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課題
解決手段
概要
背景
従来から、主として障害者や高齢者用の介護用手摺りとして、例えば太径パイプと細径パイプからなる伸縮部材を用いて構成された伸縮手摺りが知られている。例えば、特許文献1(特開2001−107530)には、伸縮式手摺り本体から構成される手摺りにおいて、伸縮式手摺り本体の一端に脱着機能具6を備えることにより、伸縮式手摺り本体の急激な収縮を防止した発明が開示されている。また、特許文献2(特開2007−111429)には、浴槽用手摺りにおいて、伸縮自在のつっかい棒部材5に、径大パイプ7に対して径小パイプ9を上下動不能にロック保持するためのロック具13を備えた構成が開示されている。
このような伸縮手摺りを縦方向と横方向に組み合わせて手摺りを構成することにより、建物等に設置の痕跡を残すことなく手摺りを設置できるとともに、様々なサイズの設置場所にフレキシブルに対応することができる。
概要
長さ調整作業を安定して安全に行い得る伸縮手摺りを提供する。連結用伸縮手摺り10は、太径手摺り部材11と、太径手摺り部材11の中空部11Bに摺動可能に挿通された細径手摺り部材12と、細径手摺り部材12の先端部12Aに装着されたダンパー部材20を備える。ダンパー部材20は、細径手摺り部材12に設けた係止孔15への突起部28の係止によって細径手摺り部材12に係止されるとともに、ダンパー部材20の大径部26は、太径手摺り部材11の内周面11Cに対して、コイルスプリング25のバネ力により押し付けられた状態で当接することにより、連結用伸縮手摺り10の伸縮に対しては、大径部26と内周面11Cの当接による摩擦力によって適切な抵抗が与えられる。
目的
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
中空部を有する太径手摺り部材と、前記太径手摺り部材の前記中空部内に一方の端部から摺動可能に挿通される細径手摺り部材と、前記細径手摺り部材の前記一方の端部に設けられたダンパー部材とを備えた伸縮手摺りであって、前記ダンパー部材は、前記太径手摺り部材の内周面に当接する当接部と、前記細径手摺り部材に設けた手摺り部材側係止部対して係止されるダンパー部材側係止部と、前記当接部を前記太径手摺り部材の内周面に向けて付勢する付勢手段とを備えた伸縮手摺り。
請求項2
請求項1に記載の伸縮手摺りにおいて、前記ダンパー部材は、前記伸縮手摺りの長手方向に沿って分割された複数の分割部材を備え、前記付勢手段は、前記複数の分割部材の間に配置されて、前記複数の分割部材を互いに離間する方向に付勢する伸縮手摺り。
請求項3
技術分野
背景技術
0002
従来から、主として障害者や高齢者用の介護用手摺りとして、例えば太径パイプと細径パイプからなる伸縮部材を用いて構成された伸縮手摺りが知られている。例えば、特許文献1(特開2001−107530)には、伸縮式手摺り本体から構成される手摺りにおいて、伸縮式手摺り本体の一端に脱着機能具6を備えることにより、伸縮式手摺り本体の急激な収縮を防止した発明が開示されている。また、特許文献2(特開2007−111429)には、浴槽用手摺りにおいて、伸縮自在のつっかい棒部材5に、径大パイプ7に対して径小パイプ9を上下動不能にロック保持するためのロック具13を備えた構成が開示されている。
0003
このような伸縮手摺りを縦方向と横方向に組み合わせて手摺りを構成することにより、建物等に設置の痕跡を残すことなく手摺りを設置できるとともに、様々なサイズの設置場所にフレキシブルに対応することができる。
先行技術
0004
特開2001−107530
特開2007−111429
発明が解決しようとする課題
0005
ところで、このような手摺りを組み立てる場合、伸縮手摺りを伸縮させて、その長さを適切に調整したうえで、長さの固定を行う必要がある。しかしながら、このような長さ調整作業時には、伸縮部材は自由に伸縮できてしまうため、調整作業は難しく、また伸縮部材を構成する太径パイプから細径パイプが脱落してしまう恐れもあった。また、特許文献2のようなロック具13を設けたのでは、連結手すりには抵抗が大きくなり過ぎ(挿入時)、劣化・磨耗による摩擦力の低下の問題もある。
課題を解決するための手段
0007
本発明は、中空部を有する太径手摺り部材と、前記太径手摺り部材の前記中空部内に一方の端部から摺動可能に挿通される細径手摺り部材と、前記細径手摺り部材の前記一方の端部に設けられるダンパー部材とを備えた伸縮手摺りであって、前記ダンパー部材は、前記太径手摺り部材の内周面に当接する当接部と、前記細径手摺り部材に設けた手摺り部材側係止部対して係止されるダンパー部材側係止部と、前記当接部を前記太径手摺り部材の内周面に向けて付勢する付勢手段とを備えている。
0008
前記ダンパー部材は、前記伸縮手摺りの長手方向に沿って分割された複数の分割部材を備え、前記付勢手段は、前記複数の分割部材の間に配置されて、前記複数の分割部材を互いに離間する方向に付勢するようにしてもよい。
発明の効果
0010
本発明によれば、太径手摺り部材(例えば太径手摺り部材11)と細径手摺り部材(例えば細径手摺り部材12)の間にダンパー部材(例えばダンパー部材20)が設けられ、ダンパー部材側係止部(例えば突起部28、スプリングピン32)と手摺り部材側係止部(例えば係止孔15、係止孔33)の係止によりダンパー部材を細径手摺り部材に係止された状態とするとともに、ダンパー部材の当接部(例えば大径部26)が太径手摺り部材の内周面(例えば内周面11C)に対して付勢手段(例えばコイルスプリング25)により付勢されて当接するようになっているので、太径手摺り部材に対する細径手摺り部材の摺動(伸縮手摺りの伸縮)に対しては、ダンパー部材の当接部と太径手摺り部材の内周面の当接による摩擦によって適度な抵抗が与えられる。この場合、摺動(伸縮)に対する抵抗は、付勢手段の付勢力の調整によって適切に設定できる。したがって、伸縮手摺りの伸縮(長さ調整)は安定して行うことができ、調整作業中において、伸縮手摺りの意図しない急激な伸縮や、細径手摺り部材の太径手摺り部材11からの脱落等を適切に防止でき、作業の安全性を確保できる。
0011
また、太径手摺り部材の中空部の寸法と細径手摺り部材の外径寸法との間に多少の寸法誤差がある(細径手摺り部材の外径寸法が小さすぎる)場合でも、この寸法誤差がダンパー部材の存在によって吸収されて、太径手摺り部材に対して細径手摺り部材が安定して保持されるという効果も得られる。つまり、太径手摺り部材の内径や分割部材(例えば分割部材21の大径部26)の大きさにバラツキがあっても、付勢手段が分割部材を押し広げるので、寸法誤差が吸収され、また、分割部材が磨耗しても必要な摩擦力が得られる。
0012
また、ダンパー部材を複数の分割部材(例えば一対の分割部材21)から構成すれば、ダンパー部材の最径手摺り部材への挿入時には、複数の分割部材が付勢力に抗して互いに接近して、ダンパー部材の挿入部分の外径が小さくなるので、ダンパー部材を細径手摺り部材内に楽に挿入できる。また、簡素な構成で、各分割部材の当接部が、付勢手段によって太径手摺り部材の内周面に対して適切な付勢力で押し付けられるようにできる。
0013
また、ダンパー側係止部として突起部(例えば突起部28)を備え、手摺り部材側係止部として係止孔(例えば係止孔15)を備えるようにすれば、ダンパー部材は、突起部の係止孔への係止によって細径手摺り部材に対して確実に固定されるので、少ない部品点数で、確実に抜け止めをすることができる。
図面の簡単な説明
0014
本発明の第1実施形態における伸縮手摺りを用いて構成された組み立て構造体の全体構成を示す平面図。
伸縮手摺りの全体構成を示す断面図。
伸縮手摺りの一部を示す断面図。
ダンパー部材及び細径手摺り部材の端部を示す平面図。
ダンパー部材及び細径手摺り部材の端部を示す側面図。
本発明の第2実施形態における伸縮手摺りの一部を示す断面図。
実施例
0015
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
0016
図1には、本発明の実施形態における連結用伸縮手摺り10を用いて構成された組み立て構造体1の全体構成を示す。図示されるように、組み立て構造体1は、複数の縦方向レール部材である支柱用伸縮手摺り2と、複数の横方向レール部材である連結用伸縮手摺り10を備えている。なお、本実施形態では、連結用伸縮手摺り10及び支柱用伸縮手摺り2を本発明の伸縮手摺りで構成している。
0017
支柱用伸縮手摺り2は、鉛直方向に延びて配置された棒状部材である。支柱用伸縮手摺り2は、中空部を有する太径手摺り部材2Bと、太径手摺り部材2Bの中空部内に下端部から摺動可能に挿通される細径手摺り部材2Aと、細径手摺り部材2Aの下端部に設けられたダンパー部材(図示せず)と、適切な長さで細径手摺り部材2Aを固定する固定部材2Cとを備えている。支柱用伸縮手摺り2は、上端部が上側固定具3を介して天井4に、下端部が下側固定具5を介して床6に、それぞれ固定されることにより、建物の天井4と床6の間に、突っ張った状態で設置されている。細径手摺り部材2Aの下端部の開口部には、ダンパー部材が装着されている。
0018
連結用伸縮手摺り10(横方向レール部材)は、隣接する支柱用伸縮手摺り2の間に、長さ(伸縮量)を調整された状態で水平方向に延びて配置されている。連結用伸縮手摺り10の両端は、ジョイント7を介して支柱用伸縮手摺り2に取り付けられている。これにより、隣接する支柱用伸縮手摺り2は、連結用伸縮手摺り10によって連結された状態となっている。
0019
図2に示すように、連結用伸縮手摺り10は、パイプ(円筒)形状の太径手摺り部材11と、同じくパイプ(円筒)形状の細径手摺り部材12とを備えている。細径手摺り部材12の外径は、太径手摺り部材11の内径よりも僅かに小さな大きさとなっている。細径手摺り部材12は、前端部12A側から太径手摺り部材11の後端部11Aの開口に導入され、太径手摺り部材11の中空部11B内に摺動自在に挿通されている。このような構成により、太径手摺り部材11に対する細径手摺り部材12の挿通量を変更することにより、連結用伸縮手摺り10全体の長さを調整できるようになっている。
0021
太径手摺り部材11の前端側には継手部13が、また細径手摺り部材12の後端側には継手部14が、それぞれ設けられている。これにより、連結用伸縮手摺り10は、両側の継手部13、14において、ジョイント7に対して取り付けられるようになっている。
0022
細径手摺り部材12の前端部12Aの開口部12Bには、ダンパー部材20が装着されている。詳しくは後述するように、太径手摺り部材11に対する細径手摺り部材12の摺動(連結用伸縮手摺り10の伸縮)に対して適度な抵抗(渋み)を与えるように作用する。
0023
図3から図5に詳細に示すように、ダンパー部材20は、一対の分割部材21を、可撓性を有する連結部22を介して連結して構成されている。一対の分割部材21は、同一寸法、同一形状の部材であり、互いの内向き面23を対向させて配置されている。
0024
各分割部材21の内向き面12には、円形の凹部であるバネ座部24が設けられており、これらのバネ座部24に、圧縮バネであるコイルスプリング25の両側端部が装着されている。これにより、コイルスプリング25は、一対の分割部材21を両側に離間させるように付勢する付勢手段として作用するようになっている。
0025
各分割部材21の外向き面には、略半円筒形の大径部26と、同じく略半円筒形の小径部27が設けられている。大径部26と小径部27は、それぞれ太径手摺り部材11と細径手摺り部材12の内径に対応する寸法を有しており、分割部材21がコイルスプリング25により付勢されることにより、それぞれ太径手摺り部材11の内周面11Cと細径手摺り部材12の内周面12Cに押し付けられた状態で当接するようになっている。
0026
各分割部材21の外向き面には、略円柱形の突起部28が設けられている。一方、細径手摺り部材12の前端部12A付近には、分割部材21の突起部28に対応する位置に、一対の係止孔15が形成されており、細径手摺り部材12の内周面から外周面に向けて貫通している。係止孔15は、分割部材21の突起部28が係止される孔であり、分割部材21がコイルスプリング25により付勢されることにより、突起部28は、細径手摺り部材12の係止孔15に係止された状態に保持される。これにより、分割部材21は、細径手摺り部材12に対して確実に固定されるようになっている。
0027
なお、ダンパー部材20が細径手摺り部材12に装着された際、大径部26の後端部が細径手摺り部材12の前端部12Aに当接するため、ダンパー部材20は、全体が細径手摺り部材12の中に入り込むことはない。
0028
このような構成により、ダンパー部材20は、突起部28の係止孔15への係止によって細径手摺り部材12に固定される一方で、大径部26において、太径手摺り部材11の内周面11Cに対してコイルスプリング25により付勢された状態で当接する。これにより、太径手摺り部材11に対する細径手摺り部材12の摺動に対しては、ダンパー部材20の大径部26と太径手摺り部材11の内周面11Cの間の摩擦により、適度な抵抗が付与される。この場合、摺動(伸縮)に対する抵抗は、コイルスプリング25のバネ力の調整によって適切に設定できる。したがって、連結用伸縮手摺り10の伸縮(長さ調整)は安定して行うことができ、調整作業中において、連結用伸縮手摺り10の意図しない急激な伸縮や、細径手摺り部材12の太径手摺り部材11からの脱落等を適切に防止でき、作業の安全性を確保できる。
0029
また、太径手摺り部材11の内径と細径手摺り部材12の外径の間に多少の寸法誤差がある(細径手摺り部材12の外径が小さすぎる)場合でも、この寸法誤差がダンパー部材20の存在によって吸収されて、太径手摺り部材11に対して細径手摺り部材12が安定して保持されるという副次的な効果も得られる。つまり、太径手摺り部材11の内径や分割部材21(大径部26)の大きさにバラツキがあっても、コイルスプリング25が分割部材21を押し広げるので、寸法誤差が吸収され、また、分割部材21(大径部26)が磨耗しても必要な摩擦力が得られる。
0030
図6には、本発明の第2の実施形態における伸縮手摺りの一部を示す。なお、本実施形態では、上記第1実施形態の一部のみが変更となっているため、上記第1実施形態と共通の部材については、同一の符号を付して示し、説明を省略する。
0031
図示されるように、本実施形態では、上記第1の実施形態におけるダンパー部材20の代わりに、ダンパー部材30が用いられる。ダンパー部材30の各分割部材21は、ダンパー部材20における突起部28を有しない代わりに、ダンパー部材20において突起部28が設けられていた位置に、ピン孔31が貫通して形成されており、これらのピン孔31には、スプリングピン32が挿通されている。また、細径手摺り部材12には、上記第1実施形態における係止孔15の代わりに、スプリングピン32の径に対応した大きさの係止孔33が形成されており、スプリングピン32の両端は、係止孔33に挿通されて係止される。
0032
このような構成により、ダンパー部材30は、細径手摺り部材12に対して、脱落不能に装着されるようになっている。このように、ダンパー部材30の細径手摺り部材12に対する係止は、ピンで行うようにしてもよいし、あるいは、少なくとも一方の係止孔33をねじ穴としてねじで行うようにしてもよい。
0033
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲において適宜の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、付勢手段として圧縮バネであるコイルスプリング25を用いているが、付勢手段の形態は、ダンパー部材の当接部(大径部26)を太径手摺り部材11の内周面11Cに向けて付勢するものであれば特に限定されない。例えば、付勢手段として、板バネ等のコイルスプリング以外の形態のバネを用いてもよいし、あるいはゴム等の弾性体を用いてもよい。
0034
また、上記実施形態では、ダンパー部材側係止部として突起部28を、手摺り部材側係止部として係止孔15を用いたが、ダンパー部材側係止部及び手摺り部材側係止部は、このような形態に限られず、ダンパー部材20と細径手摺り部材12とを係止するものであれば、任意の形態をそることができる。例えば、手摺り部材側係止部として貫通孔ではない係止孔(細径手摺り部材12の内周面12Cに形成された凹部)を用いてもよい。また、細径手摺り部材12の内周面12Cに凸部を設け、ダンパー部材20に設けた凹部に係止されるように構成することも可能である。
0035
また、上記実施形態では、ダンパー部材20を一対の分割部材21から構成したが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、ダンパー部材は、3個以上の分割部材から構成することも可能である。
0036
また、上記実施形態では、細径手摺り部材12をパイプ形状の部材としたが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、細径手摺り部材は、ダンパー部材20が装着される開口部12Cを備えるものであれば、例えば中実棒形状としてもよい。
0037
本発明は、各種建築物等に取り付けられる手摺りに利用できる。