることを特徴とする。

0017

燃料噴射弁として気筒内に燃料を直接噴射するものとし、スタータの通電終了後に燃料噴射を開始するようにしたため、意図する圧縮上死点の直前の圧縮行程において燃料噴射を開始することで、初爆の発生する圧縮上死点の制御が好適に行える。

0018

第6の発明では、前記通電制御部は、前記決定部により決定された初爆が生じる圧縮上死点の1つ前の圧縮上死点の直前に前記スタータの通電を終了させることを特徴とする。

0019

スタータの通電終了後に初爆を生じさせるためには、圧縮反力よりもエンジンの慣性回転を大きくする必要がある。この点、初爆が生じる圧縮上死点の1つ前の圧縮上死点の直前に通電を終了させる。この場合、圧縮上死点の直前までスタータを通電させることで、次の圧縮上死点を迎えるための回転トルクを付与することができる。これにより、スタータの通電終了後においても次の圧縮上死点を通過できるだけのエンジンの慣性回転を与えることができ、エンジン回転速度の低下を抑制した状態で初爆を確実に発生させることができる。

0020

第7の発明では、前記スタータによるクランキング回転の付与時において、前記エンジンの吸入空気量を増加させる制御を実施する空気量制御部を備えることを特徴とする。

0021

スタータの通電終了後に初爆を生じさせるためには、エンジン回転速度の低下を抑制する必要がある。この点、スタータのクランキング回転中にエンジンの吸入空気量を増加させるようにしたため、充填空気量が増加し、その結果圧縮反力が増加する。この場合、圧縮反力を大きくすることで膨張行程でエンジン回転速度を大きくすることができる。これにより、スタータの通電終了後においてもエンジン回転速度の低下を抑制することができ、初爆を確実に発生させることができる。

図面の簡単な説明

0022

エンジン制御システム概略構成を示す図。
ピニオンギアとリングギアとの噛み合いを説明するための図。
ECUが実施する一連の処理を示すフローチャート
制御部が実施する駆動制御の処理を示すフローチャート。
エンジン始動時の制御をより具体的に示すタイムチャート

実施例

0023

以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。

0024

本実施形態に係る制御システムは、走行駆動源としてのエンジン10を備える車両に搭載されるものである。図1において、エンジン10は、ガソリン軽油等の燃料の燃焼により駆動される多気筒エンジンであり、周知のとおり点火装置等を備えている。なお、本実施形態では、筒内噴射式(直噴式)のエンジン10を用いており、エンジン10の気筒11には、それぞれ筒内に燃料を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁12が取り付けられている。

0025

気筒11には、吸気管13から空気が供給され、吸気管13には吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、吸入空気量を調整するスロットルバルブ15が設けられている。

0026

また、エンジン10には、ギア駆動式の第1始動機であるスタータ50が設けられている。スタータ50は、ピニオン押出し式のものであり、ピニオンギア51、ピニオンギア51を回転させるモータ52、プランジャ53、通電に伴いプランジャ53を軸線方向に移動させるコイル54、及びリターンスプリング55を備えている。

0027

ピニオンギア51は、スタータ50の回転軸に設けられており、エンジン回転軸16に設けられたリングギア17に対して結合可能となっている。プランジャ53はピニオンギア51の噛み合わせ駆動部として機能する。エンジン10の始動時には、通電によりピニオンギア51が軸方向へと移動してリングギア17と噛み合わされ、スタータ50の動力をエンジン回転軸16へと伝達する。

0028

スタータ50にはバッテリ31が接続されている。具体的には、コイル54とバッテリ31とはリレー32を介して接続されており、モータ52とバッテリ31とは接点56を介して接続されている。リレー32が接続状態となることで、バッテリ31からコイル54に電力が供給され、すなわち通電され、ピニオンギア51がリングギア17との噛み合い位置に押し出される。そして、ピニオンギア51の押し出しに際して、プランジャ53によって接点56間が接続状態とされることにより、モータ52が回転する。これにより、ピニオンギア51によってリングギア17が回転され、エンジン10に初期回転が付与される(クランキングが行われる)。

0029

また、リレー32が遮断状態となることでバッテリ31からコイル54への電力供給が停止されると、それに伴いスタータ50の通電が終了される。この場合、コイル54への電力供給の停止に伴い、リターンスプリング55の付勢力によってピニオンギア51が作動前の元の位置に戻り、ピニオンギア51とリングギア17との噛み合いが解除される。また、プランジャ53によって接点56間が遮断状態となり、モータ52の回転が停止される。

0030

エンジン回転軸16には、プーリ及びベルトを含んで構成される動力伝達部18を介して、ベルト駆動式の第2始動機であるオルタネータ20が動力を伝達可能に接続されている。オルタネータ20は、動力伝達部18によりエンジン回転軸16に対して常時、駆動連結されている。オルタネータ20は、エンジン回転軸16へ駆動力を供給する際には電動機として機能し、エンジン10の駆動力を電力に変換する際には発電機として機能する。

0031

なお、スタータ50は、通電のオンオフに応じて回転する始動機であるのに対し、オルタネータ20は、回転速度制御を可能として力行駆動される始動機である。また、スタータ50は、比較的大きなトルクを発生することができる低回転型の始動機であるのに対し、オルタネータ20は、高回転型の始動機である。

0032

オルタネータ20は、回転電機部21と、制御部22と、回転電機部21に流れる電流を検出する回転検出部23と、回転電機部21へと電力を供給する回転駆動部24とを備えている。回転電機部21は、三相交流回転電機として構成され、ロータに巻かれたロータコイルと、ステータに巻かれたステータコイルとを備える公知の構成を有している。回転駆動部24は、スイッチング素子であるMOSFETを複数備える周知のインバータ回路であり、バッテリ31から供給される直流電力交流電力へ変換して回転電機部21へ供給する機能と、回転電機部21から供給される交流電力を直流電力へと変換してバッテリ31へと供給する機能とを有する。バッテリ31は、電源装置に相当し、スタータ50及びオルタネータ20の双方に電力を供給する。

0033

制御部22は、オルタネータ20の回転速度制御を実施するものであり、オルタネータ20を電動機として機能させる場合には、回転駆動部24を駆動してバッテリ31から供給される直流電力を三相の電力へと変換し、三相の電力をステータコイルへと供給する。このとき、制御部22は、回転検出部23により検出された電流値を用いて、回転電機部21の回転速度が目標の回転速度となるように回転駆動部24を制御する。

0034

また、オルタネータ20を発電機として機能させる場合には、ステータコイルに交流誘導起電力が生ずる。この交流の誘導起電力の周波数は、回転電機部21の回転速度に依存している。したがって、回転検出部23にて誘導起電力を検出することにより、回転電機部21の回転情報を取得することができる。

0035

つまり、本実施形態では、オルタネータ20として回転センサ具備していない、いわゆるセンサレス構造のものを使用することとしている。回転検出部23は、回転電機部21のロータが回転することでロータコイル又はステータコイルに発生する誘起電圧又は誘起電流を検出する。制御部22は、回転検出部23で検出された誘起電圧又は誘起電流に基づいて、回転電機部21が回転状態にあることを認識したり、回転電機部21において励磁すべき位相を認識したりする。そして、制御部22は、自ら認識した位相に基づいて、回転電機部21の力行駆動等を実施する。

0036

なお、回転電機部21の回転速度を取得することができれば、その回転速度と、動力伝達部18の減速比とを用いることにより、エンジン回転軸16の回転速度であるエンジン回転速度NEを求めることが可能である。エンジン回転軸16には、図示しないクラッチ変速機等を介して駆動輪が接続されている。この構成については、公知のものであるため、具体的な説明を省略する。

0037

本システムでは、主にエンジン制御を実施するECU30を備えている。ECU30は、マイクロコンピュータ等を備えてなる周知の電子制御装置であり、本システムに設けられている各種センサの検出結果等に基づいて、エンジン10の各種制御を実施する。ECU30は、制御部22と相互に通信可能に接続されている。ECU30は、バッテリ31と電気的に接続され、バッテリ31から供給される電力により動作する。

0038

センサ類としては、アクセル操作部材としてのアクセルペダル41の踏み込み操作量を検出するアクセルセンサ42、ブレーキペダル43の踏み込み操作量を検出するブレーキセンサ44、所定の回転角度ごとにエンジン回転軸16の回転速度を検出する回転速度センサ45、車速を検出する車速センサ46、上述のエアフローメータ14等が設けられている。これらのセンサからの検出信号はECU30に逐次入力される。なお、本システムにはこれらのセンサ以外のセンサも設けられているが、図示は省略している。

0039

ECU30は、各センサの検出結果等に基づいて、燃料噴射弁12による燃料噴射量制御や点火装置による点火制御などのエンジン制御を実施する。また、スタータ50の通電をオンオフ制御する。すなわち、リレー32の接続及び遮断の状態を制御する。ECU30は、アイドリングストップ制御を実施する。ECU30は、アイドリングストップ制御として、周知のとおり所定の自動停止条件成立によりエンジン10を自動停止させ、かつその自動停止状態下で所定の再始動条件の成立によりエンジン10を自動再始動させる。自動停止・再始動の条件には、車速、アクセル操作ブレーキ操作等が含まれる。

0040

本実施形態では、エンジン10の初回始動時や自動再始動時において、スタータ50とオルタネータ20との併用によるエンジン始動を実施することとしており、特にエンジン始動初期(すなわち、エンジン回転軸16の回転初期)においてはスタータ50の駆動によりクランキングを行い、その後、オルタネータ20の駆動を開始させることとしている。

0041

ところで、エンジン始動時には、その始動開始当初においてスタータ50によってクランキング回転が付与されることになる。このクランキング回転時のピニオンギア51とリングギア17の噛合いについて図2を用いて説明する。なお、図2では、4気筒エンジンを例にして、クランキング回転中に初爆が生じる場合の制御について示している。

0042

まず、スタータ50の通電に伴って、ピニオンギア51がリングギア17に噛み合うとともに、スタータ50の回転軸が回転することで、クランキングが開始される。このとき、リングギア17がピニオンギア51の駆動歯面側で押されることで、リングギア17が回転する。クランキングの開始に伴い、スタータ50のピニオン回転速度NPと共にエンジン回転速度NEが上昇する。その後、圧縮上死点に近づくにつれて圧縮反力の影響により、エンジン回転速度NEが減速され、ピニオンギア51とリングギア17間のギア面圧が大きくなることに伴ってギア音が発生する。

0043

そして、圧縮上死点を通過すると、燃焼室容積拡張に伴いエンジン回転速度NEが増加する。このとき、圧縮上死点通過後には、一時的にピニオン回転速度NPよりもエンジン回転速度NEが大きくなる。つまり、ピニオンギア51の回転速度よりもリングギア17の回転速度の方が大きくなる。この圧縮行程から膨張行程に移行する際には、ギア間のギア面圧が減少し、圧縮上死点以前に当たっていたピニオンギア51の駆動歯面とリングギア17が一時的に離れる。そして、ピニオンギア51が駆動歯面の逆歯面側でリングギア17に衝突されることで、衝突音や引っ掻き音等のギア音が発生する。

0044

その後、再び圧縮行程に移行することでエンジン回転速度NEが減速すると、ピニオンギア51の駆動歯面がリングギア17に再び当たる。このとき、ピニオンギア51の駆動歯面とリングギア17とが衝突することで、ギア音が発生する。このように、ピニオンギア51とリングギア17との衝突によってギア音が発生する。

0045

一方、クランキング回転中に初爆が発生すると、燃焼トルクによってエンジン回転速度NE(すなわちリングギア17の回転速度)が急激に上昇する。かかる場合にも、ピニオンギア51に対してリングギア17が衝突することにより、ギア音が発生する。特に初爆の発生時には、リングギア17とピニオンギア51の衝突エネルギが大きくなるため、より大きなギア音が発生することになる。

0046

そこで、本実施形態では、通電に伴うスタータ50の駆動開始後において、通電終了によりスタータ50の駆動を停止させるとともに、スタータ50への通電終了後に初爆が生じるようにエンジン10の燃焼制御を開始するようにしている。この場合、エンジン始動時においてスタータ50の駆動と燃焼制御とが同時に実施されなくなる。その結果、初爆前における圧縮反力が生じる領域でのギア音の発生が抑制され、かつ、初爆に起因して生じる衝突音や引っ掻き音等のギア音の発生が抑制される。ここで、スタータ50の通電終了に関してより具体的には、スタータ50によるクランキング回転の付与時に、初爆が生じる圧縮上死点である初爆上死点TDCXを決定するとともに、その初爆上死点TDCXに達する前にスタータ50の通電を終了させることとしている。

0047

また、本実施形態では、意図した圧縮上死点で初爆が生じるようにしている。具体的には、筒内への充填空気量が十分に確保された状態下で、燃料噴射を含む燃焼制御を開始する。これにより、初爆上死点TDCXを基準とする所望のタイミングで、スタータ50の通電を終了させることが可能となっている。本実施形態では、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYを特定するとともに、そのTDCYの直前でスタータ50の通電を終了させることとしている。

0048

図3を参照して、本実施形態に係るECU30が実施する一連の処理について説明する。図3に示すフローチャートに係る処理は、所定の制御周期ごとに繰り返し実施される。

0049

まずステップS101では、エンジン10の始動完了前の状態にあるか否かを判定する。例えば、アイドリングストップ制御により自動停止され、かつ再始動の完了前の状態下ではステップS101が肯定される。始動完了後の状態にあればそのまま本処理を終了し、始動完了前の状態にあれば後続のステップS102に進む。ステップS102では、エンジン回転速度NEが所定の閾値TH1未満であるか否かを判定する。閾値TH1は、オルタネータ20の力行駆動を停止させることを判定するための判定値であり、例えばTH1=500rpmである。ステップS102を肯定した場合、ステップS103に進み、ステップS102を否定した場合、ステップS114に進む。

0050

ステップS103では、今回のエンジン始動に際し、スタータ50への通電がオン状態からオフされた後であるか否かを判定する。このとき、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直前でスタータ50の通電を終了させる構成からすると、その圧縮上死点TDCYを通過した後においてステップS103が肯定される。ステップS103を肯定した場合、ステップS112に進み、ステップS103を否定した場合、ステップS104に進む。

0051

ステップS104では、スタータ50への通電がオンされる前であるか否かを判定する。具体的には、リレー32が遮断状態のままであるか否かを判定する。ステップS104を肯定した場合、すなわちスタータ50への通電がオンされる前である場合、ステップS105に進み、エンジン10の始動要求が行われたか否かを判定する。このとき、エンジン自動停止後において再始動の要求が生じると、ステップS105を肯定してステップS106に進む。なお、エンジン自動停止後において再始動の要求が生じるまでは、ステップS105が否定され、そのまま本処理を終了する。

0052

ステップS106では、スタータ50の通電をオンにする。つまりリレー32を接続状態にする。ステップS107では、オルタネータ駆動スタンバイ指令を制御部22に送信する。ステップS108では、スロットルバルブ15のスロットル開度を大きくし、本処理を終了する。なお、ステップS108が、「空気量制御部」に相当する。

0053

スタータ50の通電が開始された後は、ステップS104を否定してステップS109に進む。ステップS109では、気筒11に対する充填空気量が所定の閾値TH3以上となる状況下であるか否かを判定する。このステップS109は、現時点で燃料噴射を伴う燃焼制御を開始した場合に、その燃焼制御の対象となる気筒で初爆が生じるか否かを判定するものであり、次に圧縮行程が到来する気筒が初爆気筒であって、その初爆気筒の圧縮上死点が初爆上死点TDCXであるか否かを判定する処理である。言うなれば、ステップS109は、スタータ駆動時に初爆が生じる圧縮上死点(初爆上死点TDCX)を決定する処理(決定部)に相当する。なお、充填空気量は、周知の方法で算出され、例えばエアフローメータ14により検出される吸入空気量とエンジン回転速度NEとに基づいて算出される。閾値TH3は、初爆の発生に必要な空気量であることを判定するための判定値である。ステップS109を肯定した場合、すなわち初爆上死点TDCXが決定された場合、ステップS110に進む。

0054

ステップS110では、エンジン10の回転角度位置が圧縮上死点の直前位置であるか否かを判定する。このとき、気筒11への充填空気量が十分である状況下(ステップS109が肯定される状況下)では燃焼制御の開始が可能であり、ステップS110では、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直前になっているか否かが判定される。なお、圧縮上死点TDCYに対する所定位置(例えばBTDC45〜5°CA)を「直前位置」としている。ステップS110を肯定した場合、ステップS111へ進む。ステップS111では、スタータ50の通電をオフにする。つまりリレー32を遮断状態とする。この処理に伴い、リターンスプリング55の付勢力によりピニオンギア51とリングギア17との噛み合いが解除される。

0055

一方、ステップS109,S110を否定した場合には、そのまま本処理を終了する。すなわち、スタータ50の通電状態が継続される。なお、ステップS109が、「決定部」に相当し、ステップS110及びS111が、「通電制御部」に相当する。

0056

また、スタータ50の通電がオフされた後において、ステップS103が肯定されると、ステップS112に進む。ステップS112では、現時点以降において燃料噴射弁12による燃料噴射を開始する旨を決定する。この燃料噴射の開始決定により、次に到来する圧縮上死点、すなわち初爆上死点TDCXで初爆を生じさせるべく燃料噴射が実施される。なお本実施形態では、直噴式のエンジン10を用いており、例えば初爆上死点TDCXの直前の圧縮行程において燃料噴射が実施される。なお、ステップS112が、「燃焼制御部」に相当する。

0057

そして、ステップS113では、オルタネータ駆動指令を制御部22に送信する。オルタネータ駆動指令の送信に伴って、オルタネータ20の駆動制御が実行されると、オルタネータ20の力行駆動によりエンジン回転速度NEが上昇する。そして、ステップS102が肯定されると、ステップS114に進む。ステップS114では、オルタネータ20の力行駆動を停止させるべくオルタネータ駆動指令をオフする旨の信号を送信し、その後、本処理を終了する。これにより、エンジン10の始動が完了する。

0058

続いて、図4を参照して、制御部22が実施する駆動制御について説明する。図4に示すフローチャートに係る処理は、所定の制御周期ごとに繰り返し実施される。この制御周期は、ECU30の制御周期と同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0059

まず、ステップS201では、オルタネータ20が駆動状態であるか否かを判定する。ステップS201を肯定した場合、ステップS206に進み、ステップS201を否定した場合、ステップS202に進む。ステップS202では、ECU30からオルタネータ駆動スタンバイ指令を受信した後であるか否かを判定する。ステップS202を肯定した場合、ステップS203に進み、ステップS202を否定した場合、そのまま本処理を終了する。ステップS203では、オルタネータ20の駆動のための準備を開始する。具体的には、回転検出部23にて誘導起電力を検出することにより、回転電機部21の回転情報を取得する。

0060

ステップS204では、ECU30からオルタネータ駆動指令を受信した後であるか否か、すなわちオルタネータ20の力行駆動が許可されているか否かを判定する。ステップS204を否定した場合、すなわち駆動許可がなされていない場合、オルタネータ20の力行駆動を行わず、そのまま本処理を終了する。ステップS204を肯定した場合、すなわち駆動許可がなされている場合、ステップS205に進み、駆動制御を実行する。

0061

オルタネータ20の駆動制御が実行されると、ステップS201が肯定されて、ステップS206に進む。ステップS206では、ECU30からオルタネータ駆動指令オフの信号を受信したか否かを判定する。ステップS206を否定した場合はそのまま本処理を終了する。すなわちオルタネータ20の駆動を継続する。一方、ステップS206を肯定した場合はステップS207に進み、オルタネータ20の駆動制御を停止する。これにより、エンジン10の始動が完了する。

0062

図5は、エンジン始動時の制御をより具体的に示すタイムチャートである。図5では、エンジン10が自動停止され、その後に再始動される状況が示されている。

0063

タイミングt11以前はエンジン10が停止状態にあり、タイミングt11で、運転者の操作によりエンジン10の始動要求が生じる。具体的には、運転者によりアクセル操作が行われたこと、又はブレーキ操作が解除されたことに基づいて、始動要求が生じる。なお、エンジン10の初回始動時であれば、例えば運転者のキー操作に基づいて始動要求が生じる。

0064

この始動要求に基づいて、ECU30によりスタータ50への通電が開始されると、クランキングが開始される。またこのとき、スロットルバルブ15の開度が通常の自動再始動時に比べて大きい開度となるように制御される。そして、クランキングの開始に伴って、スタータ50のピニオン回転速度NPと共にエンジン回転速度NEが上昇する。

0065

そして、エンジン回転速度NEは、圧縮上死点に近づくにつれて圧縮反力の影響により減速され、圧縮上死点の通過後に燃焼室の容積拡張に伴って増加する。なお、圧縮上死点通過後には、一時的にピニオン回転速度NPよりもエンジン回転速度NE(すなわち、リングギア17の回転速度)が大きくなる。

0066

スロットルバルブ15の開度が大きい開度となるように制御された後において、時間経過に伴い吸入空気量が増加すると、気筒11内への充填空気量も増加していく。そして、タイミングt12では、気筒11に対する充填空気量が十分量になっている、すなわち充填空気量が所定の閾値TH3以上になっている状況下で、エンジン10の回転角度位置が圧縮上死点の直前位置になることに基づいて、スタータ50の通電がオフされる。このとき、タイミングt12では、現時点で燃料噴射を伴う燃焼制御を開始した場合に、その燃焼制御の対象となる気筒で初爆が生じるとみなされ、それに伴い、スタータ50の通電がオフされる。実際には、初爆が生じる圧縮上死点(初爆上死点TDCX)の1つ前の圧縮上死点TDCYの直前でスタータ50の通電がオフされる。これにより、リングギア17とピニオンギア51の噛み合いが解除される。ピニオン回転速度NPは時間経過とともに低下していく。

0067

ここで、初爆が発生する前にスタータ50の通電がオフされると、初爆によるエンジン回転速度NEの急上昇前にピニオンギア51の噛み合いが解除される。すなわち、初爆に伴うピニオンギア51とリングギア17との衝突によるギア音の発生を抑制することができる。また、スタータ50のクランキング時間を短くできるため、クランキング回転によるギア音の発生も低減できる。さらに、圧縮上死点では筒内圧力が最大となり、噛み合いトルクも最大となるが、圧縮上死点の前にスタータ50の通電がオフされるため、ギア音の低減を図る上で一層効果的である。

0068

タイミングt12以降は、スタータ50によるクランキング回転が付与されないが、慣性力によってエンジン回転軸16は回転し、次の圧縮上死点、すなわち初爆上死点TDCXを迎えることができる。ここで、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直前までスタータ50を駆動させることで、初爆上死点TDCXを確実に迎えるための回転トルクを付与することができる。さらに、スロットルバルブ15を大きくすることも回転トルクの付与に寄与する。つまりこれらの制御により、スタータ通電オフ後におけるエンジン回転速度の低下が抑制され、初爆上死点TDCXを確実に迎えることができる。

0069

そして、スタータ50の通電がオフされた後に、燃料噴射弁12による燃料噴射が開始される。図5では、初爆上死点TDCXの直前の圧縮行程のタイミングt13で、燃料噴射が行われる。またこのとき、ECU30は制御部22にオルタネータ駆動指令を送信する。そして、初爆上死点TDCXにて初爆が発生する。

0070

その後、オルタネータ20の力行駆動が開始し、そのオルタネータ20の駆動トルクと燃焼による燃焼トルクとによりエンジン回転速度NEが上昇する。これにより、エンジン回転速度NEが上昇する際に、共振域をいち早く通過させることができる。

0071

つまり、エンジン10においては回転振動の共振域が存在し、一般にはアイドル回転速度よりも低回転側の領域、例えば300〜400rpmの回転域に共振域が存在している。また、スタータ50によるクランキング回転速度は200rpm程度である。かかる場合、エンジン共振域に到達する以前に、オルタネータ20の力行駆動を開始することで、回転上昇のための所望のトルクを得ることができる。

0072

その後、タイミングt14でエンジン回転速度NEが閾値TH1に到達すると、ECU30から制御部22に対してオルタネータ駆動指令をオフする旨の信号が送信され、制御部22によりオルタネータ20の力行駆動が停止される。

0073

上記構成により、本実施形態に係る始動システムは、以下の効果を奏する。

0074

エンジン始動時には、スタータ50への通電に伴い、ピニオンギア51の噛み合いとスタータ回転軸の回転とが行われる。ここで、エンジン10では、例えば、圧縮上死点の直前に圧縮反力が生じることに伴いピニオンギア51とリングギア17間のギア面圧が高まることで、ギア音が発生する。また、圧縮上死点の直後では圧縮反力の解消に伴いリングギア17の回転速度がピニオンギア51の回転速度を上回ることで、ギア同士の衝突音や引っ掻き音等が発生する。このようなギア音は、特に初爆が生じた場合に大きくなる傾向にあると考えられる。この点、上記構成では、通電に伴うスタータ50の駆動開始後において、通電終了によりスタータ50の駆動を停止させるとともに、スタータ50への通電終了後に初爆が生じるようにエンジン10の燃焼制御を開始するため、エンジン始動時においてスタータ50の駆動と燃焼制御とが同時に実施されなくなる。この場合、初爆の前にスタータ50への通電が終了されることで、初爆の前にピニオンギア51の噛み合いの解除が可能となる。すなわち、初爆発生時におけるギア同士の衝突の前に、ピニオンギア51がリングギア17から離脱することが可能となる。また、初爆前における圧縮反力が生じる領域でのギア音の発生も抑制しうる。これにより、初爆に伴うギア音の発生を抑制することができ、適正なるエンジン始動を実現することができる。

0075

また、スタータ50によるクランキング回転の付与時に、エンジン10で初爆が生じる圧縮上死点(初爆上死点TDCX)を決定し、その圧縮上死点に達する前にスタータ50の通電を終了させるようにした。この場合、特定の圧縮上死点で初爆が生じるとの判定の下でスタータ通電が終了されるため、スタータ通電を終了しても、初爆の発生に必要なエンジン回転速度を維持しつつ、適正に初爆を生じさせることができる。その結果、エンジン始動性を確保することができる。

0076

ピニオンギア51のリングギア17からの離脱は、ピニオンギア51とリングギア17間のギア面圧が小さくなる領域で生じやすい。この点を考慮し、初爆が生じる圧縮上死点(初爆上死点TDCX)の1つ前の圧縮上死点TDCYの直前で、スタータ50の通電を終了させるようにしたため、初爆上死点TDCXの直前、すなわち圧縮反力が大きくなる前にスタータ50の通電がオフされる。つまり、ピニオンギア51とリングギア17間のギア面圧が小さい状況下でスタータ50の通電がオフされるため、ピニオンギア51の離脱が可能となる。これにより、ギア音の発生を抑制することができる。

0077

初爆を生じさせる前提条件として、筒内への充填空気量を十分量で確保する必要があり、その充填空気量が確保された状態下で、燃料噴射を含む燃焼制御を開始することにより、意図する圧縮上死点で初爆を生じさせることが可能となる。これにより、意図する圧縮上死点、すなわち初爆上死点TDCXに合わせて、その圧縮上死点に達する前に適正にスタータ50の通電を終了させることができる。

0078

燃料噴射弁12を気筒内に燃料を直接噴射するものとし、スタータ50の通電終了後に燃料噴射を開始するようにした。この場合、意図する圧縮上死点の直前の圧縮行程において燃料噴射を開始することで、初爆上死点TDCXの制御が好適に行える。

0079

始動機としてスタータ50に加えて、エンジン回転軸16に対して常時連結されたオルタネータ20を用いる始動方法が知られており、この場合、オルタネータ20を駆動させることで、エンジン回転速度が大きくなる。この点を考慮し、エンジン共振域に到達する以前にオルタネータ20を駆動させるようにした。これにより、エンジン始動時において、エンジン回転速度NEが上昇する際に共振域をいち早く通過させることができる。また、スタータ50の通電オフ後にオルタネータ20を駆動させるようにしたため、消費電力の低減を図ることができる。

0080

スタータ50の通電終了後に初爆を生じさせるためには、圧縮反力よりもエンジン10の慣性回転を大きくする必要がある。この点上記構成では、スタータ50のクランキング回転中にエンジン10の吸入空気量を増加させるようにした。その結果、充填空気量が増加し、圧縮反力が増加する。この場合、圧縮反力を大きくすることで膨張行程でエンジン回転速度を大きくすることができる。さらに、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直前にスタータ50の通電を終了させるようにした。この場合、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直前までスタータ50を回転させることで、初爆上死点TDCXを確実に迎えるための回転トルクを付与することができる。これにより、スタータ50の通電終了後においても次の圧縮上死点を通過できるだけのエンジン10の慣性回転を与えることができ、エンジン回転速度の低下を抑制した状態で初爆を確実に発生させることができる。

0081

<変形例>
・上記実施形態では、気筒11に対する充填空気量が所定の閾値TH3以上となる状況下であることに基づいて、初爆が生じる圧縮上死点(初爆上死点TDCX)を決定する構成としたが、これに限られない。例えば、所定のクランク角度(例えばBTDC45°)におけるエンジン回転速度NEに基づいて、初爆上死点TDCXを決定する構成であってもよい。また、初爆の発生は温度等のエンジン条件にも依存するため、エンジン温度筒内温度冷却水温)に基づいて、充填空気量やエンジン回転速度NEを判定する閾値を可変に設定する構成としてもよい。

0082

・上記実施形態では、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直前を、スタータ50の通電を終了するタイミングとしたが、これを変更してもよい。例えば、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYを、スタータ50の通電を終了するタイミングとしてもよく、又は、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYの直後を、スタータ50の通電を終了するタイミングとしてもよい。要するに、スタータ50の通電を終了するタイミングは、初爆上死点TDCXの前であって、スタータ通電を終了してもエンジン10の惰性回転により初爆上死点TDCXを迎えることが可能なタイミング、すなわち初爆上死点TDCXでの初爆を生じさせることが可能なタイミングであるとよい。つまり、初爆上死点TDCXよりも1つ前の圧縮上死点TDCY付近であるとよい。これらの構成によれば、初爆上死点TDCXの直前、すなわち圧縮反力が大きくなる前にスタータ50の通電がオフされることで、ピニオンギア51の離脱が可能となる。これにより、圧縮反力の発生に伴うギア音の発生を抑制することができ、かつ、初爆の発生に伴う大きなギア音の発生を抑制することができる。

0083

・スタータ50の駆動時(クランキング時)において当初期間では気筒内への充填空気量を比較的小さくし、その後の期間において気筒内への充填空気量を増加させる構成としてもよい。この場合、クランキング初期においては、圧縮反力の増加を抑えることでギア音を抑制することができ、その後においては、燃料の着火性を向上させて所定の圧縮上死点で初爆を確実に発生させることができる。ECU30は、スタータ50の通電開始後において所定時期まではスロットル開度を制限し、その後、初爆上死点TDCXの1つ前の圧縮上死点TDCYまでにスロットル開度を増加させる。

0084

・充填空気量の制御としてスロットル開度制御以外を実施してもよい。例えば、吸気弁開閉タイミング及び開度の少なくともいずれかを調整可能な可変動弁機構を用い、その可変動弁機構を制御対象として、気筒11への充填空気量を制御する構成としてもよい。

0085

・オルタネータ20の駆動について、スタータ50通電オフ後であってエンジン共振域に到達する以前に、オルタネータ20を駆動させる構成としたが、これを変更し、スタータ50の通電中にオルタネータ20を駆動させる構成としてもよい。

0086

また、オルタネータ20は、ベルトを介してエンジン回転軸16に駆動連結されていることから、スタータ50の場合とは異なり、オルタネータ20が駆動中に初爆が生じたとしても大きなギア音は発生しない。そのため、上記構成では、初爆の発生に関係なく、オルタネータ20を駆動させる構成とした。この点、初爆の発生タイミングに対してオルタネータ20の駆動開始時期を制御する構成としてもよい。例えば、初爆前にオルタネータ20を駆動させる構成としてもよく、又は初爆後にオルタネータ20を駆動させる構成としてもよい。

0087

・上記実施形態では、エンジン10として、直噴式のエンジン10を用いる構成としたが、これを変更し、吸気管内に燃料噴射弁を備えた、いわゆるポート噴射式のエンジン10を用いる構成であってもよい。

0088

・上記実施形態では、第2始動機として、回転センサを具備していないオルタネータ20を用いる構成としたが、これを変更し、回転センサを具備するオルタネータ20を用いる構成であってもよい。

0089

10…エンジン、11…気筒、12…燃料噴射弁、16…エンジン回転軸、17…リングギア、20…オルタネータ、30…ECU、50…スタータ、51…ピニオンギア。

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