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課題

新規凝固第X/Xa因子の薬物、及び、患者の凝固カスケードを調節するための前記薬物の使用方法の提供。

解決手段

特定の配列のアミノ酸41〜179及び235〜488を有する変異型第Xa因子において、キモトリプシン番号付与方式で16位(特定の配列の235位)のIleがPhe、Asp及びGlyから選択されるアミノ酸で置換される、変異型第Xa因子。

効果

野生型第Xa固子と比較して、前記変異型第Xa因子の活性部位による基質結合が低下し、前記変異型第Xa因子がプロゲナーゼ複合体の第Va因子に結合した場合増加する、変異型第Xa因子。野生型第Xa因子より長い血漿半減期を有する、変異型第Xa因子。

概要

背景

本発明が関与する技術の状況を説明するため、いくつかの文献および特許文書が本明細書中引用されている。これらの引用それぞれは、全文を説明するものとして、本明細書に参考文献により盛り込まれている。

凝固酵素は、キモトリプシン様の折り畳み構造を持ち、プロテアーゼのS1ペプチダーゼファミリーに属するトリプシン様酵素である。前記凝固プロテアーゼは互いに、および先祖消化セリンプロテアーゼと極めて相同的な触媒ドメインを含む。構造的相同性同一性は非常に高く(>70%)、前記凝固酵素の触媒ドメイン残基はキモトリプシノーゲンの対応する残基に準じて番号が付けられている。

前記凝固酵素は不活性前駆体のチモーゲンとして血液中循環しており、この前駆体が活性化するためにはタンパク質分解的切断が必要である。活性化後に生成するセリンプロテアーゼと比較した場合、前記チモーゲンのタンパク質分解活性はおよそ10,000倍以下である。血管損傷部位での凝固開始一連の反応を引き起こし、この反応では特異的タンパク質分解的切断によりチモーゲンがプロテアーゼに変換され、遂次反応に関わる酵素を形成する。この反応が結果的に血液細胞を活性化し、可溶性フィブリノゲン不溶性フィブリンに変換し、故に凝血塊が生成する。過剰なプロテアーゼは、「自殺基質として機能する循環血液中のプロテアーゼ阻害物質、つまり前記活性酵素を認識するプロテアーゼ阻害物質による反応で除かれる。そのため、凝固チモーゲンのタンパク質分解活性は、前記凝固カスケードの重要な制御機能である。

前記凝固チモーゲンはそれぞれの活性化反応で2箇所以上が切断されるものもあるが、前記プロテアーゼが形成するためには1箇所で切断される必要がある。この部位の切断とその結果生じる構造は、キモトリプシノーゲン、およびトリプシノーゲントリプシンを用いた広範な構造研究に基づく相同性番号付与方式を利用し、最も容易な方法で検討される。前記チモーゲンからセリンプロテアーゼへの変換にはArg15以降の切断が必要であり(典型的には、Arg15とIle16の間の結合)、通常はこれにより活性ペプチドが除かれ、Ile16で始まる触媒ドメインに新しいN末端露出する。一例が第X因子から第Xa因子への変換である(図1および2を参照)。トリプシンおよび第Xa因子では、新しいN末端配列がIle16−Val17−Gly18−Gly19で始まる。他の凝固酵素の新しいN末端配列は、同じ配列が変化したものである。その後、前記N末端配列は前記触媒ドメインの中に折り畳まれ、配列特異的にN末端が結合する割れ目に挿入されるが、この方法は「分子性認識(molecular sexuality)」と呼ばれる。図2を参照していただきたい。従って、代わりのN末端配列が変化しても、同様の方法で分子性認識を受ける可能性は低くなる。N末端が挿入されることで、触媒ドメイン内側のIle16とAsp194のα−NH2基の間に塩橋が形成する。塩橋の形成には、図3に示す、いわゆる活性化ドメイン再配列触媒に必要なオキシアニオンホールの形成、および基質結合部位の形成を含む触媒ドメイン構造の様々な変化を伴う。これらの変化は、活性セリンプロテアーゼを成熟型にする。分子性認識による新しいN末端の配列特異的相互作用と塩橋の形成が前記活性プロテアーゼの成熟にもたらす重要な貢献は、以下の事実から明らかである:その事実とは、活性化に切断が必要ない細菌プロテアーゼは、Asp194との塩橋に触媒ドメイン内の別の側鎖を利用している;トリプシノーゲンは切断なしでプロテイナーゼ様の構造に活性化することができるが、割れ目に挿入されるIle−Valジペプチドは非常に高濃度となる必要があり、極めて非効率的である;前記Ile−Valジペプチドおよび他のジペプチドははるかに効率が低い;さらに、それ自体のN末端を提供し、N末端が結合する割れ目に挿入されることで活性化のメカニズムを妨害することにより、切断せずに凝固チモーゲンを活性化する細菌タンパク質が2例ある、というものである。

上記に概要をまとめた構造変化は、前駆体チモーゲンから活性セリンプロテアーゼへの変換について、分子的説明を提供している。しかし、Arg15での切断後に完全に活性化するトリプシンとは異なり、凝固酵素の多くはタンパク質基質上での活性が非常に弱い。前記凝固酵素は機能的に完全に活性な部位を持ち、小さなペプチジル基質を切断できるにもかかわらず、生物基質の効率的な切断には、補酵素タンパク質が必要なことが多い(図2)。このような場合、前記補助因子タンパク質がタンパク質基質の切断速度を数千倍上昇させる。前記補助因子タンパク質が機能するメカニズムはまだ解明されていないが、前記プロテアーゼをより酵素らしく振る舞わせることで、効率性を高めるように機能するとは考えにくい。重要なポイントは、1つの例外を除き、前記補助因子が前記プロテアーゼに選択的に結合し、対応するチモーゲンには結合しないという点である。例えば、第Xa因子は膜結合型FVaと高い親和性で結合するが、前記チモーゲン第X因子はFVaに結合しない。

患者の状態により、凝固機能を高めるか低下させるように変化させた凝固カスケードタンパク質を開発することが望ましいと考えられる。治療薬に利用できるそのようなタンパク質を提供することが、本発明の目的である。

概要

新規凝固第X/Xa因子の薬物、及び、患者の凝固カスケードを調節するための前記薬物の使用方法の提供。特定の配列のアミノ酸41〜179及び235〜488を有する変異型第Xa因子において、キモトリプシンの番号付与方式で16位(特定の配列の235位)のIleがPhe、Asp及びGlyから選択されるアミノ酸で置換される、変異型第Xa因子。野生型第Xa固子と比較して、前記変異型第Xa因子の活性部位による基質結合が低下し、前記変異型第Xa因子がプロゲナーゼ複合体の第Va因子に結合した場合増加する、変異型第Xa因子。野生型第Xa因子より長い血漿半減期を有する、変異型第Xa因子。なし

目的

本発明は、新規凝固第X/Xa因子の薬物と、それを必要とする患者の凝固カスケードを調節するため、当該薬物を使用する方法とを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

止血を調節する変異型第Xa因子

請求項2

配列ID番号1のアミノ酸41〜179および235〜488を有する請求項1記載の変異型第Xa因子において、キモトリプシン番号付与方式で16位(配列ID番号1の235位)のIleがPhe、AspおよびGlyからなる群から選択されるアミノ酸で置換されるものである、変異型第Xa因子。

請求項3

請求項2記載の変異型第Xa因子において、前記キモトリプシンの番号付与方式で16位のIleがPheで置換されるものである、変異型第Xa因子。

請求項4

請求項2記載の変異型第Xa因子において、前記キモトリプシンの番号付与方式で16位のIleがAspで置換されるものである、変異型第Xa因子。

請求項5

請求項2記載の変異型第Xa因子において、前記キモトリプシンの番号付与方式で16位のIleがGlyで置換されるものである、変異型第Xa因子。

請求項6

請求項2記載の変異型第Xa因子において、前記第Xa因子は配列ID番号1のアミノ酸41〜179およびアミノ酸235〜488からなり、16位(配列ID番号1の235位)のIleがPhe、AspおよびGlyからなる群から選択されるアミノ酸で置換されるものである、変異型第Xa因子。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一つに記載の変異型第Xa因子において、前記変異型第Xa因子の活性部位による基質結合は野生型第Xa因子と比較して低下したものであり、および、前記変異型第Xa因子がプロトロンビナーゼ複合体の第Va因子に結合した場合は増加するものである、変異型第Xa因子。

請求項8

請求項1〜6のいずれか一つに記載の変異型第Xa因子において、前記変異型第Xa因子は野生型第Xa因子より長い血漿半減期を有するものである、変異型第Xa因子。

請求項9

止血関連疾患の治療において使用される請求項1〜8のいずれか一つに記載の変異型第Xa因子。

請求項10

生物学的に適合した担体中に請求項1〜9のいずれか一つに記載の変異型第Xa因子を有する薬学的組成物

請求項11

止血関連疾患の治療のための薬剤の製造における請求項1〜9のいずれか一つに記載の第Xa因子変異体の使用。

請求項12

請求項11記載の使用において、前記止血関連疾患は血友病A血友病B凝固因子欠乏症、ならびに、外傷、損傷、血栓症血小板減少症、脳卒中、凝固障害および播種性血管内凝固症候群(disseminatedintravascularcoagulation:DIC)に伴う出血から成る群から選択されるものである、使用。

請求項13

請求項1〜9のいずれか一つに記載の変異型第Xa因子をコードする核酸分子であって、前記核酸はさらに細胞切断部位をコードするものであり、前記細胞内切断部位はキモトリプシンの番号付与方式で15位と16位の間にあるか、または、前記第X因子活性ペプチドは前記細胞内切断部位によって置換されるものである、核酸分子。

請求項14

ヒト第X因子(FX)ポリペプチドをコードする核酸配列を有する単離核酸分子であって、前記FXポリペプチドは配列ID番号1のアミノ酸41〜179および235〜488を有し、キモトリプシンの番号付与方式で16位(配列ID番号1の235位)のIleがPhe、AspおよびGlyからなる群から選択されるアミノ酸で置換されるものであり、前記核酸はさらに細胞内切断部位をコードするものであり、および、前記細胞内切断部位はキモトリプシンの番号付与方式で15位と16位の間にあるか、または、前記FXの活性ペプチドは前記細胞内切断部位によって置換されるものであり、および、前記細胞内切断部位は細胞内で前記FXポリペプチドの活性化を可能にするものである、核酸分子。

請求項15

請求項14記載の核酸分子において、前記キモトリプシンの番号付与方式で16位のIleがPheで置換されるものである、核酸分子。

請求項16

請求項14記載の核酸分子において、前記キモトリプシンの番号付与方式で16位のIleがAspで置換されるものである、核酸分子。

請求項17

請求項14記載の核酸分子において、前記キモトリプシンの番号付与方式で16位のIleがGlyで置換されるものである、核酸分子。

請求項18

請求項14の核酸分子において、前記FXポリペプチドはプロペプチド配列を有するものである、核酸分子。

請求項19

請求項13〜18のいずれか一つに記載の核酸分子において、前記細胞内切断部位は、PACE/フューリン切断部位である、核酸分子。

請求項20

制御配列に操作可能に結合された請求項13〜19のいずれか一つに記載の核酸分子を有する発現ベクター

請求項21

アデノウイルスベクターアデノウイルス随伴ベクターレトロウイルスプラスミド、およびレンチウイルスベクターから成る群から選択される、請求項20記載の発現ベクター。

請求項22

請求項20記載の発現ベクターを有する宿主細胞

請求項23

前記宿主細胞はCHO細胞である、請求項22記載の宿主細胞。

請求項24

請求項22記載の宿主細胞を培養する工程と、それによって製造された第Xa因子を精製する工程とを有する、活性第X因子(FXa)を製造する方法。

請求項25

請求項24記載の方法によって製造されたFXa。

技術分野

0001

本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で2005年11月15日に出願された米国仮出願番号60/736,680の優先権を主張するものであり、その全体が、この参照により全文を説明するものとして本明細書に組み込まれるものである。

0002

35U.S.C.§202(c)に従い、米国政府が本明細書に説明される発明の特定の権利を有することは同意されるものとし、前記発明は一部、米国国立衛生研究所の助成金番号PO1 HL−74124−01による資金援助を受けた。

0003

本発明は、医学および血液学の分野に関する。より具体的には、本発明は、新規凝固第X/Xa因子の薬物と、それを必要とする患者の凝固カスケードを調節するため、当該薬物を使用する方法とを提供する。

背景技術

0004

本発明が関与する技術の状況を説明するため、いくつかの文献および特許文書が本明細書中引用されている。これらの引用それぞれは、全文を説明するものとして、本明細書に参考文献により盛り込まれている。

0005

凝固酵素は、キモトリプシン様の折り畳み構造を持ち、プロテアーゼのS1ペプチダーゼファミリーに属するトリプシン様酵素である。前記凝固プロテアーゼは互いに、および先祖消化セリンプロテアーゼと極めて相同的な触媒ドメインを含む。構造的相同性同一性は非常に高く(>70%)、前記凝固酵素の触媒ドメイン残基はキモトリプシノーゲンの対応する残基に準じて番号が付けられている。

0006

前記凝固酵素は不活性前駆体のチモーゲンとして血液中循環しており、この前駆体が活性化するためにはタンパク質分解的切断が必要である。活性化後に生成するセリンプロテアーゼと比較した場合、前記チモーゲンのタンパク質分解活性はおよそ10,000倍以下である。血管損傷部位での凝固開始一連の反応を引き起こし、この反応では特異的タンパク質分解的切断によりチモーゲンがプロテアーゼに変換され、遂次反応に関わる酵素を形成する。この反応が結果的に血液細胞を活性化し、可溶性フィブリノゲン不溶性フィブリンに変換し、故に凝血塊が生成する。過剰なプロテアーゼは、「自殺基質として機能する循環血液中のプロテアーゼ阻害物質、つまり前記活性酵素を認識するプロテアーゼ阻害物質による反応で除かれる。そのため、凝固チモーゲンのタンパク質分解活性は、前記凝固カスケードの重要な制御機能である。

0007

前記凝固チモーゲンはそれぞれの活性化反応で2箇所以上が切断されるものもあるが、前記プロテアーゼが形成するためには1箇所で切断される必要がある。この部位の切断とその結果生じる構造は、キモトリプシノーゲン、およびトリプシノーゲントリプシンを用いた広範な構造研究に基づく相同性番号付与方式を利用し、最も容易な方法で検討される。前記チモーゲンからセリンプロテアーゼへの変換にはArg15以降の切断が必要であり(典型的には、Arg15とIle16の間の結合)、通常はこれにより活性ペプチドが除かれ、Ile16で始まる触媒ドメインに新しいN末端露出する。一例が第X因子から第Xa因子への変換である(図1および2を参照)。トリプシンおよび第Xa因子では、新しいN末端配列がIle16−Val17−Gly18−Gly19で始まる。他の凝固酵素の新しいN末端配列は、同じ配列が変化したものである。その後、前記N末端配列は前記触媒ドメインの中に折り畳まれ、配列特異的にN末端が結合する割れ目に挿入されるが、この方法は「分子性認識(molecular sexuality)」と呼ばれる。図2を参照していただきたい。従って、代わりのN末端配列が変化しても、同様の方法で分子性認識を受ける可能性は低くなる。N末端が挿入されることで、触媒ドメイン内側のIle16とAsp194のα−NH2基の間に塩橋が形成する。塩橋の形成には、図3に示す、いわゆる活性化ドメイン再配列触媒に必要なオキシアニオンホールの形成、および基質結合部位の形成を含む触媒ドメイン構造の様々な変化を伴う。これらの変化は、活性セリンプロテアーゼを成熟型にする。分子性認識による新しいN末端の配列特異的相互作用と塩橋の形成が前記活性プロテアーゼの成熟にもたらす重要な貢献は、以下の事実から明らかである:その事実とは、活性化に切断が必要ない細菌プロテアーゼは、Asp194との塩橋に触媒ドメイン内の別の側鎖を利用している;トリプシノーゲンは切断なしでプロテイナーゼ様の構造に活性化することができるが、割れ目に挿入されるIle−Valジペプチドは非常に高濃度となる必要があり、極めて非効率的である;前記Ile−Valジペプチドおよび他のジペプチドははるかに効率が低い;さらに、それ自体のN末端を提供し、N末端が結合する割れ目に挿入されることで活性化のメカニズムを妨害することにより、切断せずに凝固チモーゲンを活性化する細菌タンパク質が2例ある、というものである。

0008

上記に概要をまとめた構造変化は、前駆体チモーゲンから活性セリンプロテアーゼへの変換について、分子的説明を提供している。しかし、Arg15での切断後に完全に活性化するトリプシンとは異なり、凝固酵素の多くはタンパク質基質上での活性が非常に弱い。前記凝固酵素は機能的に完全に活性な部位を持ち、小さなペプチジル基質を切断できるにもかかわらず、生物基質の効率的な切断には、補酵素タンパク質が必要なことが多い(図2)。このような場合、前記補助因子タンパク質がタンパク質基質の切断速度を数千倍上昇させる。前記補助因子タンパク質が機能するメカニズムはまだ解明されていないが、前記プロテアーゼをより酵素らしく振る舞わせることで、効率性を高めるように機能するとは考えにくい。重要なポイントは、1つの例外を除き、前記補助因子が前記プロテアーゼに選択的に結合し、対応するチモーゲンには結合しないという点である。例えば、第Xa因子は膜結合型FVaと高い親和性で結合するが、前記チモーゲン第X因子はFVaに結合しない。

0009

患者の状態により、凝固機能を高めるか低下させるように変化させた凝固カスケードタンパク質を開発することが望ましいと考えられる。治療薬に利用できるそのようなタンパク質を提供することが、本発明の目的である。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明に従い、FXチモーゲン→プロテアーゼの移行経路制御部位に影響を及ぼし、それによってより多くの「チモーゲン様」FXa種の産生を促す組成物および方法が提供される。本発明の組成物および方法は、それを必要とする患者において止血の調節に効果的である。

課題を解決するための手段

0011

1の実施形態では、止血を調節する変異型第X因子/第Xa因子のチモーゲン/プロテアーゼが提供される。好ましくは、前記変異型チモーゲンプロテアーゼが配列ID番号2でコードされ、ヌクレオチド1684−1886がValまたはAlaをコードしないという条件で、配列ID番号2のヌクレオチド1684−1695はどのアミノ酸であってもよい。より好ましくは、前記変異型チモーゲン/プロテアーゼは、配列ID番号1に、a)16位のIleがLeu、Phe、Asp、またはGlyである場合、b)17位のValがLeu、Ala、またはGlyである場合、およびc)194位のAspがAsnまたはGluである場合を有する群から選択される少なくとも1つの修飾を含む。本発明の変異型チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸は、それを利用する方法としても開示されている。そのようなヌクレオチドは、任意選択細胞内PACE/フューリン切断部位をコードすることもある。

0012

さらに別の実施形態では、核酸が配列ID番号2の配列を有し、1684−1695位のヌクレオチドがLeu−Val−Gly、Gly−Val−Gly、Ile−Ala−Gly、Phe−Val−Gly、およびIle−Gly−Glyから成る群から選択されたアミノ酸をコードし、前記核酸が任意選択で2233−2235位にヌクレオチドを有し、これがAsnまたはGluから成る群から選択されたアミノ酸をコードする。

発明の効果

0013

生物学的に適合した担体中に本発明の第Xa因子変異体を有する薬学的組成物も提供される。本発明の別の好適な観点には、本明細書に説明する薬学的組成物を含む、治療有効量の前記変異型第X/Xa因子チモーゲン/プロテアーゼを投与する工程を有し、それを必要とする患者を対象とした止血関連疾患を治療する方法を含む。そのような方法は凝血促進剤が必要な疾患の治療に効果的と考えられ、これに限定されるものではないが、血友病AおよびB、阻害抗体が関与する血友病AおよびB、凝固因子欠乏症ビタミンKエポキシド還元酵素C1欠乏症、γ−カルボキシラーゼ欠乏症、外傷、損傷、血栓症血小板減少症、脳卒中、凝固障害播種性血管内凝固症候群DIC)に伴う出血抗凝固療法過剰による疾患、ベルナール・スーリエ症候群グラツマンの血小板無力症(Glanzman thromblastemia)、およびストレージプール病(storage pool deficiency)を含む。

0014

特定のチモーゲン/プロテアーゼ変異体は、抗凝固が望ましい疾患の治療に有用と考えられる。そのような疾患には、これに限定されるものではないが、血栓症、血小板減少症、脳卒中、凝固障害を含む。

0015

本発明の別の観点には、大量に生産する目的で、本発明の変異型チモーゲン/プロテアーゼを発現した宿主細胞を含む。前記チモーゲンプロテアーゼ変異体を単離、精製する方法も開示される。

発明を実施するための最良の形態

0016

タンパク質分解血液凝固の重要な態様であり、正常な止血を制御する多くのメカニズムの根底にある。補助因子前駆体(procofactor)およびチモーゲンは、それぞれの高分子酵素複合体に重要な関与をすることができない。これは、タンパク質分解による活性化で適切な構造変化が生じ、酵素、基質、補助因子に結合能力を与える部位にそのような発現が生じる必要があることを示している。補助因子前駆体およびチモーゲンの活性化は集中的に研究されてきたが、タンパク質分解と機能を与える結合部位の発現との関連性は完全に理解されていない。本発明ではモデルとなる組成物および系を提供し、前記チモーゲンの状態変化を伴う高分子結合相互作用発現の根底にある分子メカニズムを解明する。

0017

第X因子(FX)1はビタミンK依存性二本鎖糖タンパク質であり、血液凝固において中心的な役割を果たす(図1)。このセリンプロテアーゼであるチモーゲンは外因性組織因子/FVIIa)および内因性(FVIIIa/FIXa)テナーゼ酵素複合体の基質であり、FXの切断可能なArg15−Ile16結合を切断し、FXaを作る52アミノ酸活性化ペプチドを放出する。第Xa因子はプロトロンビンからトロンビンへの変換に関与するプロテアーゼである(図2)。第Xa因子はそれだけで作用できるプロテアーゼであり、プロトロンビンを切断するための触媒機構を有するが、この反応の触媒としては著しく弱い。膜表面で補助因子である第Va因子と強固な結合相互作用が生じると、第Xa因子が触媒する他の反応にあまり影響せずに、トロンビンの生成速度が増す。Arg15切断部位に続くN末端配列(Ile−Val−Gly)が変化し分子性認識が最適ではなくなると、「チモーゲン様」Xa誘導体が生じ、そのタンパク質分解活性は低下するか、全くなくなることもあると予想される。これらの誘導体アンチトロンビンIIIなどの血漿プロテアーゼ阻害物質による阻害を受けやすいとは予想されず、TFPIにあまり強く結合しないと考えられるため、血管損傷後の凝固開始に干渉するとは予想されない。第Xa因子は第Va因子と強固に結合するが、前記チモーゲン第X因子は結合しない。そのため、第Xa因子のチモーゲン様構造はVaとの結合が弱まると考えられるが、補助因子濃度が十分高いとその結合は完全に補われ、トロンビン形成を効果的に触媒する。このような特性を持った第Xa因子のチモーゲン様構造は血液循環中で寿命の長いプロテアーゼとして機能すると考えられ、第Va因子と結合した際にトロンビン形成を触媒する能力を持つが、それ以外は不活性である。チモーゲン様構造は、カスケード中の他の凝固因子の欠乏を回避する凝結促進剤として作用する可能性があり、完全な機能を持った野生型FXaの注入に伴う有害作用はない。

0018

I.定義:
以上に、また当該明細書および請求項全体にも、本発明の生体分子に関連して様々な用語が使用されている。

0019

「変異型チモーゲン/プロテアーゼ」の表現は、FXaに変換されるときのプロテアーゼ活性が、特定の補助因子がない状態で低下するか「チモーゲン様」となる(例えば、活性部位結合親和性が野生型分子に見られる結合親和性よりも低い)ように遺伝子的変化が生じた、修飾FXチモーゲンまたはFXaプロテアーゼを指す。特に、この親和性/活性は、これに限定されるものではないが、第Va因子を含む適切な補助因子があると回復する。親FX分子のアミノ酸が変化する好ましい部位には、16位のアミノ酸がバリンまたはアラニンではない条件で、16位のイソロイシン置換、17位のバリンの置換、および194位のアスパラギン酸の置換を含む。

0020

「止血関連疾患」の表現は、血友病AおよびB、阻害抗体を持つ血友病AおよびB患者、凝固因子VII、IXおよびX、XI、V、XII、II欠乏症、フォン・ヴィレブランド因子欠乏症、FV/FVIIIの複合欠乏症、ビタミンKエポキシド還元酵素C1欠乏症、γ−カルボキシラーゼ欠乏症などの出血性疾患;外傷、損傷、血栓症、血小板減少症、脳卒中、凝固障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)に伴う出血;ヘパリン低分子量ヘパリン五糖類、ワルファリン、低分子抗血栓薬(つまり、FXa阻害薬)に関連した抗凝固の過剰;ベルナール・スーリエ症候群、グランツマンの血小板無力症、およびストレージプール病などの血小板障害を指す。止血関連疾患には、深部静脈血栓症などの血栓疾患に伴う出血、心血管疾患状態または悪性腫瘍に伴う血栓症、留置カテーテルまたは他の侵襲外科手術による血栓症、および狼蒼などの自己免疫疾患に伴う血栓症も含む可能性がある。前記チモーゲン/プロテアーゼ変異体は、様々な疾患状態から生じる播種性血管内凝固症候群または消費性凝固障害患者に必要な止血を提供することもできる。

0021

本発明の核酸に関して、「単離核酸」の用語が使用されることもある。この用語はDNAに当てはめた場合、由来する生物の天然型ゲノムに(5’および3’方向で)すぐ隣接した配列から単離されるDNA分子を指す。例えば、前記「単離核酸」は、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターに挿入されるか、原核生物または真核生物のDNAに組み込まれる、DNAまたはcDNA分子を有することがある。

0022

本発明のRNA分子に関して、前記「単離核酸」という用語は、主に、上記に定義した単離DNA分子によってコードされるRNA分子を指す。代わりに、前記用語が、天然の状態で(つまり、細胞または組織中で)関連するだろうRNA分子から十分分離され、「実質的に純粋な」形態(「実質的に純粋な」という用語は以下に定義される)で存在するRNA分子を指すこともできる。

0023

タンパク質に関して、「単離タンパク質」または「単離された純粋なタンパク質」の用語が本明細書で使用されることがある。この用語は主に、本発明の単離核酸分子が発現することで生成したタンパク質を指す。代わりに、この用語が、天然で関連するだろう他のタンパク質と十分分離され、「実質的に純粋な」形態で存在するタンパク質を指すこともできる。

0024

プロモーター領域」の用語は、コーディング領域の5’または3’側、または前記コーディング領域内、またはイントロン内に認められる遺伝子の転写制御領域を指す。

0025

「ベクター」の用語は、ベクターが複製される宿主細胞に導入するためにDNA配列を挿入できる、担体となるDNA小分子を指す。「発現ベクター」は、宿主細胞での発現が必要な必須制御領域内に遺伝子または核酸配列を含む、特殊なベクターである。

0026

「操作により関連付ける」の用語は、コーディング配列の発現が行われるように、DNA分子中の前記コーディング配列に対して適切な位置に、前記コーディング配列の発現に必要な制御配列を入れることを意味する。この同じ定義は、発現ベクター中のコーディング配列および転写制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、および終止因子)の配列にも当てはまることがある。この定義は、ハイブリッド核酸分子が作成される、第一および第二核酸分子の核酸配列の配置にも応用されることがある。

0027

「実質的に純粋な」の用語は、重量で少なくとも50〜60%の対象化合物(例えば、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質など)を有する試料を指す。より好ましくは、前記試料が重量で少なくとも75%、最も好ましくは重量で90〜99%の対象化合物を有する。純度は前記対象化合物に適した方法(例えば、クロマトグラフィー法アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動法HPLC分析など)で測定される。

0028

特定のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を指す場合の「基本的に〜から成る」という表現は、特定の配列ID番号の特性を有する配列を意味する。例えば、アミノ酸配列に関して使用される場合、前記表現はそれ自体の配列と、前記配列の基本的および新しい特徴に影響しない分子修飾を含む。

0029

本明細書に用いる「オリゴヌクレオチド」の用語は、本発明のプライマーおよびプローブを指し、2若しくはそれ以上、好ましくは4つ以上のリボ−またはデオキシリボヌクレオチドとして定義される。前記オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、様々な要因によって、および前記オリゴヌクレオチドが使用される特定の応用によって決まる。

0030

本明細書に用いる「プローブ」の用語は、精製された制限酵素の消化で自然に発生するか、合成されたかによらず、前記プローブに相補的な配列とアニーリングするか、特異的にハイブリダイズすることができる、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはRNAまたはDNAの核酸を指す。プローブは一本鎖または二本鎖の可能性がある。前記プローブの正確な長さは、温度、プローブ供給源、および使用法を含む多くの要素によって決まる。例えば、診断に応用する場合、標的配列の複雑さにより、前記オリゴヌクレオチドプローブは典型的に15〜25またはそれ以上のヌクレオチドを含むが、それよりも少ないオリゴヌクレオチドを含むこともある。

0031

本明細書のプローブは、特定の標的核酸配列の異なる鎖に「実質的に」相補的となるように選択される。これは、一連の事前に決定された条件下、前記プローブがそれぞれの標的鎖と「特異的にハイブリダイズする」またはアニーリングすることができるよう、十分相補的である必要がある。従って、前記プローブの配列は前記標的の厳密に相補的な配列を反映している必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチドフラグメントが前記プローブの5’または3’末端に結合し、前記プローブ配列の残りの部分が前記標的鎖と相補的となることも考えられる。代わりに、前記プローブ配列が前記標的核酸の配列と十分相補的で、それと特異的にアニーリングするという条件で、非相補的塩基またはそれよりも長い配列が前記プローブに散在する可能性もある。

0032

前記「特異的にハイブリダイズする」という用語は、当該分野で利用される事前に決定された条件下、そのようなハイブリダイゼーションが可能となるような十分相補的な配列の一本鎖核酸2分子間の関連性を指す。特に、前記用語は、事実上、非相補的配列の一本鎖核酸とオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを除き、本発明の一本鎖DNAまたはRNA分子内に含まれる実質的に相補的な配列とオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを指す。

0033

本明細書に用いられる「プライマー」の用語は、RNAかDNAであり、一本鎖か二本鎖であり、生態系に由来するか制限酵素消化で作成したか合成したオリゴヌクレオチドを指し、適切な環境に置いた場合、鋳型依存的核酸合成イニシエーターとして機能することができる。適切な核酸の鋳型、適した核酸のヌクレオシド三リン酸前駆体、ポリメラーゼ酵素、適した補助因子、および適した温度およびpHなどの条件を提示した場合、ポリメラーゼの作用またはプライマーが伸長した生成物を生じる同様の作用により、ヌクレオチドを添加することで、前記プライマーをその3’末端で伸長することができる。

0034

前記プライマーの長さは、特定の条件および応用の要件によって変化する可能性がある。例えば、診断に応用する場合、前記オリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチドの長さは典型的には15〜25またはそれ以上となる。前記プライマーは、望みの伸長生成物の合成を開始するため、つまり、ポリメラーゼまたは同様の酵素による合成開始に利用する場合と適切に並べ、前記プライマーの3’ヒドロキシ部分を提供するのに十分な方法で望みの鋳型鎖アニニングできるように、望みの鋳型に十分相補的である必要がある。前記プライマー配列が望みの鋳型と厳密に相補的である必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド配列は、それ以外は相補的なプライマーの5’末端に結合することができる。代わりに、前記プライマー配列が望みの鋳型鎖の配列と十分相補的で、前記伸長生成物の合成に用いられる鋳型プライマー複合体を機能的に提供するという条件で、非相補的塩基が前記オリゴヌクレオチドプライマー配列に散在することも可能である。

0035

核酸またはアミノ酸配列間の比較に関し、「パーセント同一」という用語が本明細書に用いられている。核酸およびアミノ酸配列はコンピュータプログラムにより比較されることが多く、このプログラムは核酸またはアミノ酸配列を並べることで、2つの差を明確にする。本発明の目的で、核酸配列の比較は、ウィスコシン州MadisonのGenetics Computer Groupから入手可能なGCG Wisconsin Packageバージョン9.1を用いて行われている。便宜上、本明細書では、配列同一性の比較のため、このプログラムが指定した初期設定パラメータ(gap creation penalty=12、gap extension penalty=4)を使用することとする。代わりに、全米バイオテクノロジー情報センターが提供するBlastn 2.0プログラム(ウェブではncbi.nlm.nih.gov/blast/に見つかる;Altschul et al.,1990,J Mol Biol 215:403−410)を、初期設定パラメータを用いるgapped alignmentにより使用し、核酸配列およびアミノ酸配列の同一性および類似性度合いを決定することができる。

0036

II.核酸分子およびポリペプチドをコードする変異型チモーゲン−プロテアーゼの調整
A.核酸分子
本発明の変異型チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸分子は、組み換えDNA技術により調整することができる。ヌクレオチド配列の情報を利用し、様々な方法で本発明の単離核酸分子を調整することが可能である。例えば、当該分野で周知の標準的なプロトコールにより、適切な生物資源から、チモーゲン/プロテアーゼポリヌクレオチドをコードする核酸配列を単離することができる。

0037

本発明の核酸は、都合の良いクローニングベクターにDNAとして保存することができる。好適な実施形態では、pBluescript(Stratagene、カリフォルニア州La Jolla)などのプラスミドクローニング/発現ベクター中にクローンが保存され、適した大腸菌宿主細胞で増殖される。代わりに、前記核酸は、哺乳類細胞の発現に適したベクターに保存することもできる。翻訳後の修飾がチモーゲン/プロテアーゼの機能に影響する場合は(例えば、第Xa因子)、前記分子を哺乳類細胞に発現させることが好ましい。

0038

1つの実施形態では、前記第X因子チモーゲン変異体をコードする核酸が、細胞内のタンパク質分解的切断部位の挿入によりさらに修飾されることがある。哺乳類細胞に「活性化」チモーゲン様FXa変異体を発現させるため、細胞内のタンパク質分解的切断部位を前記変異型FXチモーゲンのArg15位と16位の間に挿入させることができる。そのよう切断部位には、Arg−Lys−ArgまたはArg−Lys−Arg−Arg−Lys−Argを含む。これらの切断部位は、前記細胞内でプロテアーゼ(PACE/フューリン様酵素)により効率的に認識され、除去される。これにより変異型FX(a)にプロセシングされ、前記分子の重鎖が今度は16位で始まる。上記位置にこの切断部位が導入されると、細胞内でFXからFxaへの変換が可能となる。

0039

別の実施形態では、52アミノ酸の活性ペプチド全体を取り除くことができ、変異型Fxaとなる場所に、細胞内プロテアーゼ切断部位を導入することができる。

0040

最終的に、これらの修飾により、修飾された変異型FXを発現する細胞から、変異型FXの「活性化」処理された形態の分泌が可能となる。切断された因子が分泌されることで、血液凝固時または前記タンパク質の単離後のタンパク質分解的切断の必要がなくなる。

0041

本発明の変異型チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸分子には、cDNA、ゲノムDNA、RNA、およびそのフラグメントを含み、これらは一本鎖または二本鎖とすることができる。そのため、本発明では、本発明の核酸分子配列の少なくとも1つとハイブリダイズすることが可能な配列を有する、オリゴヌクレオチド(DNAまたはRNAのセンスまたはアンチセンス鎖)を提供する。そのようなオリゴヌクレオチドは、チモーゲン/プロテアーゼの発現を検出するプローブとして有用である。

0042

B.タンパク質
本発明の全長または変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドは、既知の方法に従い、様々な方法で調整可能である。前記タンパク質は、例えば、イムノアフィニティー精製によりチモーゲン/プロテアーゼを発現した形質転換細菌または動物培養細胞または組織など、適切な資源から精製することができる。しかし、特定の細胞タイプでは常に少量のタンパク質が存在する可能性があるため、これは好ましい方法ではない。

0043

変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドをコードした核酸分子を利用することで、当該分野で既知のin vitro発現法により、チモーゲン/プロテアーゼを作成することができる。例えば、小麦胚芽またはウサギ網状赤血球溶血液など、細胞を含まない適切な翻訳系で細胞を用いずに翻訳した後、cDNAまたはゲノムをpSP64またはpSP65などの適切なin vitro転写ベクターにクローニングし、in vitroで転写させることができる。in vitro転写系および翻訳系は、Promega Biotech(ウィスコンシン州Madison)またはBRLメリーランド州Rockville)から市販されている。

0044

代わりに、好適な実施形態に従い、適した原核生物または真核生物の発現系で発現させることにより、大量のチモーゲン/プロテアーゼを作成することができる。例えば、変異型第Xa因子などをコードするDNA分子の一部または全部を、大腸菌などの細菌細胞、またはCHOまたはHela細胞などの哺乳類細胞における発現に適応させたプラスミドベクターに挿入することができる。代わりに、好適な実施形態では、チモーゲン/プロテアーゼを有する標識融合タンパク質を作成することができる。そのようなチモーゲン/プロテアーゼ標識融合タンパク質はDNA分子の一部または全部でコードされ、望みのポリペプチド標識の一部または全部をコードするヌクレオチド配列の正しいコドン読み枠に結合し、このポリペプチド標識は、大腸菌などの細菌細胞、またはこれに限定されるものではないが酵母および哺乳類細胞などの真核細胞における発現に適応させたプラスミドベクターに挿入される。上述のようなベクターは、前記宿主細胞のDNA発現が可能となる位置に、前記宿主細胞のDNAの発現に必要な制御要素を有する。そのような発現に必要な制御要素には、これに限定されるものではないが、プロモーター配列転写開始配列、およびエンハンサー配列を含む。

0045

遺伝子組み換え原核生物または真核生物系での遺伝子発現により作成した変異型チモーゲン/プロテアーゼタンパク質は、当該分野に周知の方法に従い精製することができる。好適な実施形態では、市販の発現/分泌系を用いることで、遺伝子組み換えタンパク質が発現し、その後前記宿主細胞から分泌され、周り培養液から簡単に精製される。発現/分泌ベクターが使用されない場合、代わりのアプローチには、前記遺伝子組み換えタンパク質に特異的に結合する抗体との免疫学的相互作用、またはN末端またはC末端で6−8ヒスチジン残基により標識された遺伝子組み換えタンパク質を単離するためのニッケルカラムなどのアフィニティー分離により、前記遺伝子組み換えタンパク質を精製する工程を含む。代わりの標識は、FLAGエピトープ、GST、または赤血球凝集素エピトープを有する。そのような方法は、当業者によって一般的に使用されている。

0046

前述の方法により調整されたチモーゲン/プロテアーゼタンパク質は、標準的な手順に従い分析することができる。例えば、そのようなタンパク質は、既知の方法によりアミノ酸配列分析を行うことができる。

0047

上記に考察したとおり、本発明に従ってポリペプチドを作成する簡便な方法は、発現系で核酸を用い、ポリペプチドをコードする核酸を発現させることである。本発明の方法に有用な様々な発現系は、当業者に周知である。

0048

従って、本発明は(開示の)ポリペプチド作成法を含み、前記方法は前記ポリペプチド(一般には核酸)をコードする核酸からの発現を含む。これは、前記ポリペプチドを生成させ、または生成を可能にする適切な条件下、そのようなベクターを含む宿主細胞の培養により、都合良く達成することができる。ポリペプチドは、網状赤血球溶血液などのin vitro系で作成することもできる。

0049

III.チモーゲン/プロテアーゼタンパク質およびチモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸の利用
プロテアーゼ活性が変化したポリペプチドをコードする変異型チモーゲン/プロテアーゼの核酸は、例えば、前記血液凝固カスケードを調節する治療および/または予防薬(タンパク質または核酸)として、本発明に従って利用することができる。本発明者は、第X/Xaチモーゲン/プロテアーゼ分子が凝固を促進し、効果的な止血を提供することを発見した。

0050

A.変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチド
本発明の好適な実施形態では、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドを生物学的に適合した担体に添加した注入により、好ましくは静脈内注射により患者に投与することができる。本発明の変異型チモーゲン/プロテアーゼは、任意選択でリポソーム封入するか、他のリン脂質またはミセルと混合し、前記分子の安定性を向上させることができる。チモーゲン/プロテアーゼは単独または他の既知薬物との併用で投与し、止血(例えば、第V因子、第Va因子、またはその誘導体)を調節することができる。チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドを送達させるために適した組成物は、患者の状態および血行力学的状態を含む(これに限定されるものではないが)様々な生理的変数を考慮し、医師が判断することができる。異なる適応および投与経路に十分適した様々な組成物が当該分野で周知であり、以下に説明される。

0051

精製第X/Xa因子類似体を含む製剤は生理的に許容される基質を含み、好ましくは薬学的製剤として製剤化される。前記製剤は十分知られている先行技術の方法により製剤化することができ、NaCl、CaCl2などの塩、およびグリシンおよび/またはリジンなどのアミノ酸を含む緩衝液と、pH6〜8の範囲で混合することができる。前記第X/Xa因子類似体を含む精製製剤は、必要となるまで、最終溶液の形態または凍結乾燥または冷凍された形態で保存可能である。好ましくは、前記製剤は凍結乾燥された形態で保存され、適切な再溶解溶液により、視覚的に透明な溶液に溶解される。

0052

代わりに、本発明に沿った前記製剤は、液体製剤または冷凍された液体として利用できるようにすることも可能である。

0053

本発明に沿った前記製剤は特に安定であり、つまり、適応前に長時間溶解された形態で放置することが可能である。

0054

第XIa因子またはその誘導体との併用で第X因子を含み、第X因子類似体を第Xa因子または第Xa因子類似体に活性化すること可能な、本発明に沿った前記製剤は、可能性としてはプロテアーゼを補充した微小カラムまたはシリンジの形態で、基質に固定化された第XIa因子を保持する容器、および前記第X因子類似体と前記薬学的製剤を含む容器を有する総合製剤の形態で利用できる。第X因子類似体を活性化するため、例えば第X因子類似体を含む溶液を、固定化されたプロテアーゼに圧迫させることができる。前記製剤の保存中、前記第X因子類似体を含む溶液は、好ましくは前記プロテアーゼと空間を分けておく。本発明に沿った前記製剤は、前記プロテアーゼと同じ容器に保存することができるが、前記組成物は、前記製剤投与後に簡単に取り外すことができる、不透過性仕切りで空間的に分けられる。前記溶液は別の容器で保存し、投与直前まで互いに接触させないようにすることが可能である。

0055

第X因子類似体は、使用直前、つまり前記患者への投与前に第Xa因子に活性化させることができる。第X因子類似体を固定化したプロテアーゼと接触させるか、一方にプロテアーゼ、もう一方に前記第X因子類似体を含む溶液を混合させることで、前記活性化を行うことができる。そのため、前記2つの組成物を溶液中に別々に保管し、前記組成物が装置を通過するときに互いに接触するような適切な注入装置によって混合し、それにより第Xa因子または第Xa因子類似体に活性化させることが可能である。そのため、患者には第Xa因子と、さらに、活性化に関与するセリンプロテアーゼとの混合物を投与する。これに関連し、セリンプロテアーゼの追加投与が内因性第X因子を活性化することで、凝固時間を短縮することもできるため、前記投与に細心の注意払うことは特に重要である。

0056

本発明に沿った前記製剤は、第Xa因子活性を持つ製剤として、1組成物の製剤形態で、または複数組成物の製剤形態の他の因子と併用して利用可能である。

0057

前記精製タンパク質を薬学的製剤に加工する前に、前記精製タンパク質について従来の品質管理を行い、治療用の製剤形態を作る。特に遺伝子組み換え製造時、好ましくはEP 0 714 987で報告されるような方法を用い、前記精製製剤に細胞核酸および発現ベクター由来の核酸がないことを検証する。

0058

本発明のもう一つの特徴は、高い安定性と構造的完全性を持つ第Xa因子類似体を含み、特に不活性第X/Xa因子類似体の中間体自己タンパク質分解生成物がなく、上述のタイプの第X因子類似体を活性化し、適切な製剤に製剤化することで作成可能な製剤が利用できるようになることに関する。

0059

前記薬学的製剤は、前記変異型第X因子ポリペプチド10〜1000μg/kg、より好ましくは約10〜250μg/kg、最も好ましくは10〜75μg/kgの用量を含み、40μg/kgが特に好ましい。患者は、出血を伴って受診した直後に治療することができる。代わりに、患者に本明細書に説明した変異型第Xa因子のボーラス注射を1〜3時間ごとに投与し、または十分な改善が認められた場合は1日1回の注射とすることができる。

0060

B.チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸
チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸は、本発明に従い、様々な目的で利用することができる。本発明の好適な実施形態では、血液凝固を調節する核酸の輸送媒体(つまり、発現ベクター)が提供され、前記発現ベクターが、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドまたは本明細書に説明されるその機能的フラグメントをコードする核酸配列を有する。チモーゲン/プロテアーゼをコードする発現ベクターを患者に投与すると、凝固カスケードを変化させるチモーゲン/プロテアーゼポリペプチドが発現される。本発明に従い、チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸配列は、本明細書に説明するチモーゲン/プロテアーゼポリペプチドをコードすることができ、その発現により止血が促される。好適な実施形態では、チモーゲン/プロテアーゼの核酸配列がヒト第Xa因子ポリペプチド変異体をコードする。

0061

変異型X/Xaチモーゲン/プロテアーゼ核酸配列を有する発現ベクターは、単独または止血の調節に有用な他の分子と併用投与することができる。本発明に従い、発現ベクターまたは併用治療薬は、単独または薬学的に許容されるか生物学的に適合する組成物として投与することができる。

0062

本発明の好適な実施形態では、前記変異型チモーゲン/プロテアーゼ変異体をコードする核酸配列を有する発現ベクターがウイルスベクターである。本発明で利用できるウイルスベクターには、これに限定されるものではないが、アデノウイルスベクター(組織特異的プロモーター/エンハンサーの有無によらない)、複数の血清型アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、AAV−2、AAV−5、AAV−7、およびAAV−8)およびハイブリッドAVベクターレンチウイルスベクターおよび偽型レンチウイルスベクター[例えば、エボラウイルス水疱性口内炎ウイルス(VSV)、および免疫不全ウイルス(FIV)]、単純ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターを含む。

0063

本発明の好適な実施形態では、変異型チモーゲン/プロテアーゼ、またはその機能的フラグメントをコードする核酸配列を有するウイルスベクターの投与法が提供される。本発明の方法で有用なアデノウイルスベクターには、好ましくは、少なくともアデノウイルスベクターDNAの重要な部分を含む。本明細書に記載のとおり、そのようなアデノウイルスベクターを投与後に変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドが発現することで、止血の調節に役立つ。本明細書に記載の変異型第Xa因子との関連で、そのような投与が前記プロテアーゼの凝固前活性を亢進する。

0064

遺伝子組み換えアデノウイルスベクターは、様々な遺伝子療法の応用で広範な有用性が認められてきた。そのような応用での有用性は、主に、様々な器官で達成されるin vivo遺伝子導入の効率が高いことによる。

0065

アデノウイルス粒子は、適切に遺伝子を導入するための媒体として有利に利用できる。そのようなウイルス粒子は、二本鎖DNA非エンベロープウイルスであることに関連した構造上の特徴、およびヒトの呼吸系および消化管向性などの生物学的特徴を含む、そのような応用に望ましい特徴を多数有する。さらに、アデノウイルスは、受容体を介したエンドサイトーシスにより、in vivoおよびin vitroで広範な細胞タイプに感染することが知られている。アデノウイルスベクターの全体的な安全性を証明し、アデノウイルスが感染することによるヒトでの疾患状態は最小限であり、軽度のインフルエンザ様症状を有する。

0066

サイズが大きいため(約36キロベース)、アデノウイルスのゲノムは遺伝子治療の媒体として利用する上で十分適しており、これは、複製に重要なアデノウイルス遺伝子および重要ではない領域を除去後、外来DNAの挿入に対応できるためである。そのような置換により、複製機能および感染性を弱めたウイルスベクターができる。注目すべきことに、アデノウイルスは遺伝子治療および異種遺伝子発現用のベクターとして利用されてきた。

0067

遺伝子治療におけるアデノウイルスベクター利用のより詳細な考察については、Berkner,1988,Biotechniques 6:616−629およびTrapnell,1993,Advanced Drug Delivery Reviews 12:185−199を参照。

0068

例えば、望みの遺伝子コピーを複数提供するため、その遺伝子生成物の量が多くなるベクターを導入することが望ましい。改良されたアデノウイルスベクターとこれらのベクターを作成する方法は、MitaniおよびKubo(2002,Curr Gene Ther.2(2):135−44);Olmsted−Davisら(2002,Hum Gene Ther.13(11):1337−47);Reynoldsら(2001,Nat Biotechnol.19(9):838−42);米国特許第5,998,205号明細書(複数のDNAコピーを有する腫瘍特異的複製ベクターが提供されている);第6,228,646号明細書(ヘルパーを含まない全く不完全なアデノウイルスベクターが報告されている);第6,093,699号明細書(遺伝子療法に用いられるベクターと方法が提供されている);第6,100,242号明細書(導入遺伝子を挿入した複製が不完全なアデノウイルスベクターが、末梢血管疾患および心疾患のin vivo遺伝子療法において効果的に利用された);および国際特許出願第WO 94/17810号および第WO 94/23744号を含む多数の参考文献、特許、および特許出願書類に詳細に報告されている。

0069

一部の応用では、発現構築物がさらに制御要素を有することもでき、これが特定の細胞または組織タイプでの発現を促進する。そのような制御要素は当業者に周知であり、Sambrookら(1989)およびAusubelら(1992)が徹底的に考察している。本発明の発現構築物に組織特異的な制御要素を組み込むと、前記変異型チモーゲン/プロテアーゼまたはその機能的フラグメントの発現において、少なくとも部分的な組織向性を提供する。例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下、変異型チモーゲン/プロテアーゼをコードする核酸配列を有するE1欠失型5アデノウイルスベクターを使用し、本発明の方法に利用することができる。

0070

アデノウイルスベクターを作成する典型的な方法
組み換え遺伝子を発現させるアデノウイルスベクターは、ヒト胎児腎細胞株293で作成されてきた(Graham et al.,1977,J.Gen.Virol.36:59−72)。この細胞株は、アデノウイルス5ゲノムの左端を有し、そのためE1タンパク質を発現しているため、E1機能が欠損したアデノウイルス2(Ad2)およびアデノウイルス5変異体の増殖が許容状態である。これらの遺伝子が欠失したウイルスベクターを増殖するための発現系として、これらの細胞の利用が促されるレベルで、293細胞の細胞ゲノムに組み込まれたE1遺伝子が発現される。293細胞は、E1変異体の単離と伝搬、ヘルパー非依存的クローニング、アデノウイルスベクターの発現に広範に利用されてきた。従って、前記293細胞株などの発現系は、トランスにより重要なウイルス機能を提供し、それによって、外因性核酸配列がE1遺伝子と置換されたウイルスベクターの伝搬が可能となる。Young et al.,The Adenoviruses,Ginsberg,ed.,Plenum Press,New York and London(1984),pp.125−172を参照。

0071

アデノウイルスの伝搬に十分適した他の発現系は当業者に既知であり(例えばHeLa細胞)、別の文献等で検討されている。

0072

また、止血を調節する方法であって、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドをコードする核酸輸送媒体を用いて患者の細胞を提供する工程と、前記チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドが発現される条件下で前記細胞を増殖させる工程を有する方法も、本発明に含まれる。

0073

前述の考察から、チモーゲン/プロテアーゼポリペプチド、およびチモーゲン/プロテアーゼポリペプチドを発現した核酸ベクターは、異常血液凝固に関連した疾患の治療に用いることができる。

0074

C.薬学的組成物
本発明の発現ベクターは、生物学的に活性なタンパク質(例えば、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドまたは機能的フラグメントまたはその誘導体)の産生が可能となるように、被験者に投与可能な薬学的組成物に組み込むことができる。本発明の特定の実施形態では、投与者が治療有効量の変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドを産生できる、十分な遺伝物質を有する薬学的組成物が、前記被験者の止血に影響することができる。代わりに、上記に考察したとおり、有効量の前記変異型第X因子ポリペプチドを、それを必要とする患者に直接注入することができる。前記組成物は単独投与するか、または安定化化合物など、少なくとも1種類の他の薬物と併用投与することができ、生理食塩水緩衝食塩水デキストロース、および水を含む(これに限定されるものではないが)滅菌された生体適合性薬学的担体に添加して投与することができる。前記組成物は患者に単独投与するか、または止血に影響する他の薬物(例えば補助因子)と併用投与することができる。

0075

好適な実施形態では、前記薬学的組成物が薬学的に許容される賦形剤を含む。そのような賦形剤は、それ自体が前記組成物を投与する患者に有害な免疫反応誘導せず、過度の毒性を生じることなく投与可能な薬物を含む。薬学的に許容される賦形剤には、これに限定されるものではないが、水、生理食塩水、グリセロール、糖、およびエタノールを含む。その中には、例えば塩酸塩臭化水素酸塩リン酸塩硫酸塩などの鉱酸塩;および酢酸塩プロピオン酸塩マロン酸塩安息香酸塩などの有機酸塩など、薬学的に許容される塩を含むことも可能である。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などの補助剤がそのような媒体に存在することも可能である。薬学的に許容される賦形剤に関する詳細な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,18th Edition,Easton,Pa.[1990])に見ることができる。

0076

非経口投与に適した薬学的製剤は、水溶液、好ましくは、ハンクス液リンガー液などの生理的に適合する緩衝液、または緩衝食塩水に製剤化することができる。水性注射用懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウムソルビトール、またはデキストランなど、懸濁液の粘性を増加させる物質を含むことができる。さらに、前記活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調整可能である。適切な親油性溶媒または媒体には、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。任意選択で、前記懸濁液は、高濃度溶液の調整を可能にする、化合物の溶解度を上昇させる適切な安定化剤または試薬を含むことができる。

0077

前記薬学的組成物は塩として提供することができ、塩酸、硫酸、酢酸乳酸酒石酸リンゴ酸コハク酸などを含む(これに限定されるものではないが)多くの酸を用いて作成することができる。塩は対応する遊離塩基の形態よりも、水性または他のプロトン性溶媒溶けやすい傾向がある。他のケースでは、好ましい製剤を、pH範囲4.5〜5.5で1〜50mMヒスチジン、0.1%〜2%スクロース、および2〜7%マンニトールのいずれかまたはすべてを含み、使用前に緩衝液を混合する凍結乾燥粉末とすることができる。

0078

薬学的組成物を調整後、適切な容器に入れ、治療用のラベルを貼ることができる。チモーゲン/プロテアーゼを含むベクターまたはポリペプチドの投与では、そのようなラベルに投与量、投与頻度、投与法を含むことになる。

0079

本発明での使用に適した薬学的組成物には、前記活性成分が、意図する治療目的の達成に有効な量で含まれる組成物を含む。治療有効量は、本発明で提供される技術および指針を用い、熟練した医師の能力の範囲内で十分決定される。治療量は、他の因子の中では、被験者の年齢および全身状態、異常な血液凝固表現型重症度、および前記変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドの発現レベルを制御する制御配列の強度に依存する。そのため、ヒトの治療有効量は比較的広範囲となり、ベクターを基本としたチモーゲン/プロテアーゼ治療に対する個々の患者の反応に基づき、医師が決定することができる。

0080

D.投与
前記変異型第X因子ポリペプチドは、単独または他の薬物と併用し、上述のとおり適切な生物学的担体に添加した状態で、患者に直接注射することができる。変異型チモーゲン/プロテアーゼ、またはその機能的フラグメントをコードする核酸配列を有する本発明の発現ベクターは、様々な方法で(以下参照)患者に投与し、前記チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドの予防および/または治療有効レベルを達成および維持することができる。当業者であれば、特定患者を治療するため、本発明のチモーゲン/プロテアーゼをコードする発現ベクターを用いる具体的なプロトコールを容易に決定できるであろう。アデノウイルスベクターを作成し、患者に投与するプロトコールは、米国特許第5,998,205号、第6,228,646号、第6,093,699号、第6,100,242号明細書;および国際特許出願第WO 94/17810号および第WO 94/23744号に報告されており、その全内容は本明細書に参考文献により盛り込まれている。

0081

本発明の変異型チモーゲン/プロテアーゼをコードするアデノウイルスベクターは、既知のいかなる方法でも患者に投与することができる。前記薬学的組成物のin vivoでの直接投与は、従来のシリンジを用いた注射により達成可能であるが、convection−enhanced deliveryなどの他の投与法も想定される(例えば米国特許第5,720,720号明細書を参照)。この点について、前記組成物は皮下、表皮経皮くも膜下腔内眼窩内粘膜内腹腔内、静脈内、動脈内、経口、肝内、または筋肉内投与が可能である。他の投与方法には、経口および投与、坐剤、および経皮投与を含む。血液凝固疾患患者の治療を専門とする臨床医は、前記患者の状態および前記治療の目的(例えば、血液凝固の促進または抑制)を含む(これに限定されるものではないが)多数の基準に基づき、チモーゲン/プロテアーゼ核酸配列を有するアデノウイルスベクターの最適な投与経路を決定することができる。

0082

本発明には、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドをコードする核酸配列を有するAAVベクターも含む。

0083

また、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドをコードする核酸配列を有するレンチウイルスベクターおよび偽型レンチウイルスベクターも提供される。

0084

さらに、変異型チモーゲン/プロテアーゼポリペプチドをコードする核酸配列を有するのプラスミドまたは発現ベクターも含む。

0085

例1
変異型第Xa因子チモーゲン/プロテアーゼ
活性化に影響する前駆体血漿タンパク質タンパク質分解的プロセシングは、血液凝固の特徴である。このタイプの活性化機序理論的枠組みは、キモトリプシン様セリンプロテアーゼファミリーのチモーゲンからプロテアーゼへの移行である。高度に保存された部位(Arg15−Ile16;キモトリプシンの番号付与方式)の結合切断により新しいN末端が現れ、これがAsp194の分子内リガンドとして機能する(図2)。この新しい塩橋により、S1特異的ポケット、オキシアニオンホール、自己分解ループ、およびナトリウム結合部位から成る表面ループである、いわゆる「活性化ドメイン」の構造変化と秩序化が行われるか、そのような変化が伴う。トリプシン系では、Ile16−Asp194内部の塩橋形成はS1特異的部位とアロステリックに関連していることが十分実証されており、これは部位同士が互いに影響しあう変化である。

0086

構造レベルでセリンプロテアーゼのチモーゲンが活性酵素に移行する基本的原理は、特にキモトリプシンおよびトリプシンで十分実証されており、これらの例はセリンプロテアーゼファミリーの理論的枠組みとなっている。全体的な態様は以下のようにまとめることができる(図2を参照):1)前記チモーゲンの構造(およそ80〜85%)は前記プロテアーゼと比較的類似している;2)前記変化は高度に保存されたN末端(例えば、Ile16−Val−Gly−Gly19)の遊離後に開始される;3)新しい遊離α−アミノ基(Ile16)は疎水性環境に覆われ、そのα−アミノ窒素がAsp194と内部で塩橋を形成する;4)Asp194の位置はチモーゲンの活性化で大幅に変化し、ほぼ170度と回転する;および5)この内部の塩橋により、残基16−19、142−153、184−194、および216−223から成り、一部は前記S1特異的部位(Schechter and Berger(1967)Bochem. Biophys.Res.Comm.43:694−702の命名法)およびオキシアニオンホールを有する表面に露出したループ、いわゆる「活性化ドメイン」の構造変化が生じるか、そのような変化が伴う。様々な研究で、前記チモーゲンと成熟した酵素はKeq=〜108の平衡で存在し、前記チモーゲンの方が多くなることが示されている。Bodeらは、前記S1特異的ポケットとの強力なリガンド結合またはIle16の割れ目に高親和性の適切なリガンドを形成したときに、トリプシノーゲンは活性トリプシン様構造を導入できることを的確に報告した。Arg/Lys15−Ile16結合が切断しないこの導入のさらなる例には、ストレプトキナーゼプラスミノーゲンとの結合、スタフィロコアグラーゼとプロトロンビンとの結合、および最近報告された自己抗体とプロトロンビンとの結合(Madoiwa et al.(2001)Blood 97:3783−3789)を含む。これらの研究をまとめると、セリンプロテアーゼはチモーゲンの形態であっても、様々な環境条件、つまり前記チモーゲンへのリガンド結合が強いなどの条件によっては、プロテアーゼ様の機能を導入できることを示している。

0087

FXの活性化により、セリンプロテアーゼのドメインに大きな構造変化が生じ、これに伴い、S1特異的プローブおよび膜結合型FVaとはるかに高い親和性で、前記プロテアーゼが結合できるようになることは周知である(1−6)。セリンプロテアーゼの変化を支配する全体的な分子メカニズムは、前記トリプシン系のメカニズムに従うことが想定される。しかし、一様にそうであるとは考えられない。一本鎖tPAは、チモーゲン様の状態を維持するため、様々な分子戦略を採用している(8−11)。血液凝固、特にFVII/FVIIaに関するチモーゲン/プロテアーゼの分析では、前記トリプシン系と比べ、この変化に数種類の違いがあることを示している(12)。FXaではいわゆる活性化ドメインの一部にいくつかの構造的決定要因があるが、これらの部位の形成が直接チモーゲンからプロテアーゼへの移行と関連しているか否かは、現在のところ分かっていない。しかし、最近報告されたチモーゲンFXのモデルは、前記チモーゲンではこれらの要因のいくつかに障害があることを示唆している(13)。前記チモーゲンモデルと活性酵素との比較から、チモーゲンからプロテアーゼに移行する際、Ca2+(Asp70−Glu80)、Na+(Ala183−Asp194;Gly219−Gly226)、および自己分解ループ(Thr144−Arg150)を作る残基が、骨格となる位置で大きく変化することが明らかとなっている。これは少なくとも、S1特異的部位とIle16−Asp194の形成とがアロステリックに関連しているトリプシノーゲン/トリプシンについてはすでに十分立証されているため、前記活性化ドメインの他の要素も前記チモーゲンからプロテアーゼへの移行に関連していると仮定することは妥当である。本例では、16、17、または194位を変化させるIle16−Asp194内部の塩橋の不安定化が前記活性化部位の割れ目を変化させ、その結果得られる変異体を「チモーゲン様」にするという仮説を検証する実験デザインした。また我々は、これらの変化はFVa結合をアロステリックに調節すると仮定した。

0088

材料と方法
第Xa因子の発現
rFXの発現については文献にいくつか報告があるが、ほとんどが切断されたrFXを利用しているか、十分な特性解析を提供していない(15−20)。我々がHEK 293細胞でrFXを発現させようとした最初の試みでは、馴化培地の発現濃度が1〜2mg rFX/Lの範囲となったが、完全にγ−カルボキシル化したのは生成した物質の10〜40%のみであることが分かった(21)。残りの物質にγ−カルボキシル化は認められなかった。我々は、前記カルボキシラーゼのビタミンK依存性プロペプチドの結合親和性が異なることを利用し、プロトロンビンプロペプチドの前記カルボキシラーゼに対する親和性は最も低いため、FXのプロペプチド(親和性が最も高い)をプロトロンビンのプロペプチドと交換することで、基質の代謝回転上がり、γ−カルボキシル化が亢進すると仮定した(22,23)。この新しいベクターを用い、HEK 293細胞の安定な形質移入体を選択、増殖し、イムノアフィニティークロマトグラフィーによりrFXを精製した。ヒドロキシアパタイトからのリン酸塩の溶出を利用し、カルボキシル化した物質をカルボキシル化していない物質から分離した。今回、30種を超える安定細胞株から得られた我々の結果は、平均して、前記rFXのおよそ80〜90%が完全にγ−カルボキシル化されたのに対し、天然型FXプロペプチドでは10〜40%であることを示している。これらの結果は最近発表され、この戦略は、後に少なくとも1箇所の他研究室でも採用された(24,25)。そのため我々は、詳細な構造/機能研究を行うため、この新しい発現系を用い、現在ミリグラム単位の量(約10Lの馴化培地から完全にγ−カルボキシル化したrFX 15〜25mg)を作成している。

0089

酵素アッセイ
酵素濃度は、ρ−ニトロフェニルρ−グアニジノベンゾエート(IIa)またはフルオレセインモノ−ρ−グアニジノベンゾエート(FXa)を用いた活性部位の滴定により決定する(26,27)。様々な阻害剤存在下または非存在下でのFXa発色性基質活性は、すでに報告されているとおり、Spectrozyme FXa、S−2222、またはS−2765の初期加水分解速度から測定する(14)。速度パラメータは、初期速度データを適切な方程式に当てはめる最小二乗適合により決定する。

0090

FXa変異体の生成
前記FX変異体はQuick−change site−directed mutagenesis kit(Stratagene)を用いて作成し、全FXcDNAの配列を決定し、生成物が同一であるか確認した。Lipofectamine−2000を用い、様々なプラスミドがHEK 293細胞に一時的に移入された。形質移入の48時間後、培地回収、FX特異的ELISAによりFX抗原レベルを決定し、発色法によりFXa活性を評価した後、RVV−Xまたは組織因子FVIIaによる活性化を行った。

0091

結果
チモーゲン−プロテアーゼの移行経路に分散したFXa種の生成は、表1に概説されている。一時的な形質移入の結果は、約25%〜1%未満の様々な活性量で、一連のFXa変異体が生成したことを示している。我々は、これらの活性の差がFX変異体を反映している可能性があり、活性はチモーゲンからプロテアーゼに移行するにつれ、様々な程度で変化すると仮定している。言い方を変えれば、Ile16−Asp194の内部の塩橋は、16、17、または194位のアミノ酸により、様々な程度で安定化する。我々は、このうち3種類の変異体を選択し(rFXaI16L、FXaI16G、およびFXaV17A)、さらに特徴解析を行った。

0092

0093

HEK293細胞の中で安定な細胞株を同定し、前記チモーゲンそれぞれを馴化培地10Lから精製した(14,24)。前記変異体はRVV−Xで活性化し、その後ゲルろ過クロマトグラフィーで精製した(14,24)。活性化前後の変異体のSDS−PAGE(還元および非還元)が図4に示されている。

0094

我々はまず、このFXa部位を標的とする特異的なプローブを用い、変異体それぞれの活性部位環境の変化を評価することに焦点を当てた。ペプチジル基質と活性部位特異的プローブを用いた動力学的研究では、FXaI16LとFXaV17Aのこれらのプローブに対する結合能力の低下が明らかとなったが(KmまたはKiが15〜25倍増加)、触媒速度(kcat)は野生型FXa(血漿由来および遺伝子組み換え)と比べ、3倍低下した(表2および3)。第XaI16G因子は検討したプローブのいずれによっても阻害されず、その発色活性は大幅に低下していたため(500〜1000倍)、動力学的パラメータの計算ができなかった。これらのデータは、内部の塩橋形成(Ile16−Asp194)の不安定化が前記S1特異的部位の結合に影響するという見解と一致している。これらの結果とは対照的に、FXaI16LとFXaV17Aがプロトロンビナーゼ会合することでペプチジル基質のKmがほぼ完全に回復したが、前記kcatはまだ3倍低下しており、FVaの結合は前記活性部位の結合を助けることを示している(表2および3)。驚くことに、プロトロンビナーゼに会合したときにI16GのKm値もほぼ完全に回復したが(野生型FXaと比べ3倍増加)、kcatは60倍低下することが分かった。

0095

0096

これらのデータと一致し、プロトロンビンを用いた動力学的研究からは、プロトロンビナーゼに会合したこれらの変異体それぞれから得られたKm値が、野生型酵素と基本的に同等であることが明らかとなったが、前記kcat値は前記発色物質の基質と同程度低下した(表4)。まとめると、我々の結果は、FXのチモーゲンからプロテアーゼへの移行は前記S1部位の形成に影響するだけでなく、FVa結合部位の形成にかなり貢献していることを示している。これらのFXa変異体がFVaに直接結合することでS1部位の結合が促されるため、これらの部位にはアロステリックな結合が存在している可能性がある。これらの研究をまとめると、チモーゲンからプロテアーゼの移行経路を修飾する独特な方法を説明しており、補助因子タンパク質など強力なリガンド結合後に「活性化」する、チモーゲン様の酵素形態の開発が可能な方法を明らかにしている。

0097

0098

0099

前記発色基質と前記活性部位特異的阻害物質から得られた結果は、前記チモーゲン様のFXa変異体が、親和性の低下した活性部位のプローブに結合することを示している。ただし、これらの変異体がプロトロンビナーゼに会合することで、活性部位プローブの親和性が大幅に改善したことから、FVaの結合が前記活性部位の結合を助ける可能性があることが示唆される。我々は次に、その逆も当てはまるか否か、つまり、前記チモーゲン様活性部位の占有がFVaの結合に影響するかを検討した。この仮説を評価するため、FVaとFXaI16LおよびFXaV17Aとの結合定数を測定した。これを達成するため、合成リン脂質小胞およびCa2+イオン存在下、FVaを不活性wtFXaの蛍光誘導体インキュベートした。前記複合体の形成により、蛍光FXaのみの場合と比べ、蛍光シグナルが増加している。次に、FVaに結合できれば、前記蛍光FXaと置き換わる非蛍光FXaの濃度を増加させて追加し、前記蛍光シグナルが低下した。対照として、競合剤のS195A FXaを追加した。この変異体は触媒トライアッドにSerがないため不活性であるが、FVaには高い親和性を示す(表5)。対照的に、FXaI16LまたはFXaV17Aを追加すると、これらのチモーゲン様変異体のFXaに対する親和性がFXaS195Aと比べ、大幅に低下した(表5)。次に、我々は、FXaI16Lの活性部位の共有結合による占有がFVaとの結合を回復させることができるか否かを検討した。これを行うため、不可逆的阻害剤EGRクロロメチルケトン)を用いて野生型FXaおよびFXaI16Lの活性部位を修飾し、前記実験を繰り返した。データは、活性部位がFXaI16L結合FVa膜をブロックし、その親和性は野生型活性部位がFXaをブロックする場合と同等であることを示している。これは、チモーゲン様FXa活性部位の占有がFVaの結合に直接影響していることを示している。

0100

0101

FVaがない状態では、前記チモーゲン様FXa誘導体は活性部位特異的プローブおよび阻害剤との反応性が低いが、前記変異体がプロシロンビナーゼに会合すると明らかに活性が正常に近づくという所見に基づき、次に血漿の条件でFXaI16Lの活性を評価した。血友病A(データは示されていない)またはBの血漿を野生型FXaでスパイクし、これらの血漿の凝固時間(aPTT)を補正し、0.1nMのwtFXaでは凝固時間が約32秒となった。同濃度のFXaI16Lを添加すると凝固時間は約42秒となり、wtFXaの活性の約50〜70%であることから、このチモーゲン様変異体は血漿の凝固活性がほぼ正常であることが示唆される。次に、我々は血友病B血漿において野生型FXaとFXaI16Lの半減期モニターした。前記タンパク質をHB血漿に様々な時点で添加し、前記混合物の一定量を抜き出し、aPTTを基本としたアッセイで測定した。HB血漿を用いた結果は、野生型FXaの相対的残効性は著しく急速に阻害されることを示している(<2分)(図6)。対照的に、FXaI16Lの活性ははるかに長時間持続し、推定半減期は2時間を超えた。同様の結果が血友病Aの血漿でも認められた。これらの結果は、酵素の特徴を調節することで、血漿中半減期が長くなり、血友病血漿の凝固時間を補正することができるようになる可能性があることを示唆している。

0102

我々は次に、チモーゲン様FXaI16Lが血友病マウスモデルの止血を調節する作用を評価した(Schlachterman,et.al.,2005,J.Thromb.Haemost.,3,2730−2737)。血友病Bマウス(C57BL/6)のaPTT値はおよそ50〜55秒である。第XaI16L因子(200μg/kg;n=7)またはPBS(n=4)を血友病Bマウスの尾静脈から注射した。特定の時点で(5分および30分)採血し、すべてのサンプルのaPTTを測定した。図7に示されるとおり、FXaI16Lを注射することで、正常動物の値までaPTTが完全に矯正された。この効果が少なくとも30分持続したことは、前記分子のin vivoでの半減期は比較的長いことを示している。PBS注射の効果は境界域でしかなかった。これらのデータは、上述のin vitro血漿実験と一致し、実際にFXaI16Lが、また可能性としては他のチモーゲン様FXa変異体もin vivoでの止血調節に効果的である可能性があることを示している。

0103

さらにin vivoでFXaI16Lの効果を検証するため、この分子により尾に注射後の血友病Bマウスの出血時間を矯正することができるか否かを検討した(Schlachterman,et.al.,2005,J.Thromb.Haemost.,3,2730−2737)。前記尾の遠位部分を切断後10分間、失血を測定した。このアッセイでは、前記尾の外傷後、正常な野生型Balb−cマウス(n=7)の失血は最小限であり、PBSを注射した(n=6)血友病Bマウス(Balb c)の失血はかなり多い(図8)。対照的に、FXaI16L 450μg/kgを注射することで、尾の外傷後の失血総量は大幅に減少した(n=7)。これらのデータをまとめると、FXaI16Lは血友病AまたはB患者の止血を改善する作用を有するというエビデンスを提供している。

0104

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0105

本発明の好適な実施例のいくつかは上述し、具体的に例示してきたが、本発明をそのような実施例に限定する意図はない。以下の請求項に示すとおり、本発明の範囲と精神から離れずに、そこに様々な修正を加えることができる。

図面の簡単な説明

0106

第X因子のプロセシング。第X因子はシグナル配列およびプロペプチドを用いて合成され、これらは分泌前に除去される。第X因子はチモーゲンであり、酵素活性を有しない。FXはArg15−Ile16結合の切断後に第Xa因子に変換し、活性ペプチド(AP)を放出する。
チモーゲンからプロテアーゼへの変換。第X因子のチモーゲンからプロテアーゼへの変換と、第Xa因子のプロトロンビナーゼへの会合(FXa、FVa、リン脂質、およびカルシウムイオン)。この酵素はプロトロンビン(II)をトロンビン(IIa)に変換する。
FXaのX線構造。標準的な配向でのFXaの触媒ドメイン。重要な残基に沿って構造領域が認められる。Taken from Brandstetter et al.(1996)J.Biol.Chem.271:29988−29992。
FX/Xa変異体のSDS−PAGE分析。4〜12% SDS−PAGEゲルを非還元または還元条件泳動し、その後クーマシーブルーで染色した。
第Xa因子のアミノ酸(配列ID番号1)および核酸(配列ID番号2)の配列。配列ID番号1の望ましい修飾部位とそのアミノ酸の位置が太字で示されている。
第Xa因子のアミノ酸(配列ID番号1)および核酸(配列ID番号2)の配列。配列ID番号1の望ましい修飾部位とそのアミノ酸の位置が太字で示されている。
第Xa因子のアミノ酸(配列ID番号1)および核酸(配列ID番号2)の配列。配列ID番号1の望ましい修飾部位とそのアミノ酸の位置が太字で示されている。
第Xa因子のアミノ酸(配列ID番号1)および核酸(配列ID番号2)の配列。配列ID番号1の望ましい修飾部位とそのアミノ酸の位置が太字で示されている。
血友病Bの血漿における第Xa因子の活性。血友病B血漿に野生型FXaまたはFXaI16L(2nM)を添加し、選択した時間にサンプルを溶解させ(0.1nM)、aPTT凝固分析にて分析した。
aPTTの矯正。第Xa−I16L因子(200μg/kg;マウスn=7匹)またはPBS(マウスn=4匹)を尾静脈から血友病Bマウス(C57BL/6)に注入した。注入後5分および30分で採血し、aPTT分析を行った。赤い点線は、正常なC57Bl/6マウスのaPTT値を示す。
血友病Bマウスの尾クリップ試験(tail−clip assay)後の止血評価。A525の外傷後、生理食塩水のヘモグロビン含有量から失血量を測定した。マウスの数(Balb c)は、野生型(n=7)、HB−PBS(n=6)、およびHB−FXaI16L(n=7)である。

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