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技術 軟磁性扁平粉末、磁性シートおよびその製造方法

出願人 山陽特殊製鋼株式会社
発明者 三浦滉大澤田俊之久世哲嗣
出願日 2016年8月30日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-167757
公開日 2018年3月8日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2018-035385
状態 特許登録済
技術分野 軟質磁性材料 粉末冶金 金属質粉又はその懸濁液の製造
主要キーワード アモルファス合金箔 Cr酸化皮膜 Cuリッチ相 電磁波吸収用 インピーダンス測定器 オーステナイトフォーマー アトリッションミル アモルファス箔
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課題

本発明は、RFID用部材に主に用いられる軟磁性扁平粉末であって、高い磁気特性を維持し、かつ高い耐食性を有する軟磁性扁平粉末、磁性シートおよび製造方法を提供する。

解決手段

軟磁性粉末を扁平化処理することにより得られた扁平粉末であって、軟磁性扁平粉末が、Si:15mass%以下(0は含まない)、Cr:6mass%超〜18mass%、Ni、Cu、Moのうち1種類または2種類以上の合計:0.3mass%超〜6mass%、残部がFeおよび不可避微量不純物からなるFe—Si−Cr系合金であることを特徴とする軟磁性扁平粉末。

概要

背景

従来、軟磁性扁平粉末を含有する磁性シートは、電磁波吸収体RFID(Radio Frequency Identification)用アンテナとして用いられてきた。RFID用アンテナやタグの設計のし易さなどの特性のバランスの良さから、13.56MHzの周波数領域が日本において広く使用されている。また、近年では、デジタイザと呼ばれる位置検出装置にも用いられるようになってきている。このデジタイザには、例えば、特開2011−22661号公報(特許文献1)のような電磁誘導型のものがあり、ペン形状位置指示器の先に内蔵されるコイルより発信された高周波信号を、パネル状の位置検出器に内蔵されたループコイルにより読み取ることで指示位置を検出する。

ここで、検出感度を高める目的で、ループコイルの背面には高周波信号の磁路となるシートが配置される。この磁路となるシートとしては、軟磁性扁平粉末を樹脂ゴム中に配向させた磁性シートや軟磁性アモルファス合金箔を貼り合わせたものなどが適用される。磁性シートを用いる場合は、検出パネル全体を1枚のシートに出来るため、アモルファス箔のような貼り合せ部での検出不良などがなく優れた均一性が得られる。

また、従来、磁性シートには、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Al合金、Fe−Cr合金などからなる粉末を、アトリッションミルアトライタ)などにより扁平化したものが添加されてきた。これは、高い透磁率の磁性シートを得るために、いわゆる「Ollendorffの式」からわかるように、透磁率の高い軟磁性粉末を用いること、反磁界下げるため磁化方向に高いアスペクト比を持つ扁平粉末を用いること、磁性シート中に軟磁性粉末を高充填することが重要であるためである。

また、上記に加え、RFIDのような用途においては、磁壁共鳴による損失を防ぐ必要があり、粉末の透磁率μの構成成分である、透磁率の実数部μ’と透磁率の虚数部μ’’のうち、μ’’を低くする必要がある。しかし、一般的には、μ’’を低く抑えるような製法では、μ’も低下する傾向にある。これを解決するために、例えば、特許第4420235号公報(特許文献2)では、Fe−Si−Cr合金系における扁平粉末の必要特性として、扁平粉末の平均粒径D50が5〜30μmかつ高いアスペクト比を有し、飽和磁化の値と保磁力の値の比率が一定である粉末の製造方法が開示されている。

また、特開2016−89242号公報(特許文献3)では、平均粒径30μm以上でもあっても、高い透磁率の実数部μ’と低い透磁率の虚数部μ’’を有する軟磁性扁平粉末及びその製造方法が開示されている。

概要

本発明は、RFID用部材に主に用いられる軟磁性扁平粉末であって、高い磁気特性を維持し、かつ高い耐食性を有する軟磁性扁平粉末、磁性シートおよび製造方法を提供する。軟磁性粉末を扁平化処理することにより得られた扁平粉末であって、軟磁性扁平粉末が、Si:15mass%以下(0は含まない)、Cr:6mass%超〜18mass%、Ni、Cu、Moのうち1種類または2種類以上の合計:0.3mass%超〜6mass%、残部がFeおよび不可避微量不純物からなるFe—Si−Cr系合金であることを特徴とする軟磁性扁平粉末。 なし

目的

本発明は、RFID用部材に主に用いられる軟磁性扁平粉末であって、高い磁気特性を維持し、かつ高い耐食性を有する軟磁性扁平粉末、磁性シートおよび製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

軟磁性粉末を扁平化処理することにより得られた扁平粉末であって、軟磁性扁平粉末が、Si:15mass%以下(0は含まない)、Cr:6mass%超〜18mass%、Ni、Cu、Moのうち1種類または2種類以上の合計:0.3mass%超〜6mass%、残部がFeおよび不可避微量不純物からなるFe—Si−Cr系合金であることを特徴とする軟磁性扁平粉末。

請求項2

扁平粉末の長手方向に磁場を印加して測定した保磁力が240〜720A/mの範囲にあり、かつ飽和磁化が1.0T以上であることを特徴とする請求項1に記載された軟磁性扁平粉末。

請求項3

請求項1または2に記載された軟磁性扁平粉末を用いて成形された磁性シートであって、RFID用途または、13.56MHz帯域における磁性シートに成形した際の磁気特性である実数透磁率μ’が40以上かつ虚数透磁率μ’’が10以下(0は含まない)であることを特徴とする磁性シート。

請求項4

原料粉末作製工程と、前記原料粉末を扁平化する扁平加工工程により、請求項1〜3のいずれか1項に記載した軟磁性扁平粉末を得ることを特徴とする軟磁性扁平粉末の製造方法。

請求項5

ガスアトマイズ法による原料粉末作製工程と、前記原料粉末を扁平化する扁平加工工程と、前記扁平加工された粉末を真空またはアルゴン雰囲気で、500℃〜900℃で熱処理する工程により、請求項1〜3のいずれか1項に記載した軟磁性扁平粉末を得ることを特徴とする軟磁性扁平粉末の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、RFID技術を用いた非接触ICタグ非接触充電給電用電子機器などに用いられる軟磁性扁平粉末磁性シートおよびその製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、軟磁性扁平粉末を含有する磁性シートは、電磁波吸収体RFID(Radio Frequency Identification)用アンテナとして用いられてきた。RFID用アンテナやタグの設計のし易さなどの特性のバランスの良さから、13.56MHzの周波数領域が日本において広く使用されている。また、近年では、デジタイザと呼ばれる位置検出装置にも用いられるようになってきている。このデジタイザには、例えば、特開2011−22661号公報(特許文献1)のような電磁誘導型のものがあり、ペン形状位置指示器の先に内蔵されるコイルより発信された高周波信号を、パネル状の位置検出器に内蔵されたループコイルにより読み取ることで指示位置を検出する。

0003

ここで、検出感度を高める目的で、ループコイルの背面には高周波信号の磁路となるシートが配置される。この磁路となるシートとしては、軟磁性扁平粉末を樹脂ゴム中に配向させた磁性シートや軟磁性アモルファス合金箔を貼り合わせたものなどが適用される。磁性シートを用いる場合は、検出パネル全体を1枚のシートに出来るため、アモルファス箔のような貼り合せ部での検出不良などがなく優れた均一性が得られる。

0004

また、従来、磁性シートには、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Al合金、Fe−Cr合金などからなる粉末を、アトリッションミルアトライタ)などにより扁平化したものが添加されてきた。これは、高い透磁率の磁性シートを得るために、いわゆる「Ollendorffの式」からわかるように、透磁率の高い軟磁性粉末を用いること、反磁界下げるため磁化方向に高いアスペクト比を持つ扁平粉末を用いること、磁性シート中に軟磁性粉末を高充填することが重要であるためである。

0005

また、上記に加え、RFIDのような用途においては、磁壁共鳴による損失を防ぐ必要があり、粉末の透磁率μの構成成分である、透磁率の実数部μ’と透磁率の虚数部μ’’のうち、μ’’を低くする必要がある。しかし、一般的には、μ’’を低く抑えるような製法では、μ’も低下する傾向にある。これを解決するために、例えば、特許第4420235号公報(特許文献2)では、Fe−Si−Cr合金系における扁平粉末の必要特性として、扁平粉末の平均粒径D50が5〜30μmかつ高いアスペクト比を有し、飽和磁化の値と保磁力の値の比率が一定である粉末の製造方法が開示されている。

0006

また、特開2016−89242号公報(特許文献3)では、平均粒径30μm以上でもあっても、高い透磁率の実数部μ’と低い透磁率の虚数部μ’’を有する軟磁性扁平粉末及びその製造方法が開示されている。

先行技術

0007

特開2011−22661号公報
特許第4420235号公報
特開2016−89242号公報

発明が解決しようとする課題

0008

従来の電磁波吸収用またはRFID用の磁性シートは、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Al合金、Fe−Cr合金が用いられてきた。これら合金を用いた扁平粉末または磁性シートにおいて使用環境下における発銹が問題となっている。扁平粉または磁性シートにおいて発銹が発生すると、軟磁性特性劣化を引き起こす。そのため、高い磁気特性を有したまま、耐食性向上が求められている。

課題を解決するための手段

0009

そこで、本発明は、RFID用部材に主に用いられる軟磁性扁平粉末であって、高い磁気特性を維持し、かつ高い耐食性を有する軟磁性扁平粉末、磁性シートおよび製造方法を提供することを目的とする。その発明の要旨とするところは、
(1)軟磁性粉末を扁平化処理することにより得られた扁平粉末であって、その組成が、Si:15mass%以下(0は含まない)、Cr:6mass%超〜18mass%、Ni、Cu、Moのうち1種類または2種類以上の合計:0.3mass%超〜6mass%、残部がFeおよび不可避微量不純物からなるFe—Si−Cr系合金であることを特徴とする軟磁性扁平粉末を用いることで実現できる。

0010

(2)扁平粉末の長手方向に磁場を印加して測定した保磁力が240〜720A/mの範囲にあり、かつ飽和磁化が1.0T以上であることを特徴とする前記(1)に記載された軟磁性扁平粉末。
(3)前記(1)または(2)に記載された軟磁性扁平粉末を用いて成形された磁性シートであって、RFID用途または、13.56MHz帯域における磁性シートに成形した際の磁気特性である実数透磁率μ’が40以上かつ虚数透磁率μ’’が10以下(0は含まない)であることを特徴とする磁性シート。

0011

(4)原料粉末作製工程と、前記原料粉末を扁平化する扁平加工工程により、前記(1)〜(3)のいずれか1に記載した軟磁性扁平粉末を得ることを特徴とする軟磁性扁平粉末の製造方法。
(5)ガスアトマイズ法による原料粉末作製工程と、前記原料粉末を扁平化する扁平加工工程と、前記扁平加工された粉末を真空またはアルゴン雰囲気で、500℃〜900℃で熱処理する工程により、前記(1)〜(3)のいずれか1に記載した軟磁性扁平粉末を得ることを特徴とする軟磁性扁平粉末の製造方法。

発明の効果

0012

以上のようにして得られた軟磁性扁平粉末は、高い飽和磁化を有し、かつ扁平粉末の長
手方向に磁場を印加して測定される保磁力の値が低い粉末は、μ’の上昇幅に対し、μ’’が低い粉末となり、かつ耐食性に優れたRFID用粉末を得ることを可能とした。なお、実数透磁率μ’は交流磁場を印加したときの透磁率を表し、虚数透磁率μ’’は、交流磁場よりも位相が90°遅れた透磁率であり、磁気損失指標となる。

0013

以下、本発明に係わる成分組成の限定理由を説明する。
Si:15mass%以下(0は含まない)
Siは結晶磁気異方性を低下し、磁歪定数を低下することができる。しかし、その量が過剰であると、材料が硬くなるため、軟磁性扁平粉末の平均粒径が増大しなくなる。また、飽和磁化の値が低くなるため、μ’’に対するμ’の値が低くなる傾向にある。したがって、15mass%以下であることが好ましく、12mass%以下がより好ましく、8mass%以下がさらに好ましい(ただし0は含まない)。

0014

Cr:6mass%超〜18mass%
Crは結晶の磁気異方性を低下し、耐食性を向上させることができる。しかし、その量が過剰であると、軟磁性扁平粉末の保磁力が、加工条件熱処理条件で調整できる上限を超え好ましくない。そのため、18mass%以下が好ましく、16.5mass%以下がより好ましく、15mass%以下がさらに好ましい(ただし0は含まない)。

0015

Ni、Cu、Moのうち1種類または2種類以上の合計:0.3mass%超〜6mass%
Niは強磁性を示すため、Feへ置換固溶しても、大きく飽和磁化を減少させない。また、Cr酸化膜を有する合金に添加することで、Cr酸化膜を強化し、硫酸塩酸に対する耐食性を改善する。しかし、Niはオーステナイトフォーマー元素であるため、オーステナイトを安定化させる効果がある。これにより、その量が過剰であると、強磁性Feのα相中にγの非磁性相析出させ、保磁力の増加を招く。そのため、6mass%以下が望ましく、4mass%以下がより望ましい。

0016

また、Cuは、Cr酸化膜を有する合金に添加することで、Cr酸化膜を強化し、硫酸
に対する耐食性を改善する。しかし、その量が過剰であると、熱処理時にCuリッチ相が析出するため、保磁力の増加を招く。そのため、6mass%以下が望ましく、4mass%以下がより望ましい。

0017

また、MoはCr酸化膜を有する合金に添加することで、Cr酸化膜を強化し、硫酸、
塩酸に対する耐食性を改善する。しかし、その量が過剰であると、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加を招く。そのため、6mass%以下が望ましく、4mass%以下がより望ましい。

0018

保磁力が240〜720A/m
720A/mを超える保磁力では、μ’の値を確保できず、シート成型を工夫しても、求める特性を得ることが難しくなるため好ましくない。また、極端に低い保磁力であると、μ’’の最大値の増加に引きずられるようにして、13.56MHz帯におけるμ’’が増加するため好ましくない。240A/m未満の保磁力では、13.56MHz帯におけるμ’’の値が大きくなり好ましくない。

0019

飽和磁化が1.0T以上
RFID用途においては、μ’の値を高く、μ’’の値を低くする必要がある。13.56MHz帯においては、磁壁共鳴による損失を抑えるとよい。磁壁共鳴損失は周波数によって異なるが、材料の物性値によって、ピークとなる周波数の位置が移動する。ゆえに、磁壁共鳴周波数が高い場合、13.56MHzにおける損失の値は低くなると考えられる。

0020

この磁壁共鳴周波数は{飽和磁化/(透磁率の1/2乗)}に比例するとされる(磁気工学基礎II共立全書)。RFID用途として必要な特性を得るためには透磁率は極力下げない方が良いので、飽和磁化を高くすることが有効である。また、透磁率は飽和磁化が高く、保磁力が低いと高くなる傾向がある。結局のところ、磁壁共鳴周波数を高く、透磁率を高くするためには、飽和磁化の値を高く、保磁力の値を低くすればよいことが分かる。そのため、飽和磁化の値は1.0T以上であることが好ましく、1.3T以上であることがより好ましい。飽和磁化の値が低いと、μ’の値を確保できず、シート成型を工夫しても、求める特性を得ることが難しくなるため好ましくない。

0021

実数透磁率μ’が40以上かつ虚数透磁率μ’’が10以下(0は含まない)
透磁率の数値は、シート成型後の透磁率測定によって評価されるが、この値は粉末そのものの特性だけでなく、粉末の充填率配向状態など、シートの成型条件により左右される。この粉末を用いて、透磁率の虚数部μ’’が1〜10以下のシートを作製した際に、粉末の実数部μ’は、40以上であることが好ましく、55以上であることがより好ましく、60以上であることがさらに好ましい。

0022

原料粉末作製工程
原料粉末作製工程は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法やディスクアトマイズ法が考えられる。特にガスアトマイズ法は、他の粉末作製方法と比較し、酸素窒素含有量の低い合金粉末を製造することができる。また、作製される合金粉末の形状が球状であることからアトライタ加工により粉砕よりも扁平化が進行しやすいため、ガスアトマイズ法が望ましい。また、扁平化された扁平粉末の平均粒径は30〜200μmとした。平均粒径が30μm未満では、アスペクト比の高い扁平粉は得られ難く、μ’が小さくなる傾向にある。また、平均粒径の小さい粒径は平均粒径の大きい粉末よりも、保磁力の値が高くなる傾向にある。しかし、平均粒径が大きくなると、シート成型が困難になるため、30〜200μmのものを採用した。

0023

原料粉末を扁平化する扁平加工工程
本発明において、扁平加工方法は、特に制限は無く、例えば、アトライタ、ボールミル振動ミル等を用いて行うことができる。中でも、比較的扁平加工能力に優れる、アトライタを用いることが好ましい。乾式で加工を行う場合は、不活性ガスを用いることが好ましい。湿式で加工する場合は、加工中の酸化を抑制できる有機溶媒を用いることが好ましいが、有機溶媒の種類については特に限定されない。

0024

有機溶媒の添加量は、軟磁性合金粉末100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましい。有機溶媒の上限は特に限定されず、求める扁平粉の大きさ・形状と、生産性のバランスに応じて適宜調整が可能である。有機溶媒とともに扁平化助剤を用いてもよいが、酸化を抑えるために、軟磁性合金粉末100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。

0025

真空またはアルゴン雰囲気
本発明に用いられる軟磁性扁平粉末においては、酸化を抑えるために、真空中あるいは不活性ガス中で熱処理されることが好ましい。例えば、表面処理の観点から、大気窒素中で熱処理されてもよいが、その場合は、粉末の保磁力の値が上昇し、透磁率の値が低くなる傾向にあり好ましくない。

0026

500℃〜900℃で熱処理
本発明において、熱処理工程はアトライタ加工により導入された扁平粉末中の格子欠陥回復し、保磁力を低下させるための工程であり、500℃未満では保磁力の低下が十分ではなく、900℃を超えると焼結し、これが粗大な塊となって、シート表面の突起を増加させてしまう。好ましくは730を超え880℃未満、より好ましくは750を超え850℃未満である。

0027

以下、本発明について、実施例によって具体的に説明する。
(扁平粉末の作製)
ガスアトマイズ法により所定の成分の粉末を作製し150μm以下に分級した。ガスアトマイズは、アルミナ製坩堝を溶解に用い、坩堝下の直径5mmのノズルから合金溶湯出湯し、これに高圧アルゴン噴霧することで実施した。これを原料粉末としアトライタにより扁平加工した。得られた扁平粉末の平均粒径は30〜200μmのものを用いた。なお、アトライタは、SUJ2製の直径4.8mmのボールを使用し、原料粉末と工業エタノールとともに攪拌容器投入し、羽根回転数を300rpmとして実施した。工業エタノールの添加量は、原料粉末100質量部に対し、200〜500質量部とした。扁平化助剤は、添加しないか、もしくは、原料粉末100質量部に対し、1〜5質量部とした。扁平加工後に攪拌容器から取り出した扁平粉末と工業エタノールをステンレス製の皿に移し、80℃で24時間乾燥させた。このようにして得た扁平粉末を真空中あるいはアルゴン中で、500〜900℃で2時間熱処理し、各種の評価に用いた。

0028

(扁平粉末の評価)
得られた扁平粉末の保磁力を評価した。保磁力は直径6mm、高さ8mmの樹脂製容器に扁平粉末を充填し、この容器の高さ方向に磁化した場合と、直径方向に磁化した場合の値を測定した。なお、扁平粉末は充填された円柱の高さ方向が厚さ方向となっているため、容器の高さ方向に磁化した場合が扁平粉末の厚さ方向、容器の直径方向に磁化した場合が扁平粉末の長手方向の保磁力となる。印加磁場は144kA/mで実施した。

0029

溶出試験は、扁平粉末を0.02±0.0001gで量し、各種10%酸溶液10mlにて60分溶出した後、定溶25mlとしICP分析(Intactively Coupled Plasma)によりFe、Cr、Siの溶出量を測定した。

0030

(磁性シートの作製および評価)
トルエン塩素化ポリエチレンを溶解し、これに得られた扁平粉末を混合、分散した。この分散液をポリエステル樹脂に厚さ1mm程度に塗布し、常温常湿で乾燥させた。その後、130℃、15MPaの圧力でプレス加工し、磁性シートを得た。磁性シートのサイズは150mm×150mmで厚さは100μmである。なお、磁性シート中の扁平粉末の体積充填率はいずれも約50%であった。次に、この磁性シートを、外径7mm、内径3mmのドーナツ状に切り出し、インピーダンス測定器により、室温で1MHzにおけるインピーダンス特性を測定し、その結果から透磁率(複素透磁率の実数部および虚数部:μ’およびμ’’)を算出した。以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明はこの実施例に特に限定されない。

0031

硫酸および塩酸に対する溶出量が600ppm以下の少ない例を耐食性良好とした。

0032

0033

表1に示すNo.2〜6、11〜13、18〜26、表2に示すNo.30〜34、38〜42、46〜54、表3に示すNo.58〜62、66〜70、74〜82、85〜88が本発明例であり、表1に示すNo.1、7〜10、14〜17、27〜29、表2に示すNo.35〜37、43〜45、55〜57、表3に示す63〜65、71〜73、83〜84は比較例である。

0034

表1に示すように、比較例No.1は、Ni含有量が低いために、硫酸に対する流出量および塩酸に対する流出量が多いことから、耐食性が悪い。これに対して、本発明例であるNo.2〜6は、本発明の条件を満たしていることから、硫酸、塩酸に対する流出量が少なく、耐食性に優れている。また、比較例No.7は、Ni含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、シート成型を工夫しても、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.8は、No.7と同様に、Ni含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、シート成型を工夫しても、求める磁気特性を得ることが出来ない。

0035

比較例No.9は、Cu含有量が低いために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。比較例No.10は、扁平加工された粉末を空気中で400℃と低い温度で熱処理することにより、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁気特性を得ることが出来ない。これに対して、本発明例であるNo.11〜13は、本発明の条件を満たしていることから優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。比較例No.14は、扁平加工された粉末を空気中で処理されることから、飽和磁化が得られず、長手方向の保持力の増加を招き、求める磁気特性を得ることが出来ない。

0036

比較例No.15は、Cu含有量が高いために、熱処理時にCuリッチ相が析出するために、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.16は、No.15と同様に、Cu含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.17は、Mo含有量が少ないために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。これに対して、本発明例であるNo.18〜26は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0037

比較例No.27は、Mo含有量が高いために、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.28は、比較例No.27と同様に、Mo含有量が高いために、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.29は、Ni含有量が少ないために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。これに対して、表2に示す、本発明例であるNo.30〜34は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0038

表2に示すように、比較例No.35は、Ni含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.36は、比較例No.35と同様に、Ni含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.37は、Cu含有量が低いために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。これに対して、本発明例であるNo.38〜42は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0039

比較例No.43は、Cu含有量が高いために、熱処理時にCuリッチ相が析出するために、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.44は、No.43と同様に、Cu含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.45は、Mo含有量が少ないために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。これに対して、本発明例であるNo.46〜54は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0040

比較例No.55は、Mo含有量が高いために、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.56は、比較例No.55と同様に、Mo含有量が高いために、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.57は、Ni含有量が少ないために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。これに対して、表3に示す、本発明例であるNo.58〜62は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0041

比較例No.63は、Ni含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、かつ実数透磁率μ’の値および虚数透磁率μ’’を確保できないために、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.64は、比較例No.63と同様に、Ni含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、かつ実数透磁率μ’の値および虚数透磁率μ’’を確保できないために、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.65は、Cu含有量が低いために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。また、いずれも、偏平加工された粉末が空気中で処理されることから、粉末の保磁力の値が上昇し、透磁率の値が低下するものである。これに対して、本発明例であるNo.66〜70は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0042

比較例No.71は、Cu含有量が高いために、熱処理時にCuリッチ相が析出するために、保磁力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁気特性を得ることが出来ない。比較例No.72は、No.71と同様に、Cu含有量が高いために、長手方向の保持力の増加を招き、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.73は、Mo含有量が少ないために、硫酸、塩酸に対する流出量が多く耐食性が悪い。これに対して、本発明例であるNo.74〜82は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

0043

比較例No.83は、Mo含有量が高いために、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加が極めて大きく、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。比較例No.84は、比較例No.83と同様に、Mo含有量が高いために、熱処理時にMoリッチ相が析出するため、保磁力の増加が極めて大きく、実数透磁率μ’の値を確保できず、求める磁性特性を得ることが出来ない。これに対して、本発明例であるNo.85〜88は、本発明の条件を満たしていることから、優れた磁気特性および耐食性を得ることができる。

実施例

0044

以上述べたように、Fe−Si−Cr系合金の軟磁性偏平粉末にNi、Cu、Moの1種または2種以上を添加することで、Cr酸化皮膜を有する合金にNi、CuまたはMoの添加により、Cr酸化被膜を強化し、酸化被膜素地密着性を向上させ、磁気特性の劣化を抑制し、耐蝕性を向上させるものである。


出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人弁理士名 彊

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