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技術 ポーラス生石灰の製造方法、ポーラス生石灰および当該ポーラス生石灰を用いた製鋼用フラックス

出願人 河合石灰工業株式会社
発明者 宇野徹熊谷正幹藤本泰和下里健治
出願日 2016年8月25日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-164395
公開日 2018年3月1日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2018-030757
状態 特許登録済
技術分野 溶融状態での鋼の処理 炭素鋼又は鋳鋼の製造 セメント、コンクリート、人造石、その養生 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼
主要キーワード 侵食率 品種替え ポーラス性 気体状塩素 原料サイロ ビーカ内 待機側 略立方体形状
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年3月1日)のものです。
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図面 (4)

課題

石灰石に均一に塩素源を接触させることにより塩素源の使用量を低下させることが可能なポーラス生石灰の製造方法を提供する。

解決手段

本発明のポーラス生石灰の製造方法は、固体または液体塩素化合物を石灰石に接触させず、塩素化合物から発生させた気体雰囲気下で石灰石の焼成を行うことを特徴としている。

概要

背景

生石灰(CaO)は、石灰石(CaCO3)を焼成することにより得られ、肥料乾燥剤または銑鉄中の不純物を除去するためのフラックス脱硫剤脱リン剤等の介在物除去剤造滓剤等の総称)として利用されている。生石灰は、その焼成方法の違いにより、素焼き生石灰塩焼き生石灰などの様々な種類の生石灰が存在する。

素焼き生石灰とは、石灰石のみを焼成することにより得られる生石灰のことである。また、塩焼き生石灰とは、石灰石を焼成する際に、塩化ナトリウムなどの塩素源を添加して焼成することにより得られる生石灰のことである。塩焼き生石灰は、素焼き生石灰と比較して、粒子径および粒子間に形成される気孔径が大きく、かつ、気孔率も高い、ポーラス多孔質)な構造を有している。塩焼き生石灰を製造する方法は、例えば特許文献1および2に開示されている。

特許文献1には、堅形焼成炉による塩焼き生石灰の製造方法が開示されている。特許文献1の製造方法では、塩化ナトリウムなどの添加塩10は、焼成の前段階にある帯域を形成する待機側シャフト内の蓄熱帯16Aの下層部にブロア15によって吹き込まれ、焼成排ガス13の流れに乗って蓄熱帯16Aを形成する石灰石の堆積層17の下層部から上層部に向けて上昇する間に、石灰石に融着させることなく拡散される。そして、シャフト2Aが待機状態から焼成稼働切り替えられると、その焼成帯6A(図2を参照)の石灰石層においては、付着塩が融化されるとともに石灰石の脱炭酸反応時に塩焼き生石灰9が生成される。このように、特許文献1の製造方法では、固体の添加塩10を堅形焼成炉内の石灰石に付着させると共に、その付着した添加塩10を溶融することにより塩焼き生石灰9を製造している。

特許文献2には、塩化カルシウム溶液を石灰石の表面に付着させた後、当該石灰石を回転炉床石灰焼成炉において1250℃・6時間焼成することにより、低水分生石灰を製造する方法が開示されている。

概要

石灰石に均一に塩素源を接触させることにより塩素源の使用量を低下させることが可能なポーラス生石灰の製造方法を提供する。本発明のポーラス生石灰の製造方法は、固体または液体塩素化合物を石灰石に接触させず、塩素化合物から発生させた気体雰囲気下で石灰石の焼成を行うことを特徴としている。なし

目的

本発明は上記課題に鑑みてなされた発明であり、石灰石に均一に塩素源を接触させると共に、塩素源の使用量を低下させることが可能なポーラス生石灰の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

固体または液体塩素化合物石灰石に接触させず、塩素化合物から発生させた気体雰囲気下で石灰石の焼成を行うことを特徴とするポーラス生石灰の製造方法。

請求項2

前記塩素化合物は、無機物である請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記塩素化合物の添加割合は、前記石灰石100重量部に対し、0.05〜5重量部である請求項1または2に記載の製造方法。

請求項4

前記塩素化合物の添加割合は、前記石灰石100重量部に対し、0.1〜5重量部である請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項5

25g法活性度の1分値が160mL以上で、かつ、全細孔容積に対する5μm以上の細孔の割合が20%以上であることを特徴とするポーラス生石灰。

請求項6

請求項5に記載のポーラス生石灰を用いた製鋼用フラックス

技術分野

0001

本発明は、ポーラス生石灰の製造方法に関する。また、本発明は、ポーラス生石灰および当該ポーラス生石灰を用いた製鋼用フラックスにも関する。

背景技術

0002

生石灰(CaO)は、石灰石(CaCO3)を焼成することにより得られ、肥料乾燥剤または銑鉄中の不純物を除去するためのフラックス脱硫剤脱リン剤等の介在物除去剤造滓剤等の総称)として利用されている。生石灰は、その焼成方法の違いにより、素焼き生石灰塩焼き生石灰などの様々な種類の生石灰が存在する。

0003

素焼き生石灰とは、石灰石のみを焼成することにより得られる生石灰のことである。また、塩焼き生石灰とは、石灰石を焼成する際に、塩化ナトリウムなどの塩素源を添加して焼成することにより得られる生石灰のことである。塩焼き生石灰は、素焼き生石灰と比較して、粒子径および粒子間に形成される気孔径が大きく、かつ、気孔率も高い、ポーラス(多孔質)な構造を有している。塩焼き生石灰を製造する方法は、例えば特許文献1および2に開示されている。

0004

特許文献1には、堅形焼成炉による塩焼き生石灰の製造方法が開示されている。特許文献1の製造方法では、塩化ナトリウムなどの添加塩10は、焼成の前段階にある帯域を形成する待機側シャフト内の蓄熱帯16Aの下層部にブロア15によって吹き込まれ、焼成排ガス13の流れに乗って蓄熱帯16Aを形成する石灰石の堆積層17の下層部から上層部に向けて上昇する間に、石灰石に融着させることなく拡散される。そして、シャフト2Aが待機状態から焼成稼働切り替えられると、その焼成帯6A(図2を参照)の石灰石層においては、付着塩が融化されるとともに石灰石の脱炭酸反応時に塩焼き生石灰9が生成される。このように、特許文献1の製造方法では、固体の添加塩10を堅形焼成炉内の石灰石に付着させると共に、その付着した添加塩10を溶融することにより塩焼き生石灰9を製造している。

0005

特許文献2には、塩化カルシウム溶液を石灰石の表面に付着させた後、当該石灰石を回転炉床石灰焼成炉において1250℃・6時間焼成することにより、低水分生石灰を製造する方法が開示されている。

先行技術

0006

特開2009−155161号公報
特開昭62−143849号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1では、上記の通り、固体の塩(塩素源)をブロワによって焼成炉内に吹き込むことにより、焼成炉内の石灰石に塩素源を付着させている。また、特許文献2では、液体塩化カルシウム(塩素源)を石灰石に散布することにより、塩素源を石灰石に付着させている。しかし、特許文献1および特許文献2のいずれの方法でも、石灰石に対して均一に塩素源を付着させることは困難であり、塩素源の偏析が生じると考えられる。そのため、石灰石全体にわたって均一に塩焼きが行われず、製造された塩焼き生石灰の品質が均一でないおそれがある。

0008

一方で、特許文献1および特許文献2のように固体または液体の塩素源を使用して石灰石に均一に塩素源を付着させようとすると、塩素源を多量に使用する必要があると考えられる。しかし塩素源を多量に使用すると、製造された生石灰中塩素が残存するおそれがある。さらに、塩素源から発生した塩素によって焼成炉の腐食が進み、焼成炉を頻繁にメンテナンスする必要がある。そのため、使用する塩素源の量はできる限り少なくすることが望まれる。

0009

また、従来、当業者既知の塩焼き生石灰の製造方法として、焼成炉の炉頂から塩を石灰石とともに添加する方法や石灰石に海水をかけて炉頂から装入する方法なども知られている。これらの方法でも、得られる生石灰の品質が不均一になることを避けるため、あるいは、塩素源の揮発による不足分を補うため、塩素源を過剰に添加しなければならなかった。

0010

また、塩素は銑鉄等の精錬に悪影響を及ぼすため、製鋼用フラックス中の塩素量はできる限り少なくすることが好ましい。そのため、製鋼用フラックスの原料となる生石灰中に残留する塩素量を低減させることも望まれている。

0011

本発明は上記課題に鑑みてなされた発明であり、石灰石に均一に塩素源を接触させると共に、塩素源の使用量を低下させることが可能なポーラス生石灰の製造方法を提供することを目的とする。

0012

また、本発明は、従来よりも活性で且つポーラスな生石灰を提供することおよび当該生石灰を用いた製鋼用フラックスを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明のポーラス生石灰の製造方法は、固体または液体の塩素化合物を石灰石に接触させず、塩素化合物から発生させた気体雰囲気下で石灰石の焼成を行うことを特徴としている。

0014

本発明の製造方法において、塩素化合物は、無機物であることが好ましい。

0015

本発明の製造方法において、塩素化合物の添加割合は、石灰石100重量部に対し、0.05〜5重量部であることが好ましい。

0016

本発明の製造方法において、塩素化合物の添加割合は、石灰石100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好ましい。

0017

本発明のポーラス生石灰は、25g法活性度の1分値が160mL以上で、かつ、全細孔容積に対する5μm以上の細孔の割合が20%以上であることを特徴としている。

0018

本発明の製鋼用フラックスは、25g法活性度の1分値が160mL以上で、かつ、全細孔容積に対する5μm以上の細孔の割合が20%以上であるポーラス生石灰を用いることを特徴としている。

発明の効果

0019

本発明のポーラス生石灰の製造方法では、塩素源として塩素化合物から発生させた気体が使用されるため、塩素源が石灰石全体に行き渡り、石灰石に均一に塩素源を接触させることができる。これにより、品質が均一なポーラス生石灰を得ることができる。また、塩素源が石灰石に均一に接触可能である結果、多量の塩素源を使用する必要がなく、塩素源の使用量を低下させることができる。

0020

25g法活性度の1分値が160mL以上で、かつ、全細孔容積に対する5μm以上の細孔の割合が20%以上であるポーラス生石灰は、従来の生石灰に比べて反応性が高く、かつ、気孔率も高い。そのため、例えば製鋼用フラックスとして用いた場合に、スラグとの反応性が高く、かつ、スラグ中の不純物を取り込み易くなる。

図面の簡単な説明

0021

横型ロータリキルンを用いた製造設備を表す概略図である。
竪型KHD炉の概略縦断面図である。
(a)から(f)はそれぞれ実施例1−2、実施例1−7、実施例3、実施例4、比較例1−4および比較例3−2の走査型電子顕微鏡写真(いずれも同倍率で測定)である。
(a)および(b)は侵食率測定の測定手順を説明する概略図である。

0022

以下では、本発明のポーラス生石灰の製造方法をより詳細に説明する。

0023

本発明のポーラス生石灰の製造方法では、塩素源として塩素化合物から発生させた気体(以下では、「気体状塩素源」と表記することがある)が使用され、当該気体を焼成炉内の石灰石に接触させながら焼成を行い、ポーラス生石灰を製造する。本発明では、焼成炉に投入前の石灰石に固体または液体の塩素化合物は添加されず、また、焼成炉に投入後の石灰石に対し、塩素化合物が固体または液体の状態のままで接触するような方法では添加されない。これにより、焼成工程において、固体または液体の塩素化合物が石灰石に直接接触していない状態で焼成が行われる。なお、本発明において「固体または液体の塩素化合物を石灰石に接触させずに焼成する」とは、固体または液体の塩素化合物を意図的に石灰石に接触させることなく焼成するということを意味し、固体または液体の塩素化合物が不可避的に石灰石に接触した状態(例えば、石灰石の採掘工程や粉砕工程などの石灰石の準備工程において不可避的に固体または液体の塩素化合物が石灰石に付着した状態、または、焼成炉内において気体状塩素源が凝縮または固化することによって不可避的に発生した固体または液体の塩素化合物が石灰石に接触した状態など)で焼成されることは許容される。

0024

気体状塩素源を発生させるために使用される塩素化合物は特に限定されないが、例えば無機塩素化合物を使用することができ、二種以上の塩素化合物を組み合わせて使用することもできる。無機塩素化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム塩酸または過塩素酸などを使用することができる。塩素化合物は、固体状および液体状のいずれであっても構わない。

0025

気体状塩素源を発生させるために使用される塩素化合物の石灰石に対する添加割合は、石灰石100重量部に対して、0.05重量部以上である。塩素化合物の添加割合が0.05重量部よりも少ないと、所望のポーラス性を得られないおそれがある。塩素化合物の添加割合の上限は特に限定されないが、塩素化合物の添加割合が多くなればなるほど発生する塩素量も増えるため、焼成炉等の腐食に悪影響を及ぼすおそれがある。この点を考慮し、塩素化合物の添加割合の上限は、石灰石100重量部に対して、例えば、5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。

0026

気体状塩素源の発生方法は特に限定されず、例えば、固体および/または液体の塩素化合物を、焼成炉を加熱するための熱源によって気化昇華および/または蒸発)させる方法が挙げられる。具体的には、熱源としてバーナを使用する場合、バーナの火炎中に塩素化合物を直接投入して気化させる方法、または、バーナの燃料中に塩素化合物水溶液を混合してエマルジョン化し、燃料と共に燃焼および気化させる方法などが挙げられる。

0027

石灰石の焼成温度は、生石灰を生成可能で、かつ、塩素化合物が気化する温度であればよく、一例として、1000℃から1500℃であり、使用する塩素化合物によって適宜決定される。

0028

焼成炉としては、特に限定されないが、気体状塩素源を発生させて塩焼き焼成しやすい横型ロータリキルンや竪型焼成炉であるKHD(カーハーディ)炉を使用することが好ましい。生石灰の製造は連続操業が一般的であるため、特性の異なる生石灰製品の品種替えを簡単かつ短時間で行えることが望ましい。この点、これらの炉では、素焼きから塩焼き、塩焼きから素焼きへの品種替えを簡単かつ短期間で行うことができるため、このような点からもこれらの焼成炉を使用することが好ましい。

0029

本発明のように、塩素源に塩素化合物から発生した気体を使用すると、例えば以下のような効果が得られる。塩素化合物から発生した気体は焼成炉内に拡散していくため、焼成炉内の石灰石に対して塩素源を均一に接触させることができる。その結果、品質が均一であるポーラス生石灰を得ることができる。

0030

また、焼成炉内の石灰石に対して塩素源を均一に接触させることができるため塩素源を多量に使用する必要がなく、塩素源の使用量を低下させることができる。これにより、焼成炉等の腐食を抑えることができる。さらに、製造されたポーラス生石灰中に残留する塩素量を抑えることができるため、当該ポーラス生石灰から製造された製鋼用フラックス中の塩素量を低下させることができる。なお、製鋼用フラックスは、本発明の製造方法により製造されたポーラス生石灰をそのまま使用してもよく、あるいは、添加剤を混合して使用してもよい。

0031

以下では、横型ロータリキルンおよびKHD炉を使用してポーラス生石灰を製造する方法をそれぞれ説明する。

0032

図1は、横型ロータリキルンを使用したポーラス生石灰の製造設備の概略図である。製造設備1は、投入口および排出口を有するロータリキルン11、ロータリキルン11を回転駆動するための駆動装置12、排出口側に設けられたバーナ13、排出口に接続されたロータリクーラ14、原料となる石灰石を貯蔵する原料サイロ15、原料サイロ15と投入口との間に設けられた予熱炉コマ炉)16、および、投入口側に設けられた排気装置17を備えている。排気装置は、ロータリキルン11内の気体を排気するための装置であり、例えば、ブロワおよび集塵機などから構成されている。

0033

バーナ13は、ロータリキルン11内を加熱するための熱源であり、重油LPガスなどの燃料を燃焼させることにより火炎を発生させてロータリキルン11内を加熱する。バーナ13の上方には、塩素化合物を投入するためのノズル18が設けられている。ノズル18には、石灰石に対する塩素化合物の添加割合が一定となるよう塩素化合物を定量供給するための供給機(不図示)が接続されている。ノズル18から供給された塩素化合物はバーナ13の火炎により気化し、ロータリキルン11内に供給される。

0034

原料である石灰石は、原料サイロ15から排出され予熱炉16にて予熱された後、ロータリキルン11内に供給される。ロータリキルン11内に供給された石灰石は、バーナ13から吹き込まれた気体状塩素源を含有する加熱気体と接触しながら焼成される。ロータリキルン11は駆動手段12によって回転されるため、ロータリキルン11内の石灰石は回転されながら焼成されて生石灰へと変化し、ロータリキルン11の排出口から排出される。排出口から排出された生石灰はロータリクーラ14で冷却され、製品として回収される。ロータリキルン11内の気体は、予熱炉(コマ炉)16を通って排気装置17から大気中へ放出される。なお、予熱炉(コマ炉)16から排出された気体をバーナ13へと戻して再度加熱し、再びロータリキルン11内へ供給するようにしてもよい。

0035

ロータリキルン11では、石灰石が回転されながら気体状塩素源と接触するため、石灰石に均一に塩素源を接触させることができる。これにより、製品特性(例えば、活性度ならびに気孔径分布および気孔率といったポーラス性など)のばらつきが少ない生石灰を得ることができる。また、従来の製造方法では得られない気孔径の大きいポーラスな生石灰を得ることができる。また、石灰石に均一に塩素源を接触させることができるため、固体または液体の塩素源を石灰石に直接接触させて焼成する場合と比較して、塩素源の使用量を低下させることができる。また、塩焼きと素焼きとの切り替えが容易であるため、塩焼き生石灰と素焼き生石灰とが混じった製品が製造されてしまうことを防止することができる。

0036

次に図2を参照して竪型焼成炉であるKHD炉によるポーラス生石灰の製造方法について説明する。図2はKHD炉の概略断面図を示している。KHD炉2は、上方から順に、予熱帯21、上段焼成帯22、下段焼成帯23および冷却帯24を備えている。石灰石は、予熱帯21から上段焼成帯22に供給されて焼成され、そして下段焼成帯23に供給されて焼成され生石灰へと変化した後、冷却帯24で冷却され、KHD炉2から排出される。なお、図2では、KHD炉内の気体の流れを矢印で示している。

0037

上段焼成帯22および下段焼成帯23にはそれぞれ上段バーナ25および下段バーナ26が設けられている。上段バーナ25および下段バーナ26は、重油やLPガスなどの燃料を燃焼させることにより火炎を発生させてそれぞれ上段焼成帯22および下段焼成帯23を加熱する。

0038

上段バーナ25には塩素化合物を投入するためのノズル27が接続されている。ノズル27には、石灰石に対する塩素化合物の添加割合が一定となるよう塩素化合物を定量供給するための供給機(不図示)が接続されている。ノズル27から供給された塩素化合物は上段バーナ25の火炎により気化し、加熱気体と共に上段焼成帯22内に供給される。

0039

予熱帯21によって予熱された石灰石は上段焼成帯22に供給され、上段焼成帯22に吹き込まれた気体状塩素源を含有する加熱空気と接触しながら焼成される。上段焼成帯22から排出された生石灰および未反応の石灰石は、下段焼成帯23に供給される。上段焼成帯22から排出された加熱気体の一部は、上段バーナ25に戻されて再度加熱され、再び上段焼成帯22に送られる。また、上段焼成帯22から排出された加熱気体の一部は、予熱帯21に送られ、上段焼成帯22に供給される前の石灰石を予熱するために使用される。予熱帯21から排出された加熱気体は下段バーナ26に送られ、下段バーナ26で加熱された後、下段焼成帯23に吹き込まれる。

0040

下段焼成帯23に供給された生石灰および未反応の石灰石は、下段バーナ26から吹き込まれた加熱気体と接触しながら焼成され、生石灰へと変化する。下段焼成帯23に吹き込まれる加熱気体は上段焼成帯22から排出された加熱気体であるため、この気体中にも塩素源が含まれている。下段焼成帯23から排出された生石灰は、冷却帯24で冷却され、KHD炉2から排出される。下段焼成帯23から排出された加熱気体は、冷却帯24から排気装置(不図示)を通って大気中に放出される。

0041

KHD炉2では、上段焼成帯22に吹き込まれた気体状塩素源を含有する加熱気体を、下段焼成帯23へも供給する。これにより、上段焼成帯22内だけでなく、下段焼成帯23内においても、石灰石は、気体状塩素源を含有する加熱気体と接触しながら焼成されることになり、石灰石と塩素源とが接触する機会が増え、接触時間も長くなる。そのため、製品特性のばらつきが少ない生石灰を得ることができる。また、従来の製造方法では得られない気孔径の大きいポーラスな生石灰を得ることができる。また、石灰石に均一に塩素源を接触させることができるため、固体または液体の塩素源を石灰石に直接接触させて焼成する場合と比較して、塩素源の使用量を低下させることができる。また、塩焼きと素焼きとの切り替えが容易であるため、塩焼き生石灰と素焼き生石灰とが混じった製品が製造されてしまうことを防止することができる。

0042

以下では、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0043

<実施例1−1>
直径48mmの外側るつぼ内に直径36mmの内側るつぼが配置された二重るつぼを使用して試験を行った。内側るつぼには、大きさ5〜15mmの石灰石を10g入れた。外側るつぼには、塩素化合物として固体の塩化ナトリウム(NaCl)0.005g(石灰石100重量部に対して0.05重量部)を入れた。本実施例では、石灰石と固体の塩化ナトリウムとは、内側るつぼによって隔離されているため、直接接触しないようになっている。一方、固体の塩化ナトリウムから発生した気体は、上方へ流れると共に、内側るつぼ内へ流入し、石灰石と接触することが可能となっている。固体の塩化ナトリウムから発生した気体が二重るつぼ外へ逃げないように、また、外部から二重るつぼ内に気体が流入しないように、二重るつぼの上部に蓋をした。あらかじめ1000℃に加熱した電気炉(メーカ:YAMATO製、型式:FO300)内に二重るつぼを入れ、2時間加熱した。2時間経過後、二重るつぼを室温まで徐冷した。

0044

<実施例1−2>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.01g(石灰石100重量部に対して0.1重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0045

<実施例1−3>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.05g(石灰石100重量部に対して0.5重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0046

<実施例1−4>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.1g(石灰石100重量部に対して1.0重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0047

<実施例1−5>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.3g(石灰石100重量部に対して3.0重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0048

<実施例1−6>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.5g(石灰石100重量部に対して5.0重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0049

<実施例1−7>
塩素化合物を4N−HCl水溶液0.01g(石灰石100重量部に対して0.1重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0050

<実施例1−8>
塩素化合物を60wt%HClO4水溶液0.01g(石灰石100重量部に対して0.1重量部)に変更した以外は、実施例1−1と同様の条件にて試験を行った。

0051

<比較例1−1>
比較例1−1では、塩素化合物を使用せずに(つまり、石灰石10gのみ)試験を行った。それ以外の条件は、実施例1−1と同様である。比較例1−1によって得られた生石灰は、いわゆる素焼き生石灰である。

0052

<比較例1−2>
比較例1−2では、内側るつぼに固体の塩化ナトリウム0.00025g(石灰石100重量部に対して0.0025重量部)を入れ、石灰石と固体の塩化ナトリウムとが直接接触している状態で試験を行った。本比較例では、外側るつぼには、固体の塩化ナトリウムは入れられていない。それ以外の条件は、実施例1−1と同様である。

0053

<比較例1−3>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.005g(石灰石100重量部に対して0.05重量部)に変更した以外は、比較例1−2と同様の条件にて試験を行った。

0054

<比較例1−4>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.01g(石灰石100重量部に対して0.1重量部)に変更した以外は、比較例1−2と同様の条件にて試験を行った。

0055

<比較例1−5>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.05g(石灰石100重量部に対して0.5重量部)に変更した以外は、比較例1−2と同様の条件にて試験を行った。

0056

<比較例1−6>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.1g(石灰石100重量部に対して1.0重量部)に変更した以外は、比較例1−2と同様の条件にて試験を行った。

0057

<比較例1−7>
塩素化合物の量を固体の塩化ナトリウム0.3g(石灰石100重量部に対して3.0重量部)に変更した以外は、比較例1−2と同様の条件にて試験を行った。

0058

<実施例2>
大きさ2〜10mmの石灰石5gを入れたムライト製燃焼ボート(長さ100mm×幅15mm×高さ10mm)と、塩素化合物として固体の塩化ナトリウムを0.005g(石灰石100重量部に対し0.1重量部)を入れた別のムライト製燃焼ボート(長さ150mm×幅15mm×高さ10mm)とをそれぞれ準備した。これら2つの燃焼ボートを、室温状態の横型分割式管状炉(メーカ:共栄電気炉社製、型式:SIC−16φ×12)に入れ、窒素ガスを50mL/minの流量で流しながら1000℃/hの昇温速度で1000℃まで昇温し、その後1000℃で2時間加熱した。2時間経過後、燃焼ボートを室温まで徐冷した。なお、横型分割式管状炉内において、固体の塩化ナトリウムが収容された燃焼ボートは、窒素ガスの入口側に配置され、石灰石が収容された燃焼ボートは、窒素ガスの出口側に配置した。本実施例では、石灰石と、塩素源である固体の塩化ナトリウムとは別々の燃焼ボートに収容されているため、直接接触することはない。一方、固体の塩化ナトリウムから発生した気体は、横型分割式管状炉内を流れる窒素ガスと共に窒素ガスの出口側に流れるため、窒素ガスの出口側に配置された燃焼ボートに収容されている石灰石と接触する。

0059

<実施例3>
図1に示す横型ロータリキルン11を使用した製造設備1によってポーラス生石灰の製造を行った。5mm〜15mmの大きさの石灰石を、約400kg/hの供給速度でロータリキルン11内に供給した。塩素化合物として固体の塩化ナトリウムを0.4kg/h(石灰石100重量部に対して、0.1重量部)の供給速度でノズル18から供給した。バーナ温度:1400℃〜1500℃、焼点温度:1200℃〜1300℃、ロータリキルン回転数:0.6rpmで製造を行った。ロータリクーラ14で冷却された生石灰を円形振動篩にかけて5mm下を除去し、5mm上の製品として回収した。実施例3では塩素化合物の投入開始から3時間15分後に回収された生石灰について評価を行った。

0060

<比較例3−1>
塩素化合物を使用しなかった以外は、実施例3と同様の条件にて試験を行った。比較例3−1によって得られた生石灰は、いわゆる素焼き生石灰である。

0061

<比較例3−2>
固体の塩化ナトリウムを0.4kg/h(石灰石100重量部に対して、0.1重量部)の供給速度で原料サイロ側から石灰石と共に投入した以外は、実施例3と同様の条件にて試験を行った。比較例3−2では、石灰石は固体の塩化ナトリウムと直接接触した状態で、ロータリキルン内で焼成されることになる。比較例3−2では、塩素化合物の投入開始から10時間30分後に回収された生石灰について評価を行った。

0062

<実施例4>
図2に示すKHD炉2を使用した製造設備によってポーラス生石灰の製造を行った。35mm〜55mmの大きさの石灰石を、約6000kg/hの供給速度でKHD炉2内に供給した。塩素化合物として固体の塩化ナトリウムを6kg/h(石灰石100重量部に対して、0.1重量部)の供給速度で上段バーナ25に設置したノズル27から供給した。バーナ温度:1400℃〜1500℃、焼点温度:1000℃〜1100℃、燃焼空気量:900m3/hで製造を行った。実施例3では塩素化合物の投入開始から4時間後に回収された生石灰について評価を行った。

0063

<比較例4>
塩素化合物を使用しなかった以外は、実施例4と同様の条件にて試験を行った。比較例4−1によって得られた生石灰は、いわゆる素焼き生石灰である。

0064

評価方法
[25g法活性度]
2Lのビーカに温度30℃±1℃の水を1L入れ、攪拌羽根をビーカ中央に配置した。攪拌を開始すると同時に、ブロモチモールブルーBTB)指示薬を2滴加えた。2〜10mmに調整した生石灰25gを一度にビーカ内に投入し、生石灰の投入後すぐに4N−HCl溶液滴下を開始し、ビーカ内の溶液のpHが7を保つように4N−HCl溶液を滴下し続けた。4N−HCl溶液の滴下開始から、1分後、5分後、10分後の4N−HCl溶液の滴下量を計測し、この滴下量を生石灰の活性度と定義した。なお、1分後、5分後および10分後の活性度をそれぞれ1分値、5分値および10分値と表記する。

0065

[全細孔容積に対する5μm以上の細孔の割合]
水銀ポロシメータ(メーカ:Quantachrome製、型式:Poremaster60−GT)の測定セルに、粒子間の隙間が無視できるよう1〜3mmに調整した生石灰2gを投入し、水銀を圧入した。圧力が414MPaとなるまで加圧していき、水銀注入圧力に対する水銀注入量を測定した。Washburnの式を用いて、水銀注入圧力と水銀注入量とを細孔径換算して細孔分布を求め、そこから全細孔容積に対する5μm以上の細孔の割合を求めた。

0066

<試験結果>
実施例1−1〜1−8および比較例1−1〜1−7の結果を表1に示す。実施例2の結果を表2に示す。実施例3および比較例3−1〜3−2の結果を表3に示す。実施例4および比較例4の結果を表4に示す。また、図3(a)から(f)にそれぞれ、実施例1−2、実施例1−7、実施例3、実施例4、比較例1−4および比較例3−2で得られた生石灰の走査型電子顕微鏡写真(いずれも同倍率で撮影)を示す。

0067

0068

0069

0070

0071

表1〜4から分かるように、いずれの実施例でも1分値は160mL以上であった。塩素化合物の添加割合が同一の実施例と比較例とを比較した場合(例えば、実施例1−1と比較例1−3とを比較)、いずれも実施例の方が1分値は高かった。このことから、本発明の製造方法によって得られる生石灰は、比較例の生石灰と比べて、反応性が高い(反応速度が速い)と考えられる。また、例えば実施例1−3と比較例1−6との比較から明らかなように、本発明の製造方法を用いれば、同程度の活性度(1分値)を有する生石灰を得ようとする場合には、塩素源(塩素化合物)の添加量を少なくすることができる。

0072

各表に示すように、いずれの実施例でも5μm以上の細孔の割合は20%以上であった。また、実施例1−1〜1−5の結果から明らかなように、塩素化合物の添加割合が多くなればなるほど、5μm以上の細孔の割合が高くなることが分かる。比較例では、塩素源を3wt%添加した比較例1−7が最も高い値を示したが、その値は19.0%であり、いずれの実施例の値よりも低かった。このことから、本発明の製造方法を用いれば、従来の方法よりも少ない塩素源の添加量で、従来よりもポーラス性の高い生石灰を得ることができる。

0073

実施例3の活性度の1分値および5μm以上の細孔の割合は比較例3−1および3−2よりも高かった。実施例4の活性度の1分値および5μm以上の細孔の割合は比較例4よりも高かった。このことから、生石灰の大量生産に利用される横型ロータリキルンおよびKHD炉でも本発明の方法が有効であることが分かる。

0074

実施例3では、塩素化合物の投入開始から3時間15分後に回収された生石灰の活性度の1分値は165mL、5μm以上の細孔の割合は22.9%であった。これに対し、比較例3−2では、塩素化合物の投入開始から10時間30分経過後に回収された生石灰であっても、活性度の1分値および5μm以上の細孔の割合は実施例3のそれに及ばなかった。このことから、本発明の方法では、従来の方法よりも短時間で活性度およびポーラス性の高い生石灰を製造することができることが分かる。

0075

図3に示すように、各実施例の生石灰は比較例の生石灰に比べて結晶が大きく、かつ、気孔も大きくなっていることが分かる。

0076

本発明の製造方法によれば、従来よりも塩素源の添加量を少なくすることができるため、従来の方法と比較して焼成炉等の腐食を抑えることができると考えられる。

0077

<考察>
本発明の製造方法により従来よりもポーラスな生石灰が得られる作用機序は必ずしも明らかではないが、以下では、上記各実施例および各比較例から得られた結果に基づく考察を記載する。ただし、以下で述べる考察は本発明を限定するものではない。本発明の製造方法では、塩素化合物から発生した気体に含まれる塩素が生石灰のポーラス性に寄与していると考えられる。すわなち、発生した塩素が石灰石に吸着され、結晶の融点下げたり、結晶(粒子)の成長を促進したりする融剤として機能することにより結晶が大きく成長し、ポーラスな生石灰が得られると推測される。また、これまでの知見により石灰石の塩焼き焼成において、塩素化合物のうち塩素以外の他の元素(例えば、塩化ナトリウムの場合にはナトリウム)はポーラス性に寄与していない、または、阻害する効果を有していると考えられる。従来のように固体または液体の塩素化合物を石灰石に接触させて焼成する方法では他の元素も塩素と共に生石灰のポーラス性に影響していると考えられる。一方、本発明では、塩素化合物から発生した純度の高い塩素成分が石灰石に作用して生石灰の結晶成長を促進し、従来では得られないような大きな結晶や大きな細孔が得られると考えられる。

0078

<製鋼用フラックスとしての試験>
製鋼用フラックスとしての有用性を確認するための試験を行った。実施例5では、実施例3で得られた生石灰を用いた。比較例5−1および5−2ではそれぞれ比較例3−2および比較例4で得られた生石灰を用いた。比較例5−3〜5−5では、焼成炉としてそれぞれメルツ炉、竪型硬焼炉およびロータリキルンを用い、塩素化合物を添加せずに製造された生石灰(素焼き生石灰)を用いて試験を行った。実施例5および比較例5−1〜5−5の生石灰の活性度および5μm以上の細孔の割合は上記の方法によって測定した。

0079

[侵食率]
600μm以下のスラグ粉約5.0gを、ムライト製燃焼ボート(長さ100mm×幅15mm×高さ10mm)に敷き詰めた。1辺約6mmの略立方体形状の生石灰を選別し、中央部の寸法L1を測定し(図4(a)参照)、スラグ上に載置した。室温状態のMS電気炉(メーカ:モトヤマ製、型式:CS16−1520)に燃焼ボートを入れ、2時間かけて1420℃まで昇温し、その後1420℃で3時間加熱した。3時間経過後、燃焼ボートを室温まで徐冷した。加熱前に寸法を測定した部分に沿って切断し、縦方向中央部の残留(未反応)生石灰の寸法L2を測定した(図4(b)参照)。なお、スラグと反応した部分は灰色となり、一方、残留部分は白色のままであるため、目視顕微鏡による観察を含む)により反応した部分と残留部分とを区別することができる。残留部分の生石灰の寸法L2を加熱前の生石灰の寸法L1で割り百分率に換算するために100を乗じ、この値を侵食率と定義した。

0080

[残留生石灰率]
600μm以下のスラグ粉約4.0gを、ムライト製燃焼ボート(長さ100mm×幅15mm×高さ10mm)に敷き詰め、その上に1〜3mmに分級した生石灰1.0gを均一になるよう載置した。あらかじめ1310℃に加熱したMS電気炉(メーカ:モトヤマ製、型式:CS16−1520)に燃焼ボートを入れ、5分間加熱した。5分経過後、燃焼ボートを室温まで徐冷した。燃焼ボートから生石灰を取り出し、粉末X線回折測定が可能となる大きさまで粉砕した。加熱前の生石灰についても粉砕を行い、粉末X線回折測定用の試料を準備した。X線回折測定装置(メーカ:ブルカー製、型式:D2PHAERX線CuKα線)を用いて、粉砕した生石灰の粉末X線回折測定を行い、得られた回折パターンにおける生石灰の第一ピーク(2θ=37.2°)の強度を測定した。加熱後の生石灰の第一ピーク強度を加熱前の生石灰の第一ピーク強度で割り、百分率に換算するために100を乗じ、この値を残留生石灰率と定義した。

0081

崩壊率]
目開き1mmのによってあらかじめ篩下を取り除いた5〜15mmの生石灰100gをポリエチレン製の袋に入れ、1mの高さから3回落下させた。3回落下させた後、袋内の生石灰を目開き1mmの篩にかけ、篩下の質量を測定した。篩下の質量を落下させる前の生石灰の質量(100g)で割り、その値を百分率に換算するため100を乗じ、篩下発生率を求めた。この篩下発生率を崩壊率と定義した。

0082

粉化率]
直径140mmのポッドミル(容量1L)に生石灰50gを入れ、ポッドミルを1000回転させた後、ポッドミル内の生石灰を取り出し、目開き1mmの篩にかけ、篩下の質量を測定した。篩下の質量を試験前の質量(50g)で割り、その値を百分率に換算するため100を乗じ、篩下発生率を求めた。この篩下発生率を粉化率と定義した。

0083

<試験結果>
実施例5および比較例5−1〜5−5の結果を表5に示す。

0084

0085

表5に示すように、実施例5の侵食率はいずれの比較例の侵食率よりも高かった。このことから、実施例5で使用した生石灰のほうが比較例5−1〜5−5で使用した生石灰よりもスラグが浸透しやすいことが分かる。また、実施例5の残留生石灰率はいずれの比較例の残留生石灰率よりも低かった。このことから、実施例5で使用した生石灰のほうが比較例5−1〜5−5で使用した生石灰よりもスラグとの反応性が高いことが分かる。以上の結果は、実施例5で使用した生石灰のほうが比較例5−1〜5−5で使用した生石灰よりもスラグと反応しやすく、かつ、スラグ中の不純物の除去効果が高いことを意味している。この理由として、実施例5で使用した生石灰の活性度(1分値)および5μm以上の細孔の割合は比較例5−1〜5−5で使用した生石灰よりも高いため、実施例5で使用した生石灰のほうがスラグと反応し易く、かつ、スラグ中の不純物が生石灰中に侵入しやすいためであると考えられる。

0086

表5に示すように、実施例5の崩壊率はいずれの比較例の崩壊率より高かった。このことから、実施例5で使用した生石灰を製鋼用フラックスとして精錬時の溶銑中に投入した場合、生石灰が素早く崩壊し、溶銑と迅速に反応すると考えられる。

0087

表5に示すように、実施例5の粉化率は比較例5−1〜5−5の粉化率とほとんど変わらなかった。一般に崩壊率が高いと粉化しやすく、粉化率も高くなると考えられる。そのため、崩壊率が高いと、例えばコンベア輸送中に粉化して粉の発生量が増え、ロスが発生する。しかし、実施例5で使用した生石灰は、崩壊率が高いにも関わらず、粉化率が比較例5−1〜5−5で使用した生石灰とほとんど変わらなかった。このことから、本発明の製造方法により、粉の発生量は従来と変わらず、かつ、溶銑中に投入した際に迅速に崩壊する反応性の高い生石灰が得られることが分かる。

実施例

0088

上より、本発明によるポーラス生石灰を用いれば、従来の生石灰と比較して、良好な特性を有する製鋼用フラックスを得ることができる。

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